特車二課 第二小隊
実写版にも回想の形で登場しているため、配役に関しては「演」の後に記載。
- 泉 野明(いずみ のあ)
- 声 - 冨永みーな / 演 - 岡田夏海(実写版の回想シーン)
- 本作品の主人公の一人。第二小隊一号機フォワード(操縦担当)、階級は巡査。
- 1978年12月17日生まれ、身長155cm。血液型A型。
- 北海道苫小牧市出身。実家は酒屋で、自身もやたらと酒に強いが、一旦悪酔いするとタチが悪い。
- 髪質はクセっ毛。運動が得意。中学時代はバスケットボール部に所属していた。
- 高校卒業後は北海道を離れ、東京の警察予備学校に入学。レイバー好きが高じて警視庁に入り、特車二課への配属を希望。第三管区警察学校(漫画版では早稲田にある警視庁予備校を経て特機研修校へ転校)を経て警視庁警備部特車二課第二小隊配属後はイングラム一号機フォワードを任せられる[注 1]。
- レイバーの搭乗資格の他に、自動車普通免許も所有しており、普段は50ccのホンダ・スーパーカブC50(八王子工場出向時は自転車)を通勤の足に使っている。
- 本質的には正義感の強い真っ直ぐな性格で、物事の分別も真面目で模範的である。しかし、のびのびと育ってきた性格形成ゆえに、思考基準は良くも悪くも単純で通俗的でもある。このため、形式的な主義や堅苦しい了見を受け入れにくい一面もあり、当時の現場での評価は極めて良好であるにもかかわらず、警備の方針を巡って上司と口論することもあったため、訓戒処分三回の経験を持っている。
- その他周囲との関係では、南雲や熊耳のようなエリートタイプの女性にはやや気後れしやすかったり、自分のペットにずっと「アルフォンス」と名付けていたことから、自分が搭乗するイングラム一号機にその名を付けて可愛がっていたり(アニメ版)、機体に「2の2泉野明」と書いたり(漫画版)、機体の損傷を過度に恐れるなど、ミーハーな面もある。
- メカ好きであるが、技術的知識には疎い(特にソフトウェアに関しては無知・無関心)とされているが、具体的にその点が描かれているのは漫画版のみである。映像メディアでは、イングラムをはじめとするレイバーの初期設定から操作に至るまで難なくこなしている。
- 漫画版ではミーハーな面から一皮剥けて、一人前のレイバー乗りとしても大きく成長し、南雲から「自分の手足のようにイングラムを扱う」と感嘆されるほどに、イングラムを扱うようになった。終盤の対グリフォン戦では、性能面でイングラムを大きく上回るグリフォンを相手に善戦し、最後はBシステム(リミッター)をカットしたグリフォンをも見事に撃破した。戦いが終わった後のイングラムはボロボロであったが、グリフォンの攻撃をギリギリでかわし、致命傷を避けていた。後藤は決着後、その戦いを「泉の圧勝」と評している。
- 遊馬をもっとも理解出来る人物といえるがゆえ、遊馬のプライベートに立ち会うことも多い。小説版ではその役割が極度に高く、かつキーパーソンにもなることが多い。
- 自分のルックスなどについては、特に何とも思っていないらしく、街でナンパされて断った後、待ち合わせていた遊馬に「世の中には物好きもいるんだからね」と自分で言ってしまうほどである。
- 二課在任中には、(劇中の)テレビ番組、ラジオ番組の取材を受けたこともあり、職務中やプライベートの姿を追った「Live 泉野明写真集」も出版されている[注 2]。劇場版3の脚本準備稿では警官募集のポスターに起用されたこともあるとしている。
- およそ3年あまりに渡る特車二課の勤務を経て、小説版では2001年秋の段階で本庁内に新設された装備開発課に遊馬と共に転属となり[4]、劇場版2の時点では篠原重工八王子工場にテストパイロットとして出向している。また、イングラム一号機にも以前ほどの愛着はなくなり、「いつまでもレイバーが好きなだけの女の子でいたくない」と語るなど、大人へと成長している。
- 実写版では、後に篠原重工のレイバー開発部専属テストパイロットとなり、遊馬と公私に渡り親密な関係であったとされている[6]。
- 野明のデザインについて、初期段階においてゆうきは「眉毛は太くないと嫌」「眉毛の無い女はいないのと同じ」と指示していた。基本的に少女の面影が濃いデザインだったが、劇場版2では大人びた容姿[注 3]や表情に変更されている。
- 原作者たちが仲間内で「もしも実写化したらキャストは…」との話をしていた際に、デザイナーの田島照久が「(野明は)永井真理子が似ている」と発言。作画を担当したゆうきは野明のデザインをした時点では永井を知らなかったが、イメージに合うと合点がいってからは、イメージを寄せて描いていたという[8]。後年、永井真理子がTwitterで『パトレイバー』について言及し[9]、それに感激した ゆうきへの返事で[10]、永井は「『パトレイバー』は私の大切な思い出です」とツイートしている[11]。
- 篠原 遊馬(しのはら あすま)
- 声 - 古川登志夫 / 演 - 黒田隆太(実写版の回想シーン)
- 本作品の主人公の一人。第二小隊一号機バックアップ(指揮担当)(→二号機バックアップ(漫画版第14話〜)→一号機、二号機兼任バックアップ(漫画版第18話〜最終話))。階級は巡査、群馬県前橋市出身。
- ひねくれ者で口は悪いが、野明には細やかな心遣いを見せることがある。普段は冷めた性格であるが、その反面繊細な面も持ち、きっかけ次第ではひとつの物事(特に篠原重工がらみの事柄)に、とことん突っ走ってしまう部分もある。そういった性質を、後藤に利用されてしまうこともしばしばである。
