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へなちょこ急戦(へなちょこきゅうせん)とは、将棋の戦法である居飛車舟囲い急戦の1つ。ネット将棋で活動する将棋YouTuberのSugarが、4五歩早仕掛けなどをもとに開発した対振り飛車システム。通称は「へな急」[1]。
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香 | 桂 | 金 | 桂 | 香 | 一 | ||||
王 | 銀 | 金 | 銀 | 飛 | 二 | ||||
歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 角 | 歩 | 歩 | 三 | ||
歩 | 歩 | 歩 | 四 | ||||||
歩 | 歩 | 五 | |||||||
歩 | 歩 | 歩 | 六 | ||||||
歩 | 歩 | 歩 | 桂 | 歩 | 七 | ||||
角 | 玉 | 金 | 銀 | 飛 | 八 | ||||
香 | 桂 | 銀 | 金 | 香 | 九 |
この戦法の特徴は、基本図の先手陣のように居飛車側が組んでその後に▲5六歩や▲6八銀~▲5七銀左など、従来の4五歩早仕掛けで必要とした駒組を省略し、最短で▲4五歩の角交換早仕掛けを敢行する点にある。これを最小限の駒組みで振り飛車の攻略を目指す、居飛車用の作戦としている[1]。そして、振り飛車側が4五歩(後手番で△6五歩)仕掛けに備えてきた場合には、地下鉄飛車からの端攻めにも移行できる。この戦法についてSugarは将棋AIで検討研究し、中盤の早い段階で評価値[2][3]は居飛車有利を示しているという[1][4]。また、従来の振り飛車破り急戦と違い、急戦は後手番では、特に三間飛車に後手番急戦は難しいとされていたが、このシステムでは後手番でも使用が可能となっている。
同名が動画タイトルに初めて使用されたのは2020年5月18日の配信であったが[5]、名前の由来については、知り合いの元奨励会員から「こんな指しまわしで負けたら振り飛車辞める!へなちょこ急戦だ!」と冗談で言われたことがきっかけとなっているというが[6]、山本博志は「全然へなちょこじゃ無い上に強敵」との見解を示している[4]。
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香 | 桂 | 銀 | 金 | 桂 | 香 | 一 | |||
王 | 金 | 銀 | 飛 | 二 | |||||
歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 角 | 歩 | 歩 | 三 | ||
歩 | 歩 | 歩 | 四 | ||||||
歩 | 五 | ||||||||
歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 六 | |||||
歩 | 桂 | 歩 | 歩 | 桂 | 歩 | 七 | |||
角 | 玉 | 金 | 銀 | 飛 | 八 | ||||
香 | 銀 | 金 | 香 | 九 |
Sugarは著書で、対△4二銀型(▲6八銀型)三間飛車について解説している。上記基本図に至る途中、先手番ならば初手を▲2六歩とし、以下△3四歩に▲2五歩△3三角▲7六歩としている。この急戦策は角交換や角道をオープンにしておかない対ノーマル振り飛車(△4四歩-3三角型もしくは▲7七角-6六歩型)用なので、こうした指し手で相手の戦型をはっきりさせるためである。そして▲3六歩を早めに突いて△3五歩型にさせない、▲9六歩を突いて応手をみる、桂馬を3七に跳ねる前に▲4六歩を先にして、▲4五歩から3三角成→4三角の打ち込みを防ぐ△5二金を強要。そして4五歩早仕掛けのように▲4五歩を突いてから3七桂とせず、先に3七桂と跳ねてから▲4五歩を指す。
▲4五歩に素直に△同歩は▲3三角成△同銀▲4五桂で、△2二銀ならば▲6六角で、△4二飛なら▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲3四飛、△6四角なら▲2九飛としておく。以下、桂馬を取りに行く△5五歩では▲4七銀△4四歩▲4六銀△4五歩▲5五銀などがある。 ▲4五桂で△4二飛もあり、以下▲3三桂成△同桂▲7七角(▲2四歩は△5五角がある)△4五桂▲1一角成△4六角には▲1八飛と除ける。
