飯島栄治

日本の将棋棋士 ウィキペディアから

飯島 栄治(いいじま えいじ、1979年9月16日 - )は、将棋棋士桜井昇九段門下。棋士番号は236。「飯島流引き角戦法」で知られる。東京都江東区出身。

概要 飯島 栄治 八段, 名前 ...
 飯島 栄治 八段
名前 飯島 栄治
生年月日 (1979-09-16) 1979年9月16日(45歳)
プロ入り年月日 2000年4月1日(20歳)
棋士番号 236
出身地 東京都江東区
所属 日本将棋連盟(関東)
師匠 桜井昇九段
段位 八段
棋士DB 飯島 栄治
2021年2月3日現在
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棋歴

要約
視点

1991年、江東区立平久小学校6年生(出場時は5年生)のとき、第16回小学生将棋名人戦で準優勝。決勝戦の相手は、後に多数のアマチュア棋戦で実績を上げ、プロ公式戦でも棋士を相手に互角の勝負を演じた清水上徹であった(戦形は相矢倉)。同年、奨励会の入会試験に合格。入会から6年半をかけて三段昇段し、三段リーグ4期目の1999年度・第26回三段リーグを2位の成績で通過して2000年4月に20歳でプロ入り。(同回三段リーグの1位は当時15歳の渡辺明

初参加から3期目の第16期(2003年度)竜王戦6組で準優勝。決勝で高野秀行に敗れ本戦進出はならなかったが、5組昇級。

第62期(2003年度)C級2組順位戦は最終局までライバル上位4名との昇級争いとなった。その最終局で飯島は勝って8勝2敗としたものの、4名中3名が勝ったため次点(4位)で一歩届かなかった。しかし、次の第63期(2004年度)では近藤正和とともに開幕8連勝。最終成績を9勝1敗・1位として、C級1組へ昇級した。

第32期(2006年度)棋王戦で予選を突破し、本戦の挑戦者決定トーナメントで渡辺明を破って3回戦進出(深浦康市に敗れる)。

第18期(2005年度)、第19期(2006年度)の竜王戦5組では、2期連続で残留決定戦に回ってから降級を免れるという苦戦であったが、第20期(2007年度)では5組準優勝で4組へ昇級。さらに第21期(2008年度)竜王戦4組の3位決定戦で勝って3組に昇級し、竜王戦連続2回昇級により六段に昇段。

第15期(2007年度)銀河戦の本戦(ブロック戦)で、鈴木大介行方尚史らを破るなどして4連勝で決勝トーナメント進出。さらに、決勝トーナメントでは藤井猛羽生善治を破ってベスト4入り(準決勝で渡辺明に敗れる)。

第58回(2008年度)NHK杯戦で本戦出場し、三浦弘行らを破って3回戦(ベスト16)に進出(羽生善治に敗れる)。

順位戦ではC級1組に上がってから4期連続で7勝3敗であったが、5期目の第68期(2009年度)は、1戦目で広瀬章人に負けた後に全て勝ち、9勝1敗・2位でB級2組へ昇級した。

第22期(2009年度)竜王戦3組では準決勝で負け、3位決定戦(敗者復活)でも敗退した。しかし、1組の中原誠の引退による次期の2組の欠員補充のため、3度目のチャンスとなる追加の昇級者決定戦(5位決定戦)が組まれ、この一局で野月浩貴に勝ち2組へ昇級。さらに、第23期(2010年度)竜王戦2組では、3位決定戦(2010年10月22日)で島朗に勝ち、4期連続昇級で1組に初昇級(七段昇段)。6組から参加した棋士で、一度も本戦に出場していない状況での1組昇級は、中川大輔橋本崇載に次いで史上3人目である。

第25期(2012年度)竜王戦1組でも準決勝で深浦康市に敗れたが、一局勝負の1組3位本戦出場者決定戦で橋本崇載に勝ち、自身初の本戦出場を決めた。決勝トーナメントで2組優勝の佐藤天彦に勝ち、準決勝進出の大健闘を見せた(山崎隆之に敗れた)。

第62期王将戦(2012年度)では、定員僅か7名(予選を勝ち抜く枠は3名)の難関とされる王将リーグ入りを果たしたが、1回戦から順に郷田真隆・渡辺明・豊島将之深浦康市羽生善治久保利明に敗れ、6戦全敗に終わった。

