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日本の漫画、メディアミックス作品 ウィキペディアから
『サーキットの狼』(サーキットのおおかみ)は、1970年代に池沢さとしが発表した、スーパーカー、4輪モータースポーツを題材にした漫画作品。1975年から1979年にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載され、続編に『サーキットの狼II モデナの剣』『21世紀の狼』がある。
サーキットの狼 | |
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ジャンル | 自動車漫画 |
漫画 | |
作者 | 池沢さとし |
出版社 | 集英社 |
掲載誌 | 週刊少年ジャンプ |
レーベル | ジャンプ・コミックス |
発表期間 | 1975年 - 1979年 |
巻数 | 全27巻 |
映画:サーキットの狼 | |
原作 | 池沢さとし 『サーキットの狼』 |
監督 | 山口和彦 |
脚本 | 山口和彦、中西隆三 |
音楽 | 鈴木宏昌 |
配給 | 東映 |
封切日 | 1977年8月6日 |
上映時間 | 87分 |
映画:サーキットの狼(オリジナルビデオ) | |
原作 | 池沢さとし 『サーキットの狼』 |
監督 | 長澤隆之 |
脚本 | 高田純 |
音楽 | 岩崎工 |
製作 | パック・イン・ビデオ、ホリプロ |
封切日 | 1992年 |
上映時間 | (入力必須) |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 漫画 |
愛車ロータス・ヨーロッパを駆る主人公の風吹裕矢が、一匹狼の走り屋から始まり公道やサーキットを舞台にライバル達との競争を繰り広げ、プロのカーレーサーへと成長していく物語である。ライバルとしてポルシェやフェラーリ、ランボルギーニ、トヨタ・2000GTなど、世界中の著名なスポーツカーが多数劇中に登場しており、いわゆるスーパーカーブームの火付け役となった[1]。
当初はスポーツカーを主題とした内容に編集者が難色を示し、池沢の2年間の説得を経て連載となった[2]が、連載後も順調に人気を獲得するものの、15週目で誌面リニューアルのため打ち切りが確定。しかし、同週に行われた読者人気投票で爆発的な人気を獲得し、急遽連載続行が決定した[3]。その後も人気は伸び続け、『少年ジャンプ』の看板マンガとしての地位を確立した。2011年時点で復刻版を含めた単行本の累計発行部数は1800万部を突破している[4]。
この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
本作の大きな特徴は、『マッハGoGoGo』などそれまでの日本の車漫画作品が架空の車種しか登場しないのに対し、劇中に登場する車種を実際に存在するものにした点である。
登場するスーパーカーは、作者である池沢さとしの愛車や、作者のクルマ仲間の愛車であることが多かった。なお、後年の自動車漫画作品と異なる特徴として、劇中に登場する自動車は全てナンバープレートも描かれており、これらは池沢の愛車等、当時実際に登録されていたナンバーがそのまま使用された。
主人公達が競争を行う箱根ターンパイクなどの道路や、主人公達がたむろする喫茶店も実在のものである。また、星野一義などの自動車関連の実在の人物が登場することも多かった。
ロータスやフェラーリ、ポルシェなどのヨーロッパ製のスポーツカーが多数登場する一方で、日本車とアメリカ車の扱いは低く、端役扱いとなっていた。この当時の日本とアメリカの各メーカーはオイルショックだけでなくマスキー法などの厳しい排気ガス規制に追われ、スポーツカーを生産する余裕が無く、作中において活躍させるような車種がほとんど存在しなかった。アメリカ車については後年作者が「当時興味がなかった」という理由で端役扱いしたことを述べている[5]。
