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『髑髏城の七人』(どくろじょうのしちにん)は、劇団☆新感線における「いのうえ歌舞伎」と呼ばれる演目シリーズの1つであり、劇団の代表作。英題は“SEVEN SOULS IN THE SKULL CASTLE”。中島かずき作。演出はいのうえひでのり。
初演は東京国際演劇祭'90に参加した1990年11月16日の池袋西口公園テント[1]を皮切りに、近鉄劇場、シアターアプルで全14ステージ上演された。主演は古田新太で、主人公の捨之介と敵役の天魔王を「一人二役」で演じた。以来、7年ごとに設定や演出、アプローチを多種多様に変えて上演されている。
初演から評判は良かったものの、作者の中島かずきも演出のいのうえひでのりも出来栄えに納得していなかった[2]。そこで、1997年の再演ではリベンジとしてストーリーや演出を大幅に手直し。殺陣においても、前年の『野獣郎見参』からアクションクラブが参加したことでスキルがあがり[3]、その結果、いのうえ歌舞伎の最高傑作ともいわれるほどにグレードアップした。
2004年には“ドクロイヤー”と称し、ストレートプレイを強調した『髑髏城の七人〜アカドクロ』(主演:古田新太)と、歌や踊りのエンターテインメント性を強調したInouekabuki Shochiku-mix『髑髏城の七人〜アオドクロ』(主演:市川染五郎)をそれぞれ上演。同じ年の春秋にキャストを変え、演出を変えて連続上演するという趣向で話題となる。
これ以降「髑髏城の七人は7年ごとに再演される」という冗談が現実のものとなっていき、2011年には小栗旬主演で新世代の若いキャストを迎えた新たな『髑髏城の七人』(通称:ワカドクロ)が上演された。全く新しい着想を得て設定もストーリーも大胆に変更され、一人二役が定番だった捨之介と天魔王もそれぞれ別の役者が演じた。
2017年には<ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』 Produced by TBS>として、IHIステージアラウンド東京のこけら落とし公演を行った。2018年までのロングラン公演となり、「花」「鳥」「風」「月」の4シーズンに分け、シーズンごとに異なるキャストと脚本・演出によって上演[4]。 さらに、“花・鳥・風・月”の後に2018年3月下旬より新作として『修羅天魔~髑髏城の七人Season極(ゴク)』が上演された[5]。主要キャラクターである捨之介と蘭兵衛が登場しない新たな「髑髏城の七人」として描かれ、主演に天海祐希を迎え、古田新太が2004年の再演以来14年ぶりに天魔王を演じた。
天正18年、本能寺の変で織田信長が明智光秀に討ち取られてより8年が経過した時代。
天下統一を目前とした豊臣秀吉の支配がいまだ届いていない関東は、天魔王と呼ばれる仮面の男が率いる「関東髑髏党」に支配されていた。
なりゆき上、関東髑髏党に追われていた少女、沙霧を助けた捨之介は、偶然知り合った狸穴二郎衛門とともに、旧知の無界屋蘭兵衛を頼って色街「無界の里」へと向かう。
しかし、無界の里で沙霧を匿ってもらおうと思っていた矢先、里は髑髏党の襲撃を受けてしまう。天魔王と戦うことを決意する捨之介たち。
果たして捨之介や天魔王と蘭兵衛の因縁とは──?
詳細履歴及びキャストは下記にあり。またクレジット順はバージョンにより毎回異なる。
1990年初演 / 1997年再演 / アカドクロ・アオドクロ(2004年) / 2011年版(ワカドクロ) / 2017-2018年版 Season花・Season鳥・Season風・Season月・修羅天魔~Season極
公演年 | 捨之介 | 天魔王 | 沙霧 | 無界屋蘭兵衛 | 極楽太夫 | 兵庫 | 渡京/三五 | 礒平 | 贋鉄斎 | 狸穴二郎衛門 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1990年 初演 |
古田新太 | 高田聖子 | 鳳ルミ | 羽野アキ | 橋本じゅん | 粟根まこと(渡京) | ― | 逆木圭一郎 | 竹田団吾 | |
1997年 再演 |
古田新太 | 芳本美代子 | 粟根まこと | 高田聖子 | 橋本じゅん | 河野まさと(三五) | 礒野慎吾 | 逆木圭一郎 | こぐれ修 | |
2004年 アカドクロ |
古田新太 | 佐藤仁美 | 水野美紀 | 坂井真紀 | 橋本じゅん | 河野まさと(三五) | 礒野慎吾 | 梶原善 | 佐藤正宏 | |
2004年 アオドクロ |
市川染五郎 | 鈴木杏 | 池内博之 | 高田聖子 | 佐藤アツヒロ (忠馬) |
粟根まこと(渡京) | 村木仁(仁平) | 逆木圭一郎/カンテツ:三宅弘城 | ラサール石井 | |
2011年 ワカドクロ |
小栗旬 | 森山未來 | 仲里依紗 | 早乙女太一 | 小池栄子 | 勝地涼 | 河野まさと(三五) | 礒野慎吾 | 高田聖子 | 千葉哲也 |
2017年 season花 |
小栗旬 | 成河 | 清野菜名 | 山本耕史 | りょう | 青木崇高 | 河野まさと(三五) | 礒野慎吾 | 古田新太 | 近藤芳正 |
2017年 season鳥 |
阿部サダヲ | 森山未來 | 清水葉月 | 早乙女太一 | 松雪泰子 | 福田転球 | 粟根まこと(渡京) | 少路勇介(少吉) | 池田成志 | 梶原善 |
2017年 season風 |