第74期(2015年度)B級2組順位戦では、7回戦を終えた時点で6勝1敗、同星で順位上位の糸谷哲郎及び野月浩貴を追う展開で迎えた8回戦は糸谷との直接対決であったが、これに敗れて2敗で4番手に後退した。しかし飯島は残り2局を連勝し、1番手の糸谷・2番手の阿部隆・3番手の野月はいずれも残り2局を1勝1敗としたため、飯島の最終順位が2位に繰り上がり、B級1組昇級を決定させた。初のB級1組順位戦となった第75期(2016年度)は、3勝9敗という結果で1期でB級2組へ降級となった。以降も順位戦における成績が振るわず、B級2組に出戻っていた第77期(2018年度)において降級点を喫し、第78期(2019年度)でも4勝6敗であるにもかかわらず不運にも降級点を喫してしまいC級1組に陥落してしまった。

2021年2月2日の第79期順位戦C級1組で高橋道雄九段に勝ち、七段昇段後190勝の規定により八段へ昇段した。七段への昇段が2010年であったため、「長かった。長かったです。10年かかりましたよ。長かったです…」と語った[1]。翌期の第80期順位戦C級1組では7勝3敗でB級2組への復帰を決めたが、2023年度の第82期順位戦では再びC級1組へ陥落が決まった。

2021年度の第69期王座戦では、久保利明深浦康市を破り、ベスト4進出を果たした。2024年度の第65期王位戦では予選で郷田真隆池永天志らを破り、棋士になって24年目に初めて王位リーグ入りを果たした[2]。結果は王位リーグ最終日に羽生善治に勝ったものの、1勝4敗で陥落した。

棋風

銀河戦(2007年)
第10手 △3一角まで
△飯島栄治 持駒:なし
987654321 
 
      
  
       
         
       
  
     
  

居飛車党で、相居飛車戦では、相矢倉・横歩取り角換わり相掛かりといった主要戦法を一通り指す。特に、先手番での相掛かり6八玉型を得意とする。振り飛車相手の場合は、穴熊や後述の引き角戦法といった手堅い駒組みをすることが多い。

攻めの棋風で、いわゆる‘足を止めてのパンチの応酬’や、自分の大駒を早めに見切るなどの華々しい指し手が、しばしば見られる。

飯島流引き角戦法

四間飛車対策(特に藤井システム対策)の一つとして飯島が編み出した戦法を、「飯島流引き角戦法」と呼ぶ。

右図は、その実戦譜の一つである(上述した銀河戦)。オーソドックスに△3四歩と突いて角道を開けるのではなく、3一の銀を真っ直ぐ3二銀に上がり、2二の角を3一(右図)→5三と移動させ、その後、玉を2二に持っていき美濃囲い(左美濃)を完成させる。

飯島はこの戦法で、第37回将棋大賞升田幸三賞を受賞した

なお、受賞から間もなくテレビ出演した際[注 1]、「今回の受賞を機に、新しく、自分らしく、ファンに注目され、かつ、勝てる将棋を探したい」との旨を語り、なおも新戦法の開発を目指す意気込みを表明した。

人物・エピソード

  • 顔と語り口は温和であるが、低音で太く響く声の持ち主。
  • 将棋が勝負所になると、ハンカチを持った手でこめかみの辺りを押さえる癖がある。
  • 2007年に婚約を発表し、2008年に挙式・入籍し2009年に子どもが誕生している。
  • 2010年より、将棋漫画王狩』の将棋監修を務めている。好きな漫画は『ベルセルク』と『シグルイ』とのこと[3]
  • 飯島流引き角戦法が升田幸三賞を受賞した記念にマスコット「ひきかくくん」を募集し、決定している[4]
  • 週刊将棋』紙上で、佐藤紳哉と「深夜A時」というユニットを組み、活動をしている[5]。2011年4月22日の王将戦一次予選では佐藤との直接対決が行なわれたが、『王狩』への登場権利が掛けられていた。
  • 2017年1月19日、第88期棋聖戦で当時77歳の加藤一二三と対局。加藤は前日に順位戦の規定に基づく引退が決定していたにもかかわらず、気合十分で当該対局に臨み、飯島に勝利した。この結果により加藤は、日本将棋連盟公式戦勝利の最高齢記録[注 2]を約20年ぶりに塗り替えた。
  • 将棋監修を務めていた小説『盤上の向日葵』が、NHK BSプレミアムで2019年にドラマ化されると、引き続き監修を務めるとともにドラマ出演も果たした[6]。また、漫画版も飯島が将棋監修を務めている。
  • 口癖は「凄くないですか」。そのため2021年現在は、「凄くないですか」+「八段」から、ネット上のニックネームで「凄八」と呼ばれることが多い。ついに凄八シールを制作するに至った[7]

