リンドウ目に属する被子植物の科 ウィキペディアから
アカネ科(アカネか、学名:Rubiaceae)は、リンドウ目に属する被子植物の科の一つ。アカネなどを含む。クロンキスト体系ではアカネ目に分類されていた。
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アカネ科 | |||||||||||||||||||||||||||
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![]() アカネ(Rubia argyi) | |||||||||||||||||||||||||||
分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Rubiaceae Juss. (1789) | |||||||||||||||||||||||||||
下位分類(属) | |||||||||||||||||||||||||||
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草本または低木で、熱帯に特に多いが温帯にも草本がある。約600属10,000種以上を含む大きな分類群である。葉は単葉で対生か(見かけ上)輪生[1]。托葉があり[1]、アカネ属やヤエムグラ属では葉と同じ形になるため輪生に見える。ギョクシンカ属(Tarenna)のように葉にバクテリアが共生し、窒素固定を行うものも見られる[2]。花は合弁花(ただしディアリペタラントゥス・フスケスケンス Dialypetalanthus fuscescens は離弁花[3])で5裂するもののほか4裂するものも多い。ほとんどの場合子房下位であり、それと関連して早くから合弁花が形成されるのがほかのリンドウ目と異なる点である[4]。虫媒花で虫を誘引するさまざまな機構が見られ、美しい花冠をつけるもの、小さい花が多数集合するもの、強い芳香を出すもの、蜜を分泌する花盤が発達したものが多く[2]、基本的には両性花であるが、中にはコプロスマ属・Galopina属・ヤマトグサ属のように花が縮小し同科としては異例の風媒花を発達させた属も存在する[5]。また、開花前に受粉を終え自家受粉する種もまれに存在する[2]。花序は円錐花序か集散花序、あるいは密な頭状花序である[1]。
本科で世界的にもっとも有名な食用種はコーヒー豆をとるコーヒーノキ属(学名:Coffea)である。コーヒー豆はコーヒーノキ属の種子である。コーヒーノキの果実から果肉を落として種子を取り出し、焙煎のち粉砕し湯や水で抽出したものがコーヒーとして飲まれている。コーヒーノキ属には数十~120種程度が知られるが、商業的に利用されているのはわずか3種であり、それぞれアラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)、ロブスタコーヒーノキ(C. canephora)、リベリカコーヒーノキ(C. liberica)と呼ばれる。コーヒーは樹の種類や産地、焙煎時間や程度、抽出温度や方法など様々な条件によって味が変化し、楽しみ方も含めて世界各地で様々なコーヒー文化がある。
所属する種の多さのわりにコーヒーを除いて広く食用とされるものは少ない。日本で見かけるのは健康食品などとしてヤエヤマアオキ(Morinda citrifolia、ノニという呼び名が有名)の果実くらいである。アフリカに分布するVangueria属(和名未定)などは救荒食物として利用されることもあるという。クチナシの果実は古くから食品用着色料として用いられている。
熱帯アジア産のアヘンボク(Mitragyna speciosa)の葉はタイでは嗜好品とされているが麻薬成分を含み、日本では取り締まりの対象とされている(参照: ミトラガイナ属#薬用)。
熱帯アフリカ産のバイヤ(Mitragyna ledermannii)の材が有用となる(参照: ミトラガイナ属#木材)。
アカネ科には大きく3つの系統群が認められ、これらのまとまりは亜科として認められてきたが、基部における系統群の分岐関係については精度が不十分で、ニオイザクラ属(Luculia)やヒョウタンカズラ属(Coptosapelta)のように系統的な位置付けが未確定の属も少数見られる[7]。新エングラー体系で独立の科とされていたヘンリクェジア科(Henriqueziaceae)はクロンキスト体系以降でアカネ科とされている。またAPG植物分類体系ではディアリペタラントゥス科(Dialypetalanthaceae)とヤマトグサ科もアカネ科に含められている。以下に主な亜科・属を示す。連と属の関係性は Stevens (2001-)、分布情報に関してはシノニムに関してはキュー植物園系の POWO (2023) もしくは Govaerts et al. (2022)、ミズーリ植物園系の Taylor et al. (2023)、リオデジャネイロ植物園系の Flora e Funga do Brasil (2023) による。
キナノキ亜科(Cinchonoideae)[8]。次の10連、約100属1700種を含む。
Chiococceae。和名未定の連。27属230種程度が知られる。
キナノキ連(Cinchoneae)[8]。
ハテルマギリ連(Guettardeae)[8]。14属750種程度を含む
6属170種程度を含む
Hillieae。3属30種程度を含む。
キナモドキ連(Hymenodictyeae)[7]。高木、穂状花序から総状花序[26]。2属25種程度を含む。
Isertieae。2属15種程度を含む。
タニワタリノキ連(Naucleeae)[8]。基本的に木本だが曲がった腋生の刺を持つつる植物もあり、頭状花序を特徴とする[26]。2014年5月に17属がここに属すとされた[27]。詳細は左記リンク先を参照。
ベニマツリ連[7](Rondeletieae Burnett)。山崎 (1989) ではアカミズキ属(Wendlandia)がここに置かれており「アカミズキ連」の和名が与えられているが、Stevens (2001-) はアカミズキ属を Augusteae という連に置いている。8属180種程度を含む。
ヒースのような総状花序の低木[26]。次の1属だけを含む単型の連である。
サンタンカ亜科(Ixoroideae; シノニム: Dialypetalanthoideae)[7]。27連4000種を含む。
Rydin, Wikström & Bremer (2017) のミトコンドリア遺伝子の解析によれば、キナノキ亜科の Isertieae やキナノキ連(Cinchoneae)がサンタンカ亜科の系統に含まれる[7]。
