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機動戦士ガンダムUCの登場兵器(きどうせんしガンダムユニコーンのとうじょうへいき)では、小説『機動戦士ガンダムUC』と、これを原作とするアニメ[1](OVAおよびテレビシリーズ)や漫画『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』に登場するモビルスーツ (MS) 、モビルアーマー (MA) および艦船などの架空の兵器について解説する(一部「兵器」以外のメカニックについても記述する)。
本記事では、後発作品に登場する各バリエーション機についても解説する。
本作の主役機。アナハイム・エレクトロニクス (AE) 社が開発した、フル・サイコフレームMS。
ネオ・ジオン軍のドーベン・ウルフを、AE社が改修した機体。
バナージ・リンクスが物語序盤で使用した非武装のプチモビルスーツ(型式番号:TOLRO-800)。トルロ社が開発した宇宙世紀0096年当時の最新型で、一人乗りの作業用機種。「トロハチ」は広く定着している愛称である。
アナハイム・エレクトロニクス (AE) 社が所有する工業コロニー「インダストリアル7」の建造を行っているコロニービルダー。首を伸ばした巻き貝のような形状から「カタツムリ」という通称でも呼ばれるが、正体は「ラプラスの箱」が開示されるその時に備え、サイアム・ビストが直属組織により極秘裏に木星開発用のベース・シップを改造した[2]、ビスト財団が実質私有する「超巨大航宙戦艦」である。
ビスト財団の私有地でもありAE社の設備ももつという地理を利用する形で、秘密裏にユニコーンガンダムの開発が行われている。同時に「ラプラスの箱」の秘匿場所でもあり、物語の出発点と終着点となる。「箱」の開放に備え、巨大宇宙戦艦と呼べるだけの絶対的な防衛戦力を誇り、外周部に吸着された資源用の岩塊内に多数の武装を隠し持つ。それらすべての武装を暴露したメガラニカの火力は地球圏最強[3]を誇るとされる。また、「ラプラスの箱」開放のために地球圏の主要メディアへの介入を可能とする放送設備と、惑星間航行を可能とする強力な核パルスエンジンを備えている。
「ラプラス事変」最終盤(宇宙世紀0096年5月4日)においてネオ・ジオングの侵攻を受け、居住区の外壁が破壊されるが[2]、ミネバ・ラオ・ザビによる「ラプラス宣言」を地球圏へ向けて発信し、中立地帯を目指して航行を開始する。
劇場アニメ『機動戦士ガンダムNT』(宇宙世紀0097年)では、ジオン共和国(サイド3)のヘリウム3貯蔵タンク群にその船体を隠し、ミネバらの拠点となっている。
リゼル ReZEL | |
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型式番号 | RGZ-95 |
建造 | アナハイム・エレクトロニクス |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 20.5m[4] |
本体重量 | 25.84t[4] 29.2t(ディフェンサーbユニット)[5] |
全備重量 | 57.6t[6] 68.3t(ディフェンサーbユニット)[5] |
装甲材質 | ガンダリウム合金[4] |
出力 | 2,220kW[4] 2,320kW(ディフェンサーa/bユニット)[5] |
推力 | 81,500kg[7] 91,600kg(ディフェンサーa/bユニット)[5] |
センサー 有効半径 | 14,920m[7] |
武装 | 60mmバルカン砲×2 ビーム・ライフル ビーム・サーベル×4(選択式) グレネード・ランチャー×4(選択式) ビーム・キャノン シールド メガ・ビーム・ランチャー (ディフェンサーaユニット) ロング・ビーム・サーベル ハイパー・ビーム・サーベル×2 マイクロ・ミサイル×6 (ディフェンサーbユニット) メガ・ビーム・ランチャー×2 メガ粒子砲×2 |
搭乗者 | リディ・マーセナス ほかロンド・ベル隊 |
リゼルC型 ReZEL TYPE-C (ReZEL COMMANDER TYPE) | |
型式番号 | RGΖ-95C |
本体重量 | 27.0t[8] / 28.1t[9] 28.3t(ディフェンサーaユニット)[5] 29.2t(ディフェンサーbユニット)[10] |
全備重量 | 60.5t[8] / 62.8t[9] 65.1t(ディフェンサーaユニット)[5] 68.3t(ディフェンサーbユニット)[8] |
推力 | 85,400kg[9] |
搭乗者 | ノーム・バシリコック スリーアローズ隊 |
アナハイム・エレクトロニクス (AE) 社が地球連邦軍からの委託を受け開発した、ジムおよび ジェガンの系譜としては初の可変量産型MS[4]。デザイン発注段階での名称は「ΖIII(ズィートライ)」であった[7]。
Ζガンダムのリファイン[7]および量産化を目的とするRGZシリーズのひとつであるが、可変機構をバック・ウェポン・システムで代用した同シリーズのリ・ガズィに対し、単体での可変機構を復活し、本来の目的である弾力的な運用を実現すべく設計される[4]。変形機構はメタスの方式に差し戻すことで簡略化を図り[4]、同方式を採用しているΖガンダムの発展試作型MS[11]、ΖII[12]の開発データをブラッシュアップする方向性が採られる[11]。さらに、当時の主力MSであるジェガンと部品規格を可能な限り共有化することで、従来機に比べて大幅なコストダウンと優れたメンテナンス性を獲得している[4]。これまでのΖ系列機と異なり、頭部はジェガンのようにメインカメラをバイザーで覆うデザインとなっている[13]。また、Ζ系列機が高性能ゆえにもっていたピーキーな操縦性に対しても改善を加え、不安定になりがちな出力特性をリミッターによって引き下げ[13]、並行開発していた[11]新型OSのサポートによって熟練パイロット以外でもその性能を発揮できる[13]。以上の結果、量産機として求められる運用条件および性能数値をクリアした待望の可変MSとして完成する[11]。