タイトルに「サーキット」という言葉が入っているだけに、最終的にはサーキット(レース場)での本格的なレースが主題になっていくが、連載の終盤にはスーパーカーブームも下火となり、F1人気も1977年10月の富士スピードウェイ観客死亡事故を機にネガティブな報道が増加した[6][7]。実在しないF1マシン(日本の複数の自動車メーカーが共同で製作した設定)に乗り、どちらか一人が日本人初のF1優勝者になるところで連載終了となったが、アンケートでの作品人気は低下しこの最終回を迎えることとなった。なお、日本オリジナルF1マシンで参戦するというエピソードは1974年から1976年に実際に参戦していたマキF1をモチーフとしている。
作品のブームから30年以上経た2000年代も関連グッズの発売が続いている。2009年には、30台以上のスーパーカーや漫画、スーパーカー消しゴム等のグッズを展示した「池沢早人師 サーキットの狼ミュージアム」が茨城県神栖市にオープンした[8]。
主人公・風吹のマシンとレースを中心にストーリーの概略を示す。ストーリー整理の便宜上、風吹のマシンが主にロータス・ヨーロッパである街道レーサー時代とプロレーサー時代で章を分けて紹介する。なお、作品上は『~編』という分類はされていない。
一匹狼の走り屋、風吹裕矢は愛車ロータス・ヨーロッパを駆り、巷で「ロータスの狼」と呼ばれていた。デ・トマソ・パンテーラに乗った暴走族「極道連」のスポンサー(栃木県の農家の息子、通称「ぼっちゃん」)からナンパされているミキを見かねた風吹はパンテーラとのシグナルグランプリで勝負し、あっさりと勝利してしまう。極道連からの恨みを買った風吹は以降しつこく命を狙われる事になる。
ロータスヨーロッパを駆る風吹とポルシェ911カレラRSを駆る早瀬佐近の初バトル。新宿中央公園に集結していたポルシェの暴走族「ナチス軍」に喧嘩を売った風吹は、総統である早瀬と首都高で勝負をすることになった。
新宿ランプを起点に4号線~都心環状線~4号線と走り、新宿ランプがゴール。風吹はガードレールに足回りを強打してスタビライザーにダメージを負い、ゴール寸前で負けてしまうが、早瀬は風吹のマシンの故障を理由として勝負はノーカウント(勝ちの証明である★マークを付けない)とした。二人はこれ以来ライバル関係となり、同時に友情も築いていく事になる。
ある日、風吹は交通機動隊のパトカー隊員の沖田に声を掛けられる。風吹は車好きの沖田と意気投合し、ライバルとしての友情が芽生える。風吹は姉ローザの恋人で若手のホープと呼ばれるプロレーサーの飛鳥ミノルと車趣味を通じ意気投合する。
後日、飛鳥のミウラに同乗した風吹は沖田のパトカー(フェアレディ240ZG)に追いかけられるが、沖田は時速230キロから直角にコーナリングするという飛鳥のテクニックに翻弄されフロントを激しく損傷し、追跡不可能となってしまった。
風吹は飛鳥の薦めで富士スピードウェイのスポーツ走行を体験する。そこには早瀬のポルシェの姿があった。飛鳥は早瀬の父の会社である早瀬電機からレースのスポンサーを受けており、早瀬にドライビングテクニックを教えているという間柄であった。風吹は首都高バトルでの早瀬のテクニックが飛鳥のレッスンで培われたものと知る。
そしてミキも早瀬の見学に来ていた。ミキが早瀬の恋人であると思い込む風吹。そこに突然現れた軟派な金髪ハーフの隼人ピーターソンがミキに声を掛けた。ピーターソンはミキとのデートの約束を賭けて風吹、早瀬との勝負に愛車トヨタ2000GTで挑む。
長い直線がある富士スピードウェイのコース上では、風吹のロータスは他の二台に比べパワーで劣り圧倒的に不利。しかし早瀬のポルシェとのバトルに熱くなったピーターソンは風吹にスリップストリームを許し、風吹はゴール直前でスリップを抜け出し一気に勝負に出る。ゴールラインで3台は横一線に並び、勝負つかず。その後、ホームストレート上で行うゼロヨン競争で再度勝負し、初めて勝利した風吹はミキとのデートを楽しむ。そこで風吹はミキが早瀬の妹であることを知る。
富士スピードウェイでのバトルを見ていた車好きな実業家の谷田部行雄は風吹の走りに感銘を受ける。風吹はミキとのデート中に立ち寄った喫茶店で谷田部と遭遇。谷田部は風吹に将来、日本人F1ドライバーを育てる夢を熱く語る。
そこに沖田が現れた。谷田部は既にスポンサーとして同郷(秋田県)で警官の沖田に目をつけており、風吹と沖田のどちらかをバックアップしていく事を誓う。沖田は谷田部の申し出を受け入れて警官を辞める事を決意し、谷田部に与えられたディーノ246GTを駆って公道グランプリに出場することになった。
