若桑 みどり(わかくわ みどり、1935年11月10日 - 2007年10月3日)は、日本の美術史学者。千葉大学名誉教授。専門は西洋美術史・表象文化史・ジェンダー史・ジェンダー文化論。旧姓・山本。
東京に生まれた。山本政喜の二女[1]。父・山本政喜は福岡県出身の英文学者・翻訳家である[2]。兄は有斐閣の編集者だった山本阿母里、ロシア文学者の川端香男里。東京学芸大学教授だった哲学者の若桑毅は元夫。
玉川学園中学部・高等部を経て、1953年に東京都立駒場高等学校芸術科(後に東京都立芸術高等学校として分離独立するも閉校)を卒業。1958年東京藝術大学美術学部卒業。1960年同芸術学専攻科修了。1961年から1963年までイタリア政府給費留学生としてローマ大学に留学。東京藝術大学音楽学部教授を経て、1988年から千葉大学教養部、後に文学部史学科教授となる。2001年の退官後、千葉大学名誉教授。2001年から2007年まで川村学園女子大学教授。
2007年10月3日、虚血性心不全により東京都世田谷区の自宅にて死去。71歳没。
葬儀は世田谷区北沢のカトリック世田谷教会で行われた[3]。喪主は長男で音楽家の若桑比織[3]。
単著
- 『マニエリスム芸術論』(岩崎美術社, 1980年/ちくま学芸文庫, 1994年)
- 『薔薇のイコノロジー』(青土社, 1984年)
- 『女性画家列伝』(岩波書店[岩波新書], 1985年)
- 『レット・イット・ビー』(主婦の友社, 1988年)
- 『風のイコノロジー』(主婦の友社, 1990年)
- 『都市のイコノロジー』(青土社, 1990年)
- 『ケーテ・コルヴィッツ』(彩樹社, 1993年)
- 『絵画を読む――イコノロジー入門』(日本放送出版協会[NHKブックス], 1993年/ちくま学芸文庫, 2022年)
- 『イメージを読む――美術史入門』(筑摩書房[ちくまプリマーブックス], 1993年/ちくま学芸文庫, 2005年)
- 『光彩の絵画――ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂天井画の図像解釈学的研究』(哲学書房, 1993年)
- 『フィレンツェ』(「世界の都市の物語(13)」文藝春秋, 1994年/文春文庫, 1999年/講談社学術文庫, 2012年)
- 『戦争がつくる女性像――第二次世界大戦下の日本女性動員の視覚的プロパガンダ』(筑摩書房, 1995年/ちくま学芸文庫, 2000年)
- 『岩波近代日本の美術(2)隠された視線――浮世絵・洋画の女性裸体像』(岩波書店、1997年)
- 『象徴としての女性像――ジェンダー史から見た家父長制社会における女性表象』(筑摩書房, 2000年)
- 『イメージの歴史』(放送大学教育振興会, 2000年/ちくま学芸文庫, 2012年)
- 『皇后の肖像――昭憲皇太后の表象と女性の国民化』(筑摩書房, 2001年)
- 『お姫様とジェンダー――アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』(筑摩書房[ちくま新書], 2003年)
- 『クアトロ・ラガッツィ――天正少年使節と世界帝国』(集英社, 2003年/集英社文庫(上下), 2008年)
- 『戦争とジェンダー――戦争を起こす男性同盟と平和を創るジェンダー理論』(大月書店, 2005年)
- 『聖母像の到来』(青土社, 2008年)
翻訳
- アーノルド・ハウザー『マニエリスム――ルネサンスの危機と近代芸術の始源』(岩崎美術社(上中下), 1970年)
- レナータ・ネグリ『現代の絵画(8)ボナールとナビ派』(平凡社, 1974年)
- D・レディグ『ミケランジェロ最終審判』(筑摩書房, 1976年)
- ピエール・デュ・コロンビエ『ミケランジェロ』(小学館, 1983年)
- マリオ・プラーツ『官能の庭――マニエリスム・エンブレム・バロック』(共訳、ありな書房、1992年、新版(4分冊)、2022年)
- ジョルジョ・デ・マルキス『アヴァンギャルド芸術論――アヴァンギャルドおよびネオ・アヴァンギャルド芸術入門』(現代企画室, 1992年)
- グラディス・S・ブリザード『親子で見る絵』(クレオ, 1992年)
- エルヴィン・パノフスキー『墓の彫刻――死に立ち向かった精神の様態』(哲学書房, 1996年)
- ミランダ・ブルース=ミットフォード『サイン・シンボル事典』(三省堂, 1997年)
- ブルース・ロートン『オノレ・ドーミエ――偉大なる漫画家』(大月書店, 1997年)
若桑みどりさんが死去 美術史家、ジェンダー研究(2007年10月3日)、四国新聞社公式サイト。