MA形態はΖガンダムに倣って「ウェイブライダー (WR)」と呼ばれ、新型OSのサポートによってMS形態とほぼ変わらない操縦感覚で扱える航宙戦闘機として良好な性能を示す[4]。また本機は設計当初から、WR形態でのスラスターをひとつの方向に収束することによる余剰推力を活かしたサブフライトシステム (SFS) としての運用を想定しており、バックパックには固定用のグリップを装備している[4]。そのため機体名称は「リファイン・ゼータ・ガンダム・エスコート・リーダー (Refine Zeta Gundam Escort Leader)」の頭文字をとった略称としている[4]。母艦内にベース・ジャバーなどの純SFS用のスペースを必要とせず、前線到着後には自身も参戦可能という無駄のない戦術をおこなえる利点が一定の評価を得て、軍上層部による開発承認の決め手となっている[14]。関節駆動系にはマグネット・コーティングがほどこされており、変形所要時間はわずか0.5秒であるほか、MS形態での機体追従性も向上している[15]。
メイン・ジェネレーターは3基を搭載、うち2基はΖガンダム同様両脚に配置され、熱核ジェット / ロケット・エンジンが採用されている。各所に配置された姿勢制御バーニアは新型OSに備えられた姿勢制御システムによって管理され、空間戦闘時において安定した機動を維持する。脚部側面のスラスターは各形態で推力変更がおこなわれ、WR形態時にはメイン・スラスターとして全力稼働する[14]。
宇宙世紀0095年にロールアウト[16]。汎用機であるジェガンとの連携を前提に開発されており、バックパックや武装は作戦において求められる役割に応じて変更される[7]。当時は軍備縮小の気運もあり、積極的な新規MS開発はおこなわず、基本となる機体にオプション装備を換装することによって、多角的な運用に対応する方針を優先しており、本機にも複数のバックパック・ユニットが開発されている[5]。標準型はバックパック両側に「ボックス・ユニット」とよばれるユニットが装備され[17]、簡便な整備性は現場でも好評だったという[18]。標準塗装はブルー・グレーを基調に、一部ダーク・ブルーと白で塗り分けられている。
「リゼル・コマンダータイプ」[7]あるいは「リゼル(隊長機)」とも表記される[9]。カトキは最初に最初にこのウィング・ユニット装備機をデザインしたが、量産機らしく少し弱そうに見えるようにするため、要素を減らしてボックス・ユニット装備の一般機をあらためてデザインしている[20]。
リゼルはロンド・ベル隊に優先して配備されるが、MS隊隊長をはじめとする一部の熟練パイロットからは、新兵にも扱える方向性で開発された同機の総合性能に苦言を呈する者もいた[21]。そのような現場の声に応えて[21]用意された特別仕様機がC型である[9]。一般機をベースに、スラスター推力のリミッター上限を高め(解除したとも[21])、それにともない発生する機体の負荷に耐えうるようフレームを補強するなど、本来の基本性能に引き戻すだけでなく、より信頼性が高まるよう再調整されている[9]。操縦系統の反応速度を向上させ、機体追従性の改善もおこなわれている[22]。なお本機のほぼすべてのパイロットが、新型OSによるサポートをカットさせ、ピーキーな挙動による高い操縦難度をあえて好んだという逸話がある[9]。
バックパック・ユニットは、WR形態時に大気圏突入[22][注 1]および大気圏内飛行を可能にするウィング・バインダーを装備した「ウィング・ユニット」が装着される[17]。重力下でのSFS運用を可能とするために総合的な推力性能が向上しており[22]、宇宙空間での戦闘においてもこれを活かすことなどで高い機動性・運動性を得ることが可能となっている[17]。もちろんボックス・ユニットも装着可能であるが、多くの熟練パイロットはウィング・ユニットを好んだといわれ[17]、事実上C型のスタンダードとなっている[22]。それ以外の一般機との外観上の差異は色のみであり、一般機では赤いセンサー類が緑色で、胸部などがダーク・グレーで塗り分けられている[20]。
コミカライズ版『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』が初出。bユニットはのちにアニメ版にも登場した。
新型のバックパック・ユニットを装着したリゼル[5]。開発に当たって要求された運用目的は、宇宙空間での戦闘において最前線もしくは重要拠点に対して迅速な先制攻撃をおこなう「宙間強襲用」である[5]。そのためには極めて少数の機体で、最小限の連携のもとに瞬発的な最大火力攻撃をおこなう必要があり、ディフェンサーユニット装備のリゼル3機による1個小隊のみで作戦を遂行することとなる[5]。その特性上、C型に装着されるケースがほとんどであり、パイロットには高い技量が求められる[23]。
ユニット本体に複数基配置されるスラスターは、ボックス・ユニットとは比較にならない大推力を誇り、WR形態では大幅な戦場到着時間の短縮を可能としている[5]。腰部サイド・アーマーはテール・バインダーに換装され、作戦宙域到達後のMS形態での戦闘の際にあらゆる方向に即時対応する高次元の機動性をもたらす[5]。小隊での運用に限定されるため、SFSとしての運用は不要であると判断され、本ユニットにはグリップは装備されていない[5]。ユニット自体にも換装機構が組み込まれており、共通の推進ユニットに戦闘レンジが異なる2種の兵装(a・b装備)をセットアップし、攻撃面を差別化している[24]。ユニットの構成上、それぞれの武装を組み替えることも可能であり、特殊なディフェンサーユニット装備機の存在も考えられる[24]。
a装備は、ユニット両先端部に大量のマイクロ・ミサイルを格納するコンテナが計6基接合されており、近・中距離に展開する広範囲の敵に対して圧倒的な打撃を加える[5]。これは、ユニット名称のもととなったGディフェンサーから継承した武装でもある[24]。パワー・サプライヤー・ジョイントをサーベルラックとして装備するハイパー・ビーム・サーベルは、通常の50パーセント増の高出力ビーム刃を形成し、ひと振りで複数の敵MSを破断[5]。開発にはΖΖガンダムの運用データが使用されているが、エネルギー出力の安定供給を優先したため同機のようなビーム・キャノンとしての機能はオミットされている[5]。
b装備は、内部に増設したジェネレーターのダイレクト・ドライブによって、各種ビーム兵装の稼働効率の強化が図られている[5]。両端部のバインダーに装備されるメガ粒子砲(ビーム・キャノンとも[5])のレイアウトは、ギャプランや同時期に開発が進められているアンクシャの影響を色濃く受けていると考えられており、WR形態の主兵装としても効果的に活用される[24]。また、通常では単体で運用されるメガ・ビーム・ランチャーを両側に配置、さらに最大出力でのビームの連続発射が可能となり、中・長距離での攻撃力が大幅に向上している[5]。また、ランチャーのそれぞれに装備されているターゲット・センサーが連動して機能し、より精度の高い射撃・狙撃を可能としている[5]。ビーム・キャノンを装備するシールドも最大2基装備可能[25]。
