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日本における公職選挙 ウィキペディアから
日本の選挙(にっぽんのせんきょ)では、日本における公職選挙制度について述べる。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
国政選挙においては、衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙とで、互いに異なる多数代表制選挙区と比例代表制選挙区とが互いに重複して同時に併存している。
衆議院選挙で行われる比例代表選挙は政党・政治団体名でのみの投票となっている(拘束名簿方式・名簿届出の個人名の投票は無効扱い)。だが、2005年9月の第44回衆議院議員総選挙に関して、いわゆる「疑問票」の扱いについて以下のような通知が行われた。
参議院選挙の比例代表制は、非拘束名簿方式で行われる。投票用紙に記入された候補者個人が所属する政党の得票とされ、さらに当選順位は個人名での得票数の多い候補者の順となる。また、個人名を書かない場合は、政党名を記入して投票することも可能であり、その場合その政党の得票となる。
日本では2000年以降の国政選挙から、比例当選議員は所属政党が存在している場合において、当選時に当該比例区に存在した他の名簿届出政党に移籍する場合は当選を失うことになった(公職選挙法第99条の2)。
ただし無所属になることや、当選時に当該比例区に存在しなかった新政党への移籍は当選を失うことはない(当選時に存在した政党であっても、自分が比例選出された選挙で該当比例区に候補者擁立しなかった政党には辞職せず移籍可能。具体的な例として、2009年衆議院総選挙でみんなの党は衆議院比例区では北海道・東北・北陸信越・中国・四国で擁立しなかったので、北海道・東北・北陸信越・中国・四国の比例当選衆議院議員は当選を失うことすることなく、みんなの党への入党が可能であった。)。
政党が他政党の比例選出議員を当選を失わさせずに入党させるため、一度解党手続きをしてから新党結成する形で事実上の政党移籍は可能である(過去に保守党が他政党の比例選出議員を入党させるために一度解党した上で保守新党を結成したのがこれに該当する)。その場合は一度解党手続きをとるために、解党前の国政選挙の得票による政党助成金が受け取れず議員数による政党助成金しか受け取れないデメリットが存在する。過去の得票数が多かったり入党議員が少ない場合は逆に政党助成金が減ってしまう可能性がある。
また、当該比例選出政党が合併した場合や解散した場合は、比例当選議員は政党移籍において当選を失うことなく移籍可能である(自由党と民主党の政党合併はこれに該当する)。
2016年に結党した民進党では旧みんなの党の比例代表選出議員ゆえに国会法第99条の2の規定により改選まで国会議員職を維持したまま民進党に参加できない旧維新の党の参議院議員5名は共同会派所属国会議員の地位に関する経過規定(党規約附則2条2項[3])により、2019年9月まで小野ら5名は無所属でありながら党役員への就任や両院議員総会での議決権行使を許されて民進党所属国会議員に準ずる地位を有するものとされたが(政党助成法上の政党交付金配分に絡む議席分にはカウントされない)、産経新聞から『「無所属議員を党所属議員として扱う」という政党政治の根本が問われるような異常な事態』と批判された[4]。
日本ではある政党や政治団体の比例名簿の登録者を上回る当選者が出た場合、上回った議席分は次に議席が配分される他の政党や政治団体に配分される。ただし、これは選挙時に限り、補充(繰上げ)の場合は他の政党や政治団体に配分されず、欠員となる。
2005年9月の衆議院選挙において、自民党は東京ブロックで8人分確保したが、重複立候補の小選挙区当選者を除く比例名簿登載者が7人しか残っていなかった。このため、公職選挙法の規定により全員が当選した場合、次に上位を占める政党や政治団体に議席を与えることになり、社民党の候補者(保坂展人)にその1議席を「譲渡」した形になった。
2009年8月の第45回衆議院議員総選挙の近畿ブロックでは、民主党の名簿登載者が2人不足した。その結果については次節を参照のこと。
2017年10月の第48回衆議院議員総選挙において、立憲民主党は東海ブロックで5人分確保したが、重複立候補の小選挙区当選者を除く比例名簿登載者が4人しか残っていなかった、このため、公職選挙法の規定により全員が当選した場合、次に上位を占める政党や政治団体に議席を与えることになり、自由民主党の候補者(田畑毅)にその1議席を「譲渡」した形になった。
2009年8月の衆議院選挙において、みんなの党は東海ブロックと近畿ブロックでそれぞれ1人、計2人分の当選枠を確保した。ところが、2ブロックの同党の候補者は全て重複立候補で、かつ当該地域の小選挙区で有効票の10%を得られなかったために、比例復活当選の資格を得ることができなかった。このため東海ブロックの議席は民主党の候補者(磯谷香代子)に割り振られ、近畿ブロックでは民主党の候補者不足(2人)もあって合計3議席が自民党(谷公一、谷畑孝)と公明党(赤松正雄)に振り分けられた。