- 漫画版、テレビアニメ版では野明のバックアップのみが担当であるが、初期OVAや劇場版では、第二小隊全レイバーならび第二小隊の現場での作戦の指揮を担当している。しかし、太田や香貫花など暴走しやすいメンバーは、遊馬の指示に反した行動をとることもある。
- レイバー製造の最大手・篠原重工の御曹司で、レイバーシステムに関する知識は第二小隊随一である。また、コンピューターやソフトウェアにも詳しい。
- 兄の死(自動車事故とされている)をきっかけに、篠原重工社長である父親と対立し続けている。女性に関してはちょっとした苦い経験がある。学生時代はラグビー部に所属していた。
- 実家のことを話題にされるのを嫌う半面、御曹司の立場を利用して、篠原重工側(主に実山親子)に無茶な要求をすることもある。初の対グリフォン戦では、この遊馬の行動が間接的な原因となって、一号機の出動が遅れるという事態を招いている。
- 野明に対しては、非番の日にデートに誘い映画を見に行ったり、漫画版の最終話でアプローチする[注 4]など、好意を持っている様子である。また、篠原重工の賄賂事件で精神的に動揺していた時期には、「何でもする」と気遣う野明に皮肉で体を要求し、彼女を傷つけたこともあった(野明が本気で傷ついたことに気づき、すぐ謝罪している)。
- 太田とはとことん反りが合わず、それが太田でなければどうでもいいであろう些細なことでも噛み付く。これは太田から遊馬へも同様である[注 5]。
- 劇場版2、小説版では野明と共に2001年秋の段階で本庁内に新設された装備開発課に転属となり、御曹司でありながら警察側の人間として篠原重工八王子工場に出向するという、少し複雑な身の上である。それでいて、社内の食堂における食券賭博行為を組織化し、ほとんど胴元として仕切るほどの存在でもあった。またこのころ、同時に自家用車としてフォルクスワーゲン・タイプ2を所有している。なお、野明とは「清い交際」をしていることが、小説版で書かれている。実写版では、その後篠原重工のレイバー開発部主任に納まり、野明と結ばれたことが語られている[6]。
- 『THE NEXT GENERATIONパトレイバー1 佑馬の憂鬱』においては篠原重工の専務となっている。
- 後藤 喜一(ごとう きいち)
- 声 - 大林隆介 / 演 - 瀧伸(実写版の回想シーン)
- 特車二課第二小隊長を務める警部補。東京都台東区入谷出身。派出所勤務から始まり新宿署を経て本庁公安課に配属されるが、現職へと飛ばされた[注 6]。
- オールバック、三白眼、エラハリ、無表情が特徴。傍目に悪人面だが見た目通り「悪党」。普段は飄々としたとらえどころのない昼行灯を装っているが、かつては公安出身の「カミソリ後藤」「本庁で有名な悪(ワル)」と呼ばれる切れ者だったことが過去を知る他の登場人物から語られている[注 7]。
- 全てにおいて無気力、無関心そうでいて、周囲への気配りはさりげなく行う。人的管理においては強制を好まず、各人の自主性を上手く引き出す方針が隊員たちにも伝わっているのか、人望はそれなりに厚い。漫画版では第二小隊全メンバーを事実上関係各所からスカウトし、自ら「ライトスタッフ」と認め、「ミスキャストがあったら監督は降板するぜ」と嘯くなど信頼を寄せている。平均年齢が低く未熟で純粋な部下たちについてはかなり気を回しており、慣れないフォローによる気苦労も多い。基本的に放任主義だが、必要に応じては凄みをきかせて従わせる。唯一同僚である南雲しのぶに対しては頭が上がらない面が目立ち、同時に高い信頼を持つ。また劇場版2でのみ、彼女への好意を持っていることが語られるが、他の作品ではあくまで同僚関係である。
- 水虫もちで隊舎内ではサンダル履き。ヘビースモーカーで所構わずたばこ(マイルドセブン)をくわえる[注 8]。記念撮影のために備品を持ち出すなどといった逸脱行為も部隊の特殊性を盾に容認する[15]、隊舎内の冷蔵庫にビールを入れているなど、やりたい放題。第二小隊員は南雲には相応の態度をとるが、後藤には特別気を遣うことはない。デリカシーに欠ける面があり、旧OVA版や劇場版1、劇場版2では臆面もなくクサい表現を口にすることがある。多趣味で競馬、カラオケ、釣り、ゴルフなどに通じている。出身大学は不明ながら政治経済学部卒。
- 警察官としては優秀で常にありとあらゆる情報ソースにアンテナを張り、本庁関係者とも休日の接待などで交流し、対テロ事件専従捜査員の松井とはプライベートでも「男の子同士仲が良い」と南雲に揶揄されるほど頻繁に情報交換に勤しむ。内海の人物像についても出る前の時点から「子供のような男」と推察している(コミック版)。
- 普段から現場指揮や小隊運営は香貫花(テレビアニメ版・初期OVA版)、熊耳といった巡査部長や遊馬らに任せているが、事件解決のためには、上司である祖父江(初期OVA時)・福島(テレビアニメ版・漫画版・新OVA版)特車二課長らを恫喝・命令無視・責任問題の押しつけに利用することも厭わず、海法警備部長に至っては、責任問題をチラつかせて黙認を取り付けるなど、食えない策士な面もある。
- 拳銃嫌いであり「銃は持たない、銃を持っている相手には逆らわない」としているが銃に関してはとても詳しい[16]。
- 全てにおいて謎が多く、小説版では後藤は妻と死別していることが語られており、初期OVA版ならびに小説版では後藤真帆子という姪がいる(テレビアニメ版でも姪はいるが名前は明らかになっていない)。また初期OVA版においては大学時代に甲斐に心酔していたことが明らかになっている。
