将棋用語一覧(しょうぎようごいちらん)では、将棋に関する用語をまとめる。将棋のルールに関するものなど基礎的な用語については将棋、戦法に関するものについては将棋の戦法、格言に関するものについては将棋の格言、詰将棋に関する用語は詰将棋の用語を参照。
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気合負け(きあいまけ)
序盤から中盤の浅い段階にかけて、相手の手に対して自分の側にメリットのない消極的な手で応じることをさす語。軽い非難のニュアンスがある。昭和~平成の途中には比較的用いられたが、根性論的なところがあるので平成育ちの人たちはそれほど用いない傾向がある。現在はコンピューターの発達で人間の感覚で消極的かどうかというレベルを超えた、異様な手が行われており、気合負けという語もその流れでさらに用いなくなってきている。
- 棋界(将棋界)
- 将棋棋士、将棋指しらが活躍する業界・界隈。
- 利かし、利かせる
- 相手に受けを迫る手を指すこと。特に、すぐには効果は出ないが、放置しておくと後に脅威となる手になるため、相手に対応させること。逆に相手に指されて受けを迫られる場合、「利かされ」と言う。
- 利かずの駒並べ
- 将棋の駒40枚すべてを9x9の盤面に、全ての駒同士の利き筋(ききすじ)が重ならないように並べるパズル。
- 聞き手(ききて)
- 大盤解説において、解説者とともに解説に参加し、棋士や棋戦の成績の紹介、観覧者へのアナウンス、駒の移動の手伝い、解説者への質問、解説者に対する返事・相槌、解説者の発言中の対局者の挙止の確認、解説者の交代の直後での前解説者の発言の要約などを行う人。慣例として女流棋士が務めることが多いが、プロ棋士が行うこともある。また知識量、拘束時間、金銭的報酬の配分などの関係で、未成年の棋士、女流棋士が聞き手になるのを避ける慣例もある。女流棋士が聞き手を務める慣例は一般的な社会通念では性差別の疑いが強いが、女流棋士に仕事を与えて金を渡すことで女流棋士という職業を成り立たせているという面もあり、声高には問題視されていないものの棋界における微妙な問題である。
- 棋客
- 将棋指しの古い言い方。
- 利く、利き
- 駒が動けること。また、ある駒甲を乙が取るとその乙を丙が取れるときに「丙が甲に利いている」と呼ぶ。利いている範囲を「利き」という。
- 棋士
- 将棋界ではプロの将棋指し・将棋を指す専門家。
- 奇手
- 奇妙で突飛な指し手。しかし中には妙手や好手の場合もあったりする。
- 鬼手(きしゅ)
- 勝利を決定付ける一手。「おにて」と読むこともある。「妙手」と似ているが、より直接的に勝利に結びつくような手に使う。
- 奇襲戦法
- 侮れない狙いを持つが、狙いを看破されると容易に不利になるとされる戦法。
- 棋書 (将棋)
- 将棋に関する書籍。
- キズ
- 弱点の内で、相手の攻めにより生じた陣形の欠陥など。これを解消することをキズを消す、キズを治すと表現する。禍根。
- 棋戦
- 将棋の大会やプロ将棋のタイトル戦や公式戦。
- 鍛えが入っている、鍛えの入った手
- 鍛えが入っているは、あまり知られていないが、これまでに相当に研究してきたであろう実戦的な手。鍛えの入った手は積み重ねた努力や研鑽から出された妙手や負けづらい指し手のこと。
- キツイ
- 厳しい局面の他、指し手、一着のことでも使用する。
- 棋道師範(きどうしはん)
- 日本将棋連盟が普及活動に熱意のある者にたいして与える指導員資格。
- 気にする(き-)
- 実否は分からないが、ある手順の中に自分のほうが悪くなるような雰囲気の手があることを発見し、それに対する対処を優先したりその手を避けたりすること。対局者が感想戦で使うこともがあるが、選択肢の多い局面で解説者が使うことが多い〈例〉「角ののぞきを気にしましたか。ここは手抜きで攻めるのもあったと思いますね」
- 棋譜(きふ)
- 対局を用紙等に記録したもの。
- 棋譜を汚す
- 棋譜が汚れると言われるような手を指すこと。
- 一応勝ったものの、終盤で悪手を連発してその部分だけ感じの悪いことを自嘲していう語。〈例〉「このあたりは棋譜を汚す手だった」
- 棋譜が汚れる
- 最終盤に、自分がどうやっても負けるような、攻め味のまったくない完全な敗勢下で、相手の迷わないような、しかしそれぐらいしか指す手のない受けをひたすらくりかえしているだけの対局者を非難する際に用いられる表現。負けの覆らない状況でどのぐらい指し続けるかという価値観については現状コンセンサスがないため、使う人と使わない人に分かれる。
- 棋譜並べ
- 棋譜に基づいて特定の対局を盤面に再現すること。また、その対局を研究すること。
- 棋風
- 指し手の特徴、ある人の指し手の傾向。
棋譜用紙(きふようし)/記録用紙(きろくようし)
- 将棋の対局の内容を保存し、あとから確認できるよう記録する際に用いる用紙。対局者の名前、対局の日時と場所、指し手を示す符号、持ち時間の消費を記入する専用の欄があり、記録係が対局に立ち会って適時記入する。プロの対局では、対局中に記録係に申し出れば(今までの手順や持ち時間の消費を確認するために)、用紙を見ることができる。アマチュア将棋でも公式大会での一部の対局で用いられるが対局者は確認できない。対局後棋譜用紙は保存されるが、その現物は基本的には棋界関係者以外には非公開で、記録された対局の内容のみ公開される。棋譜用紙にさし手の符号を記録する際、一部の人は特殊な略記法を用い、あとで書き直すという方法をとっている。現在はタブレットPCを用いた記録が行われており、あとからそれを確認しつつ二次的に棋譜用紙に書くことも多い。
- 気持ち悪い
- ここ数手では大丈夫だが、のちに嫌な手順が出てきて形勢が悪くなりそうな駒の配置、またはその嫌な手順の鍵となる駒を形容していう語。〈例〉「ここに歩がたれているのが気持ち悪いのでまあ取ります」
- 疑問手(ぎもんしゅ)
- 勝敗を直接決したわけではないものの、形勢を悪くする原因となった指し手。緩手よりも酷く、悪手よりは酷くない手[4]。対義語は好手。
- 逆王手
- 王手を受けた手が逆に相手の王手となること。
- 逆先
- 相手の主導で攻められているときに受けていたのを切り替えして反撃に出ることを指す。
- 級位者
- 段級位制参照。
- 急所
- 最も重要な勝負所や、盤面でのポイント。「焦点」と言われることもある。〈例〉「ここで急所の一着が出ました!」
- 急戦
- 守りにはあまり手数をかけず、早い段階から戦いを起こす戦法。
- 僥倖(ぎょうこう)
- 幸運を願い待つとの意味であるが、過去に木村義雄十四世名人が、相手が仕掛ける僥倖に頼る手に対して一喝したことがある。そして藤井聡太がインタビューでも使用した言葉としても知られる。
- 香車(きょうしゃ)、香落ち(きょうおち)
- 香車は「宝石で飾られた車」という意味で、駒の性能として真っすぐの利き筋が生じているので「槍」とも呼ばれる。上手がこの香車を一枚落として戦うのが香落ちという駒落ち戦で、かつてはタイトル戦でも指し込み制として行われていた時期もあるが、現在公式戦では主に奨励会で行われている。現在では上手から見て左の香を落として行われるのが常である。
