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波多の地名は日本各地に分布している。具体的な地名としては、肥前国松浦郡波多村、大和国高市郡波多郷[1]、出雲国飯石郡波多郷[2][3](のち波多庄)、肥後国天草郡波多郷[2]があり、ほかに大和国(波多小北庄)、相模国(波多庄)、信濃国、土佐国にもこの地名が存在する。これらの地名を由来とする波多姓の氏族が多数存在する。
武内宿禰[4]の長男である波多八代宿禰[5](はたのやしろのすくね)を祖とする[6]。姓は臣のち朝臣。
八多(八多朝臣[7])、八太(八太臣)、羽田(羽田臣[8]・羽田朝臣)とも表記される。大和国高市郡波多郷[9]の地名に由来し、高市郡にあった延喜式内社の波多神社[10]を氏神とした。
祖の波多(羽田)八代宿禰は弟の巨勢小柄宿禰(こせのおからのすくね)とともに神功皇后による三韓征伐に従う。応神天皇3年(392年)には、百済の辰斯王が天皇に対して礼を失したため、弟の紀角宿禰らと共に百済に遣わされ、その無礼を詰問する。百済は辰斯王を殺して謝罪したので、八代宿禰らは阿莘王を王に擁立し帰国したという[11]。また、17代履中天皇后である黒媛を八代宿禰の娘とする説もある[12]。
推古天皇31年(623年)蘇我馬子が朝貢を促すことを目的に、境部雄摩侶を大将軍とする数万の軍を新羅に派遣した際、小徳の位にあった波多広庭は副将軍の一人に任ぜられている[13]。
天武朝に制定された八色の姓では、皇族出身である52氏の一つとして朝臣姓を賜与されている。
その後日本書紀編纂に向けて、持統3年(689)6月2日、7名[14]の一人として羽田朝臣斉(はだのあそん・むごへ)が撰善言司(よきことえらぶつかさ)に任命された。
羽田斉は、持統5年(691年)、『日本書紀』の元となる先祖の墓記を上進する18人[15]の一人にも選ばれたと推定され、『書紀』の中では『古事記』の記述の中の家祖である波多を羽田に変えてしまった(どちらも同じ一族で同じ波多郷に居た)。
続日本紀に見える官位は、直広参、正五位上〜従七位下が見え、姓は、波多朝臣が見える。
名前(事績)としては、 牟後閉(牟胡閉、斉)(周防総領・薬師寺建造の司)、広足(遣新羅大使)、広麻呂、与射、足嶋、僧麻呂、安麻呂、古麻呂、孫足、足人(宮内少輔)、足人(備後守)、男足、百足等が見える。
応神天皇の孫である意富富杼王を祖とする[16]。姓は君のち真人。八多(八多真人[17])、羽田(羽田公[18]・羽田真人[19])とも表記される。
近江国栗太郡羽田(現在の滋賀県八日市市羽田)の地名に由来するが、のち推古天皇の時、羽田姓に改めた。
壬申の乱の功臣に羽田矢国・大人父子がおり、天武天皇13年(684年)で真人姓(羽田真人)を賜与された。
そのほか、
余射(山陰道を巡視、式部員外少輔)、継手などがいる。
波多氏 (皇別氏族(日本武尊裔)) | |
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氏姓 | 波多君 |
氏祖 |
武養輦命 (日本武尊の王子) |
種別 | 皇別 |
凡例 / Category:氏 |
波多氏 (地祇系氏族(波多国造)) | |
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氏姓 | 波多君 |
氏祖 |
不詳 (天韓襲命後裔) |
種別 | 神別(地祇) |
凡例 / Category:氏 |
崇神天皇の代に波多国造となった天韓襲命の後裔[21]。天韓襲命は事代主神の子(または孫)の観松彦色止命の後裔で、長国造・都佐国造の祖である韓背と同人とされる[22]。
波多氏 (渡来系氏族(百済族)) | |
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氏姓 | 波多造 |
氏祖 |
不詳 (佐布利智使主後裔) |
種別 | 諸蕃 |
本貫 | 百済 |
凡例 / Category:氏 |
百済人である佐布利智使主の子孫[23]。姓は造。
大和国高市郡(奈良県高市郡)の波多神社[25]の祝(ほうり:神職)の一族と見られる。高皇産霊神の孫である治身の後裔とされる[26]が、系譜ははっきりしない[27]。姓は祝。
姓氏録によれば、波多祝からは久米氏(久米直)族とされる波多門部連・波多造も派生している。 [22]。波多門部氏は淡道国造族であった。
波多神社の祭神は、波多祝の祖神・高皇産霊神のほか、波多臣の祖である八多八代宿禰[28]である。
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