『牙狼〈GARO〉-炎の刻印-』(ガロ ほのおのこくいん)は、2014年10月より2015年3月までテレビ東京をはじめとして、TXN各局他で放送された連続テレビアニメ作品。全24話。
惹句(キャッチコピー)は「闇を切り裂く金色の牙 炎の運命は俺が継ぐ!」。
本項では2016年5月21日に公開されたアニメーション映画『劇場版 牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-』についても記載する。
牙狼〈GARO〉シリーズとしては初めて全編2Dセルタッチアニメーションとして製作された作品(GAROシリーズ全体としては本作品の前番組として放送されていた連続特撮ドラマ『牙狼〈GARO〉 -魔戒ノ花-』に次ぐ)。アニメ化は、2013年11月23日にファミリー劇場やニコニコ生放送にて生放送された特番『牙狼〈GARO〉 -金狼感謝祭2013-』で、『魔戒ノ花』などとともに発表された[1]。
基本設定は従来のGAROシリーズを継承しているが、世界観や登場キャラクターはシリーズを象徴する存在である「黄金騎士ガロ(の鎧)」と「魔導輪ザルバ」以外、一新されている。中世ヨーロッパを彷彿とさせる荒涼たる「剣と魔導の世界」で、魔戒騎士とその仲間たちが数奇な運命に翻弄されながら、やがて真の敵に挑んでいく。
スタッフはGAROシリーズの主軸である雨宮慶太が原作のみにとどまり、アニメーター出身の演出家・林祐一郎が監督を担当する。また、GAROシリーズの過去作で脚本を書いたこともある小林靖子がシリーズ構成を担当し、新たなるGAROの物語を描く(小林の参加は、『金狼感謝祭2013』で発表されている)。
アニメーション制作はMAPPAが担当しているが、第2話以降はDR MOVIEの所属者がエンディングクレジットの大半を占めており、DR MOVIE自体も「制作協力」としてクレジットされている。
2014年11月23日には、ファミリー劇場やニコニコ生放送にて生放送された特番『牙狼〈GARO〉 -金狼感謝祭2014-』で、劇場版の制作が発表された[2]。詳細は#劇場版を参照。
また、アニメシリーズ『炎の刻印』『牙狼 -紅蓮ノ月-』『牙狼-GARO- -VANISHING LINE-』の世界は全て同一である[3]。それゆえ、本作品や劇場版の描写、キャラクターの一部が『VANISHING LINE』でも使用、登場している。
アニメシリーズ間の繋がりが明示されている一方で、実写特撮版のシリーズとの関連性は一切明示されていない。これは本作品『炎の刻印』に限らず、他アニメシリーズ『紅蓮ノ月』『VANISHING LINE』、劇場版『DIVINE FLAME』『薄墨桜 GARO』においても同様である。
かつて、ヴァリアンテという国で大規模な「魔女狩り」が実行された。しかし、その実態は人々を護ってきた「魔戒騎士」や「魔戒法師」たちを一掃して実権を握ろうと目論む、国王の側近・メンドーサによるクーデターだった。
17年の時が流れ、1人の少年・レオンがヴァリアンテへやってきた。失われて久しい伝説の魔戒騎士「黄金騎士ガロ」の称号を受け継いだレオンの脳裏には、魔女狩りに遭った母・アンナに火刑の中で産み落とされた際の「炎の記憶」が、音もなく静かに燃えている。それと時を同じくしてもう1人、決意を胸に秘めた少年・アルフォンソがやってきた。母を残してヴァリアンテを密かに脱出していたアルフォンソは、メンドーサから国を奪い返すための最後の希望である「光の騎士」を捜す、流浪の王子でもあった。
レオンの父かつ絶影騎士・ゾロのヘルマンや魔戒法師・エマとの道中、複雑な過去に揺れるレオンに続いて自らも魔戒騎士・ガイアを継承したアルフォンソは数々の魔物・ホラーとの戦いを経てついにメンドーサと対峙するが、そこでレオンがメンドーサの術によって暴走させられ、心滅獣身ガロと化してしまう。城下町を焼き尽くしていくガロの姿を見たアルフォンソは、ガロに渾身の一撃を与えて強制解除させるとその魔戒剣を手に取り、黄金騎士をも継承する。その結果、アルフォンソはヴァリアンテにひと時の平和を取り戻すが、彼の母はそれに先んじて息子の枷にならないようにと自刃して果てていた。母の亡骸を前に、アルフォンソは涙する。
その一方、かろうじて正気に戻ったレオンは、メンドーサが巨大ホラーに喰い殺されたこと、暴走した自らが城下町を焼き尽くしてしまったこと、そして黄金騎士の資格を失ったことに呆然自失となり、あても無くさまよう。やがて、とある地方の峡谷で投身自殺を図ったレオンは川辺に流れ着いたところを、貧しくも家族と明るく暮らす農民の少女・ララに救われる。ララたちと過ごすうちに自らを省みるようになったレオンが彼女と想い合い始めた矢先、ララたちはホラーに殺害されてしまう。自らが魔戒騎士であることを痛感したレオンはアルフォンソと剣を交え、黄金騎士の資格を取り戻す。
