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映画 ウィキペディアから
『大空港』(だいくうこう、原題:Airport)は、1970年公開のアメリカ映画。
大空港 | |
---|---|
Airport | |
監督 | ジョージ・シートン |
脚本 | ジョージ・シートン |
製作 | ロス・ハンター |
出演者 |
バート・ランカスター ディーン・マーティン ジーン・セバーグ ジャクリーン・ビセット ジョージ・ケネディ |
音楽 | アルフレッド・ニューマン |
撮影 | アーネスト・ラズロ |
編集 | スチュアート・ギルモア |
配給 | ユニバーサル |
公開 |
1970年3月5日 1970年4月18日 |
上映時間 | 137分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $10,000,000[1] |
興行収入 | $100,489,151[1] |
次作 | エアポート'75 |
アーサー・ヘイリーによる同名の小説を原作とする。エアポートシリーズと呼ばれる4作品の第1作目。
オールスターキャストによるパニック映画の元祖と言われる。いわゆるグランド・ホテル形式で、特定の場所(空港)を舞台に、それぞれの登場人物にまつわるストーリーが交錯する構成になっている[2]。
第43回アカデミー賞では最多10部門にノミネートされ、ヘレン・ヘイズが助演女優賞を受賞した。また、1970年の映画の世界興行成績で第2位であった[3]。
放心状態でターニャに保護されたイネーズ。彼女の姓が「ゲレロ」であることを聞いたターニャは、ハリーから不審者情報を知らされた際に調べた乗客名簿の中に、その名があったことを思い出す。さらにイネーズの告白と旅行保険販売員の証言からゲレロの目的を悟ったターニャとメルは、グローバル2便に連絡。2便機長のアンソン・ハリス(バリー・ネルソン)は乗客に悟られぬようにリンカーン空港に引き返す一方、ヴァーノンはゲレロのアタッシュケースを取り上げる作戦を練り、隣席のエイダに無賃搭乗の帳消しと引き換えに協力を依頼する。一方地上では、不測の事態に備えてパトローニがメイン滑走路を塞ぐ45便の移動作業を急ぐ。だが、アタッシュケース奪取作戦は土壇場で失敗し、後部トイレに立てこもったゲレロはダイナマイトを爆発させる。グエンは負傷し、機体には穴が……。
原作は、緻密な取材でさまざまな業界の内幕を描く、アーサー・ヘイリーのベストセラー小説。上映時間の制限上、省略された人物やエピソードはあるものの、全体としては原作にかなり忠実に映画化されている。脚本・監督はジョージ・シートン。音楽はアルフレッド・ニューマンで、公開直前の死去により、これが遺作となった。なお、アンクレジットではあるが、ヘンリー・ハサウェイ監督が屋外場面を担当している。
当時著しく台頭したアメリカン・ニューシネマに対する、ハリウッドからの大作エンターテインメント回帰によるカウンターとも言うべき作品であり、有名俳優の競演、監督のシートンや音楽のニューマン、衣装デザイン担当のイーディス・ヘッドをはじめとするベテラン起用など、ハリウッド流儀の映画づくりが顕著に表れた作品であった。トッドAO方式による70mm作品として雪の空港でのロケーションを多用した広大な構図を描く一方、無線交信や電話のシーンでは編集技術として当時既にやや古くなっていたワイプを多用するなど、過渡的な面も見受けられる。
出演はバート・ランカスター、ディーン・マーティン、ジーン・セバーグ、ジャクリーン・ビセット、ジョージ・ケネディらといった、オールスター・キャストであった。
舞台となるシカゴの「リンカーン国際空港」は架空のものであり、ロケはミネソタ州のミネアポリス・セントポール国際空港で行われた。また、本作に登場するボーイング707は、フライング・タイガー・ライン所属の機体(登録番号:N324F)をユニバーサル映画が借り受けたもので、窓廻りの塗装は当時のエル・アル航空のそれに似たものを施し、「Trans Global Airlines」のロゴと「tga」のマークをペイントしていた。なおこの機体は、映画公開から19年後の1989年5月21日、ブラジル・サンパウロのグアルーリョス国際空港付近で着陸に失敗し、墜落して炎上した。
本作の大ヒットにより、後に続編が3本作られ、合わせてエアポートシリーズと総称される。しかし、続編の内容について、アーサー・ヘイリーは直接関わってはいない。『大空港』はどちらかというと人間ドラマの方に主眼が置かれているが、続編は飛行機を襲う危機の方に重点が移っており、1970年代のパニック映画ブームの一翼を担って、次第に内容がエスカレートしていった。なお、シリーズといっても、それぞれの登場人物は違っており、ただ一人ジョージ・ケネディ演ずるジョー・パトローニのみが4作全てに登場しているが、役職は毎回異なっている。
