トマム駅(トマムえき)は、北海道勇払郡占冠村中トマムにある北海道旅客鉄道(JR北海道)石勝線の駅である。駅番号はK22。事務管理コードは▲132149[5][6]。標高537.13 mに位置し、現存し旅客を扱う停車場としては北海道内で最も標高が高い[7][注釈 1]。全旅客列車が停車する。
石勝線のうち現在の占冠駅 - 上落合信号場間にあたる建設線、狩勝線(小出 - 占冠)の建設認可が1966年(昭和41年)に運輸大臣よりなされた際より、当地には「上トマム」の仮称で駅の新設が予定されていたものの、建設中の沿線過疎化により、国鉄側は当初信号場としたい意向であった[9]。
しかし、運転保安面から上トマムへの列車監視要員配置の計画が浮上し、付近に小規模な集落(上トマム市街)があることもあって、1975年(昭和50年)の協議からは旅客駅として開業の方向となった[9]。
1981年(昭和56年)の石勝線開業にあたって当地への保安要員の配置は結局取りやめとはなったものの、前年の1980年(昭和55年)から、のちの「星野リゾート トマム」の原型となる北海道・占冠村・国鉄が参画した第3セクター方式での「トマムスキー場開発計画」がスタートしており[10]、この開発計画による利用客増加の見込みがあったこともあって、当駅は当面無人駅の形ながら当初予定通り旅客駅として開業することとなった[9]。
その後トマムスキー場開発計画は、国鉄が経営悪化により手を引いたものの、代わって関兵精麦が参画、1983年(昭和58年)に「アルファリゾート・トマム」として開業した[10]。その後の運営母体は経営悪化・破綻によって幾度かの変遷を経て現在は星野リゾートに移り「星野リゾート トマム」として営業を続けており、当駅も玄関口としての役割を果たし続けている。
計画名称は「上トマム」(かみとまむ)であったが[15]、開業当時「総合レクリエーション施設の計画もあり、行楽地として将来が期待され、地元の要望もあり[7]」、創作地名の石勝高原駅として開業した[9]。しかし1987年(昭和62年)に「地区名及びスキー場名と同一としイメージアップを図りたいことから[7]」、所在地名に由来する「トマム」に改称された[13]。「トマム」(苫鵡)の地名は、アイヌ語で「湿地」を意味する「トマㇺ(Tomam)」に由来する[16]。
2面2線の相対式ホームをもつ地上駅[2][1][JR北 4]。一線スルー化はされていない。石勝線の他の単独駅と同様、駅舎の位置にかかわらず、上り線から番線を付番しているため、駅舎と反対側の上り本線(南千歳・札幌方面)が1番線、駅舎側の下り本線(新得・帯広・釧路方面)が2番線となっている[2][JR北 4]。どちらの番線とも両方向への出発が可能であるが、原則として駅構内は左側通行で、安全側線も通常の進入方向となる片側のみ設置されている[1]。また、1番線の安全側線は保線線と兼用する[JR北 4]。
ホームの移動は駅舎の新得方に設けられた跨線橋を使う。アルファリゾート開業前、跨線橋が完成するまでは札幌側に構内踏切があり、現在でも跡が残っている。
駅自体は無人駅(新夕張駅管理)であるが、前述の要員配置計画もあったため、当初より下り本線(2番ホーム)に面して駅舎が設けられている[9]。駅舎は鉄筋コンクリート造一部2階建て(延床面積235.9㎡)で、多雪を考慮して1階の床は高床構造となっている。1階は待合室と便所のほか、駅務室や職員向けの休憩室や浴室、機器室などが設けられた。2階は保線検査班・同休憩室を設けている[9]。また、上り本線側にも待合所が設けられている[9]。
国鉄では当駅をさしあたり無人駅として開業させ、リゾート開発計画の進展に応じて要員配置を行う計画としていたが[9]、開業以来営業要員の配置がない状況が続いている。
アルファリゾートの開業後、当駅から駅舎を経由せずにリゾート敷地内のインフォメーションセンター(現在は閉鎖)に直結する跨線橋が設けられ、そのインフォメーションセンター内に「トマムトラベルセンター」と称する有人窓口も設けられたが、2015年(平成27年)に閉鎖されている[JR北 3]。
以後しばらく当駅および近傍でのきっぷ類の発売はなかったが、2024年(令和6年)ごろから星野リゾート トマム ザ・タワーのエントランス内に指定席券売機(クレジットカード専用)が設けられており、乗車券類(当駅発限定)やえきねっと・JR East Train Reservation(海外向け予約サイト)で予約されたきっぷの受取、北海道フリーパスなどの指定席利用可能な企画乗車券を使用しての座席指定が可能である[14]。
これ以外の場合は、乗車後に車掌から直接購入する以外に、2021年(令和3年)から「QRコード乗車駅証明書」を使用することが可能である。これはトマム駅で乗車し、南千歳駅・新千歳空港駅・札幌駅で降車する場合に利用可能なサービスで、駅掲示のQRコードを読み取り必要事項を入力し「QRコード乗車駅証明書」を取得、降車する際に精算機にQRコードをかざして切符を購入することで改札口を出場できるサービスである[JR北 6]。
1日の平均乗降人員は以下の通りである[17]。
乗降人員推移 | |
---|---|
年度 | 1日平均人数 |
2011 | 24 |
2012 | 24 |
2013 | 30 |
2014 | 40 |
当駅は市街地から離れた場所に設けられており、占冠村トマムの中心である上トマム地区は約4km東に離れている。当駅が最寄りとなる星野リゾート トマムは北に約1km の地点にエリア中心となる「ザ・タワー」があり、当駅から送迎バスで連絡している。
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