ニート

就学や就労中ではなく、職業訓練も受けていない若年無業者 ウィキペディアから

ニート

ニートイギリス英語: Not in Education, Employment or Training, NEET)は、就学就労していない、また職業訓練も受けていない若者(15歳-29歳)を意味する用語である[1]。日本の内閣府が発表する子供・若者白書における若年無業者の対象は15歳~39歳[2][3]である。

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15~24歳層のニート比率(ILO、2009年以降の最新年度)

経済協力開発機構(OECD)の定義では、若年失業者[注 1]非労働力人口[注 2]の両者が含まれる[4]日本では、若年失業者は含まず、非労働力人口についても通学家事労働を行っている者は含まない。若年無業者(じゃくねんむぎょうしゃ)とも呼称する[5]

女性は教育を受けられないリスクが高いことや、出産や育児の可能性があることから、非就学・非就業につながりやすいとされる[6]。そのため、ほぼ全てのOECD諸国においてニート率は男性よりも女性のほうが4ポイントほど高く、特に年齢層が上がると男女差は顕著になる[1]。このため、女性が無報酬の家事や子供の世話をすることが多いという、ジェンダーに関連した伝統的な役割分担(シャドウ・ワーク)が背景にあるとOECDは指摘している[6]

元々はイギリスの労働政策において出てきた用語である。1999年に同国の政府機関社会的排除ユニットが作成した調査報告書『Bridging the Gap』の中にある一文「Bridging the Gap: New Opportunities for 16-18 years olds not in education, employment or training[注 3]」の「not in education, employment or training」という部分の頭文字を取り、『NEET』と略したものが始まりである[7][8][9][10]日本では平成16年労働経済白書に登場し社会問題になった[11][12]

統計

要約
視点

OECDによる統計

Thumb
2021年の15~29歳年齢層に占めるニートの割合(OECD、2021年)

経済協力開発機構(OECD)の統計による、雇用、教育、訓練に参加していない若者(NEET)の割合[4]。雇用に就いたとは、OECD/ILO定義による「調査週に最低1時間の有給労働に参加した(もしくは休業)した」者である[4]。教育を受けているとは、フルタイム・パートタイム教育が含まれるが、ノンフォーマル教育や非常に短時間の教育は含まれない[4]

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国名総計男性女性男女差 (女性/男性)
15~19歳20~24歳15~29歳15~19歳20~24歳15~29歳15~19歳20~24歳15~29歳15~19歳20~24歳15~29歳
オーストラリアの旗 オーストラリア5.410.29.65.610.18.35.210.211.00.941.011.33
オーストリアの旗 オーストリア7.010.810.57.911.610.36.19.910.80.770.851.05
ベルギーの旗 ベルギー3.010.89.62.912.19.23.09.410.01.030.781.08
カナダの旗 カナダ5.912.811.07.115.612.14.79.79.80.670.620.80
チェコの旗 チェコ7.69.911.98.27.16.57.013.017.60.861.842.68
デンマークの旗 デンマーク3.611.710.34.011.310.13.112.210.50.781.071.05
フィンランドの旗 フィンランド5.812.011.16.311.311.85.412.810.50.861.130.89
フランスの旗 フランス6.416.713.47.517.313.25.116.013.60.680.931.03
ドイツの旗 ドイツ4.68.98.94.38.77.55.09.110.41.161.051.39
ギリシャの旗 ギリシャ4.319.516.05.017.315.13.721.817.00.741.261.12
ハンガリーの旗 ハンガリー5.714.210.85.211.68.36.316.913.41.231.461.61
アイスランドの旗 アイスランド3.86.26.75.97.26.81.75.16.60.290.710.97
アイルランドの旗 アイルランド3.210.98.92.911.38.43.610.49.51.260.921.14
日本の旗 日本3.710.19.83.98.77.33.511.512.50.901.321.71
イタリアの旗 イタリア13.926.422.914.926.321.812.926.524.10.871.011.11
ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク1.510.16.73.18.89.61.411.49.8-1.30-
メキシコの旗 メキシコ13.720.819.59.19.59.218.331.929.52.003.353.21
オランダの旗 オランダ1.84.44.51.84.44.31.84.34.70.980.981.10
ニュージーランドの旗 ニュージーランド8.313.811.89.213.710.57.413.913.10.811.011.26
ノルウェーの旗 ノルウェー3.27.66.53.18.36.63.37.06.41.050.840.96
ポーランドの旗 ポーランド7.013.613.17.413.510.76.613.815.60.891.021.45
ポルトガルの旗 ポルトガル4.112.711.13.913.910.64.411.411.61.130.821.09
スロバキアの旗 スロバキア5.913.512.56.513.710.95.213.214.20.800.961.30
スペインの旗 スペイン7.518.616.57.519.316.47.417.916.50.990.921.01
スウェーデンの旗 スウェーデン3.79.77.36.29.77.16.89.77.5-0.991.05
スイスの旗 スイス20.412.213.621.214.813.719.49.413.50.910.640.98
トルコの旗 トルコ16.733.327.912.521.617.321.345.239.01.712.102.25
イギリスの旗 イギリス7.412.510.68.913.210.75.911.710.50.670.890.99
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国8.716.414.59.315.412.78.217.516.20.881.131.27
アルゼンチンの旗 アルゼンチン14.125.020.412.817.814.115.531.826.61.211.791.89
ブラジルの旗 ブラジル12.624.320.010.518.314.314.830.525.81.411.661.81
チリの旗 チリ15.526.123.414.422.919.916.629.326.81.151.281.34
コロンビアの旗 コロンビア21.127.824.817.317.316.025.237.833.81.462.182.11
エストニアの旗 エストニア7.216.511.48.820.912.65.712.110.20.640.580.81
イスラエルの旗 イスラエル9.416.913.39.416.011.69.317.814.90.991.111.28
ロシアの旗 ロシア5.315.512.65.412.89.05.118.316.40.961.431.82
スロベニアの旗 スロベニア13.67.010.213.26.99.214.17.111.31.061.031.22
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国15.054.642.114.253.040.015.956.244.21.121.061.10
ラトビアの旗 ラトビア4.113.411.92.313.09.85.913.814.12.601.061.44
リトアニアの旗 リトアニア7.815.112.28.616.411.16.913.613.40.810.831.21
コスタリカの旗 コスタリカ20.820.121.219.412.115.622.529.027.61.162.391.77
ブルガリアの旗 ブルガリア8.718.116.47.016.113.810.520.319.21.501.261.40
ルーマニアの旗 ルーマニア10.624.120.011.617.714.89.530.825.60.821.741.73
OECD平均8.014.312.68.113.311.18.215.314.71.021.151.33
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OECD定義によるニート比率 (2022年、一部の国除く[注 4])

