内閣府
日本の省庁 ウィキペディアから
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内閣府(ないかくふ、英語: Cabinet Office、略称: CAO)は、日本の行政機関のひとつ。内閣官房を助けて内閣の重要政策に関する企画・調整を行い、内閣総理大臣が担当することがふさわしい行政事務等を所管する[3]。
山川出版社『現代社会用語集』によると、2001年(平成13年)の中央省庁再編で誕生した首相直属の機関であり、首相及び内閣官房を補佐する。複数の省庁にまたがる重要な政策を総合調整し、行政各部の統一を図るための企画立案を任されるため、他の12省庁よりも上位に位置付けられた[4]としているが、これは同書の見解であって、実際に法的な裏付けはない。
内閣府は、皇室、栄典及び公式制度に関する事務、男女共同参画社会の形成の促進、消費生活及び市民活動に関係する施策を中心とした国民生活の安定及び向上、沖縄の振興及び開発、北方領土問題の解決の促進、災害からの国民の保護、国の治安の確保、金融の適切な機能の確保、政府の施策の実施を支援するための基盤の整備並びに経済その他の広範な分野に関係する施策などを所管している(内閣府設置法第4条)[5]。
内閣総理大臣は自らを助けるものとして内閣府に内閣府特命担当大臣を置くことができる。なお、「防災」、「沖縄及び北方対策担当」、「金融担当」、「消費者及び食品安全担当」並びに「少子化担当」の特命担当大臣は必置である(同法第9条の2から第11条の3)。内閣官房長官は国家公安委員会や内閣府特命担当大臣の所掌を除く内閣府の事務の総括整理を担当し(同法第8条第1項)、内閣官房副長官は特定事項に係るものに参画する(同2項)[5]。
設置の検討段階では行政事務を分担管理する組織であり、内閣自体の組織ではないため、名称を「内閣府」とするのは適切ではないと疑問視されていた[6]。
国家行政組織法は適用されず、必要な事項[注釈 1]はすべて内閣府設置法に規定されている。
重要な政策課題の多くが府省横断的な対応を要することから、内閣府設置以降、多くの業務が集中している。 認定こども園の制度を所管するようになるなど、存在感を増す一方で、その肥大化も指摘されるようになった[7]。内閣府設置当初6名だった特命担当大臣も、2020年9月現在、10名となり、国務大臣20名の半数となっている[8]。2015年に第3次安倍内閣において業務の見直しとして「内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律」を成立させ、今後の各省庁への事務移管等が定められた[9]。
内閣府の内部組織は、一般に、法律の内閣府設置法、政令の内閣府本府組織令及び内閣府令の内閣府本府組織規則が階層的に規定している。
内閣府の組織の多くは東京都千代田区永田町一丁目6-1の内閣府庁舎及び中央合同庁舎第8号館に所在する。ただし、地方分権改革推進室、消費者委員会事務局、国際平和協力本部事務局等は千代田区霞が関三丁目1-1の中央合同庁舎第4号館に、大臣官房番号制度担当室等は千代田区霞が関二丁目1-2の中央合同庁舎第2号館に、地方創生推進事務局等は千代田区永田町一丁目11-39の永田町合同庁舎に所在し、その他にも大手町合同庁舎第3号館や経済産業省別館、民間ビル等に分かれて所在している。
内閣府の広報誌としては、「広報ぼうさい」(政策統括官(防災担当))、「学術の動向」(日本学術会議)などが部局ごとに存在する。
宮内庁は、旧総理府の外局であったが、現在は内閣府の外局(内閣府設置法第49条)ではなく内閣府に置かれる独自の位置づけの機関とされている(内閣府設置法第48条)[10]。官報では内閣府のみ「外局」の区分表記を「外局等」とし、宮内庁をその区分内の筆頭に記載する形をとっている。
同じく旧総理府の外局であった公正取引委員会は、2001年の中央省庁再編により総務省の外局に移行されたが、2003年に内閣府の外局に移行された[11]。
内閣府本府が所管する独立行政法人は、2024年4月1日現在、国立公文書館、北方領土問題対策協会、日本医療研究開発機構(AMED)の3法人である。国立公文書館は行政執行法人であり、役職員は国家公務員の身分を有する[12]。
その他に、外局である消費者庁が国民生活センターを[12]、こども家庭庁が、福祉医療機構(厚生労働省との共管。主管は厚生労働省)及び日本スポーツ振興センター(文部科学省との共管。主管は文部科学省)をそれぞれ所管している[13]。
所管する特殊法人は、2024年4月1日現在、沖縄振興開発金融公庫及び沖縄科学技術大学院大学学園の2法人である[14]。沖縄科学技術大学院大学の前身は独立行政法人の沖縄科学技術研究基盤整備機構であった。
所管する認可法人は、2024年4月現在、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の1法人である[15]。
2024年4月1日現在、内閣府本府が所管する特別民間法人は存在しない。外局である国家公安委員会の特別の機関である警察庁が自動車安全運転センター[16]を、外局である金融庁が日本公認会計士協会[17]を、それぞれ所管している。
内閣府本府が所管する特別の法律により設立される法人は存在しない。外局である金融庁が日本証券業協会、損害保険料率算出機構、日本貸金業協会を所管、生命保険契約者保護機構を財務省と共管している[18]。
