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武蔵村山市内循環バス(むさしむらやましないじゅんかんバス)は、東京都武蔵村山市が運行するコミュニティバスである。愛称は「MMシャトル」(えむえむシャトル)[1]。
1980年(昭和55年)7月1日[2]に運行開始した、全国で運行されるようになったコミュニティバスの先駆けとされる[3][4]。現在は「上北台ルート」「玉川上水ルート」の2ルートが運行され、どちらも立川市や東大和市内へ乗り入れている[1]。
東京都武蔵村山市は市内を走る青梅街道を中心に西武バス、立川バス、都営バスが路線を有しているが、東京都の市制都市としては唯一、市内に鉄道駅が存在しない。まだ「コミュニティバス」という言葉も無かった1980年代に、これらの一般路線バスが乗り入れ困難な狭隘道路を中心とした交通空白地域の解消や公共施設への連絡手段として、一般路線バスでカバーしきれない市民の足を確保するため、市内循環バスとして運行が開始された。1980年(昭和55年)7月1日[2]に運行が開始され、当初より立川バスに運行を委託している。多摩地域初のコミュニティバスとなり[5]、同時に東京都内初の自治体運営バスとなった。その後、1986年(昭和61年)6月20日には日野市ミニバスが開業し、1995年(平成7年)11月26日に武蔵野市のムーバスが開業したことから、コミュニティバスの先駆的な存在である[3][4][5]。前述のように武蔵村山市内には鉄道駅が存在しないため、玉川上水駅(立川市・東大和市)、上北台駅(東大和市)に乗り入れる[5]。
運行開始時は上水営業所が担当していたが[6]、瑞穂営業所に移管され[4]、2018年(平成30年)の福生営業所開設に伴い再移管された[1]。
1980年(昭和55年)7月1日の運行開始に合わせて、武蔵村山市が購入したマイクロバス(いすゞ・ジャーニーL(K-BE22))3台を立川バス上水営業所へ委託して運行を開始した[6]。これが武蔵村山市内循環バスの初代車両とされ、塗装は現在でも見られる立川バスの標準色だった[3]。当時としては珍しい冷房車としての導入で、この頃から時代に先駆けた武蔵村山市の取り組みがうかがえる。この初代車両は1990年(平成2年)に老朽化から除籍され、立川バス標準色の日野・レインボーRB(U-RB)が導入された。
当時の運行体系としては西武拝島線玉川上水駅を起点に「内回り」「外回り」の循環経路で運行しており、市内の路線バスと同様に多区間運賃が採用されていた。武蔵村山市内には2023年(令和5年)現在でも市内に鉄道駅が存在しないため、必然と路線バスの利用者が増えていき、これも市内循環バスを早期に運行することへ繋がった一因である。全国各地で運行されているコミュニティバスのパイオニアとされ、1986年(昭和61年)6月に運行を開始した日野市ミニバスよりも6年早い運行開始となり、東京都内の自治体による初のバス運行、並びに多摩地域初の自治体運行によるバスとして当時は大変注目された。
最初の転機となったのは1999年(平成11年)10月1日の多摩都市モノレール開業時による再編である。
この時に路線の愛称として「MM(Musashi Murayama)シャトル」が与えられ、車両も当時の最新鋭で、全国各地で導入が進められていた日野・リエッセ(リフト無し)に新調された。この日野・リエッセの塗装に関しても、多摩都市モノレールの開業に合わせた新時代を反映させるものとして、立川バスの標準色から多摩都市モノレールの車両に似たデザインの、銀色の車体にオレンジ色のデザインが入った現行色へ変更された。路線についても手が加えられ、玉川上水駅の他に武蔵砂川駅や、開業直後の上北台駅を発着する路線が新設された。2000年代に入って周辺道路の整備や一般路線の再編も行われる中、MMシャトルについては開業当初より担当している上水営業所から瑞穂営業所へ移管されたが、これは2000年(平成12年)9月30日をもって国立営業所(現:国立操車場)の廃止による大規模な路線再編が行われ、国立の担当路線を上水と拝島で担うことと、「シティバス立川」を設置して路線を分担させたことによる玉突きでの移管である[注釈 1]。ちなみに2024年(令和6年)現在でも、MMシャトルの一部便は上水営業所で休憩を取る。