- 強手(きょうしゅ)
- 意表を突いたどぎつい手。「強い手」とも。多少の損は構わずに最終的な実利を取る意味のある手など。通常は攻めの手のことを指すが、受けの手の場合は「受けの強手」と言う。
- 脇息(きょうそく)
- 対局の際に左脇に置く肘かけ道具。体をもたれかけたりする。5寸盤に座布団で対座する対局などの場合で使われ、椅子席テーブルでの対局では使用しない。
- 玉、玉将
- 王将のことであるが、将棋駒のセットは通常王将と玉将が用意されており、上位者が王将、下位者が玉将を持って指している。
上位者が王将を使い下位者が玉将を使うという慣習について
- 将棋の駒は歩9枚、香車2枚、桂馬2枚、銀将2枚、金将2枚、角行1枚、飛車1枚、玉将1枚の20枚が1ペアあり、合計40枚が用いられるが、その1セット内の同種の駒は(駒を取って使うルールがある都合で)大きさ、形、色、文字によって区別されておらず、同種の駒ならばどれも同じ規格で作られている。しかし玉将の1ペアについては例外で、片方はそのまま玉将または玉と書かれているが、もう片方は玉の5画目の点がないことが多い。この二つを呼び分ける場合、点のあるほうは「玉」「玉将」、点のないほうの玉将は、点のあるほうに対して「王」「王将」「王様」と呼ぶ。この玉の点の有無に関係して、上位者(明らかに棋力が上の側、または遥かに年上の側)が点のないほうを用い、下位者(明らかに棋力が下のがわ、または遥かに年下の側)が点のあるほうを用いて対局を始めるという慣習がある。この慣習の由来は不明で強制力はなく、アマチュア将棋ではどの程度従うかは個人差が激しい。まったく気にしない人もいれば、盤上に出した駒を並べるときに相手が先に点のあるほうの玉を初期位置に持っていっただけで自分に敬意を表したと解釈して「では失礼します」というように一礼する人もいる。顔見知りどうしの私的な対局の場合に、社交辞令として点のないほうの玉を譲りあう人もまれに見られる。プロの対局では、実物の駒を使う場合、通常は上位者が点のないほうの玉を使う。大盤解説では玉の点の有無を区別する駒と区別しない駒のどちらも用いられる。印刷物とネット対局では玉の点の有無は区別されず、どちらも玉と表示される。「玉」と「王」は駒の表示を呼び分ける呼称でもあり、また単に駒の種類を指す同義の呼称でもあるのでまぎらわしいが、「玉/王を持ってさす」「私が玉でかまいませんか?」のように後者の意味を用いるとおかしくなる場合は前者の意味になる。
- 玉(ぎょく)/王様(おうさま)が取られる
- 将棋では、自玉にかけられた王手をどうしても解除できない状態になった時点で勝敗が決着するため、文字通りの意味で玉が取られることはゲーム内では起きない。しかし解説では飛角香の利きが間に駒をはさんで玉にかかっている状態のため、その間にある駒が動けないことを指す際に「玉が取られてしまいますので歩のたたきに同金ができません」のように「玉が取られる」という表現を使うことがしばしばある。
- 玉が見えない
- 玉に詰めろをかけるまでの展開がイメージできないほど玉が安全である。〈例〉「馬が手厚すぎて急に先手玉が見えなくなる」
局(きょく)/番(ばん)
- 対局を数えるときに用いる助数詞は慣習的に「局」と「番」の二つがある。書籍や放送では「局」が用いられるが「○番勝負」という表現では「番」を用いる。口語では「一局/一番やりましょう」のように○番勝負以外であっても番も用いる。慣習的ではないが「試合」「ゲーム」「戦(せん)」と言う人もいる。
曲線的な(きょくせんてきな)
- (手順、展開を形容して)さし手の選択肢がいくつかあり、そのどれを選んでも形勢が傾くわけではなく、相手のメインで読んでいる手とちがう手や、そのタイミングでさすのがよいのかよく分からない手や、手を渡す手がくりだされ、展開の緩急の変わる地点がしばらくあとへ持ち越されるような、盤面の流れがなりゆき次第なさま<例>「ふむ、金上がりで受けて曲線的な展開を所望すると」
- (個々のさし手を形容して)相手の応対の選択肢が広い手をさして局面の流れを不確定にしようとする感じのあるさま <例>「右玉使い特有の曲線的な駒の投入が来た」
- (棋風を形容して)相手に判断を迷わせるような手、あいまいな手を好んでさし、きわどく攻めかかりはしないが自分が100%受けに回るわけではなく攻めと受けを柔軟に切り替え、途中の優位に貪欲にならず、過程はどうあれ最終的な勝利があればそれでよいと考える棋風であること。<例>「彼は曲線的な将棋のふりで間合いを分からなくしてから、いいタイミングで豹変して攻め将棋丸出しで来る」
- 玉頭 (ぎょくとう)
- 玉将(が収まる囲い)の上部のこと。
- 玉頭戦
- 双方の玉将が縦に並んでいる際に、玉頭で起こる戦い。
- 玉頭銀
- 振り飛車が腰掛け銀に構えた銀を相手の玉頭に進出させていく戦術。
- 局面(きょくめん)
- 駒の位置、状態の総体。
- 玉形(ぎょっけい)
- 狭義には玉の囲いに同じ。広義には玉の周りの駒の配置。玉の安定度。
- 拠点
- 甲の囲いの駒Aに対して駒取りになる乙の駒Bについて、そのBにひもをつけている乙の駒C。
- 相手の玉や囲いの近くへ簡単には取られないように配置した自分の小駒。特に歩を指すことが多い。
- 日本将棋連盟が設ける普及活動の拠点。東京と関西の将棋会館と北海道の将棋会館、新宿将棋センターを設定している。
- 切らす
- 相手の攻めを受けて防ぎきること。「受け潰し」も参照。または、持ち駒に歩がない状態。「歩を切らす」と言われる。
- 棋理(きり)
- 指し手の善し悪しに関する(経験的かつ感覚的な)法則性。〈例〉「遊び駒を使うこの手は最善手でないとしても棋理からして局面が悪くなることはないでしょう」
- 棋力(きりょく)
- 将棋の強さ、実力のこと。段と級で表される。将棋の段級を参照。
- 斬り合い、斬り合う
- 相手の攻めを受けず、一手勝ちを狙うこと。
- 切る
- 駒、特に大駒(飛車・角)を小駒(金・銀・桂馬・香)と交換すること。一般的には損だが、二枚替えを狙える場合や切ることによって攻めを続けられる場合にはしばしば見られる。
- きれいな
- (ある特定の手順に対して用いて)はたらきの悪い駒が残らない形で巧みに相手玉を追いつめるさま<例>「成銀を捨てるのがきれいな手順の寄せです」
- (ある特定の手順に対して用いて)駒がうまく交換になったり敵陣に成りこめたりして、(形勢は別として)盤面の一部分の駒の密度が下がるさま。<例>「これは一回盤面をきれいにするのが先手にとってはいいですね。後手はその逆にごちゃごちゃさせたいところ」
- (定跡に対して用いて)洗練されているさま、好手の応酬に見ごたえのあるさま <例>「この定跡はきれいすぎてならべるだけで棋力が上がった気になります」
- (棋力に対して用いて)筋のよい手を自然にさすことができ、棋力の大きくのびる素質の見えるさま<例>「矢賀くんは、さし手がきれいですよね」