スマートフォンゲームアプリ『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』に登場するゲームオリジナルMS[26](型式番号:RGZ-95N)。
「シャアの反乱」時の戦闘記録から、ニュータイプ (NT) 能力者に限らず敵味方の両陣営でサイコフレームが使用された場合、それ自体の総量が多いほうが戦況的有利性があるとの報告があった。それを受け、ジェスタとは別ラインでユニコーンガンダムシリーズの随伴機として計画されたのが本機である。C型をベースにコックピット周辺とバックパックにサイコフレームを搭載し、サイコミュ技術の応用によりパイロットの反応速度や機体制御能力を引き上げ、リーダー機となるユニコーンガンダムへの追従性と連携運用の向上を主目的とする。また搭乗パイロットにNT適性がなくても、サイコフレームを介してリーダー機が本機をファンネルのように遠隔操作する運用方法も計画されている[27]。カラーリングは濃紺を基調にバイザーおよびセンサー部が黄色で塗り分けられているが、これは本機がバンシィとの連携を前提としているためであり、すなわちAE社が独自に計画した機体であることを意味する[注 3]。
また、専用のディフェンサーgユニットの装備も計画されている[28]。バンシィの運用試験で一定の成果を残したアームド・アーマーVNの技術を組み込んだ「VNインコム」を搭載。通常時は有線式の遠隔射撃兵装であるが、疑似NT-Dの発動により各部が展開し、サイコフレームの強靭性を活かした超振動破砕兵装として使用可能となる。近距離から遠距離まで対応可能な兵装であるが、疑似NT-D発動時の身体的負荷が大きいため強化人間の搭乗が前提となっている。ただし、それらの情報が連邦軍に開示されているかは不明である[27]。
地球連邦宇宙軍の特殊部隊エコーズの専用機として[注 4]、海軍戦略研究所(サナリィ)によって極秘裏に開発をおこなった機体[29]。MSとしてはかなり小型で、タンク形態への変形機構をもつ[32]。
ネオ・ジオン残党の反連邦運動の主体が散発的なテロ行為などに移行した時代に応じて、市街戦での部隊員の迅速な輸送や対人制圧を主眼として開発される[32]。2機の可変MSを1組として、特に隠密作戦での運用を想定した本機の発注に際しての連邦軍(エコーズ[30])の要求は、秘匿性を確保するための機体の大幅な小型化、1小隊8名の収容が可能な兵員輸送機としての機能、迅速な作戦行動のための高い機動性能の3点であった[29]。相反するこれらの要求に対してサナリィは独自に研究開発していた超小型熱核反応炉を採用、それまでのMSのものに比べ出力は多少劣るものの、AE社の技術力ですらなしえなかった小サイズでの実用化に成功する[29]。これを起点として、機体各所をミリ単位でクリアランス調整し一切のデッドスペースを排除しつつ兵員の収容性を確保、その結果機体サイズは全高12.2メートルとなる[29]。さらに装甲材は最低限の防弾性能にとどめることで軽量化し、適切な推力重量比を実現[29]。それぞれの開発部門が問題点を利点でおぎない合う徹底した設計検討により、MS形態とタンク形態の双方で要求されるレベルを十二分に満たし[29]、性能テストにおいても高い総合評価を得ている[30]。
上部操縦室には車長、操縦士、通信士の3名が搭乗[29]。現地到着後に司令本部となるため[32]、下部操縦室に慣性航法装置をはじめとするセンサー類や通信装置を搭載し、指揮通信車としての機能も有する[29]。車体後部に兵員輸送室があり、8名が搭乗可能[32]。MS形態で背部中央に当たる部分が、タンク形態での搭乗員の昇降口となる[32]。また、MS形態の股間部にも兵員輸送室のハッチがある[30]。
MS形態に変形することで、タンク形態では移動不可能な不整地などにも展開でき、小惑星表面などでの観測や偵察、破壊活動などの特殊任務をおこなう[33]。腕部そのものがミサイル・コンテナとなっており、一般的なMSのようなマニピュレーターを持たない(前腕部に備える折り畳み式サブ・アーム[30](簡易マニピュレーター[32])での軽作業は可能)[34]。そのため携行兵装の運用能力はないが、肩部アーマーと肩口[30][33][注 5]に設けられたマウント・ラッチを用いた[34]オプション装備の換装で多彩な武器を搭載可能となっている[30]。機体特性上、直接戦闘による対MS戦能力は高くないが、待ち伏せや狙撃など戦法は限られるものの十分に撃破可能な能力をもつ[30]。ただし、事前にMSとの直接戦闘が想定される任務にはジェガン(エコーズ仕様)が用意される[36]。
サナリィは本機の開発を契機にMSのダウンサイジング化を進めていき[33]、本機の実戦データは宇宙世紀0100年代に主流となる小型MSの開発に活かされる[29]。本機自体の後継機も開発され[30]、型式番号の "50" はタンク形態に変形する機体をあらわす番号として使用されており[29]、のちのF50D(ガンタンクR-44のベース機ともいわれる)との関連性が指摘されている[32]。
漫画『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』に登場。
サナリィが開発したロトをベースに、AE社が大幅な改修を施した機体。ガンダムGファーストやキャノンガンも関連する「ある技術検証計画」の「要」として[37]地球連邦地上軍の発注により製作され、他の2機とともにサイド7でおこなわれる式典用にトリコロールを基調とした塗装が施される。
本機の最大の特徴として、大型バックパック形態「バックウェポンモード」へと変形し、Gファーストまたはキャノンガンの背部へドッキングする機能を有しており、両機の戦闘能力を大幅に引き上げることが可能となる。さらに、人型の「ファイター」形態から巡行用の飛行形態「スカイ」と対人戦用の重戦車形態「ブル」にも変形可能で、これらの名称はGファイターの各形態名を由来にしている。また、サイコフレームの外部装置化による性能向上の実証試験機としての位置づけも与えられており[38]、サイコフレームが内蔵されている。乗員は頭部に2名、胸部内に3名の計5名が搭乗可能。
スカイ形態における主翼にはビーム・コーティング剤が塗布されており、ほかの形態での側面の防御に一定の効果を発揮する。主兵装は長距離砲撃が可能な両肩の高出力ビーム砲「エクス・キャノン」で、先端はGファーストやキャノンガンの兵装を拡張する「エクス・カートリッジ」としての運用も可能。両前腕はミサイル・コンテナになっており、ビーム・マシンガンも内蔵する。砲身が伸縮式になっており、構造物破壊用のパイル・ハンマ(杭打ち機)としての運用も可能。腰部フロント・アーマーにはビーム・ガンを装備、スカイ形態では機首先端部に配置される。アンクル・ガードのヒート・カッターは、歩行の際の障害物などを溶断する。
