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『小さき勇者たち〜ガメラ〜』(ちいさきゆうしゃたち ガメラ)は、2006年(平成18年)4月29日に公開された、松竹配給、角川ヘラルド映画(現・KADOKAWA)製作の特撮映画である。
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ガメラが登場する怪獣映画であると同時に子供の成長を描くファミリー映画であることを志向した。
キャッチコピーは「ガメラは少年のために。少年はガメラのために。」。
ガメラ生誕40周年作品として、1999年の前作『ガメラ3 邪神覚醒』から7年ぶりに製作された。キャッチフレーズは「ガメラは少年のために、少年はガメラのために」である。
本作品は、母を亡くした少年およびその少年が育てた子供のガメラとの友情・成長を主軸に、親子の絆や命の尊さなどを描いたジュブナイル作品となっている。監督には、仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズなど子供向け特撮作品を数多く手掛けている田﨑竜太、脚本には特撮作品は本作品が初となる龍居由佳里が起用された。本作品には動物映画としての側面もあり、主人公が慈しむ子供ガメラの撮影では実物のケヅメリクガメが用意され、一部コンピュータグラフィックス (CG) を加味して撮影された。
配給収入は4億1000万円[1]となり、平成3部作よりも商業的には劣る結果となってしまった。内容についても、平成3部作の監督を務めた金子修介には、後年のインタビューで「子供好きなガメラを作りたかったのはわかるが、『戦わないで』と思われているガメラの戦いは盛り上がりようがなく、良いところはあるものの根本的な部分で企画のミスだと思う」という旨で酷評されている[2]。
映画公開に合わせ、角川グループ・エイベックスとのメディアミックスを実施。ノベライズ本、歴代ガメラの鳴き声や「ガメラマーチ」などもボーナス・トラックとして収録したサウンドトラックCD、プロモーションを兼ねたメイキングDVDが関係各社より発売された。本篇のDVDは特別編を含め、2006年10月26日に発売された。
1973年、三重県志摩でギャオスの群れとガメラが戦い、ガメラは自爆し相打ちとなった。それを見た人々は、ガメラが自爆して人間を守ってくれたと感じた。その人々の中に相沢孝介少年の姿があった。
それから33年後の2006年、孝介の息子・透は母親を亡くして初めての夏休みを迎えた。緋島に赤い光を認めた透は、赤い石とその上の卵を見つけ、掌の上で孵化したカメを部屋に連れ帰りトトと名付ける。
トトは空中に浮かぶ能力を持ち、極めて成長が速かった。隣家に住む幼馴染み・西尾麻衣はトトが飛ぶカメ=ガメラではないかと疑うが、透はそれを頑なに認めようとしない。透に懐いたトトは数日で1メートルを越えるまでに成長したが、ある日透の前から姿を消す。
落胆する透らを人を食う怪獣ジーダスが襲う。そこに立ちはだかったのはさらに成長したトトであった。トトは満身創痍になりながら辛くもジーダスを撃退するが、自衛隊によって名古屋の研究機関に連れ去られてしまう。巨大化したトトを見た孝介はガメラだと確信する。
名古屋には心臓手術のために入院していた麻衣がいた。麻衣はお守りとして透から渡された赤い石がガメラにとって大事なものであると感じる。これを聞いた透とその友達・石田兄弟は避難所を抜け出して名古屋に向かい、書き置きを見た孝介も彼らを追って車を走らせる。その時ジーダスが名古屋港に現れた。これ以降、傷付きながらも立ち上がるガメラ、ガメラを助けようとする子供たち、透と孝介の親子関係、透の決意を織り交ぜながらクライマックスを迎える。
