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1976年公開のアメリカ映画 ウィキペディアから
『ロッキー』(原題: Rocky)は、1976年製作のアメリカ合衆国のスポーツ映画。配給会社はユナイテッド・アーティスツで、監督はジョン・G・アヴィルドセン。主演・脚本はシルヴェスター・スタローン。
ロッキー | |
---|---|
Rocky | |
監督 | ジョン・G・アヴィルドセン |
脚本 | シルヴェスター・スタローン |
製作 |
アーウィン・ウィンクラー ロバート・チャートフ |
製作総指揮 | ジーン・カークウッド |
出演者 |
シルヴェスター・スタローン タリア・シャイア バート・ヤング バージェス・メレディス カール・ウェザース |
音楽 | ビル・コンティ |
撮影 | ジェームズ・グレイブ |
編集 |
リチャード・ハルシー スコット・コンラッド |
製作会社 | チャートフ=ウィンクラー・プロダクションズ |
配給 | ユナイテッド・アーティスツ |
公開 |
1976年11月21日 1977年4月16日 |
上映時間 | 119分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | 110万$ |
興行収入 |
$117,235,147[1] $225,000,000 |
配給収入 | 12億1600万円[2] |
次作 | ロッキー2 |
第49回アカデミー賞の作品賞・監督賞・編集賞ならびに第34回ゴールデングローブ賞ドラマ作品賞受賞作品。また、2006年に米国連邦議会図書館がアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録した作品の中の1つである。
その後の物語を描く続編が製作されており、『ロッキー2』、『ロッキー3』、『ロッキー4/炎の友情』、『ロッキー5/最後のドラマ』、『ロッキー・ザ・ファイナル』とシリーズ化された。また、アポロの遺児アドニスが主人公のスピンオフ『クリード チャンプを継ぐ男』、『クリード 炎の宿敵』、『クリード 過去の逆襲』が製作されている。
シルヴェスター・スタローンの代表作の一つとなる[3]。
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |
---|---|---|---|
TBS版 (追加収録) | |||
ロッキー・バルボア | シルヴェスター・スタローン | 羽佐間道夫 | |
エイドリアン | タリア・シャイア | 松金よね子 | |
ポーリー | バート・ヤング | 富田耕生 | |
ミッキー | バージェス・メレディス | 千葉耕市 (槐柳二) | |
アポロ・クリード | カール・ウェザース | 内海賢二 | |
デューク[注釈 3] | トニー・バートン | 増岡弘 | |
トニー・ガッツォ | ジョー・スピネル | 増岡弘 (長克巳) | |
スパイダー・リコ | ペドロ・ラヴェル | 郷里大輔 | |
実況キャスター | ストゥ・ネイハン | 糸博 | |
コメンテーター | ビル・ボールドウィン | 村松康雄 | |
不明 その他 | 大久保正信 安田隆 峰恵研 緒方賢一 鈴木れい子 秋元羊介 広瀬正志 喜多川拓郎 滝沢博子 鈴木三枝 島田敏 古田信幸 羽村京子 小野健一 伊井篤史 追加録音版キャスト 長嶝高士 真地勇志 川上とも子 佐々木梅治 | ||
演出 | 伊達康将 (鍛治谷功) | ||
翻訳 | 木原たけし (平田勝茂) | ||
効果 | 遠藤堯雄 桜井俊哉 | ||
調整 | 丹波晴道 | ||
制作 | 東北新社 | ||
解説 | 荻昌弘 | ||
初回放送 | 1983年10月3日 『月曜ロードショー』 21:02-23:24 本編ノーカット放送 |
当時、映画のオーディションに50回以上落選していたスタローンは、ポルノ映画への出演や用心棒などで日々の生活費を稼いでいた。長い極貧生活を送っていたある日、彼はテレビで世界ヘビー級タイトルマッチ「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」戦を観戦した。アリは当時世界最強と言われていたのに対し、ウェプナーはスタローン同様、繰り返す転職の中で日銭を稼いでいた。誰が見ても勝ち目がないウェプナーであったが、予想外の善戦を展開。試合はアリが勝利したものの、ウェプナーの繰り出したパンチがアリのわき腹を直撃しダウンを奪い、対戦後に「二度と対戦したくない」と言わしめた。スタローンは「アリをダウンさせたその瞬間、ウェプナーは偉大なボクサーとなり人々の心に永遠に刻まれる」と感じ、この出来事を基にわずか3日で脚本を書き上げ、プロダクションに売り込んだ。
