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架空世界 ウィキペディアから
コズミック・イラ(Cosmic Era=C.E.)は、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズにおける架空の紀元である。
公式年表における出来事、および年号等は設定制作スタッフの一人である吉野弘幸が担当した。吉野はインタビューに際し、監督である福田己津央から遺伝子操作された人類と旧人類の戦いという大まかな背景は渡され、その両者が戦う経緯を考証したという。紀年法の「CE」という単語は当時、吉野が業務に使用していたジョナルダ680に使用されていたOSであるウィンドウズCEから着想を得て、かつてガンダムに使用されていた「センチュリー」を用いらない形でコズミック・イラと命名されたという[1]。尚、ガンダムシリーズの作品世界を同一世界線上のものとして扱う黒歴史の中に、このコズミック・イラも包含される[2]。
再構築戦争(Reconstruction Warまたは第三次世界大戦)の終結と同時にそれまでの国家の枠組みが大きく変わった事を機会に、国連の主導下で新暦として統一暦「コズミック・イラ(C.E.)」が制定された。尚、元年と設定されたのは「最後の核」(中央アジア戦線で使用された核兵器)が使用された年であり、制定時がC.E.9年となるためC.E.1-8年は歴史上にしか存在しない[3]。
西暦年代末に各地で民族紛争や宗教紛争が激化し、なおかつ石油資源の枯渇や環境汚染の深刻化、世界不況が起こり、世界各地で代表勢力による分割が行われ、世界各地でブロック化が進む[3]。
C.E.1年には中央アジア戦線(カシミール地方)において核兵器が使用される「最後の核」と呼ばれる事件が起こる[3]。
C.E.9年にR.C.Warが終結。
以上の11の国家が誕生する。
世界大戦により建造が凍結されていた第四世代国際宇宙ステーション「世界樹」の建造が再開し、C.E.11年に完成[3]。
C.E.10年にはコロニー構想が本格化し、月面に資源採掘・組立基地として月面基地「コペルニクス」市の建造開始。C.E.12年に建造を完了し、初の一般居住が可能な月面都市となる[3]。
大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国が宇宙軍を設立[3]。
C.E.15年、ファーストコーディネイターであるジョージ・グレンが自身が設計した大型宇宙探査船「ツィオルコフスキー」で木星へ旅立つ直前、今までの自らの成功が自らが遺伝子を改造された者だから出来たと言う事を暴露し、コーディネイターの製造方法を世界中にネットワークを通じて公開した[3]。
しかし、地球はコーディネイターの是非を巡り、大混乱に陥る。自然環境圧力保護団体「ブルーコスモス」はコーディネイター技術に関して、アズラエル財閥支援の元で反意を表明[3]。
C.E.16年、地球連合の前身である国際連合が開いた「国連遺伝子資源開発会議」の議決により採択。以後、国際連合加盟国は本議定書の効力により、合法的にはコーディネイターを生み出す事が不可能となった。しかし、極秘裏にコーディネイターを誕生させる者達は後を絶たず、C.E.17年にはコーディネイター生成を行っていたシカゴの病院が焼き討ちに遭い、医師・看護士、入院患者らが虐殺される(ブルーコスモスの関与が噂されたが、真相は不明)。
ジョージ・グレンの処遇に関しては即決せず、帰還後に決定[3]。
C.E.22年、ジョージ・グレンが、木星探査中に、明らかに地球のものでは無い生物の化石を発見。地球外生命体のエビデンス(証拠)とされている。ナチュラル、コーディネイター双方を問わず、特に生物学者達にとっては生物の進化の可能性を確信させる存在となっている。その後、エヴィデンス01はL5の研究コロニー「Zodiac」へ運ばれて詳細な調査が行われた[3]。
C.E.30年に各宗教界の権威者が一堂に会し、コーディネイターに関する議論を行うがまとまらず、宗教界は権威失墜。以後、コーディネイター寛容論が世界に蔓延。第一次コーディネイターブームが到来[3]。
