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6を底とし、底およびその冪を基準にして数を表す方法 ウィキペディアから
六進法(ろくしんほう、英: senary、独: Sechsersystem)とは、6 を底とし、底およびその冪を基準に数を表す方法である。英語名の"senary"は、ラテン語で「六個一組」を意味する"senarius"にちなむ。
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六進記数法とは、六を底とする位取り記数法である。慣用に従い、通常のアラビア数字は十進数で表記し、六進記数法の表記は括弧および下付の 6 で表す。六進記数法で表された数を六進数と呼ぶ。通常は、0, 1, 2, 3, 4, 5 の計 6 個の数字を用い、六を 10、七を 11、八を 12 …と表記する。
六進法 | 33 | 34 | 35 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 100 | 101 | 102 | 103 | 104 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
十進法 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 |
十二進法 | 19 | 1A | 1B | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 2A | 2B | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 |
二十進法 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 1A | 1B | 1C | 1D | 1E | 1F | 1G | 1H | 1I | 1J | 20 |
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十進法と六進法は、「10が素数二つの積」「10-1が6未満の素数かその冪数」という同じ構造を持っており、2の冪数の扱いは同じになる。しかし、六進法では「5+1 = 10」「2×3 = 10」となるので、十進法と比べた時に、3と5の立場が逆転するだけではなく、9(=13(6)=32)と5の立場も逆転する。つまり、六進法では3とその冪数が優位に立ち、5とその冪数は劣位に落ちる。更に、2と3の冪指数が同じなので、2の冪数と3の冪数が同等の地位になる。
六進法でも、十進法と同じように倍数判定ができる。2と3の倍数が一目で判る上に、割り切れない5の倍数の判定も可能になる。十進法では 5n×3 と 5n×32 が判定可能なのに対して、六進法では 3n や 3n×5 が判定可能になる。また、2n と 2n×5 の倍数は、十進法では 5n 種類になるが、六進法では 3n 種類になる。
一の位が0 | 2と3で割り切れる(10(=6)の倍数) |
一の位が1か5 | 2でも3でも割り切れない |
一の位が2か4 | 2で割り切れるが、3で割り切れない |
一の位が3 | 2で割り切れないが、3で割り切れる |
下二桁が00 | 4でも13(=9)でも割り切れる(100(=36(10))の倍数) |
下二桁が 04,12,20,24,32,40,44,52,00 のどれか | 4の倍数(複偶数) |
下二桁が 02,10,14,22,30,34,42,50,54 のどれか | 2で割り切れるが、4では割り切れない(単偶数) |
下二桁が 13,30,43,00 のどれか | 13(=9)の倍数 |
一の位が 03,10,20,23,33,40,50,53 のどれか | 3で割り切れるが、13(=9)では割り切れない |
個別の倍数判定も、以下のようになる。素因数分解を左に【】で示す。
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<図>六進小数の進み方(「六分の一」の位)
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 2 2.1 2.2… |____|____|____|____|____|____|____|____|____|____|____|____|____|____|____
<図>六進小数の進み方(「三十六分の一」の位)
0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.1 0.11 0.12 0.13 0.14 0.15 0.2 0.21 0.22 … 0.52 0.53 0.54 0.55 1 1.01… |____|____|____|____|____|____|____|____|____|____|____|____|____|____|_______|____|____|____|____|____|____
