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福岡 - 宮崎線(ふくおか - みやざきせん)は、福岡県福岡市と宮崎県宮崎市を結ぶ高速バス路線である。
昼行便は「フェニックス号」の愛称を持ち、西日本鉄道(西鉄)・宮崎交通(宮交)・九州産交バス(産交)・JR九州バスの4社が共同運行する。1988年運行開始。
なお、本記事ではJR九州バスが2011年4月13日から2012年4月25日まで[1][2] 単独で福岡 - 宮崎間に運行していた「たいよう」、かつて運行されていた「フェニックス号」夜行便および西日本鉄道と宮崎交通が週末および祝日・祝前日に運行していた夜行便の「福岡 - 延岡・宮崎線」についても記述する。
各系統の詳細は各節を参照。
福岡市と都城市・宮崎市の間を九州自動車道・宮崎自動車道経由で結ぶ。西鉄・宮交・九州産交・JR九州バスの4社において1日28往復運行している。SUNQパスは全九州+下関版のみ利用可能(北部九州+下関版・南部九州版は使用不可)。
福岡市と宮崎市を結ぶ交通手段として航空機とほぼシェアを二分している(2004年度の実績ではバス45.3万人、航空50.3万人)。土日は、必ず続行が出る。ただ、出張などでは航空機に分があるとみられている。
一方、博多 - 宮崎間の鉄道は、JR九州が小倉経由の特急「にちりん」と、人吉・都城経由の急行「えびの」が運行されていたが、遠回りとなる「にちりん」は所要時間と運賃・料金面でフェニックス号に大きく劣り、「えびの」も本数が少なく非電化区間を通過するために所要時間面で劣勢に立たされたこともあり、対抗策を止め運行規模を縮小(「にちりん」の直通系統は1日2往復に減便、「えびの」は系統廃止)し、JR九州(後に分社化しJR九州バス)がフェニックス号の共同運行会社として参入、担当本数を増やしている。
ほかに、2000年代からは福岡市と宮崎市の間には数社がツアーバスを運行し、概ね「フェニックス」の通常運賃の半額程度の料金で利用可能であったが、2013年8月1日の高速ツアーバスの乗合バス化で一部が撤退した。現在では南九州観光バスが運行する「サンマリンライナー」と、山口運送 (宮崎県)(美登観光バス)が運行する「みとシティライナー」が新高速乗合バス化され運行を継続しているが、乗合化後の運賃値上げや「フェニックス」の運賃値下げのため「フェニックス」との運賃格差は縮小した。
国土交通省九州運輸局の統計[3][4] によると、「福岡 - 宮崎」路線(3系統、この調査時点では「たいよう」は運行開始前)合計の運送収入は20億円から21億円であり、九州における高速バスで首位(2004,05,06年度)または2位(07年度)に位置している。
※「フェニックス号」「たいよう」「福岡 - 延岡・宮崎線」それぞれについて記述する。
沿革にもあるように当路線は1988年に運行開始して以来30年以上もの長い歴史を持つ。途中佐賀県基山町・熊本県人吉市にのみ停車する速達タイプ(スーパーフェニックス)と、福岡県久留米市・熊本県八代市などの主要地点に停車するタイプの2種類が設定されている。運行開始当初は1日3往復の設定だったが、増便を重ね、2020年3月20日までの1日の運行本数は、スーパーフェニックス16往復・多停車タイプ8往復の合計24往復であり、毎時1 - 2便が運行されていたが、2020年に発生した新型コロナウイルスの世界的感染拡大による影響を受け、同年3月21日以降は福岡・宮崎両県の感染状況を鑑みながら一部の便を運休するなど増減便が繰り返されている。他に、夜行便1往復も運行され2009年に廃止されたが、2011年3月12日から2013年3月31日まで試行的に運行を再開していた[9][26][27]。かつては停車地がスーパーフェニックスと同じで運賃を通常便の約半額(往復運賃を通常便の片道運賃と同額)とした「皆割(みなわり)フェニックス」が3往復運行されていたが、運賃の値下げと「席割」サービス開始に伴い2011年4月12日を以って廃止された。
座席は予約指定制であり、予約が必要。SUNQパス全九州+下関版のみ利用可能。(福岡 - 八代・人吉間のみの利用であっても北部九州+下関版は使用不可、八代・人吉 - 宮崎間のみの利用であっても南部九州版は使用不可)
愛称の由来は、宮崎県の県木であるフェニックス(カナリーヤシ)から。