本作品の舞台は大きく二つに別れ、前半は三重県志摩市、後半は愛知県名古屋市である[3]。起伏が多く立体感のある海辺、波切の街並と、中部国際空港開港や愛知万博で賑わう名古屋の市街地を1つの作品中に収めようという意向で、前半と後半で舞台の分かれるストーリーとなっている。
作中の1973年の志摩市として鳥羽市相差町がロケ地に選ばれた。2006年の志摩市として実際の志摩市の大王町波切(なきり)を中心に、志摩市志摩町の志摩大橋、志摩市阿児町の近鉄志摩神明駅、トトを隠す「隠れ家」を伊勢市二見町、度会郡南伊勢町、鳥羽市の相差町と神島、名古屋市、茨城県日立市などで、スタジオセット、オープンセットを交えてロケが行われた。
透と孝介の住む「あいざわ食堂」と麻衣一家の住む「西尾真珠店」の外見は、隣接する実在の二つの店舗[注釈 1]を利用した。志摩市でのトト対ジーダスの戦闘場面では開通前の志摩大橋(志摩パールブリッジ)を利用したロケーション撮影が行われた。名古屋の戦闘場面ではトラック2台分のがれきを実際の街に置いてロケーション撮影が行われた。
後半のロケは市街地部分を名古屋市で、病院の中を日立市で行っている。後半は怪獣映画で定番の逃げ回るシーンがほとんどであり、エキストラの数は前半よりも多い。名古屋では伏見を中心に名駅前、市役所、大須、栄を囲う円内、名古屋港、熱田神宮周辺で撮影された。また栄などの地下街が活用されている。
本作品では、トト(ガメラ)は子供の友達である。ガメラと人間との関係は明示されていないが、人間側は「ガメラの自爆で救われた」と認識している。よって先の平成ガメラ3部作と違い、人間が当初からガメラを人間の味方として扱っていることが大きな特徴である。このように登場する人物、怪獣の関係を単純化し、子供の視点から描写することで、人間とガメラの成長物語が子供にも判り易い形で提示されている。
本作品では33年前に出現したガメラ(アヴァンガメラ)、主役である子供ガメラ「トト」の2頭のガメラが登場する。この2頭の関係は明示的には描写されない。
本作品では登場する怪獣が小さく設定されている。トトは子供であるから小さくて当然であるが、アヴァンガメラの身長も金子ガメラはもちろん、昭和ガメラより小さい。ガメラシリーズに登場する怪獣は体格に比して体重が軽いのが特徴だったが、今作ではある意味過去に遡って(パンフレットに「ガメラの体重を40tとする巨大生物審議会の報告は計測の誤りによるものだったのだろう」とある[4])若干修正された。それでも重巡洋艦を超える体重を持つゴジラシリーズの怪獣とは比較にならない。また実物のケヅメリクガメとイメージを揃える必要から、ガメラの色はこれまでのシリーズと若干異なるものとなり、甲羅も実物に似た造形になった。
上記の通り本作品ではガメラが2頭登場するが、「ファミリー映画」「新しいガメラ映画の創造」という狙いから、題名から「ガメラ」の名を外すことすら検討されたという。監督は「本来ならば湯浅、円谷といった先人のように全く新しい怪獣を創造して子供たちに渡したいが、現在ではそれが難しい。そこでできるだけ新しいガメラとしてトトを作り、一方、ガメラが昔から活躍してきた怪獣であることを映画を見る人に判って貰おうと、冒頭にガメラを登場させた」と自らの意図および先人への敬意を含め語っている。また、平成三部作の『ガメラ2 レギオン襲来』でガメラを、『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』でイリスを演じた大橋明がアクション指導をしている。
本編の主役。幼体のモデルはケヅメリクガメ。伊勢志摩・緋島の海岸の高台にて赤い石に乗った卵から孵る。「トト」という名前は、トトッと歩けるように願い、透がつけたものであり、透自身も生前の母から「トト」と呼ばれていた[5]。
お腹に「炎」模様があることが特徴である[5]。誕生してから透の下で育てられていたが、そのころから空中浮遊や火炎放射を使えるなど、能力を片鱗的に見せていた。