六進法では「5 + 1 = 10」「2×3 = 10」になるので、2と3という基本的な数による演算が非常に容易である。小数でも、六進法では 0.1 が六つ集まると 1 になるので、0.1が1/6となり、0.3が1/2となり、0.2が1/3となり、1/3は割り切れる小数になる。0.5は「5/6」となり、「1/2」ではない。小数の位取りも、0.1が「六分の一」に続いて、0.01は「三十六分の一」、0.001は「二百十六分の一」となる。
小数の数値も整数と同様になる。右に既約分数を表記する。
を、それぞれ意味する。
整数と小数の桁の移動も、(12)6 を例に挙げると:
となる。
六進法の整数の除算では、100や1000など桁上がりの冪数も三分割が可能になり、10(六)の冪指数と同じ2の冪数と3の冪数で割り切れることになる。例えば、1000ならば23と33の両方で割り切れ、かつ2と3の冪指数が同じになる。
十進法の整数の除算では、「四分割(2-2)は百(100)まで待たねばならない」上に、100は三分割も九分割(3-2)もできない。しかし、六進法の整数の除算では、「四分割は三十六(100)まで待たねばならない」が、「九分割も三十六(100)まで待てばいい」。「100個の饅頭」が、六進法では以下のように分けることができる。
六進法の「1000人」は十進法で「216人」、同じく「200人」は十進法で「72人」になる。従って、「1000人の1/3で200人」「1000人の1/23で43人」「1000人の1/33で12人」といった計算が可能になる。従って、単位分数以外でも2の冪数や3の冪数を分母にして「1000人の『(5×2)/33』で212人」「1000人の『5/23』で343人」といった計算も可能になる。
もし通貨を六進法にすると、「10000円」は十進法の「1296円」になり、「2000円」は十進法の「432円」になり、「10000円 ÷3 = 2000円」「10000円を3人で分けて、1人2000円」といった三分割が可能になる。
通貨の列も、「100円硬貨」は十進法「36円硬貨」、「1000円硬貨」は十進法「216円硬貨」、「10000円札」は十進法「1296円札」、「100000円札」は十進法「7776円札」となり、どれも三分割・四分割・六分割・九分割が可能になる。
十進法は1/3が割り切れない、十六進法など「2の冪数」進法は1/3も1/5も割り切れないのに対して、六進法では十の冪数も2の冪数も三分割することができる。
十進法では 1/3 メートルが割り切れずに「100 ÷ 3 = 33.3333… センチメートル」「1/3 メートル = 333.3333… ミリメートル」になってしまうが、六進法では「100(10)」センチメートルは「244」センチメートルと表記され、1/3 メートルは「244 ÷ 3 = 53.2 センチメートル」となる。
十進法で「100分率」を作ると「百分率」だが、六進法で「100分率」を作ると「三十六分率」になる。「三十六分率」になると、十進法の1/3の数量で、「m/4」と「m/9」を同じ桁数で実行することができる。
その他、「2の冪数」や「十の冪数」の九分割の例は以下の通りになる。
十進数では m/33 (= m/27(10)) は割り切れず、37(10) (= 101(6)) の倍数三桁が循環するが、六進数では m/33 (= m/43(6))は割り切れて23=12(6)=8(10)の倍数になる。m/23 の小数も、十進数では 53 (= 125(10) = 325(6))の倍数だが、六進数では 33 (= 43(6) = 27(10))の倍数になる。
従って、六進数では、23 (=12(6)=8(10))で割ると被除数の33 (=43(6)=27(10))倍の数が現れ、33 (=43(6)=27(10))で割ると被除数の23 (=12(6)=8(10))倍の数が現れる。
23/33 の小数は、十進法では割り切れずに 37×8 = 296 が循環するのに対して、六進法では割り切れて 12×12 = 144 が現れ、これを十進法で換算すると 8×8 = 64 になる。「十分の三」が割り切れない一方で、その概数である「二十七分の八」は「四六三分の六二」として計数され、割り切れる小数になる。
このように、六進法は六分割で一桁下がるので、三分割、九分割、二十七分割など、3の冪数で分ける方法がかなり便利になる。
3/8の小数は、小数点を消すと十進法が 375(10) = 3×53 に対して、六進法は 213(6) = 3×33 = 81(10) が現れる。これらを分数化すると、十進法が (375/1000)10 に対して、六進法は (81/216)10 = (213/1000)6 になる。
割分厘も、十進法は「千分率」だが、六進法は「二百十六分率」になる。3/8も、十進法の「打率0.375」「3割7分5厘」に対して、六進法だと「打率0.213」「2割1分3厘」という数え方になる。
