東京湾岸警察署
東京都江東区にある警察署 ウィキペディアから
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東京湾岸警察署(とうきょうわんがんけいさつしょ、Tokyo Wangan Police Station)は、東京都江東区青海(臨海副都心)にある警視庁の警察署。第一方面本部所属[1][注 1]。前身は東京水上警察署。識別章所属表示はMQ。
東京23区内の警察署としては最も広い管轄区域を持つ、署員約250人体制の中規模署で、署長は警視。管内には第七方面交通機動隊や警視庁航空隊も所在する。
いわゆる東京港や23区内の航行可能な河川を含む水上部分も管轄しているのが特徴で、2008年まで東京水上警察署の部署だった「舟艇課」を「水上安全課」と改称して引き継いでいる。陸上部は臨海副都心と呼ばれる地域を含んでおり、超高層マンションなどの建設ラッシュによる住民増加が顕著である。
庁舎は旧・東京水上警察署(港区港南五丁目)から海を挟んで約2km南東の江東区青海二丁目[注 2] に位置し、地上9階・地下1階・延床面積約1万7,000平方メートルの鉄骨鉄筋コンクリート構造で、開署前月の2008年(平成20年)2月に完成した。総工費は約60億円である。
警視庁管轄の警察署の中では最大の192人を収容出来る大規模な留置場を持ち、一時的に留置人を隔離する「留置保護室」も6室が整備された(通常は1室のみであることが多い)。さらに他署では整備があまり進んでいない女子専用留置場もあることから、他署から女性被疑者が移送されることも多いようである。2009年(平成21年)8月8日、覚せい剤取締法違反で逮捕された酒井法子が留置されたことにより、釈放まで1カ月間は報道されることが多かった。
建物内には独身寮が、屋上には船舶の航行を見張るために東京港全体を見渡すことの出来るガラス張りの監視台が設置されている。加えて、庁舎正面の外壁には発光ダイオードで警視庁のマスコット「ピーポくん」のイラストと「Tokyo Wangan」の青い文字がそれぞれ浮かび上がるなど、観光地ならではの外観も整えられている。ちなみに、ピーポくんが外壁に取り付けられるのは、警視庁の警察署では初めての例であった。
旧・東京水上警察署の庁舎は、東京湾岸警察署開署後「東京湾岸警察署別館」となり、水上安全課が引き続き使用していたが、2012年(平成24年)に建て替えられ、2022年現在は東京湾岸署第五台場交番や警視庁の施設が建っている。
2008年の新設にあたり、名称については警視庁がアンケートを行った結果、付近を通っている首都高速湾岸線の認知度が高く、かつ警視庁が用意した複数の案の中で地元住民から圧倒的な支持[注 3] があったことなどにより「東京湾岸警察署」に決定した[3]。警視庁では架空の「湾岸警察署」が舞台となったフジテレビ系ドラマ『踊る大捜査線』との関連を否定しているものの、一部のマスコミなどではドラマ内と同じ「湾岸(警察)署」の呼び方が略称および通称として使われることが少なくなく[4]、観光客が庁舎をカメラで撮影するなど台場の新たな観光スポットとして注目を浴びている。
本署そのものは24時間365日休みなく業務利用されているためドラマのロケ等に使用されることはないが、本署に隣接するマンション『the SOHO』が2010年に公開された『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』以降の「新・湾岸警察署」としてロケに使用されている。
特記のない区域は、全て東京水上警察署から移管された区域。
全て東京水上警察署から移管された。
「台場」などをはじめとする東京湾岸地区の急速な発展に伴い、2005年度の東京都予算案[5] に「臨港警察署」(仮称)の設置経費が盛り込まれた。この施策については、東京都の治安強化策の一環として2004年(平成16年)2月25日の東京都知事施政方針表明[6] でも触れられ、当時から「湾岸署」という愛称で呼ばれるのではないかと話題となった[7]。
その後2005年(平成17年)6月に庁舎建設契約が東京都議会で議決され[8]、東京水上警察署を廃して周辺所轄である深川警察署、城東警察署、三田警察署、愛宕警察署、大井警察署、大森警察署、高輪警察署などの管轄を調整・機能強化する形で新設を決定、警視庁では1998年(平成10年)の竹の塚警察署以来、10年ぶりの新設署であった。
廃止された交番を活用して、日中は民間人の「安全サポーター」が詰める地域安全活動の拠点である。
東京湾岸署は、水上での警察活動の拠点として水上署から引き継がれた水上派出所がある。
東京湾岸署は水上を担当する「水上安全課」があり、旧東京水上署の舟艇課から警備艇(正式名称は「警察用船舶」)を引き継いだ。現在は25隻の警備艇を保有している。
春の交通安全週間の時期に著名人が一日署長などに任命され、広報活動に寄与している。
フジテレビ系ドラマ『踊る大捜査線』の舞台となる、架空の警察署「湾岸署」のイメージが東京湾岸地区に定着していることが、名称決定に影響したとされている。
「踊る大捜査線」シリーズ・エグゼクティブプロデューサーの亀山千広(現BSフジ代表取締役社長)によれば、本署の開署に当たって、警視庁から総務を通して「名前は「東京湾岸署」で行きたいけどどうだろうか」と打診があった。テレビドラマは既に終了していたが、亀山は「僕らは映画(版)を終わらせるつもりはないので、『湾岸署』という名称が使えなくなったら困ります」と返した。2004年に和久平八郎役のいかりや長介が死去してから、亀山ら制作者はもう次回作はないと考えていたが、このやりとりがきっかけで映画の新作を作ることになったという[10]。
2008年3月31日の開署式では「踊る大捜査線」主演の織田裕二から、『「湾岸署」刑事課強行犯係 巡査部長 青島俊作こと、俳優 織田裕二』という名義で祝電が寄せられた[11][12]。また、祝電と連動する形で映画の続編「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」の制作決定を発表した。これは湾岸地区に現実の「(東京)湾岸署」が設置が決定したことがきっかけ(フジテレビ発表)となっており、亀山は「冒頭は新湾岸署への引っ越しシーンから始まる」と発言している。2009年クランクイン、2010年公開。ちなみにエンドロールには東京湾岸署が開署したこと、東京湾岸署が当該映画作品とは関係がない旨の表示がある。劇中での設定も2010年に移転したことになっている。公開翌週の4月6日から始まった全国交通安全運動の際は、同じく神田署長役で出演の北村総一朗が一日署長を務めた。
ドラマにおける湾岸署の外観・エントランスは潮見コヤマビル(後にDSBグループ潮見ビルに改称)、THE MOVIE 3以降のシリーズに出てくる新湾岸署の外観・エントランスは東京湾岸警察署と隣接しているthe SOHOが撮影に使われている。
1988年に第1作が発表された今野敏の小説「安積班シリーズ」に登場する架空の警察署「東京湾臨海警察署(ベイエリア分署・湾岸分署)」の所在地は東京都江東区青海2丁目とされ、東京湾岸署の所在地と同じである。
東京湾岸署開署の時期には作中の臨海署も新庁舎に移転し東京水上署を統合するなど中規模署化された設定になっている。
なお、「臨海署」の呼称は実際に名称候補の一つとされていた。
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