京王観光
日本の旅行代理店、保険代理店 ウィキペディアから
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京王観光株式会社(けいおうかんこう、英文社名:Keio Travel Agency)は、東京都多摩市に本社を置き[1][2]、旅行業と保険業を営む京王グループの企業である[1]。日本旅行業協会会員[1]、国際航空運送協会代理店[1]。
京王観光 多摩センター駅営業所 (2016年撮影、閉所済) | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
本社所在地 |
日本 〒151-0061 東京都多摩市関戸2丁目37番地3 せいせきさくらゲート3階[1][2] 北緯35度40分49秒 東経139度41分8.2秒 |
設立 |
1953年6月11日[1] (桜菊観光株式会社の設立日) |
業種 | サービス業 |
法人番号 | 8011101005978 |
事業内容 | 旅行業、保険業[1] |
代表者 | 代表取締役社長 竹内健[1] |
資本金 | 1億円[1] |
売上高 |
102億円 (2022年度)[1] |
純利益 |
△2億400万円 (2024年3月期)[3] |
総資産 |
24億3,400万円 (2024年3月期)[3] |
従業員数 | 348名(2023年3月末)[1] |
主要株主 | 京王電鉄株式会社 100% |
外部リンク |
www |
特記事項:観光庁長官登録(旧国土交通大臣登録)旅行業第10号[1] |
1953年(昭和28年)6月24日に株式会社京王帝都観光協会を設立[4]。同年6月11日設立の関西を地盤とする旅行会社「桜菊観光株式会社」と1969年(昭和44年)9月1日付で合併[4]。京王沿線外の店舗を桜菊観光から継承した。
また、1958年(昭和33年)4月1日より企業組合京帝互助会から駅売店事業および保険代理店事業を継承し[4]、京王電鉄各駅の売店を運営していたが、2005年に駅売店事業を分社化する形で京王リテールサービス(現在は京王ストアに合併)を設立し[4]、駅売店全店舗の営業権を譲渡した。
京王電鉄沿線を中心に事業所を展開する[5]。旅行事業部門と保険事業部門を2本の柱とし、旅行部門では国内旅行および海外旅行、訪日外国人旅行の斡旋を行う[1]。また募集型企画旅行「キングツアー」も主催する[1]。愛称は京王の「王」に由来する。そのほか、航空券や私鉄乗車券・乗船券の発券、旅行傷害保険の取り扱いなど旅行に付帯する業務を行う[1]。
保険部門では、損害保険(自動車保険、火災保険、傷害保険など)の代理店業務を行うとともに、1996年からは生命保険の代理店業務も開始した[4]。
かつては個人旅行客向けカウンター店舗および、団体旅行を扱う「団体旅行支店・営業所」の二本立てで営業していたが、大阪地区を中心とした西日本の支店で発覚した不祥事を受け、個人向けカウンター店舗の大半を閉店して営業規模を大幅に縮小し、団体旅行営業に業務を絞ることとなった(後述)。
京王沿線外の店舗は、合併した桜菊観光から引き継いだものである。2016年11月時点で、個人旅行向けのカウンター店舗は京王電鉄の駅構内または駅ビル・駅ナカ商業施設のみで、沿線外の店舗はすべて閉店していた。ただし団体旅行営業部の管轄店舗では、大阪支店が2017年1月13日まで個人向けカウンター営業を行っていた。
京王電鉄の駅にあった店舗名は、特記以外はかつては「○○駅営業所」であったが、のちに「駅名+店」へ改められた。
一部の店舗では、京王バスの定期券・回数券を取り扱っていた[12]。取り扱い券種は京王バスの紙式定期券および回数券(いずれも廃止)、金額式IC定期券「モットクパス」、神奈川中央交通との共通定期券[13]。
2023年10月時点[5]。
特記なき店舗は、2022年9月30日閉店[10]。
以下の店舗は、2012年時点では存在していた[14]。
団体旅行を扱う支店・事務所「旅行事業部」として、以下の拠点を有する[19]。
団体旅行を扱う拠点は、本社直轄の「団体旅行営業部」の各支店と、関西地区を担当する「旅行事業部」(旧「関西事務所」のみ)が別に存在したが、関西地区での不祥事により本社直轄の「旅行事業部」へ一本化され、同時に支店の再編と統廃合が行われた。これに伴い、渋谷区初台の本社(当時)内に置かれていた「団体旅行営業部 戦略プロモーション室」も旅行事業部へ統合された[19]。