ユニコーンガンダムの2号機で、白い1号機とは対照的な漆黒の機体色と、鬣のような頭部アンテナが特徴。
デザインに当たっては、カトキによる本編の描写にはないイメージイラストが描かれており、アメリカ軍のネイビー・シールズのような特殊部隊をイメージして、水際から一気に展開し、戦場の優位を確保するシチュエーションとともに、MS用のLCAC(エア・クッション型揚陸艇)も描かれている[39]。
デストロイモードでの活動時間に制限があるユニコーンガンダムのサポートのため、AE社で開発されたジェガンの上位機種で[39]、宇宙世紀0096年に完成する[40]。すなわち「UC計画」の産物であり[39]、同計画の「要」であるともいわれるが[41]、連邦軍内でもその事実は秘匿されているようだとされる[39]。ユニコーンガンダムの護衛のほか、敵の通常戦力を制圧してニュータイプ兵器などの中核戦力と直接対峙する状況を生み出す(「“ニュータイプ狩り”の舞台を整える露払い」とも表現される)ことも想定されている[39]。
肩部や脚部に配された重厚な装甲は見た目通りの堅牢さを誇り[41]、細身のジェガン系の機体とは思えないマッシブなスタイルとなっているが[39]、これにより発生する増加重量を容易に打ち消す推力と機動性をもつ[41]。バックパックは完全新規に開発がおこなわれ、スラスター2発という極めてシンプルなレイアウトが採用されているが、ユニコーンガンダムに追従しうる極大な推力を秘めている[40]。ジェガンより16パーセント重量増加するものの、出力は45パーセント、推力は43パーセント向上し、νガンダムの9割の高性能を実現している[42]。スタンダードな運用を求められながらもその要求レベルは極めて高く、結果として量産機らしからぬ性能が与えられている[41]。また、不特定多数の敵戦力に対して「確実にかわし、当てる」技量をもつパイロットの搭乗を前提とした機体となっている[40]。評価試験を兼ねて、ロンド・ベル隊の旗艦「ラー・カイラム」に12機(生産されたすべて[40])が配備されている[39]。カラーリングは濃淡のミディアム・ブルー[39]を基調とする。
最終局面で味方陣営にもガンキャノン的なバリエーションが欲しいと思ったカトキによって設定・デザインされた[48]。ジェスタのオプション装備のひとつであり、型式番号に変更はなく、重量を除いたスペックの数値も同じである[50][48]。
ジェスタはジェガンと同様に専用のオプション・パーツを増設してさまざまな用途に対応できるバリエーションが複数存在し、そのうちの重装仕様が本機である[49][48]。中距離支援用MSの代名詞である「キャノン」の名を冠しているものの、単なる援護砲撃に留まらず、総合的な攻撃力の向上により前線での運用にも十分対応できる性能をもつ[49]。武装の増加にともない、OSも火器管制能力を強化したバージョンアップがおこなわれ[49][48]、戦況に応じ自動で武器を選定することで、乱戦においてもパイロットを適切にサポートする[49]。
ジェスタ自体がすでに一定以上の耐弾性能を誇るため、増加装甲はコックピット周辺(胸部)を起点とし[49]、駆動部を中心に[50]重量バランスを考慮した最低限の配置に留まっている[49][注 8]。これらは戦況や損傷に応じて、爆砕ボルトによって瞬時にパージが可能である[48]。増加装甲および拡張装備をほどこした本機のシルエットは、ジェスタのマッシブなスタイルをさらに強調するものとなっている[49][48]。ジェスタにくらべて重量が60パーセント増加しているが、推力/重量比ではジェガンD型と遜色ないため、前線である程度の高機動戦闘をおこなうことも可能である[50]。
ラー・カイラムには、予備を含め5機分の本仕様のオプション・パーツが搬入され[49]、状況に応じて装備されている[50]。
小説版にのみ登場し、デザインは起こされていない。名称は便宜的なものであり、作中では「EWACタイプの《ジェスタ》」あるいは「早期警戒(EWAC)機」と表記される[45]。
頭まで覆う巨大な電子戦ユニットを両肩に装備し(遠目には首なしの機体に見える)、両腕に大型の観測機器をマウントするとされており[54]、のちに「UC-MSV」としてデザインされアニメ版にも登場するEWACジェガンと共通する。
ジェスタ シェザール隊仕様 JESTA SHEZARR TYPE[56] | |
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型式番号 | RGM-96Xs |
全高 | 19.3m[57] |
本体重量 | 27.5t(A班装備)[57] 24.8t(B, C班装備)[57] |
全備重量 | 63.3t(A班装備)[57] 57.2t(B, C班装備)[57] |
出力 | 2,710kW[57] |
推力 | 110,300kg(A班装備)[57] 89,030kg(B, C班装備)[57] |
センサー 有効半径 | 17,040m[57] |
武装 | ビーム・ライフル ビーム・サーベル ハンド・グレネード×6 メガ・ビーム・ランチャー(B班装備) キャプチャーガン(C班装備) |
搭乗者 | シェザール隊隊員 (詳細は本文を参照) |
アニメーション映画『機動戦士ガンダムNT』に登場。
ユニコーンガンダム3号機 フェネクスを捕獲する「不死鳥狩り」を行うシェザール隊に支給された機体。全ての機体の頭部にスコープ型のセンサー強化ユニットが装着されている。実戦では、スタークジェガンと同系の高機動型バックパックとプロペラント兼用の大型ブースターユニットを装備したA班、メガ・ビーム・ランチャーとトライポッドを組み合わせたスナイパー仕様のB班、89式ベースジャバーとフェネクス捕獲用のキャプチャーガンを携行するC班の各2機ずつ計6機小隊で運用される[58]。
A班装備にシェザール隊隊長のイアゴ・ハーカナ少佐(1番機)とタマン少尉(6番機)、B班装備にデラオ中尉とパベル中尉(5番機)、C班装備に副隊長のフランソン大尉(2番機)とアマージャ大尉がそれぞれ搭乗する。
