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2010年に公開された日本の映画 ウィキペディアから
『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(スペース・バトルシップ ヤマト)は、2010年の日本映画。アニメ作品『宇宙戦艦ヤマト』の初の実写版映画である。2010年12月1日公開。キャッチコピーは「必ず、生きて還る。」
「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」中、唯一の実写版映画である。
往年のアニメ『宇宙戦艦ヤマト』を実写化するという企画・構想案をTBSが立案。約5年かけてセディックインターナショナルと、西﨑義展の養子であるエナジオの西﨑彰司の協力の下、西﨑義展の許可を得て2009年10月3日に正式に製作発表された。
監督は山崎貴[注 1]、主演にはSMAPの木村拓哉が起用された。木村は子供のころに原作のファンであり、自身も出演するテレビ番組『SMAP×SMAP』内でも『ヤマト』のパロディで古代進を演じている。上記の正式発表以前から週刊誌には噂レベルの記事が掲載され、木村も自身のラジオ番組での発言に本作品の製作を匂わせていた。
撮影は2009年10月12日より開始され[3]、同年内12月29日にキャストによる撮影のほぼすべてが完了した。公開までの残り約1年をかけ、素材撮影・全体の80%に及ぶVFX部分を制作した。
基本的なストーリーは「宇宙戦艦ヤマトが地球滅亡の危機を救うため、宇宙の彼方にあるイスカンダルへ旅立つ」という『宇宙戦艦ヤマト』(第1作。特に『劇場版〜スターシア死亡編』)の展開に沿っている。『宇宙戦艦ヤマト』の生みの親の1人である松本零士の参加以前の「ラジェンドラ星」版ヤマトの他、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』や『宇宙戦艦ヤマト 完結編』もモチーフにしている。特に後半は『さらば』の要素が強く(主要メンバーの多くが壮絶な戦死を遂げる)、最終シーンには『完結編』の要素が加わる。
地球側の登場人物も基本的にアニメ版に準拠しているが、一部の人物は性別や職務が変更されている。戦闘シーンは3DCGで表現され、メカニックデザインを実写用にアレンジしている。また、敵のガミラス側は設定もメカニックデザインもアニメ版から大幅に変更されている。
2010年1月1日よりテレビCM、新聞広告、劇場ポスターによる宣伝、公開日の告知が開始された。東宝曰く「2010年を『ヤマトイヤー』にする」とのことで、元日のみで1億の宣伝費をかけているという[4]。
また、2010年6月には原作同様36周年をむかえるハローキティとのコラボレーションが決定。同年7月3日より発売の前売り観賞券第1弾の特典として限定5万枚にヤマトのバトルスーツ(制服)を着たキティ(戦闘班)とダニエル(技術班)の携帯ストラップのどちらかが付くほか、サンリオピューロランドにて同年8月から約1か月に渡って映画PRの特別ショーが開催された。前売り鑑賞券第2弾の特典は、ヤマト/古代進(木村拓哉)のクリアファイルであった。
タイトルに英語を取り入れているのは、海外進出を視野に入れているためである[1]。2010年12月31日から台湾で公開されたのを皮切りに[5]、香港・タイ・シンガポール・フランス・ドイツほか13か国での公開が予定されている。
全国440スクリーンで公開され、2010年12月4日・5日の週末2日間の動員が41万2129人で興収5億2821万5150円、12月1日 - 5日の累計動員は79万1012人で累計興収が9億4399万5550円となり、映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)では『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』などを抑え、初登場第1位[6]であった。
なお、本作品公開前の2010年11月7日には、『宇宙戦艦ヤマト』の生みの親の1人である西崎義展が「YAMATO」という船から転落して事故死している[7]。1年前の2009年12月には、西崎監督作の劇場版アニメ『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』が257館で公開されて最終4億円という結果だった。
