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西日本旅客鉄道の鉄道路線 ウィキペディアから
福塩線(ふくえんせん)は、広島県福山市の福山駅から広島県三次市の塩町駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(地方交通線)である。
福山駅 - 府中駅間は、2022年9月までは岡山支社の、2022年10月から中国統括本部の直轄[注 1]となっている。2017年6月1日まではせとうち地域鉄道部が管理していたが、同日の組織改正に伴い廃止された。府中駅 - 塩町駅間は三次鉄道部[注 2]の管轄である。境界駅である府中駅は中国統括本部の直轄であり、実際の直轄と三次鉄道部管轄の境界は府中駅上り場内信号機となっている。ただし、一部業務の広島支社への移管後も、運行および営業・広報関係では岡山・福山エリアと広島・山口エリアの区分が維持されている。
日本国有鉄道時代は塩町駅構内を含む全線が岡山鉄道管理局の管轄だった。
かつては旧岡山支社管内(岡山・福山エリア)・旧広島支社管内(広島・山口エリア)とも、独自に桜桃色をラインカラーとして使用していた。2016年春から旧岡山支社管内ではラインカラーに紫色(■)、路線記号にZが設定された。岡山支社では対象区間を「福山駅 - 府中駅」としていたが、公式サイトの全域路線図や各駅の路線記号入り運賃表では福塩線全区間に適用されている[4]。その一方で、広島支社は寺家駅・河戸帆待川駅・あき亀山駅開業時から、2019年10月の消費税率10%化に伴う運賃改定までに順次更新された運賃表[注 3]を除いて、従来の桜桃色(■)のラインカラーを路線図[5]で使用しており、全域路線図上の路線記号設定済み区間では唯一、独自の案内色を使用しているが、駅掲示時刻表については2020年3月のダイヤ改正時に広島支社管内も路線記号入りに更新され、ラインカラーも紫色に揃えられた。JR西日本公式サイトの外国語サイトでは、広島・山口エリアについても紫色ので表記している[6]。さらに中国統括本部発足後初となる2023年3月18日のダイヤ改正では、岡山・福山エリア各駅の時刻表の停車駅案内図を京阪神、広島・山口、山陰エリアおよびJR四国の路線記号と、岡山・福山、広島エリアの駅ナンバーに対応したデザインに変更したことから(姫路駅の駅ナンバーへの対応は駅により異なる)、福山駅 - 府中駅間の時刻表では三次駅までがの路線記号とラインカラーで表示され、併せて福山駅の駅ナンバーも記述されている。
2020年9月から導入されている駅ナンバーについては、山陽本線所属の福山駅を除いて岡山・福山エリア、広島・山口エリアとも設定対象外となっている。
福山駅 - 神辺駅間はIC乗車カード「ICOCA」のエリアに含まれている。それゆえ、ワンマンで運用される場合は、特別改札の車掌が乗務している場合を除いて同区間での車内精算は行わないが、ICOCAエリア外の湯田村駅 - 塩町駅の各駅では車内精算を行う。
各年度の平均通過人員(人/日)は以下のとおりである。
年度 | 平均通過人員(人/日) | 出典 | ||
---|---|---|---|---|
全線 | 福山 - 府中 | 府中 - 塩町 | ||
2013年度(平成25年度) | 2,201 | 6,786 | 211 | [7] |
2014年度(平成26年度) | 2,132 | 6,584 | 201 | [8] |
2015年度(平成27年度) | 2,199 | 6,806 | 200 | [9] |
2016年度(平成28年度) | 2,242 | 6,936 | 206 | [10] |
2017年度(平成29年度) | 2,254 | 6,988 | 200 | [11] |
2018年度(平成30年度) | 2,181 | 6,835 | 162 | [12] |