その他、2-3、3-3、列びに5-2を伴う除算の例は、以下のようになる。
六進法は2と3の冪指数が同じなので、十六分割(2-4)と同じく八十一分割(3-4)も容易である。その他、2と3の冪指数が4以上の計算例は、以下のようになる。
除数が十五(15(10)=23(6))の倍数になる除算を割り切る条件は、被除数の因数に5が含まれていることが第一となる。
分数を六進法の小数に変換すると、「二分の一」と「三分の一」が小数第一位、「四分の一」と「九分の一」が小数第二位、「八分の一」と「二十七分の一」が小数第三位となる。つまり、2-nと3-nがそのまま「小数第n位」になる。しかし、五分の一だけが割り切れず、循環節が一桁になる。
分母が23
六進分数 | 1/43 | 2/43 | 4/43 | 5/43 | 11/43 | 12/43 | 14/43 | 15/43 |
六進小数 | 0.012 | 0.024 | 0.052 | 0.104 | 0.132 | 0.144 | 0.212 | 0.224 |
十進換算値 | 8/216 | 16/216 | 32/216 | 40/216 | 56/216 | 64/216 | 80/216 | 88/216 |
十進分数 | 1/27 | 2/27 | 4/27 | 5/27 | 7/27 | 8/27 | 10/27 | 11/27 |
六進分数 | 21/43 | 22/43 | 24/43 | 25/43 | 31/43 | 32/43 | 34/43 | 35/43 | 41/43 | 42/43 |
六進小数 | 0.252 | 0.304 | 0.332 | 0.344 | 0.412 | 0.424 | 0.452 | 0.504 | 0.532 | 0.544 |
十進換算値 | 104/216 | 112/216 | 128/216 | 136/216 | 152/216 | 160/216 | 176/216 | 184/216 | 200/216 | 208/216 |
十進分数 | 13/27 | 14/27 | 16/27 | 17/27 | 19/27 | 20/27 | 22/27 | 23/27 | 25/27 | 26/27 |
従って、1/2にするには0.3を掛ける、1/3にするには0.2を掛ける、2/3にするには0.4を掛ける、3/4にするには0.43を掛ける、(4/9)10にするには0.24を掛ける、(5/8)10にするには0.343を掛ける、(8/27)10にするには0.144を掛ける、という方法でも算出できる。
割り切れない小数の循環節は下線で示す。六は三では割り切れるが五では割り切れないので、五で割った際に循環小数になる例が多数現れる。六進法の除算の特筆すべき点として、一桁の整数のうち、単位分数にすると割り切れない数は五だけである。六は二と三で割り切れる最小の数なので、三の累乗数である九(六進法では13)や二十七(六進法では43)でも循環小数にならずに割り切れ、小数化すると割り切れない分数はかなり少なくなる。
又、十進法と六進法に共通する特徴として、割り切れない小数に37(10)=101(6)の倍数が現れる。これは、十の三乗と六の四乗が、37(10)=101(6)の倍数の次に来るためである。実際に、十進法999 (= 1000-1) は六進法4343(十進換算で33×37=999)、六進法5555 (= 10000-1) は十進法1295(六進換算で5×11×101=5555、十進換算で5×7×37=1295)である。63までの逆数を見ても、全体的に六進法と十進法は循環節が短い傾向が見られ、十進法で3-3の循環節が3桁に対して、六進法の5-2も循環節が5桁である。
除数 | 2 | 3 | 4 | 5 | 10 (六) | 11 (七) | 12 (八) | 13 (九) | 14 (十) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
被除数が1 | 0.3 | 0.2 | 0.13 | 0.1111… | 0.1 | 0.0505… | 0.043 | 0.04 | 0.0333… |
被除数が4 | 2 | 1.2 | 1 | 0.4444… | 0.4 | 0.3232… | 0.3 | 0.24 | 0.2222… |
被除数が10 (十進法の6) | 3 | 2 | 1.3 | 1.1111… | 1 | 0.5050… | 0.43 | 0.4 | 0.3333… |
被除数が14 (十進法の10) | 5 | 3.2 | 2.3 | 2 | 1.4 | 1.2323… | 1.13 | 1.04 | 1 |
被除数が35 (十進法の23) | 15.3 | 11.4 | 5.43 | 4.3333… | 3.5 | 3.1414… | 2.513 | 2.32 | 2.1444… |
被除数が50 (十進法の30) | 23 | 14 | 11.3 | 10 | 5 | 4.1414… | 3.43 | 3.2 | 3 |