松山ケンイチ | 岸井ゆきの | 向井理 | 田中麗奈 | 山内圭哉 | 河野まさと(三五) | 礒野慎吾 | 橋本じゅん | 生瀬勝久 | |
2017-18年 season月[6] 上段:上弦の月 |
福士蒼汰 | 早乙女太一 | 平間壮一(霧丸) | 三浦翔平 | 高田聖子 | 須賀健太 | 粟根まこと(渡京) | 村木仁(じん平) | 市川しんぺー | 渡辺いっけい |
宮野真守 | 鈴木拡樹 | 松岡広大(霧丸) | 廣瀬智紀 | 羽野晶紀 | 木村了 | 伊達暁(渡京) | インディ高橋(いん平) | 中村まこと | 千葉哲也 | |
いのうえ歌舞伎 巻之四『髑髏城の七人』
出演
1997年劇団☆新感線秋公演 いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人』
出演
いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人〜アカドクロ』
出演
Inouekabuki Shochiku-mix『髑髏城の七人〜アオドクロ』
出演
劇団☆新感線2011夏興行 いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人』
新たな着想と若いキャストをむかえ、そして捨之介と天魔王の一人二役が、それぞれ独立した役として描かれるという大きな変化を経てストレートプレイとして上演された。よって話の展開、登場人物の性格も大幅に変更されている。通称『ワカドクロ』。
出演
2017年3月30日から6月12日まで、IHIステージアラウンド東京で上演[10][4]。全85ステージ。通称「花ドクロ」。
出演
2017年6月27日から9月1日まで、IHIステージアラウンド東京で上演[11][12]。全75ステージ。通称「鳥ドクロ」。
出演
2017年9月15日から11月3日まで、IHIステージアラウンド東京で上演[13]。全56ステージ。通称「風ドクロ」。
花鳥風月のシリーズの中で唯一、捨之介と天魔王の一人二役バージョンとなり[14]、この設定の復活は2004年のアオドクロ以来となる。
出演
2017年11月23日から2018年2月21日まで、IHIステージアラウンド東京で上演[15][6]。通称「月ドクロ」。
キャストの年齢を更に若返らせ、異なるキャストで構成される「上弦の月」「下弦の月」の2チームが交互に各64ステージ計128ステージの上演を行なう。また、沙霧が改変され霧丸として男優が演じる。
出演 上弦の月 / 下弦の月
2018年3月17日から5月31日まで、IHIステージアラウンド東京で上演[16]。全76ステージ。
「修羅天魔」と題され、「髑髏城の七人」でありながら捨之介も蘭兵衛も出てこない完全新作となる。主演に天海祐希を迎え、極楽太夫の設定やストーリーを一新し、古田新太演じる天魔王と愛憎劇を繰り広げる[注 1]。
出演
1997年版の戯曲は、ENBU研究所のヨムゲキ現代戯曲シリーズとして刊行されている。2004年のアカドクロ・アオドクロ以降は上演ごとに 論創社より「K.Nakashima Selection」として刊行されている。
舞台映像を再編集し、映画館で上映するゲキ×シネという企画で、2004年秋にアカドクロ版、2005年春にアオドクロ版を上映。丸の内TOEIを皮切りに、全国主要都市の映画館で上映された。
2013年には、2011年版ワカドクロを新宿バルト9他、ゲキ×シネ史上最多となる全国63劇場で上映。なお、ワカドクロは2013年12月6日から8日にかけてアメリカ合衆国・ロサンゼルスで開催されたLA EigaFest 2013を皮切りに海外でも上映され、2014年ダラス・アジアン映画祭では「観客賞」を受賞している。
2019年には、2017年から2018年にIHIステージアラウンド東京で上演した作品が相次いでゲキ×シネ公開された。『髑髏城の七人~Season風』がシッチェス国際映画祭「Noves Visions コンペティション部門」に[22]、『髑髏城の七人~Season月《下弦の月》』が「上海国際映画祭2019」International Panorama部門に[23]、『修羅天魔 髑髏城の七人~Season極』が「2019 シッチェス国際映画祭」Noves Visions コンペ部門に[24]それぞれ選出されている。
ゲキ×シネ ラインナップ
アカドクロとアオドクロが上演された2004年に、作者である中島かずき自らの手によって小説化され、マガジンハウスから出版された。2008年には講談社より文庫化、さらに2017年にIHIステージアラウンド東京での上演に合わせて講談社から再度文庫化された。
単行本のあとがきによれば、「芝居には芝居の、小説には小説の良さがある」として、芝居では不可能なシーンを書きたいという思いが小説に取り組んだ動機だという。物語の大筋は2004年までに上演したパターンを踏襲しているが、登場人物の背景がより詳細に描かれ、物語の結末は舞台版とは大きく異なる[25]。
また小説版刊行後に上演した2011年のワカドクロや2017年の花鳥風月には、小説版の設定が随所に見受けられる。講談社文庫版のあとがきによれば、ワカドクロ以降、脚本を書き直す際には、「この小説が自分の中で大きな幹として在る」といい、「この小説が原作なのだと今ならはっきり言える」と語っている。
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