2019年度(令和元年度) | 2,194 | 6,877 | 162 | [13] |
2020年度(令和 | 2年度)1,790 | 5,568 | 150 | [14] |
2021年度(令和 | 3年度)1,716 | 5,341 | 144 | [15] |
2022年度(令和 | 4年度)1,885 | 5,861 | 160 | [16] |
2023年度(令和 | 5年度)1,990 | 6,194 | 166 | [17] |
2019年度(令和元年度)の輸送密度が2,000人/日未満の線区(府中駅 - 塩町駅間)における各3か年平均の収支(運輸収入、営業費用、営業損益)、営業係数、収支率は以下のとおりである。▲はマイナスを意味する。
停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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福山駅では福山城に隣接した7・8番のりばから発車している。わずかに山陽新幹線・山陽本線と併走したのち、高架から地上に降りて進路を右に変えて北上を始める。線路の両側に広がる住宅街の途中に備後本庄駅があり、芦田川の左岸を走行する。横尾駅を出ると、芦田川と分かれて神辺駅に至る。神辺駅では井原鉄道井原線が分岐しているが、高屋川を渡った先まで単線並列の線路が続く。井原鉄道が分かれていくと、まもなく国道486号をくぐって左にカーブして湯田村駅につく。湯田村駅から進路を西に変えて、道上駅・万能倉駅・駅家駅・近田駅と住宅地がまばらに建っている田畑の中を進んでいく。近田駅付近から再び芦田川の左岸を走行する。次第に両側から山が迫るようになるが戸手駅付近から住宅地が再び目立つようになる。上戸手駅を過ぎて新市駅から府中市に入り、高木駅・鵜飼駅を過ぎると、運転系統上の境界駅である府中駅に着く。
府中駅までは電化されているが、府中駅からは電化されておらず、気動車によって運転されている。府中駅を出ると芦田川を渡って右岸に移り、川に沿いながら山間部に入っていく。山間部では曲線半径が小さい急カーブにより速度が低く制限されている区間があり、雨規制によって徐行運転を行う区間も多い。下川辺駅から再び北上を始め、中畑駅を過ぎて左へカーブしてトンネルをくぐると、山が開けて住宅地が目立ち、河佐駅に着く。
河佐駅を発車し、諸毛トンネルを抜けると右手にはキャンプ場がある。その先で進路を右に変え、芦田川を渡って全長 6,123m の八田原トンネル[注 4]を抜けると、すぐに備後三川駅に到着する。河佐駅 - 備後三川駅間のほとんどは八田原ダムの建設によって線路が新線に切り替えられた。旧線の一部はキャンプ場の遊歩道などに転用されており、若谷山トンネルの入り口まで行くことができる。旧線には八田原駅があったが、新線への切り替えにより廃止され、現在はダム湖の湖底に沈んでいる。備後三川駅から国道432号に沿い、備後矢野駅を過ぎると上下駅に到着する。かつての上下町の中心にあり、江戸時代は石見銀山から瀬戸内海へ抜ける銀山街道の宿場町の一つであった。次の甲奴駅もかつての甲奴町の玄関口として位置づけられていた。
山間にある梶田駅・備後安田駅を過ぎて、吉舎駅から国道184号に沿いながら三良坂駅を過ぎ、右手から芸備線が寄ってくると塩町駅に到着する。
運転系統は電化区間の福山駅 - 府中駅間と非電化区間の府中駅 - 塩町駅間の接続点である府中駅で完全に分断されている。そのため、電化区間は福塩南線、非電化区間は福塩北線と通称される。福塩南線と福塩北線で輸送実績に40倍以上という極端な差があることが特徴であり、福塩北線の輸送実績は廃止が取り沙汰されている北海道の留萌本線や、長野県・新潟県の大糸線南小谷駅 - 糸魚川駅間とほぼ同じである。
2021年3月13日改正時点のダイヤでは、普通列車のみが運転されている。