ILOによる統計

国際労働機関(ILO)の統計データによると、世界のニート比率は2024年で約21.78%である[13]。ILOは、ニートが発生する理由を世界経済の減速や学歴に合った仕事が不足していることなどを挙げ、「あまりにも多くの若者教育労働市場から離れており、自国の経済発展を損なう可能性がある」と警鐘を鳴らした[14]

さらに見る 国・地域, 総合(%) ...
国・地域総合(%)男性(%)女性(%)男女差(倍)最新年
世界21.7814.2129.852.102024
低所得国[注 5][15]27.5519.4435.791.842024
低中所得国[注 6][15]26.0114.3538.402.682024
高中所得国[注 7][15]17.2913.5921.341.572024
高所得国[注 8][15]10.309.9410.681.072024
アフリカ26.1019.5732.751.672024
アメリカ大陸17.0812.9621.341.652024
アラブ諸国33.3721.2346.152.172024
アジア及び太平洋諸国21.8112.3832.162.602024
ヨーロッパ及び中央アジア13.0311.1715.001.342024
EU加盟諸国とイギリス9.859.949.760.982024
G2018.6812.0625.932.152024
ASEAN17.4813.8621.301.542024
BRICS20.7312.1830.282.492024
G710.0410.099.990.992024
アルバの旗 アルバ16.5617.4015.640.902010
アフガニスタンの旗 アフガニスタン43.7719.6365.083.312021
アンゴラの旗 アンゴラ21.6920.7722.571.092021
アルバニアの旗 アルバニア24.0822.1925.961.172021
オランダ領アンティルの旗 オランダ領アンティル4.774.584.951.082011
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦9.995.5817.623.162022
アルゼンチンの旗 アルゼンチン15.0313.4016.731.252023
アルメニアの旗 アルメニア21.8918.1625.141.382021
オーストラリアの旗 オーストラリア7.918.097.730.962023
オーストリアの旗 オーストリア13.1215.1910.910.722023
アゼルバイジャンの旗 アゼルバイジャン9.646.9612.391.782010
ブルンジの旗 ブルンジ11.1711.4610.940.952020
ベルギーの旗 ベルギー6.707.635.740.752023
ベナンの旗 ベナン15.2012.9217.511.352022
ブルキナファソの旗 ブルキナファソ34.2527.0439.521.462023
バングラデシュの旗 バングラデシュ30.0010.8947.764.392022
ブルガリアの旗 ブルガリア11.4411.2811.621.032023
ボスニア・ヘルツェゴビナの旗 ボスニア・ヘルツェゴビナ15.9816.9115.000.892023
ベラルーシの旗 ベラルーシ5.155.175.130.992022
ベリーズの旗 ベリーズ24.8814.7034.822.372019
バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島6.798.185.480.672010
ボリビアの旗 ボリビア9.605.6613.592.402023
ブラジルの旗 ブラジル20.6215.9325.471.602023
バルバドスの旗 バルバドス28.9932.1525.880.812016
ブルネイの旗 ブルネイ20.0019.1920.931.092022
ブータンの旗 ブータン19.7216.8522.621.342023
ボツワナの旗 ボツワナ37.5834.7640.431.162023
カナダの旗 カナダ11.7412.5810.840.862023
スイスの旗 スイス6.616.836.380.932023
チリの旗 チリ15.3213.9916.701.192023
中華人民共和国の旗 中国12.6910.9514.491.322000
コートジボワールの旗 コートジボワール18.7812.7824.551.922022
カメルーンの旗 カメルーン23.2214.7030.422.072021
コンゴ民主共和国の旗 コンゴ民主共和国31.3728.6633.881.182020
コンゴ共和国の旗 コンゴ共和国22.2721.5822.841.062009
クック諸島の旗 クック諸島12.498.3316.912.032019
コロンビアの旗 コロンビア23.2416.6330.011.802023
コモロの旗 コモロ21.1719.6122.831.162021
カーボベルデの旗 カーボベルデ27.9927.1029.001.072019
コスタリカの旗 コスタリカ20.8818.5823.751.282023
キュラソー島の旗 キュラソー島17.4618.8116.080.852020
キプロスの旗 キプロス11.9511.0412.801.162023
チェコの旗 チェコ6.294.418.131.842023
ドイツの旗 ドイツ7.467.207.741.072023
ジブチの旗 ジブチ22.8217.5827.981.592017
デンマークの旗 デンマーク7.127.276.960.962023
ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国25.6820.6730.831.492023
アルジェリアの旗 アルジェリア20.9510.9431.692.902017
エクアドルの旗 エクアドル18.6311.2926.332.332023
エジプトの旗 エジプト26.9215.8340.122.532022
スペインの旗 スペイン9.9010.679.080.852023
エストニアの旗 エストニア9.6012.017.220.602023
エチオピアの旗 エチオピア17.539.8724.882.522021
フィンランドの旗 フィンランド7.488.146.820.842023
フィジーの旗 フィジー20.0910.8329.592.732016
フォークランド諸島の旗 フォークランド諸島3.252.553.971.562012
フランスの旗 フランス11.8013.1610.390.792023
ミクロネシア連邦の旗 ミクロネシア連邦28.6723.7833.621.412014
イギリスの旗 イギリス12.8013.4612.120.902023
ジョージア (国)の旗 ジョージア24.9123.5826.371.122020
ガーナの旗 ガーナ27.7325.3929.921.182022
ギニアの旗 ギニア34.3024.8541.491.672019
ガンビアの旗 ガンビア39.8540.9738.840.952023
ギニアビサウの旗 ギニアビサウ13.8411.9015.751.322022
ギリシャの旗 ギリシャ11.4511.6611.240.962023
グレナダの旗 グレナダ28.9129.9127.930.932020
グアテマラの旗 グアテマラ23.827.5138.405.112023
ガイアナの旗 ガイアナ45.6638.2852.741.382019
香港の旗 香港5.946.255.630.902023
ホンジュラスの旗 ホンジュラス30.3917.0843.672.562023
クロアチアの旗 クロアチア9.8310.059.590.952023
ハイチの旗 ハイチ21.0914.2527.881.962012
ハンガリーの旗 ハンガリー9.788.6011.021.282023
インドネシアの旗 インドネシア21.3716.6926.321.582023
インドの旗 インド23.4910.2338.133.732023
アイルランドの旗 アイルランド6.456.836.040.892023
イランの旗 イラン26.9417.1937.752.202022
イラクの旗 イラク36.9322.1252.712.382021
アイスランドの旗 アイスランド3.734.722.620.552023
イスラエルの旗 イスラエル15.4514.7616.131.092022
イタリアの旗 イタリア12.6713.0412.280.942023
ジャマイカの旗 ジャマイカ21.7920.9622.641.082022
ヨルダンの旗 ヨルダン31.5027.4936.061.312022
