ボーイング737型機の事件・事故一覧 は、アメリカのボーイング社 が製造したボーイング737 型機の関わった航空事故や事件及びインシデントを一覧にしたものである。本記事では-100/-200型機 、-300/-400/-500型機 、-600/-700/-800/-900型機 、MAX7/MAX8/MAX9 ごとに記載する。
ボーイング737は、1968年2月から運用され続けている旅客機で、最も売れ続けている商用ジェット機 である[1] 。2018年3月時点で、10,000機以上が生産された[2] 。
アビエーション・セーフティー・ネットワーク によれば、ボーイング737では222機が全損に至っている[3] 。そのうち203件が事故によるものであり、合計で4,796人が死亡している。テロ 行為などによるものは8件であり、525人が死亡している。その他、ハイジャックは115件報告されており、326人が死亡している[4] 。ボーイング737で発生した初めての全損事故は1970年 7月19日 に起きたユナイテッド航空611便の事故で、初の死亡事故は1972年 12月8日 に起きたユナイテッド航空553便墜落事故 (英語版 ) (死者45人)である。2019年5月時点で、最悪の死者数を出したのは2017年 10月29日 に発生したライオン・エア610便墜落事故 (死者189人)である[5] 。最新の事故は2022年 3月21日 に発生した中国東方航空5735便墜落事故 であり、最新の事件は2020年 1月8日 に発生したウクライナ国際航空752便撃墜事件 である[6] 。また、ボーイング737では機体の欠陥による事故が数件発生している。初期に生産された機体では特定の条件下において、方向舵が制御不能に陥るという現象が起き、少なくとも3機が制御不能に陥った。そのうち、ユナイテッド航空585便 とUSエアー427便 が墜落し、イーストウインド航空517便 が緊急着陸した[7] [8] 。
詳細は「
ボーイング737型機の方向舵の問題 (英語版 ) 」を参照
その他、シリーズ最新鋭機であるボーイング737MAXでも設計上の問題による事故が発生している。2018年に発生したライオン・エア610便墜落事故 と2019年に発生したエチオピア航空302便墜落事故 で、737MAXに搭載された操縦特性補助システム (英語版 ) が事故を誘発したとされている[9] 。これに伴い、2019年3月より737MAXシリーズは全世界で飛行停止処分になっており、2020年1月現在も続いている[10] 。
1970年代
1970年
1970年 7月19日 - ユナイテッド航空611便(B737-222/N9005U)がフィラデルフィア国際空港 からの離陸時に、大きな音が聞こえ右に逸れ始めたために機長が離陸中止を決断。しかし、機体がV2速度を越え、50フィートほど上昇していたため、滑走路09上で停止できず1,634フィートほどをオーバーランし停止した。乗員乗客61人は全員無事だった[11] 。
1972年
1972年 7月5日 - パシフィック・サウスウエスト航空710便 (英語版 ) (B737-200)を、2人の男がハイジャックし、80万ドルとソ連への亡命を要求した。最終的に、ハイジャック犯2人と乗客1人が死亡した[12] 。
ユナイテッド航空553便の墜落現場
1972年12月8日 - ユナイテッド航空553便 (英語版 ) (B737-222/N9031U)が、シカゴ・ミッドウェー国際空港 への着陸進入中に失速して墜落した。乗員乗客61人中43人と地上の2人の計45人が死亡した。737型機で発生した初めての航空事故[13] 。
1973年
1973年12月17日 - ルフトハンザ航空303便 (英語版 ) 737-100(B737-130/D-ABEY)が、フィウミチーノ空港での襲撃事件で5人の男にハイジャックされ、クウェートまで飛行した。乗員乗客14人中2人が死亡した[註 1] [15] [16] 。
1975年
1975年 3月31日 - ウエスタン航空470便(B737-247/N4527W)がキャスパー-ナトロナ・カウンティ国際空港 (英語版 ) へ着陸した際に、滑走路を800フィートほどオーバーランし停止した。乗員乗客99人中4人が怪我を負った[17] 。
1977年
オーバーランしたブラーテンズSAFE機
1977年10月31日 - ブラーテンズSAFE (英語版 ) 機(B737-205/LN-SUD)が、クリスチャンサン空港 (英語版 ) への着陸時に滑走路をオーバーランし、ノーズギアが破損した。乗員乗客49人は全員無事だった[19] 。