全国から腕自慢の街道レーサー達が集まる非合法レース「公道グランプリ」に風吹は早瀬とともに参加することになった。前年の勝者はピーターソンであり今回の優勝候補でもあった。谷田部からディノ246GTを提供された沖田は密かに参加するが、既に病魔(結核)に冒されていた。
未明のスタートから間もなく多数の車を巻き込む大事故が発生する。被害者を気遣った風吹は序盤から大きく出遅れてしまう。風吹は中盤で上位に上り詰めるが沖田の体調を気遣い、再び下位に沈む。途中、極道連の罠がいくつも仕掛けられるが失敗。ついに極道連は風吹の右腕をナイフで刺し重傷を負わせる。オートバイでレースを見守っていたミキが風吹の異変に気づき、助手席に強引に乗り込む。ミキは風吹の右腕の代わりにシフトチェンジを行なうことになった。一方、早瀬のポルシェはトラックから落ちてきた丸太が当たり、オイルパンを損傷。オイルを漏らしながら走り続けることになる。天候が霧、雪、嵐と悪化していく中で風吹は再び上位に浮上。ピーターソンは殺人的な攻撃を仕掛けつつトップ集団を走っていたが風吹と絡んだ挙句、海へ転落してリタイアした。瀕死の重傷を負ったピーターソンは風吹へ強い憎悪を持つようになる。
沖田は病魔と闘いながら終盤トップに浮上。風吹のロータスは度重なるバトルで様々なダメージを負い、スタビライザーの損傷により、まともに走れる状態ではなくなっていた。ゴール直前で横転して逆さになったロータスは急にスローダウンした沖田のディーノを抜きゴール。これで風吹が1位、沖田が2位。早瀬のポルシェもゴール直前でオイル切れによりエンジンブローしながらも惰性でゴールし3位となった。沖田はハンドルを握ったまま絶命していた。
ロータスヨーロッパが公道グランプリのダメージを修理中で、乗る車の無い風吹は谷田部の計らいで沖田のディノに乗っていた。風吹は富士スピードウェイで富士グランチャンピオンレースを観戦し、そこで飛鳥は5連勝目となる優勝を挙げた上でローザとの結婚を発表する。
風吹は帰り途中の東名高速道路で、またもや極道連に狙われる。数々の戦いで圧倒的なテクニックを身につけた風吹は、その走りで極道連をぶっちぎる。格の違いを思い知らされた極道連総長は風吹を男として認め、今後は一介の走り屋出身のレーサーとしてさらに男を上げるようエールを送る。風吹はもはや暴走族で収まる器ではない男に成長していた。
その後、風吹は飛鳥から腕前を披露してくれと言われ海岸の駐車場までの道のりを勝負することになる。二人は公道を時速200キロ以上で突っ走り、追走するパトカーをはるか後方へ追いやる。飛鳥はミウラでプロレーサーの腕を遺憾なく発揮する一方、限界を超えた風吹はコースアウトしてしまう。飛鳥の行動は風吹に公道の恐ろしさを教えるためであった。風吹は飛鳥に対しプロレーサーへの道を宣言する。そこにパトカーが到着。乗っていたのは沖田の同僚、土方であった。土方も沖田の遺志を継ぎ、プロレーサーになることを宣言する。
沖田亡き後、風吹へのバックアップを決意した谷田部は、軽量だがアンダーパワーのロータス・ヨーロッパのエンジンをターボチャージャー装着で高出力化し、ツインカムターボスペシャルとして風吹に与える。一方、早瀬は廃車となったカレラRSの代わりとしてポルシェ930ターボを手に入れていた。
フェアレディZ432Rを駆る「シュトコー戦闘隊・神風」の魅死魔国友はホームである首都高速でのバトルを風吹と早瀬に挑む。戦いは早瀬、風吹、魅死魔の順で終わる。その中で風吹はターボ車の弱点(ターボラグ)をカバーする走りを見出した。
風吹と早瀬は公道での走りを卒業することを決意し、レーサーへの道の第一歩として筑波サーキットで国内A級ライセンスの取得をする。そこで模擬レースを走る事になるが、新たなライバル達が風吹や早瀬を倒そうと気炎を揚げていた。
ターボで武装した風吹のロータスは以前に比べ飛躍的にパワーが増大したものの、早瀬のポルシェターボやフェラーリ、ランボルギーニといった高性能マシンの前には非力であり、苦戦を強いられた。大クラッシュやオイルによるコース汚れが発生するなど波乱の展開となった。圧倒的な強さを誇った早瀬が1位となり、続いて風吹が2位でゴールするもロータスはエンジンブローしてしまった。風吹はこの戦いを終えダメージを負っている相棒ロータスへの感謝の意を表した。
沖田のディノは流石島で行われるレースのためにレーシングカーとして大改造する事になった。そこに山岸みのりが新車のポルシェ930ターボで風吹の前に現れる。風吹は、みのりのポルシェに乗り、早瀬のポルシェと合流する。
