“紅世”の住人の総称であり、人間と同様に意思や“存在の力”を持ち、それらを自在に操ったり、強い意思や感情と共感したりする能力を持つ種族。ダブルクオート(“”)で括られた分が『真名』と呼ばれる“紅世”での本名であり、それ以外はこの世で自分で名付けた、あるいは名付けられた通称であり、愛称のようなもの。通名とも呼ぶ。フレイムヘイズと契約した状態で登場した“紅世の徒”についての詳細は、#フレイムヘイズを参照の事。
無所属の“王”
- “狩人(かりうど)”フリアグネ
- 声 - 諏訪部順一[1] / 松風雅也
- 男性の“紅世の王”。炎の色は薄い白。近代以降では五指に入るであろう強大な“王”で、フレイムヘイズ側には「フレイムヘイズを狩る“狩人”」として知られる。御崎市で起こる一連の事件の契機となる。人化の自在法による姿は、純白のスーツを纏った線の細い美青年。本性の姿は鳥だと推測されている。
- 宝具のコレクターとして知られ、自身のコレクションである様々な宝具の特性を活かした戦闘を得意とする。フリアグネ曰く“狩人”の真名は宝具の収集家である事を意味し、『物事の本質を見抜く』固有の能力から、入手した宝具の能力や使用法を即座に看破できるという。 また、“燐子”作りに関して優れた技量を持ち、恋人であるマリアンヌを初めとして自在法や宝具を使うことすら可能な高度な意志総体を持つ自律型の“燐子”を多数率いる。
- 様々な宝具の特性を活かして幾多のフレイムヘイズを葬っており、戦闘に関しては、最古参で歴戦のフレイムヘイズであるカムシンでも苦戦する程の強さとされる。
- マリアンヌ
- 声 - こやまきみこ[1]
- フリアグネに「可愛いマリアンヌ」と呼ばれる“燐子”でありフリアグネの恋人。元は粗末なこの世の人形だったが、トリノで馬車から捨てられた所を偶然見かけたフリアグネが、あまりに可憐なその姿に心に雷霆億激の如き衝撃を受け一目惚れ、その後色々あって高度な“燐子”になって愛し合うようになったらしい。彼女を他者の“存在の力”に頼らず生きてゆける存在へと組み換えこの世に定着させる『転生の自在式』発動のための莫大な“存在の力”を得るため、フリアグネは『都喰らい』を起こそうとしていた。
- フリアグネ一党の“燐子”は作り手たるフリアグネの卓越した技量・強大な力のために全員が他の“徒”の“燐子”に比べて非常にハイスペックであり、自立した高度な意思を持ち宝具を使える。その中でもマリアンヌはそこらの“徒”など全く問題にならない程の大きな“存在の力”が注ぎ込まれていた。
- ニーナ
- 声 - (未登場) / 浅野真澄
- “狩人”フリアグネ配下の“燐子”の一体で、猫の人形型の“燐子”。フリアグネの5918番目の“燐子”。
- ローレッタ
- “狩人”フリアグネ配下の“燐子”の一体で、陶器の馬四頭立てに懸架装置を備え、花の浮き彫りで彩られた二階付き乗合馬車の姿をしていた“燐子”。
- “探耽求究(たんたんきゅうきゅう)”ダンタリオン
- 声 - 飛田展男[9]
- 男性の“紅世の王”。炎の色は馬鹿のように白けた緑。この世と“紅世”に関する研究と実験と発明に生き甲斐を感じ、そのためなら自分の命すらも捨てるマッドサイエンティスト。天才かつ変人で、さらに力そのものは強大な“王”である為、最も始末に負えない。通称「教授」。作中きっての変人であり、作中で「とある変人」と表現される何者かは多くの場合彼を差している。ガサガサの長髪の長い白衣を着たひょろ長い男で、目付きは鋭いが、近眼であり分厚い眼鏡で隠されている。
- 研究第一の性格で悪意はないものの、かなり自分勝手で他人を振り回し、研究実験により周囲が受ける迷惑や被害を一切考慮せず、協力者を破滅に追い込むこともあるなど、いたる所でトラブルを頻発させる稀代のトラブルメーカー。本人は研究のためならばフレイムヘイズにも協力するが、“紅世の徒”であっても彼を恨んでいる者は多い。技術者としては紛れも無い天才で、彼の研究成果が他の自在師によって実用化され普及した事例もある。自在法の研究も度々行っており、自在法に関しての知識は深いが、自在法を使わないためか自在師とは呼ばれていない。まともに相手にするには非常に疲れる性格であるため、彼に関わった者の大半が2度と出会いたくないと考えており、積極的に討滅しようとするフレイムヘイズもほとんどいない。
- 本来自身のみに行われる『顕現』を、『他の物体』として具現化し永続的に実体化させるという特異な能力を持ち、その能力で実験や発明に必要な道具の『素材』を生み出す。それらの『素材』を、独自の理論体系によって創造された『我学』に基づき、この世の道具に組み込んで、様々な実験物を生み出している。
- ドミノ
- 声 - 加藤奈々絵
- ダンタリオンの助手を務める“燐子”。正式名称は『我学の結晶エクセレント28-カンターテ・ドミノ』。フレイムヘイズ側は「お助けドミノ」と呼んでいる。ロボットの姿をしており、首だけになっても活動可能で、胴体は周辺の物体を使って再構築できる。温厚で“徒”には常に敬意を払う性格だが、主人であるダンタリオンの研究を否定する者には怒りを表す。
- “髄の楼閣(ずいのろうかく)”ガヴィダ
- 声 - 不明
- 男性の“紅世の王”。炎の色は乳白色。人間の作り出す「芸術」の魅力に取り憑かれて以降、人間と協力して様々な宝具を作り出した老成の“徒”。姿は六本腕を備えた板金鎧。世話好きで人情に厚く、人間に対し好意的な“徒”としても知られる。
- 戦いに際しては、柄の長い大金槌型宝具『キングブリトン』を武器とする。かつては無数の敵を叩き潰したらしいが、元々戦いは得意でも好きでもなく、16世紀の時点で実戦から長く遠ざかっていた。
- “彩飄(さいひょう)”フィレス
- 声 - 井上麻里奈
- 女性の“紅世の王”。炎の色は琥珀色。。『永遠の恋人』ヨーハンと二人で『約束の二人(エンゲージ・リンク)』と呼ばれる。これは自称であり、定着に百年ほどかかった。外見は黄緑色の長髪の華奢な美女で、各所に布を巻き付けたツナギのような服を着ている。両肩の人または鳥の貌を象ったプロテクターと両手の無骨な手甲はいずれも強力な武器。
- ヴィルヘルミナ曰く、本来はデタラメで明るく楽しい女性らしいが、ヨーハンが傍にいないと途端に機嫌が悪くなる。基本的に自由奔放に生きているが、時にはフレイムヘイズと協力もし、幾人か友人もいる。また恋人ヨーハンには絶対の信頼を置いており、彼の言いつけならば自身の意に沿わない行為にも従う。
- 風を操る技を得意とし、周囲に発生させた風に自身の気配を宿らせ相手を包み込む事で、相手の気配察知や“存在の力”の流れの見極めを妨害する自在法『インベルナ』や、人間同士の接触によって伝達を続け、その際の走査で目標物を探索し、目標物を探し当てると伝達経路上の“トーチ”から僅かずつ集めた“存在の力”で意志総体を複製した傀儡を形成し本体の到着まで状況を調査、調整する独自の自在法『風の転輪』を使う。
- “壊刃(かいじん)”サブラク
- 声 - 黒田崇矢
- 男性の“紅世の王”。炎の色は茜色。依頼を受け対象を抹殺する文字通りの「殺し屋」で、強大なフレイムヘイズをも葬り去ってきた強大極まる“王”。護衛や自在式の打ち込みなど、殺すことが目的ではなく手段である依頼を請け負うこともある。マントを纏い、全身をくまなく厚手の革つなぎとプロテクターで覆い、長髪を立て、顔を長いマフラー状の布で隠した長身の男。