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | ||
---|---|---|---|---|
日本テレビ旧版 | テレビ朝日版 | 日本テレビ新版 | ||
メル・ベイカースフェルド | バート・ランカスター | 小林昭二 | 瑳川哲朗 | 石森達幸 |
ヴァーノン・デマレスト | ディーン・マーティン | 羽佐間道夫 | 佐々木功 | |
ターニャ・リヴィングストン | ジーン・セバーグ | 木村俊恵 | 武藤礼子 | 宗形智子 |
グエン・メイフェン | ジャクリーン・ビセット | 西沢和子 | 鈴木弘子 | 山下智子 |
ジョー・パトローニ | ジョージ・ケネディ | 大宮悌二 | 小林清志 | 三木敏彦 |
エイダ・クォンセット | ヘレン・ヘイズ | 堀越節子 | 河村久子 | 新村礼子 |
D.O.ゲレロ | ヴァン・ヘフリン | 杉田俊也 | 藤本譲 | 水鳥鐵夫 |
イネーズ・ゲレロ | モーリン・ステイプルトン | 林洋子 | 好村俊子 | |
アンソン・ハリス | バリー・ネルソン | 村松康雄 | 佐々木勝彦 | |
シンディ | ダナ・ウィンター | 小沢紗季子 | 登場シーンカット | |
ハリー・スタンディッシュ | ロイド・ノーラン | 巖金四郎 | 千葉耕市 | |
サラ・デメレスト | バーバラ・ヘイル | 麻生美代子 | 矢野陽子 | |
サイ・ジョーダン | ゲイリー・コリンズ | 金尾哲夫 | ||
ピーター | ジョン・フィンドレーター | 田中亮一 | 神奈延年 | |
モスマン夫人 | ジェシー・ロイス・ランディス | |||
アッカーマン | ラリー・ゲイツ | 八奈見乗児 | 藤城裕士 | |
マーカス・ラスボーン | ピーター・タージョン | |||
デビッドソン | ウィット・ビセル | 藤城裕士 | ||
シュルツ夫人 | ヴァージニア・グレイ | |||
コンパーニョ医師 | ポール・ピッカーニ | 清川元夢 | 岩田安生 | |
ベンソン機長 | ロバート・パタン | |||
バート・ウェザービー | クラーク・ハワット | |||
ロビー・ベイカースフェルド | イラーナ・ダウディング | 岡本茉利 | 登場シーンカット | |
ルース | エナ・ハートマン | 井上由紀 | ||
ネッド・オードウェイ | アルバート・リード | 斎藤志郎 | ||
バニー | ナンシー・アン・ネルソン | 岡村恭子 | ||
シュルツ氏 | ディック・ウィンスロー | 八奈見乗児 | ||
バークス | チャック・ダニエル | 仲野裕 | ||
不明 その他 | 森功至 寺島幹夫 藤城裕士 小宮山清 田の中勇 西川幾雄 | 嶋俊介 沢田敏子 浅井淑子 池田勝 広瀬正志 沼波輝枝 北村弘一 沢木郁也 有本欽隆 佐久間あい 龍田直樹 石森達幸 清川元夢 徳丸完 塚田恵美子 西村知道 岡和男 島木綿子 鹿沼政仁 緑川稔 小林由利 山本敏志 | 小野健一 山口嘉三 中博史 小形満 富本牧子 喜田あゆ美 | |
演出 | 左近允洋 | 春日正伸 | 壺井正 | |
翻訳 | 広瀬順弘 | 進藤光太 | 鈴木導 | |
調整 | 山田太平 | 飯塚秀保 柴崎崇行 | ||
効果 | 赤塚不二夫 PAG | VOX | ||
制作 | グロービジョン | |||
解説 | 水野晴郎 | 淀川長治 | 水野晴郎 | |
初回放送 | 1973年10月10日・17日 『水曜ロードショー』 21:30‐22:55 | 1981年3月1日 『日曜洋画劇場』 21:00‐22:54 | 1994年2月25日 『金曜ロードショー』 21:03‐22:54 |
※ 「思い出の復刻版」DVDに日本テレビ新版、2021年11月10日発売の「思い出の復刻版」BDには、日本テレビ旧版・新版の2種の吹き替えを収録[4]。日本テレビ旧版は権利元が音源を紛失しており、視聴者からの公募により再放送拡大枠の音源が収録された[5]。
タイトルにエアポートや大空港が付く映画やテレビ番組が多数存在するが、正式なエアポートシリーズは以下に示す4作品のみ。これらは、アーサー・ヘイリーの小説『大空港』の映画化権により、ユニバーサル映画が製作した劇場映画シリーズである。
その他、「エアポート」をタイトル名に含む映画やテレビ番組は数えきれないほど存在する。
早川書房より刊行(ハヤカワ文庫)。アーサー・ヘイリー著、武田公子・大坪光之 訳(現在は絶版)。
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