リゼル同様、AE社が連邦軍の委託を受けて開発した量産型可変MS[16]。連邦軍オークランド研究所で開発された可変モビルアーマー (MA) 、アッシマーの設計データをもとに再設計がおこなわれた[16]後継機である[59]。再設計にともない、種別もMAからMSに変更となっている[59]。整備効率と生産性の両立、さらにSFSとしての機能の確保を必須とする連邦軍の要求に応えるべく、先んじてロールアウトしたリゼルと同様にジェガン系との内装部品規格を共通化する方策が採られる[16]。これにより、高コストな可変MSでありながらも量産化における現実的なラインをクリアしつつ、原型機譲りの総推力値も重力下での飛行で自重と同等の加重をかけても問題にならないレベルを達成する[16]。リゼルとの共通部分も多い[61]。
名称は、ヒンドゥー教の神ガネーシャがもつ杖に由来する[59]。原型機同様、円盤状のMA形態に変形することによって大気圏内での高次な単独飛行能力を有する[16]。本機には両側面部に整流板を兼ねたムーバブル・シールド・バインダー (MSB) が追加され、さらなる航空機動性を獲得している[16]。飛行性能の大幅な向上によって友軍機を搭載しての飛行も可能となり[62]、上面にはMS搭載用プラットフォームとグリップが設けられている[16]。
MS形態での戦闘力強化も図られており、MSBへのビーム・ライフル搭載に加え、ビーム・サーベルの装備により格闘戦にも対応している[62]。頭部には原型機同様、航空管制用レーダーや差圧センサーなどが実装されているが、ジェガンとの共通規格化によってバルカン砲が追加され、連邦軍然としたバイザー・フェイスにあらためられている[16]。この変更は、モノアイといったジオン的意匠にアレルギーをもつ上層部の意向が反映されたという意見もある[59]。
0096年の完成後、すぐさま[63]地球上の重要拠点への配備が進められる[16]。ジェガンですら満足に配備が行き届かず、数合わせの旧型が主戦力である当時の連邦地上軍にあって、最新機種である本機がよどみなく開発・配備されたことには、連邦上層部とAE社との間で何らかの思惑があったともいわれるが[63]、本機は高高度の迎撃任務にも柔軟に対応可能であり[16]、宇宙からの侵攻に対する備えとしての正当な思惑が含まれていることも間違いないとされる[63]。また、超大型輸送機ガルダへ航空戦力としても多数配備され、「ガルダ構想」の一翼を担ったという[16]。
以下の兵器はリンク先を参照。
ネオ・ジオン残党軍、通称「袖付き」にて運用される機体。所属する機体の多くに、袖や襟のような装飾(エングレービング)が施されているのが特徴。過去シリーズからの登場機も「袖付き」仕様にデザインが変更されている。
この装飾の理由は、第二次ネオ・ジオン抗争後、雑多な勢力の寄り合い所帯となった軍をまとめる意匠であったとされる[65]。また、軍を率いるフラッグシップ機であるシナンジュとその直属の親衛隊機、その他のエース・パイロット機の当該部位には、ガンダリウム系の新合金(「ルナ・チタニウムΧ(カイ)」ともいわれる[66])を用いて一般機より装甲が強化されていたとする説もある[65]。
「赤い彗星の再来」と渾名される「袖付き」の首魁フル・フロンタルが搭乗する、赤いフラッグシップ機。ユニコーンガンダムのライバル機となる。
アニメ版にのみ登場。シナンジュをコア・ユニットとする巨大MA。
「袖付き」所属のニュータイプ (NT) 専用MS。名称の「クシャトリヤ」は、古代インドの階級で第2位の王族・武人層を意味し、フル・フロンタル指揮下のネオ・ジオン残党軍ではフラッグシップ機であるシナンジュに次ぐ機体であることを物語っている[要出典]。型式番号の "666" は「トリプル・シックス」と読まれることもある[70][注 9]。
クィン・マンサのスペックを維持したままでの小型化をコンセプトとして開発される[67]。複数の機能を集約させたバインダーの増設と、サイコフレームによるサイコミュ装置の小型化により、20メートル級までのダウンサイジングに成功している[68]。サイコフレームはコックピット周辺を中心に構造材の一部として使用されているが、当時のネオ・ジオン勢力はこれを精製する設備をもっておらず、「シャアの反乱」時にAE社から供給されたものが備蓄のすべてであるため、本機は追加生産はおろか破損箇所の完全修復すらままならない「唯一無二」の機体となっている[68]。ジオン系技術から発展したNT専用機のひとつの到達点として完成度の高い機体であるが[71]、小型化されたとは言えフルスペックのサイコミュ搭載機であるため「袖付き」内でも運用可能なのは強化人間のマリーダのみとされる[67]。
脚部やボディ全体の意匠はクィン・マンサに通じており、コンセプトだけでなくイメージの継承も意図されているが、頭部は同機と異なりモノアイが採用されている[69]。袖や胸部には「袖付き」の所以たる装飾がほどこされている[68]。カラーリングはザクIIを彷彿させる濃淡グリーン(ギラ・ズールより明るい色調)を基調とする。
ネェル・アーガマ内でトムラら「袖付き」側主導によって補修を受けた姿。当初は原作小説と異なり、クシャトリヤは再登場しない予定であったために大破させられたが[80]、その後に再登場が決定したために新しいアイデアを盛り込んだ改修案が新たにデザインされた[81]。なお、「ベッセルング」が付けられたのは、「「袖付き」側主導ゆえにジオンらしくドイツ語の名前を」との理由による[82][注 10]。
左腕は肘から先が失われており、右脚は膝から先がフレームのみ、コクピットと頭部内フレームが露出している。連邦軍機のパーツを使って改修したため、モノアイの色がピンクから緑に変わっている[83]。胸部メガ粒子砲の銃口は左右各2門のうち1門がそれぞれ塞がれている。バインダーは左右1枚ずつとなり、左側はフレームのみとなっている。
クシャトリヤ・リペアード KSHATRIYA REPAIRED | |
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型式番号 | NZ-666 |
所属 | ロンド・ベル(ネェル・アーガマ) |
全高 | 22.3m[75] |
本体重量 | 27.9t[75] |
全備重量 | 68.03t[84] / 74.02t[75] |
装甲材質 | ガンダリウム合金[75] 一部チタン・セラミック複合材[84] |
出力 | 9,924kW[84] |
推力 | 198,680kg[84] |
センサー 有効半径 | 17,800m[84] |
武装 | 胸部メガ粒子砲×2 バインダー部メガ粒子砲×4 ビーム・サーベル マシン・キャノン×2 右脚部ビーム・ガトリングガン 左腕部ハイパー・ビーム・ジャベリン 改造ファンネル×12 3連装シュツルム・ファウスト |
搭乗者 | マリーダ・クルス |
