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『まぼろしの邪馬台国』(まぼろしのやまたいこく)は、宮崎康平による日本の書籍。宮崎の半生と邪馬台国が島原にあるという学説とを同時に記した作品であり、小説でもなく評論でもなく分類が難しい作品。2008年(平成20年)秋、吉永小百合主演で映画化された。
1965年(昭和40年)より「九州文学」に連載開始され、1967年(昭和42年)、講談社から出版される。同年、康平と妻和子の二人で第一回吉川英治文化賞を受賞した。
「邪馬台国はどこにあったか」という、いわゆる邪馬台国論争は専門の学者らの間でしか語られていなかったが、本作がきっかけとなり、一般人にまでその論争に火が点いた。邪馬台国の位置については、畿内説と九州説の二大仮説があり、宮崎は九州説を支持していた。
1968年、菊田一夫脚色により「まぼろしの邪馬台国」が東京宝塚劇場で演劇として上演された。
1980年(昭和55年)、その後の更なる研究内容が加筆された決定版が出版された。書籍はいずれも絶版であったが、2008年(平成20年)8月に講談社より新装版が発売された。
本作は和子からの視点を中心に展開され、戦乱期の悲劇、康平との出会い、康平の目代わりとなって「邪馬台国探し」を続けて大成するまでの半生を軸に脚色して描かれており、原作との接点はあまり無い。
『本格科学冒険映画 20世紀少年 3部作』が近作であった堤幸彦が監督を務め、同作でも多用したスタジオセットやVFXを用いて作品の舞台の中心である昭和30-40年代の時代風景を忠実に再現している。また、主演の吉永小百合が劇中で30歳前半から50歳代までと年齢に幅のある和子役と康平の想像の中での卑弥呼を演じたこと、劇中歌のタイアップでセリーヌ・ディオンが日本語で歌唱する「ワールド・トゥ・ビリーヴ・イン 〜ヒミコ・ファンタジア」を使用したことが話題となった。
なお、宮崎和子の少女時代を演じた宮﨑香蓮は、宮崎康平の実の孫である。
邪馬台国があった場所を生涯探し続けた宮崎康平と、盲目の康平を支え続けた妻・和子の物語。
NHK福岡放送局のラジオ番組「九州の歴史」でMCを務めるフリーのラジオ声優(現代で言うパーソナリティー)・和子は、島原鉄道(島鉄)社長かつ郷土史家である全盲の奇人・宮崎康平を番組に迎える。康平は情熱とかたくなさと包容力を併せ持つ人物であり、一声で和子にほれた康平は帰り際に島原へ来るよう勧める。
康平に対して怪訝(けげん)な印象を持ったが番組の打ち切りで時間の空いた和子は、島鉄本社を訪ねる。そこで和子が見たものは、傲慢なワンマン社長でありながら情に厚い康平の姿だった。康平は賃金の安さに不満をもつ社員のために観光バス事業を始め、和子をバスガイドの教師(講師)に任命すると言いだすが、和子の宿泊先として送り込んだ旅館で付けを溜め込んでいることを知り、康平は金に対して非常に無頓着であることを知る。
観光バスは軌道に乗ったように見えたが、のちの集中豪雨で鉄道が土砂災害に遭う。線路沿いを歩いていた康平はふとしたことから縄文土器に命を救われ、「邪馬台国は九州にある」と仮説を立てることになる。しかし放漫経営がたたり康平は島鉄社長罷免の憂き目に遭い、和子は福岡に帰ろうとするが、康平からプロポーズを受け思いとどまる。康平の人となりにひかれた和子は事実婚となり、魏志倭人伝を和子の読み聞かせにより読み解くなど邪馬台国の位置を研究することに情熱を燃やすことになる。家計が逼迫(ひっぱく)するものの、康平の助言で島原鉄道から有明銀行に転職した矢沢の計らいで頭取から当座の生活費の支援を受け、九州中を行脚する旅に出る。
1967年(昭和42年)に「まぼろしの邪馬台国」のブームが巻き起こる。康平は社業に復帰しバナナ園を開設させ、長男誠からは実妻の朋子の署名捺印(なついん)入りの離婚届を受け取り、事実婚であった和子と正式に婚姻する。そして「まぼろしの邪馬台国」の内容に満足しなかった康平は新たな探訪を始めた。1973年(昭和48年)、康平は「邪馬台国が埋もれている場所」を探し当て、そこに卑弥呼と邪馬台国が存在したと回想し、その場で倒れ、生涯を終える。
『まぼろしの邪馬台国』の題字 修悦体 佐藤修悦
宮崎康平監督と主演の吉永小百合が島原の宮崎の実家を訪ねた際に、宮﨑香蓮が受賞していた国民的美少女コンテストのトロフィーを見て驚き、「もう事務所には所属しているのか?」と尋ねられた。その時宮崎香蓮はすでにオスカープロモーションに所属していた。
宮崎監督と吉永が実家を訪れたことを、香蓮はオスカープロモーションに伝えるのが若干遅れ、大変に怒られたがその後、無事に宮崎和子の少女時代に抜擢されることとなった。
(以上、2022/7/6ラジオビバリー昼ズ出演時の本人談)
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