やがて短期間でゾウガメほどに成長、ジーダスの到来を予期するかのような行動を取り始め透の前から姿を消す。そして志摩・波切にジーダスが出現した時、巨大な姿(近海の緋色真珠のエネルギーを注入していたとされる)となってジーダスと対峙、奮戦するが体格差により苦戦を強いられ、とっさに吐いた火球でジーダスを退けるも自身も負傷し自衛隊によって名古屋へ運ばれる。
そこで科学者たちの手で緋色真珠のエキスを注がれて傷を癒やすことになるが、トトを追跡するかの如く襲来したジーダスに襲われ、不完全ながら再び激突する。しかし、ここでも苦戦を余儀なくされ、追い詰められるが、麻衣がお守りとして持っていた赤い石が子供たちによって運ばれ、最終的に透の手でトトの元に届けられる。石を同化したトトは、遂に完全体となってジーダスを撃破する。
その後、再び自衛隊によって捕獲されそうになるが、子供たちにかばわれ、そのまま空を飛んでどこかへと姿を消す。その際ずっと否定していた透はトトをガメラと認め「ガメラ」と呼び、物語は終幕となる。
トトの幼少時代のモデルとして、ケヅメリクガメ13匹が使われた。腹部の炎模様はシールである。落下したり飛ぶなど極端な動きをする場面はソフトビニール製模型2体で撮影された。1mに達した時点の物は遠隔操作で動くロボットで、放映前にテレビ東京の『おはスタ』にて宣伝に使用された。5メートルを超える実物大造型物も用意され、撮影、宣伝キャンペーンに使用された。撮影後の実物大造形物は一般公募の結果、撮影が行われた三重県志摩市に預けられることになった。
1973年にギャオスと戦ったガメラはアヴァンガメラと名付けられた。人間を守るかのように4体のギャオスと戦うが、最終的には自爆して人々を救う。その自爆は地形を変えるほどの威力であり、本土と地続きだった灯台岬を孤島に変えてしまった。そのガメラが自爆した近海では緋色の真珠(一説には爆散したガメラのエネルギーの固形体とされる)が取れるようになり、それが名産品となって被災地の復興に貢献したらしい。アヴァン (avant) は「前の」「先行する」の意味。飛行する場面はないが、劇中で麻衣が透に手渡した資料(ウェブページのプリントアウト)には、飛行することが書かれており、小説やコミックではガメラは海から現れたので、1973年の志摩の以前にもアヴァンガメラと人間の遭遇があったと考えられる。「ガメラ2006 HARDLINK」では、志摩の沖で既にギャオスたちと戦闘を開始しており、陸上でも火球を全弾命中させたり背後から攻撃されても地面にたたきつけるなど格闘能力も見せていた。また、アヴァンガメラのDNAはギャオスのDNAに対して強力な死滅効果を持っている。その後10年間、人類は10万人もの動員で大王崎周辺からギャオスの遺骸をふくめ6万点以上のギャオスのサンプル群を発見・回収したが、ガメラに関しては細胞を含む一つもサンプルを発見できなかった。ガメラの生死を確認できなかったのが、政府が「巨大生物審議委員会」を閉鎖しなかった理由としているが、33年後の事件前には怪獣同士の生態系の確認やその可能性が排除されたので閉鎖が確定的になった。ギャオスのサンプルの回収後、世界各国のトップレベルの科学者12人による遺伝研究が開始され、横浜の地下で膨大な数のスーパーコンピューターを駆使し、バーチャルの地球環境を複製、アヴァンガメラのDNAのバーチャルモデルを99%の正確性で復元構築できたが、その驚くべき結果に、メンバーの一名が自死を選んだとされる。バーチャルモデルの遺伝子が、後にガメラ(トト)の成長に使われた。
1973年のガメラとギャオスの戦い以来、怪獣の現れなかった日本に突如出現した凶悪怪獣。外見はエリマキトカゲに似ており、剛毛心臓と呼ばれる強靭な毛状の筋肉組織に覆われた心臓を持つ。体表の球状のウロコ・耐ショックイボは衝撃を吸収し、ゴムのような質感で戦艦のミサイル攻撃も弾く[6][7]。ジーダスフィンと呼ばれる背びれの付け根にエラのような器官を持ち、水中での呼吸が可能[6][7]。凶暴な性格に人肉を好む食性を併せ持ち、海中にて遭難中の人間を襲って食い荒らしていた。