2002年(平成14年)4月27日には市営温泉施設「村山温泉かたくりの湯」が落成し、日産自動車村山工場の跡地再開発によって2006年(平成18年)11月18日に「ダイヤモンドシティ・ミュー(現:イオンモールむさし村山)」が開業した[8]。これによってそれぞれの施設へ乗り入れる経路変更が行われた。
2007年(平成19年)9月14日より、バスの位置情報を携帯電話やインターネットで確認できるバスロケーションシステム「武蔵村山市内循環バスナビシステム」[9]を導入している。
「MMシャトル」はさらなる運行の効率化を図るため、2009年(平成21年)2月1日のダイヤ改正で大幅な経路変更および時刻修正を行った[10]。また、経路が重複する「武蔵村山市役所前」「イオンモール」の2ヶ所で“乗継チケット”の発行を開始し、現金での支払いに限って運賃が100円引きとされた[10]。
この運賃に関する取り組みはさらに続き、2011年(平成23年)5月1日から2012年(平成24年)3月31日までの予定で[11][12]、多区間運賃から「100円均一運賃」とするワンコイン運賃の試行を実施した[11][12]。ワンコイン運賃の試行期間内の変更点を以下にまとめたが、同時に経路変更とダイヤ改正も行われた[11]。
この「MMシャトル」のワンコイン運賃試行期間中は武蔵村山市の広報誌などで積極的に周知し、さらなる利用を呼び掛けた[13][14]。その結果、利用者は増えたものの値下げにより運賃収入は減少することとなった[13]。2010年度(平成22年度)に比べ、輸送人員は12%増加したものの、運賃収入は23%の減収となった(5月~9月の比較)[13]。なお、運行経費の赤字分については年間8500万円程度に立川バスへ補助金を出していたが、2010年度(平成22年度)の実績では運賃収入が約3000万円に対して運行経費は1億5000万円以上にのぼり[13]、補助限度額を超えた赤字分は立川バス側が「持ち出し」で負担する形となっている[2]。2011年(平成23年)に立川バスは「バスラマ・インターナショナル」の取材に対し、立川バスが運行受託するコミュニティバスについては多摩地域の5市(立川市・昭島市・武蔵村山市など)全てで赤字だとした上で、自治体によっては財政難から赤字分が全額補填されないため、コミュニティバスのあり方について存廃も含め考え直す必要があるとして、自治体とも話し合いを進めていると語った[2]。
2012年(平成24年)3月15日には、ワンコイン運賃試行期間の延長を発表した[15]。運行内容の変更が正式に決定・施行されるまで試行運行を継続する予定とし[15]、2013年(平成25年)4月1日の再編時までワンコイン運賃での運行が継続された[16]。
利用促進を広報した前年11月以降は、輸送人員は前年度比17%増(東京都シルバーパス利用者を除く)[15]、運賃収入は前年度比21%減となった[15]。同年8月1日に「市内循環バス(MMシャトル)運行方法の変更案について」を発表[17]。変更案の概要は以下の通りとされた。
そして2013年(平成25年)4月1日、前述の変更案を受けて大規模な経路変更・ダイヤ改正を実施した[16][18]。
2018年(平成30年)7月1日に福生営業所が開設され、瑞穂営業所と拝島営業所が統合されたことに伴い、「MMシャトル」も福生営業所へ移管された[22]。なお、福生営業所の開設により立川バスの一般路線バスではダイヤ改正や経路変更が発生したが、この移管による市内循環バスの時刻・経路の変更はない[22]。