▲4五歩に△4三銀なら、次の四間飛車破りに合流するが、▲4四歩△同銀▲2四歩△同歩に、▲4五歩ではなく、▲2五歩の継歩を示している。△2五同歩は▲同桂に△2二角は▲2三歩、△2二飛は▲2六歩がある(後述)。
△3五歩には▲同歩△4五歩▲4四歩△3六歩に▲2六飛とし、△3七歩成は▲同銀。△5四歩は▲3六銀△5五歩▲同角△5三銀▲4五銀△4二飛もしくは▲2四歩△同角▲4三歩成(△同銀は▲4四歩)△3五角▲2三飛成△4四角▲同角△3七飛成▲1一角成など。
△4二銀型三間で、▲3七桂に△2二飛と構える場合は、地下鉄飛車に移行する。Sugarはこれを「へなちょこ持久戦」と呼んでいる。
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王 | 銀 | 飛 | 二 | ||||||
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歩 | 歩 | 歩 | 四 | ||||||
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歩 | 歩 | 歩 | 六 | ||||||
歩 | 歩 | 歩 | 桂 | 歩 | 七 | ||||
角 | 玉 | 金 | 銀 | 飛 | 八 | ||||
香 | 桂 | 銀 | 金 | 香 | 九 |
この戦法は基本図のような△4三銀型(▲6七銀型)四間飛車に、4五歩早仕掛けの要領で、採用が可能である。
△5二金ならば▲2四歩で、△同角には▲4四歩△同銀▲2二歩△3三桂▲2一歩成から2二となど。Sugarの著書では▲2四歩で△同歩ならば▲4四歩△同銀に▲2五歩の継歩としている。これに△同歩▲同桂に△2四角ならば▲1三桂成△4六角▲2一飛成△1三香▲1八香△1九角成▲3一龍で、△同歩▲同桂で△2二角には▲3五歩△同銀▲3三桂成△同角▲2一飛成などや▲2四歩として△4五銀▲2二角成△同飛▲1三桂成△同桂▲2三歩成△5五角▲2二となど、ほか▲1三桂成△同桂▲2三飛成あるいは▲2二飛成△同飛▲4四角などがある。▲2五歩に△4五銀や△5五銀もあり、△4五銀は以下▲同桂△同飛▲2四歩△8八角成▲同銀△6四角▲5六角、△5五銀は▲2四歩△4六銀▲2三歩成△8八角成▲同銀△4七歩▲3二と△同飛▲2一飛成や、△5五銀▲2四歩△4六銀▲2三歩成△3七銀成▲同銀△4九飛成から△5五角を狙う順、また基本図で△5二金にかえて△5四歩とすると、その後▲2五歩の継歩まで進んだときに△5三銀もある。以下▲3三角成△同桂▲4六歩△3七桂成▲同銀など。
この▲2五歩という継歩の手段については、加藤一二三が著書:初段をめざす将棋シリーズ『中終盤の戦い』(大泉書房、1971年)で、6一の金が浮く△5三銀型三間飛車相手へ舟囲いでの4五歩早仕掛け定跡途中、下図の局面で▲4五歩に代えて▲2五歩とする継ぎ歩の手に対する解説をしている。
以下、△同歩は加藤も▲2五桂で△2二角は▲1三桂成から▲4五歩、△2二飛は▲2六歩があるとし、このために振り飛車側は△5三銀を指すとしている。ここでへなちょこの手順では▲3三角成△同桂として▲2四歩とするが(次の▲2三歩成が3三の桂取になる)、加藤は以下△4五桂と桂馬を活用されるというので(へなちょこでは以下▲4六歩△3七桂成▲同銀)▲2四歩△8八角成▲同銀と、振り飛車側から交換させる順を示している。このあと△4七歩で▲同金だと△2七歩▲同飛△3八角があるとし、▲同銀にも△2七歩▲同飛△4七飛成▲同金△3八角が厳しいとしている。▲同銀に△4六歩▲3八銀△4七角は▲4八歩△3六角成に▲2三歩成であると△2七歩▲2九飛に△5八角成▲同金△2八金で飛車と銀将の両取りになるので、△3六角成には▲1八角とし、以下△3五馬に▲2三歩成から▲2二歩。したがって▲同銀にも△2七歩で、以下▲同飛△4七飛成▲同金△3八角となり、後の展開は▲2八飛には△4七角成▲4一飛△3七馬▲6一飛成△6二金▲2一飛成△2八馬、▲4一飛には△5一金▲2八飛△4一金▲3八飛とし、以下△4九飛▲4八飛△1九飛成▲4三角△5二金左▲2一角成△4六香▲同金△5七銀の順を示しており、居飛車仕掛け側が芳しくないとし、従来の定跡手順(▲4五歩△5三銀…)が勝るとした。
