クラシエフーズ株式会社(英文名称:Kracie Foods, Ltd.)はかつて存在した食品会社。クラシエホールディングスの食品部門を担う子会社で、主に菓子類やアイスクリームなどを販売していた。
2023年10月以降は、クラシエ株式会社 フーズカンパニーが食品部門を担っている。
前身企業にハリスの旋風のスポンサーであるハリス(本社:大阪市)、榎本健一のCMソングで有名な粉末ジュース「渡辺のジュースの素」で知られる渡辺製菓(本社:名古屋市)が入っている。
以前はカップ麺事業[注釈 1]も手掛けており、1970年代にカップ麺としては初めてノンフライ製法を業界で導入した。その後、2004年にカネボウの事業リストラに伴い、冷凍食品メーカーである加ト吉(現・テーブルマーク)へカップ麺事業を譲渡し、撤退した。また子会社の飲料メーカーエルビーはアサヒビール(現・アサヒグループホールディングス)[注釈 2]へ株式を譲渡した。
社名は、「カネボウ食品」(1972年 - 1982年)、「ベルフーズ・カネボウ食品本部」(1982年 - 1993年)[注釈 3]、「カネボウフーズ」(1993年 - 2007年5月)と変化し、親会社がクラシエと社名及びブランドを改めるのに先駆け2007年6月1日付けで現在の社名となった。
なお、当社は社名変更後、「Kracie」のコーポレートロゴをパッケージに入れていなかったが、2010年9月以降に発売及びリニューアルした製品から順次、パッケージにコーポレートロゴを挿入している[注釈 4]。
2023年10月1日にグループ再編が実施され、クラシエホームプロダクツやクラシエ製薬と共に親会社であったクラシエホールディングスへ吸収合併され解散。事業会社となったクラシエホールディングスはクラシエへ社名変更され、同社の事業カンパニーの一つであるフーズカンパニーへ引き継がれた。
- 1964年 - 鐘淵紡績がハリスを買収し、カネボウハリスとして設立。
- 1965年 - 立花製菓との合併により、冷菓事業進出。
- 1971年 - 和泉製菓との合併により、菓子・冷菓事業強化。カネボウハリス食品に社名変更。
- 1972年 - 渡辺製菓との合併により、粉末飲料事業進出。カネボウ食品販売に社名変更。
- 1973年 - カネボウ食品に社名変更。『ベルミー缶コーヒー』、『カネボウカップしるこ』発売。
- 1976年 - 日本初のノンフライ麺『ノンフライタンメン』発売。
- 1977年 - 鐘紡より生産・研究部門を譲受してカネボウ食品株式会社となる。
- 1978年 - 『プレイガム』発売。
- 1982年 - 食品部門を分社化し、ベルフーズを設立。
- 1983年 - 『かき氷バー』発売。
- 1986年 - カネボウ食品が鐘紡株式会社に合併され、同社のカネボウ食品本部となる。
- 1988年 - 『季節のフルーツ』発売。
- 1992年 - ベルギーフリスク社と提携し、ミントタブレットの輸入販売を開始。
- 1993年 - 鐘紡より再度分社の上、ベルフーズと合併してカネボウフーズ株式会社を設立。
- 1998年 - 『甘栗むいちゃいました』発売。
- 2004年 - カネボウフーズ販売株式会社を設立(7つの販売会社を統合)。
- 2005年 - 『ふわりんか』発売。
- 2006年 - 『オトコ香る』発売。
- 2007年7月1日 - クラシエフーズ株式会社、クラシエフーズ販売に社名変更。
- 2010年 - 『果実りっち』発売。
- 2015年 - モンデリーズ・ジャパン株式会社から『メントス』の国内販売権を取得し、販売を開始[1]。
- 2016年 - 森永製菓株式会社から『チュッパチャプス』の国内販売権を取得し、販売を開始[2]。
- 2020年 - 『クラシエの経口補水液』、『ゆるここち』発売。
- 2021年 - 『ねるねるねるね』をはじめとする『知育菓子』をリブランド[3]。
- 2022年 - 3月末までにガム製品の販売を終了し、同事業から撤退[4]。『OYATOCO -おやとこ-』、『しずく』発売。
- 2023年
- 『ジェラーナ』発売。
- 経営機構改革に伴い、同年10月1日付でクラシエフーズが親会社のクラシエホールディングスへ合併し解散[5]。59年の歴史に幕を閉じるとともに、クラシエホールディングスから社名変更したクラシエ株式会社のフーズカンパニーとなる。また、クラシエフーズ販売はクラシエの子会社として存続される。
菓子
知育菓子
「知育菓子」の名称はクラシエフーズが商標登録している。2021年1月にリブランドされ、以下の製品に整理されている。
- ねるねるねるね
- 1986年発売。
- ポッピンクッキン