2019年(平成31年)1月1日からバスロケーションシステムをリニューアル[23]。有限会社エイ・ケイ・システム(埼玉県熊谷市)のシステム「バスロケーションシステム BusGO!」[24]による「市内循環バスロケーションシステム」[25]が稼働開始した[23]。なお同社のバスロケーションシステムは、同じく立川バスが運行受託する国分寺市のぶんバスをはじめ、各地のコミュニティバスで使用されている[24]
2019年2月18日から同年9月30日まで、武蔵砂川駅では駅前広場の整備工事に伴い、停留所を暫定的に同駅の西側へ約50m離れた場所に移設していたが[26][27][注釈 3]、駅前ロータリーの完成に伴い、同年10月1日から駅改札前の停留所を使用開始、市内循環バスが駅前ロータリー内を経由するようになった[26][29]。また、2019年(令和元年)10月1日の消費税率引き上げに伴い運賃制度を改定[30]。同年10月1日よりPASMO・Suicaでのバス利用特典サービスの適用を開始した[30]。2011年5月1日のワンコイン運賃試行時に廃止したものを再開した形となる。また同年9月30日をもって専用回数券の販売を終了した[30]。詳細は「#運賃」を参照。
2022年(令和4年)4月1日に「上北台ルート」「玉川上水ルート」でダイヤ改正が行われ、同時に利用者減少を理由として「武蔵砂川ルート」「西ルート」を廃止した。これにより市内の残堀地区などの南西部と武蔵砂川駅、および立川市内へのMMシャトルの乗り入れが無くなったが、その代替として西ルート周辺のエリアを中心に乗合タクシー「むらタク」の利用登録可能エリアを拡大し、乗降場所に新たに武蔵砂川駅などの3ヶ所が設定された[31]。
前述のとおり、武蔵村山市内には鉄道駅がないため、近隣を運行する西武拝島線および多摩都市モノレールの駅に乗り入れる。そのため乗り入れ先の鉄道駅には、それぞれの駅が所在する市の運行するコミュニティバスも乗り入れている。
市内循環バスの運行開始時から起終点となっていた玉川上水駅は、武蔵村山市の南東側、立川市・東大和市との市境付近にあり、駅所在地は西武拝島線が立川市、多摩都市モノレールが東大和市となっている。そのため、武蔵村山市内循環バス、立川市のくるりんバス(立川バス上水営業所が運行受託)、東大和市のちょこバス(西武バス小平営業所が運行受託)と、3市のコミュニティバスが乗り入れる。2015年2月23日にはちょこバスの新路線が玉川上水駅へ乗り入れを開始し、バスロータリーではMMシャトルとちょこバスが同じ位置に停車する[26]。
西武拝島線武蔵砂川駅は、武蔵村山市の南側の立川市内にあり、MMシャトルとくるりんバスが乗り入れる。2019年10月1日に駅前ロータリーが完成したが、MMシャトルとくるりんバスの停留所は別の場所に設置されている。
多摩都市モノレール開業で新設された上北台駅は、東大和市(武蔵村山市との市境付近)にあり、ちょこバスも2003年2月1日の運行開始より乗り入れている。なお武蔵村山市では、多摩都市モノレールの上北台 - 箱根ヶ崎の区間の延伸運動を続けている[32]。
2024年(令和6年)4月1日現在の現行運賃は以下の通りである[30]。詳細は武蔵村山市公式サイト「市内循環バス(MMシャトル)運賃・割引制度等のご案内」を参照。
東京都シルバーパスが利用可能だが、MMシャトル用の定期券は設定されていない。紙式(スクラッチ式)によるMMシャトル専用の一日乗車券「MMワンデーフリーパス」は金額に変更無く500円で、「玉川上水ルート」「上北台ルート」共通で利用が可能である[34]。なお、以前発売していたMMシャトル専用の「回数券」は販売終了となっている。2024年(令和6年)4月1日より設定され、立川バスの現行初乗り運賃と同額になった。
2024年(令和6年)3月31日までは以下の通り。
立川バスの初乗り運賃が210円に改定後も、上記の日時までは変更されなかった。