1979年
1979年 4月26日 - インディアン航空機(B737-2A8/VT-ECR)が、飛行中に前方トイレで爆弾が爆発。緊急着陸を行い、乗員乗客67人は全員無事だった[25] 。
1980年代
1980年
1980年 11月4日 - TAAGアンゴラ航空444便(B737-2M2C/D2-TAA)が、ベンゲラ空港 (英語版 ) への着陸時に滑走路の4メートル手前に接地し、着陸装置が壊れ900メートル程滑り、右翼で火災が発生した。乗員乗客134人は全員無事だった[26] [27] 。
1983年
1983年5月27日 - LAMモザンビーク航空機(B737-2B1/C9-BAB)が、ケリマネ空港 (英語版 ) への着陸時に失速し、滑走路の400m手前に墜落し、機体が破損した。乗員乗客110人は全員無事だった[41] 。
1984年
1984年 2月9日 - TAAGアンゴラ航空機(B737-2M2/D2-TBV)が、8,000フィート付近を上昇中に、後部で爆発がありノバ・リスボア空港 へ引き返した。油圧管が損傷し、フラップが出せなかったため、機体はオーバーランした。乗員乗客142人は全員が無事だった[51] 。
1985年
1985年6月21日 - ブラーテンズSAFE 139便 (英語版 ) (B737-205/LN-SUG)が、トロンハイム空港 (英語版 ) からの離陸後にハイジャックされ、機体はフォルネブに着陸。ハイジャック犯は後に逮捕された。乗員乗客121人は全員無事だった[55] 。
誘導路上で炎上するブリティッシュ・エアツアーズ28M便
1986年
1986年12月25日 - イラク航空163便 (B737-270C/YI-AGJ)がハイジャックされ、ハイジャック犯が手榴弾を爆発させたため、緊急着陸を試みたものの、制御不能に陥りサウジアラビアの砂漠に墜落した。乗員乗客106人中63人が死亡した[61] 。
1988年
緊急着陸を行ったアロハ航空243便
1988年9月26日 - アルゼンチン航空648便(B737-278/LV-LIU)が、ウシュアイア国際空港 への着陸時にオーバーランし、機体は水深2mの浅瀬で大破した。乗員乗客62人は全員無事だった[68] 。
1989年
1989年 2月9日 - LAMモザンビーク航空機(B737-2B1/C9-BAD)が、リシンガ空港 (英語版 ) への着陸時にオーバーランし、エンジン1基が脱落した。乗員乗客108人は全員無事だった[70] [71] 。
1989年9月3日 - ヴァリグ・ブラジル航空254便 (B737-241/PP-VMK)が、マラバ空港 (英語版 ) からの離陸後、誤った経路を飛行し燃料切れに陥った。パイロットはジャングルへ機体を不時着させた。機体は不時着から44時間後に発見され、生存者は救助された。乗員乗客54人中13人が死亡した[72] [73] 。
1990年代
1992年
1992年6月22日 - VASP貨物便(B737-2A1C/PP-SND)が、クルゼイロ・ド・スール国際空港 (英語版 ) へ着陸進入中に、貨物室の警報が作動した。パイロットは警報に気を取られ、滑走路手前のジャングルに墜落。乗員乗客3人全員が死亡した[82] 。
1994年
1994年12月21日 - アルジェリア航空702P便 (英語版 ) (B737-2D6C/7T-VEE)が、バギントン空港 (英語版 ) への着陸進入中に、滑走路から1.8km手前にある送電線に接触した。左翼と左エンジンが脱落し、機体は左に回転しながら森林地帯に墜落。乗員5人全員が死亡した[85] 。
1995年
1995年12月3日 - カメルーン航空3701便 (英語版 ) (B737-2K9/TJ-CBE)が、ドゥアラ国際空港 への着陸進入中に、第1エンジンが低出力状態となった。一方の第2エンジンは高出力状態だったため、機体は左に急旋回し墜落。乗員乗客76人中71人が死亡した[88] [89] 。
1996年
墜落したIFO-21便
2000年代
2007年
2007年6月28日 -TAAGアンゴラ航空機(B737-2M2/D2-TBP)が、ンバンザ・コンゴ空港 (英語版 ) への着陸時に滑走路をオーバーランした。乗員乗客78人中5人と地上の1人が死亡した[116]
1980年代
1989年
滑走路手前に散乱するブリティッシュ・ミッドランド航空92便の残骸
2000年代
2001年
2001年 3月5日 - タイ国際航空114便 (英語版 ) (B737-4D7/HS-TDC)が、ドンムアン空港 で原因不明の爆発に見舞われた。同機にはタイの首相が搭乗予定だったが、搭乗前に爆発が発生したため事なきを得た。乗員8人中1人が死亡した[145] 。