- “徒”には珍しく明確な欲望も望みも持っておらず、この世に渡り来たのも、別の世界の存在を知って「行ってみるか」と気まぐれを起こしたため。普段は思考も言動も全てが長口上。よくブツブツと喋っているが、大半は相手に語りかけているのではなく自分の思考を垂れ流しているだけである。かなりの不平屋であるものの、怒るという場面はそうそう無いらしい。
- 「戦技無双」を謳われるヴィルヘルミナですら四分半間違えば死に直結する程の非常に卓越した剣士。加えて、洪水とも津波とも思える圧倒的な量の炎を自在に操るうえ、その炎に無数の剣を混ぜ操ることで攻撃力を向上させ、更にそれらの剣で傷付いた傷口を時と共に広げていく自在法『スティグマ』を使う。
- “皁彦士(そうげんし)”オオナムチ
- 男性の“紅世の王”。炎の色は弁柄。古代より長きに渡って世界中を荒らし、幾人もの強力なフレイムヘイズを倒してきた強大な“王”。巨大な百足の姿をしている。
- 自らの巨体の有利不利を知り尽くし、小細工は使わず、自らの身体を武器にした直接攻撃と、全身の至るところから放たれる強力な炎を併せて戦う。また、普通の百足と同程度の大きさの百足型の“燐子”を無数使役しており、まともな知性や戦闘力も持たない代わりに微弱すぎて気配の察知が困難なそれらを見張りとして配置・利用し、また森から動けない自身の代わりに“存在の力”を刈り取らせている。
無所属の“徒”
- “屍拾い(しかばねひろい)”ラミー
- 声 - 清川元夢
- “紅世の徒”。炎の色は深緑。風格ある痩身の老紳士の姿をしている。この姿は自身の姿ではなく、寄生したトーチの姿である。性格は非常に思慮深く、シャナとの関係に悩む悠二に様々な助言を与えた。また、冷静沈着な性格でもあり、討滅するために現れたマージョリーに対しても大して動揺せず、シャナにマージョリーを討つ機会を与えるために自ら囮になったりした。
- トーチから“存在の力”を集めたり、追跡を逃れるため多くのダミーを配置したり、わずかな動作で特定の人物だけを眠らせたり、と言った技巧に優れる自在師。
- “螺旋の風琴(らせんのふうきん)”リャナンシー
- 声 - 浅倉杏美
- 実は“屍拾い”ラミーの名と姿は、正体を隠すための仮のもの。その正体は、『封絶』をはじめとする数多くの自在法を編み出した、“紅世”最高の天才自在師“螺旋の風琴(らせんのふうきん)”リャナンシー。少女の姿をした女性の“徒”で、統御できる“存在の力”の量は少ないが、異常に高効率な自在法を、望むままに即座に構成することが可能。その名と能力は“徒”に広く知られており、ある“紅世の王”に捕らえられてその能力を操る鳥籠に入れられ、宝具『小夜啼鳥(ナハティガル)』にされていた時代もある。 彼女が正体を隠しているのは、こうした過去によるものであった。
- “愛染自(あいぜんじ)”ソラト
- 声 - 白石涼子
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は山吹色。妹のティリエルと合わせて『愛染の兄妹』と呼ばれる。人化の自在法による姿は金髪碧眼の美少年。
- その中身は幼児に等しく、欲望のままに行動し、特に興味を持った物に異常な執着を見せる物欲の権化のような性格。純粋ゆえに他者への配慮を知らず冷酷。その他の面では意志薄弱で、妹に依存する言動が特徴。
- “存在の力”を込める事で刃に触れていた者に傷を付ける能力を持つ片手持ちの大剣型宝具『吸血鬼(ブルートザオガー)』の使い手。また、戦闘時は鎧を一瞬にして装着する。高い身体能力とシャナに匹敵する一流の剣の腕を持つ反面、自在法は不得手で、初歩的な自在法である封絶や達意の言もまともに使えない。数少ない力として、欲するものを、見なくとも在処を感じることができる自身の存在の本質『欲望の嗅覚』を持ち、その力はどんなに離れていても、邪魔があっても、存在そのものと繋がり感知する。
- “愛染他(あいぜんた)”ティリエル
- 声 - 田村ゆかり
- 女性の“紅世の徒”。炎の色は山吹色。兄のソラトと合わせて『愛染の兄妹』と呼ばれる。人化の自在法による姿は「フランス人形」と形容される金髪碧眼の美少女で、ソラトと瓜二つの顔をしている。本性の姿は幾枚もの山吹色の花弁でできたケープ。
- 兄・ソラトに強い愛情を持ち、その欲望を叶える事と、彼に自分を依存させ助け守ることに、至上の喜びを感じている。兄にはとにかく甘く、それ以外の物には辛辣でそっけない二面性を持つが、自分と同じように愛で動く者には、兄とは比べ物にならないにせよ、好ましく思っているような態度を見せる。
- 固有の自在法として、『揺りかごの園(クレイドル・ガーデン)』を使う。『揺りかごの園』は封絶と似た力を持つが、内部の気配を外部に洩らさないという性質を持つ。そのためいかなる“徒”でもフレイムヘイズに気配を気付かれないでいる事が可能である。通常は身に纏うサイズに縮小して気配隠蔽に使うが、人間を喰う時には通常の封絶のように拡大させる。また、人間に組み込むだけで高度かつ複数の機能を秘めた植物型の“燐子”『ピニオン』を作り出す自在式を編み上げることができる巧緻な自在師でもある。
- “纏玩(てんがん)”ウコバク
- 声 - 津田健次郎
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は爛れた赤銅色。己の本来の醜い姿を極端に嫌い、理想的な美しい人間型の姿を作る為に人攫いや写真撮影を行っていた。
- 他の“徒”と比較しても格段に弱力で、“徒”が持つ独特の違和感ですら、人間に紛れて気づかれない程度。自在法の技術も未熟で、顕現は不安定で炎が洩れ、“燐子”は作れるもののトレーラーの運転と写真撮影の手伝いといった雑用しかこなせない稚拙なもの。相手を閉じ込め停止させる泡を放つ金属の輪型宝具『アタランテ』が唯一の武器。
- “穿徹の洞(せんてつのほら)”アナベルグ
- 声 - 真殿光昭
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は鉛色。トレンチコートとソフト帽を身に纏い、火掻き棒のような手と丸型メーターの顔を持つ。
- 人間が作り出す文明や優れた物に心酔しているが、曰く「文明の加速」のため、それらの破壊を目的に活動している。これは、優れた物を破壊する事で「壊れた物を糧に、より優れた新たな物を作る」という人間の活動を促進させるという事。
- 固有の自在法は気配や“存在の力”をぼやかす蒸気を放つ事。この蒸気により奇襲や気配の誤魔化しなどが行えるが、敵味方問わず気配を混淆させてしまうため、フレイムヘイズの奇襲に“徒”が気付きにくくもなるという欠点もある。
- “澳汨肢”(おうこつし)ラハブ[10]
- “紅世の徒”。炎の色は腐った藻のような暗い緑色。巨大な蛸のような姿。総称して「海魔(クラーケン)」と呼ばれる、海洋上で人を襲う“徒”の一体。
- “駆掠の礫(くりゃくのれき)”カシャ
- 声 - 松原大典
- 男性の“紅世の徒”。炎の色はアイボリー。薄手のジャケットにスラックス、首には洒落たストリング・タイという姿の青年。
- 使用者の意思のままに空中を自在に飛び、自在式を自由に込めることができる数十もの指輪型宝具『コルデー』に爆破の自在式を込めて武器とする他、踝に炎の車輪を発生させ、移動に使う。
- “羿鱗(げいりん)”ニティカ
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は鼠色。巨体は翼竜とも見え、体中に鱗のように金貨を貼り付けている。
- “戯睡郷(ぎすいきょう)”メア
- 声 - 小林沙苗