- 2023年2月時点では、たのしいおまつりやさん(2017年3月発売)、くるくるたこやき(2014年3月発売、2023年2月にリニューアル)、たのしいおすしやさん(2008年発売、2019年3月にリニューアル)、ハンバーガー(2012年2月に「ハッピーキッチン」のシリーズ品として発売、2017年9月に「ポッピンクッキン」へ移行してリニューアル)、つくろう!おべんとう!(2010年9月発売、一旦終売を経て2022年9月にリニューアルの上再発売)、ホイップケーキやさん(2020年9月発売)、チョコフォンデュパーティー(2022年9月発売)、たいやき&おだんご(2015年9月に「ねるねのハッピーキッチン」のシリーズ品として発売。2017年9月に「ポッピンクッキン」へ移行してリニューアル)の8種類が発売されている。
- グミつれた
- 2011年11月発売。一度は製造を終了していたが、2021年2月にグレープ味のみ、リブランド後の「知育菓子」の製品として復活発売された。
- なるなるグミの実
- 2012年4月発売。2019年3月に「ふしぎはっけん」のシリーズに移行されていたが、2022年3月にリブランド後の「知育菓子」の製品として再び単独製品へ移行しリニューアルされた。
- つかめる実験!ふしぎ玉
- 2018年3月に「ふしぎはっけん」のシリーズ品として「つかめる!ふしぎ玉」として発売。2022年7月に3通りの組み合わせに拡充し、単独製品化してリニューアルされた。
- ミルクラボ
- 2022年3月発売。
- 香りラボ
- 2022年3月発売。
- ねりキャンワールド
- 2021年9月発売
- モンスターデコケーキ
- 2022年3月発売
- たべる図鑑
- 2021年7月発売。当初はチョコレートの「恐竜編」から発売し、2022年4月にミニ図鑑を付帯してリニューアル。同年8月にグミの「海の生き物編」を発売。
- ドキドキスライム
- 2021年7月発売。
キャンディ
- OYATOCO
- 2022年3月発売。ソフトキャンディの「ぱくぱくえほん」と「あしあとみっけ!」に、2014年2月に独立ブランドで発売され、幾度か改良を重ねてきたパズルピース型チョコレート菓子「パズルチョコ」を本ブランドへ組み込んだ。
- ぷちっと
- 2011年9月発売。ちぎって食べるタイプのソフトキャンディ。2023年2月にリニューアルされ、ぶどう(完熟ぶどう味&さわやか白ぶどう味)とソーダ(濃厚ソーダ味&エナジーソーダ味)の2種類に再編された。また、店舗限定製品として、大創産業が2022年に発足した「ダイソーれたことをやる課」にてU-15アンバサダーと共に開発した「HAPPYぷちっと」を「DAISO」限定で同年1月に発売した[6]。
- ふわりんか
- ローズに含まれる香り成分ゲラニオールを配合しているソフトキャンディ。かつてはガムタイプやアイスタイプも発売されていた。2021年3月に「ビューティ フルーティーローズ味」が発売され、2011年3月に「キャンディ」として発売された「ビューティーローズ味」はチャネル限定発売となった。2023年2月に「ビューティー フルーティーローズ味」のゲラニオールの含有量をアップして「フルーティーローズ味」にリニューアルされ、チャネル限定品として「グレープローズ味」が新たに発売された。
- 「ぷちっと」同様、店舗限定製品が存在し、マツキヨココカラ&カンパニー(マツモトキヨシグループ・ココカラファイングループ)向けとなる大容量サイズの「ふわりんかPremium」が発売されており、専売品であることを示す「マジココ」マークも挿入されている。
素材菓子
- 甘栗むいちゃいました
- 1998年11月にキヨスクでテスト販売し、2000年2月に量販店やコンビニエンスストア等で全国販売を開始[7]。
- あぁ牛タン
- 大豆を主原料につくられた牛タン風の半生ジャーキー。2022年9月に関東・甲信越地区で先行発売され、2023年3月に全国に拡大された。
輸入菓子
- チュッパチャプス
- スペイン発祥のロリポップキャンディ(棒付きキャンディ)。元々は森永製菓株式会社から発売されていたが、日本での販売権の移管に伴い、2016年3月から当社での販売を開始した。詳細記事を参照。
- FRISK
- ミント菓子。詳細記事を参照。
- メントス
- ソフトキャンディ。元々はワーナー・ランバート株式会社から発売され、事業譲渡や幾度かの社名変更を経て2013年7月からはモンデリーズ・ジャパン株式会社から発売されていたが、日本での販売権の移管に伴い、2015年10月から当社での販売を開始した。詳細記事を参照。
アイス
- ヨーロピアンシュガーコーン
- マルチパックの「バニラ」、「ショコラ(2021年8月に東北・関東・甲信越エリアで発売し、のちに全国発売へ移行)」、「コーヒーヌガー(2023年1月発売、チロルチョコとのコラボレーションフレーバー)」、「ストロベリー(2023年2月発売)」の4種類。特殊アイテムとして「バニラ×3+抹茶×2」もある。
- Soy(ソイ)