福山駅 - 府中駅間の運転が基本であり、1時間に1 - 2本の列車が設定されている。朝夕は3 - 4両編成で車掌が乗務するが、日中の列車はすべて2両編成でワンマン運転を行っている。2008年3月改正から、山陽本線岡山駅まで直通する列車も設定されており[注 5]、2021年3月13日改正時点[22]では下り1本・上り2本の山陽本線直通列車のうち夕方の下り1本が和気発府中行き、朝と夜の上り各1本が府中発岡山行きとなっている。これらの列車は福山駅を境に別列車として運行される。
また、日付を越えて運行する列車が2003年10月1日のダイヤ改正での下り最終列車の繰り下げ以来設定されている。日付を越える駅は、2021年3月13日のダイヤ改正時点で駅家駅となっている[23][注 6]。
福山駅 - 神辺駅間では井原鉄道井原線に直通する列車が3往復運転されている。
2021年10月2日のダイヤ改正まで日中に福山駅 - 万能倉駅間の区間列車が1往復運転されていた[24]。
ワンマンで運用する場合、福山駅 - 神辺駅間はICOCAサービスエリア内につき、車内精算は行わない(都市型ワンマン運転)[注 7]。
この区間のすべての列車が塩町駅を越えて芸備線三次駅まで乗り入れている。運転本数は朝夕に府中駅 - 三次駅間が5往復と吉舎駅 - 三次駅間が1往復の計6往復で府中駅 - 吉舎駅間では8時間以上、吉舎駅 - 三次駅間では7時間以上運転のない時間帯がある。以前は日中の1往復は奇数月の第3水曜日に運休しバス代行運転を行っていたが、2012年3月17日のダイヤ改正でこの時間帯に列車の設定そのものが沿線高校などのテスト日程に合わせた指定日運行化されている。ワンマン運転を行っている。
以前は平日朝に河佐駅折り返しの区間運行があった[25]。また、上りの最終列車として三次発21時台に上下行きの列車があったが、2002年3月23日のダイヤ改正ですべて廃止された。1992年10月時点では、始発列車として上下発の三次行きと府中行き、最終列車として府中発と三次発の上下行きの区間列車が設定されていた[26]。
また、2017年3月改正時点で上りの6本のうち2本が芸備線からの直通で広島発府中行きとして運転されていたが[27]、2019年10月23日の平成30年7月豪雨からの芸備線全線復旧時のダイヤでは一旦直通を取りやめ三次始発となり[28]、2019年11月20日時点のダイヤでは直通が再開された[29]。その後、2021年10月2日のダイヤ改正で系統が分断され[30]、広島駅からの直通列車が再度消滅している。
2021年3月13日のダイヤ改正では上下最終列車の時刻が従来より30分ほど繰り上げられ、特に上り列車では府中駅での福山方面との接続待ちが大きく改善された[注 8]。
トイレは、2007年より全列車に設置されている。
国鉄時代の1986年10月31日までは福山駅から芸備線三次駅まで直通する定期列車が2往復設定されていた[注 9]。また、1991年まで芸備線・木次線経由三井野原行きのスキー列車の設定があった。
一時期は福山駅 - 府中駅間に快速列車の設定が1日2往復あったが[32][33]、施設上の問題で快速運転の効果が十分でなく、1991年ごろ[34]には廃止された。所要時間は32 - 33分。運行区間および停車駅は以下の通りであった。
福山駅 - 府中駅間の電化区間はほとんどの列車に電車が使用されている。主に下関総合車両所岡山電車支所の105系および115系(3両編成)が使われており、105系や115系3両編成の検査・修繕時は113系や115系4両編成が運用されることがある。このほか、福山駅 - 神辺駅間では井原鉄道の気動車であるIRT355形も運用されている。
105系は1981年の投入時は山吹色地に紺色帯の車体塗装であったが、2009年度から黄色の単色に順次変更されていき、2017年に登場時の塗装が消滅した。
府中駅 - 塩町駅間の非電化区間では気動車が使用されており、全列車が下関総合車両所広島支所のキハ120形である。