- 現場の足としてターボチャージャー装着などのチューンアップがなされた警察仕様のホンダ・トゥデイ(M-JW1型改)などのミニパトを使用する。なお自家用での愛車は、ホンダ・シビック(E-EF3型)3ドア Si(初期OVA版)である。
- 実写版では、太田・進士と共に小さな警備会社を設立するも、放漫経営が祟って一年足らずで倒産し、その後行方不明になっていることが語られている[6]。しかし、本人の登場こそないが、特車二課の解散が現実味を帯びてきたタイミングで南雲に手紙を送る、電話帳に「goto」という名前が登録された携帯電話を後任の後藤田継次に送りつける、などその後の二課の動向に関わる行動を取っている。
- 声を担当した大林隆介は一時期「大林隆之介」の名義で活動していたが、数年ぶりに本格的な形の新作映像作品で後藤を演じた劇場版3、『ミニパト』公開時の際、いくつかの関連資料には「大林隆之介(現・隆介)」の表記でクレジットされた。
- 今野敏原作の「安積班シリーズ」の1作『夕暴雨』にも登場。姿は見せないが、東京ビッグサイトでの爆発騒ぎ時に、特車を起動させてパニックを鎮めるという重要な役割を担う。この作品での設定は、主人公・安積剛志警部補の同期。
- 太田 功(おおた いさお)
- 声 - 池水通洋 / 演 - 山口森広(実写版の回想シーン)
- 第二小隊二号機フォワード(操縦担当)、階級は巡査、岩手県釜石市出身。
- よく言えば生真面目で正義感の強い熱血漢、裏を返せば、直情径行で猪突猛進なだけの熱血馬鹿。柔道が得意。漫画版では、レイバー隊への転属の背景は描かれていないが、「正規の警察教育を受けている」こともあり、配属前、制服組の警官(機動隊員)として登場、ヘラクレス21を追い詰めようとする第一小隊の機体に強引に乗り込み、格闘しようとしたところを同僚たちに制止されている。
- 規律重視で融通が利かない性格ゆえに、自分よりも階級や実力が上の相手にはわりと素直に従う一方、同僚隊員(特に遊馬)と衝突することが多いが、危機には勇んで駆けつけようとする仲間思いな心根にはブレがない。漫画版の初期では、いわゆる「予備校出身の即席警官」である他の隊員を見下していた[注 9]。
- また、野明に対しては、比較的甘めな扱いで、照れつつ一言アドバイスをするシャイな面も見せる。
- レイバーの操縦技術も、精密な動作より力任せに突撃する主義。野明とは対照的で、即断などの思い切りはいいが、戦術的柔軟性に不足する点がある。
- 無闇にリボルバーキャノン(レイバー用の拳銃)を撃ちたがり、バックアップの命令を無視して暴走することもしばしばで、機体の破損も絶えない(この点については上司の叱責や整備班からの苦情の種でもある)。そのため、香貫花・クランシー、熊耳武緒の両巡査部長の階級的および実力的優位によって、無差別な暴走を抑え込んでいる。
- レイバーの射撃に関して普段の現場では、相手の致命的部位に「当たってしまう」ことすら無く、的を外すことが大半である。ただしこれは関節部や末端部などのかなり狙い辛い場所を狙っているためであり、静止目標の射撃訓練などでは高い命中率を誇ることが明かされている。
- 劇場版2、小説版では2001年秋の段階で、巡査部長へ昇進し特車隊員養成学校に教官として勤務している。しかし性格は相変わらずで、劇場版2では、レイバーによる射撃が下手な生徒を叱責し、移動する標的へ、FCS無しでの抜き撃ちで見事命中させているが、「とどめを刺すことを忘れるな」という理由で、的が乗った機械まで電磁警棒で破壊。居合わせた進士に苦情を言われていた。表情集などの設定では従来より大人しめだが、完成品ではいつもどおりの性格になっている。
- 実写版では後藤の警備会社の倒産後に暴力事件を起こして収監中の身であることが語られている[6]。
- モデルは、同名のダイビングインストラクターで、高田によれば後期より初期案のデザインがモデルに一番近い。
- ただし、『週刊少年サンデー増刊 グラフィックスペシャル 機動警察パトレイバー』に掲載されたラフスケッチでは、全くイメージが異なり、角刈りで笑みを絶さない、柔道家の好青年だった。
- 進士 幹泰(しんし みきやす)
- 声 - 二又一成 / 演 - 古賀清(実写版の回想シーン)
- 第二小隊二号機バックアップ(指揮担当)、階級は巡査、静岡県藤枝市出身。
- 第二小隊で唯一の妻帯者である。公務員一家に生まれ、かつてはコンピュータ関連会社の優秀なサラリーマンであったが警察官に転職し、後藤のスカウトで特車二課に配属された。
- 気が弱いためフォワードの太田の暴走を止められず、胃薬を常用している。後に二号機のバックアップを交替し、後方支援(輸送車)に回るが、劇場版シリーズなどで香貫花や熊耳が不在の場合は、輸送車から二号機を指揮する姿も見られた。
- 身体を張る職務は苦手だが、コンピューターの扱いに長け、冷静かつ奥深い洞察力には他の隊員も一目を置く。
- 小説版『TOKYO WAR』では、後藤を除く旧第二小隊メンバーのなかでいち早くベイブリッジ事件の背後に複雑に絡む警察上層部の思惑を察知し、その後に起きる状況を予感していた。
- 普段は温厚だが、キレると眼鏡を光らせ、太田以上に暴走するようになる。この状態は香貫花に逆噴射と評されている。酒癖もかなり悪く、酔った時にもよく似た状態となる。
- 劇場版2では子供をもうけ、職場でも巡査部長へ昇進し本庁総務部総務課長に栄転(実際は警視正ポストである)したが、終盤では自らその椅子を蹴り、かつての第二小隊の仲間と共に最前線で戦うことを選んだ。実写版では後藤の警備会社の倒産後に友人とソフトウェア会社を設立、成功を収めたことが語られている[6]。
