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1989年のスパイ/アクション映画 ウィキペディアから
『007/消されたライセンス』(ダブルオーセブン けされたライセンス、原題: Licence to Kill)は、ジョン・グレン監督の1989年のスパイアクション映画。映画「ジェームズ・ボンド」シリーズ第16作。ティモシー・ダルトンがジェームズ・ボンドを演じた2作目にして最後の作品である。暴力的な場面が多く、アメリカではシリーズ初めてPG-13指定を受けた。オリジナルストーリーであるが、イアン・フレミングの短編集『007号の冒険』のうちの一編「珍魚ヒルデブラント」から登場人物(クレスト)を用いている。
007/消されたライセンス | |
---|---|
Licence to Kill | |
監督 | ジョン・グレン |
脚本 |
マイケル・G・ウィルソン リチャード・メイボーム |
原作 | イアン・フレミング |
製作 |
マイケル・G・ウィルソン アルバート・R・ブロッコリ |
出演者 |
ティモシー・ダルトン キャリー・ローウェル ロバート・デヴィ タリサ・ソト ベニチオ・デル・トロ アンソニー・ザーブ エヴェレット・マッギル フランク・マクレー デヴィッド・ヘディソン ロバート・ブラウン デスモンド・リュウェリン キャロライン・ブリス |
音楽 | マイケル・ケイメン |
主題歌 |
「消されたライセンス」 グラディス・ナイト |
撮影 | アレック・ミルズ |
編集 | ジョン・グローヴァー |
製作会社 |
イーオン・プロダクションズ ダンジャック メトロ・ゴールドウィン・メイヤー ユナイテッド・アーティスツ |
配給 |
MGM/UA Communications Co. UIP |
公開 |
1989年6月13日 1989年9月30日 |
上映時間 | 133分 |
製作国 |
イギリス アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $42,000,000[1] |
興行収入 |
$156,167,015[1] $34,667,015 |
配給収入 | 7億円[2] |
前作 | 007/リビング・デイライツ |
次作 | ゴールデンアイ |
シリーズの分岐点となる作品である。本作を最後に、ボンド、M、マニーペニーと、Q以外のMI6のメンバーを演じた俳優は全て交代する。5作連続で監督をつとめたジョン・グレンもシリーズから離れた。第1作からの脚本を手がけてきたリチャード・メイボーム、メイン・タイトルをデザインしてきたモーリス・ビンダーがともに他界したためガンバレル・シークエンスも次回作からショーン・コネリー時代から受け継がれたビジュアルが大幅に変更された。また、冷戦構造を背景としたストーリーも本作が最後の作品となった。これに伴い、次作からはボンドの所属組織本部もユニバーサル貿易から実際のMI6本部になる。
ボンド(ティモシー・ダルトン)は親友であるCIAのフェリックス・ライター(デヴィッド・ヘディソン)の結婚式に参列するため、ライターと彼の友人でボートのチャーター業を営むシャーキー(フランク・マクレー)とともに会場へ向かっていた。その途上、「サンチェスが小型機で現れた」とDEA(Drug Enforcement Administration=麻薬取締局)から連絡を受け、ボンドとライターはシャーキーだけを会場へ向かわせ、沿岸警備隊のヘリに乗り換えて現場へ向かう。サンチェス(ロバート・デヴィ)はDEAが長年追っている麻薬王だったが、自身の人脈で固めて大統領(ペドロ・アルメンダリス・Jr)さえ意のままにする南米某国の地元を離れてアメリカ領内に姿を見せたということは、二度とない捕獲のチャンスだった。