風吹と早瀬は、東名高速道路に現れてはスポーツカーを事故に追い込む謎のGCカーの正体を探るべく、2台のポルシェで東名高速へ向かう。途中、マセラティ・ボーラの切替テツも加わった。風吹は新車でブレーキのあたりがついてないポルシェに苦戦するが、早瀬と謎のGCカーをテクニックを駆使して追い込み、勝負に熱くなったGCカーは無謀な突っ込みをしてクラッシュしてしまう。GCカーの正体は、日頃からジグザグ走行のスポーツカーに悩まされる職業トラックドライバー達の恨みから始まったものだった。
A級ライセンス取得後、風吹のデビュー戦は瀬戸内海の孤島「流石島」(架空)に新設されたサーキット場でのレースであった。沖田の形見であるディーノを改造し、当時レース出場を前提としてフェラーリが製作したプロトタイプカーのディーノ・コンペツィオーネをベースとした仕様の「ディーノ・RS(レーシングスペシャル)」で出場する風吹と、当時のポルシェのワークスカーであったポルシェRSRターボを駆る早瀬は新たな戦いに挑む。
旧来のライバルであるピーターソン(BMW3.0CSL)、土方(フォード・カプリ2000GT)、魅死魔(リジェJS2)、ハマの黒ヒョウ(カウンタック)、切替テツ(マセラティ・ボーラ)、北海の龍(ストラトス)に加え、新たに、潮来のオックス(イオタ)、フェラーリの女豹(308GTB)、四国の獅子(パンテーラ)、ジャック・シンカー(コルベット)、鈴木サトル(ヨーロッパ)が出場する。これに触発され飛鳥のミウラも参加が急遽決定した。
スタートして間もなく早瀬、オックスらがトップグループを形成。風吹は復讐に燃えるピーターソンの攻撃で中盤に沈む。風吹は女豹とトラブルで出遅れた飛鳥と共に上位を目指し追い上げる。この中で風吹は「幻の多角形コーナリング」を開眼した。度重なるクラッシュにライバル達は次々と脱落していき、雨の予兆を感じ取った早瀬はレインタイヤに交換。女豹とサトルも同時にレインに。狙い通り雨が降り出しペースダウンを強いられるスリックタイヤ勢を横目に、レインタイヤの3台は1周30キロというコースの特性を生かしてリードを築き、悠々とトップ3を形成する。
一方、四国の獅子の仲間は崖からコースめがけて多数の岩を落としレースのかく乱を狙う。コースに散らばった岩でトップグループは足どめを喰らい、再びレースは振り出しに戻る。風吹の命を狙うピーターソンは30度バンクの高速域で風吹をプッシュ。しかし止めに入った女豹がはじき出され308GTBは爆発炎上し命を落とす。怒りが頂点に達した風吹はピーターソンとの死闘を繰り広げクラッシュに追い込んで女豹の敵をとった。
日が沈み、終盤にはいよいよ早瀬と風吹の一騎討ちとなったが、接触により風吹はヘッドライトを失う。早瀬は足回りに異常をきたしたがトップで走行を続ける。最終ラップとなり緊急ピットインによりライトを取り戻した風吹は、マシンの異常でペースダウンする早瀬に怒涛の追い上げを見せる。最終コーナーで並んだ2台はほぼ同時にチェッカーを受けるがわずかにリードした風吹は見事デビューウィンを飾った。一方、早瀬はゴールラインを越えピットウォールに激しく突っ込む大クラッシュを起こしてしまった。
風吹は谷田部の薦めで日産・サニーを駆り、富士フレッシュマンレースに出場する。練習走行ではコースレコードを記録する走りを披露。そして怪我で療養中の早瀬に代わり、強力なライバルとなる椿健太郎が現れた。
レースは風吹と椿の一騎討ちとなり、第1コーナーのせめぎ合いでは椿が勝ち、風吹は下位に沈む。リードしていた椿のサニーは風吹の追い上げを意識しすぎて回し過ぎ、エンジンブロー。これで風吹は優勝となった。
なお、風吹サニーのチューナーは「まつおか自動車」、椿サニーのチューナーは「土屋エンジニアリング」であり、ともにマイナーツーリングレースにて活躍していた実在のチューナーである。なお、土屋エンジニアリングは現在もレースに参戦している。
街に突然現れてはスポーツカーをクラッシュに追い込む2台のスーパーカー、フェラーリ512BBとランボルギーニ・カウンタックLP500Sが社会問題となっていた。ローザとドライブを楽しんでいた飛鳥のミウラも2台の襲撃を受け、相手がマシンだけでなく相当なテクニックを持つ男達である事を知る。
