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横浜市の超高層ビル ウィキペディアから
横浜ランドマークタワー(よこはまランドマークタワー)[注 1]は、神奈川県横浜市西区みなとみらいの超高層複合ビル。「横浜みなとみらい21」地区の開発を主導した三菱地所が建築・設計・保有している。
横浜ランドマークタワー | |
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プラザ棟(左)とタワー棟(右) | |
施設情報 | |
所在地 | 神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1 |
座標 | 北緯35度27分16.53秒 東経139度37分53.30秒 |
状態 | 完成 |
着工 | 1990年3月20日 |
建設期間 | 3年4か月 |
竣工 | 1993年7月14日 |
開業 | 1993年7月16日 |
用途 | 店舗・事務所・ホテル・多目的ホール・駐車場 |
建設費 | 約2700億円 |
地上高 | |
最頂部 | 296.33 m |
高さ | 296.00 m |
最上階 | 70階(タワー棟) |
各種諸元 | |
階数 |
地上70階・地下3階、塔屋3階(タワー棟) 地上5階・地下4階(プラザ棟) |
敷地面積 | 38,061.51 m² |
建築面積 | 23,208.29 m² |
延床面積 |
392,884.85 m² ※事務所:166,000 m2 *ショッピングモール:74,000 m2 *ホテル:83,000 m2 *駐車場:60,000 m2 *その他:10,000 |
構造形式 | 鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造) |
エレベーター数 |
一般乗用74台 人荷用(非常用)5台 ※全て三菱製、プラザ棟は日立製 |
駐車台数 | 1,400台 |
関連企業 | |
設計 |
三菱地所設計 ザ・スタビンス・アソシエイツ |
施工 | 大成建設・鹿島建設・大林組・竹中工務店・清水建設・戸田建設・東急建設・間組・前田建設工業・地崎工業・飛島建設・青木建設・三菱建設・フジタ工業・熊谷組・東亜建設工業・山岸建設・奈良建設・紅梅組・若葉建設・五洋建設・不動建設・増岡組・安藤建設・大豊建設・東海興業 |
デベロッパー | 三菱地所 |
所有者 | 三菱地所 |
管理運営 | 三菱地所プロパティマネジメント |
高さに関する記録 | |
1993年から2012年まで日本で最も高い建築物 | |
先代 | 東京都庁舎 |
次代 | あべのハルカス |
1990年3月20日に着工し、1993年7月16日に開業した。タワー棟は、地上70階建て、高さは296.33m[1][2]で、超高層ビルとしては2023年時点で、東京都に所在する麻布台ヒルズ森JPタワー(325.2m)、大阪府に所在するあべのハルカス(300.0m)に次いで日本で3番目に高い。また、構造物としては東京スカイツリー(634.0m)、東京タワー(332.6m)、麻布台ヒルズ森JPタワー(325.2m)、あべのハルカス(300.0m)、明石海峡大橋(298.3m)に次ぐ日本で6番目の高さである。
その名の通り、みなとみらい地区のランドマーク・シンボルとなる超高層建築物である。「タワー棟」と低層の「プラザ棟」からなり、タワー棟のオフィス、横浜ロイヤルパークホテル(三菱地所グループ運営のホテル)、スカイガーデン(展望フロア)、プラザ棟のランドマークプラザ(ショッピングモール)、ランドマークホール(多目的ホール)などから構成される。最上階の70階は、ホテルのスカイラウンジと宴会場になっている。
横浜ランドマークタワーはみなとみらい地区の25街区に所在し、横浜市内初の本格的な動く歩道(元々は横浜博覧会の施設)で桜木町駅方面と接続、地下3階[1]・地上70階・塔屋3階[3]のタワー棟と、地下4階・地上5階のプラザ棟からなる。建築面積は23,208m2。延床面積は392,791m2[1]で、東京都豊島区のサンシャインシティ(585,895m2)、愛知県名古屋市中村区のJRセントラルタワーズ(416,565m2)に次ぐ。この地にはかつて三菱重工業横浜造船所があり、横浜博覧会開催期間中には桜木町ゲートが存在していた。
特徴的な建物のデザインはアメリカの建築家、ヒュー・スタビンスによるもの。スタビンスによる基本設計に基づき、三菱地所が実施設計を行い[4]、みなとみらい地区における民間第1号プロジェクトとして建設された[5]。
当初の計画では、隣接するクイーンズスクエア横浜との間の北側の一角に、丸みを帯びた頭上から見て楕円形のオフィス棟[6]をもう一棟建設(後述の二期棟、横に伸びた窓など外観デザインは一部共通[7][8])する予定であったが、計画は凍結されたままになっている。また、当初は高さ300mのビルとして計画されていたが、建設地が東京国際空港の標準出発経路 (SID) と重なり高度制限が発生するため、最終的な高さは296.3mとなり、日本初のスーパートール(高さ300m以上)にはなれなかった経緯がある[9]。