2023年8月時点[5]。
京王観光は2019年(平成31年)1月、大阪支店と大阪西支店(2018年11月に大阪支店へ統合済[7][8])において、約10年前から支店長の指示でマルス端末で不正発券し不正乗車を行っていたと週刊誌で報道されたことを事実と認めた[20]。JRを利用する団体旅行客の客数を過少申告していた問題を受け、同年2月5日から全支店・営業所を対象にJR乗車券類の委託販売停止処分を受けた(払戻・変更等は3月1日まで取扱)。その時点では発券停止期間は未定とされていた[21][22][23][24][25]。
京王観光の大阪地区の支店での不正は1990年代前半にはすでに行われており[7]、また同年1月には、2008年から2018年の10年間にわたり、大阪地区の支店の社員4名が約230万円余を横領していたことも発覚した[7]。越水陽太郎取締役社長名での発表によれば、不正行為は前年の2018年6月に判明し10月にJRへ報告したという。しかし内部監査により不正を把握していたにもかかわらず、2019年に報道されるまでそれを公表していなかったことから、同社の企業コンプライアンスも疑問視されることとなった[24]。
2019年4月19日、JRグループより発券業務の委託契約を休止のまま解除された[21][26]。これによりマルス端末も引き上げられ、JR乗車券の発行は不可能となった。同時にJRから同社旅客営業規則に基づき、不正乗車による被害額約6,000万円分の3倍にあたる約1億8,100万円を賠償するよう請求された[21][7]。
同年4月25日、京王観光は不正行為に関する社内調査に基づく報告書を提出し[27]、JRグループ各社に対し同年5月31日までに賠償金を全額支払う旨を表明するとともに、大阪支店閉鎖と関係者の更迭を発表した[7][8][27]。社内調査の過程で、大阪支店と大阪西支店の他にも、福岡支店でも同様の不正行為が行われていたことを公表した[7][8][27]。
同社の調査報告書によれば、不正を行っていた大阪地区の2支店は、1969年に関西を地盤とする桜菊観光と合併後に同社から継承した店舗で[7][8][27]、旧桜菊観光時代からの独自の組織文化が維持継承され[7][8][27]、京王沿線を含む首都圏や他地域への転勤もなく、現地出身の社員が内部昇格していく人事が行われていた[7][8][27]。また2015年4月に福岡支店を開設した際、大阪支店から異動した社員1名が、福岡支店でも大阪支店での案件を引き続き担当して不正行為を継続したため、福岡支店へも不正が波及するに至った[7][8][27]。そして東京本社の目が行き届かず、他地域との人員の交流も乏しかった結果、不正の手口が他地域へ広がることはなく、長期間にわたり不正が発覚しなかった[7][8][27]。さらには京王グループの知名度が低い関西で「東京(の本部・支店)に負けたくない」というライバル意識が強かったことも背景にあった[7][8][27]、などと分析された[7][8][27]。
事件発覚翌年の2021年には、本社を京王新宿三丁目ビルから京王線初台駅隣接の京王初台一丁目ビルへ移転した[2]。さらに事件から2年後の2022年には、6月に社長交代[11]、9月末までに個人向けカウンター店舗を京王グループの本拠地である新宿と聖蹟桜ヶ丘を残して全店閉店[5]、12月には本社を再度移転して聖蹟桜ヶ丘駅付近のせいせきさくらゲートへ移転した[11]。
大手私鉄系旅行会社である京王観光が「同業者」のJRを裏切る形となった事件の衝撃は大きく、全国紙などのマスメディアや旅行業界関連のネットメディアなどでも多数報道された。そして大幅な事業規模縮小と信用失墜の結果、取扱高は2016年度の246億円から、2022年度には102億円[1]と半減以下にまで落ち込んだ。またカウンター店舗閉鎖により、閉店前の2021年3月末時点では434名だった従業員数も、2023年3月末には348名[1]まで減少し、大幅な人員削減が行われた。
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