運行には福岡県および宮崎県の両方とも運行エリアではなく、両県に車両拠点も持たない熊本県の事業者である九州産交バスも携わっている。これは、当初路線開設時において九州自動車道の八代 - えびの間が未開通であり、その大部分が熊本県であったことから、途中に通過する同県内の熊本市に次ぐ第二の都市である八代市や観光客の多い人吉市を無視できないとの見解から、同社の管轄停留所である『八代駅前』や『人吉ターミナル』(各停便、現在同ターミナルは廃止)ならびに『人吉クラフトパーク』(スーパー便)にも停車していたためである。その流れにより、1995年7月の九州自動車道の全線開通以降も、同社の管理する八代インターチェンジおよび人吉インターチェンジの両バス停において引き続き乗降扱いをおこなっている。なお、車両と乗務員は熊本 - 宮崎間の「なんぷう号」(一部福岡においての乗務員交替は熊本 - 福岡間の「ひのくに号」)で送り込みを行っている。
太字は停車停留所。福岡・佐賀県内間(西鉄天神高速バスターミナル - 八女IC)ならびに宮崎県内間(えびのIC - 宮崎駅)のみの利用は不可。熊本県の八代IC・人吉ICにおいては両方向ともに乗降可。
運行開始当初は、福岡 - 宮崎間における運賃体制は片道6,000円、往復10,000円の運賃設定で、運行開始以来、2007年12月6日までは1クラス制運賃で、1度も運賃改定を行っていなかった。ただし、4枚綴り回数券「フェニックスきっぷ」(19,200円)を使用する事で、福岡 - 宮崎間の1回あたりの乗車が4,800円で利用する事も出来た。
2007年12月7日に、従来から運行している3列シート車の通常便とは別に、4列シート車を使用し、学生証提示により福岡 - 宮崎間が片道3,000円、往復6,000円で乗車可能な「学割フェニックス」を別系統により運行開始。一般客は通常便の運賃を支払う事により乗車可能とされた。
2008年7月より「学割フェニックス」に代わり「皆割フェニックス」の運行を開始。学生に対しては「学割フェニックス」の学生割引運賃で利用可能な他、一般客も福岡 - 宮崎間が片道3,300円、往復6,000円の格安運賃で利用可能となる。さらに1日1便のみ女性専用便が組まれ、運賃も「皆割フェニックス」と同額。同年10月以降、学生割引運賃の設定は廃止され、「皆割フェニックス」は学生・一般客とも福岡 - 宮崎間片道3,300円、往復6,000円にて統一。
2011年4月13日、JR九州バスが「フェニックス号」の運行から撤退し、「たいよう」として運行開始。運賃も「フェニックス号」より割安な片道4,500円、往復8,000円とする、当時台頭していたツアーバスに対抗しての運賃を設定したのを契機に、「フェニックス号」においても大幅な変遷を迎える事になる[28]。
なお、JR九州バスが運行開始した「たいよう」は2012年4月25日を以って運行終了し、翌日からは「フェニックス号」に再参入する。
2013年7月1日より、運賃体系の大幅見直し。
2019年10月1日より消費税増税に伴い、運賃改定。福岡 - 宮崎間の片道通常運賃4,710円、往復割引運賃8,380円、4枚綴り回数券15,060円、web決済の場合、4枚回数券14,660円、席割3060 - 3560円、さらに39運賃を導入し、クレジット決済またはコンビニエンスストアでの決済限定で福岡 - 宮崎間片道3,970円となる。
2022年3月1日より、はかた号で導入されているダイナミックプライシング型に移行[29]。価格幅は福岡 - 宮崎間で3,500 - 6,000円となり、直近の予約状況に応じ、より幅広い価格帯で柔軟に運賃が変動させる事が出来る。これにより、早期の予約または閑散期においては最安価で利用可能。需要に応じて運賃を変動させることで収益の最大化を図るとともに、繁忙期における利用の平準化により増便をせずとも需要に対応できるなど効率的な運営が可能になる。また、65歳以上の利用者に対してはシニア割を新設し、時期に関わらず福岡 - 宮崎間が一律4,500円とする。なお、ダイナミックプライシングによる適用はweb予約によるクレジットカード決済またはコンビニエンスストアによる決済のみとし、窓口または電話での予約もしくは予約なしでの飛び乗りでの利用は福岡 - 宮崎間一律6,000円とする。ただし、シニア割の場合はその逆で、窓口または電話での予約のみとなる(年金手帳その他公的証明書による年齢確認を要するため)。これに伴い、紙の往復・2枚及び4枚回数券とWEB回数券・席割・39運賃は廃止。SUNQパスは従来通り全九州版であれば窓口・web予約関係なく追加料金なしでそのまま乗車可。
2024年4月22日運行分より、上限運賃の見直しが実施され、福岡 - 宮崎間におけるダイナミックプライシング型運賃においての価格幅は3,500 - 7,000円となり、電話・窓口での予約または予約なしでの飛び乗りでの利用は福岡 - 宮崎間一律7,000円に値上げ。シニア割においても福岡 - 宮崎間が一律5,500円に変更[30]。SUNQパスは従来通り全九州版であれば追加料金なしでそのまま乗車できる。