被除数が100 (十進法の36) | 30 | 20 | 13 | 11.1111… | 10 | 5.0505… | 4.3 | 4 | 3.3333… |
被除数が140 (十進法の60) | 50 | 32 | 23 | 20 | 14 | 12.3232… | 11.3 | 10.4 | 10 |
被除数が244 (十進法の100) | 122 | 53.2 | 41 | 32 | 24.4 | 22.1414… | 20.3 | 15.04 | 14 |
被除数が325 (十進法の125) | 142.3 | 105.4 | 51.13 | 41 | 32.5 | 25.5050… | 23.343 | 21.52 | 20.3 |
被除数が1000 (十進法の216) | 300 | 200 | 130 | 111.1111… | 100 | 50.5050… | 43 | 40 | 33.3333… |
被除数が1104 (十進法の256) | 332 | 221.2 | 144 | 123.1111… | 110.4 | 100.3232… | 52 | 44.24 | 41.3333… |
被除数が4344 (十進法の1000) | 2152 | 1313.2 | 1054 | 532 | 434.4 | 354.5050… | 325 | 303.04 | 244 |
素因数分解 | 六進分数 | 六進小数 | 十進小数 | 十進分数 |
---|---|---|---|---|
2×3 | 1/10 | 0.1 | 0.1666… | 1/6 |
11 | 1/11 | 0.0505… | 0.142857… | 1/7 |
23 | 1/12 | 0.043 | 0.125 | 1/8 |
32 | 1/13 | 0.04 | 0.1111… | 1/9 |
2×5 | 1/14 | 0.0333… | 0.1 | 1/10 |
15 | 1/15 | 0.0313452421… | 0.0909… | 1/11 |
22×3 | 1/20 | 0.03 | 0.08333… | 1/12 |
3×5 | 1/23 | 0.0222… | 0.0666… | 1/15 |
24 | 1/24 | 0.0213 | 0.0625 | 1/16 |
2×32 | 1/30 | 0.02 | 0.0555… | 1/18 |
22×5 | 1/32 | 0.01444… | 0.05 | 1/20 |
23×3 | 1/40 | 0.013 | 0.041666… | 1/24 |
52 | 1/41 | 0.01235… | 0.04 | 1/25 |
33 | 1/43 | 0.012 | 0.037… | 1/27 |
25 | 1/52 | 0.01043 | 0.03125 | 1/32 |
22×32 | 1/100 | 0.01 | 0.02777… | 1/36 |
23×5 | 1/104 | 0.005222… | 0.025 | 1/40 |
24×3 | 1/120 | 0.0043 | 0.0208333… | 1/48 |
2×52 | 1/122 | 0.004153… | 0.02 | 1/50 |
2×33 | 1/130 | 0.004 | 0.0185… | 1/54 |
210 | 1/144 | 0.003213 | 0.015625 | 1/64 |
23×32 | 1/200 | 0.003 | 0.013888… | 1/72 |
24×5 | 1/212 | 0.0024111… | 0.0125 | 1/80 |
34 | 1/213 | 0.0024 | 0.012345679… | 1/81 |
25×3 | 1/240 | 0.00213 | 0.01041666… | 1/96 |
22×52 | 1/244 | 0.0020543… | 0.01 | 1/100 |
22×33 | 1/300 | 0.002 | 0.00925… | 1/108 |
53 | 1/325 | 0.001421125322404 3351545031… | 0.008 | 1/125 |
211 | 1/332 | 0.0014043 | 0.0078125 | 1/128 |
24×32 | 1/400 | 0.0013 | 0.0069444… | 1/144 |
25×5 | 1/424 | 0.00120333… | 0.00625 | 1/160 |
2×34 | 1/430 | 0.0012 | 0.0061728395… | 1/162 |
210×3 | 1/520 | 0.001043 | 0.005208333… | 1/192 |
23×52 | 1/532 | 0.00102514… | 0.005 | 1/200 |
23×33 | 1/1000 | 0.001 | 0.004629… | 1/216 |
※ 素因数分解は六進表記。
指数 | -11 | -12 | -13 | -14 | -15 | -20 |