69階の展望フロア「スカイガーデン」(地上273m)まで、地上(2階)から最大分速約750m(時速換算で45km/h、上りと下りは同速度)の直通エレベーター(三菱電機製)で結ばれている[10][11]。なお、このエレベーターは2020年にリニューアルされた。これは、2004年に台北101のエレベーター(最大分速約1,010m〈時速換算で60.6km/h〉)に記録を破られるまでは世界最速で、ギネス世界記録にも掲載されていた[12]。なお、台北101の記録は上りのみであり、下りは現在でも世界最速である[注 2]。また、展望台がさらに高所にある東京スカイツリー・あべのハルカスが開業した現在でも、日本最速のエレベーターである[注 3]。このエレベーターには強風管制運転システムが装備されており、風の強さに応じて通常運行・最高速度の50%に相当する375m/minに減速・半分を停止し残りの半分を375m/minに減速・全面休止の4段階に自動制御される。
この他、ビル全体の制振装置として、上層部にコンピューター制御で揺れを抑える巨大な振り子を備えており[14]、ビル自体も4本を柱とした耐震性の高い構造をとっている。また、災害時などに使用するための緊急用のヘリポートも屋上に備えている[14]。
2004年2月には、ランドマークタワーに隣接するクイーンズスクエア横浜の地下に横浜高速鉄道みなとみらい線のみなとみらい駅が開業した。また、2008年には現代美術の国際展「横浜トリエンナーレ2008」の会場に指定され、ランドマークプラザに作品の一部が展示された。
竣工以来20年近く「日本一高いビル」であったが、2012年8月[15]に当時建設中だった「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)が高さ300mに到達したことによって日本一の座を奪われ、2023年6月には東京都港区に建設されていた高さ325.2mの「麻布台ヒルズ森JPタワー」が竣工したことによって東日本で最も高いビルの座も奪われた[注 4]。
なお、ランドマークタワーには前述の通り三菱地所による二期棟(当初の案では頭上から見て楕円形のビル[6])の計画もある[16][17][18]が、景気の悪化などを受けて当面凍結(開発時期未定)となっている。この建設予定地はこれまでにバス駐車場やマンションのモデルルーム、ニコル・グループの自動車ショールーム(ロールス・ロイス・モーター・カーズ横浜[6][19]とフェラーリ・ショールーム[20][21][22]、2024年1月までに地区内他施設へ移転済み)といった用途に利用されたことがあり、今後の開発方針等は不明である。2024年4月時点では、三菱地所ホームのリフォームショールームなどが置かれている[23]。
タワー棟エレベーター数は53台であり、そのうち地下駐車場兼宴会場用バンクだけが日立製であり、そこ以外はすべて三菱製[24]。なお、スカイガーデン直通用および非常用を除き三菱製のエレベーターの機種はホテル部客室直通用バンクも含めすべてアクセルシリーズに統一していたが、2020年のスカイガーデンリニューアルに伴い、エレベーターも順次現行型にリニューアルされている。
展望台直通エレベーターには高さ200cmの巻上機と、上下の角を丸くしたカゴが採用されている。これによって、日本最高速度でありながら騒音や振動を軽減し、乗り心地の良さを維持している[25]。
アナログテレビ放送時代(2011年7月24日まで)、タワーの屋上には、NHK、関東広域圏民放キー局およびtvkの横浜みなとテレビ中継局があった。
アナログテレビ時代、横浜市内では基本的に、キー局は東京タワーからの、tvkは神奈川県立三ツ池公園からの放送をそれぞれ視聴している世帯が多かった。しかし、ランドマークタワーの建設によって大規模な受信障害が発生することが予想されたことから、その補償措置として、各局と三菱地所が費用を負担する形で設けられた。
通常こうした場合は、三菱地所が免許人となってSHF波を使った再送信が行われるが、影響が広範囲にわたる恐れがあったことから、異例のUHF波による中継局設置となった。
対象地域には横浜市中心街が含まれているが、ランドマークタワー近隣ではアンテナの仰角を大きく取らねばならず、市販品で対応できないため視聴世帯が少ない一方、下末吉台地の影響で東京タワー方向に受信障害を生じている神奈川区の一部地域などでは、UHFアンテナ1本で全局視聴が可能になる[注 5]ことから、ランドマークタワーにアンテナを向ける世帯も多い。
アナログ廃止以降、地上デジタルテレビ放送の中継局については設置不要と判断されたため、アナログ放送停波に伴い廃局となる予定であった[26]。しかし、総務省の現地調査によると、デジタル放送完全移行するまでに、難視対策が間に合わない世帯が、横浜市内で併せて2,000世帯に上ることがわかった。これは全国的に見ても影響するエリアが最大級の規模だという。
このため、急遽デジタル波用の「みなとみらい中継局」を新設することになり、2012年9月1日に開局した[27]。いったん廃局を決めた中継局を復活させる事態は、極めて異例のケースである。
オフィスの入居率は90%を超える。