谷田部は全国の暴走族トップクラスの走り屋を集めて対策を行う事を発案。そのリーダーに風吹を任命し、ランチア・ストラトスを与えた。ホークス結成にあたり筑波サーキットでレースを行い、風吹は暴走族たちに圧倒的な実力を披露。これで風吹はリーダーとして認められた。
ランボルギーニ・シルエットに乗る椿と、ポルシェ928に乗る京極さくらがサブリーダーとして任命された。さらに風吹の幼馴染であるフェアレディZの長岡五郎も加わった。街で512BBとLP500Sを見つけたホークスは風吹とともに2台を追い詰める。2台の正体は親の愛情に飢えた金持ちの若い兄弟であった。
ツーリングカーレースの最高峰、シルエットフォーミュラのレースが日光市街地特設コースで開催される事になった。上位6名にはヨーロッパでのレース遠征をサポートする事も発表された。
風吹はストラトスをシルエットフォーミュラに大改造しレースに挑む事が決定するが、谷田部からはこれを最後にサポートを打ち切ると宣言される。谷田部が風吹に代わって選んだのは椿だった。早瀬も今回より復帰し、飛鳥は見守り役でなくライバルとして参加する事を宣言。かつてのライバル達も大挙して参加。さらに国内トップレーサーも加わり一大レースとなった。
風吹のストラトスは富士スピードウェイで行われた予選でターボのトラブルにより低迷。早瀬のポルシェ935-77や飛鳥のGCカーのサポートで決勝出場権ぎりぎりの50位で予選を終える。決勝で最後尾スタートとなった風吹は、あらゆるテクニックを駆使して上位へ追い上げる。早瀬はトップグループを走っていたがパンテーラと絡み、そのパンテーラはガードレールを突き破り崖底へ転落。早瀬はスピードに対する恐怖が突然芽生えスローダウンしてしまう。
その後、激しいクラッシュで爆発炎上したカウンタックから運び出され、黒焦げとなったハマの黒ヒョウの遺体を見た早瀬は恐怖により完全にスランプに陥る。もはやアクセルを踏むこともままならなくなり、リタイアしようとする早瀬に風吹は檄を飛ばし、2人はリハビリのように走り始める。
やがて走りの勘を取り戻した早瀬はレース中に完全に立ち直る。そして風吹と早瀬はトップグループに再び加わったものの、風吹のストラトスはダメージを受けトラブルを抱えてしまう。トップで迎えたゴール手前でコースアウトし激しくクラッシュし、リタイアした風吹はヨーロッパ進出の夢を絶たれてしまう。ヨーロッパ行きの切符を手に入れた飛鳥、早瀬たちは風吹を日本に残し世界の舞台へと旅立っていった。
早瀬、飛鳥がヨーロッパでF2を戦う中、日本に取り残された風吹は失意の日々を送っていた。みのりのポルシェを借りた風吹はミキとドライブに出掛け、興味本位で富士サーキットでカートレースを見学する。子どもの乗り物と馬鹿にする風吹に怒った全日本チャンピオンの鈴本は、風吹と10周のレースを行う。久々にレースの楽しさを体で感じ取った風吹は自力でヨーロッパに飛び、レースをする事を誓う。姉のローザは弟の志を喜び、マンションを売り払って2人で渡欧する事を決意した。
風吹はイギリスへ向かう飛行機でモータージャーナリストの大和と出会う。イギリスに着いた風吹は早瀬や飛鳥と久々に再会した。風吹はヨーロッパF2選手権で戦うかつての仲間たちの近況を聞くが、いまだに優勝した仲間がいないことに憤慨する。また、潮来のオックスが再起不能のクラッシュを起こしていたことも知る。
風吹は飛鳥からヨーロッパのレースのレベルの高さを教えられるが、不屈の精神で頂点を目指す事を誓う。そしてペイドライバーとしてF3チームへ。そこには大富豪のレーサー、ジョージ・プライスがいた。ファーストドライバーのプライスに対し、風吹は契約上あらゆる面でプライスを優先するという屈辱的な待遇のもと、セカンドドライバーとして戦うことになる。
思うようにマシンを操ることができない風吹。コースサイドから走りを見ていた大和は風吹にアドバイスをする。そして風吹は大和を「大和先輩」と慕い、F3での走りに開眼する。初参戦のBPF3選手権ブランズハッチ戦ではプライスの圧倒的な速さに苦戦するが、それまでF3全戦優勝を誇っていたプライスはエンジンブローでリタイア。風吹はF3デビューウィンを飾る。