日本の旗 日本3.142.733.761.382019
カザフスタンの旗 カザフスタン9.492016
ケニアの旗 ケニア18.7312.2124.972.052021
キルギスの旗 キルギス15.909.9722.052.212021
カンボジアの旗 カンボジア6.194.278.111.902021
キリバスの旗 キリバス53.6751.5855.851.082020
大韓民国の旗 韓国10.7611.3310.270.912002
コソボの旗 コソボ32.9032.0933.771.052022
ラオスの旗 ラオス22.5120.3924.611.212022
レバノンの旗 レバノン23.5217.9128.891.612019
リベリアの旗 リベリア40.7339.8641.471.042017
セントルシアの旗 セントルシア27.3830.5423.820.782022
スリランカの旗 スリランカ18.0513.5422.321.652022
レソトの旗 レソト35.1528.2042.141.492019
リトアニアの旗 リトアニア13.5514.4512.600.872023
ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク8.837.1610.591.482023
ラトビアの旗 ラトビア7.178.006.290.792023
マカオの旗 マカオ4.965.564.320.782016
モロッコの旗 モロッコ35.2816.5753.913.252014
モルドバの旗 モルドバ12.9614.5611.410.782023
マダガスカルの旗 マダガスカル24.4918.6630.101.612022
モルディブの旗 モルディブ26.2724.0728.511.182019
メキシコの旗 メキシコ16.358.5324.102.822023
マーシャル諸島の旗 マーシャル諸島39.9738.0842.021.102021
北マケドニア共和国の旗 北マケドニア共和国19.1318.6919.601.052023
マリ共和国の旗 マリ26.6713.7139.592.892022
マルタの旗 マルタ8.168.078.261.022023
ミャンマーの旗 ミャンマー15.028.8820.722.332020
モンテネグロの旗 モンテネグロ20.1321.7418.400.852022
モンゴル国の旗 モンゴル14.6613.7515.641.142023
モーリタニアの旗 モーリタニア44.0932.0354.851.712019
モーリシャスの旗 モーリシャス20.7418.7022.811.222022
マラウイの旗 マラウイ19.4113.6724.891.822020
マレーシアの旗 マレーシア10.229.9110.571.072022
ナミビアの旗 ナミビア31.8829.3734.341.172018
ニューカレドニアの旗 ニューカレドニア23.6222.8824.391.072022
ニジェールの旗 ニジェール15.678.8822.002.482022
ナイジェリアの旗 ナイジェリア13.868.8218.922.152022
ニカラグアの旗 ニカラグア24.498.4940.074.722014
ニウエの旗 ニウエ10.8313.838.000.582022
オランダの旗 オランダ3.333.133.541.132023
ノルウェーの旗 ノルウェー5.435.685.170.912023
ネパールの旗 ネパール34.7621.1645.822.172017
ナウルの旗 ナウル40.9933.3748.881.472021
ニュージーランドの旗 ニュージーランド11.6811.0312.371.122023
パキスタンの旗 パキスタン34.5613.5956.424.152021
パナマの旗 パナマ15.149.1721.442.342023
ペルーの旗 ペルー22.7819.8825.771.302022
フィリピンの旗 フィリピン12.7610.2015.441.512022
パラオの旗 パラオ18.0416.9619.221.132020
パプアニューギニアの旗 パプアニューギニア27.6924.3931.171.282022
ポーランドの旗 ポーランド10.2410.1210.361.022023
ポルトガルの旗 ポルトガル7.858.477.220.852023
パラグアイの旗 パラグアイ18.5910.3327.642.682017
パレスチナ国の旗 パレスチナ国28.1823.3733.191.422022
レユニオンの旗 レユニオン28.5929.3527.830.952012
ルーマニアの旗 ルーマニア16.5413.6219.611.442023
ロシアの旗 ロシア8.707.579.911.312023
ルワンダの旗 ルワンダ27.9224.5031.271.282023
サウジアラビアの旗 サウジアラビア16.9913.2821.551.622023
スーダンの旗 スーダン46.5329.5662.062.102022
セネガルの旗 セネガル33.0322.2242.431.912022
シンガポールの旗 シンガポール6.767.535.910.792023
ソロモン諸島の旗 ソロモン諸島7.045.108.941.762013
シエラレオネの旗 シエラレオネ33.1731.2334.811.112018
エルサルバドルの旗 エルサルバドル21.5211.4930.762.682023
ソマリアの旗 ソマリア43.7337.2349.731.342019
セルビアの旗 セルビア12.4012.6312.160.962023
南スーダンの旗 南スーダン29.0625.7332.281.252008
サントメ・プリンシペの旗 サントメ・プリンシペ48.7347.6249.821.052017
スリナムの旗 スリナム18.1914.7321.851.482016
スロバキアの旗 スロバキア8.8810.067.650.762023
スロベニアの旗 スロベニア7.277.087.481.062023
スウェーデンの旗 スウェーデン5.125.085.141.012023
エスワティニの旗 エスワティニ34.3929.8838.881.302021
セーシェルの旗 セーシェル26.0129.8222.150.742020
チャドの旗 チャド37.0524.8146.381.872018
トーゴの旗 トーゴ13.2510.5115.781.502022
タイ王国の旗 タイ12.469.4015.551.652023
タジキスタンの旗 タジキスタン41.3326.3157.632.192016
トケラウの旗 トケラウ77.4373.3982.351.122022
東ティモールの旗 東ティモール29.1229.0529.191.002022
トンガの旗 トンガ18.6813.8223.281.682021
トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ16.8815.7018.071.152022
チュニジアの旗 チュニジア22.6524.4320.790.852023
トルコの旗 トルコ22.4215.5729.671.912023
ツバルの旗 ツバル34.3533.3035.541.072022
タンザニアの旗 タンザニア14.359.0619.292.132020
ウガンダの旗 ウガンダ13.819.4117.791.892021
ウクライナの旗 ウクライナ16.4713.4619.651.462017
ウルグアイの旗 ウルグアイ16.8515.5718.251.172023
アメリカ合衆国の旗 アメリカ11.1911.0011.391.042023
ベネズエラの旗 ベネズエラ37.1344.0430.100.682020
ベトナムの旗 ベトナム11.2910.2412.411.212023
バヌアツの旗 バヌアツ47.5344.9350.191.122020
ウォリス・フツナの旗 ウォリス・フツナ28.1228.2527.980.992023
サモアの旗 サモア30.0927.6132.731.192022
イエメンの旗 イエメン44.7722.0669.693.162014
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ33.9832.4535.511.092023
ザンビアの旗 ザンビア29.3725.2533.471.332022
ジンバブエの旗 ジンバブエ32.2426.6437.691.422022
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ILOデータによる15~24歳層のニート比率