- 女性の“紅世の徒”。炎の色は朱鷺色。作者原案・監修のPS2版ゲームにオリジナルキャラクターとして初登場した。ゴスロリ風の衣装と日傘という上品ないでたちの、頭部に二対の太い角を生やした少女。この姿は寄生しているトーチの姿だが、頭部の角はメアに寄生された証であり、また顔もメア自身のもの。本性の姿は仮面を付けた道化で、仮面の下にはメアの素顔が隠されている。
- ちっぽけな自身に強いコンプレックスを持つ、若く弱小な“徒”。休む事も決して出来ない“紅世”をその弱さから地獄と感じ、運任せで両界の狭間を越えて渡ってきた。自らを「蝶」と例えており、「本質の顕現」では蝶のような光を放つ等、蝶の性質を持っている模様。
- 気配を抑えて敵から逃れるために“ミステス”に寄生し、寄生している“ミステス”の蔵する宝具も使える。現在寄生している“ミステス”の蔵する宝具は、振るう事で炎弾を雨霰と放つ神楽鈴型宝具『パパゲーナ』。また固有の自在法として、『ゲマインデ』を使う。『ゲマインデ』は周囲の者の意識を取り込み、取り込んだ者の記憶で構成された夢の舞台を作り出し自在に操る特殊な自在法。
- “気焔の脅嚇(きえんのきょうかく)”ギヴォイチス
- 声 - アニメ版ドラマCD 樋口智透[11]
- “紅世の徒”。炎の色は苔色。人化した姿は大柄な男で、本性の姿は直立する一本角の蜥蜴。腰帯に華美な装飾の剣『スクレープ』を帯刀していたが、ギヴォイチスはこの『スクレープ』を宝具だと他の乗客たちに吹聴していた(真相は不明)。
[仮装舞踏会(バル・マスケ)]
盟主と三柱の強大なる“紅世の王”である『三柱臣(トリニティ)』を中心とした、世界最大規模の“紅世の徒”の組織。数千年前に結成され、他の大集団とは頭一つ二つ抜きん出た桁違いの規模の兵力を備え、一騎当千の実力を持った錚々たる顔ぶれの将帥らが数多く在籍している。
[仮装舞踏会]の“王”
盟主
- “祭礼の蛇(さいれいのへび)”伏羲(ふっぎ)
- 声 - 速水奨
- 男性の“紅世の神”。炎の色は黒。[仮装舞踏会]盟主。『天裂き地呑む』化け物とまで称される伝説の存在。その姿は、見る者に等しく畏怖と崇敬を抱かせる、銀色の目を持つ巨大な黒い蛇。強大な“王”ですら及びもつかない、常識の尺度から遥かに外れた圧倒的な力を持つ。
- 悠二曰く「いつも誰かの望みを叶えたくてウズウズして」いるとのこと。その特性上望まれることは何でもできるが、望まれない事は何も出来ない。また自身を「欲望の肯定者」と称し、大度にして無邪気。また、誰かの望みを叶える以外のことに興味はなく、融合後の悠二にも自由な行動を許していた。
- “紅世”の世界法則を体現する超常的存在である『神』の一柱、“紅世”の『創造神』。神威召還時の御言葉は“祭基礼創”。その権能は「造化」と「確定」。踏み出し見出す力を司り、新たなものや流れを作り出す、始まりの神。“紅世の徒”の望みが一つの形に結実したときに現れその望みを叶える存在。言うなれば、創造神は創造神でも「これから作り出す神」。公式ガイドブック完結編『灼眼のシャナノ全テ 完』では「造物主だがゴッド(神)ではない方」とされている。
- “銀”
- 『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーが追い求める仇敵。銀の炎を吹き上げる歪んだ西洋鎧の姿をしている。名前も正体も不明であり、炎の色が銀であることから“銀”と呼ばれる。
三柱臣(トリニティ)
創造神“祭礼の蛇”の眷属たる三人の“王”。「守り」「謀り」「起動する」、創造神のための「システム」の具現化。討滅される、生贄になるなどで死亡した場合でも存在が消滅することはなく、創造神の許で眠りにつき、機が熟すればまた復活するという特殊な存在。それぞれの意志や事情・目的によって組織に属する他の“徒”達とは違い、成り立ちから盟主に属することを宿命付けられ、古代から付き従っている特異な存在である。強烈なカリスマを持ち、通常束ねることが困難な“徒”をこれ程までに束ねているのは、『三柱臣』が重ねてきた長年の実績と、彼らと対面した際に抱かされる感情によるものである。基本的には全員が人間に近い姿をしている。
なお、“祭礼の蛇”は自身が生み出した彼らを「息子」「娘」と認識している部分があるが、彼ら自身にとって“祭礼の蛇”はあくまで自身が仕える「主」であり、生みの親と言う認識はなく、また互いを兄弟姉妹とも考えていない。
- “千変(せんぺん)”シュドナイ
- 声 - 三宅健太[9]
- 男性の“紅世の王”。炎の色は濁った紫。[仮装舞踏会]『三柱臣(トリニティ)』の将軍。絶大な戦闘力を誇り、古来より数え切れないほどのフレイムヘイズを倒してきた強大極まる“王”。作中で倒したフレイムヘイズの数も最も多く、“祭礼の蛇”を除けば最強の強さを誇る。
- 他の“徒”とは異なり、その真名が示す本質から生まれる『変化』の力を持っているため姿は不特定であり、必要に応じて姿形を自在に変えることができる。
- “祭礼の蛇”の眷属であり、盟主“祭礼の蛇”により「主を守る」使命を課せられた存在。彼の『変化』の力は主を守るため、あらゆる攻撃の全てに同時に対処すべく与えられたものである。普段は飄々として部下にも寛大な性格で、敵であるフレイムヘイズに対してすらも友人に接するかのような態度を取る事も多い。
- “頂の座”ヘカテーに好意を持っており「俺のヘカテー」と公言して憚らない。一方で“逆理の裁者”ベルペオルのことは公然と「ババア」呼ばわりしている。
- “祭礼の蛇”の眷属であるため、他の“徒”とは比較にならない絶大な戦闘力を誇る。単純なパワーだけでも抜きん出ているが、『変化』の能力によって他の“徒”では不可能な変幻自在の戦術を取り、想定外の攻撃で不意を撃ち敵を圧倒する。
- 軍の指揮官としても練達にして無類の将帥である。しかし職務に対しては怠慢で、本拠地である『星黎殿』にも長らく立ち寄っていなかったが、そんな態度にもかかわらず[仮装舞踏会]の“徒”たちからの尊崇の念は絶大で、その強さ・将軍としての能力にも全幅の信頼を寄せられている。
- “頂の座(いただきのくら)”ヘカテー
- 声 - 能登麻美子[9]
- 女性の“紅世の王”。炎の色は明るすぎる水色。[仮装舞踏会]『三柱臣(トリニティ)』の巫女。[仮装舞踏会]構成員からは大御巫(おおみかんなぎ)の尊称で呼ばれている。表情に乏しい小柄な美少女。そんな見た目に反する強大な“王”だが、姿を見せることは極めて稀で、その真意や性向、能力などはほとんど知られていない。他人の言動を字面どおりに受け止める生真面目で淡白な性格
- “祭礼の蛇”の眷属であり、盟主“祭礼の蛇”の活動の先触れとなる存在。創造神“祭礼の蛇”は“紅世の徒”の願いを叶えることを権能としており、神が“徒”の願いを聞き届けた証、“徒”の願いの結晶としてヘカテーを生み出す。すなわち彼女の存在そのものが“徒”の願いが実現する予兆であり、そのため“徒”からは絶大な敬意を払われ、[仮装舞踏会]に属する“徒”たちからは最も尊崇され、『三柱臣』の中でも特異な存在として知られている。
- 自らに言い寄るシュドナイを相手にしないなど、基本的に他人に対して無関心で感情もほとんど示さないが、盟主たる“祭礼の蛇”のことは文字通り「彼女の神」とまでされるほどに崇拝し、“祭礼の蛇”に関する事柄に対してだけは喜怒哀楽を示し、感情的にもなる。
- 神である“祭礼の蛇”が“徒”たちの願いを叶える際に行われる『神威召喚』の儀式で生贄となる役目を持つ。しかし生贄となり死亡しても“祭礼の蛇”が生きている限り完全に消滅はせず、願いを叶えた“祭礼の蛇”が眠りについた後、新たな願いが結実した時にそれを構成要素として復活する。
- “逆理の裁者(ぎゃくりのさいしゃ)”ベルペオル