人々が復興に励むヴァリアンテの奥底では、生きていたメンドーサが伝説の超巨大ホラー・アニマの復活を目論んでいた。番犬所の神官・ガルムはメンドーサの目論見を利用して多大なホラーの討滅を目論むが、それはヴァリアンテの滅亡を意味していた。両者の目論見を潰そうと動いたヘルマンに続き、レオンやアルフォンソも後を追う。しかし、ヘルマンが孤軍奮闘を経て殺害されたうえ、アルフォンソがガイアの鎧を犠牲にしてヴァリアンテの滅亡こそ回避できたものの、メンドーサはアニマと融合して不滅の存在と化す。レオンもヘルマンの遺した魔戒剣を手に、ゾロと融合・変形した双烈融身ガロと化して互角に渡り合うが、メンドーサの討滅までは叶わない。そこでレオンは、自分ごとメンドーサを封印しようとゲートへ飛び込む。ヴァリアンテへの帰還が絶望視されかけたその時、レオンに刻まれていた「炎の刻印」からアンナの魂が顕現する。「炎の刻印」はアンナがレオンを守るために施したものであり、復讐の刻印ではないことを知ったレオンは、魔界で永遠にメンドーサを焼き続けるアンナの慈愛や自らに後を託して消えていくヘルマンの魂に見送られ、帰還を果たす。
ようやく平和の戻ったヴァリアンテで、アルフォンソは改めて復興に励み、エマは故郷へ旅立ち、そしてレオンはヘルマンの遺児の誕生を待ちながら、今度は自らが次世代の騎士たちへ後を託すことを誓うのだった。
ホラーの名称については公式サイトの「CHARACTER」 (SHADOW SIDE) における表記[5]。なお、ホラー全体の設定については#関連用語も参照。
- 素体ホラー
- 声 - 藤巻大悟、杉村憲司
- 悪魔を髣髴させる容姿を持つ、人間などに憑依する以前のホラー。戦闘能力は低いが、普通の人間では太刀打ちできない。
- メンドーサには禁断の魔導具によって使役されているほか、鉄の処女を用いて人間から搾り取った血潮を養分として養殖され、卵から孵化している。また、アニマの周辺では封印が解かれるにつれて無数に出現する。
- 娼婦
- 声 - 宮島依里
- 第1話に登場。ヘルマンと床を共にしていた娼婦。
- 訪れた街々で様々な男と肌を重ねていた身体はいつからかホラー・ハナムシに憑依されており、ヴァリアンテ国の領土と化した国・レイデンのとある娼館に住み着いては客の男を喰らっていた。ヘルマンとの行為を終えてのピロートーク中、口の中に口がある軟体動物のような正体を現すが、魔戒騎士としての正体を明かしたヘルマンに鎧を召還するまでもなく討滅され、娼婦としての身体も霧散した。
- メタクリム
- 声 - 不明
- 第1話に登場。レオンの隠れ家を襲撃したホラー。
- 魔女狩りで処刑された魔戒騎士・ギレルモの遺体に憑依していた。レオンとの戦いの中で首枷をはめた人面の恐竜のような正体を現すが、ガロへ変身したレオンに討滅され、爆散した。
- 神父ニコラス
- 声 - 中博史
- 第2話に登場。異端審問を行っていた神父。
- 穏やかな風貌と口調を装っているが、本性は異端審問にかけた女性の身体をメッタ刺しにして殺害することを好む人格破綻者であり、その最中に拷問具をゲートとして出現したホラー・エゾルに憑依される。エマを襲おうとしたところをレオンとヘルマンに阻止され、両腕にギロチンを備えた断頭台のような正体を現して襲い掛かるが、暴走したレオンに両腕を破壊され、逃げ出そうとしたところをエマに切り刻まれて討滅された。
- マルセロ
- 声 - 綿貫竜之介(少年時代:岡本沙保里)
- 第3話に登場。ガエルの弟子であった見習い魔戒騎士[注釈 9]。
- 魔女狩りの体験からザルバへ抱いた執着をランタンをゲートとして出現したホラー・オンブラに付け込まれ、憑依される。ガエルを殺害してザルバを奪い、逃走中に遭遇したエマに罪をなすりつけようとしたが、ヘルマンには見抜かれる。紫色の炎を操る甲冑を纏った悪鬼のような姿と化して襲い掛かるが、レオンにザルバを奪還されて「炎の記憶」を制御した彼に討滅された。
- バンボーラ
- 第4話に登場。彫刻刀をゲートとして出現し、とある村の「悪魔祓いの儀式」と称する虐殺によって殺害された、木こりが作っていた木像たちの1つに憑依していた。
- 儀式の非道さに耐えきれず教会に密告しようとしたところを村長(声 - 浦山迅)や村人たちによって口止めに殺害された男性を父に持つ少年・アロイス(声 - 矢島晶子)の復讐心に付け込み、彼と共に(場合によっては成り代わって)復讐を実行していた。レオンに正体を見抜かれ、巨大な木偶人形のような正体を現すも圧倒されると、自身の顔や声をアロイスのそれらに変化させての命乞いでレオンを躊躇させ、逃走する。最後は村人たちを殺戮していたところへ駆けつけたレオンによって追い詰められ、再び命乞いをするも聞き入られず討滅された。
- なお、復讐心を否定してみせたレオンに諭されて改心したアロイスは母・オレリア(声 - 井上喜久子)と共に村を出て行ったが、ホラーの脅威から結果的に生き残った村長は他の生き残った村人たちによって新たな儀式の犠牲者となった。
- ロメロ伯
- 第5話に登場。ヴァルドナの領主。
- かつては芸術を愛する人格者であったが、年代物のワインボトルをゲートとして出現したホラー・ジェミトレに憑依されてからは巨大で醜悪な芋虫のような姿と化し、領民たちを喰らっていた。城跡でラファエロに連れてこられたアルフォンソを圧倒するが、ラファエロには敵わず、ガイアへ変身した彼に一撃で討滅された。
- ジョルディ
- 声 - 辻親八
- 第6話に登場。武器職人の男。
- 本来は子供を愛する気さくな好漢であるが、騎士団の入隊試験で死亡した息子・セルジ(声 - 北田理道)の死を受け入れられない悲しみを付け込まれ、彼の形見の剣をゲートとして出現したホラー・アルマーに憑依される。夜な夜な正気を失っては大剣を携えた鍛冶屋の巨人のような姿と化し、兵士たちを襲っていた。正気を保っていた当時はヘルマンと意気投合していたが、最後は彼との激闘の末に討滅された。
- ペペ
- 声 - 柿原徹也