2019年(令和元年)10月1日の消費税率引き上げにより、運賃制度が改定されている[30]。同年9月30日までの運賃制度は以下の通り。
回数券は現金で差額を支払うことで引き続き利用可能で、払い戻しも受け付けるが手数料が210円かかる。回数券はMMシャトルの車内および立川バス瑞穂営業所・上水営業所で販売していたが、立川バスの一般路線では使用できない。
2022年(令和4年)4月1日のダイヤ改正[35]で設定された現行のルートである。なお、「上北台ルート」「玉川上水ルート」のどちらも日中ルート・通勤ルートが設定されており、通勤ルートは一部停留所を経由しない短縮経路で運行される。通勤ルートは土曜・休日の早朝および夜間も運行されるが、玉川上水ルートの武蔵村山市役所方向は夜間の運行に限定されている。
多摩都市モノレール上北台駅から青梅街道を西進する路線で、日中ルートは上北台駅 - 総合体育館間の折返し運行だが、通勤ルートは循環路線であるために乗り通すことが可能である。ただし、早朝および夜間に運行される通勤ルートの一部便は三ツ木地区会館終着および富士見通り始発で運行され、この2つは乗り通すことが出来ないほか、往復とも村山温泉かたくりの湯を経由しない。村山温泉かたくりの湯については、日中ルートは全便経由するが通勤ルートは夕方以降の上北台駅方向のみ経由する。
西武拝島線玉川上水駅から大南地区の狭隘道路を経由する路線で、玉川上水駅 - 大南二丁目間はどちらも同一経路である。通勤ルートはそのまま一直線に北上して青梅街道を西進する短絡経路で、村山団地・村山医療センター・イオンモールは経由しない。日中ルートと比べて非常に距離が短い速達性のある路線で、片道を約30分程度で結ぶが土曜・休日の早朝は武蔵村山市役所方向の設定が無い。
停留所名称については運行当時のままとする。
速達性重視の観点から、朝の武蔵砂川駅方向はイオンモールを通過していた。
現在の玉川上水(日中)ルートと上北台ルートを合わせた路線だったが、利用者が定着せず廃止された。
現行の上北台ルートの原型となった路線で、1999年の多摩都市モノレール開業時の再編まで運行していた。
朝夕の一部便は村山団地および武蔵村山病院を経由しない短縮ルートで運行していた。現行の玉川上水ルートの原型となった路線である。
西武拝島線武蔵砂川駅とイオンモールを結ぶ往復経路だが、途中停留所が21ヶ所ずつあるため、所要時間は約60分ほどだった。のちに廃止される「武蔵砂川ルート」の原型となった路線である。
武蔵村山市内循環バス(MMシャトル)が開業した1980年(昭和55年)7月1日から、多摩都市モノレール上北台 - 立川北間の先行開業を受け、1999年(平成11年)10月1日のダイヤ改正まで運行されていた経路は以下の通りである。立川バス上水営業所が担当しており、内回り・外回りの双方向循環として運行していた。
経路は上記のみで、公民館前以遠はラケット状の循環運行だった。上水営業所を起点とする便は往路で玉川上水駅を経由しないが、終点は全便が玉川上水駅で、玉川上水駅到着後はそのまま折り返すか、上水営業所へ回送される。各区間ともに、のちに路線名称が付与された際や現行路線で運行を継続している個所がある。
2015年10月28日の時点では、リエッセ4台、エアロミディME4台、ポンチョ3台、3種11台が運行されていた[36]。
2017年3月31日までは、日野ポンチョの回転半径が大きく、三ツ藤中央通り左折時に対向車線の停止線を越えるため、武蔵砂川ルート・西ルートの運用に入らなかった[36]。
2017年4月1日より、新型車両(ポンチョ)2台更新により、運行継続に必要な旧型車両が不足するが、ルートは変更せず当該交差点にカーブミラーを設置した上で、ポンチョで運行を継続することとなった[37]。
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