スーパーハイデッカーまたはハイデッカーで、運行開始当初はその後の九州内を運行する長距離都市間高速バスの基本形となる幅のたっぷりした2+1列シートを採用し、床下(ホイールベース間)または車内後部に水洗トイレを備えているなど、グレードの高さ、その割に低廉な料金も人気を博し、さらに2010年代以降になると各座席に電源やWi-Fiなど車内におけるインターネット接続のための環境も充実し始めている影響もあって、それらが現在でも好調の理由といえる。当初は各事業者とも西鉄に合わせて西工SD-I(九州産交のみいすゞ以外は三菱ふそう)で、カラーリングもクリーム色地に緑色濃淡の模様に統一されていたが、2000年代に入ると各社とも自社高速車用のカラーリングとなり、車種も以前は専らスーパーハイデッカーが用いられ、ハイデッカーにおいては専用車都合時や続行車に限って使われていたが、2000年代後半以降に導入された新型車両においては各社ともハイデッカーが専用車に選択されているケースがほとんどである。
かつて運行開始時より長きにわたり、車内公衆電話・テレビ放送(ビデオ映画→DVD映画)・マルチステレオ(音楽サービス)などの設備や、おしぼり・飲み物(コーヒー・お茶)のセルフサービスもあったが、現在はすべて廃止されている。4時間を超える運行のため、ビデオ映画は出発から終点まで2本ずつ上映されていた。さらに、マルチステレオの音声装置が各社車両に存在していた頃は、ラジオ放送も聴くことが出来た。ラジオは、走行区域内のFM放送(エフエム福岡・エフエム熊本・エフエム宮崎)が中心に流され、県境付近で周波数が変更されていた。なお、セレクトシート車(後述)における4列シート席には音声装置が省略されていたため、ビデオ映画・ラジオ放送などの視聴は不可となっていた。
また、一時期において他路線の車両にない特色として、2011年から西鉄全車と宮交の一部を除く大半の車両に導入された「セレクトシート仕様車」が存在した。これは4列(横2+2列)シート車の事前購入割引「席割」を導入するに当たって、従来の3列(横2+1列)シート車の後方6列を4列シート6-7列に改造したもので、3列シート(12-13人掛け)と4列シート(22-24人掛け)が混在する2クラス仕様となっている。2011年7月からは、西鉄担当車に「セレクトシート仕様」の三菱ふそうエアロエースといすゞガーラHDが投入された[31]。エアロエースは西鉄初登場で、ガーラHDも路線車初登場。なお、産交とJRはセレクトシート仕様車を導入せず、宮交も一部は3列シート便を残した事により、これらにおいては従来からの3列シート車を使用していた。
その後、2019年以降は西鉄の一部とJRにおいては4列シート車による運行に変更となり、宮交は2021年3月末を以ってセレクトシート車による運行を終了し全便3列独立シート車による運行となった事から、2023年現在は運行会社によって座席仕様が2分化されている。また、2022年3月以降は席割サービスが終了となっているが、西鉄の一部にはその名残としてかつてのセレクトシート仕様車も残されている。
なお、開業当初より週末等や連休・繁盛期はもとより、日によっては平日でも続行便が出る頻度も多いのが本路線の特色の1つとも言える。続行便は予備車の都合上、貸切車を中心とした4列シート車、化粧室が無い車両が充当される場合がある。また、西鉄便の続行には系列貸切事業者である西鉄観光バスまたは西鉄バス系列子会社の貸切用車両も応援として入ることもある。過去において産交便の続行には同社系列子会社であった九州産交観光の車両も応援として入っていた。
JR九州バスでは、1989年から「フェニックス号」の運行に携わってきた[6]が、2011年4月12日をもって「フェニックス号」の共同運行から撤退し、翌日から博多バスターミナル - 宮崎駅間に天神を経由しない別系統の高速バス「たいよう」を運行開始した[10]。この運行形態の変更に際しては、九州新幹線全線開業に伴い、新幹線連絡となる高速バス「B&Sみやざき号」(新八代駅 - 宮崎駅)の運行を計画し、高速バスと新幹線の相乗効果を狙うJR九州サイドと、九州新幹線に伴うフェニックス号の利用者離れを食い止めたいとする西鉄サイドとの思惑の違いが遠因にあったと報じられている[32]。
「たいよう」はJR九州バス単独運行で10往復が設定された。福岡市内では「フェニックス号」が停車する西鉄天神バスセンターには停車しなかった。