- 愛妻家兼恐妻家でもある。妻・多美子(声:TARAKO、安達忍)は、漫画版では名前のみの登場であり、映像作品でも登場回数は少ない。
- 山崎 ひろみ(やまざき ひろみ)
- 声 - 郷里大輔、乃村健次(『CR機動警察パトレイバー』) / 演 - 小日向大輔(実写版の回想シーン)
- 第二小隊後方支援担当。階級は巡査。沖縄県石垣島出身。通称「ひろみちゃん」。
- 身長2メートルを超す強面の巨漢で、レイバー操縦技能は持つが、イングラムのコクピットの狭さから搭乗できず、後方支援に回る。なお警察に入った理由は、実家が漁師であるが、本人はとても船に弱い体質であるからである。進士と共に、イングラムが二課に到着した当日に配属され、下記の佐久間教官が送り込んだ、第二小隊初期のメンバーの一人だが、転属前の職務経歴は唯一、不明。
- その体躯ゆえに重火器を任される場合が多い。外見に似合わず器用で、世話好きな心優しい男である。また、涙もろく恐がりであり、争い事を好まず、進士と並ぶ第二小隊の良識人。性格的にも控えめで、口数も少ない。酒は下戸で日本酒ならお猪口1杯で酔っぱらってしまう。また、漫画版では遺体安置場に収容された遺体を見て太田以外のほとんどの隊員同様、気分を害し、太田に「しっかりせんか」と叱責されながら、引きずられている描写がある一方、遊馬らと押し問答の際に、お茶の用意ができたことを告げた際、無視し、口論を続けた太田を軽々と抱え上げたり、ブロッケンとの再戦を前に、出動を促そうとする太田の様子を見た後藤が「太田が暴れそうになったら、止めてやるよう、山崎に伝えて」と指示を出し終わらないうちに、取り押さえる強行、かつ豪快な一面がある。また、レイバー隊一の長身で配属初日、オフィス入口に額をぶつけ、涙を流しながら、進士共々、敬礼し配属の挨拶をしている。
- 特車二課で最も動植物に関する理解が深く、課内で飼われているニワトリの世話や、畑での野菜栽培は彼が率先して行っており、特車二課メンバーの栄養面を支えている。
- 料理も特車二課随一といわれるほどの腕前であるが、本人曰く「昔からやってますから」とのこと、また、初期OVA版では昼食時、巨体とは対照的な小さな弁当箱を披露、恋人の手製かと訪ねた遊馬に全て自分で作ったと、話し、所謂「タコさんウィンナー」を遊馬に差し出そうとする一面がある。また、腕前は定かではないが、漫画版ではアコースティック・ギターを弾くこともある。
- 小説版では故郷に許婚がいる。紹介された遊馬と太田によればエキゾチック美人[26]。
- 劇場版2では他のメンバーが異動した後も二課に残り、他の隊員から「先輩」と呼ばれるが、担当は菜園とニワトリである。
- 実写版では、その後帰郷して家業を継いだことが語られている[6]。
- 香貫花・クランシー(かぬか・クランシー)
- 声 - 井上瑤、天野由梨(井上没後の各種メディア作品) / 演 - Hanaco(実写版の回想シーン)
- 第二小隊二号機バックアップ(指揮担当)、階級は巡査部長相当のサージャント、アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル出身。
- ニューヨーク市警察から半年間、研修のため特車二課に派遣されてきた日系3世の女性警察官。太田の暴走を抑えられない進士に代わって2号機のバックアップに就いた。臨時の場合などは自らレイバーの操縦を行うこともあり、こちらも高い技術を持っている。
- ニューヨークのポリスアカデミーを首席で卒業。特捜部に在任中は、マサチューセッツ工科大学に聴講生として在籍し、電子工学の修士課程を修了。
- 柔道四段、合気道三段、茶道裏千家師範の資格を持ち、射撃や爆発物処理にも長けている。スポーツも万能で、英語や日本語の他に、独、仏、蘭、北京語も堪能である。また、趣味として乗馬と囲碁を嗜む。
- クールで現実主義者だが、太田とは本質的には同じ性格の持ち主なため、わりとウマが合うらしい。
- 実際は、過激な破壊行動によって手に負えなくなった市警察が研修名目で送った、事実上の島流しともいえる。犯罪者に対しての過激な対応は、幼少時の両親が射殺されたことに端を発するとみられる[注 10]。もっとも太田よりは精神年齢的に「大人」で、叱りつけることがほとんど。遊馬曰く「太田は香貫花の尻に敷かれている」。
- コルト・ガバメントM1911A1を愛用の拳銃とし、日本でも堂々とこれを持ち歩く。米軍横田基地経由で来日したために持ち込めた代物だが、後藤いわく「言うまでもなく銃砲等不法所持」である。劇場版ではオートマグを使用した。
- テレビアニメ版で登場する愛車は、桃色のポルシェ911タルガトップである。
- 中々の酒豪であり、新OVA版では熊耳との口論に夢中になり、野明をも酔い潰している。
- 漫画版では、児童人身売買に関する捜査のために、ニューヨーク市警から出張して来た刑事として登場しており、二課には配属されない。私生活では、祖母が登場するが、幼少時、両親が何らかの事件に巻き込まれ、犠牲になり緊急車両で運ばれていく光景に絶叫する回想シーンが描かれている(コミック17巻)。
- 初期のデザインにおいて、眼鏡をかけていたり、髪型が外国人風のロングやウェーブのかかったものだったが、押井の好みによって現在のものに変更されている。これについて高田は、香貫花の初期案が通っていれば差別化から南雲が別キャラになる可能性を述べている。
- 熊耳 武緒(くまがみ たけお)
- 声 - 横沢啓子 / 演 - 里中まい(実写版の回想シーン)