- 声 - 大原さやか[9]
- 女性の“紅世の王”。炎の色は金色。[仮装舞踏会]『三柱臣(トリニティ)』の審神者(さにわ)→軍師→参謀。狡猾で智略に長けており、およそ彼女を知る者からは「この世で最も敵に回したくない」とまでに恐れられる鬼謀の“王”。右目に眼帯をした、妙齢の三つ目の美女。
- “祭礼の蛇”の眷属であり、盟主“祭礼の蛇”により「あらゆる事態に対処する」使命を課せられた存在。非常に用心深く、ありのままの現実を認めた上であらゆる状況を予測し、策略を立て、その読みを誤る事態が滅多にないがゆえに、この世のあらゆる陰謀に手が届くとまで謳われる。「思うままに生きる」ことを好む他の“徒”とは違い、その使命ゆえに「思うままにならない事にこそ挑む甲斐を感じる」という特質を持つ。
- [仮装舞踏会]構成員らから絶大な尊崇の念を向けられているが、彼女自身は目的のためには他者を簡単に利用し、切り捨てることができる冷酷な性格でもある。だが“祭礼の蛇”に対しては非常に忠実で、彼を慕い、絶大な信奉を寄せている。
- [仮装舞踏会]は、桁違いの規模の大軍勢に、『三柱臣』を始め強大な“王”達が数多く在籍しており、いざ動いた時の脅威やベルペオルの智謀への評価から、対峙する者は事あるごとに「彼女の陰謀の一環ではないか」と疑心暗鬼に駆られてその勢いを押し留められることになり、本人もそういった評価を時に煽りながら有効に活用している。
その他
- “嵐蹄(らんてい)”フェコルー
- 声 - 間宮康弘
- 男性の“紅世の王”。炎の色は臙脂。兵科は禁衛員(ヴァッフェ)。『星黎殿』の防衛を一手に任せられ、更にベルペオル不在の際の裁量まで任されていた、ベルペオルの副官的存在。平凡なスーツを着た押しの弱い小役人風な中年男の姿をしているが、そんな見た目に反して強大な力と恐るべき自在法を持つ強大な“王”。しかし後述の理由で、普段は『星黎殿』を隠蔽する『秘匿の聖室(クリュプタ)』の力を纏って強大な気配を隠し、名も無き一“徒”として振舞っており、[仮装舞踏会]の構成員のほとんどは彼が“嵐蹄”であることを知らなかった。
- 普段は『星黎殿』の出迎え・案内役をしている。末端の構成員として振る舞っているため、誰に対しても腰が低い。一方で“嵐蹄”の名は構成員に知れ渡っており、ベルペオルの信任厚いということで絶大な信頼を置かれている。
- 大量の臙脂色の粒子を嵐のように操る自在法『マグネシア』を使う。粒子を凝固させた塊を瞬時に作り出して防御や不意打ちに用いたり、嵐の中に無風地帯を作り自身や味方のバリアーのように用いる。
- “千征令(せんせいれい)”オルゴン
- 声 - 斧アツシ
- 男性の“紅世の王”。炎の色は錆びた青銅のように不気味な緑青色。巡回士(ヴァンデラー)の一人で、ベルペオルの古くからの直属の部下。フレイムヘイズ達の外界宿を単独で全滅させる程の力を持つ強力な“王”であり、将帥としても優れていることから自他共に認める『戦争屋』として恐れられていた。虐殺・殲滅戦を得意とする。帽子、マント、手袋が浮いているだけの姿で、自らの本質の顕現に使う力のほとんどは後述の『レギオン』に注いでいる。
- かなり傲慢で尊大な性格で、馬鹿にされるのを嫌う。戦って敵を倒すことにしか興味がなく、それ故に戦いを避けるという観点に疎い面がある。また、気配や声音が非常に陰鬱で、「聞いているだけで憂鬱になる」と表現される。
- 自らの“存在の力”を込めた薄く鋭い紙の軍勢の自在法『レギオン』を用いて戦う。『レギオン』は、トランプのジャックの騎士の名(『ホグラー』『ラハイア』『ヘクトル』『ランスロット』)を冠す『四枚の手札』を中心に構成されており、一部を倒したり翻弄するのは容易だが、その全てを滅ぼすには骨が折れ、敵を疲弊させてその数を持って敵を蹂躙する。
- “道司(どうし)”ガープ
- 男性の“紅世の王”。炎の色は浅葱色。ベルペオルの直属の部下。四方に子供型の“燐子”『四方鬼』を引き連れた武装修道士の姿をしている。切れ者ではあるが、大仰で騒がしい、嫌味な性格。
- 東洋の[仮装舞踏会]構成員の中では五指に入る使い手の強大な“王”であり、有能な将帥でもある。駆ける速さで並ぶものはないと言われ、連絡役として動く事が多い。ただし、精度や機動性には欠ける。
- 戦闘では、『四方鬼』で固定した敵を体当たりで突き破る『大突破』という技などを使用する。
- “淼渺吏(びょうびょうり)”デカラビア
- 声 - 吉開清人
- 男性の“紅世の王”。炎の色は鉄色。兵科は布告官(ヘロルト)。組織内での立場は、オロバスの上席に当たる模様。無光沢の鱗に藻の斑を纏った細長の大魚。本来の姿は戦場一帯に跨るほどの非常に長大な体躯であり、その真の姿を見た者はほとんど(味方でさえ)いなかった。
- 常に感情を込めずに話し、極めて冷徹に物事を見て判断し、周囲の反応に気を払わないため、無礼な振る舞いも平然と行う。また、自身の実力に関して一切謙遜しない。その性格ゆえ周囲からの好悪の感情が極端に分かれている。
- シュドナイ曰く「有能ではあるが、とにかく変物」。有能と評される通り、その軍の差配の技量は非常に卓抜している。
- 他に類を見ない特殊な自在法『プロビデンス』を使う。自身の鱗を自らの入出力器官として、鱗を通して見聞きし、喋り、自在法までも使用できる。他にも幾つかこれと似た機能の自在法は存在するが、それらはごく短時間・近距離でしか効果を発揮できないのに対して、この『プロビデンス』の持続時間と効果範囲は、永続的かつ全世界をカバーできる程に広大であるという圧倒的な差を持つことが特殊とされる所以である。
- “驀地祲(ばくちしん)”リベザル
- 声 - アニメ 山口太郎
- 男性の“紅世の王”。炎の色は弁柄色。巡回士の一人で、ベルペオル直属の側近。直立する象ほどの大きさの三本角のカブトムシの姿をしている。勇猛で鳴らし、圧倒的な攻撃力を持つ強大な“王”。実力は折り紙付きだが言動も性格も荒っぽい。しかし決して愚鈍でも見た目ほどの猪武者でもなく、頭も切れる。指揮官としても有能であり、見た目に反して堅実な戦をする、百戦錬磨の将帥である。
- 腕に巻きつけた水晶の数珠をばら撒き、散弾として攻撃することや、自在法を使用することができる。また、『七宝玄珠』を媒介にして七体の炎の分身を作り出すことが出来る。また、「只管に突き進む」“驀地祲”の本質ゆえ、突撃をもっとも得意としている。
- “煬煽(ようせん)”ハボリム
- 声 - 山本格
- “紅世の王”。炎の色は楝色。兵科は捜索猟兵(イエーガー)。誰もが認める腕利きの強大な“王”であり、フレイムヘイズ達からは「危険な上にも危険な奴」と非常に警戒されている。双頭のガスマスクを着け、ボロマントを纏って体を隠している、どことなく案山子を想起させる姿。
- 組織の最前線に立つ実戦派の“王”として名高く、『星黎殿』にも滅多に姿を現さない。大きな戦いを幾度も潜り抜けてきた百戦錬磨の強者にして卓越した指揮官である。作戦遂行においては私情を挟まず事実を認めて対処する。
- 「炎を煽り広める」“煬煽”の力として、楝色の炎で地面を侵食し、その範囲内に居る味方を炎で覆い全能力を強化する自在法『熒燎原(けいりょうげん)』を使う。これは[仮装舞踏会]西部方面主力軍を丸ごと軽く強化できるほどの規模と、広大な戦場一帯を覆うほどの範囲を持つ。
- “哮呼の狻猊(こうこのしゅんげい)”プルソン
- 声 - 堀川仁
- 男性の“紅世の王”。炎の色は鉛丹色。兵科は禁衛員。歴戦の強大な“王”であり、頭も切れ、指揮官としても有能。美麗な獅子の頭を持つ、派手な宮廷衣装を纏った男。自信家で、鋭い声が特徴。