69階の展望フロア「スカイガーデン」は地上からの高さが273mで[30]、360度の眺望が堪能できる展望施設である。横浜港・東京湾をはじめ、東京都心部や房総半島・三浦半島・伊豆半島、富士山、秩父山地など、関東平野一円を望むことができる[31]。ビルの展望台としては日本で2番目の高所にある。なお、ビルの最上階(70階)はホテルのスカイラウンジおよび宴会場となっており、こちらの高さは地上277mである。
定期的なイベントとして、毎年秋にプリキュアシリーズのイベントが開催されることがある[32][33][34]。
日本の他の建築物における展望台の高さは以下の通り。
ランドマークプラザ Landmark Plaza | |
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ランドマークプラザのガーデンスクエア (2008年) | |
店舗概要 | |
所在地 | 神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1 |
座標 | 北緯35度27分18秒 東経139度37分52.1秒 |
開業日 | 1993年7月16日 |
施設管理者 | 三菱地所プロパティマネジメント |
延床面積 | 74,000 m² |
商業施設面積 | 26,000 m² |
店舗数 | 159店 |
駐車台数 | 1,400台 |
最寄駅 | 横浜高速鉄道みなとみらい線みなとみらい駅 |
最寄IC | 首都高速神奈川1号横羽線みなとみらい出入口 |
外部リンク | 横浜ランドマークタワー |
ランドマークプラザは、プラザ棟の中に開設されたショッピングモール。5層にわたる吹き抜けがあるガーデンスクエアが大きな特徴である。タワー棟とは4Fを除く各フロアで接続されている。また、モール内を東西に貫くメイン通路 (1-3F) はみなとみらい地区の歩行者動線「クイーン軸」の一部となっている[35]。この軸を介してクイーンズスクエア横浜の低層部を貫くクイーンモールやパシフィコ横浜方面とも接続している。
ファッション、インテリア、ホビー、レストラン、郵便局・銀行ATMなど様々なテナントが入居している。主なテナントは本項末尾の通り。みなとみらい地区では初期に開業し、高級店が多く入居した。その後の地区開発によって多くのショッピングモールが開業していったが、現在でも周辺より比較的ブランド力の高い店舗が多い。
なお、タワー棟のエレベーターは三菱製だが、プラザ棟のエレベーター・エスカレーターの一部は日立製である。またプラザ棟のみなとみらい大通りエントランス側には、世界でも希少な螺旋状のスパイラルエスカレーター(三菱製)が設置されている[36]。
定期的なイベントとしては、1Fガーデンスクエアではピアノ演奏のほか、近年では毎年秋にプリキュアシリーズのスカイガーデンで開催される催事と同時にテレビシリーズのステージイベントが開催されることがある[37][38]。またクリスマスシーズンには、スワロフスキー製のクリスタルツリーが飾られ、疑似的な降雪を発生させるイベントもある。5Fランドマークホールで行われていた映画上映会「ランドマークシネマコレクション」は2011年3月末に終了した[39]。
なお、横浜能楽堂が大規模改修工事により休館(2024年1月から2026年6月[41])となり、工事期間中にあたる2024年4月中旬から2026年3月にかけてランドマークプラザ5階に能や狂言の普及を図る施設「OTABISHO(おたびしょ)横浜能楽堂」を開設する予定である[42]。
みなとみらい21の敷地はかつて三菱重工業横浜造船所の移転跡地を埋め立てにより拡張したものであり、横浜ランドマークタワーは造船所のドック跡地に建設された。
現在、イベントスペースやオープンテラスとして利用されているドックヤードガーデンは、日本に現存する最古の石造りドックヤードであった旧・横浜船渠(後の三菱重工業横浜造船所)第2号ドックを復元・保存したものである。設計者は大日本帝国海軍技師の恒川柳作である。このドックは1896年に竣工し、1973年に使用を中止するまで70数年間、港湾施設として重要な役割を果たしてきた。
横浜市は早い段階から第2号ドックの保存活用を計画し、建築史家・村松貞次郎(当時東京大学教授)ら専門家の意見を基に保存計画が立てられた。みなとみらいの土地造成に伴い海岸線がドックから離れたが、工事中の1989年4月には横浜市認定歴史的建造物に認定され、復元作業が全面的に行われ、1993年の横浜ランドマークタワーの開業とともに、ドックヤードガーデンとしてオープンした。
ドックの内部はレストラン街となっている。1997年12月には国から重要文化財の指定を受けた。重要文化財指定名称は「旧横浜船渠株式会社第二号船渠」である[43]。さらに2007年11月には経済産業省による近代化産業遺産に認定されている。敷地の都合から長さが10m短縮されて復元されており[44]、全長約107m、全幅(上端)約29m、深さ約10m[45]である。
2013年7月より開業20周年を記念して、180度体感型のプロジェクションマッピングによる演出イベントが開催されている[46]。
なお、横浜船渠の第1号ドックは1985年以来、「日本丸メモリアルパーク」として保存活用されており、2000年12月に「旧横浜船渠株式会社第一号船渠」の名称で国の重要文化財に指定されている[47]。
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