しかし、C.E.40頃になると極秘裏に精製されたコーディネイター達が、学術・スポーツ・芸術の各方面で成果を上げ始めると、「ヒト」としての能力差が顕著となり、ナチュラルの反コーディネイター感情が悪化を始める。狂信的カトリックやイスラム原理主義過激派、ブルーコスモス構成員等の武装遺伝子差別主義団体が地下で結集し、反コーディネイター運動が過激化。C.E.44年に完成し、建造拡大が行われていたプラントにも反コーディネイターのテロ行為が発生する様になる[3]。
C.E.50年、パトリック・ザラ、シーゲル・クラインらプラントのL5コロニー建設に従事してきたコーディネイターの有志によって、プラントの自治権、貿易自主権を求める政治結社「黄道同盟Zodiac Treaty」が結党される。食料生産制限撤廃と自衛権獲得を求める活動も地下的に開始[3]。
C.E.53年、コーディネイターに生まれなかった事を悲観したナチュラルの少年の銃撃によりジョージ・グレンが暗殺される[3]。
C.E.54年、S型インフルエンザの突然変異により発生し従来のワクチンが無効なS2型インフルエンザの流行が始まり、多数の死者を出す。S2型インフルエンザウイルスの蔓延は、コーディネイターがジョージ・グレン暗殺の報復及びナチュラル殲滅のためにおこなった作戦であるという噂が広まった[3][注 5]。
C.E.55年10月29日、プラントのフェブラリウス市、S2型インフルエンザのワクチン開発に成功。増産のうえ地上への供給開始。しかしナチュラルの反コーディネイター感情は収まらず、在地球コーディネイターのプラント移住が本格化する[3]。
C.E.58、後に議長となるシーゲル・クラインとパトリック・ザラ、プラント評議会議員に初当選。同時に、黄道同盟の党勢拡大も進める[3]。
S2インフルエンザの流行を「神の鉄槌」とした宗教界が権威を復権。地球はコーディネイターアレルギーを再発し、C.E.55年に「遺伝子改変禁止に関する協定」(通称「トリノ議定書」)が採択され、遺伝子操作は再び法律で禁止される[3]。
C.E.63、シーゲル・クライン、パトリック・ザラらを初めとする評議会議員らが水面下で理事会からの独立運動計画を本格化させ、宇宙機器モビルスーツの軍事転用の研究を開始[3]。
C.E.65年、プラント最高評議会の政権与党、黄道同盟がさらなる党勢拡大のうえ発展する形で、自由条約黄道同盟ZAFT(ザフト)が改めて結党された。同時に、史上初のモビルスーツ試作第1号「ザフト」が秘密裏にロールアウト。これが後に「YMF-01B プロトジン」に発展する[3]。
C.E.68年、シーゲル・クラインがプラント最高評議会議長に就任[3]。
同年、マンデンブロー事件でナチュラルから受けた被害をきっかけに勢いづくパトリック・ザラは、純然たる政治結社であった既存のZAFTを解体再編しプラント内の警察保安組織と合併、モビルスーツを主戦力とする軍事組織でもあるZAFTが新たに創立並びに建軍された[3]。
同年、L4コロニー「メンデル」で大規模なバイオハザードが発生し死者多数。同コロニーは無人となりX線照射消毒が図られる。ユーレン・ヒビキ博士が勤務していたG.A.R.M. R&D社倒産。L4コロニー「メンデル」にあった同社所有の研究所施設は放置状態になる[3][注 6]。
C.E.69年、シーゲル・クラインの指示により、プラントはユニウス市の7~10区(ユニウスセブン~10コロニー)を穀物生産プラントに改装し食料生産を開始。これに対しプラント理事国は実力を行使してもこれを排除すると勧告しプラントに対し威嚇行動に出る。ザフトはこれに対抗する形で史上初の戦闘用MSジンを実戦投入する。圧倒的少数でありながらプラント理事国のMA部隊を圧倒し、L5宙域に駐留していたプラント理事国の宇宙軍を排除する事で、その有効性を世界に見せ付けた。対して、大西洋連邦軍のデュエイン・ハルバートン大佐は、地球軍も独自のモビルスーツを開発するよう提唱するが、却下される(ただし、一部議員の支援を受けてG計画は極秘裏に開始される)[3]。