- 「激しく吼え猛る」“哮呼の狻猊”の力として、 『獅子吼』と『ファンファーレ』の二つの自在法を使う。『獅子吼』は凄まじい威力の衝撃波を放つ咆哮であり、『ファンファーレ』は、その衝撃波を放つトランペットを多数出現させる。これを自在に操り、衝撃波を全方位に大量に放つことができる。
- “駝鼓の乱囃(だこのらんそう)”ウアル
- 声 - 後藤ヒロキ
- “紅世の王”。炎の色は桧皮色。登場はXVIII巻だが、XVII巻にもそれらしい容姿の“徒”が描写されている。兵科は禁衛員。緩い衣を纏った直立するヒトコブラクダの姿をしている。
- 無数の蜂を操る自在法『ビト』を使う。蜂の大群は防御や気配隠蔽などの自在法を使用できる。さらに中身が空っぽの埴輪のような鎧の内部に『ビト』を潜ませ、これを多数操る。
- “冀求の金掌(ききゅうのきんしょう)”マモン
- 声 - 加藤将之
- 男性の“紅世の王”。炎の色は黄檗色。兵科は巡回士。強大な“王”であり、キアラたち強大なフレイムヘイズからも非常に警戒されている。暗灰色のトップハットにテールコート、マントという、前世紀の紳士然の身形をした白皙の美貌の男。異常に長い犬歯を持つ。
- 冷徹な指揮官としての見識を持ちながらも、普段は貫禄に溢れた穏やかな性格をしており、フレイムヘイズにも同様の態度を取る。レライエからは、密かに胡散臭いと評されている。
- 「激しく欲し臨む掌」たる“冀求の金掌”の力として、望むものを引き寄せて捉え、または押しのけて払うという、原始的にして強大な力を持つ自在法『貪恣掌(どんししょう)』を使う。通常は掌・手の甲に黄檗色の紋様が浮かび上がるが、全力の際はこれが全身に波及する。
- “翻移の面紗(ほんいのめんさ)”オセ
- 声 - 不明
- “紅世の王”。炎の色は浅緑色。兵科は捜索猟兵。人型の仮面をつけた巨大な豹。
- 対象の視界を分裂させた自身の仮面と火の粉で埋め尽くし、空間識失調に陥らせつつ自身は視界を広げ、仮面から攻撃する幻惑の固有自在法『サイクル』を使う。
- “呻の連環(しんのれんかん)”パイモン
- 声 - 不明
- “紅世の王”。炎の色は洗朱色。兵科は巡回士。ラクダに乗る貴公子然とした青年の姿で、男女様々の衣服を供連として従えている。
- 従えている周囲の衣服に瞬時に転移し、多角的な攻撃や、敵の攻撃を避けることが出来る自在法『王の供連』を使用していた。
- “化転の藩障(かてんのはんしょう)”バルマ
- 声 - 不明
- “紅世の王”。炎の色は若苗色。兵科は巡回士。同じ“王”であるオセからは「バルマ殿」と敬称付きで呼ばれている。
- 様々な配色の糸で織られた巨大な象の姿をしている。
- 体を構成する糸を解き、状況に応じて再構成する自在法『羅梭(ラサ)』を使用する。
- “匣迅駕(こうじんか)”バティン
- “紅世の王”。炎の色は土器色。体に蛇を纏った騎士の姿をしている。
- “獰暴の鞍(どうぼうのくら)”オロバス
- “朧光の衣(ろうこうのきぬ)”レライエ
[仮装舞踏会]の“徒”
- “琉眼(りゅうがん)”ウィネ
- 声 - 鈴木達央
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は藤色。兵科は捜索猟兵(イエーガー)で、ストラスやフェコルーに気に入られ、会った事の無いシュドナイにも名前を覚えられているなど、捜索猟兵の中では優秀な存在。
- バイクをこよなく愛し、外見はライダースタイル。この世で手に入れ、手入れも欠かさない年季の入った中型バイクに跨り、フルフェイスのヘルメットのシールドには大きな両目が描かれている。この目は気分に応じて表情を作り、力を使う時などは大きな一つ目となる。
- 比較的若年の“徒”で、この世に渡り来て半世紀もたっていない。ベルペオルを女神と崇め心酔していた。
- 鋭敏な知覚能力に加え、自身の知覚を他人に伝染させて広範囲を探索する『知覚の感染』という能力を持っているため、探知と索敵に優れていた。
- “翠翔(すいしょう)”ストラス
- 声 - 林和良
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は縹(はなだ)。布告官(ヘロルト)の一人で、その中でも古株的な存在。全身は獣毛に覆われ、頭部は無く、大きく張った胸に一対の眼、腹部に裂けた口を持ち、両腕は翼になっている、鳥とも獣とも人ともつかぬ異形の“徒”。 作中では「鳥男」と描写される。
- 見た目に反して温厚であり、非常に律儀で礼儀正しい。その性格ゆえに人付き合いも上手く、多くの“徒”達から人望を得ている。
- 高速輸送の自在法『プロツェシオン』を使う。ストラスの口から吐かれた砂鉄のような不思議な粉を纏わせた対象を鳥に変えて、大量の人員を高速で運ぶことができる。また、この自在法はフレイムヘイズには知られていない。
- “獰暴の鞍(どうぼうのくら)”オロバス
- 声 - 島﨑信長
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は橙。シュドナイの副官の一人で、兵科は巡回士(ヴァンデラー)。“徒”とされてはいるが、それは目立った大功に恵まれていないためであり、実際には十分に“王”と呼ばれるだけの実力を持つ[仮装舞踏会]きっての俊秀。盟主帰還後のフレイムヘイズとの戦いにて“王”と呼ばれるようになると、衆目は一致していた。人化の自在法による姿は、黒服の青年。本性の姿は黒馬で、戦闘時には状況に応じて黒馬の姿と青年の姿を使い分けている。
- 実直で堅苦しい性格をしている。シュドナイに心酔しているが、実力では及ばないシュドナイの戦いぶりを真似て、周囲から諌められる場面も見られる。
- 自身と自身に接触している者を炎で包み、強化することができる自在法『鐙の寵』を使用する。このため、戦闘時には黒馬の姿で他者を騎乗させることも多い。ただし接触が解けた者は効果が切れる。
- “朧光の衣(ろうこうのきぬ)”レライエ
- 声 - 中嶋アキ
- 女性の“紅世の徒”。炎の色は灰白色。シュドナイの副官の一人で、兵科は捜索猟兵。白服の女性。やや砕けた性格をしており、丁寧な口調ではあるがどことなく人を食ったような物言いをする。オロバスとは正反対な性格ながらも良いコンビ。場の空気を読む周旋の才に長けているという点でも重宝されている。
- 優れた自在師であり、防御系自在法『ニムロデの綺羅』を使う。自らの衣の裾や袖を風に解かせて広大な白い壁を作り出し、攻撃を逸らし、受け流す。数百のフレイムヘイズが放った無数の炎弾をも防ぎきる。
- “蠱溺の盃(こできのはい)”ピルソイン
- 声 - 田村睦心
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は菖蒲色。兵科は捜索猟兵で、その凶悪な自在法から広く名が知られており、フレイムヘイズからは戦時平時を問わず恐れられ、忌避されている。ブカブカなローブを着て、泥棒のような大きな袋を背負ったやぶにらみの子供の姿をしている。
- 相棒の“驀地祲”リベザルと共に多くの大功を挙げている。激昂しがちなリベザルをよく諌めている。指揮官としても優れている。
- 毒の靄を放つ自在法『ダイモーン』を使う。この毒の靄を吸い込んだ者を酩酊・錯乱状態に陥れ、フレイムヘイズであれば契約する“王”ごと酩酊・錯乱する。吸い込めばまず戦闘不能となり、最悪の場合は同士討ちや卒倒などが起こる。油断して死んだフレイムヘイズも数多い、世界でも指折りの悪名高さを持つ自在法。