西暦2199年、地球は謎の異星人「ガミラス」の攻撃で滅亡の危機に瀕していた。ガミラスの遊星爆弾による攻撃で海は干上がり、地球上の生物の大半は死滅した。残された僅かな人類は地下都市を建設してガミラスの攻撃に耐えていたが、地下にまで浸透してきた放射能によって人類の滅亡まであと1年余り[注 2]に迫っていた。
地球防衛軍は残された戦力を火星星域に集結、最終決戦に挑むも旗艦1隻を残してあえなく全滅した。その数日後、地球上に謎のメッセージカプセルが落下、付近にいたサルベージ業者・古代進によって発見された。そこに記されていたのは、波動エンジンの設計図とイスカンダルの正確な座標であった。地球防衛軍は、「カプセルの送り主には、地球を救う放射能除去装置を渡す意思がある」と公表し、その情報を基に最後の地球脱出用船宇宙戦艦ヤマトを改造し、イスカンダルへの派遣を決定した。
第一艦橋には他、航海班の佐々木( - 原田佳奈[注 6]、原作未登場)という通信補佐の女性隊員がいる。
第一艦橋の席次は最前列右より島、進、南部、右舷前方より相原、佐々木、左舷前方より太田、真田、そして後方中央に沖田である。進(戦闘班)には南部、島(航海班)には相原と佐々木、真田(技術班)には太田がそれぞれ補佐についている。航海班は作戦行動中にヘッドセットを装着している。
ノベライズ版でも第一艦橋には8人がいる(名前が確認できるのは、沖田、進、島、真田、相原、南部の6人)。
他にも、杉山(- 南圭介、原作では戦闘班隊員で『パート1』での冥王星基地攻撃時に戦死している)、飛田(- 上野なつひ、女性パイロット、原作未登場)(共に元チーム古代)や星野(- 東海林愛美、女性パイロット、原作未登場)、根本(- 高味光一郎、原作では戦闘班隊員で『パート1』での冥王星基地攻撃時に戦死している)など複数のパイロットがいる。ガミラス上陸時には、雪と加藤以外は敵戦闘機からの激しい攻撃から真田たちが乗るカーゴを守り全滅、加藤も進たちをイスカンダルに無事着かせるために地上で空間騎兵隊と共にガミラス兵と激しい戦闘を行い戦死、ブラックタイガー隊では雪のみガミラスから生還した。
空間騎兵隊は沖田艦にも乗船しており、収容され放射能洗浄中に逃走し沖田に殴りかかろうとした進を拘束しており、ジュニアシネマ文庫では営倉に収容している。ヤマトでも命令を無視し雪の救助に行ってきた進を沖田の命令で拘束、営倉に収容している。また、志願兵受付時には佐渡の下で受付説明や警備、支給品の配付を行い、ガミラス艦載機が収容された際は真田の下でサンプル回収の作業を行っている。このように、本来の任務である白兵戦、局地戦の他にMPの役割や他の班(生活班、技術班)の手伝いを行っている。進とは上記の流れからあまりいい関係とはいえなかったが、斉藤がデスラーに乗っ取られた時に進に助けられたことをきっかけに一緒に笑いながら酒を酌み交わす仲にまでなる。ガミラス上陸時には、真田と共にカーゴに乗り、地上では上陸用車両に乗ってガミラス兵の猛攻に応戦しながらイスカンダルに向かう。斉藤以外の空間騎兵隊隊員は進、雪、斉藤、真田をイスカンダルに行かせるために加藤と共にガミラス兵に応戦し壮絶な最期を遂げ、全滅する。
隊員は斉藤の他、砂岡(- 宇都隼平、原作未登場)、瀬川(- 廣瀬裕一郎、原作未登場)、山村(- 不明、上陸用車両を運転してガミラス兵に刺し殺される、原作未登場)、隊員(- 橋本望、役名不明)などがいる。
上記以外に乗組員として、技術班の東田(☆:- 沢井美優、原作では『ヤマトよ永遠に』以降に登場)と西尾(- 村松和輝、原作では『ヤマトよ永遠に』以降に航海班員として登場、ガミラス戦闘機調査時に真田の助手を務める)、整備班の仁科(☆:- 松本まりか、原作では『III』以降に戦闘班員として登場、佐渡にワープの説明をしている、左胸のネームに「M.NISHINA」とある)と赤城(- 日野誠二、原作では『III』以降に機関士として登場、初ワープ時、ブラックタイガー隊との打ち合わせ中に、雪にコスモタイガーBT1の出撃準備を依頼される、左胸のネームに「S.AKAGI」とある、Blu-ray、DVDの字幕では「赤木」となっている)といった原作由来のキャラクターが随所に登場している。