- 第7話に登場。アガタ(声 - 白兎夕季)の義兄。
- 自警団(声 - 後藤光祐)に人狼の疑惑をかけられた両親を殺害されて心を病んだうえ、人身売買の犠牲となった自分を虐げる奴隷商人を殺害した際、使用した短剣をゲートに出現したホラー・デスペラに憑依される。それ以降はアガタを連れ戻す機会を狙ってアルルカンに扮し、旅芸人を利用して村の子供たちを奴隷商人へ売り渡していたシスター・ベロニカ(声 - 日野由利加)ら救貧院に復讐していた。アガタを哀れに思うあまり、レオンをペペの代わりの存在にと考えた元魔戒法師バスコ(声 - 向井修)による洗脳から脱したレオンとの戦いでは、道化師の仮面をはめた豹のような正体を現して素早い身のこなしで翻弄するが、彼の背旗のリングを活用した戦法によって討滅された。
- ドナート
- 声 - 丸山壮史
- 第8話に登場。ナイフの投擲を得意とする盗賊団のリーダーの男。
- 被害者を装った美女イレーネ(声 - うえだ星子)ら仲間3人と共謀し、ヘルマンから身ぐるみを奪う。ナイフをゲートに出現したホラー・モネータに憑依された後はイレーネ以外の仲間2人を捕食すると、手足の位置と顔の上下が逆向きとなった巨人のような姿と化してヘルマンに襲いかかるが、まだ裸同然の彼に一撃で討滅された。
- アンフェル
- 第9話に登場。「オルビエンのキマイラ」と称される強力なホラー。
- 行く先々の場所で手当たり次第に人間を捕食し、被捕食者の残骸を装飾品として全身にぶら下げるという習性を持つ。「キマイラ」とも称されているが、その実態は死神のオブジェを備えた規格外の巨体を誇る地獄の門のような姿で、死神が携えている鎌による斬撃と周囲に顕現する魔法陣から放たれる光線、巨体から繰り出される質量攻撃に加え、解放された門に存在する異形の口から放たれる絶大な破壊力の巨大な破壊光線と光弾を武器とする。修行のために強力なホラーを求めていたレオンや、ラファエロからの最終試練として討滅を課せられたアルフォンソと交戦し、絶大な力で彼らを窮地に追い込むと、救援に駆け付けたラファエロを捕食したが、最後はガイアの鎧を受け継いだアルフォンソによって討滅された。
- 単体のホラーなのか、ホラーの集合体であるかは不明[4]。
- 侍女ホラー(仮称)
- 声 - 不明
- 第11話に登場。ヴァリアンテ城へ潜入したレオンとアルフォンソに対し、背を向けて泣きながらレオンのことを「騎士様」と称したことから、正体が露見する。気遣って歩み寄ったアルフォンソへ、1対の角を生やした髑髏のような頭部を向けて襲いかかろうとしたところをレオンに斬られて上半身だけとなってなお、メンドーサの元へ逃れようと這いずり始めたところを脳天へレオンに魔戒剣を突き立てられ、消滅する。しかし、その際に行き止まりであるはずの壁へ向かっていたことから、アルフォンソも生来知らなかった地下室への隠し扉が明らかとなった。
- ブラッドムーン
- 第11話、第12話に登場。「暁月の使徒」と称される伝説の巨大ホラー。
- 数千年に一度、赤く染まった月と共に人間界に降臨し、天を仰ぐ者全ての陰我を破滅へと導くと言い伝えられる。三つ目の龍人のような姿をしており、巨体から繰り出される怪力と口から放つ赤い十字架状の光線を武器とするほか、肉体が半壊しても力尽きないほど強靭な生命力を誇る。メンドーサによって禁断の魔導具を通じて魔界から召還されたが、その最中に心滅獣身と化したレオンの攻撃を受けて体力を消耗したうえ、その状態で無理矢理顕現しようとしたため、下半身を失った不完全な状態で現世に姿を現す。そのせいでメンドーサに見限られ、ガロの鎧を継承したアルフォンソとの戦闘中に彼諸共魔界へ強制送還されそうになるが、それを切り抜けてメンドーサを捕食する。最後はアルフォンソに一刀両断されて討滅された。
- 残党ホラーA(仮称)
- 第13話に登場。首の長い人間の女性の上半身とカマキリの下半身を合わせたような容姿を持つ。深夜の城下町でアルフォンソと戦闘を繰り広げた末、討滅される。
- 残党ホラーB(仮称)
- 第13話に登場。背中から生えた手が構えている槍に串刺しにされた女性を模した船首像を備えた、チャリオットのような容姿を持つ。アルフォンソと残党ホラーAの戦闘中に割り込んで出現し、不意打ちを仕掛けようとしたところを助太刀に現れたヘルマンに深手を負わされ、それでもなお迫ったところをアルフォンソに討滅される。
- ロランド卿
- 声 - 斉藤次郎
- 第14話に登場。ジャステ伯の元ライバル騎士。
- ジャステ伯の武勲への嫉妬心と過分な名誉欲を盾をゲートに出現したホラー・アボラデュラに付け込まれ、憑依される。ホラー化以降もジャステ伯をライバル視しており、どちらがより多くの人間を喰らえるかを競い合っていた。魔女と噂されながらも実は魔戒法師であったジャステ伯の妻・イザベル(声 - 長尾明希)によって城壁に封印されていたが、彼の古城を根城としながら武勲譚に憧れを抱く盗賊騎士・ガスパール・モンテス(声 - 稲葉実)によって発掘され、朽ち果てて動けなくなっていたロランド卿の肉体から抜け出てガスパールへ憑依する。その後、ガスパールの娘・ファナ(声 - 斉藤梨絵)を連れ去ったジャステ伯と遭遇し、クワガタムシを模した巨漢の鎧騎士のような姿と化して因縁の対決を繰り広げるが、彼らの戦闘に割って入ったヘルマンとの戦闘になる。怪力と左手から放つ光弾でヘルマンを追い詰めて止めを刺そうとするが、その隙を突かれて首を切断され、討滅された。