所要時間は博多バスターミナル - 宮崎駅間最速3時間55分で、慢性的な渋滞の見られる天神地区を経由しないことにより従前の「フェニックス号」に比べ20分から30分ほど短縮された。運賃も博多 - 宮崎間片道4,500円で、片道2,000円から3,500円(福岡 - 宮崎間の運賃。車両によって値段が異なる)の「前売きっぷ」を発売することで、「フェニックス号」よりも安く移動できるように設定した。
インターネット座席予約システムは、これまでの「楽バス」ではなく、株式会社工房の「発車オ〜ライネット」を使用した。これはJR九州バスが「楽バス」の運営母体である九州高速バス予約システム運営委員会に参加していない(「フェニックス号」はJR九州バス以外の3社が加盟していたため、路線として「楽バス」を採用している)ためである。九州内で完結する高速バス路線が発車オ〜ライネットで予約・販売されるのは初めての例である。2011年10月1日からはJR駅などのみどりの窓口での販売も開始した。
なお、「フェニックス号」の運行形態の大幅見直しは、「たいよう」への対抗措置の側面が強い(運賃値下げ、博多BTと天神BCの停車順序入れ替えなど)。
JR九州バスでは2012年4月25日限りで「たいよう」を廃止し、翌26日より「フェニックス号」の共同運行に再び参入した[1][2]。このため両系統の競合関係は約1年で終了した。
太字は停車停留所。福岡県内間(博多バスターミナル - 久留米IC)ならびに宮崎県内間(えびのIC - 宮崎駅)のみの利用は不可。熊本県の人吉ICにおいては両方向ともに乗降可。
9往復が3列(2列+1列)シートのスーパーハイデッカー、1往復が4列シートのハイデッカー。全便トイレ付き(ただし車両都合時や続行車においては変更になる場合あり)。
なお、運行開始時より1往復には3列独立シートの2階建てバス(2011年3月末で運行を休止した山陽道昼特急博多号からの転用)が使用されていたが、2012年3月19日の運行を以って終了となった。九州内で完結する高速バス路線に2階建て車両を充当するのはこれが初めてであった。2階建てバスはその後同年4月1日より「福岡・山口ライナー」における臨時便として増便されたうちのノンストップ便1往復に転用されたが、こちらも同年9月17日の運行を以って終了し、その後、同年12月21日からは多客時期のみの期間限定で運行される鹿児島 - 広島間の夜行高速バス「鹿児島ドリーム広島号」に使用されていた(2014年3月頃運用離脱し、サンシャインエクスプレスに転出)。
2016年4月22日から金・土・日・祝日とその前日限定で運行していた夜行高速バス[16]。福岡-宮崎間の夜行バスは2013年3月31日で終了したフェニックス号の夜行便以来3年ぶり、延岡方面はごかせ号が夜行便を休止してから実に23年ぶりとなる、いわば各系統夜行便のリバイバル版ならびに統合版とも言えるが、両系統とは全く別体系となっており運賃も異なっていたほか、愛称も付けられていなかった。2017年3月現在は、金曜および土曜のみの運行になっていた。
運行開始当初は西鉄高速バス1社のみの単独運行で、宮崎交通は宮崎側の運行支援業務(予約・発券業務、停泊、折返し整備)のみ担当していたが、1年後の2017年3月31日からは宮崎交通も運行を担当するようになり2社共同運行化、2019年4月以降は西鉄高速バス会社解散に伴い同社に代わり西日本鉄道が運行するようになった。
利用客の減少や人手不足などの状況もあり、2020年5月31日で廃止されることとなった(同年に発生した新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響による利用者減少と感染拡散防止のための措置として同年4月3日 - 5月31日までの期間は運休扱いとなり、運行を再開しないまま廃止されたため、事実上は3月28日夜の出発便が最後の運行となった)[33]。
太字は停車停留所。福岡県内間(西鉄天神高速バスターミナル・博多バスターミナル・高速基山)ならびに宮崎県内間(延岡駅・佐土原駅前・宮崎駅・宮交シティ)のみの利用は不可。ごかせ号およびフェニックス号の夜行便的な役割を果たすが、ルートは各系統と異なり東九州自動車道経由となる。
運賃はごかせ号およびフェニックス号とは別体系であった。両路線の往復乗車券・回数券(窓口発行分のみ・Web版および席割乗車券は除く)は使えるが、乗車前に窓口において本券を提示したのち「夜行差額券」を購入するか、乗車時に本券と共に現金にて差額を支払う必要があった。SUNQパスはフェニックス号・ごかせ号と同様、全九州+下関版のみ使用可能であった[注 2](北部九州+下関版・南部九州版は使用不可)。
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