2021年10月の第49回衆議院議員総選挙において、れいわ新選組は東海ブロックで1人分の当選枠を確保した。ところが、同党の候補者は全て重複立候補で、かつ当該地域の小選挙区で有効票の10%を得られなかったために、比例復活当選の資格を得ることができなかった。このため東海ブロックの議席は公明党の候補者(中川康洋)に割り振られた。
選挙時の政党が、他党への合流や合併、解党などが行われた場合の比例名簿の扱いは、当該政党が比例名簿の取り下げを行わない限りは有効である。仮に当該政党が選挙で議席を獲得していて、その後欠員が生じた場合はその当時の名簿から繰上補充が行われる。一方で離党や除名などでその政党構成員でなくなった場合や当選を辞退する場合に、選挙時の政党が解党し、結成された後継政党が「法令上で選挙時の政党と異なる政党の扱い」である場合は、離党や除名、当選の辞退者が発生しても当該名簿に手を加える事が出来ず、削除は不可能となる。
このように「立候補時の政党」と「繰上当選決定時の政党」が異なりながらも、繰上当選となった例も散見されることや、当選辞退を表明した者に対する取扱いについて、法令の改正を求める意見も出ている[9]。
いずれも議席獲得事例がある政党に限った。
回 | 年 | 自民 | 希望 | 立民 | 国民民主 | 民主 | 維新 | 公明 | みんな | 共産 | 社民 | 未来・生活 | 国民新 | 大地 | 新党日本 | 新進 | 自由 | れいわ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
41 | 1996年(平成 8年) | 70 | - | - | - | 35 | - | - | - | 24 | 11 | - | - | - | - | 60 | - | - | 200 |
42 | 2000年(平成12年) | 56 | - | - | - | 47 | - | 24 | - | 20 | 15 | - | - | - | - | - | 18 | - | 180 |
43 | 2003年(平成15年) | 69 | - | - | - | 72 | - | 25 | - | 9 | 5 | - | - | - | - | - | - | - | |
44 | 2005年(平成17年) | 77 | - | - | - | 61 | - | 23 | - | 9 | 6 | - | 2 | 1 | 1 | - | - | - | |
45 | 2009年(平成21年) | 55 | - | - | - | 87 | - | 21 | 3 | 9 | 4 | - | 0 | 1 | 0 | - | - | - | |
46 | 2012年(平成24年) | 57 | - | - | - | 30 | 40 | 22 | 14 | 8 | 1 | 7 | 0 | 1 | - | - | - | - | |
47 | 2014年(平成26年) | 68 | - | - | - | 35 | 30 | 26 | - | 20 | 1 | 0 | - | - | - | - | - | - | |
48 | 2017年(平成29年) | 66 | 32 | 37 | - | - | 8 | 21 | - | 11 | 1 | - | - | 0 | - | - | - | - | 176 |
49 | 2021年(令和 3年) | 72 | - | 39 | 5 | - | 25 | 23 | - | 9 | 0 | - | - | - | - | - | - | 3 |
注1:-は立候補しなかった場合(政党等が存在しない場合も含む)、0は立候補したが当選者がいなかった場合をさす。
注2:立民は、第48回が立憲民主党 (日本 2017)、第49回が立憲民主党 (日本 2020)。
注3:民主は、第41回が民主党 (日本 1996-1998)、第42-47回が民主党 (日本 1998-2016)。
注4:維新は、第46回が日本維新の会 (2012-2014)、第47回が維新の党、第48-回が日本維新の会 (2016-)。
注5:未来・生活は、第46回が日本未来の党、第47回が生活の党(日本未来の党の改称)。
注6:大地は、第44・45・48回が新党大地、第46回が新党大地 (2012-)。
注1:-は立候補しなかった場合(政党等が存在しない場合も含む)、0は立候補したが当選者がいなかった場合をさす。
注2:社会・社民は、第17回までが日本社会党、第18回-が社会民主党(日本社会党の改称)
注3:民主・民進は、第23回までが民主党、第24回が民進党(民主党の改称)。
注4:維新は、第23回が日本維新の会 (2012-2014)、第24回がおおさか維新の会、第25回-が日本維新の会 (2016-)。
注5:生活は、第23回が生活の党、第24回が生活の党と山本太郎となかまたち(生活の党の改称)。
注6:立民は、第25回が立憲民主党 (日本 2017)、第26回が立憲民主党 (日本 2020)。
注7:国民民主は、第25回が国民民主党 (日本 2018)、第26回が国民民主党 (日本 2020)。
注8:NHKは、第25回がNHKから国民を守る党、第26回がNHK党(NHKから国民を守る党の改称)。