- アルバール・ジャステ伯
- 声 - 川原元幸
- 第14話に登場。ラビエラの元領主。
- ヴァリアンテ国にその武勲譚を残す強き騎士であったが、ホラー化したロランド卿の武勲に嫉妬するあまり彼以上の力を欲した結果、剣をゲートに出現したホラー・コンベクスォに憑依される。それ以降、「戦の遍歴」と称して数多くの村々を襲い、若い娘をさらってはその生き血を啜っていた。ジャステ伯のホラー化を知ったイザベルの捨て身の封印によって城の地下室に封印されていたが、偶然そこを訪れたファナと彼女の恋人・マウロ(声 - 成瀬誠)の不注意によって封印を解かれる。「自身の崇高さを示せるのなら愛を捧げる対象など誰でも良い」という自身の歪んだ騎士道に従い、婚礼の儀式を挙げた後に喰らう予定でファナを連れ去ると、その途中でアボラデュラに憑依されたガスパールと対峙し、カブトムシを模した細身の鎧騎士のような姿と化して因縁の対決を繰り広げるが、彼らの戦闘に割って入ったアルフォンソとの戦闘になる。まもなく追い詰められるとファナを高台から放り投げ、アルフォンソがそれに動揺した隙をついて奇襲を仕掛けるが、マウロとヘルマンにファナを救出されたうえ、アルフォンソの一太刀で討滅された。
- 人食い熊
- 第15話に登場。とある村に出没した巨大な熊。ホラーではなく普通の熊であるが、便宜上記載する。
- 夜な夜な家畜を襲ったり作物を荒らしており、人間まで襲い始めていた。爪は金色狼の装甲を深く傷つけるほどの切れ味を誇り、顔は必殺ガロウパンチを受けても怯まない。金色狼との格闘戦の末、蒸気釜を最大出力にした自爆攻撃で倒された。なお、自爆攻撃の直前脱出に操縦者のブルーノは失敗しそうになったが、ヘルマンに救出されている。
- ミケル
- 声 - 関智一
- 第16話に登場。医者を強く志願する青年。
- 自身の住む村を訪れた放浪医師・ファビアン(声 - ふくまつ進紗)が伝染病[注釈 10]に倒れた際、彼を助けずに自身の欲望を優先して絞殺したことから、医術書をゲートとして出現したホラー・メディクルスに憑依される。それ以降は自身がファビアンに成り変わり、ヴァリアンテ国を訪れて患者たちの怪我や病気を無償で治療しては、その喜びに満ち溢れる魂を1日につき1人ずつ喰らっていた。伝染病に感染したヒメナを治療した後で喰らおうとしたところをヘルマンに阻止されると、胸部に薬棚を備えた、ペストマスクを模した頭部を持つ細身の怪物のような正体を現し、自身が開発した秘薬による自己再生や肉体強化で彼を翻弄して重傷を負わせるが、医者の本能に逆らえずにヘルマンを治療してしまったことが仇となって形勢を逆転され、完全復活した彼に薬棚を破壊されたうえで討滅された。
- グランドマグス
- 第17話に登場。ララの住む農村に出現した巨大ホラー。
- 無数の目を持つ異形の龍魚のような姿をしており、超高熱のガスを体表から噴出しながら地中を自在に泳ぎ回りながら移動し、夜な夜な民家を襲撃しては住民を貪り食っていた。ララの家を襲撃した際、一度はレオンに撃退されてララたちを逃がされるが、ララの家に火を放ち、心配になって戻ってきたララの家族を捕食する。その後に駆けつけたアルフォンソと交戦し、追い詰められた末に逃走を図るが、尾に牙狼剣を突き刺されて動きを封じられ、そのままアルフォンソの怒りを込めた拳の連撃を受けて吹き飛ばされたところを尾に突き刺さった牙狼剣に両断され、討滅された。
- マンドゥーラ
- 声 - 堀井千砂
- 第18話に登場した「使徒ホラー」の一体。黄金騎士の資格を取り戻したレオンが初めて対峙した「魔響ホラー」と称されるホラー。
- 潰れた顔面を持つツインテールの女性の植物人間のような姿をしており、伸縮・分裂自在の手足と髪状の蔦を武器とする。とある森で子供たちを襲っていたところをレオンとアルフォンソに阻止され、激戦の末にレオンに動きを封じられたところをアルフォンソに両断され、討滅された。
- ルシアーノ・グスマン
- 声 - 木内秀信
- 第19話に登場。エマの夫であった元魔戒法師。
- エマと共に守りし者として戦ってきた腕利きの魔戒法師であったが、その最中で守りし者としての姿に疑問を抱き、「『ホラー化した人間を討滅する』のではなく、『ホラー化する前に人間を救いたい』」と苦悩するようになる。自分ではどうすることもできない無力感やとあるホラーを討滅した際にその正体が過去に自分がホラーから救った人物であったことに気付いてしまったことで絶望に打ちひしがれていた心をホラー・アラベルに付け込まれ、憑依されるとエマの目の前で漆黒の翼を持つ鳥人のような姿と化して飛び去った。その後の行方は番犬所ですら掴めていなかったが、第19話にてパウラヘナの町に出現したところをエマに突き止められ、対峙する。初戦では、エマが町中に張った糸の結界に逃げ場を塞がれながらも、生前のルシアーノの言葉でエマに揺さぶりをかけて負傷させ、レオンの介入に乗じて結界を破壊し、逃走する。再戦時には、黒鳥を模った戦闘機のような姿で現れ、エマと壮絶な空中戦を繰り広げた末に彼女を捕食しようとしたところを、糸で縛り上げて槍状に硬化させたエマの後ろ髪による一撃で口から貫かれ、討滅された。
- 魔戒法師であったころは、鉄扇のようなものを武器としており、主に魔戒騎士たちの補佐を務めていた。
- レジューム
- 第20話に登場。メンドーサがオクタビアに託した魔獣。
