Loading AI tools
ドイツのH&K社が1996年より製造し、同年にドイツ連合軍に採用されたアサルトライフル ウィキペディアから
H&K G36は、ドイツのH&K社が製造したアサルトライフルである。1996年にドイツ連邦軍に採用された。社内での名称はHK50。
H&K G36 | |
H&K G36 | |
---|---|
種類 | 軍用小銃 |
製造国 | ドイツ |
設計・製造 |
|
年代 | 1990年 - |
仕様 | |
種別 | アサルトライフル |
口径 | 5.56 mm |
銃身長 |
|
ライフリング | 6条右転、1:7インチ |
使用弾薬 | 5.56x45mm NATO弾 |
装弾数 | 30発(箱型弾倉) |
作動方式 | ガス圧利用(ショートストロークピストン式)、ロータリーボルト |
全長 |
|
重量 |
|
発射速度 | 750発/分 |
銃口初速 |
|
有効射程 |
|
歴史 | |
設計年 | 1990 - 1995年 |
製造期間 | 1996年 - |
配備期間 | 1997年 - |
配備先 | 他 |
関連戦争・紛争 |
1970年代、ドイツ連邦軍はH&K G3の後継に関する要求[注釈 1]を出し、H&K社は独創的な機構を組み込んだH&K G11の開発に着手する。しかし開発に難航し、採用こそされていたものの1990年のドイツ再統一に伴う予算の削減もあり本格的な生産・配備はされず、1990年代初頭に至るまでドイツ連邦軍は依然としてG3を主力として配備していた。この間、各国の小銃は7.62x51mm NATO弾から5.56x45mm NATO弾に既に移行していたため、それに合わせた新型アサルトライフルの調達が急務となった[1][2]。ドイツ再統一に伴い大量に獲得した国家人民軍のAK-74を採用する案もあったものの、1993年には新型ライフルの開発要求が出された[2]。H&K社はG11の失敗を踏まえ、オーソドックスな技術を用いて[3]、G3を元に試作したライフル、HK36をベースにプロトタイプとなるHK50を設計した。これが、ドイツ連邦軍のトライアルにてステアーAUGを下し採用され、G36という制式名を与えられた。
作動方式はショートストロークピストン式を採用している。コッキングハンドルはボルトと一体化しており、射撃にともなってボルトとともに前後移動する。このコッキングハンドルは折り畳み式で射撃時には前方を向いているが、ボルトを手動で操作する際には左右どちらへも振り出せる[4]。ポリアミドにカーボンファイバーを混入した繊維強化プラスチック (CFRP) が多用されており、ストック、グリップ、ハンドガードだけでなく、レシーバーやハンマー・シアーなどの機関部にも採用されている[2][4]。ストックは折り畳み式が標準となっている。また、弾倉にもプラスチックが採用されており残弾数が確認できるよう半透明となっている[4]。加えて弾倉には側面に突起がありこれを弾倉同士で連結することでジャングルスタイルを行うことが可能となっている[4]。弾倉の挿入口はピンを抜くだけで簡単に交換が可能で、交換すればM16用のSTANAGマガジンも使用できる[2]。排莢口の後ろには突起が設けられ、排出された空薬莢を前方へ反射させるほか、折り畳んだストックを支える役割も果たす。ホールドオープン機能とそのためのボタンはトリガーガード内に搭載されているが、このボタンにボルトリリース機能は無く再装填後はコッキングハンドルを引く必要がある。このため、サードパーティが後付けで改修を行う事でリリースボタンを取り付けている場合がある。着剣機構を備えており、国家人民軍のAK-74用の銃剣の装着が可能な設計となっているが[2]、ドイツ連邦軍では銃剣が採用されていないため、着剣された状態のG36を所持しているドイツ連邦軍兵士を見ることはない。G36を主力小銃として運用している他の国であれば、着剣は行われている。
外見、構造共に従来のH&K G3とは大きく異なることから、ドイツ連邦軍の兵士からはプラスチック・バンバン (Plastik-Peng-Peng)、デザイナー鉄砲 (Designerflinte)、レゴライフル (Legogewehr) といったあだ名が寄せられている。