2005年
2005年8月14日 - ヘリオス航空522便 (B737-31S/5B-DBY)が、飛行中に減圧に見舞われ、パイロットが意識を失った。機体はそのまま飛び続け、グランマティコ (英語版 ) 付近に墜落した。乗員乗客121人全員が死亡した[149] 。
2006年
2006年10月3日 - トルコ航空1476便 (英語版 ) (B737-4Y0/TC-JET)が、ギリシャ上空を飛行中にハイジャックされた。ハイジャック犯は機体をイタリア のブリンディジ へ着陸させた。犯人はイタリアで逮捕され、乗員乗客113人は全員無事だった[154] 。
2007年
大破したアダム航空172便
2009年
2009年 7月13日 - サウスウエスト航空2294便 (英語版 ) (B737-3H4/N387SW)が、飛行中に機体が破損し急減圧が生じた。そのためパイロットはチャールストンへ緊急着陸を行った。乗員乗客131人は全員無事だった[160] 。
2000年代
2005年
オーバーランしたサウスウエスト航空1248便
2007年
炎上したチャイナエアライン120便の残骸
2009年
墜落したトルコ航空1951便
2010年代
2013年
2013年7月22日 - サウスウエスト航空345便 (英語版 ) (B737-7H4/N753SW)が、ラガーディア空港 への着陸時に着陸装置を破損させた。ノーズギアが折れ、機体は前のめりの状態で停止した。乗員乗客150人中9人が負傷した[200] 。
2016年
2016年8月27日 - サウスウエスト航空3472便 (英語版 ) (B737-7H4/N766SW)が、メキシコ湾 上空を飛行中にエンジン1基が破損した。パイロットはペンサコーラ国際空港 (英語版 ) への緊急着陸を行った。乗員乗客104人に怪我はなかった[206] 。
2020年代
2024年
2024年 1月5日 - アラスカ航空1282便 (B737-MAX9/N704AL)が、ポートランド国際空港 から離陸6分後に機体後部の非常ドア準備工事部が飛散、急減圧が発生した。機体は緊急降下および緊急着陸に成功し、乗員・乗客177名は生還したが、その一部に負傷者が出た。この事故を受け、アメリカ連邦航空局(FAA)は耐空性改善通知(AD)を発令し、事故機と同仕様の737-MAX9型機について一時的な飛行停止および緊急点検をオペレーター各社に指示した。[225]
註釈
2018年現在、ハイジャック犯が何者で、コックピットで何があったかは、解明されていない。また、クアラルンプール空港の関係者によると、パイロットがハイジャック犯は日本赤軍 のメンバーだと報告していた。
出典
Aircraft Accident Report: United Airlines Flight 585, Boeing 737-291, N999UA, Uncontrolled Collision With Terrain for Undetermined Reasons, 4 Miles South of Colorado Springs Municipal Airport, Colorado Springs, Colorado, March 3, 1991 . National Transportation Safety Board . (December 8, 1992). NTSB/AAR-92/06. http://libraryonline.erau.edu/online-full-text/ntsb/aircraft-accident-reports/AAR92-06.pdf January 17, 2016 閲覧。
Arab Hijackers Land in Kuwait; Hostages Freed," The New York Times, December 19, 1973. Page 1.
Germano da Silva, Carlos Ari César (2008). “Rumo errado” (Portuguese). O rastro da bruxa, história da aviação comercial brasileira no século XX através dos seus acidentes 1928-1996 (2 ed.). Porto Alegre: EDIPUCRS. pp. 352–360. ISBN 978-85-7430-760-2