単系統群 'Coffeae alliance' の一つ[7]。
テイオウサンダンカ連(Alberteae)[7]。単系統群 'Coffeae alliance' の一つ[7]。3属からなる。
単系統群 'Vanguerieae alliance' の一つ[7]。
アカミズキ連(Augusteae)[7]。単系統群 'Coffeae alliance' の一つ[7]。
コーヒーノキ連(Coffeeae)[7]。葉にバクテリアを含むこぶが見られる場合がある[26]。単系統群 'Coffeae alliance' の一つ[7]。
Cremasporeae は1属のみの連。
Crossopterygeae は1属のみの連。単系統群 'Vanguerieae alliance' の一つ[7]。
Dialypetalantheae Reveal(シノニム: Calycophylleae、Condamineeae)。米倉 (2019:201) では「クチナシモドキ連」の名が与えられているが、同書で「クチナシモドキ属」とされたBikkia属は Chiococceae の下に置かれている。
クチナシ連(Gardenieae)[8]。単系統群 'Coffeae alliance' の一つ[7]。
Greeneeae。単系統群 'Vanguerieae alliance' の一つ[7]。
サンタンカ連(Ixoreae)[8]。単系統群 'Vanguerieae alliance' の一つ[7]。
Jackieae は1属のみの連。単系統群 'Vanguerieae alliance' の一つ[7]。
コンロンカ連(Mussaendeae)[8]。
Octotropideae。単系統群 'Coffeae alliance' の一つ[7]。
ギョクシンカ連(Pavetteae)[7]。葉にバクテリアを含むこぶが見られる場合がある[26]。単系統群 'Coffeae alliance' の一つ[7]。
ミツバヒルギ連(Scyphiphoreae)[7]。単系統群 'Vanguerieae alliance' の一つ[7]。
Sherbournieae。単系統群 'Coffeae alliance' の一つ[7]。以下の4属がここに含まれる。
Trailliaedoxeae。単系統群 'Vanguerieae alliance' の一つ[7]。次の1属のみからなる連。
コーヒーダマシ連(Vanguerieae)[7]。単系統群 'Vanguerieae alliance' の一つ[7]。
アカネ亜科[8]。27連7600種を含む。このうち Craterispermeae、Gaertnereae、Mitchelleae(アリドオシ連)、Morindeae(ヤエヤマアオキ連)、Palicoureeae、Prismatomerideae、Psychotrieae(ボチョウジ連)、Schizocoleeae、Schradereae の9連は単系統群 'Psychotrieae alliance' と総称され、しばしば全体で1連と括られる[7]。
コケサンゴ連(Anthospermeae)[7]。山崎 (1981) ではツルアリドオシ属(Mitchella)がここに置かれており「ツルアリドオシ連」の和名が与えられていたが、Stevens (2001-) はツルアリドオシ属を Mitchelleae という連に置いている。 風媒花を咲かせ、雌雄異株の種もある[26]。単系統群 'Spermacoceae alliance' の一つ[7]。
イリオモテソウ連(Argostemmateae)[7]。単系統群 'Spermacoceae alliance' の一つ[7]。
単系統群 'Psychotrieae alliance' の一つ。
Cyanoneuroneae。次の1属のみからなる連。
単系統群 'Spermacoceae alliance' の一つ[7]。
Dunnieae。単系統群 'Spermacoceae alliance' の一つ[7]。次の1属のみからなる連。
Foonchewieae。次の1属のみからなる連。
単系統群 'Psychotrieae alliance' の一つ。
シソノミグサ連(Knoxieae)[56][7]。単系統群 'Spermacoceae alliance' の一つ[7]。
ルリミノキ連(Lasiantheae)[7]。
アリドオシ連(Mitchelleae)[7]。刺を持つ低木から匍匐性草本で、胚珠は湾生[26]。単系統群 'Psychotrieae alliance' の一つ。
ヤエヤマアオキ連(Morindeae)[8]。単系統群 'Psychotrieae alliance' の一つ。
サツマイナモリ連(Ophiorrhizeae)[7]。
ヤイトバナ連[8](別名: ヘクソカズラ連[7]; Paederieae)。単系統群 'Spermacoceae alliance' の一つ[7]。
Palicoureeae。単系統群 'Psychotrieae alliance' の一つ。
Prismatomerideae。単系統群 'Psychotrieae alliance' の一つ。
ボチョウジ連(Psychotrieae)[8]。葉にバクテリアを含むこぶが見られる場合がある[26]。単系統群 'Psychotrieae alliance' の一つ。
Putorieae。単系統群 'Spermacoceae alliance' の一つ[7]。
アカネ連(Rubieae)[56]。15属200種程度を含む。単系統群 'Spermacoceae alliance' の一つ[7]。
単系統群 'Psychotrieae alliance' の一つ。
Schradereae。頭状花序のものも存在し、胚珠は湾生[26]。単系統群 'Psychotrieae alliance' の一つ。
Spermacoceae ハリフタバ連[56]。
ヤマトグサ連(Theligoneae)[7]は草本のみで雌雄同株、風媒花を咲かせ、胚珠は湾生[26]。単系統群 'Spermacoceae alliance' の一つ[7]。次の1属のみからなる。
Clarkella Hook.f.
Coptosapelteae ヒョウタンカズラ連[7]は2属からなる。
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代表的な種には次のようなものがある。
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