日本の定義における統計

要約
視点

総務省統計局労働力調査」詳細集計(2018年以降)の就業状態の分類

 
 
 
 
 
 
 
 
15歳以上人口
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
労働力人口
 
 
 
 
 
 
非労働力人口
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
就業者失業者
 
 
潜在労働力人口その他
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
従業者
 
休業者
 
拡張求職者
 
就業可能非求職者

日本における若年無業者(ニート)の算出方法は、総務省統計局がおこなう労働力調査の「詳細集計」に基づいている。この定義では、非労働力人口[16]の中で、家事も通学もしていない15-34歳の者と定義している[17][18]。労働力調査における「非労働力人口」は求職活動をしていないことが条件なので、OECDの定義とは異なり、若年失業者(求職活動を行っている)は除外される。

フリーターや失業者との区別
厚労省の定義では、求職活動を行っている無業者は、労働力人口の「完全失業者」に分類されており、無業であっても求職活動を行っていれば「ニート」には分類しないこととしている。フリーターについては、求職活動を行っていない者であっても、「アルバイト」又は「パート」を希望する無業者を「フリーター」にふくめている[17]:4
引きこもりとの重複
厚労省は、「平成16年度地域疫学調査」の結果として、いわゆる「引きこもり」の状態にある者(20〜49歳)が全国でおよそ32万世帯に存在すると推定し、これらの者たちをニートの「就業希望を有しない者」に含めていた。つまり、引きこもりを「ニート」として扱っていた[17]。しかしながら、内閣府が2010年に実施した15歳〜39歳までの若年層[19][20][21]を対象に調査した初の引きこもり全国実態調査では、引きこもりに該当する者は69.6万人おり、さらに「予備軍」がおよそ155万人いると推計された[22]。これは前述の厚労省統計によるの「ニート」に含まれている引きこもりの数を大きく上回っているものだが、厚労省研究班班長として引きこもり新ガイドラインを作成した齊藤万比古は、この数値に異論を唱えている[23]
内閣府による過去の定義

2005年内閣府が実施した『青少年の就労に関する研究調査』[24]において、ニートは「独身であり、普段収入になる仕事をしていない、15歳以上35歳未満の個人」と定義された[要出典]。この研究は統計局総務庁総務省)が実施している就業構造基本調査の1992年、1997年、2002年の結果を使用していた[24]:1。同年の内閣府による調査では、家事手伝いや病気・ケガで療養中の者などを含めて、ニートの数はおよそ80万人と推計された[25]

フリーターについても、厚労省と内閣府が二重に統計を作成していたが、2006年3月22日の参議院経済産業委員会において、民主党山根隆治参議院議員(当時)から、「ニートとフリーターの数について、政府で統一をして頂きたい」との要望がなされ、当時の同省・職業安定局次長が答弁で「この政策(ニート及びフリーターの支援等)に私どもが責任を持っており、政府全体の基本的見解としては、私ども厚生労働省の試算値を政府内で取っているというふうに理解をし、そのように取り扱っている」と回答した[26]。これを受けて、内閣府によるフリーター及びニートの推計調査は、2005年に行った『若年無業者に関する調査』を最後に実施されなくなった[18]

