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88星座の1つ ウィキペディアから
Triangulum | |
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属格形 | Trianguli |
略符 | Tri |
発音 |
英語発音: [traɪˈæŋɡj |
象徴 | 三角形[1][2] |
概略位置:赤経 | 01h 31m 27.9408s - 02h 50m 39.9523s[3] |
概略位置:赤緯 | +37.3470840° - +25.6050701°[3] |
20時正中 | 12月中旬[4] |
広さ | 131.847平方度[5] (78位) |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 15 |
3.0等より明るい恒星数 | 1 |
最輝星 | β Tri(3.00等) |
メシエ天体数 | 1 |
確定流星群 | なし[6] |
隣接する星座 |
アンドロメダ座 うお座 おひつじ座 ペルセウス座 |
この星座以外に三角と名前がつく星座にはみなみのさんかく座がある。また、恒星によって形作られる天球上の三角形のアステリズムとして、冬の大三角・春の大三角・夏の大三角があるが、これらは星座ではない。
3等星のα・βと4等星のγが、二等辺三角形に近い形をした細長い三角形を形作っている。α から約5°西に見える渦巻銀河M33は、星座の名前を取って「さんかく座銀河」と呼ばれている。
2023年10月現在、国際天文学連合 (IAU) によって2個の恒星に固有名が認証されている[8]。
このほか、以下の恒星が知られている。
18世紀フランスの天文学者シャルル・メシエが編纂した『メシエカタログ』に挙げられた銀河が1つ位置している[23]。
IAUの流星データセンター (IAU Meteor Data Center) で確定された流星群 (Established meteor showers) とされた流星群のうち、さんかく座の名前を冠するものは1つもない[6]。19世紀半ばに分裂・消滅した周期彗星ビエラ彗星 (3D/Biela) を母天体とし、毎年11月13日頃に極大を迎えるアンドロメダ座流星群は、アンドロメダ座に隣接するさんかく座とうお座に至るまで放射点が拡散しているとされる[38]。
α・β・γが形作る三角形がギリシャ文字のデルタの大文字 (Δ) の形に似ていることから、古代ギリシア・ローマ時代には「デルトトーン (古希: Δελτωτόν[2])、デルトートン (羅: Deltoton[2][39])」と呼ばれていた[2]。2世紀頃のクラウディオス・プトレマイオスの天文書『ヘー・メガレー・スュンタクスィス・テース・アストロノミアース (古希: ἡ Μεγάλη Σύνταξις τῆς Ἀστρονομίας)』、いわゆる『アルマゲスト』では、三角形を意味する「トリゴノン (古希: Τρίγωνον, 羅: Trigonon) という星座名とされた[2]。
この星座の由来については、古代ギリシア・ローマ期から複数の異説が伝えられている。紀元前3世紀前半の詩人アラートスの詩編『ファイノメナ (古希: Φαινόμενα)』では、星座の形状について美しい二等辺三角形であると述べているものの、その由来については特に触れられていない[2][40]。紀元前3世紀後半の天文学者エラトステネースの天文書『カタステリスモイ (古希: Καταστερισμοί)』では、さんかく座の由来について2つの説を伝えている。1つは「ナイル川の三角州を表したものである」とする説[2][39][41]、もう1つは「Δ はゼウスの頭文字[注 2]であるため、この文字が目立つように明るい星のないおひつじ座の上(北側)にヘルメースが置いた」とする説である[39][41]。1世紀初頭の古代ローマの著作家ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌスの『天文詩 (羅: De Astronomica)』では、これらの2つの説に加えて「シチリア島を表したものである」とする説を伝えている[39][41]。シチリア島は、3つの岬を持つことから「トリナクリア (Trinacria)」と呼ばれており、伝承では農業の女神デーメーテール[注 3]の縁の地であるとされていた[2][39]。さらにヒュギーヌスは「神々が世界を3つに分割したことを示すものである」とする説も伝えている[39][41]。
エラトステネースやヒュギーヌスはこの星座にある星の数を3つとした[41]が、プトレマイオスは現在のδ星を加えて[43]4つの星があるとした[41]。大きく時を下った17世紀初頭の1603年にドイツの法律家ヨハン・バイエルが編纂した星図『ウラノメトリア』では、さらにε星を加えた5つの星があるとされた[44][45]。