クシャトリヤ・ベッセルングが、ネェル・アーガマのクルーによる本格的なサポートを受け、実戦投入を前提としてさらなる改修を受けた仕様[75]。ベッセルングが改修途中の形態であったのに対し、本仕様は改修案をいろいろ経てギミックを盛り込まれた改修終了形態として位置づけられている[85][86]。ベッセルング同様、小説版には登場しない。
ただでさえ予備パーツの調達がままならない本機において、頭部ユニットや、コックピット周辺など完全に喪失した装甲の復帰には、ネェル・アーガマに備蓄されていた連邦軍MSの予備パーツを加工して使用[75]。ベッセルングでは外されていた左前バインダーの外装も装着されている[87]。バインダー4基の完全復旧は叶わなかったが、欠損による総体的な軽量化と、大型プロペラント・ブースターの代用により推力重量比はむしろ向上しており、優れた機動性を図らずとも獲得している[75]。ただし、ベッセルングから引き継いだ右脚の仮設フレームは、オリジナルの脚部と異なり推進器を備えないうえ質量も異なるため、偏向推進機能は持たず、AMBACシステムとしても機能しづらい状態である[88]。攻撃面においては現場の意見が汲み上げられた結果、修復以前より武装が豊富になっており[75]、原型機とは方向性や性格の異なる機体となっている[87]。
ギラ・ズール GEARA ZULU | |
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型式番号 | AMS-129 |
所属 | ネオ・ジオン軍残党「袖付き」 ジオン共和国軍 |
製造 | アナハイム・エレクトロニクス社 |
全高 | 20.0m[92] |
本体重量 | 21.8t[92] 22.3t(親衛隊仕様機)[93] 27.3t(アンジェロ機)[94] 24.9t(エリク機)[95] |
全備重量 | 55.2t[92] 56.5t(親衛隊仕様機)[96] 61.4t(アンジェロ機)[96] 56.4t(エリク機)[95] |
装甲材質 | チタン合金セラミック複合材[92] |
出力 | 2,470kW[92] 2,670kW(親衛隊仕様機)[93] 2,870kW(アンジェロ機[94]、エリク機[95]) |
推力 | 62,100kg[97] 74,520kg(親衛隊仕様機)[96] 77,625kg(アンジェロ機)[96] 77,630kg(エリク機)[95] |
センサー 有効半径 | 18,200m(一般機[97]、親衛隊仕様機[96]) 19,200m(アンジェロ機[96]、エリク機[95]) |
武装 | ビーム・マシンガン ビーム・ホーク ハンド・グレネード シュツルム・ファウスト シールド 他(「武装・装備」「主な武装」を参照) |
搭乗者 | サボア ギルボア・サント クワニ アイバン セルジ・ヘルファー(親衛隊仕様機) キュアロン・マスカ(親衛隊仕様機) アンジェロ・ザウパー エリク・ユーゴ |
「袖付き」の主力MS。もともとはギラ・ドーガに代わる新生ネオ・ジオン軍の次期主力機として、AE社によって開発が進められていた機体である[98]。第二次ネオ・ジオン抗争の長期化に備えて開発されるが、本格的な量産体制が整う前に抗争が終結したため生産計画は棚上げとなる[92][注 12]。その後、「袖付き」の蜂起によりジオン再興の象徴としての主力機が必要とされ、ある程度のアップデートを経て生産が本格化する[92]。しかし、小規模な「袖付き」の台所事情や[100]、MSの運用能力も十分に満足いくレベルではないことから[99]、予定されていたスペックでの量産計画は承認されず[100]、基本的にはギラ・ドーガの発展強化更新型の範疇を逸脱するものではない[92]。しかし、ギラ・ドーガによる実績や数年間の技術の進展[92]、再承認のための入念な設計の見直しにより[100]生産性や整備性は設計当初より改善されており、比較的容易に改修・強化が可能な非常に扱いやすい機体として完成する[92]。また、外観は大きく変わっているものの中身は基本的にギラ・ドーガとほぼ同じであるため機種転換の必要もなく、装備類も共用が可能となっている[99]。しかしながら、対抗機でありながらマイナーチェンジで細かい改良が積み重ねられているジェガンに対してアドバンテージを築くのは難しく、またロンド・ベル隊ではジェガンとリゼルの連携運用が基本となっており、インダストリアル7での戦いでも本機は苦戦を強いられている[99]。
外観はオーソドックスなジオン・スタイルでまとめられているが[98]、これはネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルの未帰還による求心力低下を受け、組織の士気を高めるために採用されたともいわれる[101]。ガスマスクのような口元と、高機動型ザクIIを思わせる大腿部側面のメイン・スラスター・ユニット[93]が特徴[97]。手首と胸部には「袖付き」の由来であるエングレーブ風の装飾が施されており、部隊や階級によって装飾の模様および肩部スパイクなどの形状が異なる[98]。また、隊長機は額にブレード・アンテナが設置される。標準塗装はザクIIやギラ・ドーガと同様、濃淡グリーンを基調とする。
小説版では、従来機のOSを使い回すため、当時の連邦軍ではすでに採用が中止されていたアームレイカー式操縦桿を採用しているとされたが[102]、アニメ版では一般的なグリップ式に変更された[96]。
フル・フロンタル直属の親衛隊6名[105]に与えられた特別仕様機[93]。本仕様こそが設計段階における本来の標準スペックであるともいわれる[106][注 13]。
高機動を誇るフロンタルのシナンジュとの連携を図るため、大腿部メイン・スラスター(高機動型ザクIIR-2型を思わせるカバーが追加されている)をはじめとする推力の大幅な強化が図られ、バックパックはギラ・ドーガのプロペラント増加型の比推力を改善したものを装備し、長時間の作戦行動も可能となっている[93]。外観的には、両肩に大型のスパイク・アーマーを装備してより攻撃的になり、「袖付き」の装飾は親衛隊であることを示すために一般機より広範囲に施されている[98]。
本仕様は「袖付き」の中でも出撃回数が非常に多いにもかかわらず、撃墜スコアは微々たるものであったとされるが、これは戦場で先陣を切るフロンタルへの介入を親衛隊隊長が禁じたためといわれる[93]。しかし、攻撃に転じれば一騎当千と形容され、敵軍から恐れられたという[93]。
親衛隊隊長であるアンジェロ・ザウパー大尉の専用機。親衛隊仕様機にパーソナル・カラーである紫を基調とした塗装が施され[98]、胸部の装飾も異なる。ブレード・アンテナと重装用バックパックを装備する。