その後F2チーム、マーチのテストドライブの機会を得た風吹はレギュラードライバーに匹敵する実力を披露し、注目を受けることになる。そこで日本人メカニック三次(さんじ)に出会い、以降サポートを受けることになった。マーチのテストドライブで高評価を得た風吹は、現在のマーチF2レギュラードライバー2名に加え、サードカーでの参戦を約束される。しかしマーチからはF3での実戦結果を求められその課題レースはモナコグランプリでの成績。尚、今回のレースからはブランズハッチでの風吹の好成績により、フランスの国営石油メーカー、エルフのスポンサーを獲得した。
各国のF3猛者たちがこぞって参戦するモナコグランプリに風吹はエントリーする。F2参戦中の早瀬もエントリーし、久々に宿敵との戦いとなる。既に強力なライバルとなったジョージ・プライスの他、悪評高い「クレイジー・フランケン」ことフランケン・ホフマン、紅一点のフランス人女性ドライバーの「バラのセシル」ことセシル・ラピエールも新たなライバルとして登場した。
レースはプラクティス、予選レースのクオリファイ、予選レース、決勝という長丁場であり、予選のための予選まであることに風吹は驚く。F1関係者のスカウトの目が光る中、戦いの火蓋は切られた。
午前のプラクティスを終え、休憩中、ホテルのプールでセシルの泳ぐ姿からインスピレーションを受けた風吹は新たなテクニック、「ジャンピング・ターン・フラッシュ」のヒントを得る。偉大なるF1チャンピオン、ジャッキー・スチュワートも完成できなかったといわれるそのテクニックを駆使し、午後の予選レースのクオリファイでは見事ポールポジションを獲得。三次はジャンピング・ターン・フラッシュ向きのセットアップを施すことになった。
しかし予選レースではジャンピング・ターン・フラッシュを重視するあまり、他のセッティングに手が行き届かずマシンは調子を崩し、ポジションを落としていく。決勝進出にぎりぎりの順位で何とかゴールした風吹はライバル達とともに決勝へ進む。
決勝では狭いコース、多数が出走する参加車両に苦戦するものの優勝を目指し快走を重ねる。強引な運転で優勝を狙うプライスはクラッシュ後の不安定な状態の早瀬のマシンをプッシュ。早瀬のマシンは横転し、裏返しになった状態で炎上。風吹はマシンを止め、救出を試みるものの、助け出す事ができず、早瀬は絶命した。怒りに燃える風吹の執念に同調したセシルは周回遅れになりつつも果敢にプライスをブロック。風吹に復讐のチャンスを与えた。
レース終盤、ジャンピング・ターン・フラッシュを武器に風吹は壮絶な戦いを繰り広るが、プライスとのドッグファイトでタイヤを酷使しフロントウィングを失った風吹は、もはや勝利を狙えない状態に陥る。風吹は勝負を諦めることなくプライスのタイヤに執拗にアタック。プライスのエアバルブを飛ばしてスローパンクチャーの状態に陥れ、両者のコンディションはイーブンに。最後に絞り出したジャンピング・ターン・フラッシュを決め、ついにトップチェッカーを受ける。しかし最大のライバルであり親友である早瀬を失ってしまった。
ロータスF1チームのテストドライブの機会を得た風吹は、コーリン・チャップマンからのラブコールを受けるが、あっさり断り、オールジャパン体制の新興F1チーム「神風」で戦うことを明言。「ゼロ戦 007」と名付けられたそのマシンは、サッカー界のスーパースターからの転向という異色の経歴のレーサー、神藤速人が開発を担っていた。
チーム神風は風吹と神藤の2台体制で、1978年F1第7戦スペインGPへスポット参戦することになった。ハラマ・サーキットを舞台として鮮烈なデビューを飾ったチーム神風は好レースを展開、その戦いの最中、F3での雪辱を果たすべくロータス78で参戦していたプライスが風吹と絡み空中へ舞い上がる。ファイアストーン・ブリッジにコックピットから激突。
その後、風吹と神藤は突然のスローダウン。シャーシー剛性不足がトラブルの原因であった。新興チーム特有のマシン熟成不足による悔しいリタイア。この結果はマスコミにも酷評され、チーム神風は1戦限りでF1サーカスから姿を消した。
水面下で熟成を重ねていたチーム神風はマシンを「ゼロ戦009」へ進化させ、満を持して1979年F1第6戦ベルギーGPへスポット参戦。再び風吹、神藤でレースに臨む。戦いの舞台、ゾルダーサーキットには風吹の師匠であり義兄である飛鳥ミノルの姿があった。