照準器はキャリングハンドルと一体化した3倍スコープおよびスコープ上部の等倍ドットサイトが標準となっているが、ドットサイトは、寒冷地や高湿度下では曇って不評であったため、G36A2およびG36KA2ではピカティニー・レールに置き換えられ、そこにカール・ツァイス社製ダットサイトなどを載せるように変更されている。
旧型の輸出用モデルであるG36E/G36KEではスコープのみで、ダットサイトやピカティニー・レールは付属しない。キャリングハンドル上辺の簡易的なアイアンサイトは輸出用モデルでのみ使用可能であり、ドイツ連邦軍モデルではダットサイトまたはピカティニー・レールに阻まれ使用できない[注釈 2]。
キャリングハンドル上部に装着できるヘンゾルト製NSA 80 第3世代暗視装置が用意されており、標準のスコープに暗視能力を付与できる[4]。
G36C(および一部のG36K)は、標準では光学照準器を装備しない代わりにピカティニー・レールとアイアンサイトを装備し、別途光学照準器を装着する[5]。
H&K社は、土に埋めたG36を掘り出し、軽く土を払った程度で射撃を行うといったデモンストレーションを行うなど、過酷な条件下での作動の確実性をアピールしている。また、10分以内であれば水中につけても射撃に支障は無いとされる。
一方、実戦配備の過程でアフガニスタンに派遣されたドイツ兵から、銃身の温度が上昇すると命中精度が落ちるとの苦情が出された。後にドイツ連邦軍技術研究所が「命中精度の下落は連続射撃による銃身の加熱が原因」つまり自動小銃本体側に問題があると結論を出していたことなどが後にシュピーゲル紙の報道などにより判明し[6]、ドイツ国防省は2014年6月にG36の発注を停止する措置を行った[7]。2015年3月30日、ドイツ国防省のテストの結果、G36は気温が高い地域で使用したり、同じ方向から直射日光を受け続けたり、連続射撃により銃身が熱くなったりすると、命中精度が下がるという欠陥があるとされた。また、特定のメーカーが製造した弾薬を使用すると、銃の蓄熱が激しく、命中精度が低下するとの説もある。原因として、軽量化のためにプラスチックを多用したことが影響しているとされる(そのプラスチック製部品が予想を超える速さで経年劣化しているという説もある)。プラスチック製の上部レシーバーに銃身が直接結合される構造となっているが、上部レシーバー部が熱で変形し着弾がばらつくこととなったと見られる[8]。この結果を受け、ドイツ連邦軍はG36の使用を制限し、後継銃としてH&K HK416A8を採用した[9]。
なお、メーカー (H&K) 側は軍のテスト結果を否定している[10]。 2016年6月3日H&K社はG36に関して、「欠陥は存在しない」という旨を改めて確認する訴訟を、軍の兵站局があるコブレンツの裁判所に提起した[11]。2016年9月2日に判決が下りH&Kが勝訴した。国防省は同日付で、判決に不服として控訴するとしている[12]。
2021年5月、Steyr Arms社はG36のアップグレードキットを発表した。問題の発見された上部レシーバーを金属製レシーバーに交換するものであり、オプションとして銃身、マガジンウェル(STANAGマガジンを使用可能とする)の交換も用意されており、既存のG36の他部位のパーツと組み合わせて組み上げ直すことが可能である[14]。G36はドイツだけでなく多くのNATO諸国、NATO非加盟国も使用しており、軍事予算が限られた国にとって小銃を新規に調達し直すよりも少ない予算で欠陥を克服でき、その需要に向けて開発された[8]。ドイツメディアでは、新型小銃に係る法的係争手続を待ちつつ、低コストでG36の延命を図ることができる可能性があると報じられている[15]。
現在、ドイツだけでなくヨーロッパの軍隊や法執行機関、アメリカのSWATなどで採用が進んでいる。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.