C.E.69年までに地球・プラント間での話し合いが行われるが、平行線となる。C.E.70年1月1日までに回答が得られない場合、プラントは地球側に対して資源輸出の停止を通告し、緊張が激化する。翌C.E.70年1月1日に未開理事会への回答に向かう評議委員がテロに合い、1名が死亡。ブルーコスモスから犯行声明が出されるが、背後にプラント理事国の存在が明らかになり、プラント側は報復措置として地球側への物資輸出を停止。プラントの生産力に頼っていた理事国側は困窮し、各政府の宣伝活動により反プラント・反コーディネイター感情が植えつけられる[3]。
C.E.70年2月5日、国連事務総長の呼びかけにより緊張が高まるプラントとプラント理事国の間で交渉が持たれる(月面会議)が、爆弾テロ(犯人の詳細は不明)により会議参加予定の地球側理事国の代表者と、国際連合事務総長を含む国際連合首脳陣が死亡した事件[3]。
なお、同じく会議に参加する予定であったプラント代表のシーゲル・クラインは、シャトルの故障により到着が遅れていたため難を逃れた[3]。
C.E.70年2月7日、理事国代表である大西洋連邦は「コペルニクスの悲劇」をプラント側によるテロと断定、同時にこれを地球各国及びナチュラル全体への宣戦布告と見なすと発表。先の事件によって崩壊した国連に代わる新たな国際調停機関として地球連合が設立された[3]。
C.E.70年2月8日、オーブ連合首長国代表、ウズミ・ナラ・アスハによる中立の宣言。今後いかなる事態が起ころうとも、オーブは独立・中立を貫くと宣言し、「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない」を理念とする[3]。
第1次連合・プラント大戦[28] | ||
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戦争:第1次連合・プラント大戦 | ||
年月日:C.E.70年2月11日 - C.E.72年3月10日 | ||
場所:地球各地(アフリカ、オーストラリア、地中海、台湾、アラスカ、オーブなど)、宇宙各地(月、L5宙域、L4宙域、世界樹など) | ||
結果:地球連合とプラント間でユニウス条約締結。プラントが自治権を獲得。 | ||
交戦勢力 | ||
地球連合 大西洋連邦 ユーラシア連邦 東アジア共和国 南アフリカ統一機構 南アメリカ合衆国 赤道連合 スカンジナビア王国 |
プラント 大洋州連合 アフリカ共同体[注 7] |
オーブ連合首長国 三隻同盟 |
指導者・指揮官 | ||
オルバーニ アーヴィング ムルタ・アズラエル ウィリアム・サザーランド |
シーゲル・クライン パトリック・ザラ アイリーン・カナーバ |
ホムラ ウズミ・ナラ・アスハ ラクス・クライン |
『機動戦士ガンダムSEED』をはじめ、その関連作品で描かれた人類史上初の地球と宇宙、そしてナチュラル陣営とコーディネイター陣営を分けた大規模な戦争。
戦名は時期によって変遷しており、「第一次大戦」[30]とも呼称されていたが、後に、「第1次連合・プラント大戦」とも記述されている[28]。
C.E.70年2月11日、地球連合がプラントに宣戦布告。月面プトレマイオス基地から地球連合軍の宇宙艦隊出撃。この際、モビルアーマー母艦「ルーズベルト」に、とあるブルーコスモス派将校(漫画版『機動戦士ガンダムSEED Re』の描写ではウィリアム・サザーランド)の独断で極秘に1発の核弾頭ミサイルが持ち込まれた[3]。
プラントの農業用コロニー「ユニウスセブン」が、地球軍側MAの放った核ミサイルにより壊滅した事件。C.E.70年2月14日の聖バレンタインデーに起こったため、血のバレンタイン事件と呼ばれる[3]。
C.E.70年2月14日、ザフト、地球軍プトレマイオス基地艦隊及び艦載モビルアーマー「メビウス」部隊の攻撃をモビルスーツ部隊によって迎撃し、これらを殲滅する。しかし、「ルーズベルト」に1発持ち込まれていた核ミサイルを搭載して発艦した「メビウス」は攻撃行動に成功し、これがユニウスセブンに命中した[3]。