- “聚散の丁(しゅうさんのてい)”ザロービ
- 声 - 御園行洋
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は飴色。兵科は捜索猟兵。柔和な笑顔を浮かべ、神父のような法衣を着た痩身の老人。
- それぞれが細い力の紐で繋がった赤、青、黄、緑、桃のスカーフをそれぞれ巻いた同じ姿に分身したり、離れた自分と融合する事が出来るが、一体一体の力は、残り火の強いトーチ程度と非常に弱小。
- “吼号呀(こうごうが)”ビフロンス
- 声 - 安元洋貴
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は樺色。兵科は巡回士。土管を2つ繋げたような身体に虫のような足が幾対も生え、拷問器具のような鉄棒で編まれた頭部という異形の姿。
- 普段は宝具『タルンカッペ』で気配を隠しているが、この状態では移動速度が非常に遅い。大破壊を得意とし、その砲身のような体に瓦礫を吸い込み、砲弾として強烈な一撃を放つ。
- “放弾倆(ほうだんりょう)”ファレグ
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は藍錆色。人狼の姿をしている。
名前だけ登場した“王”
- “駒跳の羚羊(くちょうのれいよう)”ブファル
- “紅世の王”。炎の色は杏色。容姿は不明。フレイムヘイズ陣営との戦争で外界宿征討軍東部方面主力軍の部隊長に任命された“王”。
- “珠帷の剔抉(しゅいのてっけつ)”エギュン
- “紅世の王”。炎の色は生壁色。容姿は不明。フレイムヘイズ陣営との戦争で外界宿征討軍東部方面主力軍の部隊長に任命された“王”。
[とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)]
古く強大な“紅世の王”、“棺の織手”アシズを中心に組織され、16世紀初頭にフレイムヘイズ兵団との『大戦』の結果消失した当時最大級の“紅世の徒”の集団。理由は“徒”によって異なるが、フレイムヘイズとの戦闘を前提に置く戦闘軍団。その総員は万を超え、ヨーロッパのブロッケン山に要塞を築き、拠点としていた。アシズの掲げる『壮挙』の実現を目的としており、[とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)]の名は、世に新しい理を作る際に、古い理に対してとむらいの鐘を送るという意味を持つ。
- “棺の織手(ひつぎのおりて)”アシズ
- 男性の“紅世の王”。炎の色は青。[とむらいの鐘]の首領であり、構成員からは「主」と呼ばれている。仮面をつけた蒼い天使の姿をしている。思慮深く温厚で、他者に対してあまりにも優し過ぎる性格。それは在り方がかつての己に似た、マティルダとアラストールに対しても向けられていた。
- 「神聖不可知の完全な輪」である“冥奥の環”固有の自在法として、『清なる棺』という、周囲の因果から閉鎖された強力な凝固空間を作り出す能力を持つ。優れた自在師であり、同時に強大な統御力を持つ当時の乱獲者の中では最強の“王”。
『九垓天秤』
[とむらいの鐘]の最高幹部たる九人の“王”。世界を放浪していたアシズに最初に付き従った者達で、組織の力の象徴。
- “虹の翼(にじのつばさ)”メリヒム
- 声 - 小西克幸
- 男性の“紅世の王”。炎の色は虹色(虹の色数は時代や文化によって異なるが、作中では七色とされている)。『九垓天秤』の1人で、役柄は[とむらいの鐘]が誇る力の象徴『両翼』の右。あだ名は「虹の剣士」。シャナの育ての親の一人で、彼女からは白骨の容貌から「シロ」と呼ばれていた。銀髪の青年騎士の風貌をしており、『九垓天秤』中で唯一、その姿は人間のものと酷似している。
- 自己中心的で傲慢な癇癪持ちだが、主への忠誠は堅く聡明かつ冷静な部分や一途な面も見せる。[とむらいの鐘]の宿敵であり、当代最強を誇ったフレイムヘイズのマティルダ・サントメールを一途に愛し、恋敵であるアラストールを嫌っていた
- 一体一体が並のフレイムヘイズに匹敵する力を持つマティルダの『騎士団』を一瞬にして切り伏せる剣技に加え、「空を貫く七色の光」たる“虹の翼”の力である、距離による減衰が無い一直線の虹の破壊光線を剣尖から放つ、当代(中世の『大戦』当時)最強の破壊力を持つと称される自在法『虹天剣』の使い手。
- “甲鉄竜(こうてつりゅう)”イルヤンカ
- 男性の“紅世の王”。炎の色は鈍色。『九垓天秤』の一人で、役柄は[とむらいの鐘]が誇る力の象徴『両翼』の左。あだ名は「鎧の竜」。体中が鈍色の鱗で覆われた、四足・有翼の巨竜の姿をしている。
- 自らを老人と称する、非常に古株の“王”。戦闘時は獰猛な面を見せるが普段は温厚かつ思慮深く、ともすれば激発しがちなメリヒムらの抑えにまわる、『九垓天秤』の長老格。
- 巨大の重量と全身を覆う鱗による高い防御力を併せた打撃や、口や全身から噴出し留まらせる事で強大な防御力を発揮する、「不変不壊の鎧を纏う竜」たる“甲鉄竜”の力、当代最硬の防御力を誇る鈍色の煙の自在法『幕瘴壁』を使い戦う。
- “大擁炉(だいようろ)”モレク
- 男性の“紅世の王”。炎の色は黄色。『九垓天秤』の1人で、役柄は組織の運営や裁量を行う宰相。あだ名は「牛骨の賢者」。豪奢な礼服を纏った、直立した牛骨の姿をしている。
- 役職上組織のNo.2であり、『九垓天秤』の実質的なリーダーだが、普段は控えめというより小心で、地位に伴う威厳は皆無である。「強者」ではなく「賢者」として恐れられた数少ない“王”であり、戦闘には向いていないため戦闘面では主に作戦の立案などを担当している。
- 小心かつ臆病、という一面は見せかけではなく完全な素で、万事危機に配慮し常に慎重、という賢者としての側面の裏返しである。他の面々や組織外の者のような、いざとなれば自分で何とかする、という「強者の気楽さ」とは無縁の男。
- 小心な性格に反して、その力の大きさは異常な程。自らを山をも覆う巨大な牛型の迷宮へと変質させ敵を閉じ込め、同時に取り込んだ味方を有利な戦場で戦わせサポートする、「抱いて守り閉じ込める」“大擁炉”の力、空間制御の自在法『ラビリントス』を使う。
- “闇の雫(やみのしずく)”チェルノボーグ
- 女性の“紅世の王”。炎の色は枯草色。『九垓天秤』唯一の女性で、役職は隠密頭だが、『頭』とは言っても部下などはおらず、単独で行動する暗殺者である。あだ名は「黒衣白面の女」。鉤爪を備えた巨大な右腕と獣の耳を持つ、黒衣を纏った黒髪で痩身の女性であり、顔と耳の白い毛以外は全てが黒く覆われている。
- “大擁炉”モレクに好意を寄せ、彼から与えられた仕事をこなすこと、彼を守る事にこの上なく大きな充足感を覚えていたが、表面上は彼を「痩せ牛」と呼んで蔑むそぶりを見せ、いつもきつい態度で当たっていた。
- 右の巨腕を織り交ぜた体術や爆破攻撃、「暗闇に滴る」“闇の雫”の力として、影に身体の一部や全体を潜り込ませ近距離へと転移する『影浸』という自在法を駆使し闘う。
- “凶界卵(きょうかいらん)”ジャリ
- 男性の“紅世の王”。炎の色は亜麻色。『九垓天秤』の1人で、役柄は組織のための情報収集にあたる大斥候。あだ名は「奇妙な卵」。魔物・老人・女の面が張り付いた人間大の卵の姿をしている。
- 内心については全く描写されておらず、言動も意味不明なことが多いため精神面はまるで不明であり、「変人」と呼ばれている。[とむらいの鐘]の中でも古参の“王”で、アシズに付き従った年月はイルヤンカやウルリクムミに次いで長い。