- (棋風に対して用いて)棋風についても「きれいな」を用いることがあり、この場合はあいまいではっきりした定義はなく、格調の高さと直線志向がうまく合わさった棋風を漠然とさす。<例>「山田くん、将棋は自分が好手を指すゲームじゃなく、相手に悪手を指させるゲームだよ。同じ棋力どうしがやるならきれいな棋風は損だと思うよ」
- 切れる
- 攻め切れずに駒損だけ残ること。どうにも切れてしまいそうな時は「切れ模様」などとも。
- 切れ筋(きれすじ)
- 正しく応じれば切れる手順。
- 切れ負け、切れ負け制(きれまけせい)
- 持ち時間を使い切った時点で負けになる将棋ルールを「切れ負け制」という。インターネットを介した対戦将棋などで広く採用されている。
- 切れ模様(きれもよう)
- 攻めているが相手に受け切られてその後指す手がなくなりそうな模様のこと。実際に受け切られるかどうかは、相手次第。
- 棋歴(きれき)
- 将棋におけるこれまでの経歴や経験値のこと。〈例〉「輝かしい棋歴を誇る」
- 記録係(きろくがかり)
- 将棋では対局において棋譜を記録したり持ち時間を確認したりする係。
- 銀が泣いている(ぎんがないている)
- 坂田三吉がライバルである関根金次郎との五番勝負第一局で自分の銀が敵陣で動けなくなったときを表した言葉として知られる。ここから自分の銀が働かなくなった状態を表す言葉となる。
- 錦旗(きんき)
- 将棋の駒の種類のひとつ。書体銘としても。駒 (将棋)#書体参照。
- 銀冠(ぎんかんむり)
- 将棋の囲いのひとつ。
- 銀冠(ぎんかん)の小部屋
- 端歩をついた状態の銀冠の、銀の右側(先手振り飛車なら1七、先手居飛車なら9七、後手振り飛車なら9三、後手居飛車なら1三)のマス。銀冠は上部を銀で守っているために、条件がよくないと上から攻めるには手数がかかる。一方下から玉を追いこんだときに斜め上に上がられると、銀か角がないと王手をかけにくい。そこで銀の右側のマスに逃げて1手の余裕をかせぐ展開がよく発生する。それをさして(「玉の短時間の安全地帯」というニュアンスで)「銀冠の小部屋」と呼ぶ。
- 銀千枚
- 持ち駒に金1枚があれば敵玉が詰みだが、その金を持っておらず、銀では何枚あっても詰まない状態。「銀では、千枚有っても詰まない」からきている。
- 銀ばさみ
- 銀の両横に相手の歩がいるために、銀が斜め後ろに戻れないこと。
- 銀ひばり
- 5筋位取りで先手なら5六、後手なら5四の地点に銀を繰り出した形を指す。下から銀がその地点まで上がっていくさまが、ひばりが飛び立つ様子になぞらえていることからという。
- 禁じ手(きんじて)
- 将棋においては、将棋のルール違反の手の総称。ルール違反を犯した場合、基本的には指した時点で反則負けとなる。
- 金底の歩(きんぞこのふ)
- 金と歩を使用した受けの手筋の言葉で、自陣二段目の金の下に持ち駒の歩を打っておくこと。そうして打った歩のことを「底歩」と呼ぶ。
- 金開き(きんびらき)
- 玉を中住まいにして自陣左右に金を開くように配置した陣形。
- 近代将棋
- 現代において指し手順・戦略などが洗練されて指されている将棋。江戸時代などに指されていた手順を古典将棋と呼んで、区分することもある。
- 2008年まで発行していた将棋雑誌。
- クイーン、クイーン称号
- 女流棋界のタイトルでの永世称号。
- 食いちぎる
- 歩以外の異なる種類の駒がひもがついた状態でぶつかっていてどちらからも取らないままだったが、片方が猛攻をかける順が始まり、持ち駒の補給のためにそのぶつかっている駒を取ること。「切る」とは部分的に同義。〈例〉これは銀で香車を食いちぎって打っていきますね。
食い逃げする(くいにげする)
中盤の浅い段階で、相手の駒を取った飛車、または角が次の手番以後安全な位置に移動し、(手数を使うという代償をだけで)駒得を確定させる。よく受動形で用いる。<例>「食い逃げされてはいけないので飛車を捕獲しにいく」
- 空気を捨てて仕掛ける
- 盤上の駒の配置が、あたかも歩を突き捨てて相手に歩を渡して開戦となった局面に見えるにもかかわらず、その歩が相手の駒台ではなく自分の駒台に乗っているという局面になっていること[5]。
- 空中戦、空中戦法(くうちゅうせんぽう)
- 大駒が盤上で激しく動き回る戦いを表す言葉で、特に横歩取り戦の戦型で呼ばれる。
- 鎖鎌銀(くさりがまぎん)
- 相掛かり戦で腰掛け銀のように銀を中央に進出するのではなく、逆に飛車筋のほうに向かって進める戦術。
- クソ粘り
- 形勢が不利な状況であっても、最後まで諦めず逆転を目指して指すこと。対義語は「早投げ」。
- 九段、九段戦
- 将棋段位の中で最高段位。江戸時代は名人の段位。九段戦は読売新聞が主催していた竜王戦の前身の棋戦で、全日本選手権と呼ばれ、優勝者には九段の称号を与えていた。
- 首を差し出す
- 自分の敗北が濃厚な状況で、形作りして手を渡すこと。下駄を預けると同義
- クマる
- 穴熊囲いを用いること。特に居飛車穴熊で用いられるが、藤井システムの登場などで、無事にクマれないことも多く[6]、以降は対穴熊側は組ませないようにする指し方が増えた。
- 組む
- 駒を動かし、攻めと守りの陣形を築くこと。
- 位(くらい)
- 中央の段(5段目)のこと。
- 位取り、位取る
- 位取り 中央の5段目まで歩を伸ばすことであるが、居飛車の飛車先の場合や相振り飛車での飛車先の場合こうは呼ばれない。また端歩(1筋や9筋)の場合は突き越しと表現する。
- 食らいつく
- 「張り付く」と同義。
- (不利な側が)形勢の差が広がらないように懸命に指す。
- 苦しい
- 不利と同義。
- 群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)
- 複数タイトル保持者がおらず、タイトルの数だけタイトル保持者がいる状態。
- 公開対局(こうかいたいきょく)
- 主にプロの将棋棋士が、テレビ中継やモニター越しではなく一般大衆の前で対局している実際の姿を公開した対局のこと。棋戦ではJT将棋日本シリーズなどが全局公開対局で行われている。
- 交換
- 駒の取り合いの結果、お互いに持駒を得ること。例えば、自分の銀で相手の桂を取り、次に銀が相手の別の駒に取られることを「銀桂交換」と言う。また、自分の角で相手の角を取り、次に自分の角が相手の別の駒に取られれば「角交換」と言う(「角角交換」とは言わない)。なお、自分の駒1枚(x)と相手の駒2枚(yz・ただし歩は対象外)が交換される場合は、「二枚替え」あるいは「xとyzの交換」と言う。
- 指し手に対して受けた、もしくは応じた時の表現。符号で表現することが多いが、端歩の場合は「端歩の交換」と言う。
- 降級、降級点
- 下のランクに位置するリーグに落ちること。降級点は順位戦で成績の悪かったものに付けられるもので、規定回付くと降級させられるというもの。
- 皇居内決戦(こうきょないけっせん)
- 昭和24年の名人戦五番勝負の第5局目が皇居内の済寧館で行われたのでこの名がある。
- 好局(こうきょく)