1627年に出版されたドイツの法律家ユリウス・シラーの星図『Coelum Stellatum Christianum』では、この三角形はキリスト教で司教がかぶる冠であるミトラに見立てられ、ラテン語で「教皇ペトロのミトラ」を意味する MITRÆ PONTIFICALIS S.PETRI という星座名が充てられた[46]。この星図は、バイエルの『ウラノメトリア』を当時最新の観測記録を元にアップデートするとともに、全ての星座をキリスト教に由来した事物に置き換えようという壮大な目論見の下にシラーとバイエルが製作を進めていたものであったが、完成を前にして両名が相次いで他界したため、ドイツの天文学者ヤコブス・バルチウスが二人の後を引き継いで出版したものであった[47]。このシラーの星図ではおひつじ座が「初代教皇ペトロ (SANCTI PETRI PRINCIPIS APOSTOLORVM)」とされており、さんかく座の3つの星は天使によってペトロに授けられようとする教皇冠を表すものとして描かれた[46][注 4]。
ポーランド生まれの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスは、1687年に製作した星図『Firmamentum Sobiescianum』の中で、さんかく座の3つの星の南側にある5等星3つを使った新星座「小三角座[48](Triangulum Minus[2])」を設け、さんかく座を「大三角座」を意味する「Triangulum Majus」と改名した[2]。19世紀末頃には小三角座は使われなくなった星座とされ[49]、さんかく座に取り込まれた。小三角座の3つの星は、現在のさんかく座6番星・10番星・12番星となっている[50]。
1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Triangulum、略称は Tri と正式に定められた[51]。
紀元前500年頃に製作された天文に関する粘土板文書『ムル・アピン (MUL.APIN)』では、さんかく座のα・β とアンドロメダ座のγ の3星は、牛馬に引かせて地面を掘り返す農具の「犂」を表す星座「MUL.APIN」とされた[52][53]。この粘土板文書の最初にこの言葉が書かれていたことから、粘土板文書そのものを指す言葉とされるようになった[54]。また、α は単独で狼を表す星座ともされた[52][53]。
ドイツ人宣教師イグナーツ・ケーグラー(戴進賢)らが編纂し、清朝乾隆帝治世の1752年に完成・奏進された星表『欽定儀象考成』では、さんかく座の星は、二十八宿の西方白虎七宿の第二宿「婁宿」に配されていたとされる[55][56]。婁宿では、β・γ・δ の3星が、天上の大将軍を表す星官「天大将軍」に配された[55][56]。
世界で共通して使用されるラテン語の学名は Triangulum、日本語の学術用語としては「さんかく」とそれぞれ正式に定められている[57]。現代の中国でも、三角座[58][59]とされている。
明治初期の1874年(明治7年)に文部省より出版された関藤成緒の天文書『星学捷径』で「トリアングリュム」という読みと「三角[注 5]」という解説が紹介された[60]。また、1879年(明治12年)にノーマン・ロッキャーの著書『Elements of Astronomy』を訳して刊行された『洛氏天文学』でも「三角」と紹介された[61]。30年ほど時代を下った明治後期でも変わらず「三角」と呼ばれていたことが、1908年(明治41年)9月に刊行された日本天文学会の会報『天文月報』の第1巻6号に掲載された「九月の天」と題した記事で確認できる[62]。この訳名は、東京天文台の編集により1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「三角(さんかく)」として引き継がれ[63]、1944年(昭和19年)に天文学用語が見直しされた際も「三角」が継続して使用されることとされた[64]。戦後も引き続き「三角」が使われ[65]、1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[66]とした際に Triangulum の日本語名は「さんかく」とされた[67]。これ以降も継続して「さんかく」が用いられている。
日本各地で伝わる星の呼称で「サンカクボシ」と呼ばれるものの多くは、おおいぬ座の δ・ε・ηの3星が形作る三角形を指すが、山形県小国町
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