これにより、パトリック・ザラ国防委員長の妻レノア・ザラを含む24万3721名の人々が犠牲となり、ザラ委員長を筆頭とするコーディネイター強硬派の敵意と憎悪は頂点に達し、オペレーション・ウロボロスに代表される報復攻撃を招いた[3]。
以降、地球連合軍とザフトの戦争は地球圏全土を巻き込む大戦へと拡大する事になった。地球軍は核攻撃を否定し、プラント側の自爆作戦と非難した[3]。
C.E.70年2月18日、プラント最高評議会議長シーゲル・クラインによる、地球連合非参加国には優先的に物資を提供する「積極的中立勧告」の声明を非プラント理事国である大洋州連合と南アメリカ合衆国が受諾した[3]。
これを受け地球連合は翌2月19日、南アメリカ合衆国に武力侵攻を開始、パナマ宇宙港を軍事制圧し南アメリカ合衆国を大西洋連邦に併合した[3]。
なお、このさらに翌20日には大洋州連合は地球連合軍の中南米侵攻を批判すると共にプラント支援を表明し「親プラント国家」になった。同日、地球連合軍は大洋州連合に対し宣戦布告を行った[3]。
血のバレンタインから約1週間後のC.E.70年2月22日、地球連合軍の月への橋頭堡であるL1のスペースコロニー「世界樹」で起きた地球連合軍とザフトの攻防戦[3]。
地球軍はこの戦いに第1~第3艦隊を投入し、ザフトと激しい戦いを繰り広げた。なお、この時に核分裂抑止能力を有する「ニュートロンジャマー」が試験投入され、成果を上げている。戦闘そのものには双方が拮抗し、両軍ともに大きな損害を被るが、最終的に「世界樹」は崩壊し、デブリベルトの塵と化した事で戦闘は終息した[3]。
この攻防戦においてジンで出撃したラウ・ル・クルーゼは、MA37機・戦艦6隻を撃破し、ネビュラ勲章を授与されている[3]。
C.E.70年3月8日。ザフトの地上侵攻戦(食糧確保の目的もあり)初の軌道上からの地上降下作戦としてビクトリア湖を干拓して造られた宇宙港とマスドライバー施設「ハビリス」に侵攻した戦闘[3]。
ザフトでは初めて軌道上からの大降下作戦が実施されたが、地上戦力の支援が無かったためにザフトの敗退に終わり、これを踏まえプラント最高評議会では「オペレーション・ウロボロス」を立案、採択された[3]。
ザフトは第一次ビクトリア攻防戦の失敗を考え、以下の3つの柱から構成される赤道封鎖作戦「オペレーション・ウロボロス」を立案する。
この作戦はC.E.70年3月15日にプラント最高評議会で可決され、4月1日に発動した。また、採決と同時にプロパガンダ的な意味を込めシグー、ディン、バクゥ、ザウート、グーンなどの複数の新型MSも公開し、全世界に発表された[3]。
C.E.70年4月1日、オペレーション・ウロボロスの一環として地上に散布されたニュートロンジャマーの影響から、地球圏で発生したエネルギー危機を指す名称[3]。
この影響は文献によって一定しておらず、吉野弘幸たちが中心となって製作された公式年表では地球連合国家が窮乏し、深刻なエネルギー危機が発生したとされているが[3]、その一方で、外伝作品である『SEED DESTINY ASTRAY』では、核分裂炉の原子力発電をエネルギー供給の主としていた地上では、それらが使用不可能となり、同時にNジャマーの持つ電波妨害作用から地球全土での深刻なエネルギー不足と情報網の寸断、核分裂発電停止により発生した深刻なエネルギー問題から、地上のあらゆる産業は麻痺し、社会システムが崩壊寸前にまで追い込まれたとしている[31]。
また、ザフトではこのニュートロンジャマーを背景として友好姿勢を持つ地球国家に対してエネルギーの輸出を表明し、連合による対プラント・プロパガンダを牽制する外交手段としたともされている[32]。
これによって地球連合国家は深刻なエネルギー不足となり、文献によっては被害者は全人口の10%にあたる約10億人にのぼったとされ[14]、地球連合加盟国における人々の反プラント、反コーディネイター感情は最高に達した[33][注 8]。
なお、大戦中より戦後にかけての地球復興の一環として、核発電の代替として発電効率80%の太陽光発電が実用化・普及したことや、地下に有線通信を兼用するエネルギー送電網[注 9]が構築された[35] 事から、エネルギー・通信の問題は一応の解決を見ている[9][注 10]。