- 対局のうち素晴らしかったもの。お互いが力を出し実力を十分発揮して指された対局。
- 好形(こうけい)
- よい駒の配置。
- 公式戦 (将棋)
- プロ棋士の対局で、記録・成績が反映される棋戦。
- 好手(こうしゅ)
- うまい指し手。対義語は疑問手。
- 幸便(こうびん)
- 相手の狙いに対応した手が駒取りや自玉の受けになっているなどして一石二鳥感があるさま。〈例〉3六歩に4五桂とはねるのが金に当たって幸便なので先にそれを消す。
- 攻防手
- 攻めることと受けることが同時にできる指し手。攻防の一着などと呼ばれる。通常は大駒などで発生するが香車や玉頭戦などでは他の駒の指し手でも生じる。
- 攻防の角・飛(こうぼうのかく・ひ)
- 相手を攻めつつ、自玉の守りにも利いている角(馬)や飛車(竜)のこと。
- 高野山の決戦
- 昭和23年に高野山金剛峯寺で行われた名人戦挑戦者決定戦。
- 国際将棋フォーラム
- 外国人に向けた将棋の国際イベント。
- ココセ
- 「ここにさせ!」から派生した、自分からみて都合の良い手を相手が指すことを期待すること。逆にそうした指し手を指してしまうこともいう。勝手読みと同義。
- 小駒(こごま)
- 王将、角行や飛車以外の駒のこと。
- 55年組 (将棋)(ごじゅうごねんぐみ)
- 昭和55年(1980年)に奨励会から四段昇段した棋士の総称で、この時の棋士達が集中して若くしてタイトル獲得や各棋戦で活躍したため、こう呼ばれるようになる。
- 古将棋
- 平安時代から江戸時代ごろまでに指されていた将棋。
- 後手(ごて)
- 対局を始めるとき、先手の後で指し始めること。
- 後手を引く
- 受けている相手に逆に攻める余裕を与えるような手を指すこと。後手後手に回るなど、一般の慣用句にも使用される。
- この一手
- 他の指し手を選ぶ余地がないこと。必然的に指し手が決まっていること。「盤上この一手」ともいう。
- 後の先(ごのせん)
- 将棋では後手を引いたように見えるが実際は先手となるような指し手。相手の攻めを利用しての反撃などや、ゆとりをもって分かったうえで相手攻撃を受けるなどの意味を表す。
- コピー将棋
- 途中まで過去に指された将棋と同一局面で進んだ将棋。もとは途中変化できないことなどを揶揄した言い方であった。
- 小鬢(こびん)
- 玉・飛車の斜め上のマス。カタカナの「コビン」と表記されることが多い。元は頭の左右前側面の髪のこと。
- 駒 (将棋)
- 将棋というゲームを行うにあたって必要となる小道具。
駒を動かす動作について
現物の駒を手で動かす動作は、以下の5つがある。
- 駒の上面の若干うしろがわを人差し指か中指、または両方で軽くおさえ(駒が大きめなら人差し指と中指の両方でおさえる)、手を動かして駒をすべらせて移動させる。人差し指のみか、人差し指+中指のときは、背面の細い部分に親指をそえてもよい。
- 駒の上面を人差し指で(駒が大きければ人差し指と中指)、下面のうしろがわと背面にまたがるあたりを親指でおさえて持ち上げ、目的のマスの上まで持ってきて、駒の先端側が盤面に少し接触したところで親指をわずかにうしろがわにずらして駒の下面うしろがわも盤面に接触させる
- 駒の先端を人差し指で、駒の背面を親指でおさえて持ち上げ、目的のマスの上まで持ってきて、マスと盤面がきわどく接していない高さで両方の指を駒から離してわずかに駒を落とす。
- 人差し指の爪の面で駒の下面を支え、駒の上面に中指をおいた形で駒をはさんで持ち、目的のマスの上まで持ってきて駒の先端を接触させ、人差し指を少し後ろ側へ引き抜くようにして駒の仮面から離し、駒の下面後ろ側も盤面に接触させる。
- 駒の背面を中指の先でおして動かす。
この中で常用するのは1,2,4である。1は八方に1マスか2マス動くとき、2マスならその方向の1マス目に他の駒がない場合に用いる。例外的に桂馬の動きでも、目的のマスのすぐ下に駒がなければ可。ただしそれほどは用いない。3マス以上でも1で動かす人はいることはいるが、すべる距離が長すぎる感じがあって標準的ではない。「将棋」を意味するジェスチャーとして、人差し指、中指、親指は開き、薬指と小指は閉じた状態で、手のひらを下に、人差し指と中指の先を前に向け、口からアゴあたりの高さに手を持ってきて、手を前へ短く2回突き出す動作がある。これは1のすべらせて駒を動かす動作で将棋をたとえたものである。将棋を「さす」というのもこの動作から来ている。
2と4はあらゆる距離、方向で使うことができ、持駒を盤面に持ってくる場合もこれを用いる。3は時間が切迫していて、盤上か駒台から多少遠めのマスに移動するときに使う人がいることはいるという程度で、標準的ではなく、若干俗っぽい感じがあるだけでマナー違反ではない。5は1マス前進のときに限定的に用いる。プロでも使う人がいるが、標準的ではなく、1のマイナーな亜種である。これもマナー違反ではない。
1と2/4がどちらも可能な駒の動きでどちらを使うかは人によって異なり、一般的な規則はない。ただし1マス横と1マス前後に駒があるところを斜めにすべらすとその2つの駒にぶつかりやすいのでその場合は2/4を用いる。
2と4で駒を動かすときに、駒と盤面が当たることによる音(擬音語としてあえて書くなら「パチリ」「カチッ」「タン」「チェーン」など)が出る。これを駒音というが、対局中に駒音をどこまで出すかはデリケートな問題である。勢いをつけて駒を盤面に接触させると、やろうと思えばかなり大きな音になる。すぐ近くに座っていて思考を集中させている対局者には主観的にはさらに大きく聞こえる可能性がある。これは対局マナーの一つである、威嚇の禁止にふれる。一方で勝負事の一種である将棋で、興が乗って音を強く立てて打ちつけてしまうのをすべて抑制すべきというのも実効性の問題があり、しかもプロも頻繁に行っている。また、対局の公平性から要請される対局マナーとは別に、「駒を強く打ちつける行為は美しくないのではないか?/日本人的な価値観にそぐわないのではないか?」という美意識の面も争点になる。かりに教育性も将棋に求める価値観を採用するならば、駒音の問題は白黒をつける必要が出てくる。あるいは将棋はそこまでおしつけるゲームではないとする場合も「駒音は耳障り」という人に一定の寛容さを求めることになって、白黒をつける必要が出てくる。日本将棋連盟は日本国外にも将棋の普及を図っており、外国人にもこの所作の問題は生じるので、日本と外国の間でのコンセンサスという問題も加わってくる。
2と4で駒を動かすときに、目的のマスに駒を持ってきてそのまま駒と盤面を接触させるのではなく、一度目的のマスではないマスに駒を打ちつけ、そこから中指で駒をおさえた状態で目的のマスへ向かってすべらせる動き(打ちすべらし)をする人がいる。さらに駒のないマスではなく、マスにいる駒の上に打ちつけてすべらせるというパターンもある。これは現状はマナー違反ではないが、駒音と同じく美意識の面でどこまで許容されるべきかという問題がある。
