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漫画を描く人 ウィキペディアから
「漫画家」は、漫画作品を作る。脚本のみを作る者は「漫画原作者」。脚本と作画の両方を作る者も作画のみを作る者も「漫画家」である。ただしアマチュアが増加している事を考慮すると、漫画の作家全般と捉える事もできる。漫画風のイラストの需要が高いため、イラストレーターを兼ねている場合があり、明確な区別は難しい。
画家でも脚本家でも小説家でも書道家でも、創作活動に対して対価を受け取る者は「先生」と呼ばれるのが一般的である。漫画家も例外ではなく、商業誌(大小や種類を問わず)でデビューした漫画家は、「先生」の敬称を付けられる。
メディアへの露出に関しては、様々である。いしいひさいちのようにメディア露出を避ける漫画家がいる一方、江川達也、蛭子能収、やくみつるのように積極的にテレビ出演する漫画家もいる。さくらももこ、尾田栄一郎のようにメディアにしばしば登場し私生活を明らかにしながらも、素顔を出すことを拒む者もいる。また、雑誌や単行本での顔写真の公開・非公開についても、人により様々である。
また、CLAMPを始めとした共有筆名(ペンネーム)で活動する漫画家の集団もいる。この場合、作画を行わない者(単独であれば「漫画原作者」とされる者)が含まれていても「漫画家」の集団と見做される。
漫画家の中にはアシスタントを雇う者も存在する。アシスタントが担う作業の内容や量は、雇用主となる漫画家によって大きく異なる。一般には、ストーリー構成・下書き・主要人物のペン入れまでは漫画家自身が担当し、群衆や背景の描写・ベタ塗り・消しゴムかけ・スクリーントーンを貼る、集中線などの画面効果を入れるといった、高度な作画技術を要しない作業や絵柄の個性が重視されない手間のかかる作業はアシスタントに任せる場合が多い。また雇用主となる漫画家によっては、アシスタントにストーリー構成やスケジュール管理、食事の用意[注 1]など作画以外の作業に従事させる事例もある。
漫画家がアシスタントを雇う背景には、漫画の主な発表媒体が貸本から月刊雑誌そして週刊雑誌と幅広くなるに従い、主に週刊誌などで漫画を一人で完成させることが時間的に難しくなったことがある。漫画家とアシスタントは雇用関係にあるため、また絵柄を安定させるため、専属化している事例が多いが、専属のアシスタントを雇わず知人や駆け出しの漫画家にアシスタントを依頼する者も少なくない。アシスタントの給料は雇っている漫画家が支払うため、人件費を捻出できない漫画家は自然と全てを一人で製作せざるを得ず、収入に乏しい漫画家の中にはアシスタントへの給料を支払うために原稿料の前借や借金、個人資産の売却などを行う者もいる。なお最近では、パソコンを使用した漫画制作のデジタル化の影響から全ての作画を一人でこなす漫画家の比率が増えてきている。これは、アシスタントに任せる手間のかかる作業がデジタル化により短時間で容易にできるようになったためである。また、アシスタントを雇う費用の削減にもなる。アシスタントの中にはデジタル作業を主体(あるいは専門)とする者もおり、彼らは特に「デジアシ」と呼ばれる。
漫画家の多くはプロデビュー前に専属アシスタントを経験しており、アシスタントからプロデビューした際にも、作風・技法について従事していた作家の影響を受けていることが多く、基本的には師弟関係が成り立っている(小畑健→和月伸宏→尾田栄一郎・武井宏之など)。ただし全てのプロ漫画家がアシスタントを経験しているわけではなく、アシスタントを経験せず投稿などから直接プロデビューした者もいる(北条司、吾峠呼世晴など)。
アメリカや香港などでは、漫画の制作は全てを分担して作業していて役職名も細かく表示される。日本でも、単行本になった際に「スタッフ」などといった表記で紹介されることがある(専用のクレジット表示欄などはなく、あくまで漫画家の任意によるもの)。日本ではアシスタントの地位が低く、漫画家として独立しない限りはメジャーにはなれない存在である(もちろん、アメリカンコミックで作画の補助を行うアシスタント達がメジャーな存在かは疑問ではあるが、日本の場合ストーリー制作やプロダクションのマネジメントにまで関わるチーフアシスタントですら基本的に日陰の存在である)。