この節の加筆が望まれています。 |
改正鉄道敷設法別表第91号に掲げる予定線の一部として両備鉄道を買収、国有化し、延長したものである。国有鉄道が保有した唯一の電気運転を実施する軽便鉄道(特殊狭軌線)であった。列車は電気機関車による牽引でのみ運行され、電車は製作されなかった。国有化後に改軌・改築され、現在の姿となった。
1989年には、芦田川に八田原ダム(1998年竣工)を建設するために、河佐駅 - 備後三川駅間が八田原トンネル(全長6,123m)経由の新線に付け替えられ、同区間の旧線上にあった八田原駅が廃止された。
便宜上、塩町駅側の全列車が直通する芸備線三次駅までの区間を記載。
電化状況 | 路線名 | 駅名 | 駅間 営業キロ |
累計 営業キロ |
接続路線 | ワンマン 列車の 扱い |
線路 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
直流電化 | 福塩線 | 福山駅 | - | 0.0 | 西日本旅客鉄道: 山陽新幹線・ 山陽本線 (JR-W14・JR-X14) | ◎ | ∨ | 福山市 |
備後本庄駅 | 1.8 | 1.8 | ◎ | | | ||||
横尾駅 | 4.3 | 6.1 | ◎ | ◇ | ||||
神辺駅 | 2.3 | 8.4 | 井原鉄道:井原線(連絡改札を通ると乗車可能) | ◎ | ◇ | |||
湯田村駅 | 2.0 | 10.4 | △ | | | ||||
道上駅 | 0.9 | 11.3 | △ | | | ||||
万能倉駅 | 2.1 | 13.4 | △ | ◇ | ||||
駅家駅 | 1.2 | 14.6 | △ | | | ||||
近田駅 | 1.4 | 16.0 | △ | | | ||||
戸手駅 | 1.0 | 17.0 | △ | | | ||||
上戸手駅 | 1.8 | 18.8 | △ | | | ||||
新市駅 | 1.2 | 20.0 | △ | ◇ | ||||
高木駅 | 1.7 | 21.7 | △ | | | 府中市 | |||
鵜飼駅 | 1.0 | 22.7 | △ | | | ||||
府中駅 | 0.9 | 23.6 | ○ | ◇ | ||||
非電化 | 下川辺駅 | 4.3 | 27.9 | △ | | | |||
中畑駅 | 3.9 | 31.8 | △ | | | ||||
河佐駅 | 3.1 | 34.9 | △ | ◇ | ||||
備後三川駅 | 7.5 | 42.4 | △ | | | 世羅郡 世羅町 | |||
備後矢野駅 | 4.2 | 46.6 | △ | ◇ | 府中市 | |||
上下駅 | 3.7 | 50.3 | △ | ◇ | ||||
甲奴駅 | 4.4 | 54.7 | △ | | | 三次市 | |||
梶田駅 | 2.4 | 57.1 | △ | | | ||||
備後安田駅 | 5.2 | 62.3 | △ | | | ||||
吉舎駅 | 5.0 | 67.3 | △ | ◇ | ||||
三良坂駅 | 6.3 | 73.6 | △ | | | ||||
塩町駅 | 4.4 | 78.0 | 西日本旅客鉄道: 芸備線(備後落合方面) | △ | ◇ | |||
芸備線 | ||||||||
神杉駅 | 1.5 | 79.5 | △ | ◇ | ||||
八次駅 | 3.3 | 82.8 | △ | | | ||||
三次駅 | 2.3 | 85.1 | 西日本旅客鉄道: 芸備線(広島方面) | ○ | ◇ |
以下の駅を除いて無人駅である。なお2020年3月1日現在、業務委託駅は存在しない[注 12]。
駅スタンプ設置駅は以下の通り。
( )内は起点からの営業キロ
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