一般に、将棋マンガでは、表紙などで登場人物が駒を持っているポーズのときに4の挟み持ちをしていて、これがマンガの中での将棋のステレオタイプになっている。しかし現実では挟み持ちは慣習として推奨されるということではなく、そのほうがかっこよさそうだからとか、何となくまわりの人がそうしているからという程度で行われているに過ぎず、正統派の地位はない。また実際の対局では2のつまみ持ちの人もいるし、挟み持ちで4をするものの1をかなり使う人もいて、駒の動かし方は幅が広い。
- 駒の動きの符号の略称
- 駒の動きの符号は、マスの番号+そこに動く駒の種類+成の有無、動ける駒の区別 の三つの要素からなるが、アマチュアの間では、「2八受けるか」とか「金、歩でいったらどうなる?」とか「そうか、じゃあ左か」のように要素の1つだけで略して言う人も時々見られる。
- 駒落ち(こまおち)
- 実力差がある者同士が対局するときに上位者が何枚か初期位置の駒を減らしてハンデをつけること、またそのハンデ。詳細は将棋の手合割も参照。
- 駒音(こまおと)
- 駒を指す時に出る音。特に、気合が入っている時に出る力強い音を「駒音高く」(駒音が高い)と言う。
- 駒組み(こまぐみ)
- 自分の玉を囲って守りを堅めたり、攻勢の準備をする段階のこと。
- 駒台(こまだい)
- 持ち駒を置くための台。5寸盤などの将棋盤の場合は足つきの駒台となる。
- 駒得(こまどく)・駒損(こまぞん)
- 盤上の駒と駒台の駒との総合で、対局開始時より駒を得、または損していること。
- 駒柱(こまばしら)
- いずれかの筋のマスが、全て駒で埋まっている状態を柱に例えた言葉[7]。「成立すると縁起が悪い」という俗説があるが、根拠は無い。
- 駒師(こまし)
- 将棋駒を造る職人・技能者。
- 駒袋
- 高級駒の場合に付いている、駒箱にしまう際に入れる袋。ひもで巾着のようになっている。
- 駒割り(こまわり)
- 対局する双方の持っている駒の数と種類。「駒の損得」ともいう。
- ごめんなさい
- 「謝る」と同義。歩を打って受ける場合は「ごめんなさいの歩」と言う。
- コレ将
- 「コレカラ将棋ガイド」の略称とそのブランド名と、そのサークル名[2]。
- 怖い
- 次に来る相手の強烈な手を放置する、間違えると詰むような王手の連続に応じたりするなど、玉に関して危険のあるさま。
- コンピュータ将棋
- 将棋を指すコンピュータソフトウェアのこと。またコンピュータソフトウェアが対戦する将棋のこと。ハードウェアの性能向上とプログラム技術の発展により現在では大変精確な指し手などが繰り出されるため、棋士によっては練習将棋の対戦相手や作戦検討、形勢判断や詰み筋の検討などにも使用されている。そしてエルモ囲いなど、棋士でも思い浮かばないような戦型などや手筋発見などがなされる場合も多い。
- 清算(せいさん)
- 盤上のある部分で、駒を取って取られて取って取られての連続で、その部分において双方の駒が盤上からきれいになくなり、お互いの持ち駒になること。
- 贅沢な
- 多くの持ち駒、特に飛角金銀を連続して使っていくさま。〈例〉「贅沢な金銀捨てでぴったり詰む」
- 成立する
- ある仕掛けによって仕掛けた側に有利、もしくは互角に局面が進行すること。定跡において重要な概念。〈例〉「この攻めはやや強引で、厳密には成立していない」
- 席主(せきしゅ)
- 将棋道場・センターの経営者、責任者。
- 世襲制名人(せしゅうせいめいじん)
- 推薦制名人から現在の実力制名人に移行する前の名人制度。
- 世代(せだい)
- 棋士を年齢(プロになってから何年目という意味ではない)によって数年単位で大まかに区分したもの。師弟関係、加齢よる棋力の低下、奨励会時代に流行していた戦法、定跡の発達、段位・タイトルなどから、棋士を上の世代下の世代と分けるのが便利なので時々言及される。
- 雪隠詰め(せっちんづめ)
- 玉をいずれかの四隅に追い詰めて詰めること。詰み#特殊な「詰み」を参照。
- ゼ・Z(ゼット)
- 相手に何枚駒を渡しても自玉が絶対に詰まない状態。「絶対に詰まない」の頭文字「Z」からきている。また、特定の駒を渡さない限り詰まない状態にも使われ、おもなパターンに「桂馬Z」「金駒Z」(金か銀)、「斜めZ」(斜め後ろに動ける駒=銀か角)、「横Z」(金か飛車)などがある。例えば「桂馬Z」であれば穴熊の玉のすぐ斜め上に銀ではなく角か桂馬があり、その頭に相手が桂馬を打てば一手詰めとなるが、相手の持駒に桂馬が無いためすぐには詰まされない状態を指す。
- 絶対手、絶対の応手(ぜったいのおうしゅ)
- この指し手でなけれな絶対に不利になる、もしくは負けになるときの指し手。
- 絶妙手(ぜつみょうしゅ)
- 盤上この一手のうち、その手がその時のタイミングで指されたため、勝負や展開を有利に運ぶ決定をづけたという指し手。
- 節約(せつやく)
- のちの展開を考えて、本来使いたいものより安い駒を打ったり、何も打たずに盤面の駒を動かして対応すること。
- 狭い
- 動ける(逃げられる)マスが少ないこと。
- 攻め・攻め将棋
- 攻めを主とする棋風を表す言葉。受け将棋の対義語。
- 攻め味(せめあじ)
- 相手の玉をスムーズに危険な状況に持っていけるような、有望な手順の有無。「ある」「ない」「残す」「見せる」とともに用いることが多い。
- ゼロ手
- 結果的に手得をして、一手多く指せた状態。〈例〉「角を合わせてゼロ手で歩を突けた」
- 相手は必ず対応しなければならないために、速度計算において手数にカウントしないこと。
- 全軍躍動
- ほとんど全部の攻め駒が何らかの形で役に立ち、手の流れが非常によいさま。
戦型(せんけい)
序盤での、駒の配置、駒を動かす手順、また先手と後手の駒の配置、駒を動かす手順の差などから生じる、対局の展開をパターン化し、分類したもの。3段階~7段階の区分を持つが、統一的な名称や命名の規則ががあるわけではなく、その名称もあいまいに名づけられたものが多く、さらに分類が未確定で名称もない戦型もある。最上位の1段階目の区分は、居飛車と振り飛車の組み合わせで、 (1)相居飛車、 (2)居飛車対振り飛車、 (3)相振り飛車の三つに分ける。次の2段階目の区分は、この三者ごとに基準が異なっている。
- 相居飛車では、かりに先手と後手のどちらか、または両方が飛車先の歩をのばしてくるとして、そのあとの▲2四歩/△8六歩にどのように対処するかによって (1) 矢倉 (2) 角換わり (3) 相掛かり (4) 横歩取り の4つにまず分ける、四分法が通例になっている。
- 居飛車対振り飛車では、まず振り飛車側の陣形を基準に 中飛車/四間飛車/三間飛車/向飛車 × 早期の角交換あり/なし の8パターン+そのほか1パターンで計9パターンとする九分法が標準的である。そして3段階目で居飛車側のとる陣形を基準にして細分する。
- 相振り飛車では、戦型の区分は上二者と比べると統一的な見解がない。一例の見解として、先手の中飛車/四間飛車/三間飛車/向飛車×後手の中飛車/四間飛車/三間飛車/向飛車の16パターンから、先後逆の場合を同一と見なした10パターン(中中、中四、中三、中向、四四、四三、四向、三三、三向、向向)+そのほか1パターンによる十一分法がある。3段階目の区分の基準は決まっていない。