ハープーン舌とよばれる舌が最大の武器であり、血液を内部の網目状の組織に充満させて硬化させ、厚さ50センチメートルの鋼鉄板やガメラの甲羅さえも貫通する[6]。槍のように鋭利になっている舌の先端や手足の爪先からは溶解液を発し、かすり傷でも敵の肉体を腐食させる[6][7]。沖縄近海に出現して船舶を襲撃した後、志摩市波切に上陸して暴れ始めるが、成長途上のトト=ガメラに足止めされ、橋の上で初戦を繰り広げる。
ガメラの火炎攻撃で海に転落して一時退却した後は名古屋に再び現れて街を蹂躙し、人間の手で急成長させられたガメラとの再戦をも優勢に進めていくが、最後は子供たちの連携によってもたらされた赤い石を食べてパワーアップしたガメラの火球攻撃で爆砕される。
出自について劇中では一切語られていないが、『Yahoo!ムービー -「小さき勇者たち〜ガメラ〜」特集』によるとギャオスの肉を喰らい、DNAを取り込んだトカゲの突然変異種という設定。ノベライズ本ではギャオスの死骸を食べた爬虫類が変異したものとされ、ギャオスのガメラへの怨念に憑りつかれたような描写がされている。映画パンフレット紹介では、ガメラに比べてあまり知能は高くはないが、暴力的に弱者をいたぶることでは悪知恵が働くとなっている[6]。
本作品に登場するギャオスは、オリジナルギャオスと名付けられた。ギャオス#『小さき勇者たち〜ガメラ〜』のギャオスを参照。
本作品では実際の動物、着ぐるみ、操演の利用に加え、デジタル合成が多用された。採用されたデジタル合成に関しては#DIシステムの採用で説明する。縦方向の動きを重視した戦闘場面に合わせ、高層ビルディングや橋梁のセットが組まれたほか、成長途中のガメラの実物大造形物が製作され、志摩大橋で捕獲されるシーンやトレーラーで搬送されるシーン、研究所の場面などで使用された。
トトの登場する戦闘場面がすべて昼間に設定されていることは本作品の特徴である。
本作品では監督、脚本と並んで、音楽もこれまで怪獣映画に関わりのなかった上野洋子が担当した。
ゴジラなどの東宝特撮キャラクターには伊福部昭の作曲した印象的なモチーフがあるが、ガメラには、ガメラマーチを除いて、ガメラを象徴する音楽的なモチーフは存在しない。上野はマルチトラックレコーダを用いたエスニック風のボーカル一人多重録音、管弦楽、シンセサイザー、マンドリンなどを用いて、大谷幸による前シリーズとはまた違ったイメージで新しいガメラ像の構築に貢献した。
ヴォカリーゼとアコースティック楽器を多用しているのが特徴で、下記の「トトのテーマ」による全編の統一だけではなく、アヴァンガメラの死闘の際に女性ヴォーカルを主体にした音楽を用い、これも怪獣映画としては新鮮な劇伴となった。「基本的に映画音楽にはヴォーカルを入れにくいが、怪獣は台詞を喋らないから大丈夫だった」と語っている。
伊福部と同様に、上野は怪獣や戦闘を表すライトモチーフを用いている。
特に、トトが誕生する場面でキーボードに現れる g-d-e-B-d-c-G で始まる音形は以後全編を通じて固定主題的に用いられ、上野はこれを「トトのテーマ」と呼んだ。例えば、かわいらしいトトが描写されている場面ではおどけたファゴットで、回転ジェットを噴射し空を舞う場面では颯爽とした弦楽合奏で演奏される他、トトが苦戦する場面でも低音部に現れ、全編に統一感をもたらしている。
本作品には#関連作品に示すとおり、脚本家・龍居由佳里による『僕とトトの物語—映画『小さき勇者たち ガメラ』』、蕪木統文による『ともだち 小さき勇者たち〜ガメラ〜』の2種のノベライズ本がある。