- 第二小隊二号機バックアップ(指揮担当)。漫画版では一号機バックアップに転向となる。階級は巡査部長。兵庫県西宮市出身。通称お武さん(おたけさん)。
- 漫画版では2巻で初登場、進士に代わって二号機バックアップを務めることになった(この事情は漫画版あらすじ参照)。操縦技術に関しては隊内でも一二を争うほどだが、指揮やバックアップ要員に向かずそもそもフォワードをやる以外に使い道がない太田の存在により、指揮担当となる。テレビアニメ版では帰国した香貫花の後任として第26話から登場する。本来2クールで終わるはずだったテレビアニメが、人気により延長されたため「グリフォン編」をやることになり、熊耳を出さざるを得なくなった。
- 文武両道に秀でた才媛で、自分にも他人にも厳しく律する性格の持ち主である。漫画版では、傍若無人な太田が(自分より階級が上ということもあるが)恐れて敬語で接する唯一の同僚で、他のシリーズでもその面が強調されることが多い。後藤の期待を汲む形で自身を「学級委員」と位置付け、第二小隊の面々をまとめる副隊長的な存在。ただし、普段はわりと気さくに接しており、まとめ役としての気配りも行き届いている。事実上、後藤の右腕で彼女に丸投げされている業務(データ解析、訓練計画の策定など)も多い。
- 中国返還前の香港警察への派遣時代、シャフトエンタープライズのリチャード・王(内海)とは、ただならぬ関係にあった。帰国後も王への特別な感情を引きずり続けており、王のグレイトウォール号海外脱出計画前後に彼女の心理的葛藤が描かれる。その時期の出来事に関しては、小説版『香港小夜曲』に詳しい。
- 体力も並外れていて、普段よりハードな訓練でも息を切らすどころか汗すらかかず平然としているほど。柔道も太田を軽々と投げ飛ばすほどの実力で、香港時代は「ジャックナイフ」と呼ばれていた(後藤談)。
- 漫画版ではアンダーサイズ70のCカップのブラジャーを着用しておりスタイルも良いようだが、テレビアニメ版では一緒に温泉に入った野明から「少年みたい」と評されていた。
- テレビアニメ版などでは、前任者であった香貫花との対面を果たしている。ともに優秀、実力主義者でありながら、あくまでアメリカ人としての価値観を持つ香貫花と、日本的な熊耳とでは、最悪の相性である。漫画版で香貫花が登場した際も、王との個人的な関係を詮索してくる香貫花に熊耳が露骨な嫌悪感を抱くなど両者の関係は険悪そのもの。
- CDドラマ「The Day After」では特車二課を離れた後、神奈川県警察交通機動隊のレイバー隊副隊長に抜擢されている。
- 父親は"桂花女子大"に勤める誠治、母親は専業主婦の瀧子。性格からは想像もできないが、心霊現象が好きな父親にその手の写真等を散々見せられて育ったため、怖い話や怖い物が気絶するほど苦手。
- 空谷 みどり(そらたに みどり)
- 声 - 石村知子(旧芸名:柊美冬 → 鶴野恭子)
- 第二小隊三号機バックアップ(指揮担当)。階級は巡査。
- プレイステーション版『機動警察パトレイバー 〜ゲームエディション〜』のみに登場するキャラクター。かなりの天然ボケ。野明に代わって、上海亭への出前の注文係を担当するようになる。プロレスが好きで、観戦中には我を忘れ、その際近くにいると、無意識に関節技を極められることになる。
- 篠原重工 98式AVイングラム 特車二課 三号機
- プレイステーション版『機動警察パトレイバー 〜ゲームエディション〜』のみに登場するキャラクター。
- 第二小隊三号機フォワード。階級は巡査。見る者に対する心理的影響まで考慮して設計されている[38]。
- ゲーム中では空谷の相棒として三号機フォワードのメンバーが同時に配属されていたが、劇中ではその容姿と氏名が明らかにならず、隊員からも「三号機」(空谷からは他にも「巡査」とも)としか呼ばれることが無かった。
特車二課 第一小隊
- 南雲 しのぶ(なぐも しのぶ)
- 声 - 榊原良子(実写版の声も担当) / 演 - 渋谷亜希(シルエットのみ)
- 特車二課第一小隊長を務める警部補。東京都世田谷区成城出身。母親と実家で2人暮らし。
- 特車二課の実質的な責任者で、第二小隊の「活躍」ぶりにいつも頭を痛めている。
- 非常に真面目で職務に忠実という優秀な警察官であり、文武両道、元は将来を渇望されたエリートだったが、とある事件(後述)により出世コースから外されている。年齢は、コミック版によると、1997年冬の時点で年増。つかみどころのない後藤と異なり、考えを明確に伝える性格が部下に好まれ信頼は厚く、榊に続く二課のナンバー2と目されている。規律を重んじるゆえに後藤や第二小隊の行動に眉をひそめているが、野明らの成長に伴いやがて信頼を置くようになった。また、後藤の頼みを聞いて密かに第一小隊を出動させたり(初期OVA版)、二課が襲撃された際に頼りにする(コミック版)など、同僚である彼に対しての信頼は厚い。
- 現場では主に97式レイバー指揮車に搭乗するが、レイバー操縦の心得もあり、劇場版2においてイングラム3号機に搭乗した。普段は自家用車としてホンダ・レジェンド(テレビアニメ版)やフィアット・パンダ(新OVA版)、ユーノス(小説版、劇場版2[注 11])に乗る。
- 自衛官の不破環生二尉は学生時代からの友人。既婚者の彼女と引き続き交流を持っており、仕事上の情報提供なども行う仲(コミック版)。恋愛に関し、彼女との会話や後述の不倫などそれなりの付き合いはあるが、ラブホテルなど性風俗の知識には疎い(NEW OVA版)。
- 劇場版2などでは拳銃SIG Sauer P210(英語版)を使用する。