日本国民で年齢満18歳以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する(公職選挙法第9条第1項)。
日本国憲法の改正手続に関する法律附則において、選挙権年齢を20歳以上から18歳以上となるよう法制上の措置を講ずることが盛り込まれた。その後、2015年6月に改正公職選挙法が成立し選挙権年齢は20歳以上から18歳以上に引き下げられることになった(18歳選挙権)[10]。
日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する(公職選挙法第9条第2項)。
2015年6月に改正公職選挙法が成立し選挙権年齢は20歳以上から18歳以上に引き下げられることになった[10]。
日本国民は、選挙の期日の年齢に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する(公職選挙法第10条)。
次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない(公職選挙法第11条)。
また、公職にある間に犯した刑法第197条から第197条の4までの罪又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律第1条の罪により刑に処せられ、その執行を終わり又はその執行の免除を受けた者でその執行を終わり又はその執行の免除を受けた日から5年を経過したものは、当該5年を経過した日から5年間、被選挙権を有しない(公職選挙法第11条の2)。
選挙の期日とは、選挙の投票を行う日(投票日)のことで、公職選挙法に規定されるが、選挙の種類により期間は異なっている。
選挙の期日は、現在ではほぼすべての選挙で日曜日に設定されている。ただし、主に離島など区域内の一部の地域では本来の選挙の期日に悪天候で投票箱の輸送ができなくなるのを避けるため、通常の投票日の3日前~前日に繰り上げ投票が行われる場合がある。
また、現在でも山形県飯豊町、小国町、秋田県小坂町では、町長や町議会議員の選挙において、通常の投票日を恒常的に日曜日以外の平日とする、平日投票としている。
投票締め切り時間は原則午後8時になっているが、山間部や離島など事務負担を考慮して自治体の判断で繰り上げることができ、期日前投票の定着を理由に都市部でも投票時間の短縮化が拡大している[12]。なお、午後8時は投票所の閉鎖時間とされ、2021年10月31日に長野市内に設置された第49回衆議院議員総選挙と長野市長選挙の投票所のうち少なくとも2か所では、午後8時になっても入場待ちの行列ができており、市選管の指示で行列がなければ投票ができたと考えられることから時間内に来場した人に投票を認めた[13]。
日本においては、選挙の際に活動(選挙運動)を行うことのできる期間が規定され、この期間に候補者と政党は公職選挙法等に定められた範囲内で選挙活動を行うことができる。期間は公職選挙法に規定されるが、選挙の種類により期間は異なっている。運動期間は、公職選挙法第129条により公職の候補者の届出のあった日(現在、候補者の届出は選挙告示日(公示日)のみ行えるので、すなわち選挙告示日(公示日))から当該選挙の期日(投票日)の前日までとなっている。
なおこれらは最短日数でありこれより長く選挙運動の期間をとることも認められている。ただし費用の面から最短日数より長く期間を取る例はほとんどない。
通常、選挙の運動のうち街頭での演説や連呼行為は、運動期間の毎日8時から20時までとなる。日本以外の多くの国ではこのような特別な活動期間は設定されておらず、また戸別訪問の禁止や文書等の配布の制限なども日本ほど規制されている国は少ないが、これは選挙運動にかかる費用の抑制等を目的としている。
衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙における当選人は、有効投票の最多数を得た者をもって当選人とするが、その者が法定得票を得ていることが必要である(公職選挙法第95条第1項本文)。
衆議院比例代表選出議員及び参議院比例代表選出議員の選挙における当選人の数及び当選人は、ドント方式で決定する(公職選挙法第95条の2、公職選挙法第95条の3)。
得票数が同じで当選人を定めることができないときは選挙会においてくじで当選人を決定する(公職選挙法第95条第2項、公職選挙法第95条の2第2項及び第3項、公職選挙法第95条の3第2項及び第3項)。具体的なくじの方法についてはそれぞれの自治体に委ねられている[14]。なお、1947年の公職選挙法改正以前の選挙では年長者を当選人としていた[15]。
国政選挙に係る地方公共団体の費用は国庫から支出され、「国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律施行令」に基づく「選挙執行委託費」などという[25]。一例として第21回参議院議員通常選挙の予算額は526億円[26]。2009年11月17日には総務省の選挙関連経費として開票作業費等、啓発推進経費、明るい選挙推進費のそれぞれの費用が事業仕分けされた[27]。
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