---|---|---|---|---|---|---|
2 | 0.0014043 (1/332 = 1/12810) | 0.00050213 (1/1104 = 1/25610) | 0.000231043 (1/2212 = 1/51210) | 0.0001133213 (1/4424 = 1/102410 | 0.00003444043 (1/13252 = 1/204810) | 0.000015220213 (1/30544 = 1/409610) |
3 | 0.0000332 (1/14043 = 1/218710) | 0.00001104 (1/50213 = 1/656110) | 0.000002212 (1/231043 = 1/1968310) | 0.0000004424 (1/1133213 = 1/5904910) | 0.00000013252 (1/3444043 = 1/17714710) | 0.000000030544 (1/15220213 = 1/53144110) |
六進命数法とは、6 を底とする命数法である。
六進命数法は、0(零)から「10」となる六までを一つの名詞として命名し、七から十一までを「6+1」「6+2」…「6+5」という形式で命名し、六の倍数は「2×6」「3×6」「4×6」「5×6」という形式で命名する。その次は、100となる三十六や、1000となる二百十六など六の冪数(6p)で新しい数詞が付けられる。「m×6p」となる数も、200となる七十二は「六の二乗の二倍」「二倍の三十六」、300となる百八は「六の二乗の三倍」、4000となる八百六十四は「六の三乗の四倍」「四倍の二百十六」、5000となる千八十は「六の三乗の五倍」として命名される。
六進数 | 六進命数法 | 十進命数法 | 六進数 | 六進命数法 | 十進命数法 | 六進数 | 六進命数法 | 十進命数法 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 一 | 一 | 21 | 二六一 | 十三 | 41 | 四六一 | 二十五 |
2 | 二 | 二 | 22 | 二六二 | 十四 | 42 | 四六二 | 二十六 |
3 | 三 | 三 | 23 | 二六三 | 十五 | 43 | 四六三 | 二十七 |
4 | 四 | 四 | 24 | 二六四 | 十六 | 44 | 四六四 | 二十八 |
5 | 五 | 五 | 25 | 二六五 | 十七 | 45 | 四六五 | 二十九 |
10 | 六 | 六 | 30 | 三六 | 十八 | 50 | 五六 | 三十 |
11 | 六一 | 七 | 31 | 三六一 | 十九 | 51 | 五六一 | 三十一 |
12 | 六二 | 八 | 32 | 三六二 | 二十 | 52 | 五六二 | 三十二 |
13 | 六三 | 九 | 33 | 三六三 | 二十一 | 53 | 五六三 | 三十三 |
14 | 六四 | 十 | 34 | 三六四 | 二十二 | 54 | 五六四 | 三十四 |
15 | 六五 | 十一 | 35 | 三六五 | 二十三 | 55 | 五六五 | 三十五 |
20 | 二六 | 十二 | 40 | 四六 | 二十四 | 100 | (六の二乗) | 三十六 |
自然言語で六進命数法の数詞を持つものは少ない。ニューギニア島近くのフレデリク・ヘンドリク島のンドム語[1] (Ndom) が六進法の数詞を持つと報告されている[2]。ンドム語では、 mer が 6、 mer an thef が 12(10) (二六:6 × 2) 、tondor が 18(10)、nif が 36(10) (62)、nif thef が 72(10) (62 × 2) を意味しており、六の倍数では18(10)(三六:3 × 6)だけが独立系の数詞になっている[3]。
六進数 | 十進数 | ンドム語 |
---|---|---|
1 | 1 | sas |
2 | 2 | thef |
3 | 3 | ithin |
4 | 4 | thonith |
5 | 5 | meregh |
10 | 6 | mer |
11 | 7 | mer abo sas |
12 | 8 | mer abo thef |
13 | 9 | mer abo ithin |
14 | 10 | mer abo thonith |
15 | 11 | mer abo meregh |
20 | 12 | mer an thef |
21 | 13 | mer an thef abo sas |
30 | 18 | tondor |
33 | 21 | tondor abo ithin |
43 | 27 | tondor abo mer abo ithin |
52 | 32 | tondor abo mer an thef abo thef |
100 | 36 | nif |
120 | 48 | nif abo mer an thef |
