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ガンダムシリーズの登場兵器 ウィキペディアから
メビウス・ゼロ (MOEBIUS ZERO) は、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する、人型機動兵器モビルスーツ (MS) に並ぶ「ガンダムシリーズ」の主要兵器モビルアーマー (MA) に分類される架空の兵器の1つ。地球連合軍が特殊な能力を持つパイロット用に少数生産した機体で、本体の推進器を兼ねた4基の有線式遠隔誘導兵器「ガンバレル」を主兵装とする。アニメ本編より過去の戦いでパイロットと共に多くの機体が失われたとされ、劇中で登場するのは主要人物の1人「ムウ・ラ・フラガ」が搭乗する1機のみである。劇中ではメビウス零式(メビウスぜろしき)とも呼ばれている。
地球連合軍が開発した宇宙戦用MA。G兵器開発以前の地球連合軍において、ザフトのモビルスーツ (MS) と対等に渡り合うことができた数少ない兵器の1つであり、「ガンバレル」と呼ばれる4基の有線誘導式無人機を全方位に展開・制御することで、MAの弱点である旋回性能の低さをカバーしている。
技術的にはメビウスより1世代前の機体であり、方向転換は補助バーニアの噴射によって行われるため、メインスラスターの可動によって方向転換を行えるメビウスとは異なる[2]。機首部分は切り離しができる構造であり、突入艇として単独での大気圏降下が可能となっている。
ガンバレルをあつかうには突出した空間認識能力が不可欠であり、軍内ではその素質を有するパイロットの存在は希有だった。よって人材確保の困難さからこの機体は少数生産に留まり、以後は一般兵士向けの量産機であるメビウスの生産に切り替えられた[2]。
『ガンダムSEED MSV』では、ガンバレルをMSに搭載するため、メビウス・ゼロをベースにした小型MA兼ストライカーパックであるガンバレルストライカーが開発され、搭載したガンバレルダガーは大戦末期に戦果を挙げている。また、C.E.73年には直系の後継機であるエグザスが開発されている。
G兵器開発計画発動までの間、MSを持たなかった地球連合軍にとって、メビウス・ゼロはザフト軍のMSに対抗し得る唯一の戦力だった。3個小隊15機がグリマルディ戦線に投入されたが、エンデュミオンクレーターの防衛戦において、ムウ・ラ・フラガの搭乗機を除いて全滅した[4](彼自身はこの戦闘において活躍し、「エンデュミオンの鷹」という異名をつけられている)。これにより、ただでさえ希少な適性を有するパイロットを多数喪失したため、作中ではムウ機のみが登場する。
G兵器のパイロットとなる新兵達を乗せた輸送艦の護衛として出撃し、ジンを撃墜する。母艦の撃沈後、ラウ・ル・クルーゼの搭乗するシグーと交戦しながらヘリオポリスへ進入し、アークエンジェルと合流して、そのままアークエンジェルの搭載機となる。ヘリオポリス脱出後、追撃してきたクルーゼ隊との戦闘では、アークエンジェルとストライクを囮にし、ザフト軍に奪取された4機のG兵器を出し抜いて単機で敵母艦を強襲し、更に戻ってストライクの窮地を救う。以降、ムウの卓抜した技量によって、敵G兵器と対等に渡り合い、アークエンジェルの大気圏突入まで貴重な戦力として運用された。その後、ムウはスカイグラスパー、ストライクに搭乗したため、アークエンジェルが再び宇宙に上がってからも登場することはなかった。その後の本機の行方は定かではない。
『機動戦士ガンダムSEED』のコミックボンボン版では、最終決戦時、ムウはプロヴィデンスとの交戦の末、小破したストライクからメビウス・ゼロに乗り換え、有線式ガンバレルの特性を生かし機体ごとプロヴィデンスを拘束、ムウはキラ・ヤマトに自身ごとプロヴィデンスを撃たせ、共に消滅した。
C.E.71年2月14日にはすでに運用が開始されていた機体であるが[注 3]、同年6月2日のグリマルディ戦線においてメビウス・ゼロが大多数損失したことから、急遽大量生産が行われた[8][注 4]、開戦初期には地球連合宇宙軍の主力として活躍した[5]。
C.E.70年から71年におけるモビルアーマーとは「戦闘機並の機動力」、「単機で任務を完了し得る火力」、「攻撃を防ぐ重装甲」を有する汎用重戦闘機をコンセプトとしており、撃墜時の人材損失を考慮し一人乗りがメインとなっている[5]。
本機の両側に備えられた2連装のメインスラスターユニットは開発時すでに登場していたMSの構造を参考にされているため、フレキシブルに可動し、MAとして高い運動性を持つ。この点から、技術的にはメビウス・ゼロより1世代進んだ機体である[9]。
また、メビウス・ゼロに装備されていたガンバレルは特別な空間認識能力を持たなければ扱えないことから撤廃された[2]。その代わりに標準装備として機体前面に1対のバルカン砲を搭載。機体下部のウェポンベイに任務ごとに装備を換装し対応する[5]。換装バリエーションは、機体中央のモジュールに1門のリニアガンと機体下部に4発の対艦用有線式誘導ミサイルを持つ「ノーマルタイプ」と、機体下部に核ミサイルを装備した「ボンバータイプ」の二種が主に登場するが、他にも試作も含め幾つかのバリエーションがある[注 5]。