- 先後同型(せんごどうけい)
- 先手と後手の陣形がまったく同じになること。
- 宣言法
- →入玉宣言法
- 全駒(ぜんごま)
- 相手の玉以外の駒を全て奪うこと。実際は全駒になる前に投了するか、攻める側が詰ませるのがマナーとされ、行った場合は投了しなかった方はもとより、詰ませなかった方も批難される事が多い。
- 扇子(せんす)
- 対局の際に用いる小道具。将棋の小道具としての扇子は横に折りたためるものが普通である。根元の部分を握り面を開いて、右利きなら扇子を握っている右手の拳を左の脇よりやや内側のところに持ってきて左側から喉元とアゴのあたりを扇ぐのが第一の使い方である。ほかに単に面を開いた状態で持って顔の鼻の途中から下の部分を隠すだけに使ったり、閉じた状態で持って、仮想的に駒を動かすときに一手ごとに揺らすという使い方もする。さらに、扇子を開けて閉める動作をくりかえしてパチンパチンと音を立てつつ考えるという使い方がある。この最後の使い方は音を立てるので、対局マナーの原則論に照らしてよくない行為であると見る人がいる。しかし藤井聡太など少数のプロ棋士は行っており、合法かどうかは微妙なところである。日本将棋連盟は商売の一つとしてグッズ販売を行っており、面の部分に棋士が文字を書いた扇子を高値で販売している。アマチュアでは扇子を常用している人は少なく一部の人に限られるが、各地方のちょっとした大会で扇子が賞品になることもあるので、それなりに棋齢の高い将棋愛好者なら、使わない扇子が家にあることもある。
- 先手をとる
- 相手が受けざるを得ない手を指すこと。相手が受けた後は自分の手番になることから。
- 先手後手の呼称
- 対局の際には、駒の配置を言うときに、「先手」/「後手」を代名詞的に使うのがもっとも中立的であるが、対局者の名前やタイトルを直接使って「名人の方がやや苦しいように見えます」のように言うこともある。また対抗形であれば「居飛車を持ちたいですか?振り飛車を持ちたいですか?」「居飛車の次の手を中飛車側がどう見ているか」「左美濃が固くミレニアムが先に食いつかれている」など、陣形を代名詞的に使うこともある。相居飛車では双方の陣形が同じであることが多いため対抗形ほどは用いられないが、陣形がたがいに大きく異なる戦型(ひねり飛車、右玉、雁木など)であれば先手/後手のかわりにそれを使うことができる。
- 千日手
- 指し手を進めても全く同じ局面に戻ってしまい、決着がつかなくなること。成立すると無勝負指し直しとなる。
- 千日手含み
- 局面がやや不利だと考えた時、相手の指し手次第では千日手への誘導を狙う指し方。〈例〉「後手なので千日手含みで指す」
- 前例(ぜんれい)
- 以前に現れたことがある同一局面。〈例〉「この局面は3局前例があります」
- チェスクロック方式
- 考慮中に実際に使っただけお互いの持ち時間から差し引いていく対局方式。
- 地下鉄飛車(ちかてつびしゃ)
- 自陣一段目に配置し、攻撃する飛車を表したもので、通常は一段目に他の駒を配備せずに飛車が自由に自陣を行き来できるようにしている状態。玉頭攻めや端攻めに活用される。
- 力を溜める
- すぐに攻めずに相手の駒を取って持ち駒を増やしたり駒を成るなどして、より強力な攻めを狙うこと。
- 力将棋(ちからしょうぎ)
- 力戦と同義。
- 力強い(ちからづよい)
- 駒をぶつけたり前に出したりする必要の無いような場面で、あえて駒をぶつけたり前に出したりして、そこでの折衝で優位に立とうとする様子。特に金銀玉を動かす手でよく用いる。
- 局面の展開の中で、片方ではこちらが得をしているが一部では相手に得となるような、さしひきで自分の側に有利な手順があってもそれを選択せず、より複雑だがより得のできる可能性のある、駒の強くぶつかりあう手順で受けようとするさま。またはそのような棋風を形容していう語。
中堅(ちゅうけん)
三分法による棋士の世代区分の語。下限はプロになってから7年~10年以上たっているか、または35歳以上、上限は45歳あたりの棋士をあいまいに広くさす。プロ棋士としてかなり経歴が長くなっていて、かつ加齢による棋力の低下がないか、それほどは表面化していないという点で、若手、ベテランと区別される。
- 中段玉(ちゅうだんぎょく)
- 玉が自陣から見て三段目以上に位置する状態。玉がこの位置になると相手側からみて寄せにくいとされる。
- 中合い(ちゅうあい)
- 飛車や角、香など遠距離に利く駒での王手に対して、玉との中間に味方の連携の無い駒を持ち駒から打つあるいは盤上の駒を配備して合い駒すること。
- 中座飛車(ちゅうざびしゃ)
- 高飛車の一種。敢えて5段目に飛車を位置させる戦術。中座真が指したのでこの名が付いた。
- 中将棋(ちゅうしょうぎ)
- 室町時代から江戸時代にかけて指された古将棋の一つ。現在でも指されている。盤は12×12、駒は21種で敵味方合わせて92枚ある。特に強力な駒としては獅子や奔王などが挙げられる。
- 中盤(ちゅうばん)
- 一局の将棋で序盤と終盤の間の局面。
- 窒息する(ちっそくする)
- 飛車と角が(自分の駒に利きをさまたげられて)広い利きをを持つという特性をまったく発揮できないこと〈例〉「この手を受けるには、紐をつけるだけの窒息した角しかない」
- 千鳥銀(ちどりぎん)
- 相掛かりなどで銀がジグザグに進めていく様。千鳥足から連想して命名されている。銀は斜めに後退ができるので、千鳥足に使え、という格言があるほどである。
- チャイルドブランド
- 非常に若くしてデビューし快進撃を続けた羽生世代を田中寅彦などの先輩棋士がこのように名付けた。
- 長考
- 指し手に時間をかけること。対義語は「早指し」
- 直射(ちょくしゃ)
- 飛車(竜)・角(馬)・香車の利きに相手の駒が直接当たっていること。
直線(ちょくせん)
- 対局においては、王手とそれを受ける手、駒取りになる手とそれをかわす手、次に成駒ができる手とその対処の手、(囲いがたがいに固いために)とりあえず相手の駒を取って補給したり飛車角を打って囲いに狙いをつけたりする手、などがくりかえされ、先手後手ともに妥当な指し手が一つしかない状況が続くことがある。一局全体から見てそのような部分を直線という。この意味のときは「一本道」「一直線」と同義。<例>「ここからしばらく直線で、その後のこの図がどうか」
- 今この一手によってその後の展開が大きく変わるような岐路となる局面において、(優劣は別として)形勢をはっきりさせるような攻めあいに持ちこむ選択肢と、そうでない選択肢(相手の攻めを未然に消しつづける、圧迫的な手で迷わせる、玉形を直すなど手待ちをする、など)がある場合に、前者を直線という。その攻めあいが急であるときは「一直線」ともいう。<例>「本譜には出なかった直線の筋をならべる」