飛鳥は、前年にヨーロッパF2選手権でブルーノ・ジャコメリと同ポイントでダブルチャンピオンとなり、ジャコメリはアルファロメオから、飛鳥はポルシェからF1デビューとなった。 ポルシェチームはツーリングカーレースの参戦経験から満を持してターボF1マシンを引っ提げてシーズン途中からの新規参戦であった。マスコミの注目はこのポルシェ一点のみとなり、風吹たちのチーム神風は一切注目されることなくレースは幕を開ける。
予選では風吹と飛鳥の戦いとなり、風吹が僅差でポールポジションを獲得した。決勝日はモナコF3以来、サーキットに足を運んでいなかったミキも訪れた。ミキはこのレースの優勝で風吹との結婚を誓う約束をした。決勝では風吹が少し出遅れるものの、最終的には風吹と飛鳥の一騎討ちとなった。トップ争いを繰り広げる二人。このままどちらが優勝しても日本人ドライバー初優勝となる。
ファイナルラップの最終コーナーまでホイールトゥホイールの戦いを続けた2台は並んだままチェッカーを受けた。運命的な戦いを駆け抜けた2人はウィニングランへ…(作中ではどちらが優勝したのかは触れられていない[9])。
初期の公道レース時代の登場人物の多くが作者にとって身近な自動車趣味仲間がモデルになっており、後半のモータースポーツ編では実在する世界的なレーシングドライバーたちが登場している。その一方、漫画作品では珍しく中堅クラスの登場人物でもフルネームが存在せず、苗字あるいは通称でしか呼ばれない人物も多い。
複数のイベントに参加している登場人物は初登場の項に記す。
その他の登場人物には以下のような人物がいる。
流石島サーキットのツーリングカーレース。出場台数は60台。出場車両はFIAグループ4及びグループ5相当[16]。
ホークス結成の筑波レース。およびホークス活動である走り屋狩り2台(カウンタックLP500Sとフェラーリ512BB)の捕獲作戦。
予選は富士スピードウェイ、決勝は日光市街地コース。出場車両はFIAグループ4(GTカー)、グループ5(シルエットフォーミュラ)、グループ6(プロトタイプ)相当の混走。
当作品で登場する風吹たちの「チーム神風」は架空のチームであるが、マキF1やコジマF1といった日本チームの挑戦をモチーフとしている。また飛鳥のポルシェF1も架空である。その他の車両、ドライバーなどは実在のものがほとんどである。
この節の加筆が望まれています。 |
タイトルが『サーキットの狼2 モデナの剣』に改題された第20巻以降の書誌情報についてはサーキットの狼II モデナの剣#MCCコミックス版を参照。
東映製作・配給により、1977年8月6日公開[21][22][23]。富士フイルムカラー、シネマスコープ、映倫番号:19084。同時上映は『トラック野郎・度胸一番星』。配給収入は10億9000万円。
封切時の文献に、東映がブームにさっそく目を付けて映画化と書かれたものもあるが[24]、企画自体は1976年に挙がり[25][26]、1976年9月頃までは岩城滉一、クールス主演の暴走族映画の流れとして企画され[25]、「トラック野郎シリーズ」の一つ前の4作目『トラック野郎・天下御免』の併映作の予定だった[25]。漫画は四輪の話のため、岩城やクールスの二輪のイメージをどのように取り入れようとしたのかは分からない。
しかし暴走族映画は、夏場はまだしも正月向けでないし[27]、ファンも限られ、意外に製作に金もかかるわりに大してヒットしていない[27]、それなら千葉真一のカラテなどのアクションの方が良いと判断され[27]、千葉主演の『空手一代』(『空手バカ一代』)をギリギリまで予定していたが[28]、結局『トラック野郎・天下御免』の併映枠は『河内のオッサンの唄 よう来たのワレ』になった[28]。
その後、サーキットの狼関連のミニチュアカーが爆発的に売れ[26]、少年たちが外車のディーラーにカメラを持って押し掛けるなどブームが拡大したため[26]、東映としてまんがまつりより少し上の中学、高校生あたりをもう一回掘り起こせないかと企図され[26]、1977年のゴールデンウイーク映画『恐竜・怪鳥の伝説』/『ドカベン』/『池沢さとしと世界のスーパーカー』の興行結果を見て、1977年の夏休み興行『トラック野郎・度胸一番星』と併映が予定され、1977年5月24日に正式決定した[29]。トラック野郎の併映作は次の6作目も『こちら葛飾区亀有公園派出所』と、同じく『週刊少年ジャンプ』作品となったことから、伴ジャクソンは「東映は子供を中心としたファミリー・プログラムにチェンジする思惑があったのでないか」と論じている[23]。また系列の東映アニメーションでも、1970年代後半から、盛んに少年ジャンプ作品をアニメ化し、東映は少年ジャンプの取り込みを図っていた[30]。