- 柘植行人によって設立された「多目的歩行機械開発運用研究準備会」(通称「柘植学校」)に警視庁より派遣され、警視庁のレイバー隊創設の礎を築いた功労者であり、「警視庁きっての才媛」と呼ばれた人材ではあったが、当時、妻子のいた柘植との深い関係がスキャンダルになり、警察キャリアの本流から外されてしまう。劇場版2では特車二課課長代理(警部)に昇進している。
- 劇場版2においてこれまで見られなかった表情が多く設定され、登場人物の中でも設定案は1番多い。
- 実写版では、(劇場版2内の事件終結後に)警視庁を辞し、後藤の提案で日本を脱出し、難民高等弁務官事務所のスタッフとして中東の難民キャンプで働いているとの噂がシバシゲオの独白内で語られている[注 12]。短編シリーズでは第7章冒頭の手紙を受け取るシーンに登場。長編では密かに帰国して後藤田と接触した[注 13]。
- 声を担当した榊原良子は南雲について、2018年12月24日のイベントで「南雲はエリート警察官だけど、大人の女性の柔らかさを入れてみようと思いました。でも、劇場版2作目は固いキャラにされちゃって、押井さん(押井守監督)はひどい人です(笑)」と説明している[43]。
- 五味丘 務(ごみおか つとむ)
- 声 - 大塚明夫
- テレビアニメ・新OVA版の第一小隊一号機フォワード(操縦担当)。階級は巡査部長。
- 性格は真面目で実直。柔道四段、剣道三段、合気道二段、沈着冷静、質実剛健、遊馬曰く「絵に描いたようなお巡りさん」
- 結城(ゆうき)
- 声 - 小形満、中嶋聡彦
- テレビアニメ・新OVA版の 第一小隊二号機フォワード(操縦担当)。階級は巡査。
- フルネームは不詳。見た目には第二小隊の面子と大差ない若い隊員。
- 石和(いさわ)
- 漫画版の第一小隊一号機フォワード(操縦担当)。階級は巡査部長。
- フルネームは不詳。性格は真面目で実直かつ温厚で気さく。第二小隊の隊員たちにも偏見を持たない。
- 特車二課では操縦士として最高の実力を誇り、グリフォン戦においても序盤は互角に戦っていた。
- 古賀(こが)
- 漫画版の第一小隊二号機フォワード(操縦担当)。階級は巡査。
- フルネームは不詳。黒縁眼鏡の男性隊員。真面目で年長者のようだが、警察官というよりはサラリーマン風の風体。
- 石和とは異なり第二小隊に対しては露骨に格下とみている。
- 浅野(あさの)
- 第一小隊二号機バックアップ(指揮担当)。
- 小説版『TOKYO WAR』における警視庁特車二課第一小隊二号機バックアップ。フルネームと階級は不詳。2002年の段階では、第二小隊同様に第一小隊もほとんどの隊員が入れ替わり、古参のメンバーはこの浅野だけとなっていた。
特車二課 整備班
- 榊 清太郎(さかき せいたろう)
- 声 - 阪脩 / 演 - 山田登是(遺影の写真のみ)
- 特車二課整備班長(劇場版1では整備課長)。神奈川県平塚市出身。
- 通称「おやっさん」。警視庁特車二課整備班長を務める実質的な「親分」。「レイバー隊の闇将軍」「整備の神様」といわれるほどの重鎮である。四角四面な立ち回りを好まず、後藤とも馬が合う。
- 長年技術畑で活躍してきた存在は方々で知られているようで、本庁に出向けば部長クラスの人間が直々に玄関まで迎えに来るなど彼の人脈と功績などははかりしれないものがある。
- アニメ版では自身を「機械馬鹿」「時代遅れのボルト&ナット・ガイ」と評し、終盤、ピースメーカーに搭載されたニューロンネットワークシステムの構造が理解できないと野明に愚痴をこぼしている。劇場版1でも「ハードのことはわかってもソフトはからっきし」と、次第にソフト中心になっていくレイバーシステムに取り残されたような感覚を吐露する場面もあったが、同作品では「どんなに技術が進んでも、これだけは変わらねえ――機械を作るやつ、整備するやつ、使うやつ、人間の側が間違いを起こさなけりゃ、機械も、けして悪さをしねぇもんだ」という発言もしている。
- 劇場版2の時には既に引退して、妻に先立たれた男やもめの隠居生活を営んでいたが、二課壊滅の報を聞き、新旧整備班員を集めて陣頭指揮を執った。
- 愛車はACコブラ427。
- 口癖は、「もたもたしてると、全員海にたたっ込むぞ!」であり、整備班の若い隊員に恐れられている。漫画版後半、二課の建物を襲撃したテロリスト集団に愛車・コブラが特車二課内の車輛共々、破壊された時も、「捕まえたら、東京湾の魚のエサにしてやる」と後姿だけで、表情こそ描かれなかったが、腰に両手を当て、独り言のように囁いている。
- 実写版では既に故人となっており、特車二課整備班に遺影が飾られている。
- シバ シゲオ
- 声・演 - 千葉繁
- 整備班主任。千葉県松戸市出身。
- 通称「シゲさん」。整備班のナンバー2で、レイバー整備の現場を取り仕切る実質的リーダーでもある。着任した当初は生意気な態度をとっていたが、班長である榊に心酔して絶対服従するようになり、崇拝に近い敬意を寄せる。性格は陽気で、整備の知識、技術共に一級品。劇場版2の時には榊の後を継いで整備班長に昇進していた。
- 漫画版によれば、漢字では「斯波繁男」と表記する[注 14]。実写版のノベライズでは、制服や書類もカタカナ表記で通している。
- 本作以降、いくつかのゆうきまさみ作品にモブのような形で登場している。
- 漫画版および劇場版1では下町の生活雑貨「(有)久保商店」二階に下宿しており、部屋の中では新旧問わない大量のパソコンが現役で使われている。
- 実写版では、劇場版2から10年以上経った2013年現在も特車二課整備班長として部隊を仕切っている。ただし年齢は59歳[注 15]と設定されている。