2024年度(令和6年度)一般会計当初予算における内閣府所管予算は、5兆0671億1242万5千円である[2]。組織別の内訳は、内閣本府が3703億2732万1千円、地方創生推進事務局が1043億2954万8千円、知的財産戦略推進事務局が2億1938万3千円、科学技術・イノベーション推進事務局が576億9347万2千円、健康・医療戦略推進事務局が2億5942万9千円、宇宙開発戦略推進事務局が199億2708万1千円、北方対策本部が16億8254万2千円、総合海洋政策推進事務局が52億9052万円、国際平和協力本部が6億8812万3千円、日本学術会議が9億4863万1千円、官民人材交流センターが2億5518万7千円、沖縄総合事務局が109億8893万2千円、宮内庁が119億5677万円、公正取引委員会が118億3060万2千円、警察庁が2806億4468万9千円、個人情報保護委員会が35億4838万1千円、カジノ管理委員会が37億0079万4千円、金融庁が233億5521万5千円、消費者庁が137億7560万9千円、こども家庭庁が4兆1456億9019万6千円となっている。
内閣府は、総務省及び財務省と交付税及び譲与税配付金特別会計を、文部科学省、経済産業省及び環境省とエネルギー対策特別会計を、厚生労働省と年金特別会計を共管している。また、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び防衛省所管[注釈 9]の東日本大震災復興特別会計を共管する。
一般職の在職者数は2023年7月1日現在、内閣府全体で14,988人(男性12,235人、女性2,753人)である[19]。本府及び外局別の人数は本府が2,392人(男性1,844人、女性548人)、宮内庁965人(男性745人、女性220人)、公正取引委員会793人(男性586人、女性207人)、国家公安委員会(警察庁)8,210人(男性7,168人、女性1,042人)、個人情3162人、女性375人)、消費者庁380人(男性257人、女性126人)、こども家庭庁415人(男性280人、女性135人)となっている。
行政機関職員定員令に定められた内閣府の定員は、特別職63人を含めて15,564人[1]。宮内庁及び各外局別の定員も同政令に定められており、宮内庁:1,049人、 公正取引委員会:927人(事務総局職員)、 国家公安委員会:8,054人(警察庁職員)、 個人情報保護委員会:231人(事務局職員)、 カジノ管理委員会:167人(事務局職員)、 金融庁:1,654人、 消費者庁:465人、こども家庭庁:435人となっている。警察庁の定員のうち、2,312人は警察官の定員とされている。内閣府本府の定員は、個別の規定がないが、内閣府全体の定員から宮内庁及び各外局別の定員を控除して算出することができ、2,552人となっている。
2024年度一般会計予算における予算定員は特別職123人、一般職16,024人の計16,147人である[2]。機関別内訳は内閣府本府が1,416人、地方創生推進事務局8人、知的財産戦略推進事務局2人、科学技術・イノベーション推進事務局73人、健康・医療戦略推進事務局3人、宇宙開発戦略推進事務局19人、北方対策本部12人、総合海洋政策推進事務局8人、国際平和協力本部23人、日本学術会議50人、官民人材交流センター17人、沖縄総合事務局886人、宮内庁:1,056人、公正取引委員会:932人、警察庁:8,692人、個人情報保護委員会:236人、カジノ管理委員会:172人、金融庁:1,659人、 消費者庁:465人、こども家庭庁:418人となっている。特別職について、予算定員と行政機関職員定員令の定員に大きな差異があるのは、公正取引委員会等の独立行政委員会の場合、行政機関職員定員令の定員は事務(総)局(国家公安委員会の場合は警察庁)の定員であり、委員会の委員を含まないこと、宮内庁の場合、行政機関職員定員令の定員は長官、侍従長等を含まないのに対し、予算定員にはこれらの者を含む[注釈 10]ためである。また行政機関職員定員令の国家公安委員会(警察庁職員)の定員と予算定員の警察庁の定員の差異は、地方警務官の定員は、警察法第57条第1項に基づき警察法施行令第6条により633人[20]と定められており、これが予算定員にのみ含まれていることが主な原因である。ほかに、特別会計の予算定員は、エネルギー対策特別会計が63(内閣府本府)、年金特別会計が47人(こども家庭庁)[21]となっている。
内閣府の一般職の職員は非現業の国家公務員なので、労働基本権のうち争議権と団体協約締結権は国家公務員法により認められていない。団結権は認められており、職員は労働組合として国家公務員法の規定する「職員団体」を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる(国家公務員法第108条の2第3項)。ただし警察庁の警察職員は団結権も否定されており、職員団体を結成し、又はこれに加入してはならない(同条第5項)。
2023年3月31日現在、人事院に登録された職員団体の数は、単一体団体1、支部等団体1となっている[22]組合員数は126人、組織率は2.4%。
特殊な職員として、報道で披露される元号や官記などの揮毫を専門とする辞令専門官[23](官邸書家[24])が人事課に所属している[注釈 11]。これとは別に宮内庁でも天皇・皇后の親書などを代筆する文書専門員(祐筆)がいる[25][注釈 11]。
一般職の幹部は以下のとおりである[26]。
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