- 戦闘向きの力は持たないが、絶大な規模で自在法を展開し制御することが出来る。「不吉を収めた卵」である“凶界卵”の力として、無数の蝿を統御して索敵・情報収集・攻撃を行う自在法『五月蝿る風』を使い、多くの情報を集める組織の枢要。
- “巌凱(がんがい)”ウルリクムミ
- 男性の“紅世の王”。炎の色は濃紺。『九垓天秤』の1人で、役柄は先陣を切って[とむらいの鐘]の軍を率いる先手大将。あだ名は「鉄の巨人」。組織ではかなりの古参で、イルヤンカに続いてアシズに付き従っている。分厚い鉄板もしくは鉄塊を巨大な人型に組んだような姿で頭部は無く、胴体部分に双頭の白い鳥の絵が描かれている。
- 卓抜した戦術眼と統率力の持ち主であり、公明正大な人格者で、仲間からの信頼も厚い。また戦場を離れた常の状態では非常に慎み深い性格。
- 濃紺の炎を混ぜた竜巻を自身の周りに発生させて周囲の鉄を引き寄せて巻き込み、質量に速度と“存在の力”を加え強化された鉄による濃紺の激流を放つ、「勝鬨を上げる岩山」たる“巌凱”の自在法『ネサの鉄槌』を使う。
- “架綻の片(かたんのひら)”アルラウネ
- 女性の“紅世の徒”。炎の色は薄桃。その姿は、美女の顔を中心に抱いた妖花。この顔は常に目を閉じており、開けることはない。よく気の回る性格で、隠れた内心や表に出ない意図を素早く的確にくみ取り、対応する。
- 援護や補助の自在法を得意とする自在師で、“巌凱”ウルリクムミの副官を務めていた。常に疑問形で話す癖がある。
- “焚塵の関(ふんじんのせき)”ソカル
- 男性の“紅世の王”。炎の色は黄土。『九垓天秤』の1人で、役柄は“巌凱”ウルリクムミと同じく先陣を切って[とむらいの鐘]の軍を率いる先手大将。あだ名は「石の大木」。木の葉一つ無い石の大木の姿をしており、洞から甲高い声で喋る。
- 見栄っ張りな性格で、ブロッケン要塞落成の式典の際には、入城の序列を巡って騒ぎを起こしたりもした。ウルリクムミいわく「陰険悪辣の嫌な奴」とのこと。
- 「焼き尽くす門」たる“焚塵の関”の力、周囲一帯を覆い尽くす規模の石の木を多数生み出し操る防御の自在法『碑堅陣』の使い手。
- “天凍の倶(てんとうのぐ)”ニヌルタ
- 男性の“紅世の王”。炎の色は黝(あおぐろ)。S巻『キープセイク』に登場。『九垓天秤』の1人で、役柄は全軍の中核となるアシズを守りつつ、[とむらいの鐘]の主力軍を統率する中軍首将。「氷の剣」と形容されていた。その姿は槍や剣や棍棒など様々な武器が刺さったガラスの壷で、戦闘時はこれらの武器に霜が降り始める。謹厳実直な性格で、公正ならば文句は言わないが、自己顕示欲の強いソカルとはよく激突していた。
- “戎君(じゅうくん)”フワワ
- 男性の“紅世の王”。炎の色は焦茶。S巻『キープセイク』に登場。『九垓天秤』の1人で、役柄は戦機に応じて動き、強襲や危険な任務を遂行する遊撃部隊の長・遊軍首将。腹まで口が裂けた巨大な狼の姿をしており、「牙剥く野獣」と形容される。戦いにしか関心のない性格で、自身を誇ることにはまるで興味がない。また、口も悪い。
[革正団(レボルシオン)]
19世紀後半に現れ始めた『“紅世の徒”の存在を人の世に知らしめる』という思想を元に活動する者たちの集団。メンバーの大半は“徒”だが、極一部とはいえ一般人やフレイムヘイズも所属していたという点で他の組織とは一線を画している。
“征遼の睟”サラカエル一派
19世紀末~20世紀初頭のハワイ近辺で活動していた[革正団]で、“征遼の睟”サラカエルを事実上のリーダーとする一派(上記の見出しは便宜上の仮のもの)。活動拠点はハワイ島マウナロア山の地下基地。
- “征遼の睟(せいりょうのすい)”サラカエル
- 男性の“紅世の王”。炎の色は碧玉。長髪で美麗な男性の聖職者の風貌をしているが、戦闘の際には後光が射して、髪の間に無数の縦に開いた瞳が現れる。
- 理知的な性格で、自分の思想に共感するのであれば、敵であるフレイムヘイズも、“徒”から食われれば非常に弱い人間も、『同志』としてどちらが上も下も無い対等な関係である事を望む。
- 睨んだ対象に自在法を飛ばし、瞳を対象に宿らせる事で強化や干渉を行う自在法『呪眼(エンチャント)』を使う。また『呪眼』である瞳自体を飛ばし、防御や攻撃にも用いる。
- “吠狗首(はいこうしゅ)”ドゥーグ
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は灰色。二足歩行の黒犬の姿をしている。物覚えが悪く、いつも手帳を持ち歩いてさまざまなことを書き付けていた。
- 犬の面と毛皮を付けた岩石獣人の“燐子”『黒妖犬(モディ)』を使う。簡単な命令をこなす程度の最低限の知能しかないが、大量に作り出すことや、機能を凍結させ長期保存させる事もできる。奥の手として『黒妖犬』自身が崩壊するほどの強烈な咆哮を放つ『金切り声(トラッシュ)』を持ち、サラカエルの『呪眼』の強化と組み合わせることで、複数のフレイムヘイズや“紅世の王”をしばらくの間行動不能にさせる事が出来る。
[百鬼夜行]
“紅世の徒”を時代に応じた乗り物で運び、送る事を生業とする運び屋。隠蔽と遁走に秀でた3人の“徒”が営む集団。古くから弱小の“徒”の移動手段や大物の“徒”の隠遁行動の助けなど、多くの“徒”を運び届けてきた。
- “深隠の柎(しんいんのふ)”ギュウキ
- 声 - 北村謙次
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は唐紅。[百鬼夜行]の頭目。長く伸びた首の先に角ばった木彫りの獣顔が付いた、獅子舞や西洋のシーツお化けのような姿の“徒”。シーツ状の体の端からは、必要に応じて木製異形の腕が出て来る。人化した姿は、がっしりした体格の大男。
- 万事において用心深く慎重で、人間を利用する事に長けた[百鬼夜行]の3人の中でも、特に優れた手腕を持つ。物事を説明する際、翡翠でできた兵棋の駒をよく使う。
- 透明な布状の力で覆う事で自身・他人を大人数、大きくも小さくも気配隠蔽を施せる自在法『倉蓑笠(くらのみのかさ)』を使う。これは他者の姿を自分達そっくりに偽装させる事も出来る。
- “輿隷の御者(よれいのぎょしゃ)”パラ
- 声 - 青木強
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は白緑色。[百鬼夜行]の運転手。緑の制服、白手袋、ゴーグルを身に着け、口元にスカーフを巻いた、暗い翳りのような姿。人化した姿は、眼鏡をかけた青年。あらゆる物体を“燐子”に変化させる技巧者で、[百鬼夜行]の乗り物は彼が作り出す“燐子”である。
- 体組織の黒い翳りをばら撒き、それを取り付かせた物体を幾十百も操作する自在法『ヒーシの種』を使う。ただし、ばら撒く範囲が広すぎると制御しきれない場合もある。
- “坤典の隧(こんてんのすい)”ゼミナ
- 声 - 慶長佑香
- 女性の“紅世の徒”。炎の色は竜胆色。[百鬼夜行]の用心棒。外見は20代半ばでざんばら髪を雑に束ね、眼の周りに隈取をした和装の女。人化すると、隈取が無くなる模様。
- 三人中唯一戦闘向きの“徒”で、非常時(主に戦闘・逃走)の対応担当。武器として常にゴツいツルハシを持ち歩いている。
- 地面に大穴を掘り離脱する遁走の自在法『地駛(じばしり)』を使う。地面から遠く離れると使えない。
- “剡展翅(せんてんし)”セムルヴ
- “紅世の徒”。炎の色は銀鼠。[百鬼夜行]の斥候(臨時雇い)。鳥とも竜とも見える姿をしていた。
[巌楹院(ミナック)]
『灼眼のシャナX Eternal song ‐遙かなる歌‐』に登場。16世紀初頭の北フランスで大きな勢力を有していた、“盤曲の台”ゴグマゴーグを首領とする組織。