実際の映画とノベライズ本では異なるショートストーリーがいくつかある。例えば当局が赤い石を入手しようとする場面は公開されたフィルムにはない。透が麻衣を女性として見はじめる場面、晴美が船頭(せんど)の祠でお百度を踏むシーンなどは撮影されたが編集でカットされている。ジーダスが翼を生やして飛行したり、トトのジーダスを倒す場面も異なり、雨宮と一ツ木が映画よりも裏のある人物で最後はジーダスの爆破された肉片により再起不能の重症者になる、ギャオス細胞を持つ肉片が動く(大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオスを彷彿させる)、など完成作品とは異なる描写も目立つ。
蕪木版ノベライズ本では、敵怪獣はジーダスの他「Gバルゴン」「Gバイラス」「Gギロン」「Gジャイガー」「Gジグラ」が登場する。
逆にフィルムにあってノベライズ本にない部分もある。カツヤがジーダスに食べられそうになるシーンはノベライズ本では透が食べられそうになる。
撮影時には撮影期間短縮とコスト面で有利なデジタル撮影が使用できたが、本作品はフィルムの表現力にこだわり、フィルム撮影された。その上で全編にわたり撮影したネガフィルムをスキャンしデジタル化、コンピュータ上で合成や色調調整を行った後、再度フィルム化するDIシステム (digital intermediate system) と呼ばれる方式が採用された。
DIシステムにより、映像ごとに階調や色合いなどの調整、撮影時の天候による色彩のズレの補正などを行なった。
緋島は実在しない架空の島で、鳥羽市の神島を大王崎と合成して作られた。1メートル大のトトと語り合うシーンは米子浜の岩の上で撮影され、映り込む熊野灘の船舶を全て消去することで無音を表現している。動的ながれきのほとんどはCG合成で、灯台の落下シーンでは誰もいないレイヤとがれき、走り出す人物、落下する灯台など、複数のレイヤを合成している。
人のシーンでは、トトが名古屋に運ばれていくシーンでのエキストラなどに合成処理が行なわれた。トトの輸送シーンでは背景のみの映像、トトの頭部のみの映像など幾つかの映像を組み合わせ、クロマキーで合成している。古典的なクロマキーでは切り抜くための色に近い色の服を着てはいけない制限があるが、本作品の場合は緑色が設定され、背景を切り抜かれる側の撮影をする可能性の高いエキストラのうち、緑に近い色を含む服を着ていた人は衣装を変更させられた。ジーダスに襲われた後に住民が避難した体育館のシーンとトトの輸送シーンではこの制限がないが、人が逃げ惑うシーンでは制限がかかっている。転倒シーンでは合成により事故防止のためのマットを消去している。クロマキーはブルーバックと呼ばれるアナログ処理でも同等の処理が可能である。
気まぐれなケヅメリクガメが首を伸ばしたり口を開けたりするシーンでデジタル処理が多用された。包丁を昭和ガメラの怪獣ギロンに見立てたシーンは顔の表情を変化させるなど、コミカルに仕上げられた。ジェット噴射のシーンも合成である。
名古屋での戦闘シーンのほとんどと、志摩大橋の戦闘シーンでもクロマキーが使われている。余分な物が映り込んだ場合には合成処理により消去された。ジーダスが志摩大橋に向かうシーンは実際の上空映像とオープンセットで撮影された映像を合成した。
本作品は環境省とのタイアップ作品である。動物の遺棄を防止する啓発キャンペーンのキャッチフレーズは「捨てたらダメラ」とされ、環境省関連施設などにポスターが配布された。「捨てない。逃さない。」を合言葉に、ペットは最後まで責任を持って飼うべきである旨をPRしている。ポスターは第2版を基に作成され、上段に注意喚起文、中段が通常のポスターと同様で、下段に環境省の機関名が入っている。
透の家は飲食業を営んでいるため、ペットを飼うことを父親が禁止していた。透はトトが空を飛ぶことと成長が早すぎることを気味悪がり、トトを浜に捨てようとするが捨てきれず、結局トトを拾いあげ笑顔で家に帰っていく。
本作品の出演者は演技する者を除いてほとんどが無料奉仕のエキストラであり、のべ3,000人程度が募集され、1万人近くの応募があった。