- 卵のような形状をした器の中に封じられていたが、オクタビアに血を与えられたことで封印を解かれ、双頭の大蛇のような姿を現す。封印を解いた者に服従するよう作られ、再生能力を持ち、双頭を同時に撥ねなければ討滅できない。オクタビアの命令に従ってラウラを捕食し、オクタビアの右足を喰らった後、駆けつけたレオンとアルフォンソに討滅された。
- ゲメルス
- 第21話の回想に登場。過去にとある町に出現したホラー。
- 水色の人型の獣のような姿をしており、鋭利な爪を武器とするほか、ゲル状の物質で形成された体は、弱点である心臓を破壊しない限り切断されてもその箇所から再生し、分裂する能力を持つ。最初はその能力でヘルマンを翻弄したが、最終的に弱点を看破され、討滅された。
- アニマ
- サンタ・バルド城の地下深くに封印されていた伝説の巨大ホラー。
- 首の無い裸体の女性のような姿をしており、両手についている巨大な吸引口から月食の日に開かれる巨大なゲートを介して出現する無数の素体ホラーを吸収し、さらなる力を得るという性質を持つ。メンドーサによって封印を解かれ、魔女狩りの犠牲となった魔戒騎士や魔戒法師たちの魂を吸収して復活を遂げた後、メンドーサに吸収された。アニマおよびこれを吸収したメンドーサが展開する結界は、魔戒の者以外の全ての時間が止まっているようなものとなっており、岩は浮遊し人々は静止している。
- トビアス
- 声 - 岸尾だいすけ
- 第25話に登場。ティナたちの面倒を見ていた青年。
- ナトリアの死後もティナたちを守り続けており、ティナから想いを寄せられていたが、ナトリアの死をきっかけとして村外の者に対する強い不信感を抱いており、エマに対しても辛辣な態度を取る。過去にティナたちを誘拐しようと目論んだ暴漢2人を殺害しており、その陰我と「ティナたちを守るために力が欲しい」という妄執をホラーに付け込まれ、憑依される。両腕に鎌を備えた異形の昆虫人間のような姿と化してエマに襲いかかるもエマの糸に全身を切り刻まれ、討滅された。
- クリムゾンゲイル
- 劇場版に登場。暴漢から逃げる女性に憑依していたホラー。
- 両腕に鎌を備えた巨大な赤い悪魔のような姿をしている。素早い動きと鎌による強烈な斬撃でレオンと渡り合うが、鎧を召還した彼に討滅され、炎を上げながら四散した。
- アポストルフ
- 劇場版に登場。ロベルトを誘拐した黒装束の人型魔導具。
- 両脚に備わった車輪で滑走し、両腕に備わった剣と槍を武器とする。同一の個体が複数存在する。
- ギュスタヴォス
- 劇場版に登場。二足歩行の首長竜のような姿をした巨大魔導具。
- 口から吐き出す灼熱の炎を武器とし、胸部に備わった女性のオブジェが弱点。ダリオの手引きで古代神殿を訪れたレオンとヘルマンに襲い掛かるが、彼らのコンビネーションに翻弄されて首や手足を切断され、最後はレオンに胸部のオブジェを貫かれて破壊された。
- ニグラ・ヴェヌス
- 劇場版に登場した、「使徒ホラー」の一体。劇中の5年前に起きた惨劇で消滅した王国・バゼリアに巣食うホラー。
- 「この世で最も美しいホラー」と称されており、サラを憑代として憑依していた。男性は惑わせながら全身の精気を奪って凍らせて喰らい、女性は顔の裂け目から現れる触手で顔を剥いで喰らうという方法で捕食を行う。
- サー・ヴェヌス
- ニグラ・ヴェヌスが「ツィルケルの環」とダリオを取り込み、変貌を遂げた姿。無数の針弾を飛ばす能力と、相手を次元の狭間へ飛ばす能力を有する。
- ヘルマンの肉体を消滅させ、レオンとその右腕をも次元の狭間へ飛ばすが、最後は天剣煌身ガロとなったレオンに討滅された。
従来のGAROシリーズに出てきた用語についても、アニメ用に細かい部分は触れずアレンジされた部分が多いため、改めて記載している。
- 魔戒騎士()
- 本作品の世界で暗躍する魔の者から人々を守護してきた戦士(騎士)たち。それぞれがさまざまな称号を持つ鎧を纏って戦うが、この鎧は一子相伝で、原則として1人が同時に複数の鎧を交替して纏うことはない。また、絶対的な掟により、魔戒騎士には男性しかなれない。本作品では、従来のシリーズとは異なり、鎧の兜の口部が開閉する描写が存在する。
- 黄金騎士ガロ()
- 最強の魔戒騎士に与えられる称号であり、その騎士が纏う黄金の輝きを放つ鎧(鎧単体は「ガロの鎧」とも呼ばれる)。さまざまな時代にさまざまな黄金騎士たちが存在し、彼らはガロの伝説と共に語り継がれている。
- 初期のレオンが纏った時の姿は、従来のシリーズの物と細部の形状が異なるほか、大きな特徴として背部にある先端に金環が付いた伸縮自在の2本のマフラーと左半身から炎が吹き上がる亀裂を持つ[6][7]。後者の亀裂から発せられる炎は、レオンがアンナにより施された炎の刻印が記憶による過剰反応で暴走する可能性があり、これはザルバが吸収することで抑えられているが、噴出する炎の量が膨大になると抑えきれなくなる。牙狼剣による剣術に加え、マフラーの金環で相手を拘束したり、亀裂から吹き上がる業火で焼き尽くすといった戦術でホラーを滅する。瞳の色は真紅。
- アルフォンソや黄金騎士の資格を取り戻したレオンが纏った時の姿は、従来のシリーズのものとほとんど同じで、瞳とマントの色は前者は青色で後者は赤色。
- ただし、アルフォンソが纏った鎧にはマントが背部にはためき、亀裂がないほか[7]、腰に紋章がなく、その代わりに胸部にアルフォンソの持つペンダントが付いている。
- 心滅獣身ガロ()