他、原作未登場のキャラクターとして戦闘班の島田(- 杉浦文紀)、整備班の高垣(- 寿大聡、古代のコスモゼロを担当、左胸のネームに「C.TAKAGAKI」とある)や航海班隊員(- 小山弘訓)、戦闘班隊員(- 高嶋寛、最所美咲)、 生活班隊員(- 梨本泰生、元「沖田艦」医療スタッフ)、生活班隊員(- 田中萌)、機関班隊員(- 上村圭将、岩田知幸)、技術班隊員(- 山根舞)、民間人から志願した隊員(- 照喜名円)(以上9名、役名不明)がいる。
地球防衛軍指令センターには、難波( - 飯田基祐、司令官、原作未登場)、結城( - 石川紗彩 、オペレーターで島次郎が通信する際には横に付き添っていた、原作未登場)、オペレーター( - 大塚麻恵、役名不明)などがいる。
「沖田艦」艦橋には真田、相原の他、本庄(- 柳東士、戦闘指揮、原作未登場)、井之上(- 山林真紀、操縦士、原作未登場)がいたが、ヤマトに搭乗したかは不明である。
藤堂や地球防衛軍指令センター勤務の将兵は、ヤマトを含む宇宙艦艇乗組員と比較して現代の軍人に近いデザインの、茶色を基調とした軍服を身に付けている。
ヤマトと艦載機以外は、原作のデザインと大きく異なるものが多く、今作オリジナルデザインに近い。
地球防衛軍宇宙艦隊はガミラスが襲来してから5年ほどはその侵攻を防いでおり,数に押されつつも防衛軍所属艦の攻撃および防御の能力は十分有効であったらしい。最終的に圧倒されたのは劇冒頭の火星星域戦において「ガミラス艦の強度が以前のデータと異なっています(強度が増している)」というセリフにあるとおり、「ガミラス兵器が徐々に学習・成長して地球兵器を凌駕するまでになった」からである。
本編では「やはぎ」、「あかしも」、「はまかぜ」など、ノベライズ版では「いそかぜ」「はつゆき」「ひえい」「しらつゆ」などが地球防衛軍宇宙艦隊(ノベライズ版では地球連合艦隊)に所属していたが、火星星域戦ですべて撃沈された。
全て地球防衛軍の便宜上の名称。ガミラスは敵の武器に対し学習し対応できる能力を持つ。また、武器だけではなく戦術も進化しており、ガミラス(イスカンダル)到達時の会戦では一斉攻撃により戦艦への砲撃や艦載機の出撃(ターゲティングによる、戦艦砲撃時のロックオン(ターゲット・ロック))を防ぎ、惑星間ミサイルのアンカーの砲口封鎖により波動砲を使用不能にするという初期の攻撃(ターゲット・ロックによる戦艦砲撃、波動砲)に対応した戦術を採っている。
DVD、BDの特典ディスク1の「メイキング」より、撮影はされているが本編からはカットされたシーンとして以下の2つが上げられる。
また、映画雑誌「CINEMA SQUARE vol.34」に進が艦長代理に任命される直前、佐渡が医者として見守る中、艦長室で真田が沖田にガミラス(デスラー)についての報告をするシーンの写真がある(前の2シーンは部分カットだが、このシーンに関しては全シーンカットされている)。
この3シーンは上映直前発行の小学館ジュニアシネマ文庫版にもある。その他、劇場パンフレットには地下都市で進が銀杏の葉を手にしているシーンの写真が載っている。
ヤマトの食堂(YAMATO DINNING ROOM)の酒類の設定として、サーバーにスコッチ・ウイスキーは「マッカラン」、バーボンは「ジャックダニエル」、梅酒は「チョーヤ[注 19] 」、ウォッカは「ペルツ」、イタリアン・ワインは「モンテプルチアーノ」、日本酒は「雨後の月(広島県呉市・相原酒造)」、麦焼酎は「いいちこ」などの実在する酒が入れられていることになっている。また、コーヒー用ミルクや塩などのパッケージにも「YAMATO DINNING ROOM」の文字が印刷されている[注 20]。
2011年6月24日、TCエンタテインメントより発売。
DVD、Blu-rayともに発売と同時にレンタルを開始した。
オリコンDVD&Blu-ray(BD)ランキング(7月4日付)によると、発売初週発売DVD約56000枚、Blu-ray約25000枚を記録しともに映画部門で1位となった(Blu-rayでは「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ! 通常版」を抜いて邦画歴代初週発売1位を記録した)[10]。
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