しかし、当初のエンディングは「試合前にミッキーが歪んだ人種差別的思想を表し、それに失望したロッキーが試合を放棄して会場を去る」という、当時アメリカで隆盛を極めていたアメリカン・ニューシネマと呼ばれるジャンルの流れを汲む陰鬱なものであった。これを当時の妻・サーシャが読んで「私はこんなロッキー嫌いよ」と述べたため、ハッピーエンドに変更している。
プロダクションはその脚本を気に入り7万5千ドルという当時の脚本料としては破格の値をつけたものの、製作の条件として「主演にポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、アル・パチーノといった有名スターを起用する」ことを挙げて譲らなかった。それに対して「貧乏とは上手く付き合うことができる」スタローンも脚本料に目を眩ませず、自分が主演を兼任することに徹底的にこだわった。結果として、双方の長きに亘る交渉の末、
という条件の下で製作が開始された。
これらの話は映画を宣伝するためのほぼ完全な作り話であり、実際にはUAとスタローンの間に1度も話し合いは行われていない。予算100万ドル以下の映画はプロデューサーが決定権を持っており、UAの誰もスタローンと会ったことはなかった。「失敗しても、テレビに販売すれば損失をカバーできる」とUAには報告された。プロデューサーの報酬も10万ドルが支払われている[5]。
ステディカムを本格的に導入した、その最初期の著名な作品としても知られる。フィラデルフィア美術館前庭の階段、いわゆるロッキー・ステップをロッキーが駆け上がるシーンなどがその代表である。
練習のシーンの撮影を市内でおこなった際、ステディカムを使った小規模の撮影クルーだったため映画のロケとは思われず、本物のボクサーと間違えた市民から声援を送られた。特に、ロードワークシーンでは、果物屋の店主がロッキーにオレンジを投げ渡す場面があるが、これはこの店主が、撮影中のスタローンを本物のボクサーと勘違いしたことで起こったハプニングであり、それをそのまま映画に使用している[6]。
観客役のエキストラを「フライドチキンを配布する」というチラシで募集した。ほとんどが素人のため、撮影最終盤では統制を保てず、予定していたラストシーン(興奮した観客がロッキーを担いでいくというもの)を撮影できなかった。また、メイク代を節約するために、負傷したロッキーの特殊メイクを少しずつはがしていくことで、最終ラウンドから第一ラウンドへと逆方向に撮影する変則的なやりかたをとった。[要出典]
エキストラやカメオには、節約のためスタローンの家族や友人達が出演している。弟のフランク・スタローンは序盤に登場する街頭で歌を歌って屯する若者達の一員として、父のフランク・スタローン・シニアはゴングを叩く役として出演した。スタローンの愛犬・バッカスも出演している。その他、ジョー・フレージャーが本人役としてカメオ出演している。当時のスタローンの妻サーシャはスチル写真のカメラマンとして参加した。
当初撮られたラストシーンは、全く違うものだった。それは、戦いを終えたロッキーが1人控室に戻ると、そこで待っていたエイドリアンが小さな星条旗を取り出しロッキーに手渡す。そして2人だけで静かに裏口から会場の外に出て行くというものであったが、正式公開には至らなかった。なお、この没シーンの二人の後ろ姿を使った静かな印象のポスターが作られ、公開時の宣伝として日米で実際に使われた。しかしそのラストシーン収録の3か月後、激闘を戦い抜いたロッキーが「エイドリアン!」と叫び、リング上でエイドリアンと熱い抱擁を交わすシーンが新たに撮影され、この華やかで印象的なラストシーンが正式なものとなった。
ロッキーが生卵を飲むシーンはアメリカの観客は悲鳴やブーイング飛び出た。海外の生卵は危険であり、食中毒の可能性もある。危険を承知で試合に挑むタフガイなボクサーと印象を強くする演出である。実際にスタローンはこの撮影を嫌がり、特別ボーナスを得た[7]。
製作後、スタローンは母を伴って映画監督を招いた試写会を開いたが、監督達は全くの無反応で、終了すると足早に退席した。これに深く失望したスタローンは母に「僕はやるだけやったよ」と答え、帰ろうと席を立った。すると、出口前で退席した監督達が集まっており、万雷の拍手で迎えられたのでスタローンはとても感動したという。