- さしあたって考えられる現局面以降の手順のうち、それを放置すると形勢の悪化するような直接的に対処の必要な手とそれに対応する一見普通の手のくりかえしからなる、明快な手のみから構成された手順。対局においては、対局者の棋風、相手のメインの読みを避けようという意図、気づきにくい隠れた妙手、時間の切迫による迷いなどの要素がありそれが手に影響してくるが、それらの要素を度外視した「単純に見るとこういう手がありそうだがこうやると、それでこう応じるとどうなるのか?」という手順が感想戦や大盤解説で言及されることがある。それを直線という。<例>「こうさす気だったけど、直線かな?(=筋がいい手順だとは思うが、ややひねりがないかな?)どうするつもりだった?」「竜王は長考中ですのでまず直線から動かしてみますか。解説はいくらでも盤面をもどせますので、ダメならダメでいきます」
- 終盤の読むべき内容のうち、ある手以降をすべて自分の感覚で安直に一つにきめうちしていった場合に生じる、一例としての手順 <例>「角打ちからの直線は読んでなかった」
- 棋風について用いることもあり、その場合「直線的な」と同義。<例>「君は将棋が直線すぎるよ、相手を見ないタイプだ」
直線的な(ちょくせんてきな)
- 指し手の選択肢がいくつかあるが、どれも同じような、雰囲気だけでいうと一通りの展開で進行するさま。<例>「相穴熊はさばきあうと直線的になる」
- たがいに相手の攻めを軽くしか受けない攻めあい志向の展開になるさま。<例>「直線的に来られたほうが分からなかった」
- 直感的にはそれなりによさそうな、明快な手だけで手順が構成されているさま <例>「早指しだと大体直線的な順になる人と積極的に読みを外してくる人に分かれる」
- 自分のほうが(ギリギリではなく)それなりによさそうならあいまいな手、相手を惑わす手、受けつぶしを狙う手よりも攻めあいの手、明快な手を選ぶ棋風であること。良い意味でも悪い意味でも用いる。ギリギリの攻めあいの手を選ぶ棋風は「激しい」という。<例>「彼はかなり直線的な振り飛車党で、初見だとうっかり持っていかれる」
- ちょんまげ美濃
- 陽動振り飛車で生じる美濃囲いで、玉頭にあたる歩が一つ突かれている状態。
- 同(どう、おなじく)
- 同じ場所で駒を取ることを表す言葉で、「同歩」など、棋譜に駒を取ったことを表記する際に使用される。対局解説などでは「どう」と発音されるが、棋譜読み上げは「おなじく」が使用される。
- 投資する(とうし-)
- (駒を)「使う」と同義の語。飛車角を自陣に打って受けに使ったり、金銀を打って囲いを補強したりする時によく用いる。
- どうぶつしょうぎ
- 四種類の動物の名を付けた駒と簡略化された将棋ルールで対戦する将棋。将棋の普及を目的として開発された。
- 投了(とうりょう)
- 敗勢者が相手に負けを宣言すること。これによって対局が終了する。プロの棋戦では一般的に最後詰まされるまでは指さず、こうしたギブアップで勝負が付く。
- 投了の宣言が有効となる条件はルール上は明文化されていないが、コンピューター上ではないアナログの対局の場合、1「投了を意味する言葉を、相手に十分聞こえるがうるさくない範囲の大きさで明瞭に発すること」と、2「頭を短時間下げる動作、あるいは自分の駒台か盤の自陣に対して上から利き手で覆うようにして若干つかもうとする動作をすること」と3「投了の言葉を発する前か後に、軽く相手の方の見て相手の様子を視認すること」の3つが不文律として必要とされている。投了を意味する言葉は「負けました」または「参りました」が標準的である。それ以外の言葉もある程度許容されており、「ありません」「投了です」「これはいかんな」「降参」なども有効であり、その範囲は定まっていない。ただし、より公式的な大会では、「負けました」「参りました」以外だと相手に違和感を持たれる可能性がある。コンピューター上の対局では投了のボタンが用意されており、それを押すことで投了となる。頭を下げる動作をする場合、投了を聞いた相手が自分を見たときに頭が下がっている状態を確認できる程度の長さであればよく、頭を下げる角度も挨拶の会釈と同じか会釈より何となく強い/弱い程度でよい。ただし時間を長めにする人や角度をかなりつける人もおり、下限はあるが上限はあいまいである。投了した側が頭を下げているのを確認したら、その時点で相手も頭を下げる。あとから頭を下げる側の長さ、角度は投了する場合のそれと同じでよい。自分より一世代二世代下の子ども(15歳程度まで)に頭を下げられた場合は、こちらは頭を下げる時間を長めにとるのが不文律である。6歳~10歳程度の子どもの中には、大人に対局で負けたときに、半分はボーっとし半分は考えこんだ状態になったり、対局に対する意識がそれなりはあるが悔しがる方が先に来たり、叫ぶほどではないものの泣きだしたりする子どもが一定数いる。子どもがそのような状態になった場合の不文律も慣習的に用意されている。このような場合、そのまま対局を切り上げて(子どもの負けということにして)終わりにせずしばらくは待ち、そのあと、威圧的にならず冷淡でもなく冗談めかしたりでもない、「他に指す手がないんだろう、なら投了だ」「こういうふうになったらゲームのルール的にそうやるんだ」「対局の最後はどうするか分かってるな?最後の決定までやれ」というニュアンスの、若干誘導が含まれているがあくまで若干のレベルに抑えた説明を、対局者以外の別の大人がして介入する。ただしその場に対局者と子どもしかいない場合は対局者が介入する。対局者とは別に親がその場で見ているときは、親は基本的に子どもの味方の側であって中立ではないので、よほどの場合を除いて別の大人に任せるようにする。そして子どもが最低限の妥当な投了の所作をした場合には、対局者の大人は相手の子どもによる対局の遅滞を問題にせず、通常よりも長く角度はやや強めに頭を下げて「ガキがガキなりに見せた勇気の分は敬意を表してやろう」という態度を(子どもは気にしていないであろうが)見せる。しかしそれを口に出して褒めはせず通常の対局と同じように自然に閉局せねばならない。
- 遠い(とおい)
- 玉と攻め駒の距離が離れていること。
- トーチカ
- ミレニアム囲いの別名のひとつ。
- 遠見の角(とおみのかく)
- 相手の陣地から離れた場所へ打ち込むが、自陣の守りよりも攻撃を主眼として睨みを利かせる角のこと。
- 通る(とおる)
- 自分の飛角香の利きにいる自分の駒が動くことで飛角香の利くマスが増える、相手の駒に利きが当たるようになる<例>「歩がのびて香車が通る1四歩はいつかはさしたい手です」
- 相手が対処するか対処しないかどちらでもよさそうな手(玉の方面から離れている駒に駒取りになる手、歩どうしがぶつかる手、今すぐ駒がぶつからないが圧迫してくる手)を自分が指し、相手がその手に対処せず手抜きで別の手を指して形勢が相手有利に傾くとき、その相手の手の前の自分の手を「通らない」という。逆に自分の手に相手が対処する方を選択した場合か、自分の手に相手が対処せず何かをさして形勢が今よりも悪くならない、あるいは自分に有利になる場合を、自分の手が「通る」という。<例>「相居飛車の常套手段である8八歩の手裏剣ですね。今なら一目は通りそうですが、あ、先手取りました。早指しですからそれは通らないと主張するのはリスキーでしたかね」