しかし、ザフトのMSと交戦した際はその運動性で至近距離まで肉薄され、装甲をMA-M3 重斬刀で両断される事態も発生した[注 6]。そのため、ザフトのジンとの戦力比は3:1から5:1[10](劇中ではそれ以上と一方的)となっている。
C.E.73年時点においても二線級ながらも実戦投入が確認されているが、次世代機であるユークリッドへと機種換装が進み随時退役していると見られる。第1次連合・プラント大戦後期に入ると、対MS用兵器としての任務はMS「ストライクダガー」に譲られたが、宇宙戦闘機の発展兵器としての後継機は「コスモグラスパー」であるとされている[11]。
核爆弾のボンバータイプはNジャマーによって核ミサイル自体を使えないため使用されなくなった、Nジャマーキャンセラーがラウ・ル・クルーゼの手によってフレイ・アルスターを通じてムルタ・アズラエルの手に渡って地球軍で核運用が可能になり次第、復活している。
劇中では、ジンにバックを取られ後方から撃たれたり、馬乗りにされ零距離から撃たれ撃墜されるシーンが頻繁に見られ、G兵器に対してはビームライフルによっていとも容易く撃破されていた。『機動戦士ガンダムSEED』第1話ではヘリオポリス防衛のため駐屯していた連合軍の機体がジンと交戦するも、撃破されている。 さらに『機動戦士ガンダムSEED』第12話では(4機のG兵器を含むとはいえ)ザフト軍の20機程度のMS部隊によって、100機近くのメビウスで構成される地球連合軍第八機動艦隊(放映当初の設定では、これでやっと戦力が拮抗するかどうかという状況)が壊滅させられた。
しかし、大戦末期のボアズ攻防戦では連合軍もMSを実用化したことで得意とする一撃離脱戦法に徹することが可能となり活躍。また「ドゥーリットル」以下3隻のアガメムノン級に搭載された核攻撃部隊「ピースメイカー隊」(前述のボンバータイプ)がボアズを核攻撃によって壊滅させるなど活躍した。
『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』、『機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY』では、叢雲劾やカナード・パルスが搭乗しているほか、ミラージュコロイドを装備した機体も登場する。劾が搭乗した際には、ロウのガンダムアストレイの奇襲をかわして反撃でダメージを与えるなど、搭乗者の腕次第ではMSとも渡り合える性能を持つことがわかる。
『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY B』ではミラージュコロイドを搭載した実験機が登場し、ブルーフレームと交戦した[15]。
エグザス Exus | |
---|---|
型式番号 | TS-MA4F |
全長 | 20.11m |
重量 | 45.39t |
武装 | MAU-M3 2連装リニアガン GAU-M2S 38.5mm機関砲 M54アーチャー 4連装ミサイルランチャー M16M-D4 ガンバレル (GAU-868L2 2連装ビーム砲) (DE-RXM91Cフィールドエッジ「ホーニッドムーン」) |
搭乗者 | ネオ・ロアノーク モーガン・シュバリエ |
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』以降に登場。メビウス・ゼロの後継機として開発されたガンバレル搭載型MA[16]。ゼロ同様、ガンバレルの操作には高い空間認識能力を必要とし[16]、事実上ネオ・ロアノークをはじめとした極少数のエースパイロットの専用機となっている。メビウス・ゼロの武装が実弾だったのに対し、本機の武装の多くはビーム兵器となっており、攻撃力は大きく上昇。PS装甲装備のモビルスーツにとっても脅威の相手となっている。ガンバレルは1基につき1対のビームカッターを持ち、従来のメビウス・ゼロには無い高度な格闘戦能力を有しているが、やはり宇宙空間でしか運用できない。
専用機によってパーソナルカラーが存在しており、ネオ・ロアノーク機は紫、モーガン・シュバリエ機は青となっている。
第81独立機動群ファントムペインによるアーモリーワン襲撃作戦において、ネオ・ロアノーク搭乗の機体が、ザフト軍MSを多数撃破し、インパルスとの戦闘では圧倒する活躍を見せた[注 7]。その後、デブリベルトでの戦闘において、ザクファントムと交戦し、ガンバレル2基を消失した。その後、ファントムペインの活動が地球に移り、二度と宇宙へと上がること無く壊滅したためこれ以降は登場していない。また、母艦のガーティ・ルーは月面ダイダロス基地を脱出する際、レジェンドの攻撃を受けて撃沈したため、その後のネオ機の消息は不明である。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY』では、モーガン・シュバリエ搭乗の機体が、イルド・ジョラール搭乗のプロトセイバーと交戦していた。
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