推移

さらに見る 年, 15~19歳 ...
厚生労働省の定義による若年無業者(ニート)の総数(単位:万人)
15~19歳20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳15~34歳計15~39歳計
1993813109-40-
19959131211104555
1996912109104050
19979121110104252
19989131311104656
19999151311104858
20009121310104454
20018131513114960
200212171817156479
200311161818156378
200410181918176582
20059162019176481
200610171818186381
20079161818196180
20089161819206282
200910161818216283
20109151717215879
20119151818206080
20129171818216283
20139151718205979
20148141618205676
20158141717195675
20169141618205777
20177141517185371
20187141517185371
20199151418185674
202019181418186987
202111161417175875
15~19歳20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳15~34歳計15~39歳計
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さらに見る 年, 15~19歳 ...
厚生労働省の定義による若年無業者(ニート)の性別と年齢別の総数(単位:万人)
15~19歳20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳15~34歳計15~39歳計
男性女性男性女性男性女性男性女性男性女性男性女性男性女性
2000538485737328153518
2001539496948332174020
20027511612711610541245129
20037410612612610641225128
20046411713612611642235329
20056310613713611642225328
20066410612612612640225228
20075410612711712738245031
20086410612612713740235330
20096410612712614740235430
20106410611711613838235131
20115410511711713737235030
20126310712712614740235430
20135310511612613738205127
2014538610612612735214728
2015539511611613636204926
2016538510513613736194926
2017439510612612635204726
2018539510611612635204726
201963969511611635204626
20201081179511712741275334
2021651068611611735234630
男性女性男性女性男性女性男性女性男性女性男性女性男性女性
15~19歳20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳15~34歳計15~39歳計
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さらに見る 年, 男女計 ...
15~39歳人口に占める若年無業者の割合
男女計男性女性
20001.31.60.9
20011.41.81.0
20021.92.41.4
20031.82.41.4
20042.02.51.4
20052.02.51.4
20062.02.51.4
20072.02.41.6
20082.12.61.5
20092.12.71.6
20102.12.61.7
20112.22.71.7
20122.32.91.7
20132.22.81.5
20142.22.61.6
20152.22.81.5
20162.32.81.6
20172.12.71.6
20182.12.81.6
20192.32.71.6
20202.73.22.1
20212.32.81.9
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さらに見る 年, 非求職無業者数(千人) ...
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査による15~49歳人口に占める非求職無業者の人数と割合
非求職無業者数(千人)非求職無業者の人口比(%)
15-34歳計15-19歳20-24歳25-29歳30-34歳35-39歳40-44歳45-49歳15-34歳計15-19歳20-24歳25-29歳30-34歳35-39歳40-44歳45-49歳
男女計1992年47915915499681.99.52.11.20.9
1997年525133172138832.010.92.41.51.0
2002年6471001901931642.610.53.42.11.7
2007年577731601711731611382.610.93.42.31.91.71.7
2012年564681431911611942073.011.73.72.82.12.12.2
2017年535691411641611742152173.113.03.72.72.32.22.32.3
1992年3121219752422.512.72.81.31.1
1997年3269210477542.513.03.11.61.3
2002年397601161171043.211.44.42.52.2
2007年36348100105111101933.313.04.42.82.42.12.3
2012年34843871171021251303.612.94.63.42.62.62.7
2017年33345851021011161431473.814.14.63.32.82.93.03.1
1992年167385647251.35.31.41.20.7
1997年199416862291.58.01.81.30.7
2002年250397476602.09.22.61.71.3
2007年2132560666260451.98.42.41.81.41.31.1
2012年2162657755968782.310.12.82.21.51.51.7
2017年202245662615872692.311.32.92.11.71.51.61.5
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注:「非求職無業者」は、無業者のうち求職活動をしていない者で、学校を卒業しているが通学しておらず、配偶者なしで家事をおこなっていない者。人口比は、在学中の者を除く同年齢階層の者に対しての割合。

  • 資料出所
総務省統計局「労働力調査(基本集計)」
厚生労働省「平成30年版厚生労働白書」[27](2019年7月)
内閣府「令和4年版子供・若者白書」[28](2022年6月)
内閣府「平成25年版子供・若者白書」[29](2015年6月)
独立行政法人労働政策研究・研修機構「資料シリーズ No.217 若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③ ―平成29年版「就業構造基本調査」より―」[30](2019年6月)

15~39歳の若年無業者(厚労省定義)の推移:若年無業者人口は1995年から2004年にかけて、後述する定義の変更もあるが、約55万人から約82万人(男性:約53万人 女性:約34万人)へと急増している。そして、2013年まで80万人前後を推移し、2014年以降は2020年を除き75万人前後で推移し、2021年時点で約75万人(男性:約46万人 女性:約30万人)いる。

2020年に関しては前年より増加し、約87万人(男性:約46万人 女性:約26万人)であった。特に10後半が増加しているが、コロナウイルス感染症2019流行による一斉休校により、多くの学校に通学している者が定義上「若年無業者」となったため、統計の見かけだけ増加したためである[31]。一方で、コロナウイルス感染症2019流行による経済悪化によりパートアルバイトで働く若年層の解雇が相次ぎ、若年無業者となった者もいる[32]

そして、同年齢層に占める割合は2002年以降、前述の理由により増加した2020年を除き2%前後で推移している。更に、2005年以降の労働経済白書でニートの定義に「家事を行わない既婚者」やいわゆる不登校の状態にある学生を新たに加え、過去の数値についても訂正した。従って、2002年以前の数値にはこれらの者が含まれていない。

15~49歳の非求職無業者の推移:独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、15-34歳の非求職無業者は1992年から2002年にかけて増加し、2002年は約64.7万人(男性:39.7万人、女性:25.0万人)であったが、その年以降減少し、2017年は約53.5万人(男性:約33.3万人、女性:約20.2万人)であった。また49歳までの年齢層を含めた場合、2017年は約114.1万人(男性:約73.9万人、女性:40.1万人)であり、15-34歳の非求職無業者数の約2.1倍となる。

更に割合の場合は、15-34歳の年齢層(在学中の者除く)では、1992年の約1.9%(男性:約2.5%、女性:約1.3%)から2017年の約3.1%(男性:約3.8%、女性:約2.3%)へと増加している。そして年齢層では、どの年も在学中の者を除いたことにより、15-19歳の年齢層が非求職無業者の割合が高く、約1割いる。

最終学歴

さらに見る 中学, 高校 ...
非求職無業者(15~34 歳)の学歴構成(%)
中学高校短大・専門大学・大学院
1992年28.858.46.95.8
1997年25.256.19.69.0
2002年28.151.29.511.2
2007年23.850.012.713.1
2012年21.352.311.314.6
2017年18.157.210.913.2
男性18.857.97.814.7
女性17.056.015.810.8
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注:専門学校については、修業年限「1年以上2年未満」「2年以上4年未満」「4年以上」の3つにカテゴリーに分けて調査されたが、集計に当たっては、「4年以上」は「大卒・大学院卒」に、「1年以上2年未満」「2年以上4年未満」は「短大・専門」に統合して集計している。

  • 資料出所:2019年6月 独立行政法人 労働政策研究・研修機構「資料シリーズ No.217 若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③ ―平成29年版「就業構造基本調査」より―」[30]

人数では、最終学歴は高校卒(高卒)が最も多い。また同年齢人口全体では、中卒が約5%、高卒が約30%(いずれも在学中を除く)であることを踏まえれば、高卒・中卒が非求職無業者になる確率が高く、特に中卒が高いことは明らかである。更に学歴が中卒の場合、職業の選択肢が狭まるだけでなく、専門学校や教習所職業訓練施設などへの入学も制限されることと、普通自動車免許などを除き中卒でも取得可能な免許資格が制限されるため、無業者に陥る割合が高くなる。