サンチェスが現れた理由は、妻のルぺ(タリサ・ソト)が愛人と会っている現場を急襲し、彼女を連れ帰ることであった。愛人は殺され、サンチェスはルぺを鞭打つ。飛行場に着いたボンドたちはサンチェスたちと銃撃戦になり、サンチェスは部下やルぺを残してセスナ機に乗って離陸する。彼をヘリで追ったボンドはセスナ機をワイヤーで釣り上げて捕らえ、サンチェスとともにスカイダイビングで花嫁デラ(プリシラ・バーンズ)が待つ教会に降り立った。皆から祝福を受ける中、ライターとデラは結婚祝いのライターをボンドに手渡す。
しかし、サンチェスは買収したDEA捜査官キリファー(エヴェレット・マッギル)の手助けで護送車から逃亡し、手下であるクレスト(アンソニー・ザーブ)が営む海洋生物研究所に身を隠す。クレストはサンチェスのコカインをアメリカ国内に流し、売上金をサンチェスに渡す役割を担っていた。サンチェスは新婚初夜のライター夫妻を襲いデラを殺したうえ、ライターを拉致して、研究所で飼われているサメに片足を食いちぎらせてしまった。
帰国しようとしていたボンドは、空港でサンチェスの逃亡を知りライター宅に急ぐも、そこで無残なライター夫妻の姿を発見する。ライターは一命を取り止めたが、復讐を誓ったボンドは、シャーキーとともに調査を始めてクレストの研究所に目星をつけ、忍び込むと隠されたコカインを発見する。そして200万ドルの報酬を持って逃亡しようとしていたキリファーからサンチェスの取引情報を聞き出した後に、サメの餌にして落とし前をつける。しかし、ボンドの任務を逸脱した行為に対してM(ロバート・ブラウン)が自ら訪米、当初予定されていた任務を遂行するよう指示する。ボンドは復讐心と忠誠心との間で苦悩するものの、その場で辞意を示し逃走。Mは内心でボンドの無事を祈る。
ボンドはクレストの船に潜入し、そこで再会したルぺに何故サンチェスに従うのかを詰問するが、彼女も彼に盲従しているわけではないと明かす。そんな中、シャーキーが発見されて殺される。クレストは飛来した水上飛行機に売上金を運び、卸された新たなコカインを引き取ろうとするが、ボンドは水中でコカインを破棄してしまう。クレストたちに追われたボンドは水上飛行機を奪い、乗っていたサンチェスの部下たちを突き落とすと、500万ドルとともに逃げ去る。さらにライターが残した協力者リストからDEA情報員パメラ(キャリー・ローウェル)の存在を知り、彼女を訪れて危機が迫っていることを伝える。そこへサンチェスの部下であるダリオ(ベニチオ・デル・トロ)たちがパメラを抹殺するために現れ、乱闘の末にボンドとパメラは脱出に成功する。陸軍のパイロット上がりで修羅場での経験が豊富なパメラに、ボンドはサンチェスの母国へ向かう手助けを求める。
サンチェスの母国に到着したボンドは、奪った大金をサンチェスが経営する大銀行に預ける。さらにサンチェスのカジノに行って高額なゲームを行い、そこへディーラーとして現れたルぺに頼んでサンチェスに面会すると、求職中の工作員であると自らを売り込む。ボンドとパメラがいったんホテルへ戻ると、本部のマネーペニー(キャロライン・ブリス)が秘密裏に手配したQ(デスモンド・リュウェリン)が休暇を装って合流しており、ボンドに各種の秘密兵器を託す。
ボンドはカジノの向かいにある建物からサンチェスを狙うが、別の窓にパメラが現れ、サンチェスの側近と言葉を交わす姿に驚愕する。ボンドはカジノの防弾窓を爆破するも狙撃に失敗し、そこへ乱入した男たちに捕らえられる。彼らの正体は香港の麻薬取締官で、サンチェスが新規取引を交渉している中国の麻薬業者たちに交じっていたところ、ボンドが数年がかりの潜入捜査を妨害した形となったのだった。ボンドは彼らに同行していたMI6エージェントに睡眠薬を投与されるが、その直後にサンチェスの息がかかった軍部隊からの攻撃を受け、ボンドだけが生き残る。
ボンドが目覚めると、そこはサンチェスの邸宅であった。サンチェスから信用され始めたボンドは、昨日の襲撃犯の正体は不明だが、今日やってくる身内の者から報酬を受け取るようだ、と彼に告げて、疑いの目をクレストに向けさせる。ボンドはルぺの協力で邸宅を抜け出すと、ホテルで待機していたパメラを詰問する。しかし、彼女はサンチェスの側近を抱きこんで司法取引に持ち込もうとしていたところ、ボンドが襲撃を仕掛けたことで台無しになったのだった。