山口和彦監督は当時『少年ジャンプ』を愛読[23]。会社からの指示は「とにかくスーパーカーをたくさん出せ!」だけだったという[23]。主人公の風吹裕矢役は、多数の候補者からクールなマスクと運転技術を認められて新人・風吹真矢が抜擢された[22]。ヒロイン早瀬ミキ役にはハワイ日系四世・横本メイが映画初出演[22]。
映連のサイトでは、映画の主役ともいうべきスーパーカー、ロータス・ヨーロッパ、ポルシェ・カレラ、フェアレディZの3台の車を購入したと書かれている[21]。クラシックカー提供としてクレジットされている東映芸能(東映ビデオの前身の一つ)が、撮影用にクラッシュさせるつもりで買ったものと見られる。
風吹裕矢がスタンドでアイスクリームを売るシーンが挟まれるが、画面にサーキットが映らないため、どこかの競技場かでの別撮りと見られる[独自研究?]。当時のF1マシンの他、人気を博したスーパーカーが大量に登場する他[23][31]、マリオ・アンドレッティやニキ・ラウダ、星野一義、中島悟、高橋国光、長谷見昌弘といった有名レーサーもチラッと出演する貴重映像がある[独自研究?]。冒頭で風吹の駆るロータス・ヨーロッパのリアウイングの一部らしき部品が落下するが気にせず撮影を続行[23]。街道レースのシーンでは、ゲリラ撮影と見られる首都高速でのスピンや、車間距離をほとんど取らずにレースシーンを撮影したりし、迫力がある[独自研究?]。反対に主演キャストもかなり弱く、スーパーカーをスターとして扱う[31]。役者が芝居をする劇映画部分は、ツッコミどころ満載の珍品映画となっている。製作協力としてクレジットされるロッテの唐突なクールミントガム押し、原作イメージとはかけ離れた早瀬ミキ役の棒読み演技や、のどかな時代ともいえるが、二週間も無断欠勤して、何事もなかったかのように仕事をしているのも凄いし、頭金だけしかディーラーにお金を払っていないロータス・ヨーロッパをボコボコにした後、頭金を返してもらったり、早瀬佐近率いる暴走族「ナチス軍」の描写は今日では不可能。早瀬佐近を演じる佐藤仁哉は当時で20代半ばのようだが、老けて見え、取り巻きも30~40代のようにしか見えず。風吹裕矢は20歳前後の設定でライバルには年が多すぎるように見える。職場の同僚でもある早瀬ミキと早瀬佐近は、同じ苗字なのに最後の方まで兄弟と気付かなかったり、風吹の母親は街道レーサーにひき逃げされて死んだという設定だが、風吹も同様に街道レーサーで、公道をぶっ飛ばす。いつ自分が加害者側になるかも知れないのに街道レースを続けるものなのかという疑問。クライマックスは、優勝賞金200万円の鈴鹿オールスターレースという設定で、ミキからロータス・ヨーロッパにターボキットの取り付けをアドバイスされ、連日徹夜でギリギリ取り付けが間に合い、最悪のコンディションでレースに参加。東京から約400キロある鈴鹿サーキットまでどのように車を運んだかは描写されない。ターボを取り付けたとはいっても、1600㏄にターボを付けたところで、鈴鹿の周回コースだけでは、イタリアのスーパーカーに勝てる見込みはないため、周回コースに山岳コースをプラスして、コーナリングを得意とするロータス・ヨーロッパが勝つチャンスを与える都合のいい設定。山岳コースでライバルがスピンし、これに足止めを食い、夕刻サーキットに戻った時には、観客席には誰一人いないのに、そこにミキが待っていて「優勝おめでとう」と言う。優勝者を置いて観客が全員帰る訳はなく、皮肉なのだろうか、等。[独自研究?]劇中、風吹裕矢の運転免許証が映るシーンがあり、地番は架空ながら、本籍地は茨城県龍ケ崎市、現住所は世田谷区経堂と書かれている。
伴ジャクソンは、岡田茂東映社長が『新仁義なき戦い 組長の首』と『バニシングin60″』をミックスして短期間作らせた「東映マシン路線」の[31][32][33]、掉尾を飾る映画と評価している[31]。
1992年に、「ACT1」「ACT2」の2本立てで公開された。
MONDO21にて、池沢さとしが出演する実写版のクルマ番組『蘇れ!サーキットの狼』が2006年6月より放映中。
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