『機動戦士ガンダムNT』に登場する、ジオン共和国軍のエリク・ユーゴ中尉の専用機。親衛隊仕様機をベースとしているが[109]、頭部のひさし、胸部の装甲形状と装飾、肩部スパイク・アーマーの端部やフロント・スカート端部の形状といった細部が異なり[109]、全体的に筋肉質で力強いイメージで作画されている[110]。アンジェロ機と同様に指揮官用のブレード・アンテナと重装用バックパックを備えるが、ブレード・アンテナの形状はアンジェロ機と異なり、ヤクト・ドーガ(ギュネイ・ガス機)のように大小2本で構成されたものとなっている[109]。塗装はエリクのパーソナル・カラーであるダーク・ブルーを基調とする[109]。
「袖付き」が地球侵攻に備え、AE社に開発を委託した水陸両用MS[113][注 14]。「袖付き」は局地専用MSの開発に消極的であったが、ギラ・ズールの総合性能が極めて高く、そのコンセプトが名機であるザクIIに近いことから、例外的に同機をベースとした局地専用機の開発案が複数提示されたと言われており、本機もそのひとつである[113]。基本フレームはベース機と同一であるが、水圧軽減のための外装の改修や水中用の増加装備により、長時間の水中行動と、水陸ともに高い機動性を得ている[113]。内装部品は地上での運用に対応したものに改められている[114]。塗装は濃淡シー・ブルーを基調とする。
地球のジオン残党軍に補充用のギラ・ズール1機およびパイロットを含む数名とともに2機が送られ、不時着した「袖付き」の友軍の救援を依頼している[114]。
アニメ版では、トリントン基地襲撃において2機が参戦。シャンブロとともに基地へ向かう途中、海中で2機のアクア・ジムを撃破する。その後、ザク・マリナーやカプールらとともにトリントン湾岸基地に上陸。水中用装備を外したあと、基地に配備されていたジムIIらと交戦。当初はジオン残党軍らとともに連邦側を圧倒するも、バイアラン・カスタムとの戦闘で1機は両腕を切断され、もう1機は体当たりでビルに叩きつけられる。
漫画『『袖付き』の機付長は詩詠う』では、アニメ版で両腕を切断された機体は「袖付き」のアヴリル・ゼック中尉 、ビルに叩きつけられた機体はカークス隊のテッセラ・マッセラ中尉が搭乗していたとされる。それ以前のダカール襲撃で初陣を飾り、水中から上陸部隊の援護をおこない、練度の高いパイロットが搭乗する水中型ガンダムとアクア・ジムに苦戦しつつも作戦を成功に導く。トリントン基地戦では2機とも脱出し、海岸の洞窟にあるカークス隊基地へ帰還。その後、同基地を襲撃する海賊との戦闘では残存装備をアヴリル機に集中して出撃、主戦力として活躍する。殿として戦う最中に因縁深いバイアラン・カスタムと遭遇するが、共闘する形で海賊を殲滅し、無事に脱出を果たす。
小説版では、ダカール侵攻においてその中心人物であるマハディ・ガーベイと、シャンブロの支援に3機が提供される。海中でアクア・ジム数機を撃破するが、地上での連邦軍トライスター隊との交戦によって2機が撃破される。残る1機はトリントン基地襲撃に参加するが、その後の去就は不明。
デザイン面では、両肩アーマー内側のスラスターは小説版の設定画にはなかったが、アニメ版で追加された。
第一次ネオ・ジオン抗争でネオ・ジオン軍に運用されたハンマ・ハンマのコンセプトを昇華させて開発した機体[98]。先述の大破したギラ・ズール(アンジェロ機)[120](親衛隊仕様機[121])のフレームを流用して建造される[120]。
設計の着手は宇宙世紀0095年、旧アクシズ残党の人物の提案に端を発するとされる[120]。設計当初からシナンジュの予備パーツの流用が決定しており[118]、コックピット周辺に組み込まれたサイコフレームの構成も[122]そのまま採用されている[118]。いわゆるサイコミュ搭載機ではあるが、本機はニュータイプではない一般兵の搭乗を前提としており、準サイコミュ装置も組み込んだサイコミュ技術のハイブリッド・タイプ(サイコミュ複合搭載型MS[120])として完成する[118]。サイコフレームには一般人の微弱な感応波も感知できる機能があり、その特性を機体制御に特化させ、攻撃面では準サイコミュに総合的な火器管制を担当させている[118]。また、ユニコーンガンダムに対する「切り札」としても開発されており、対ユニコーンガンダム用の兵装としてサイコ・ジャマーを装備する[118]。
本機はバラをモチーフにデザインされている[122]。機能よりも親衛隊機としての意匠を重視した構造で[120]、肥大化した両肩・両腕とハイヒール状の両足により、トップ・ヘビーなバランスの外観となっている[115]。特に両足部は原型機から構造が大きく変更され、AMBAC作動肢として優れた機能を有する反面、1G環境下での歩行には適さず、オールレンジ攻撃を主体とした空間戦闘を重視した設計となっている[120]。なお、背部のプロペラント・タンクや[115]、コックピットのリニア・シートはシナンジュと同型である[120]。
ローゼン・ズールは5月2日にネェル・アーガマを脱出するため右前腕部を自損したことから、応急修理を施されて本仕様となる。失った右前腕部にシールドを接合して機能を補い、これに関連してインコム関連機器を除去したことで、通常仕様に比べて全備重量が20t近く軽くなっている[123]。インコムのひとつを失ったことによる機能低下は否めなかったものの、5月3日に展開されたインダストリアル7宙域における決戦では他を圧倒する性能を発揮している[123]。
漫画版『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』に登場。サイコミュ高機動試験用ザクのコンセプトを宇宙世紀0096年の技術レベルで再現した機体で、親衛隊仕様機を母体として開発された。
通常の腕部を残したまま肩部にメガ粒子砲を内蔵した有線式遠隔兵器となる大型の腕部を追加、下半身は機体名称にある「クラーケ(タコ)」を連想させる8本の大推力スラスターユニットに換装といった改修を経て、その加速性能や機動性は巡航形態のデルタプラスに追従可能なものとなっている。機体本体以上の大きさを持つ、長距離航行用の大型プロペラント・ブースターを背部に装着する場合もある[106]。
本機はほぼ技術試験機であったが、当初からデータ収集が即実戦データとなることを前提として開発され、アンジェロ・ザウパーがテストパイロットとなり、機体色を紫としている。アンジェロが本機のテストパイロットとなったのはローゼン・ズールへの機種転換を円滑に行うためであったともされている[106]。
『UC バンデシネ』においては、パラオ攻略戦に参戦して後のラプラス史跡でユニコーンガンダムと交戦し、細切れにされている。