4月2日、エイプリル・フール・クライシスの混乱に乗じ、ザフトは大洋州連合のオーストラリア北岸に位置するカーペンタリアに向けて軌道上から基地施設を分割降下させ、48時間でカーペンタリア基地の基礎を建設した。これに対し地球連合軍の太平洋艦隊が迎え撃ったが大敗を喫した[3]。
ザフトはカーペンタリアへの補給方法として、衛星軌道で建造した潜水艦を降下させることで達成していた。降下地点は主にタスマン海とインド洋で、着水した潜水艦はトレス海峡やアラフラ海を抜けてカーペンタリア湾へと向かった[37]。
4月10日、地球連合海軍はタスマン海に降下した輸送潜水艦がカーペンタリアへの到達することの阻止を図った。地球軍はトレス海峡でザフトを迎撃する手筈であったが、通信と兵站の混乱により当初の予定とは違う第21ASW(対潜水艦戦)艦隊が正規ルートから外れて珊瑚海で迎撃に当たることとなった。第21ASW艦隊は旗艦をヘリコプター駆逐艦カンバーランドとし、同キングズビル、アストリア、ミサイル駆逐艦カナジアン、ブラッドフォードの5隻で構成され、少なくとも後者2隻は廃船間近の老朽艦であった。ニュートロンジャマーの影響で最新の原子力戦闘艦は使用不可能な状況に陥っていた[37]。
ザフトは輸送潜水艦の護衛機として水中用MSを実戦投入しており、マルコ・モラシム率いるMS部隊は潜水艦を守るため前進し、第21ASW艦隊に接近した。モラシムは新型試作機ジンフェムウスに搭乗しており、ジンワスプ3機を引き連れて対艦戦に当たった[37]。
戦闘はザフト側が終始優勢に推移した。第21ASW艦隊は対潜戦闘ヘリの聴音情報によりMS部隊を捕捉しアスロックを発射したが全弾が回避もしくは迎撃された。その後、ジンフェムウスはマスカーを放出してアクティブソナーを無力化し、MS部隊の位置情報を隠匿した。輸送潜水艦への攻撃のため突出したブラッドフォードとカナジアンはMS部隊の攻撃で戦闘不能に陥り、航跡情報を基に対潜戦闘ヘリがMSに魚雷攻撃したがこれも回避迎撃された。カンバーランド、アストリア、キングズビルは轟沈もしくは戦闘不能に陥り、対潜戦闘ヘリも全てが撃墜された[37]。
この戦闘で生き残った地球軍将兵は、キングズビルに所属する対潜戦闘ヘリパイロットのジェーン・ヒューストンだけであった[37]。
C.E.70年4月17日、地球連合軍第5、第6艦隊がプラント本国を目指し月面プトレマイオス基地より侵攻する。プラント管理下の資源衛星ヤキン・ドゥーエ付近にて、迎え撃つザフトと交戦を行った[3]。
これによりプラント最高評議会は、本国防衛の点から、ヤキン・ドゥーエを防衛要塞に改装する事を決議した[3]。
C.E.70年5月3日、ザフトは地球連合軍の月面プトレマイオス基地を目標に侵攻を開始し、月の裏側にあるローレンツ・クレーターに橋頭堡となる基地の建設を開始した。その結果、両軍はグリマルディ・クレーターを境界に月を二分し、以後小競り合いを繰り返す。このことから月の最前線はグリマルディ戦線と呼ばれるようになった[3]。
C.E.70年6月2日、エンデュミオン・クレーターに対しザフト軍は(当時としては)最新鋭のMS隊(ジン、ジンハイマニューバなど)を率いて進行を開始した。地球連合軍側は機動兵器メビウス・ゼロの精鋭部隊を投入し、徹底抗戦の構えを見せるが、防衛線で地球連合軍の第3艦隊は壊滅し、施設破壊のため、レアメタルの混ざった氷を融解するために設置していたサイクロプスを暴走させ、ザフトを撃破する。この際、巻き込まれた友軍にも多数の被害が出た。ザフトはこの敗退によりグリマルディ戦線を放棄し月から撤退し、月は地球連合軍の勢力下におかれる事になった。
この戦闘でメビウス・ゼロ部隊に所属しジン5機を撃破、さらにサイクロプスの暴走からも逃れ同部隊唯一の生還者となったムウ・ラ・フラガは「エンデュミオンの鷹」と呼ばれ喧伝される。実際は地球連合軍上層部がエンデュミオン・クレーターでの真相(ザフトに大敗したこと)を隠匿するためと、戦意高揚のために行ったプロパガンダである。その後ムウは口封じのため後方に追いやられ、ヘリオポリスへのG兵器テストパイロットの護衛任務などに回される。同様に生還したジェラード・ガルシアもアルテミスへ左遷させられた。また、この戦闘でムウはジンハイマニューバで出撃したラウ・ル・クルーゼと運命的な再会をしている。