- ガロの暴走形態。従来のシリーズとは異なり、狼の頭部を模した形状の両腕を持つ翼の生えた人型のケルベロスを髣髴させる姿をしており、城下町のサンタ・バルドを焼き尽くすほどの業火を放つ。
- 双烈融身ガロ()
- レオンに同時に召還されたガロの鎧とゾロの鎧が融合・変形した姿。金と銀の狼頭を両肩に型取り、四肢や胴にはガロとゾロの意匠が交差している[7]。牙狼剣とゾロの絶影剣の特性を併せ持つ長大な双剣の牙狼剣を持ち、柄を連結して投てきするほか、背中から烈火炎装の緑炎の翼を生やして飛翔できるほか、初期のレオンが装着したガロが持つマフラーの金環やゾロが持つチェーンが使用可能であり[6]、メンドーサ融合体の壮絶な攻撃を捌き、互角に渡り合えるほどの強大な力を持つ。
- 劇場版『薄墨桜-GARO-』映像ソフト初回生産限定盤同梱のクロスオーバードラマCD4の完結編第四話「黄金」にて再登場。邪悪な思念の塊である魔獣の仕掛けた崩壊して行く時空連結から脱出すべく、ガルムに絶影騎士ゾロの魔戒剣を転送してもらったことで双烈融身を召還。空間を脱出する先陣を切った。
- 天剣煌身ガロ()
- 劇場版に登場。レオンがサー・ヴェヌスに飛ばされた次元の狭間で見つめ直した、ララを失ったことで気付いた力、ロベルトの母を想う心と未来の力、そして今日まで紡がれてきた過去と未来の黄金騎士たちの魂と力を受け止め、変化を遂げたガロの強化形態。背中から生やした巨大な金色の翼によって超高速で飛翔し、翼から放つ無数の牙狼剣を操ったオールレンジ攻撃と背部に備えた身の丈を超える巨大な牙狼剣に緑色の魔導火を灯した斬撃を得意とする[6][7]。
- 魔導馬ゴウテン[8][7]
- ガロが召還する金色の魔導馬。姿形は実写シリーズのテレビ版轟天に酷似している。劇場版でガロが騎乗し、魔導馬ライメイに騎乗する黒曜騎士ゼムと激しい騎馬戦を展開する。
- 絶影騎士ゾロ()
- ヘルマンが纏う銀色の鎧(鎧単体は「ゾロの鎧」とも呼ばれ、ヘルマンは「魔戒騎士ゾロ」という名乗りを好む)。双剣の魔戒剣を持ち、魔戒剣と両腕の籠手部を連結するチェーンを活用したアクロバティックな戦法を得意とする[6][7]。瞳の色は金。烈火炎装の色は青。
- 魔導馬ゲツエイ[8][7]
- ゾロが召還する、魔導馬・銀牙に似た銀色の魔導馬。ゾロの魔戒剣を、両端がチェーンで連結された刀身が幅広いギロチン状の斬馬刀に変化させる。
- 堅陣騎士ガイア()
- ラファエロが纏う深い赤色[6][7]の鎧(鎧単体は「ガイアの鎧」とも呼ばれる)。召還時に地面が割れるほどの重装甲を誇る。切っ先が幅広い大剣のような両手持ちの両刃の魔戒剣を操り[7]、それに緑色の魔導火を纏わせた斬撃を得意とする[6]。
- 第9話で、ラファエロからアルフォンソに受け継がれる。当初、瞳の色は橙だったが、アルフォンソへ受け継がれた際に青となる。
- アルフォンソがガロの鎧を継承した後の動向は不明だったが、ガロの鎧がレオンに返還されたことで、再びアルフォンソが纏うこととなる。
- 魔導馬テンジン[8][7]
- ガイアが召還する紫色の魔導馬。劇場版で登場。
- かつてガイアの鎧を持っていたラファエロ役の天神と同じ名となっており、劇場版の先行上映では彼とアルフォンソ役の野村がこれに触れた[9]。
- 暗黒騎士ゼクス()
- ベルナルドが纏う漆黒の鎧。鋭利な角のような形状の耳と全身から放たれる禍々しいオーラが特徴。従来のGAROシリーズからは、暗黒騎士の設定が変更されており、心滅獣身を経ることなくこの姿へと堕ちた。剣は切っ先が割れて三つ又になった巨大な長剣のような形状に、盾は左腕全体を覆うほど巨大化した悪魔の顔のような形状に変化し[6]、左手から邪気を圧縮した波動を放つ。瞳の色は青紫。鎧召還の動作は、剣と盾をこすり合わせて円を発生させる。なお、暗黒騎士に堕ちる前の称号は翠瞑騎士ゼクス()[6][7]。『VANISHING LINE』ニコニコ生放送スタッフトークで、同席していた監督の林がイメージ画と共に公開。『炎の刻印』本編中では決定しておらず、このイベントの前に音響担当の久保がネット上でゼクスと魔導馬の質問を受けており、これを林に連絡してその後決定したという[10]。
- 魔導馬センカク(穿角)[11][7]
- ゼクスの召還する漆黒の魔導馬。ゼクスの魔戒剣を中央部が空洞となった長身の大剣に変化させるほか、全身を巨大なドリル状の大槍のような形状に変化させて[6]ゼクスの右腕と接合できる。
- 黒曜騎士ゼム()
- 劇場版に登場。ダリオが纏う黒鋼色の鎧(鎧単体は「ゼムの鎧」とも呼ばれる)。角のような形状の耳と、牙の露出しない口元を持つ狼的要素の薄い兜と後頭部からたなびく3束の毛が特徴で、十字型のような形状に変化した刃の長大な魔戒槍を操り、投擲することも可能[6][7]。
- 暗黒騎士ゼム()
- ダリオが「他者を犠牲にしてでもサラを救いたい」という妄執から転じた陰我により暗黒騎士へ変貌した姿。ダリオの両目の刀傷を模した紋様が両目に施された狼の顔のような形状に変化した鬼のような形相の兜と、豪奢な形状に変形した肩部装甲、紫黒色に発光する紋様が刻まれた甲冑が特徴[7]。
- 魔導馬ライメイ[8][7]
- ゼムが召還する黒鋼色の魔導馬。劇場版で登場。
- 魔戒法師()
- いわゆる「魔法使い」に近い存在。本作品では「魔導力」と呼ばれる超常の力によって、物理的にではなく間接的に魔と戦う。特性上、魔戒騎士のサポートを任じる者も多い。また、自身は戦わず、魔導力を秘めた術具・魔導具や魔戒騎士の武器を鍛え、作ることを専門にする者もいる。