求職活動をしない(できない)理由

さらに見る 15~19歳, 20~24歳 ...
理由別(年齢別)(%)2017年
15~19歳20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳15~39歳合計
探したが見つからなかった3.25.35.47.77.36.3
希望する仕事がありそうにない7.88.7443.14.9
知識・能力に自信がない5.913.512.713.99.411.8
出産・育児のため1.81.72.22.832.4
介護・看護のため-0.91.40.50.30.7
病気・けがのため9.119.634.637.145.333.5
通学のため0.90.90.20.10.10.4
学校以外で進学や資格取得などの勉強をしている26.99.45.42.72.96.3
急いで仕事につく必要がない8.797.85.76.67.3
その他35.630.92524.821.825.9
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  • 資料出所:総務省統計局「就業構造基本調査(基本集計)」
  • 資料出所:2022年6月・内閣府「令和4年版子供・若者白書」[33]

10代後半は学校以外で進学や資格取得などの勉強がその他を除き最も多くを占め、それ以外の年齢層は、病気や怪我など健康上の理由や回答する者がその他を除いて最も多く占めている。

生活状況

2007年に厚生労働省の委託により社会経済生産性本部が実施した『ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究』 によると、出身家庭の経済状況について、3.3%が「余裕がある」、10.8%が「やや余裕がある」、47.1%が「ふつう」、28%が「やや苦しい」、8.9%が「非常に苦しい」と回答。就業経験については、過去に連続1か月以上就労した経験がある者は79%で、就労回数は平均2.6回となっている。就職活動については、75.8%がハローワークに通ったことがあり、68.2%が面接を受けるため企業に問い合わせた経験がある他、64.8%が実際に面接を受けている。メンタル面では、49.5%が現時点で引きこもりで、49.5%が精神科または心療内科を受診した経験があるという[34]

その他

  • 2006年に読売新聞社が行ったインターネットモニター調査によると、学校時代、部活動やサークル活動などの課外活動をしたかどうかの質問で、消極的なほど、その後の就労経験が乏しいという傾向が見られた[35]。具体的には、課外活動を「特にしていなかった」とした割合は、1度も働いたことがない未就労者が61.2%で最も高く、以下、就職経験のある無業者 (46.5%) 、長期アルバイト (33.6%) と、就労経験が豊富なほど消極派の割合は減った[35]

日本での歴史

要約
視点

日本でニートをはじめて紹介したのは社会科学リサーチャーのウィッタカー(沖田)敏恵だといわれている[36]。 2003年に厚生労働省所管の特殊法人である日本労働研究機構(略称:JIL、現在の労働政策研究・研修機構)が若者就業支援政策の国際比較研究の中で「ニート」という用語を用いて、イギリスにおける若者支援政策を紹介している[37]。 対象年齢を15~34歳に広げ、非労働力のうち通学も家事もしていない無業者をニートと位置づける等、「日本版」のニートを定義づけたのは、独立行政法人労働政策研究・研修機構副統括研究員の小杉礼子である[38]。 翌2004年、そのJIL研究員で東京大学社会科学研究所(社研)助教授(いずれも当時の肩書)の玄田有史が、ジャーナリスト・曲沼美恵との共著で『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』を上梓すると瞬く間に話題となり、マスメディアで「ニート」という言葉が多用されるに至った。

一方、東京大学大学院教育学研究科教授で、著書『「ニート」って言うな!』を上梓した本田由紀は、「ニート」という言葉そのものが不適切であり、用語を広めた玄田有史及び玄田の書籍などを厳しく批判している。なお、本田はJILや社研で玄田と同僚であった。本田によると、産経新聞が2004年5月17日付の記事で「働かない若者『ニート』10年で1.6倍 就業意欲なく親に”寄生“」と題してこの書籍を取り上げたことや、テレビ番組に「ニート」として取材を受けた男性が「働いたら負けかなと思っている」などと嘯いていたことが、インターネット上を中心に話題となり、これ以後、日本における「ニート」の概念やイメージが『働く気のない怠け者』『無気力』『心を病んでいる』『親に寄生して生活している』(パラサイトシングル)などといったネガティブなものに色濃く定まってしまい、現在では「ニート」という用語が罵倒語、もしくはそれに準ずる形で用いられているとしている。このことで問題の本質が覆い隠されてしまい、経済や社会の構造的な要因が大きいにも関わらず、「若者の側に問題がある」かのように語られるという問題が起きていると述べており、また、「若者の内面に問題があるから矯正しなければならない」といった政策のミスリードを懸念している[39][40]

しかしながら本田の思いとは裏腹に、今日において「ニート」は各方面で批判や差別の対象となっている(#ニートに関する発言・見解)。ただ、テレビ視聴者の一部からは、そうした批判に対して懐疑的な見方もなされており、放送倫理・番組向上機構(BPO)などには“ニートバッシング”を批判する意見も寄せられている[41]。また、「ニート」と称してテレビ出演している者については「やらせ」も疑われている[42][43]

その後玄田は、『ふだんずっと一人でいるか、家族としか一緒にいることのない』という生活を送る20〜59歳の未婚無業者(通学中を除く)を「スネップ」(SNEP、孤立無業者)と定義し、その実態把握と対策の必要性を2012年頃から主張し始めたが[44]、この用語についても新たな偏見や差別を招くとして、批判が起きている(スネップ#用語に対する批判参照)。

呼称変更の取り組み

大阪府では複数のNPO法人が中心となり、働く意思を持っていて就職活動に至っていないニートの若者を「レイブル」(レイトブルーマーの略で遅咲き、大器晩成の意)と言い換える取り組みが2011年に開始した[45][46]が、Yahoo!ニュースが「この呼称変更策は効果があると思うか?」という意識調査を実施したところ、「効果はある」「ある程度の効果はある」との回答が6%に止まり、「まったく効果はない」だけでも72.7%、「あまり効果はない」も18.2%に上った。「効果はない」と回答した者からは、「名前を変える以外にやることがあると思う」「働く意思のある奴はどんな呼称だろうと動く」「むしろ、もっと恥ずかしいネーミングが良い」「呼び方を変えるだけで効果が上がるなら、こんな簡単な話はない」などの冷ややかなコメントが寄せられた[47][48]