- アニメ版で声を担当した千葉は実写版でも演じている。
- 堀込(ほりごめ)
- 整備班員。漫画版で特車二課が襲撃された際、車載電話がついている愛車を破壊されて泣いていた。
- ぶち山(ブチヤマ)
- 声 - 立木文彦 / 演 - 藤木義勝
- アニメ版ではロン毛に眼鏡の内気な青年、劇場版2ではバンカラな風体(コートを袖を通さず羽織り、雪が降っても高下駄を履いている)の強面の整備員で、ふてぶてしい笑みを浮かべながら太田に軽口を叩くほどである。後輩から「ブチヤマ先輩」と恐れられており、シバシゲオからは「コンビニ『買占め』部隊の応援」を任されるなど、ある程度の信頼を得ている模様。
- 実写版では特車二課整備班副長として淵山 義勝(ぶちやま よしかつ)という名前の大柄な中年男性が登場。「ぶち山先輩」と同一人物である事が証されている[44]。出動やデッキアップ時に整備班を仕切るなど、シバの右腕として特車二課を支えている。
- 初期OVA第4話にはブチ山剛造という老人が登場するが、関係は劇中特に語られない。
その他特車二課関係者
- 祖父江 守(そふえ まもる)
- 声 - 増岡弘(初期OVA版)、村松康雄(テレビ版)
- 初期OVA版での特車二課課長。階級は警視正。小太りで背は香貫花より低い。登場回数がほとんどないため性格や詳細は不明。
- 初期OVA版から小説の流れでは初期OVA第5・6話での出来事がきっかけで左遷された(テレビアニメ版で福島が“免職された”と漏らしていた)模様。一方、テレビアニメ版では開始時にすでに福島に交替していたが、後藤の悪知恵に散々振り回された挙句に責任を全ておっ被せられて詰め腹を切る羽目になったらしく、そのことで後藤を相当恨んでおり復讐しようとした。
- 福島 隆浩(ふくしま たかひろ)
- 声 - 小川真司
- 特車二課課長。階級は警視。
- 「特車二課長」として一般的に知られている人物。祖父江とは逆に神経質で服装ひとつにまでいちいち指導を入れる。体面や上下関係を重んじる典型的な官僚型の警察官で、特車二課の体質とは反りが合わない。本庁のオフィスにいることが多く、特車二課分署に来るのはたいてい後藤に説教しに来る時である。第一小隊の存在がせめてもの拠り所で、南雲とは反目する場合もあるがある程度の信頼を置いている。
- 漫画版では、融通の利かない点も含めて「良識的警察官」としての役割を演じており、映像作品全般に見られる無能で保身的な警察官僚という画一的な描かれ方はされていない。後藤ほどではないが頭もキレ、察しも良い。部下の命を重んじる姿勢も見せる。
- 「廃棄物13号事件」では背後には大がかりな陰謀があると推察し、それを含みつつ対応する後藤に協力。一連の「黒いレイバー」騒動についても、あくまで「私は」と個人的見解と前置きしつつ、後藤と相通じ、時折上層部の対応を非難批判する素振りを見せるなど「現場側の人間」である。
- 漫画版では家庭人として苦労する姿や、取り乱すなどお茶目な姿も描かれる。
- 元々は漫画版でゆうきが用意したキャラクターの1人だが、劇場版1からアニメにも登場するようになった。2002年を描いた劇場版2の時点では既に二課長の任を退いていた[注 16]。
- 相沢 義衛(あいざわ よしえ)
- 階級は警部補。特車二課課長付。
- 設立を予定していた第三小隊の隊長予定者として配属された東京大学卒で国家公務員一種試験に合格した、いわゆる警察キャリアで「二課設立以来の俊才」。特車二課へは本人たっての希望。熱意とやる気はあるが空回りも多い。本人のたっての希望により後藤に第二小隊長代行を任され、張り切って徹夜で訓練計画を立案するが、寝不足の状態でイングラムに搭乗して吐いている。その直後、運悪く第二小隊がバビロンプロジェクトの視察を急遽要望した米国大統領の警護任務で出動することになり、テロリスト出現後の対処がうまく指揮できず大失態を演じる。これがきっかけとなり第三小隊は設立自体が白紙となり、本人も丸の内署へ転属させられてしまった。
- 二課襲撃事件後にリチャード・王の手配写真が各所に回った際には丸の内署で勤務する姿が描かれている。
その他の警察関係者
- 海法(かいほう)
- 声 - 小島敏彦、西村知道
- 警視庁警備部長。小さな目とタラコくちびるが特徴的。一見すると典型的な警察官僚だが、後藤と同様に他人を意のままに動かすことが巧みであり、用意周到に自らの保身も行う。自分の「逃げ道」が確保されている場合は、後藤の提案を容認し、子飼の祖父江や福島を切り捨てることも厭わない。後藤曰く「タヌキ親父」。特車二課を「金食い虫」(実績の割りに膨大な予算を要求するため)と名付けたのは海法だという。
- 劇場版2、劇場版3では警視総監に就任している。内務省復活論者であり、各県警へのレイバー隊の配備・普及を軸に、警視庁警備部への中央集権の強化と、開発費のかかる警察用レイバーのコストダウンを目指していた。
- 劇場版2では、警備部時代から海法の腰巾着であった青森県警本部長が、飛行禁止命令に抗議するために東京へ向かおうとしていた航空自衛隊三沢基地司令を基地ゲート前で連行してしまう。子分の勇み足で引くに引けなくなった海法は、自衛隊に矛先を向けることで警備部の発言力強化を図るが、その結果、基地司令連行に対する三沢基地の抗議の籠城は全国の自衛隊基地と駐屯地に拡大し、事態をより悪化させてしまった。
- 山寺(やまでら)
- 声 - 大森章督
- 劇場版2、劇場版3における警視庁警備部長。それ以前のポストは不明。海法の腹心として、警備部を仕切っている(そのため、後藤からは海法とセットで「タヌキ親父」呼ばわりされている)。