- 男性が魔戒騎士か魔戒法師のいずれかになれるのに対し、女性は魔戒法師にしかなれないと定められているので、魔との戦いを欲する女性は必然的に魔戒法師となる。
- 守りし者()
- 魔戒騎士と魔戒法師を合わせた、ホラーを狩る者たちの総称。「守る」という言葉には「どんなことがあっても人間を守る」という誇り高き挟持が込められているが、同時に「(どのような仕打ちを受けても)人間に手を上げることは絶対に許されない」という絶対的な掟も秘められている。
- 本作品では、従来のシリーズ以上に劇中で強調される重要なキーワードにもなっており、メンドーサやベルナルド、ダリオが闇に堕ちる原因となっている。
- ホラー
- 「守りし者」たちが遥かな昔から狩ってきた「魔の者」。「陰我」(いんが)と呼ばれる「存在」を通して訪れた現世で、主に人間に憑依してはその者に成り代わり、その奥底にある陰我を身体ごと喰らう。放っておけば人類はホラーによって滅ぼされるが、いつのころからかホラーに対抗する術を身に付けた「魔戒法師」が現れ、やがて戦闘に特化した「魔戒騎士」も登場し、両者は協力しながら人々を守っている。
- 番犬所
- 魔戒騎士を束ねる場所。本作品では、通常空間に異空間への光の扉を生じさせて出入りするが、メンドーサの策略で減少の一途をたどっている。
- ヴァリアンテ国
- 本作品の舞台となる王国。魔女狩りを目的とした軍事侵攻により、その勢力を急速に拡大させている。国民たちは表向きは平穏な日々を送っているが、その裏では「魔の者」の脅威に曝されている。
- サンタ・バルド
- ヴァリアンテ国の首都。現在のサンタ・バルド城が建つ場所は、元々は番犬所の礎を築いた魔戒騎士や魔戒法師たちの手によってアニマが封印された場所であり、その事実を知る者は一握りしか存在しない。
- 魔女裁判・魔女狩り
- かつて国王フェルナンドに呪いをかけたとされる「魔女」アンナの火刑に端を発した、ヴァリアンテ国の魔戒法師や魔戒騎士を根絶やしにするための討滅行為。「魔女」とあるが、討滅の対象には魔戒騎士も含まれる(この際、魔戒騎士は「魔物」と蔑称される)。これは「ホラー」や「守りし者」の節に記載したように魔戒騎士と魔戒法師は同等の存在であり、魔女アンナの仲間と見なされたためである。
- その討滅は苛烈を極め、魔女狩りが始まった最初の1年で100人近い「魔女」と「魔物」が拷問の果てに処刑された。その中には、魔戒の者に関わりを持たない普通の人々も多くいた。さらには他国の「魔女」と「魔物」を討滅するという名目で、周辺他国へ軍事侵攻する名目にも使われた。17年が経過した物語開始時点でも魔女狩りの布告は終了しておらず、「魔女」と「魔物」は正体が明るみに出れば即刻処刑の対処になっていた(アルフォンソがメンドーサを一度討ち倒し、国の実質的な統率者になってからは撤回された模様)。
- その背景には、魔戒法師や魔戒騎士の減滅に加え、処刑された魔戒法師や魔戒騎士たちの魂をアニマの贄とし、さらなる力を引き出させるという裏の目的が隠されていた。
- 魔導ベル
- 本作品の魔戒騎士が携行する鈴のような魔導具。対象の前にかざして鳴らすことでホラーを探知でき、探知された者の瞳は赤く染まる。
- 劇場版では、テレビシリーズ版と同様に探知された者の瞳に魔導文字が浮かび上がる。
- 騎士団
- 事故死した兵士隊長の後任に就いたベルナルド・ディオンにより結成された、ヴァリアンテ国の騎士団。ベルナルドを含め、団員の全員が黒い鎧を纏っていることから「黒の騎士団」とも呼ばれている。しかし、現在では新人たちがホラーの憑代にされるなど、メンドーサの支配下にある。
- 堕落者の烙印
- 闇に堕ちた守りし者に刻まれる烙印。この烙印を刻まれた者は、その子孫にも永遠に受け継がれていく。
- ツィルケルの環
- メンドーサが開発した禁断の魔導具。人間の血と陰我を媒介として魔界からホラーを召還し、使役する。発動には大量の生贄の命と「騎士の血を引く無垢なる魂」を必要とする。
- 劇場版では、魔界から死者の魂を現世に呼び寄せる力を持ち、世界の因果律を崩壊させる危険性を秘めていることが明らかとなっている。
- 金色狼()
- フリオが腕利きの職人たちと協力して設計した、機械仕掛けの光の騎士。ガロの鎧を一回り大きく、ずんぐりさせたような外観を持つ搭乗型ロボットのような巨大な鎧で、背中に備えた巨大な蒸気釜を動力としている。強度や性能はガロの鎧には到底及ばないが、巨大な人食い熊と格闘できるほどの怪力を出せるほか、右手から「必殺ガロウパンチ」という名のロケットパンチを発射できる。また、操縦者のブルーノにより、最後の切り札として自爆できる。
- 人食い熊との戦いで全壊したが、その後は修復されたらしく、第23話・第24話では誰かが装着して避難活動や復興活動に尽力している。
- 妖精の丘
- ララの住む農村付近の森の中に存在する、謎のモニュメントが設置されている丘。古くから妖精が住んでいる場所と言い伝えられている。その正体は番犬所の入り口の残骸であり、現在はその機能は失われているものの、ホラー除けの結界は未だに機能している模様。
- 魔獣装甲()
- 魔戒騎士の鎧とは似て非なる鎧の魔導具。外見は有機的で禍々しく、魔戒騎士のそれよりはホラーのそれに近い。装着すると、強大な力と引き換えに徐々に心と肉体を喰われていく。
- 魂の天秤