対策・支援

詳細はリンク先を参照。

厚生労働省
経済産業省
文部科学省・民間(企業NPO法人など)
内閣官房

課題・問題点

要約
視点

「ニート利権」問題

著書『「ニート」って言うな!』を上梓した本田由紀は、ニートの支援に関連する諸々の対策が利権の温床となっており、上に挙げたような、各省庁地方公共団体、支援に携わる特定非営利活動法人等の民間団体や企業までもが「ニートの自立支援」を名目とした予算の争奪戦を繰り広げている現状があると指摘している。本田は、「これまで引きこもりへの支援を細々と行っていたような団体が、ニートへの支援を謳い始めた途端にお金が降りて来るというような現象が起きている」と指摘、これらの者が従来行っていた“引きこもり対策”を“ニート対策”にシフトさせて利権を拡大させたと分析している[49]。実際に、経済産業省所管の就業支援事業『ジョブカフェ』において、同省からの孫請けで事業を行っていた、リクルート東京リーガルマインド日本マンパワーの民間企業3社が、スタッフ1日当たりの人件費として、プロジェクトマネジャーが120,000円、コーディネーターが90,000円、キャリアカウンセラーが75,000円、事務スタッフが50,000円という極めて高額な賃金を計上していることが、2007年に発覚している[50][51][52]。この問題は、社民党福島瑞穂参議院議員が参議院厚生労働委員会において、厳しく追及した [53]

この他にも、若年無業者の相談窓口の1つである『地域若者サポートステーション』の運営・指導・研修などを委託されている公益財団法人日本生産性本部は、民主党政権時代の事業仕分けにおいて、厚生労働省からの天下りが27人いると指摘されている。若者サポートステーション事業の予算は、2014年1月の安倍政権事業仕分けにおいて、厚労省の若者支援事業に「わかものハローワーク」や「ジョブカフェ」などの類似した事業が多いことを理由に一旦はゼロになったが、同省が補正予算で「若者育成支援事業」と名称を変えて35億円の予算を復活させていたことが判明した[54]

高額な料金負担

2009年度まで実施されていた厚労省委託の自立支援事業『若者自立塾』では、常に利用者数が募集枠を大幅に下回り、その後の利用実績も伸びなかったが、その大きな要因として「利用料金の高さ」が挙げられていた。団体によって異なっていたが、補助金から支給される運営費は要支援者1人につきおよそ300,000円(3か月分)で、これとは別に施設側が提示した「食費」や「宿泊費」の費用160,000〜300,000円(3か月分)を入所者側が負担しなければならなかった。高額な料金負担を問題視した同省は、2008年5月以降に生活保護受給世帯の若者が入塾する際、費用の大半を負担する制度を導入したが、一方で“生活保護を受けていない低所得世帯”の若者はこの恩恵に与れなかった[55][56][57]。なお、若者自立塾を取材し調査を行った人物は、「このような施設に通うことが出来る人は比較的問題が少なく、経済的に恵まれている家庭の人であると思う」との見解を示している[55]

現在厚労省委託により実施されている地域若者サポートステーションでも、やはり高額な料金負担が問題視されている。サポートステーションでは社会復帰に向けて「職場体験」や「就労訓練」などが行われているが、原則として賃金は得られない[58]。そればかりか、逆に料金の負担(出典のケースでは50〜60万円)を求められる。ある支援団体のケースでは、利用者が給与の支払いを求めると、「働かせて頂いてるんだから、(賃金を)受け取ろうとするほうが間違っている」「仕事がしたいんなら、どうぞハローワークへ行って、勝手に仕事探してください」などと切り捨てられ、賃金の支払いには応じてくれなかったという。サポートステーションでの無償就労について労働基準監督署は、「時間拘束や指揮命令などの労働者性があれば、一般的には労働と考えられる」と指摘し、労働基準法違反に当たる可能性も示唆している[59]が、現在までに行政処分を受けた支援団体はない。

強引なアプローチ・実力行使

若年無業者(引きこもり・ニート)を立ち直らせる方法を巡っては、「家から叩き出せばよい」などと実力行使を主張する者が少なからず存在し、賛否両論がある[60][61]。支援団体の中にも、若年無業者宅へ出向いて自立訓練などへの参加を促す「アウトリーチ」(訪問)を行っている団体が多く存在している。しかし、こうした手法については、若年無業者の自宅に押しかけて本人の同意も得ずに強引に連れ出し、寮に入所させて集団生活を強いる団体が訴訟を起こされたり[62]、同じく強制的に寮に入所させられた引きこもり状態の青年が、スタッフやその意を受けた他の若年無業者らに身体拘束されたり、暴行を受けるなどして死に至った事件[63][64]、精神的に不安定だった引きこもりの入所者が自殺に至ったトラブルなども多く発生している[65][66]

就労意欲

2008年4月に横浜市の「こども青少年局」が市内在住のニートや引きこもり状態にある15〜34歳までの若年無業者およそ750人を対象に実態調査したところ、8割を超す者が就労を希望すると回答した。内訳は、「正社員の就労を希望」との回答が46.6%、「パート・アルバイト・派遣社員などの就労を希望」が1.7%、「就労希望だが不安が残る」が34.5%で、合計すると8割を超えた。一方、「就労希望だが今は休みたい」が1.7%、「就労を希望していない」も1.7%で、現状で就労意欲の無いのはごく僅かであることが分かった。一方、同市が市内の企業(約1,000社中、316社が回答)に対して実施したアンケートによると、雇用する意向のある企業は14.2%に止まった一方、83.3%の企業が「就労困難な若年無業者を雇用する意向はない」と回答しており、ニートの社会参加が厳しいことがわかった[67]