- 劇場版2では無断行動をした南雲を詰問するが、逆に南雲から政治的策謀を追及され憤慨した。劇場版3では海法と共に、怪物への対策会議に出席していた。
- 松井 孝弘(まつい たかひろ)
- 声 - 西村知道
- 警視庁捜査課所属の刑事(初期OVA6話では、城東署捜査一課)。階級は警部補。
- 初期OVA版第3話で初登場。かつて水上署にいたことがあり、その時の経緯から海上保安庁に顔が利く。中年太りの外観は人の良さそうなおっさん刑事だが、実際はなかなか食えないベテラン刑事。正義感も強く、後藤とは結構ウマが合う。
- 漫画版では警視庁刑事部捜査一課警部補として当初は「地球防衛軍」などのテログループの犯行予告や背後関係を洗う仕事をしていた。「黒いレイバー」事件発生後は専従捜査員として香港における「地球防衛軍」のスポンサーで「熊耳巡査部長銃撃事件」の重要参考人であるリチャード・王、彼に酷似するシャフト社の内海課長を精力的に追う。だが、シャフト社という巨大企業の高い壁にぶちあたり捜査はなかなか進展せず企画7課側からも警戒される。最初の「黒いレイバー」事件発生後に知り合った後藤とその後は互いに推理を交えつつも頻繁に情報交換しながら断片をつなぎ合わせていく。
- 内海と徳永の決裂が決定的となった終盤、運輸会社を偽装したトラックが路上で爆発事故を起こし、その中身であったグリフォンの破片が散乱。トラックが徳永所有の別荘脇に長期間置かれていた事実から、徳永が一連の「黒いレイバー」事件の重要参考人とみるや長野県警と協力し、松井が中心となって徳永を聴取。その際に激高した徳永が「黒いレイバー」の通称として警察内部の極秘情報である「グリフォン」の名を出したため、徳永を重要参考人として逮捕する。
- 最終回では二課襲撃事件後に旅客船ターミナルで発生した「内海刺殺事件」で死亡した内海とリチャード・王が指紋の一致から同一人物だと確認したものの、それ以上に捜査は進展せず、黒崎たち企画7課も取り逃がし、徳永も陥落寸前だがまだ自供には至っていない旨が後藤との会話で明かされている。
- 片岡(かたおか)
- 声 - 辻谷耕史、大塚明夫
- 警視庁捜査課所属の刑事。
- 劇場版1やテレビアニメ版などで松井の部下として登場する若い刑事。フルネームは描写されず不明。人の話から似顔絵を描く特技を持つ。小説版『TOKYO WAR』によれば2002年の段階でも松井とコンビを組んでいるようだが、松井の「前途ある若者をこんなヤバい話に巻き込むわけにはいかない」という配慮で、後藤から依頼されたベイブリッジ爆破事件の裏捜査からは外されていた。漫画版では松井の台詞の中で名前だけ登場しており、松井達とは別班でグリフォンの捜査に当たっているらしい。
- 風杜(かざもり)
- 警視庁捜査課所属の刑事。
- 漫画版において松井の部下として登場する若い刑事で、アニメ版の片岡におよそ相当する役割を担う。特車二課配属以前の野明と事件現場で偶然出会っており、その後再会した際に彼女にモーションをかける素振りを見せていた。しかしそれ以降とくに進展していない模様。松井に「彼女は今、仕事が面白い時期だから」と諭されている。目撃者の証言を元に人物画を書き上げる才能を持っており、熊耳の証言から内海の似顔絵を書いた時には、熊耳自身から「似てる」と言われ、その後の捜査に使われるモンタージュ写真の元ともなった。
- 船山(ふなやま)
- 警視庁外事課所属の刑事。
- 漫画版においてパレット関連事件の重要参考人である朱永徳を追う。栗橋とコンビを組む。
- 佐久間(さくま)
- 声 - 広瀬正志、仲木隆司
- 特車隊員養成学校(通称「レイバーの穴」)の教官として第二小隊の6名を促成栽培した(漫画版では早稲田警察予備校の教官として初登場)。後藤とは旧知の仲である。後に部下として転任してきた太田に手を焼きつつも、内心は共感を持っている。なお「レイバーの穴」は初期OVA版では富士、漫画版とテレビアニメ版では奥多摩、小説版『TOKYO WAR』では青梅とそれぞれ所在地の設定が異なる。ここの食堂は警視庁一不味いと評判らしい。
- 長尾(ながお)
- 警視庁科学捜査研究所勤務。内海(リチャード・王)のCGによる手配書を作成する。
- 久住 武史(くすみ たけし)
- 声 - 綿引勝彦[45]
- 警視庁城南署所属の刑事。
- 劇場版3に登場する警視庁城南署の刑事。年相応の貫禄と経験、さらに高い洞察力の持ち主で聞き込みを重視する昔気質の刑事。しかし年相応にパソコンが苦手。若い秦と共に一連の事件の捜査に当たる。後藤とは知り合いで事件捜査への協力を彼に依頼する。現在は家族と離れ、1人暮らし。趣味はクラシック音楽鑑賞で自宅にはレコードを大量に持っており、音に敏感。その能力が物語後半で役立つこととなる。また、足を骨折しており完治に近いが、まだ杖を離せない状態。
- 秦 真一郎(はた しんいちろう)
- 声 - 平田広明[45]
- 久住と同じ城南署捜査課の刑事で、共に事件の捜査に当たる。28歳の独身で1人暮らし。草野球のチームに所属しており、その帰り道に偶然冴子と知り合い一目惚れし、アプローチする。また現在禁煙しており、彼の車で久住が喫煙しようとした際に咎めているが、冴子には喫煙を許すなど甘い。
- 楠本(くすもと)
- 声 - 野村信次
- 初期OVA第7話に登場した群馬県警察本部長。ブロッケンごと盗まれたトレーラーを群馬県内で取り押さえるべく陣頭指揮を執っていた。後藤曰く「石橋を叩いて人に渡らせる」ほどの慎重な性格。