- 2008年6月発売。豆乳をはじめとする植物性素材を使用したカップタイプ(乳製品・卵不使用)。発売当初から「豆乳アイスSoy<ソイ>」として発売されていたが、2017年9月のリニューアル時にラインナップを「バニラ」・「チョコ」・「イチゴ」の3種類に絞り、内容量を減容(100mlに変更)。2021年9月に再リニューアルされ、内容量が105mlに増量した。2022年3月には洋酒漬けのドライフルーツを混ぜ込んだ「大人のSoy」が発売された。
- しずく
- 2010年6月に夏期限定品として発売されたカップ入りシャーベットが2022年6月に新たにブランド化された。「柚子」と「梨」の2種類。
- ヨーロピアンワッフルサンド
- 2022年2月(コンビニエンスストアのみ、スーパーでは同年3月)発売。「ヨーロピアンシュガーコーン」の派生品で、チョコで包まれたバニラアイスをワッフルでサンドしたパーソナルタイプ。
- ジェラーナ
- 2018年3月に「ジェラート屋さんの人気メニュー ピスタチオアイスバー」として発売。2019年3月のリニューアルではピスタチオペーストを増量、2021年3月のリニューアルではセンターのチョコソースをホワイトチョコ風味に変更、細かく砕いたピスタチオナッツを加えて「ジェラート屋さんのピスタチオアイスバー」に改名。2022年3月のリニューアルではチョコソースのセンターインからホワイトチョコのコーティングに変え、製品名を「香るピスタチオアイスバー」に再度変更。2023年3月にチョココーティングを省いて「ジェラーナ ピスタチオ」に三度改名するとともに、パーソナルタイプに加えて、箱包装・5本入りのマルチを追加。ショコラ仕立ての「ヘーゼルナッツ」を追加発売したことで「ジェラーナ」としてブランド化された。
食品
2023年2月時点では粉末飲料のみとなる。
- スカイウォーター
- 2012年3月発売。粉末タイプのスポーツドリンク。2022年3月にリニューアルされた。
- スカイウォーター グレープフルーツ味【機能性表示食品】 - 2013年3月のリニューアル時にカロリーを低減(71kcal/1L→70kcal/1L)し、「スカイウォーター」から改名。2022年3月のリニューアルではクエン酸を機能性関与成分として含有する機能性表示食品へ移行した。なお、高血圧のカルシウム拮抗剤などを服用している者への配慮として、無果汁であることに加え、グレープフルーツのオイルも不使用としている。
- スカイウォーター グレープ味 - 2013年3月のリニューアル時に「スカイウォーター 子ども用」から改名。
- スカイウォーター ライチ味 - 2016年3月発売。
- クラシエの経口補水液
- 2020年6月発売。
- ゆるここち
- 2020年8月発売。熱湯・冷水兼用の「はちみつれもん」と「はちみつゆず」、熱湯専用の「じんわかしょうが湯」の3種類。2022年9月に「はちみつれもん」が果汁量をアップしてリニューアルするとともに、「はちみつゆず」と「じんわかしょうが湯」もパッケージリニューアルされった。
季節限定商品
- かき氷バー
- かき氷をミルクシェルで包んだバーアイス。春夏期に発売される季節限定品ながら、旧社名時代から30年以上発売されているロングセラーである。
- マルチパック - イチゴ味のみ。
- でっかいかき氷バー - マルチパック2本分(130ml)。イチゴ味。
- クラシエ
- 森永甲府フーズ(旧・甲府ベルフーズ) - 旧・カネボウフーズの一部門がクラシエフーズへ移行の際に分社化。甲府ベルフーズへ移行後、森永製菓の子会社となったものの、2020年4月に森永製菓へ吸収合併。
注釈
発売当時ザ・ドリフターズのCMで注目を集めた「ノンフライ タンメン」、その他「広東麺」シリーズ及び「ホームラン軒」シリーズ等を発売。また1980年代中期には激辛フレーバー系カップ麺の源流とされる「カラメンテ」シリーズを発売したこともある。
エルビーは元々名古屋と東京にそれぞれ同名の社名が存在していたが、2011年1月に経営統合して一つの企業体となり、2017年11月にポラリス・キャピタル・グループが運営する投資ファンドが設立したALPホールディングスへ再度譲渡されている
ただし1982年の時点ではカネボウ食品は存続し、1986年から1993年までは鐘紡に統合されて「カネボウ食品本部」となっていた。
海外製品はコーポレートロゴを入れない代わりに、裏面に記載の輸入名の「クラシエ」のみ、社名変更当初からクラシエグループの和文フォントとなっている。後に発売された製品は全て当社の和文フォントとなっており、粉末飲料「スカイウォーター」の5コ箱の側面にも和文フォントの「クラシエ フーズ」の表記がある
出典
「カネボウ食品、“なめネコアイス”苦戦──テレビCMを強化、5月商戦に全力」『日経産業新聞』1982年5月17日付、15頁。
「E・Tではイージー──カネボウ食品新社長亀川仁氏(談話室)」『日経産業新聞』1983年1月11日付、11頁。