昇段履歴

  • 1991年0000 : 6級 = 奨励会入会。
  • 1995年0000 : 初段
  • 1998年02月00 : 三段(第23回奨励会三段リーグ<1998年度前期>から三段リーグ参加)
  • 2000年04月01日 : 四段(第26回奨励会三段リーグ成績2位 = プロ入り)
  • 2004年09月07日 : 五段(勝数規定 /公式戦100勝、通算100勝64敗)[8]
  • 2008年09月11日 : 六段(竜王ランキング戦連続昇級、通算205勝115敗)[9]
  • 2010年10月22日 : 七段(竜王戦1組昇級、通算249勝139敗)[10]
  • 2021年02月02日 : 八段(勝数規定 /七段昇段後公式戦190勝、通算439勝304敗)[11]

主な成績

将棋大賞

在籍クラス

さらに見る 開始 年度, (出典)順位戦出典 ...
順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始
年度
(出典)順位戦
出典[13]
(出典)竜王戦
出典[14]
名人 A級 B級 C級 0 竜王 1組 2組 3組 4組 5組 6組 決勝
T
1組 2組 1組 2組
2000 59 C244 7-3 14 6組 -- 5-2
2001 60 C210 3-7 15 6組 -- 2-2
2002 61 C231 7-3 16 6組 -- 4-1
2003 62 C208 8-2 17 5組 -- 2-2
2004 63 C205 9-1 18 5組 -- 1-2
2005 64 C124 7-3 19 5組 -- 1-2
2006 65 C106 7-3 20 5組 -- 4-1
2007 66 C105 7-3 21 4組 -- 5-1
2008 67 C102 9-1 22 3組 -- 3-2
2009 68 C104 7-3 23 2組 -- 4-1
2010 69 B222 7-3 24 1組 -- 1-2
2011 70 B207 7-3 25 1組 1-1 3-1
2012 71 B205 8-2 26 1組 -- 0-2
2013 72 B203 6-4 27 2組 -- 1-2
2014 73 B206 5-5 28 2組 -- 2-2
2015 74 B210 8-2 29 2組 -- 3-2
2016 75 B113 3-9 30 2組 -- 1-2
2017 76 B202 5-5 31 2組 -- 1-2
2018 77 B208x 1-9 32 2組 -- 0-2
2019 78 B225*x 4-6 33 3組 -- 3-2
2020 79 C101 7-3 34 3組 -- 2-2
2021 80 C103 7-3 35 3組 -- 1-2
2022 81 B222x 2-8 36 3組 -- 0-2
2023 82 B228*x 3-7 37 4組 -- 3-2
2024 83 C104 38 4組 --
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。
順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 )
順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。
竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。
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年度別成績

さらに見る 年度, 対局数 ...
公式棋戦成績
年度対局数勝数負数勝率(出典)
2000 3927120.6923[15]
1999-2000
(小計)
814734
年度対局数勝数負数勝率(出典)
2001 4220220.4762[16]
2002 3220120.6250[17]
2003 3726110.7027[18]
2004 3721160.5676[19]
2005 3421130.6176[20]
2006 4030100.7500[21]
2007 4228140.6667[22]
2008 3320130.6061[23]
2009 3625110.6944[24]
2010 3625110.6944[25]
2001-2010
(小計)
369236133
年度対局数勝数負数勝率(出典)
2011 3219130.5938[26]
2012 4227180.6000[27]
2013 2915140.5172[28]
2014 3015150.5000[29]
2015 3419150.5588[30]
2016 3012180.4000[31]
2017 2811170.3929[32]
2018 3413210.3824[33]
2019 3419150.5588[34]
2020 4532130.7111[35]
2011-2020
(小計)
342182168
年度対局数勝数負数勝率(出典)
2021 3418160.5294[36]
2022 298210.2756[37]
2023 3417170.5000[38]
2021-2023
(小計)
974354
通算 8464883580.5768[39]
2023年度まで
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出演

CM

  • 宝仙堂「凄十」「こだわれ、勝ちに ~それでも今日は」篇(2023年11月 - )

著書

単行本

  • 飯島流引き角戦法(MYCOM将棋ブックス)
『本書は画期的な振り飛車対策で、角道を突かずに玉を囲う新作戦です。』

監修

脚注

関連項目

外部リンク

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