△ 持ち駒 歩2
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△ 持ち駒 角歩
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△ 持ち駒 なし
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また、振り飛車側は△4一金型を生かして△3二金と上がる指し手もある。
この他に、直ぐに▲4四歩と取り込まずに▲6八金と金無双の形にして(△8八角成に▲同銀を用意)▲5六歩、▲1六歩と指し、振り飛車側に△5四歩や6四歩、5二金などを指させてからタイミングをみて▲2四歩△同歩▲4四歩を指す指し方もあり、Sugarはこれを時間差攻撃と呼んでいる。下の図から振り飛車側が仮に△6三金ならば以下4五歩早仕掛けのように▲4四歩△同銀に、▲4五歩で△同銀ならば▲同桂で、以下△同飛▲3三角成△同桂▲2四飛で、先の1六歩が△1五角を消している。また、▲4五歩のほかに▲4六歩と歩を控えて打ち、次に▲4五桂と桂馬を飛ぶ順もある。そして▲2一飛成が入ると次に居飛車側から▲2六角や4四角、4三角などがあり、6一の金が7一に逃げる展開になれば▲9五歩で、▲同歩ならば△9二歩△同香▲9一銀などの攻め筋が生じている。
△4三銀と上がらず、△4二銀のまま囲いを進展させる指し方もある。この場合は△5四歩と△6四歩を指すのを待ってから▲2四歩△同歩▲4五歩と仕掛ける。4二銀型は4五歩に同歩と取ることができるので(3三角成には同銀もしくは同桂で、飛車の成りこみを防いでいる)△同歩とするが、以下▲3三角成△同銀(または桂)に▲3一角と、鷺宮定跡のように指す狙いが生じる。鷺宮定跡のように居飛車側の飛車の位置が3八でなく2八なので、▲3三角成△同銀▲3一角に△4四銀と活用しようとすると、▲2四飛が生じる。
この戦法は、四間飛車に対して用いる場合、相手の左銀が4三にいるか、3二銀型でも△5四歩と△6四歩が突いていなければ仕掛けが成立しない。Sugarは△4二銀待機型に対しても三間飛車同様へなちょこ持久戦と称する地下鉄飛車に組む指し方を紹介、これをへな急改と呼称している。またSugarは、▲5六歩に△5二金で▲5五歩と5筋の位をとり、以下△6四歩▲5七銀△6三金▲5六銀と、4筋の歩がぶつかったままで5筋位取りの展開にもっていく指し方も示しており、これをへな急改act2と呼んでいる。
△ 持ち駒 なし
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△ 持ち駒 なし
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△ 持ち駒 なし
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△ 持ち駒 なし
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へなちょこ急戦は、ゴキゲン中飛車/先手中飛車などの戦術でも対応が可能。例えば基本図の局面、先手中飛車で先手の右銀が6八で、玉が4八に上がったタイミングで後手も玉の移動が完了していないが、△7三桂とすれば、6八銀型であると次に△6五桂がくると角の逃げ場が▲6六角しかないので、相手に飛車先を切らされる。このため後手▲6六歩とし、以下△6四歩▲6七銀△5二金で▲5六銀であると△6五歩▲同歩△5四歩(図、△8六歩▲同歩△5四歩もある)と仕掛ける。▲同歩であると△7七角成▲同桂△6六角などがある。▲5六銀にかえて▲3八玉ならば△6五歩▲同歩△同桂とし、▲5九角には△8六歩▲同歩△8八歩▲7七桂△同角成▲同角△8九歩成▲9八香△9九となど。▲5六銀にかえて▲7八金ならば、相手の金将が左側にいくので、へなちょこ急戦側は居飛車穴熊を目指して王将を固める指し方をSugarは指南している。
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