復讐心に燃えるあまり独断専行に走り、何もかもぶち壊しにした責任を感じるボンドだが、サンチェス追求の手を緩めず、預けた現金を銀行から引き出した。そして入港したクレストの船へパメラとともに潜入すると、現金を船内の圧力チャンバーに戻す。出迎えに来たサンチェスに対し、クレストは売上金を奪われたいきさつを釈明する。ところが現金が見付かったことでサンチェスはクレストが横領ばかりか暗殺までも企んだと激昂し、彼を圧力チャンバーに閉じ込め、急減圧させて殺害する。サンチェスは邸宅に戻ると、先に戻って寝たふりをしていたボンドを起こし、秘密のコカイン工場へ同行させると告げる。一方でルぺは密かにパメラとQのもとを訪れ、サンチェスがボンドについて調べを進めていると警告する。
コカイン工場は人里離れた荒野に建つ新興宗教本部の施設内に設けられていた。代表を務める伝道師ブッチャー博士(ウェイン・ニュートン)はテレビ放送で寄付を募っていたが、実は放送で読み上げられる目標金額と寄付金額は符丁で、アメリカとのコカイン取引に用いられていた。そしてサンチェスの新たな拡販計画は、ガソリンにコカインを混ぜてタンクローリーごとアジアへ密輸しようとするものだった。ボンドは中国の麻薬業者たちとともに施設を見て回るが、ダリオがボンドの正体に気づき、研究室で拳銃を突きつける。とっさにボンドは、コカインを分離した後でサンチェスが戯れに火を点けたガソリンサンプルを室内に投げ付け、コカイン工場は火の海と化した。捕らえられ手足を縛られたボンドは固形コカインを砕く破砕機に落とされそうになるが、そこへ新興宗教の支援者を装って侵入したパメラが駆け付け、ダリオを破砕機に引き落としたボンドは生還を果たす。
炎上したコカイン工場を後にしたボンドたちは脱出した三台のタンクローリーを追い、一台また一台とコカイン入りガソリンごと炎上させる。そして荒野のカーチェイスの結末は、ボンドとサンチェスとの一騎討ちとなった。横転し擱座した最後のタンクローリーから漏れ出すガソリンを浴びてなおボンドにとどめを刺そうとするサンチェスに対し、血まみれ埃まみれのボンドは「理由を教えようか?」と結婚祝いのライターを見せる。気化したガソリンが立ち込める中でそのライターが発火したとき、サンチェスは復讐の業火に包まれて断末魔を上げながらタンクローリーと共に爆死。ボンドは何とかその場から逃れ、パメラが運転する最後に残ったトレーラーに乗って去っていった。
傷が癒えたライターが退院を控えたある夜、ボンドたちの姿は大統領を交えたパーティー会場にあった。サンチェスの宝飾品やイグアナなどをしたたかに引き継いだルぺはボンドにとどまるよう願うが、ボンドは「君は大統領とお似合いだ」と告げ、パメラのもとへ向かうのだった。
デュラン・デュラン、A-ha、プリテンダーズと若手の起用が続いたが、この映画では、ベテランR&Bシンガーが二人起用された。主題歌となった同タイトル曲は、グラディス・ナイトが歌い、エンディング曲「イフ・ユー・アスクト・ミー・トゥ」は、パティ・ラベルが歌った。クラディス・ナイトが歌った「消されたライセンス」は、イギリスの『ミュージック・ウィーク』誌では、最高位6位と健闘したが、アメリカの『ビルボード』誌では、R&Bチャートで最高69位だった。
また、パティ・ラベルが歌った「イフ・ユー・アスクト・ミー・トゥ」は、イギリスではチャート入りを果たせなかったが、アメリカの「ビルボード」誌では、最高位79位、「同R&Bチャートでは、最高位10位」と健闘している。なお、この「イフ・ユー・アスクト・ミー・トゥ」は、セリーヌ・ディオンにカバーされて、イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位57位だったが、アメリカの「ビルボード」誌では、「最高位4位」とヒットした。同サウンドトラック・アルバムは、チャート入りを果たしていない。
※ キングレコードから発売の特別版DVDには旧ソフト版/TBS版/テレビ朝日版の3バージョンの吹替を収録。
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