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FIFAワールドカップ カタール2022は、日本のストリーミングウェブサイト(インターネットテレビ)・ABEMAによる2022 FIFAワールドカップ配信番組のタイトル。
2002 FIFAワールドカップ以降、日本におけるFIFAワールドカップ中継については、日本放送協会 (NHK) と日本民間放送連盟加盟各社が共同結成するジャパンコンソーシアムが日本における放映権を獲得し、国内向けの無料生中継を実施してきたが、2022年大会については時差の関係で試合時間のほとんどが日本の深夜に当たる一方で、200億円とも言われる放映権料を提示されたこともあって、国際サッカー連盟 (FIFA) の放映権窓口となっている電通との交渉が決裂[1]。最終的に在京民放5局のうち、日本テレビ・TBSテレビ・テレビ東京の3局がFIFAワールドカップ中継から撤退し[注釈 1][4]、残るNHK・テレビ朝日・フジテレビの3局が引き続き交渉に当たることになった。
こうした中、テレビ朝日は2021年暮れ[注釈 2]にサイバーエージェントと共同出資しているABEMAに対してワールドカップ中継の共同製作を打診[5]。これに対し、ABEMAは開局6年を過ぎてWAU[注釈 3]が1000万を超え技術的に安定していたこと[5]、そして何よりABEMAの代表取締役社長(サイバーエージェント代表)の藤田晋がサッカー好きであり「このままだとW杯が日本で視聴できないかもしれない」という危機感を覚えたこともあって、放映権の獲得に名乗りを上げる[6]。なお、放映権獲得交渉への参画は社内のごく一部の人間にしか情報共有されていなかったという[6]。
最終的に、2022年3月15日、ABEMAが本大会のグループステージ・ノックアウトステージ全64試合の無料生中継を発表する[7]。この当時、サッカー中継については(放映権料の支払いのために)多くが有料放送・配信となることが常態化していた[8]が、“新しい未来のテレビ”を標榜するABEMAは「生中継・同時性・無料」のコンセプトから無料配信にこだわり[5][9]、生配信・見逃し配信に関しては視聴料を要しない形とした。2022FIFAワールドカップのアジア最終予選では、管轄するアジアサッカー連盟 (AFC) との間で優先放映権を獲得していたDAZNが有料配信を行い、日本代表戦のホームゲームに限り民放各局にサブライセンスを提供する形となっていた[4]が、この影響もあるという[10]。日本での単一メディアによるFIFAワールドカップ全試合無料中継は史上初となる[11]。ABEMAの支払う放映権料[注釈 4]については詳細が明かされていないものの、「ABEMAとして過去最大の投資案件」であるといい[13]、その原資についてはサイバーエージェントグループのCygamesが手がける『ウマ娘 プリティーダービー』で得た収益の影響があることをABEMA側が認めている[13][14][15]。
「ABEMA FIFA ワールドカップ 2022 プロジェクト」と称して、全64試合について無料のライブ配信・見逃し配信を実施[注釈 5]。地上波で放送する41試合[注釈 6]では地上波との並行配信、残りの23試合ではABEMA独占の配信で対応した。実際にはテレビ朝日との共同制作ながら、テレビ朝日系列の地上波中継と同じ試合を配信する場合でも、地上波とは別の映像や実況・解説者を配置していた[19]。
いずれの試合でも、テレビを通じてハイビジョンのBS放送並みの画質で視聴できるようにフルハイビジョン規格の高画質で配信した[20]ほか、マルチアングル配信(4つのアングルで撮影された映像の同時配信)を通じて視聴中に映像のアングルを任意で切り替えられるようになっていた。ABEMAの配信番組ではジャンル別に「チャンネル」を設けているが、FIFAワールドカップの中継に際しては、関連番組を含めた「ABEMA FIFA ワールドカップ 2022 プロジェクト」専用ページを開設している[注釈 7]。
実況の担当には、DAZNなどのサッカー中継で起用されるフリーアナウンサーではなく、テレビ朝日のスポーツアナウンサーおよび、Jリーグ中継での実況を経験しているテレビ朝日系列局のアナウンサーを起用[23]。テレビ朝日アナウンサーの寺川俊平・吉野真治・山崎弘喜(寺川のみABEMA専任[24])は開催地のカタールから実況を担当したが、3人以外のアナウンサーが実況した試合では、FIFA制作の映像をベースに東京のスタジオで実況・解説を付ける方式(いわゆる「オフチューブ」)で配信している[23]。試合の前後やハーフタイムに東京のスタジオから挿入されるコーナー(スタジオパート)のMCも、ABEMA専属アナウンサーの貴島明日香に加えて、テレビ朝日の女性アナウンサーやフリーアナウンサーが交互に担当。さらに、2018年ロシア大会まで3大会連続で日本代表として出場した本田圭佑を、「ABEMA FIFAワールドカップ カタール2022プロジェクト ゼネラルマネージャー」に起用している [25]。
現役のサッカー選手・指導者を含めた日本代表経験者を中心に、およそ40名が担当。本田圭佑・中山雅史・中田浩二・槙野智章が開催地のカタールから解説する[26][注釈 8]一方で、元・日本代表監督の岡田武史を「特別解説者」として招聘した[26]。解説者の人選を任されていた長畑洋太(テレビ朝日スポーツ局のプロデューサー)によれば、テレビ朝日系列の専属解説者だけでは全試合の解説を賄えないことから、他の放送局・動画配信サービスなどで解説を担当している人物や、テレビ朝日との付き合いがある人物にも出演を依頼したという[23]。
本田は日本の出場するグループEの3試合と準決勝1試合・決勝の計5試合を解説として担当する予定だった[26]が、日本の決勝トーナメント進出を受けて、ラウンド16・クロアチア戦も担当[28]。独特の話術や視点をふんだんに交えた解説や、実況担当の寺川との掛け合いが大きな反響を呼んだ[29][24]。なお、グループF・ベルギーvsカナダ戦では、解説を担当していた中西哲生が喉の不調を訴えたため、後半に入ってから戸田和幸(本来はスタジオパートでの解説を担当)と急遽交代している[30]。
以下、スタジオ解説で出演した選手・解説者を記載する。
試合前後・ハーフタイムは東京のスタジオから進行役のアナウンサーとゲスト、上記の解説者のうち1-2名が出演するスタジオパートとなる[31]。なお、グループステージの第3戦は同一グループの2試合が同時開催となるため、スタジオパートは2試合で共通とされた。
ナレーションはアナウンサーではなく著名な声優が起用された[31]。
本番組はABEMAの目玉コンテンツとして注目され、日本代表戦の試合を中心にABEMAの視聴者数記録を更新したほか、親会社であるサイバーエージェントの株価にも影響を及ぼした(日付は特記なき限り2022年)。
日本代表がドイツ代表に勝利したことを受けて(11月23日)、翌日(同月24日)のサイバーエージェントの株価は前営業日比で9%高の1319円を付け[43]、終値でも6.94%高の1294円となる[44]。
日本代表がコスタリカ代表に敗北したことを受けて(11月27日)、翌日(同月28日)のサイバーエージェントの株価は下落した[45][46]。
日本代表がスペイン代表に勝利し、決勝トーナメントに進出したことを受けて(12月2日)、同日のサイバーエージェントの株価(終値)は前営業日比3.95%高の1288円に急伸した[47][48]。
日本代表がクロアチア代表に敗北し、ベスト16で敗退したことを受けて(12月6日)、同日のサイバーエージェントの株価(終値)は前営業日比4%下落した[49][50]。
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