- “盤曲の台(ばんきょくのだい)”ゴグマゴーグ
- 男性の“紅世の王”。炎の色は憲房色。[巌楹院(ミナック)]の首領。
- 一見すると舞台の上で踊っている等身大の女性型人形の姿をしているが、実はその人形と人形の踊る舞台が丸ごと本体であり、戦闘時には舞台に偽装していた巨大なロボットが迫り上がり、動き出す。女性型人形か巨大ロボットのどちらかにダメージを受けるともう一方もダメージを負う。功を挙げるためには己の部下も城も容赦なく切り捨てる。幻覚を生み出し、幻覚による攻撃の中に実体のある機械人形での攻撃や女性型人形からの炎弾を織り交ぜることで敵を惑わし、巨大ロボットの拳で叩き潰すという戦法を取る。
導きの神と眷属
- “覚の嘯吟(かくのしょうぎん)”シャヘル
- 声 - 甲斐田裕子
- 女性で、『喚起』と『伝播』の権能を司る“紅世”真正の『導きの神』。炎の色は純白。この色は「全てを掻き消す忘我の色」とも称される。神意召喚の儀式名は“嘯飛吟声(しょうひぎんせい)”。
- 実体を持たない神霊として眷属の間を漂う、神としての権能のみに特化した「それだけの存在」(ゆえに神「威」ではなく神「意」召喚となる)。
- 神託が為される際、聞く方にはシャヘルの声が「耳元で叩かれる割れ鐘のように異様なまでに明瞭な、記憶に刻む痛みさえ伴い、遠くから途切れ途切れに響いて来る、聞くものの総身を劈く声」として聞こえる。神託は距離の遠近、因果を断絶させる封絶の内外、聞くつもりの有無に関わらず、強制的に「聞かされ」て、神託を受けている間は禄に身動きも取れなくなる。容易には忘れられない強烈な印象を聞く者に刻み付けるが、その内容を強制する性質は持たない。
- “笑謔の聘(しょうぎゃくのへい)”ロフォカレ
- 声 - 藤田圭宣
- 男性の“紅世の徒”。炎の色は常磐色。“紅世”の導きの神“覚の嘯吟”シャヘルの眷属。大きな三角帽に襟を立てた燕尾服で顔を隠した男で、古風なリュートを抱える。自称「楽師」。「他者を以って己を表現する」という芸術家的な一面を持ち、そのためミカロユスのような同類には一定の敬意を示す。
- 眼によらず遠く離れた場所を見ることが出来る『千里眼』という自在法を使用し、優れた探知・索敵能力(本人曰く感受性)を持つ。
[マカベアの兄弟]
新世界『無何有鏡』が創造された後に、“紅世”から新世界へ渡り来た大量の新来の“徒”たちの一部が結成した集団群の中でも、極めて厄介な集団。
- “潜逵の衝鋒(せんきのしょうほう)”ダーイン
- 声 - 稲田徹(ドラマCD)
- “紅世の王”。炎の色は雄黄色。人化した姿は、恰幅の良い小男。本性は、炎を吹き出す岩石の巨人の姿をしていたが、緊急時には岩石の巨人を地上に残したまま本体を地中に潜伏させることが可能。[マカベアの兄弟]の中で“王子”の称号を名乗る者の一人であり、同じく“王子”であるカルンと行動を共にしていた。
- “紊鎚毀(びんついき)”カルン
- 声 - 矢部雅史(ドラマCD)
- “紅世の王”。炎の色は茶鼠色。人化した姿は、痩せた長身の男。本性は、十余もの鎖付きの鉄槌を振り回す櫓の姿をしていた。“王子”の称号を名乗る者の一人であり、同じく“王子”であるダーインと行動を共にしていた。
[宝石の一味]
人間や“徒”の秘蔵する宝を入手する過程に喜びを見出す変わり者で曲者の“王”四人組。コヨーテを頭目に、フックス、トンサーイ、イナンナの四人で構成され、それぞれ目的や志向の合致で纏まっている。現代まで生存しているかは不明。
- “瓊樹の万葉(けいじゅのまんよう)”コヨーテ
- “紅世の王”。炎の色はナイルブルー。[宝石の一味]の頭目。人化した姿は、三十がらみの愛嬌が特徴といえる容貌の男で、ひょろ長く肩幅が大きい。旅塵にまみれたフード付きオーバーを着込んでおり、両手首に金輪状の鍵束を付けている。
- “狙うかがの疾霆(そしのしってい)”フックス
- “紅世の王”。炎の色はグレイ。容姿や性別は不明。[宝石の一味]に所属する4人の“王”の1人。
- “無比の斬決(むひのざんけつ)”トンサーイ
- “紅世の王”。炎の色はフォッグ。容姿や性別は不明。[宝石の一味]「に所属する4人の“王”の1人。
- “絶佳の望蜀(ぜっかのぼうしょく)”イナンナ
- “紅世の王”。炎の色はマゼンダ。容姿や性別は不明だが、コヨーテは「ちゃん」づけで呼んでいる。
- [宝石の一味]に所属する4人の“王”の1人で、XII巻の回想でヨーハンが言っていた『誇大妄想の狂信的な“王”』とはイナンナのことである。富と美術品の集積に執着する拝金主義者で、コヨーテたち3人は度々その口車と手管に乗って、余計な財宝探しや盗みに駆り出されている。
[轍(ラット)]
“探耽求究”ダンタリオンを信奉する“徒”たちが新世界『無何有鏡』で結成した組織。組織に所属する他の構成員たちを『同門』と呼んでいるが、構成員全員が己をダンタリオンの一番弟子を自称しており、統制され命令を伝え合う繋がりはなく、同志といえる程の熱狂を共にする間柄でもない為、処罰に厳しい。
構成員の誰もがダンタリオンの『一番弟子』を自認する為に、総じて傲慢な性格であり、他の『同門』にも非協力的でなおかつ自分を特別視している為、自分たちを一纏めに呼ばれる事すら不快感を覚え、ダンタリオンの教えを歪んで受け止める他の愚か者と一緒にされては敵わないとまで考える程の、特異な組織。
- “頒叉咬(はんさこう)”ケレブス
- “紅世の徒”。炎の色は老竹色。[轍]の一員。
- 人化した姿は作業着姿の貧相な小男で、本性は三つ頭の烏。使用する自在法『ストマキオン』は、本来は一定の法則に従って自在式を組み上げるだけの力で、せいぜい自在法の効率化程度にしか使えない力である。
- “攵申(ひょうしん)”ギータ
- “紅世の徒”。炎の色は錆浅葱色。[轍]の一員で、外見は巨大な肉食恐竜に類似した姿。
『色盗人(いろぬすびと)』
新世界が創造されてから数年後に、多数の“徒”やフレイムヘイズから固有の炎ごと“存在の力”の一部を奪って、その奪った炎を自分たちに継ぎ足して自身を強化して、新世界各地で暴れていた“紅世の徒”の集団。なお、『色盗人』という呼称は自分たちで名乗ったものではなく、他称である。根拠地は首領である“踉蹌の梢”バロメッツが滞在していたアメリカ合衆国北東の荒野のゴーストタウンで、バロメッツたちは根拠地を『桃源(エデン)』と呼称していた。
- “踉蹌の梢(ろうそうのすえ)”バロメッツ
- “紅世の王”。炎の色は極彩色。『色盗人』の首領で、人化した姿は様々な生地を継ぎ接ぎしたコートを纏った青年。この世(旧世界)では、息を潜めて生きる半端な自在師の“紅世の王”でしかなかったが、新世界へ渡り来た後に“存在の力”が無限に満ちているのを利用して改良した特殊な隠蔽と潜伏を特性とする罠の自在法『啖牙の種(マールス)』を指先大の種として新世界各地にばらまいて、条件付けに引っかかったフレイムヘイズや“徒”たちの“存在の力”の一部を炎ごと無理矢理に本体のバロメッツの元に転移させた。また、株分けさせた分身を存在に寄生させて強化を行う自在法『隠羽織(ミュステリア)』も使用して『啖牙の種』で奪い取った“存在の力”を吸収せずに保存した状態のまま自他の存在に根付かせることで、“存在の力”の統御限界を継ぎ足す方法を編み出して、安易に力を欲する“徒”たちに『隠羽織』を施術する必要条件である相手の同意を得た上で『隠羽織』を施術して分け与えることで寄生させて、本人たちに気づかせないまま被施術者の“徒”たちを自分の分身にして支配し、支配と勢力拡大を続けていた。