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アメリカの映画作品 ウィキペディアから
『ダイ・ハード3』(ダイ・ハードスリー、原題:Die Hard: With a Vengeance)は、1995年のアメリカ合衆国のアクション映画。『ダイ・ハード』シリーズの3作目である。
ダイ・ハード3 | |
---|---|
Die Hard: With a Vengeance | |
監督 | ジョン・マクティアナン |
脚本 | ジョナサン・ヘンズリー |
原作 |
ジョナサン・ヘンズリー |
製作 |
ジョン・マクティアナン マイケル・タッドロス |
製作総指揮 |
アンドリュー・G・ヴァイナ バズ・フェイトシャンズ ロバート・ローレンス ロバート・レマー |
出演者 |
ブルース・ウィリス ジェレミー・アイアンズ サミュエル・L・ジャクソン ラリー・ブリッグマン コリーン・キャンプ グラハム・グリーン |
音楽 | マイケル・ケイメン |
撮影 | ピーター・メンジース・ジュニア |
編集 | ジョン・ライト |
製作会社 | シナージ・ピクチャーズ |
配給 | 20世紀フォックス映画 |
公開 |
1995年5月19日 1995年7月1日 |
上映時間 | 128分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $90,000,000[1] |
興行収入 |
$100,012,499[1] $366,101,666[1] |
配給収入 | 48億円[2] |
前作 | ダイ・ハード2 |
次作 | ダイ・ハード4.0 |
原題のウィズ・ア・ヴェンジェンス(With a Vengeance)は「猛烈に」という意味だが、ヴェンジェンス (Vengeance) のみだと「復讐」という意味になり、作中には両方の意味が隠されている。
引き続きブルース・ウィリスが刑事ジョン・マクレーンを演じた。監督は第1作と同じジョン・マクティアナンである。第1作『ダイ・ハード』では高層ビル、第2作『ダイ・ハード2』では空港と限られた場所を舞台にしていたが、この第3作ではニューヨーク全体が舞台で、街中を駆け回る内容になっている。
また、主人公と極力一緒に行動する相棒がいる、犯人に脅迫されて行動する、舞台は前2作が冬の夜間であったのに対し今作は真夏の昼間である事、それに伴いエンディングも冬のイメージの主題歌であった「レット・イット・スノウ(Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!)」ではないなど、シリーズの中では新しい面を見せた作品でもある。
小説版では映画と異なる結末が描かれているが、DVD「アルティメットエディション」およびBlu-ray通常版の映像特典において、この小説版同様の結末も見ることができる。
ニューヨーク市内で新学期セール中のデパートが爆破される爆弾テロ事件が発生。「サイモン」と名乗る犯人は警察に電話し、休職中であったジョン・マクレーンを指名する。
黒人達が多く住むハーレムの中心部で、「黒ん坊は嫌いだ(I hate Niggers)」というカードを下げさせられたマクレーンは、それを見た黒人ギャング達に暴行を受ける。しかし、近くで家電修理店を経営する黒人の男・ゼウスに助けられ、勝手にしゃしゃり出てきたゼウスを不快に感じたサイモンの指示によって、2人は行動を共にする事を強制される。
第2、第3のテロを防ぐため、マクレーンと巻き添えになったゼウスの二人は、犯人の要求によってニューヨーク中を奔走させられる。やがて、脅迫電話をしている男こそが、マクレーンがかつてナカトミビル事件で殺した主犯・ハンスの兄である、サイモン・ピーター・グルーバーだと判明する。
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |||
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ソフト版 | フジテレビ版 | テレビ朝日版 | 機内上映版[3] | ||
ジョン・マクレーン | ブルース・ウィリス | 樋浦勉 | 村野武範 | 野沢那智 | |
ゼウス・カーバー | サミュエル・L・ジャクソン | 池田勝 | 屋良有作 | 大塚芳忠 | |
サイモン | ジェレミー・アイアンズ | 小川真司 | 羽佐間道夫 | 小川真司 | |
カティア・タルゴ | サム・フィリップス | 原語流用 | 堀越真己 | 岩本裕美子 | |
オットー | リチャード・カウンシル | 江川央生 | 大友龍三郎 | 辻親八 | |
アーサー・ウォルター・コッブ警部 | ラリー・ブリッグマン | 坂口芳貞 | 石田太郎 | 池田勝 | |
マシアス・タルゴ | ニック・ワイマン | 田中正彦 | 若本規夫 | 福田信昭 | |
コニー・コワルスキー | コリーン・キャンプ | 小宮和枝 | 一城みゆ希 | 佐藤しのぶ | |
ジョー・ランバート | グラハム・グリーン | 石塚運昇 | 宝亀克寿 | 水野龍司 | |
リッキー・ウォルシュ | アンソニー・ペック | 坂口哲夫 | 有本欽隆 | 牛山茂 | |
チャーリー・ワイス | ケヴィン・チャンバーリン | 塩屋浩三 | 富田耕生 | 後藤哲夫 | |
ジェーン | シャロン・ワシントン | 喜田あゆみ | 津野田なるみ | 唐沢潤 | |
フレッド・シラー | スティーヴン・パールマン | 糸博 | 清川元夢 | 稲葉実 | |
デクスター | マイケル・アレクサンダー・ジャクソン | 石田彰 | 高木渉 | 田野恵 | 瀧本富士子[4] |
レイモンド | オルディス・ホッジ | 亀井芳子 | 伊倉一恵 | 渡辺久美子 | |
ロルフ | ロバート・セジウィック | 中田和宏 | 落合弘治 | 小野健一 | |
アラブ人ドライバー | アーシフ・マンドヴィ | 田中正彦 | 梅津秀行 | 星野充昭 | |
ビル・ジャーヴィス | マイケル・クリストファー | 仲野裕 | 小島敏彦 | 仲野裕 | |
ビジネスマン | ビル・クークス | 稲葉実 | 大川透 | ||