スタジオとして漫画を制作していることを公にしている漫画家にさいとう・たかを、本宮ひろ志などがいる。売れっ子となった際に所得税対策(節税)により漫画家活動を法人化する作家も多い(一部は作者クレジットや著作権利表記にスタジオ名が併記されている)。又、話作りだけを担当する漫画専門の原作者(漫画原作者)も少なくない。
なお少数ながら、主体となる漫画家に公認された二次作品が、スタジオや(元)アシスタント名義で発表される事例も見られる(『名探偵コナン』『金田一少年の事件簿』、直接の師弟関係ではないが『半妖の夜叉姫』、作者没後にも関連作品が発表されている『ドラえもん』『新ナニワ金融道』など)。稀な例ではあるが、作者没後に生前の構想に基づいてスタジオや(元)アシスタントによって完結まで作品が描かれた『サイボーグ009』『ベルセルク』と言った例もある。
共同筆名とスタジオは明確に区別されるが、両者を区別する基準は特に存在しない。ただし多くの場合、共同筆名は「漫画製作の主体者」として互いが対等な関係であり、プロデビュー前から共同で漫画製作を行っている、スタジオは「漫画製作を補助する集団」として主体者と主従関係にあり、プロデビュー後に漫画製作に加わる、と言った傾向が見られる。
また作品の内容によっては、共同筆名でもアシスタントでもスタジオでもない、作画や設定、考証等の「協力者」が外部から付く場合もある(軍事考証が付いた『ヨルムンガンド』、医療監修が付いた『はたらく細胞』、ネーム担当者が付いたコミカライズ版『ロード・エルメロイII世の事件簿』など)。これは主体者となる漫画家が、作品に必要な全ての知識を網羅・検証できず、それを補完する必要があるためであり、漫画製作の主体者に準ずる存在として位置づけられる。連載作品の場合、連載途中から協力者が付く事例も見られる。
売れなければ収入にならないと思われがちだが、出版物は基本的に刷られた時点で印税(価格の5% - 15%)が発生する。逆に言えば、在庫が少しずつ売れていても増刷がかからなければ全く作家の収入にはならない。
収入の差が極めて大きい。稼ぎの少ない漫画家ではアシスタント代を払うことすら困難な場合もあり、借金生活を余儀なくされている者もいる。その一方で、作品が大ヒットした漫画家は、作品のアニメ化やキャラクターグッズ化などのメディアミックス化も相俟って、年収十億円を超える事すらある。収入の多い漫画家のアシスタントが数千万円を超える年収を得ていることもあるが、こういった例はごく僅かである。
売れない作家の収入が低いのはあらゆる表現媒体に共通しているが、漫画家においては、売れっ子の収入が極めて高くメディア等で取り上げられる機会も多いため、売れない者の収入の低さがより際立つようである。人気の浮き沈みが激しくかつてヒットを飛ばした漫画家が廃業し別の業界に転職したり、アシスタント専業として生計を立てていたりと安定した職業とは言いがたい現状にある。
ただし、日本の「漫画産業」は、作家の資質・関心が現在の時流にミスマッチである場合を除き、一定水準の才能を持つものが地道に努力すれば充分に生活が成り立つだけの裾野を持っていることも事実である。コンピュータゲーム・広告・一般書籍・情報誌などにおいて、漫画や漫画調のイラストレーションなどのコンテンツの需要は大きくなっており、こうした媒体がヒット作のない漫画家や漫画家志望者の収入源となっている側面が無視できない。近年は商業漫画誌に執筆しつつ同人作家を兼業している者も多く、作家によっては同人誌からの収入の方が商業誌からの収入より多い場合もある。
以前から一部の漫画家は慈善活動等を行ってきたが、東日本大震災の発生を受けて大勢の被災者を支援するために出版社の枠を超えて共同で東日本大震災チャリティ同人誌「pray for Japan」に多くの志ある漫画家が執筆した[1]。赤い羽根共同募金に協力する漫画家もいる[2]。
ここでは、過去と現在の別なく、日本の漫画家と特筆性の高い関係が見られる地域について記載した。
まずは、施設および地域と、イベント開催地に大別し、前者は「その件に関する最初の由来が生じた時期」を基準に時系列で記載した。
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