- (中盤の途中から終盤の最初のほうの段階で、「攻めが通る」で用いて)その攻めの手順を継続しても互角以上の局面が維持されることをいう。<例>「うーん、乱暴そうに見えましたが角切りから攻めが通っているように見えますね。棋聖のほうは見切りをつけて攻めあう順をメインに長考なさっているのでしょうか」
- 咎める(とがめる)
- 相手の緩手、疑問手などを見逃さず、それをきっかけとして動くこと[1]。〈例〉「伸びすぎた歩を咎める」
- と金攻め(ときんぜめ)
- 敵陣にと金を作り、そのと金を動かして相手の囲いを形成している金・銀などを取りにいくこと。相手にとっては犠牲を払ってと金を盤上から消しても、自分が打つ時には歩としてしか使えないため、非常に強力である。
- ~得(どく)
- 【接尾語】自分の駒の数が、相手より単純に多い状態になっていること。「銀得」(ぎんどく)、「桂香得」(けいきょうどく)のように言う。歩以外の駒に損得がない場合は、歩の数について「一歩得」(いっぷどく)、三歩得(さんぷどく)のように言い、あるいは枚数を表さずに単に「歩得」(ふどく)とも言う。反対語は「~損」(ぞん)。
- 特別将棋栄誉賞(とくべつしょうぎえいよしょう)
- 将棋界で1000勝を達成すると贈られる賞。
- 独走銀(どくそうぎん)
- →玉頭銀
- 毒まんじゅう(どく-)
- 駒が取れて有利に働くように思えるが、少し考えてみるとその手順で形勢が大きく悪くなってしまうことがわかる場合に、その取れそうな駒を毒まんじゅうという。〈例〉「ここで桂馬を飛車で取ると毒まんじゅうにかかるんですね」[14]
- 土下座の歩(どげざのふ)
- 相手の位勝ちなどの緩和を狙い、持ち駒の歩を自陣二段目に控えて打って局面を収めること。
トップ棋士(-きし)
プロ棋士の中の少数の棋士を漠然とさす語。決まった定義はないが、公式タイトルを数個獲得、ここ数年~10年近く順位戦A級かB級1組中位か上位、竜王戦の決勝トーナメントに進出しある程度上位で終わることが頻繁にある、タイトル戦挑戦が頻繁にある、からおおよそこのあたりとイメージされる人をさす。その時点での純粋な棋力がランク化できたとした場合のそのランクのトップ層をさすわけではなく、名誉称号の面と棋力の面を併せ持つ語である。タイトルにはまだ縁がないが勝ちまくる、実際には強い若手棋士は含まない。具体的には、2024年6月の時点では、藤井聡太、豊島将之、永瀬拓矢、渡辺明、広瀬章人、佐藤天彦、稲葉陽、糸谷哲郎、菅井竜也、斎藤慎太郎、山崎隆之、佐々木勇気、中村太地、羽生善治、佐藤康光、もう少し大きめにとると前記に加えて、久保利明、千田翔太、近藤誠也をおおよそさす。
女流棋士については、2024年の時点では福間香奈と西山朋佳の二強状態が長らく続いているため、トップ棋士という語を使うことはほぼない。
- 飛び駒、飛び道具(とびどうぐ)
- 飛車や角、香車など遠くまで利きが利く駒と、駒を飛んで利きが利く桂馬の俗称。
- 取り込む
- 相手の囲いの中に自分の駒を前進させて崩すこと。
- 鳥将棋、禽将棋(とりしょうぎ)
- 江戸時代に指されていたとされる変則将棋の一つ。
- 取る
- 自身の手番の際、盤上の相手の駒の位置に自分の駒を進出すると、相手の駒を自身の持ち駒にすることができる。将棋ではこの行為を「取る」という。
- 撮る将
- 将棋イベントなどでプロ棋士の写真を撮るのを専門とする将棋愛好家[2]。
- 頓死
- 最善手で対応していれば詰まなかった王手に対し、応手を間違えて詰まされてしまうこと[1]。または詰めろをうっかり見落としたために詰まされること。「トン死」と表記されることが多い。
- 平安将棋(へいあんしょうぎ)
- 鎌倉時代初期に編纂されたとされる習俗事典『二中歴』に掲載されている将棋。
ベテラン
棋士を年齢によって区分する語で、加齢による棋力の低下が目立ってくる40代後半から60代に入っている棋士を言う。
- へぼ将棋
- 初心者や級位者の指す、上位者有段者からみて技術技量が未熟で劣ると感じる将棋。へたな将棋。
- 変化
- ある局面から進行する手順として考えられる、それぞれの候補手順・選択肢。
- (「変化する」の形で)定跡形での進行途中で定跡から離れた一手を指し、違う展開を目指すこと(相撲用語の変化 に由来か)。
- 変則将棋(へんそくしょうぎ)
- はさみ将棋や将棋崩しなどの将棋ゲーム。一般のルール将棋は本将棋と呼んでこれらと区分される。
- 変態(へんたい)
- 早くから陣形のくみかたが定跡を大きくはずれていて(悪形ではないが)人間の印象ではやりにくそうな配置でも気にとめず、中盤を互角にわたりあって優位に立つスタイルをさす。将棋用語ではないが限定的な意味を持ち、おどけた調子で用いられる。2021年の時点では、佐藤康光と山崎隆之が対局で変則的な駒組みをすることをさすネットスラングでもある。 〈例〉「本木君は性格は普通なんだけどさすときは変態だからギャップにビビる」「昨日の王将戦見たか、佐藤会長の変態振り飛車が新四段を吹き飛ばしたぞ」
- 変調(へんちょう)
- これまでのさし手の選択の傾向、または自分の棋風から大きく外れた手をさし、そのせいで突如形勢が互角に近づくこと。対局者よりも解説側がよく用いる。<例>「王座の5七玉は変調では?ここでこれをしなくても問題なく勝てそうですがねえ」
若手(わかて)
三分法による棋士の世代区分の一。条件はあいまいだが、プロになってから7~10年以内、かつ35歳以下の人を漠然と若手と呼ぶ。プロ歴と年齢の二重の条件になっているのはプロになる年齢が人によって異なるためである。
- 分かれ
- 手順が一段落し、局面が落ち着いた時のこと。「このやりとりは互角の分かれ」などと使う[1]。
- 渡せる、渡せない
- 最終盤の段階で、相手に取らせた駒が自分の玉の詰みにいたる手順に影響する場合、その駒を取らせる手が可能かどうかが問題になる。その駒を取らせると危険であって相手の持ち駒にすべきでない場合、「~を渡せない」といい、取らせてもその駒をうまい王手に使えないか、取らせた場合と差がないと判断される場合「~を渡せる」という。〈例〉「えーと、この順は、金駒1枚渡せないのか。じゃあ受けないといけないか?」
- 技がかかる(わざがかかる)
- 両取り、さばき、敵陣の突破、駒の素抜きなどを実現させることに成功して圧倒的に有利になる。<例>「この順だと技がかかりますので、もどってこの局面で同歩はできないということになります」
- 割り打ち
- 割り打ちの銀、割り銀とも言う。銀の斜め後ろの2マスの利きによる両取り。斜め後ろに動けない駒二つが一マス間を空けて並んでいるときに、銀をその両方の駒の斜め後ろに打って両取りをかけること。または飛車と金のように斜め前と斜め後ろに行けない駒が1マス空けて斜めに並んでいるときにもかけることができる。これは襷(たすき)の銀とも呼ばれる。
- 割り角
- 割り打ちの銀と同様に、角の斜め後ろ2方向の利きを利用して飛車または金に両取りをかけること。角金交換は通常の考えでは駒損とされるが、敵陣から最も守備力の高い金を外せるなど、状況により有効な手になることも多い。
- 腕力
- 力戦になった時に発揮される棋力。