ニートに関する発言・見解

批判

  • 衆議院議員の小沢一郎は、「本人たちは『誰の迷惑にもなっていない』と言うかもしれないが、親の稼ぎで食わせて貰って、公的なサービスも享受している。病気でもないのに他人に寄生して生きているなど、とんでもない話だ」と不快感を示し、続けて「彼ら自身も問題だが、何よりも厳しくせずにただ甘やかしている親たちが問題だ。親鳥はヒナが大きくなるまでは一生懸命に世話をするが、一定の時期が来ると冷たく突き放して巣立ちさせる。それが出来ないニートの親は動物にも劣るといっても過言ではない」などの持論を展開した。また、当時政府与党が準備していた対策などについても、「政府は今後ニートの就職支援に本腰を入れるそうだが、僕に言わせれば対策は簡単だ。一定の猶予を与えて、親が子供を家から追い出せばいい。追い詰められれば、彼らも必死に考えて行動するはずだ。それでも働きたくないというなら、親には一切頼らず、他人に迷惑もかけず、公的なサービスも受けないことだ。無人島で生活すればいい」などと切り捨てた[68]
  • 国会議員や東京都知事を歴任した作家の石原慎太郎は、「ニートの問題というのは、国家の緊張感の問題に関係があると思う。例えば、韓国には徴兵制度がある。途上国には貧困や食糧の問題がある。そうした色々な問題が緊張感を生んでいる」という持論を述べた[69]。続けて、「結局、これは私たち大人の責任で、社会全体が子供たちを甘やかしすぎた。(動物行動学者の)コンラッド・ローレンツは、子供の時に(虐待ではない)肉体的な苦痛を味わわなかった子供は、大人になって非常に不幸な人間になると言っている。我慢するといった作業の中でこらえ性が身に付くのだ。日本の子供はこらえ性がないから結局ニートになってしまう。」などと批判した[70]
  • 登山家野口健は、「僕が登山のために訪れたチベットには貧しい人が沢山いる。仕事をしなければ食べていけない。僕の仲間が『(チベットの)彼らには“ニート”という発想が無いだろう』と言っていたが、その通りだと思う。日本は親がニートにご飯を食べさせているから、そういう意味ではもっと厳しくていい」などと批判した[70]
  • 写真家ジャーナリスト宮嶋茂樹は、「税金も払わない上に、三十路になっても親がせっせと部屋に「エサ」を運び続け、パソコンに向かってしか他人と会話できん奴をニートと呼ぶそうだが、そんな穀潰しが何十万も生きているのは世界広しと言えども日本だけである」と事実でない誤った認識を根拠に批判し、続けて「お隣の半島南半分ではサッカー選手から、大統領まで男は全員2年以上の徴兵される。日本でも8か月ぐらいでいい。ニートに対して規律、勇気、自己犠牲国防意識という美徳を自衛隊で徹底的に教育し直すべきである」と述べ、ニート対策として徴兵制度の導入を唱えている[71]
  • 精神科医の香山リカは、自身の連載コラムの中で、脱(反)原発運動にのめり込んでいる者の多くが「引きこもり」や「ニート」であるとし、「(反原発派は)病名をつけなければならないとしたら適応障害」「ファンタジーへの逃避で平穏を保ってきた彼らがいま原発問題にこころの平穏を見出している」などと主張した[72]。その後強い批判を受け、誤解を与えたとして謝罪した[73]
  • 元衆議院議員で現在はタレントの杉村太蔵は、女性セブン誌上の人生相談において、無職の息子を持つ主婦の相談に「ぐうたらに生きているのなら甘やかしてはいけません。兵糧攻めするぐらいの勢いで、まず食事は作らないこと。さらに厳しく“働かないなら家を出て行ってくれ”ということ。それぐらいしないと気づかないこともありますよ。」などと回答した[74]。また、著書『バカでも資産1億円 「儲け」をつかむ技術』に関する取材の中でも、ニートの中でも単なる怠け者に該当する部類の当事者について「いちばん悪いのは彼らの親です。食べるもの、寝る場所があれば、働かなくても済んでしまうわけです。これは家庭で取り組むべき問題です。親は一切の援助をやめて、子供を社会に放り出すべきです」と述べた[75]

擁護

  • 経済学者田中秀臣は「日本では、ニートはその原因を本人のやる気のなさに求める風潮にあるが、本質は不況による失業問題なのである[76]」「ニートが急速に増えたという1997年以降は、ちょうど不況が深刻化した時期である。つまり、ニートの増加は景気に大きく左右されていると考えられる[77]」と指摘している。田中は「日本の若者は駄目になったのではまったくなく、そう見えるのは逆に責任をとらない既得権益を丸出しの大人達がいるからである」と指摘している[78]。また田中は「内閣府の『若年無業者に関する調査』中間報告のニート数約80万人は『数字操作』であり、この拡張版『ニート』は求職意欲喪失者といわれる層を大きく含んで定義している」と指摘している[79]
  • 経済学者の大竹文雄は「日本のバブル崩壊以降の長期不況によって、若年層の就職が困難な時期が続いた。この経済環境が、若年層を中心に勤勉に対する価値観を崩壊させた可能性がある」と指摘している[80]
  • 経済学者の原田泰は、若年失業者の増加は経済情勢を反映したものであり、若者の性格・教育システムが変わったせいではないとしている[81]。原田は「現在ニートとなっている若者の中には経済情勢が良ければ、就職し、仕事から自身を見つけ、社会適応力を身につけることができた若者も多いはずである。何もかも構造のせいにするのは、社会問題の解決を妨げる」と指摘している[82]
  • 経済学者の飯田泰之は、高齢者がニートやフリーターら定職に就いていない若者を非難する際、「自分の若い頃は戦争でこんなに大変だった」などといった自己正当化の言葉をぶつけてくるため、反論の余地がなく議論にならないと指摘している[83]

提言

  • 衆議院議員の稲田朋美は、「ニート問題を解決するためには“徴農制度”を実施すべき。若者に農業に就かせる徴農を実施すれば、ニート問題は解決する」などと持論を述べた[84]
  • 田中秀臣は「ニート対策に効果があるのは、教育・雇用のミスマッチ解消ではなく、景気対策である」と指摘している[85]。田中は「ニート対策として公営・民間の就職相談所の活用、ニート層への課税によって労働・教育を受けるインセンティブを促すといった政策が提唱されているが、求職意欲喪失者への対策は景気対策が必要なのであり、税金を課したり、公営の説教を垂れることでは解決しない。このような政策はいたずらに社会的なコストを増やしかねない」と指摘している[86]。田中は「構造改革主義者は、ニートが働かないという経済的な非効率性のみに注目している。ニートについて、ミクロ(個人)の問題を効率性一辺倒で捉えるのではなく、マクロの視点に立って社会全体への関心として解消をはかるべきである」と指摘している[87]

脚注

関連項目

参考文献

外部リンク

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