アニメ版の外伝漫画『機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う』においても、アンジェロによって運用はされていた、とある。ローゼン・ズールの存在を知らない賊によって「新型」と誤認されて奪われそうになっており、その際にスポッターによって運用されている。
航宙貨物船。全長146メートル(小説版では全長112メートル[124])、最大貨物積載量500トン以上[124]、搭載可能MS数4機、クルーは33名(ミネバやバナージを除く)[125]。かつてはどこの運輸会社でも運用していたが、宇宙世紀0096年では旧式にあたる[124]。空力に配慮した三角錐状の船体は大気圏内での飛行能力も有し、宇宙と地球の往還輸送便としても機能する[124]。「リバコーナ貨物」という民間の運輸会社に登録されているが[124]、実際は「袖付き」の船でありクシャトリヤやギラ・ズールなどのMSを搭載している。通常は非武装だが、ガルダとの戦いではスキウレ砲や搭載MSが装備する武装を使って戦闘を行っている。艦長はスベロア・ジンネマン。
「ラプラスの箱」の引き渡しに関わったことをきっかけにユニコーンガンダムと深く関わることになり、中立の立場で様々な陣営を転々とするバナージと敵対したり協力したりと立場を変えながらも行動を共にする。最終的には無人で操縦され、(原作では連邦軍と「袖付き」双方に対して、アニメ版では連邦軍に対しての)囮となって自沈する。
漫画『MSV-R 虹霓のシン・マツナガ』では、一年戦争時にジオン公国の貨客船としてサイド3からソロモンへ向かう同型艦が登場する。ただし各部の小さな翼状のものはなく、細部の形状も異なる。
以下の兵器はリンク先を参照。
「袖付き」に協力する。小説版のみに登場し、アニメ版には登場しない。リンク先を参照。
すべて一年戦争時以降、地上に潜伏していたジオン公国軍の残党であり、シャンブロ以外のほとんどが過去作品に登場した機体だが、本作独自の改修がなされたものや完全に新規のバリエーションも存在する。「袖付き」とは協力関係にあり、シャンブロのみ機体に同様の装飾が見られる。
シャンブロ SHAMBLO | |
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型式番号 | AMA-X7 |
全高 | 31.8m(陸上戦闘形態)[126] |
全長 | 77.8m(水中巡航形態)[126] |
本体重量 | 196.8t[126] |
全備重量 | 283.9t[126] |
装甲材質 | ガンダリウム合金[126] |
出力 | 21,460kW[126] |
推力 | 226,480kg(ホバー)[126] |
センサー 有効半径 | 12,800m(陸上)[126] 240km(ソナー水中)[126] |
最高速度 | 142km/h(陸上)[126] 36kt(水中)[126] |
武装 | 大口径メガ粒子砲 拡散メガ粒子砲✕2 リフレクター・ビット×12 大型アイアン・ネイル×2 |
搭乗者 | ロニ・ガーベイ (小説版・漫画版は 「劇中での活躍」を参照) |
カトキが福井に提案して誕生した機体である[126]。コックピットは佐山善則がエルメスを参考にデザインした[127]。
アクシズ(ネオ・ジオン)軍によって、来たるべき本格的な地球侵攻を主眼に置いて設計が進められた水陸両用型のMA[128]。水中用MAをNT専用機化するという計画は、一年戦争時からグラブロ試作水中ビット搭載型などで検討されており[129]、その技術的影響のもとにノイエ・ジール、アハヴァ・アジールから連なるアクシズ系MAの技術、さらに連邦系のサイコガンダムMk-IIからリフレクター・ビットが組み込まれている[130]。アクシズの壊滅によって試作機すら制作されることなく開発計画は頓挫するが、その設計案は連邦の手に渡ることなく、地球に潜伏するジオン残党軍によって6年の歳月をかけて完成される[128]。このため、フロンタルは本機を「ハマーンの遺産」と称している。開発過程において「袖付き」の技術供与を受けており、当初の予定よりもはるかに高い性能を有している[128]。
推進機関は複合型を採用[128]。両肩に内蔵されている[131]MHD(電磁流体誘導[128])推進システムと[126]、両腕部に内蔵されている[131]小型ミノフスキー・クラフト(ミノフスキー・クラフト・エンジンとも[132])を併用した潜航・浮上システムにより、水中での高い静粛性と機動性を獲得している[126]。ミノフスキー・クラフトによるIフィールドでイオン化した海水を機体の「保護膜」とすることで、潜航時の水中抵抗を大幅に低減する[131]。陸上においてもホバー推進とミノフスキー・クラフトを併用し、見かけによらぬ俊敏さを発揮する[126]。カラーリングは赤茶色[133]を基調とする。
当初の計画では、NT能力をもつパイロットを防御の基点とし、複数の人員で管制をおこなうNT用MAとして設計されるが、「袖付き」よりもたらされたサイコフレームの採用により、操縦・火器・索敵・防御をすべてNTパイロットのみでまかなえるようになっている[128]。サイコミュ起動時は、コックピットのシートを取り囲むように配置されたシリンダー状のサイコフレームを展開することにより、パイロットの思念波を著しく増幅させる[128]。パイロットの精神状態などに応じて、上部からリングがパイロットに被さるように降下し、機体との同調率を調整する[134]。シートの正面に向かい合うようにもう1席のシートが配置されているが、これは操縦用ではなく、精神に激しい負担がかかるパイロットの状態をモニターするためにマハディの指示により設けられたものである[128]。
小説版では、ジオン・シンパの援助[135]と技術供与を受けて[126]、ネオ・ジオン軍の開発計画をもとにガーベイ・エンタープライズ社が開発したとされる。サイコフレームが搭載されている描写はなく、攻撃オペレートを兼ねる機長席と、その手前に操縦・索敵・防御をつかさどる3つのオペレーター席が並んでいる[131]。漫画版では、アニメ版のモニター席が操縦席となっており、うしろ向きの状態で操縦する。
漫画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』では、火星のジオン残党軍「ジオンマーズ」でも水中用MAヘリオス・マリナーを開発しており、これらによって蓄積されたデータや技術が本機の開発および完成に繋がったとされる[129]。
以下の兵器はリンク先を参照。
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