200 | 72 | nif thef |
213 | 81 | nif thef abo mer abo ithin |
この他には、南ニューギニアのングコルンプ語(Ngkolmpu)[4]、パプアニューギニアのヤム語(en:Yam languages)やコムンゾ語が(en:Kómnzo language)が六進法を使用しており、六の倍数や六の冪数にも個別の数詞が付けられている。これらの言語で六が底になった由来として、「もう片手は桁上がりで六の位」とする指数えが挙げられている[5]。
六進数 | 十進数 | ングコルンプ語 |
---|---|---|
1 | 1 | naempr |
2 | 2 | yempoka |
3 | 3 | yuow |
4 | 4 | eser |
5 | 5 | tampui |
10 | 6 | traowo |
11 | 7 | naempr traowo naempr |
12 | 8 | naempr traowo yempoka |
13 | 9 | naempr traowo yuow |
14 | 10 | naempr traowo eser |
15 | 11 | naempr traowo tampui |
20 | 12 | yempoka traowo |
21 | 13 | yempoka traowo naempr |
30 | 18 | yuow traowo |
43 | 27 | eser traowo yuow |
100 | 36 | ptae |
六進数 | 十進数 | ングコルンプ語 | コムンゾ語 |
---|---|---|---|
100 | 36 | ptae | féta |
1000 | 216 | tarumpao | tarumba |
10000 | 1296 | ntamnao | ntamno |
100000 | 7776 | ulamaeke | wärämäkä |
1000000 | 46656 | - | wi |
六が底になった由来は二つある。一つは、前述の「もう片手は六の位」とする指数えである。もう一つは、空間の基本的な方角が六つである事(2 面 × 3 次元 = 6。上下・左右・前後)も挙げられる。
日本語には、「十→百」という十進法が主流とされる中で、「六→三十六」という六進法に基づく語彙や名数が存在している。例として、全ての方角を指して「六合」「六方」(= 61) と呼んだり、全ての景色を指して「三十六景」「三十六峰」、全ての方策を指して「三十六策」(= 62) というように、空間や方角に関する語彙に六進法が用いられている。歌仙も「六歌仙」(= 61) や「三十六歌仙」(= 62) というように、六の累乗で数えられている。これらの数え方は、十進法が「十指の二乗で百」に対して、六進法は「六面の二乗で三十六」という発想に基づいている。
また、「二十四時間」ではなく「四六時中」(40(6)=24(10)) といった六進命数法の語彙も用いられている。明治時代の新聞に「二六新報」が存在したが、「二六」とは「六の二倍」、すなわち、十進命数法の「十二」である。
拳を0とすれば、0から5までの六種類の数字を片手で表現できる。六進法の指数えでは、片手(主に右手)を一の位、もう片手(主に左手)を六の位として、「五六五」すなわち、三十五(55(6)=35(10))まで数える。この方法では、右手で0から5まで数えて、「左手が1」すなわち六になったら桁上がりで右手を拳に戻す。
例えば、左手が「1」と右手が「5」なら「六五」すなわち十一(15(6)=11(10))、左手が「3」で右手が「2」なら「三六二」すなわち二十(32(6)=20(10))、左手が「4」で右手が「3」なら「四六三」すなわち二十七(43(6)=27(10))を表す。
二桁で数えるので、(1)「一の位」と「六の位」、(2)「一の位」と「六分の一の位」、(3)「六分の一の位」と「三十六分の一の位」、の三種類が計算可能になり、1.1以降の小数や仮分数も表現できる。小数は0.01(十進分数1/36)から5.5(5と5/6)までをカウントできる。
前述の左手が「3」で右手が「2」なら、32(6)で「20(10)」の他に、3.2(6)で「3と1/3」、それに0.32(6)で「5/9」(=十進分数20/36)を表現できる。
「75(10)パーセント」すなわち3/4も、3/4=(27/36)10=(43/100)6から、左手が「4」と右手が「3」で0.43(6) として表現できる。
両手で十進法の指数えは、「六五」すなわち十一以降の整数を表現できず、1.1以降の小数も仮分数も表現できず、十分率しか示せないので 二分割と五分割しかできず、三分割も四分割も九分割もできない。しかし、両手で六進法の指数えは、「五六五」すなわち三十五までをカウントできる上に、1.1以降の小数も仮分数も表現できて、二分割も三分割も可能になり、両手に拡大すれば四分割と九分割も可能になる。
乗算や除算では、2のp乗、3のp乗、6×mというように段階に分ける。