公開当初、無名俳優の書いた脚本をB級映画出身の監督が製作するという背景から、作品に対する周囲の視線は冷ややかだったが、映画は観客の心を掴み、瞬く間に全米だけで1億ドルの興行収入を記録。同年の第49回アカデミー賞で作品賞を獲得するなど、国内外の映画賞において群を抜く数の映画賞を受賞した。
主人公ロッキーが、生き甲斐を持てずに彷徨い続ける日々から一夜にして栄光を掴んだように、主演と脚本を担当したスタローンも、全くの無名俳優から、本作の大ヒットで一躍スターダムに上り詰めるという、二重写しの快挙となった。
うだつの上がらない、不器用で口は悪くも根は優しいロッキーと、ボクシングジムのトレーナーであるミッキー、親友のポーリー、そしてポーリーの妹で後に恋人となるエイドリアンらが織り成す人情悲喜劇としての味わいや、ビル・コンティ作曲の 『ロッキーのテーマ』[9][注釈 5] が多くの観客の心を掴んだ。
低予算での製作であり、主人公であるロッキーさながら、限られた条件の下、やれることはなんでもやったといった風な力作で、それが映画の世界観にとっては好結果となっている。
公開当時、アメリカの映画界はベトナム戦争への軍事介入を機に台頭したアメリカン・ニューシネマにより、ハッピーエンドを否定する作品や、英雄を描かない作品が最盛を極めていた。しかし本作と『スター・ウォーズ』の大ヒットにより、「個人の可能性」「アメリカン・ドリーム」への憧憬を再燃させ、アメリカン・ニューシネマの終焉を決定的なものとした。
キネマ旬報では、委員選出、読者選出共に外国語映画で1位となった。
映画賞 | 部門 | 候補者 | 結果 |
---|---|---|---|
アカデミー賞[10] | 作品賞 | アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ | 受賞 |
監督賞 | ジョン・G・アヴィルドセン | ||
主演男優賞 | シルヴェスター・スタローン | ノミネート | |
主演女優賞 | タリア・シャイア | ||
助演男優賞 | バージェス・メレディス | ||
バート・ヤング | |||
脚本賞 | シルヴェスター・スタローン | ||
歌曲賞 | ビル・コンティ、キャロル・コナーズ、エイン・ロビンス | ||
音響賞 | バド・アルパー、ハリー・ウォレン・テトリック ウィリアム・マッコーイ、ライル・バーブリッジ | ||
編集賞 | リチャード・ハルシー、スコット・コンラッド | 受賞 | |
英国アカデミー賞 | 作品賞 | アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ | ノミネート |
監督賞 | ジョン・G・アヴィルドセン | ||
主演男優賞 | シルヴェスター・スタローン | ||
オリジナル脚本賞 | シルヴェスター・スタローン | ||
全米映画歴史研究家協会賞 | 最優秀主演男優賞 | シルヴェスター・スタローン | 受賞 |
ダビッド・ディ・ドナテロ賞 | 外国映画部門最優秀男優演技賞 | シルヴェスター・スタローン | 受賞 |
ゴールデングローブ賞[11] | 作品賞 (ドラマ部門) | 『ロッキー』 | 受賞 |
監督賞 | ジョン・G・アヴィルドセン | ノミネート | |
主演男優賞 (ドラマ部門) | シルヴェスター・スタローン | ||
主演女優賞 (ドラマ部門) | タリア・シャイア | ||
作曲賞 | ビル・コンティ | ||
脚本賞 | シルヴェスター・スタローン | ||
ニューヨーク映画批評家協会賞[12] | 助演女優賞 | タリア・シャイア | 受賞 |
ロサンゼルス映画批評家協会賞[13] | 作品賞 | 『ロッキー』(『ネットワーク』との同時受賞) | 受賞 |
日本アカデミー賞[14] | 最優秀外国作品賞 | 『ロッキー』 | 受賞 |
ブルーリボン賞 | 外国作品賞 | 『ロッキー』 | 受賞 |
エイドリアンのペットショップは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのニューヨーク・エリアで店舗の外見のみ再現されている。
『ロッキーのテーマ』を始め、シリーズの中で使用された音楽に対する評価は高く、以下のとおり様々な場面で使われている。
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