スケボー少年などの大勢の子供たちもエキストラである。社会学習の1つとしてクラス単位で撮影に参加した学校も2校あったほか、市役所職員が日常の風景や自衛隊員などのエキストラとして参加した。
報道関係者の多くがエキストラとして参加し、見返りは監督へのインタビューであった。無料奉仕のエキストラには謝礼としてTシャツが配布された。
また、映画会社から「絶対カットされないエキストラ出演権」がインターネットにてチャリティオークションに掛けられ1,111,111円という破格の値段で落札された。
ガメ太郎はプロモーション用のキャラクターで、お腹にトトの炎模様のついたガメラのぬいぐるみである。プロモーション / メイキングDVDなどに姿をあらわし、また、公式ブログ「がんばれ!!ガメ太郎」[11](ガメ太郎の「退社」に伴い、2006年5月いっぱいで更新終了[12])の主催者となった。兄弟、姉妹などが複数おり、個々に名前が付いている。トトをトト兄貴、津田寛治をお父さん、龍居由佳里をあねごと称するなどしていた。
公式ブログに登場するキャラクター。トト、タイトー三兄弟、トトリュックを除き、フワフワ一族と称している。全員に炎模様が付いている。
撮影に使用された3体の大型のガメラ模型のうち1体が、ケヅメリクガメ数体と一緒に全国を縦断し宣伝活動を行った。志摩ロケで使用された物とは異なり、1メートル程度大きくなった物とされている。
本映画の撮影は、小学校の社会学習にも使用されている。鳥羽市、志摩市の小学校から各1校がエキストラとして団体参加した。社会教育授業の一環として、子供たちが映画作りを体験するというものであった。
撮影に用いられたのは生きたケヅメリクガメである。このカメは成長が早く、飼育下でも70センチメートル近い体長となる。
撮影に使用されたケヅメリクガメの管理を指導した獣医師から、飼育方法を知らない人が映画に影響されて安易に飼い、その結果飼育放棄に至ることがないよう注意喚起をして欲しいとの意見があり、その旨が公式サイトで掲示された。飼育には相応の知識と環境および覚悟が必要であること、製作において動物虐待をしていない旨が映画のエンディングロールで流れ、飼育に関してはエンディングロール以外にもパンフレットなどで繰り返し注意を喚起している。
ケヅメリクガメはワシントン条約付属書II類掲載種であり、あつかいに慎重さが求められるにもかかわらず、ふさわしい対応をしていなかったと、マスコミで取り上げられた[13]。
上げられた例としてケヅメリクガメの甲羅へ穴がうがたれていた点がある。当時公開された、映画に使用したケヅメリクガメにその痕跡が確認できる。ただしこれは個体識別のために行われている一般的な方法であり、穴のうがたれた縁甲板は穴を開けても問題のない部位である。それとは別の指摘として撮影用の亀が何匹か死亡したのは事実と角川ヘラルドが朝日放送の情報番組「ムーブ!」の取材に認めている[14]。
なお、映画に出演した「セイラ」(メス)は2005年9月、角川ヘラルドから志摩マリンランドに寄贈され、2019年に同施設のオス「ソラ」との交尾が確認されたあと、翌2020年前半にかけて3回産卵、うち25個の卵が孵化し、一部の幼体が同施設で公開されていたが[15]、2021年3月に志摩マリンランドが閉園したため、セイラとソラは伊勢シーパラダイスに譲渡された。一方、セイラが生んだ子亀のうち3匹は三重県紀宝町の「道の駅・紀宝町ウミガメ公園」に譲渡された[16]。
本作品の公開に合わせてカートゥーンネットワークにて2007年にガメラのテレビアニメが放送開始することがアナウンスされたが結局は放送されなかった。[22][23]。
2011年に、ワシントン州立大学 (プルマン)のチームが、脚を欠損したケヅメリクガメに歩行用の補助装備を取り付け、本作に因んで「Gamera」と名付けている[24][25][26]。
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