C.E.70年5月2日、地球連合軍(ユーラシア連邦主力)の地中海艦隊とザフトのボズゴロフ級からなる潜水空母艦隊が衝突。この戦いで、水中用MSグーンが実戦初投入された。
地球連合軍は、ザフトがザウート部隊を地中海からエル・アラメインに上陸させるという情報を掴み、ユーラシア連邦陸軍のモーガン・シュバリエ大尉率いる大戦車軍団が迎撃のため現地の砂漠に展開した。現地には地雷が敷設され、リニアガン・タンクによる戦車部隊や戦闘ヘリ部隊が息を潜めて待ち伏せした。ザフトは南側にも展開していたが、地球連合軍は陸上兵器がカッターラ低地を通過できるとは考えておらず南側の戦力は最低限の状態であった[38]。
ザフト側の指揮官であるアンドリュー・バルトフェルドは、ザウートを鈍重ながら火力と装甲に優れることを考慮し囮部隊の役割を与えた。本隊はバルトフェルド自らが率いる陸上戦艦レセップス及びバクゥからなる部隊で、カッターラ低地を北上して囮部隊に誘引された地球軍を叩く作戦であった[38]。
ザウート部隊は上陸時に脚で行くか無限軌道で行くか意見が分かれたが、最終的には無限軌道形態での上陸を決定した。5月30日深夜、囮部隊が上陸を開始し、シュバリエ大尉の大戦車軍団との戦闘が始まった。戦車部隊の練度は高く、通信機能が制限されているなかでも、各兵士が状況を把握し高度な連携をみせた。ザウート部隊は大きな損害を被り、半数以上が行動不能に陥った[38]。
バルトフェルドの本隊はカッターラ低地を通過中にレセップスのスケイルモーターにトラブルが発生し到着が遅れたものの、バクゥ部隊はエル・アラメインに到着し囮部隊と合流を果たした。バクゥは持ち前の機動力を活かして戦車の砲撃を回避し、次々と戦車を撃破し戦況を一変させた[38]。
この戦闘で地球連合軍の車両が多く撃破されたものの、搭乗員の損害は軽微であった。これはバルトフェルドが企図した心理戦であり、バクゥの恐怖を生き残った地球軍将兵に喧伝してもらうためであった[38]。
戦闘はザフトの勝利に終わり、ザフトはビクトリア宇宙港を目指して南進を開始し、アフリカ戦線が形成されることとなる。
C.E.70年6月14日、L4の地球連合東アジア共和国領の資源衛星「新星」にザフトが侵攻、迎え撃つ地球連合軍との間で7月12日まで攻防戦が行われた[3]。
双方とも決定打のないまま小競り合いが1ヶ月近く続き、結局防衛を断念した地球連合軍側が新星を放棄する[3]。
ザフトはこの衛星を自軍の防衛用軍事衛星として改装しつつL5まで移送することを決定[3]。この新星の移送中、地球軍は何度かの奪還を試みザフトの護衛艦隊と交戦するもいずれも失敗。
この戦闘以降は両軍共に大規模な軍事行動が減少し、地上・宇宙も小競り合いに終始し、膠着状態に陥る。
膠着状態の打破、戦争の落としどころを踏まえて、マルキオ導師の呼びかけで地球連合事務総長オルバーニとプラント最高評議会議長シーゲル・クラインの秘密会談が画策される。しかし、交渉は決裂し、戦局への寄与は皆無に終結する[3]。
C.E.71年1月15日に太平洋・北回帰戦線が活発化し、ザフトは東アジア共和国のマスドライバー施設を有するカオシュン宇宙港の攻撃を開始[3]。
地球連合軍は防衛戦闘を繰り広げるが、ザフト軍の降下作戦もあり、同年1月23日にカオシュン宇宙港は陥落し、ザフトの占領下に置かれる。オペレーション・ウロボロスによる最初の宇宙港陥落となった[3]。
C.E.71年3月15日にマラッカ海峡で勃発したアークエンジェルとザフト部隊による戦闘(本篇・外伝ともに割愛されている、設定上のみの出来事)。撃退したものの多数被弾[3]。
その8日後の3月23日、ボズゴロフ級の故障で遅れていたクルーゼ隊属ザラ隊が追いつき、アークエンジェルに奇襲をかける(本篇第25話のコールドオープン)。しかしアークエンジェル側がオーブ連合首長国の領海侵犯を起こした事で戦闘は中断、ザラ隊も一時撤退した。