- 劇場版に登場。ガルムがヘルマンを復活させるために用いた禁断の魔導具。使用者を魔界の中継点として死者の魂を一時的に現世に召還する。召還された死者の魂は使用者と直結された状態となっているため、死者が受けたダメージが使用者にも反映されるほか、死者が現世に長居しすぎるとホラー化する危険性も秘めている。
- 魔導爆弾
- 劇場版に登場。ダリオがレオンとヘルマンを抹殺するために用意した魔導兵器。ロベルトを模した外見をしており、古代神殿を跡形も無く消滅させるほどの威力を誇る。
劇場版『牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-』は2016年5月21日に公開された牙狼シリーズ10周年記念作品のアニメ映画[17][3]。テレビシリーズから4年後の世界において、黄金騎士ガロ「レオン・ルイス」の新たなる戦いを描く[17]。
#概要に記載した劇場版の制作発表から1年後、2015年11月23日に開催されたクローズドイベント『金狼感謝祭 2015』にて正式なタイトルと公開時期が2016年春になることが発表された。アニメ制作会社・監督・脚本については、テレビシリーズのスタッフが引き続き担当する[17]。
多くのアニメ映画はテレビと同じ比率が主流だが、本作品では背景を綺麗に見せるため、シネスコで制作されることとなり、新規にシネスコ用の紙も作られた。
アフレコは2日かけて行われたが、絵コンテ撮での収録が多かったテレビシリーズとは違い、劇場版は絵がほぼ完成した状態での収録となった。作り込まれた絵に気を引き締めたというレオン役の浪川大輔に対し、監督の林祐一郎もテレビシリーズで芝居に絵が負けていたことを反省したためであると明かしている。また、浪川によればゲストキャラクター・ダリオ役の萩原聖人もアフレコ現場に馴染んでいたほか、サラ役の小宮有紗も緊張していたもののすごく声が出ており、いいチームワークで収録できたかなという[19]。
林によれば、内容についてはヘルマンが最後に活躍するシーンで1か月くらいは悩んだが、エグゼクティブプロデューサーの二宮清隆や原作の雨宮慶太からもアイデアを頂いたという。また、テレビシリーズからやりたかったという実写版の召還のポーズや、魔導馬上でのアクションも取り入れられている[19]。
ストーリー(劇場版)
メンドーサとの決戦から4年後、レオンはアルフォンソと共に、ヒメナと今は亡きヘルマンとの間に生まれた自身の異母弟にあたる息子・ロベルトを次代の騎士にするために育てていた。そんなある日、ガルムから、5年前に滅亡した小国・バゼリアに出現した使徒ホラー・ニグラ・ヴェヌスの討滅および何者かに奪われた禁断の魔導具・ツィルケルの環の破壊の指令を受ける。その直後、何者かに誘拐されたロベルトの行方を追う途中でレオンは謎の刺客の襲撃を受け、窮地に陥ったところを盲目の魔戒騎士・ダリオに救われる。そして、ダリオの手引きでホラーが潜むという古代神殿に向かう途中、レオンは死んだはずのヘルマンと再会する。彼はロベルトを救うためにガルムの力によって蘇り、レオンたちの助っ人として派遣されていたのだ。一方、レオンとは別行動を取っていたアルフォンソは元老院からの指令で何者かに奪われたメンドーサの研究資料の行方を追っていたエマと再会し、彼女と行動を共にすることになる。古代神殿での戦いの中、レオンとヘルマンはダリオの裏切りにより絶体絶命の危機に陥るが、ガルムに救われて辛うじて切り抜けると逃走したダリオの行方を追う。そして、追い詰めた先でダリオこそが自身の目的の成就のためにロベルトとツィルケルの環を強奪した張本人であったことを知り、「守りし者」の信念の相違から彼と対立することになる。
スタッフ(劇場版)
- 原作 - 雨宮慶太
- 監督 - 林祐一郎
- 脚本 - 小林靖子
- 演出 - 林祐一郎、朴性厚
- キャラクターデザイン協力 - 武井宏之
- アニメーションキャラクターデザイン - 菅野利之
- 美術監督 - 工藤ただし
- 色彩設計 - 鎌田千賀子
- 撮影監督 - 淡輪雄介
- CG監督 - 陸川励
- 編集 - 廣瀬清志
- 音楽 - MONACA
- 音響効果 - 倉橋祐宗
- 音響監督 - 久保宗一朗
- 制作 - MAPPA、東北新社
- 配給 - 東北新社
主題歌(劇場版)
- オープニングテーマ「刃〜the divine blade〜」
- 作詞:影山ヒロノブ / 作曲:きただにひろし / 編曲:小山寿 / 歌:JAM Project
- エンディングテーマ「HOWLITE」
- 作詞:佐咲紗花 / 作曲・編曲:中土智博 / 歌:佐咲紗花
第15話では雨宮の阿佐ヶ谷美術専門学校時代の後輩でもある漫画家・桂正和がゲスト声優としてブルーノ役を担当しているが、これは2014年6月20日に開催されたトークイベント「GARO CREATOR'S kNight」で雨宮から依頼された「無茶振り」に応えたものである[20]。
鉄人化計画のカラオケボックス「カラオケの鉄人」とのコラボレーションが行われており、オープニングテーマやエンディングテーマが本作品の映像付きで配信されているほか、各店舗で注文できる本作品絡みのドリンクの監修は前半エンディングテーマを担当する佐咲紗花が担当している[21]。
テレビ東京での最終話放送日(厳密には放送前日)の2015年3月27日には、新宿バルト9で最終話先行上映&トークショーが行われ、監督の林や声優の浪川大輔、堀内賢雄、野村勝人、天神英貴が登壇した[22]。