C.E.71年5月1日、マルキオ導師によりプラントへ同書が提出される[39]。
これは理事国がプラントに対し、ある程度の自治権を認めるものの、再び管理下に収まるというものであった[40]。
プラントの議会において同案は却下されている[39]。
C.E.71年9月11日、地球連合軍司令部はプラント本国攻撃を最終目標としたエルビス作戦を発動。極秘裏に各方面より戦力を月面プトレマイオス基地に結集させる[3]。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦後、月のファクトリーを失ったユーラシア連邦が手っ取り早くそれを補うため(軍上層部の一部がヴァレリオ・ヴァレリに唆されていた)オーブ宇宙ステーション「アメノミハシラ」に攻略戦を仕掛けた戦い。ユーラシア連邦はモーガン・シュバリエを指揮官とし、105ダガーとストライクダガーから成る30機のMS部隊を投入。モーガンはガンバレルダガーでロンド・ミナ・サハクのアストレイゴールドフレーム天ミナと交戦した。しかしモーガンにアメノミハシラを攻め落とす意志はなく、その意を理解したミナに敗れることで撤退の口実を作り、引き上げた。なお、この戦闘ではダンテ・ゴルディジャーニとエルザ・ヴァイスがユーラシアの傭兵として105ダガー(ソード装備)で参加している。
オーブ五大氏族のひとつキオウ家は、オーブを戦争に巻き込もうとする厄介事を秘密裏に「なかったこと」にする為の組織「ODR(オーダー)」を結成。謎の軍事組織「アンティファクティス」と暗闘を繰り広げる。
第2次連合・プラント大戦 | |
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戦争:第2次連合・プラント大戦 | |
年月日:C.E.73年10月2日 - C.E.74年 | |
場所:地球各地(中東、インド洋、ユーラシア西部、アイスランド、オーブなど)、宇宙各地(月、L5宙域、アーモリーワンなど) | |
結果:オーブとプラント間で停戦決議。 | |
交戦勢力 | |
地球連合 大西洋連邦 ユーラシア連邦 東アジア共和国 オーブ連合首長国 ロゴス |
プラント |
指導者・指揮官 | |
ジョゼフ・コープランド ウナト・エマ・セイラン カガリ・ユラ・アスハ ロード・ジブリール |
ギルバート・デュランダル |
ブレイク・ザ・ワールド、フォックストロット・ノベンバー(Foxtrot November)に端を発するプラントと地球連合軍による戦争。
連合・プラント共に、ブレイク・ザ・ワールドで被災した地域への救援を優先したことや、デュランダルのロゴス打倒宣言により、地球連合が大混乱に陥ったことから、第1次連合・プラント大戦のようなナチュラル陣営とコーディネイター陣営による総力戦とはならなかったものの、戦役の端緒となったブレイク・ザ・ワールドや、レクイエムやネオ・ジェネシスといった大量破壊兵器の投入により、地球・プラント共に前大戦を超える被害を出す結果となった。
資料によって「第2次連合・プラント大戦」[49]、「第二次大戦」と呼称される[30]。尚、『機動戦士ガンダムSEED』において描かれた第1次連合・プラント大戦とは異なり、この戦争の公式年表は公表されていない。
ファウンデーションとの戦い(仮称) | |
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戦争:ファウンデーションとの戦い(仮称) | |
年月日:C.E.75年 | |
場所:ユーラシア連邦、エルドア、ファウンデーション、プラント、月 | |
結果:地球上での核兵器炸裂。 | |
交戦勢力 | |
コンパス オーブ連合首長国 プラント |
ファウンデーション王国 ザフト反乱軍 |
指導者・指揮官 | |
ラクス・クライン カガリ・ユラ・アスハ ワルター・ド・ラメント |
アウラ・マハ・ハイバル オルフェ・ラム・タオ ハリ・ジャガンナート |
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