駅の警官 | スコット・ニコルソン | 多田野曜平 | 落合弘治 | 古田信幸 | |
リトル | ジョン・C・ヴェネマ | 稲葉実 | 古田信幸 | 稲葉実 | |
カール | スヴェン・トアヴァルド | 中村秀利 | 青山穣 | ||
ガンサー | ティモシー・アダムス | 松本大 | 中田和宏 | ||
ジェリー・パークス | ジョー・ザルーム | 宝亀克寿 | 亀井三郎 | 茶風林 | |
マルチネス校長 | フランシェル・スチュワート・ドーン | 水原リン | 火野カチコ | 福田如子 | |
トーマス先生 | パトリシア・マウチェリ | 溝上真紀子 | 堀越真己 | 中澤やよい | |
FBIチーフ | リチャード・ラッセル・レイモス | 糸博 | 富田耕生 | 長島雄一 | |
ホリー・マクレーン | 一城みゆき | 唐沢潤 | |||
役不明又はその他 | 米本千珠 | ||||
日本語版スタッフ | |||||
演出 | 福永莞爾 | 春日正伸 | 伊達康将 | ||
翻訳 | 岡枝慎二(字幕) | 平田勝茂 | 宇津木道子 | 平田勝茂 | |
効果 | 栗林秀年 | リレーション | |||
調整 | 兼子芳博 | 山田太平 | 荒井孝 | ||
録音 | スタジオユニ | ムービーテレビジョン | オムニバスジャパン | ||
プロデューサー | 武藤明 井口恵子 | 山形淳二 小笠原恵美子 | 松田紗栄子 | ||
制作 | 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン | ムービーテレビジョン | 東北新社 | ||
初回放送 | 1998年4月4日 『ゴールデン洋画劇場』 | 1999年4月4日 『日曜洋画劇場』 | |||
正味 | 約123分 | 約124分 | |||
※2013年7月3日発売の吹替の帝王シリーズ「ダイ・ハード3 日本語吹替完全版 ブルーレイ・コレクターズBOX」には機内上映版を除く3バージョン全ての吹替を収録。5.1ch化が行われたが、テレビ朝日版は一部台詞の欠損がある。正確には作品後半のマクレーンのセリフ「弟によろしく!」の最後の部分に銃声の効果音が被さってしまい、「弟によろし…」と途切れてしまっており、銃声の効果音を被さらないように変更されている。
回数 | テレビ局 | 番組名 | 放送日 | 放送時間 | 放送分数 | 吹替版 | 視聴率 |
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初回 | フジテレビ | ゴールデン洋画劇場 | 1998年4月4日 | 21:00~23:24 | 144分 | フジテレビ版 | 23.4% |
2回 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 1999年4月4日 | 21:02~23:22 | 140分 | テレビ朝日版 | 19.1% |
3回 | 日本テレビ | 金曜ロードショー | 2002年3月29日 | 21:03~23:24 | 141分 | 17.6% | |
4回 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 2003年9月28日 | 21:00~23:19 | 139分 | ||
5回 | フジテレビ | プレミアムステージ | 2004年10月9日 | 21:00~23:09 | 129分 | フジテレビ版 | 16.2% |
6回 | TBS | 月曜ゴールデン | 2007年7月2日 | 21:00~22:54 | 114分 | テレビ朝日版 | 18.8% |
7回 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 2008年12月21日 | 21:00~23:14 | 134分 | 21.4% | |
8回 | 2010年6月20日 | 14.5% | |||||
9回 | 2011年10月23日 | 21:00~23:10 | 130分 | 12.7% | |||
10回 | TBS | 水曜プレミアシネマ | 2013年2月13日 | 21:00~22:54 | 114分 | 8.4% | |
11回 | フジテレビ | 土曜プレミアム | 2016年1月23日 | 21:00~23:10 | 130分 | フジテレビ版 | 8.0% |
公開時にはメイキング映像を編集した特番『The Making of 'Die Hard: With a Vengeance'』も製作されており、日本ではテレビ朝日において「『本命登場!!『ダイ・ハード3』」の題で1995年6月29日に放送された。
前2作ではそれぞれに原作となる小説が存在していたが、本作はジョナサン・ヘンズリーの書いた『サイモン曰く』(Simon says)というオリジナル脚本が元になっている[5]。『サイモン曰く』は当初ブランドン・リーの主演を想定して書かれ[5]、リーサル・ウェポンシリーズの続編となるべく書き直された後[5]、『ダイ・ハード』シリーズ用に再度書き改められた[5]。
ヘンズリーの脚本が採用される以前は、船上を舞台とした海洋アクション映画が構想されていたものの[5]、『沈黙の戦艦』(1992年10月公開)に似すぎているとしてブルース・ウィリスが難色を示したため、この初期案は放棄されている[5]。なお、この時に放棄された初期脚本は、後に書き直されて『スピード2』(1997年6月公開)として映画化された[5]。
映画の結末は、当初の脚本『サイモン曰く』通りのシーンと、シリーズに合わせて書き直されたシーンの二つが撮影されていて、前者はDVD特典映像と小説版に収録されている。ジョナサン・ヘンズリーは変更に「今でも納得がいかない」とコメンタリーで発言している。前2作で出演したTVリポーター、リチャード・ソーンバーグ(ウィリアム・アザートン)が出てこないのは、テレビの取材が来たのでは犯行グループの動きが如実に中継されてしまい、物語が成り立たなくなるがゆえの脚本上の工夫であった[6]。ホリー・マクレーン(ボニー・ベデリア)の出番も一度は書き足されたが、女優から出演の同意が取り付けられなかったことでカットになった[6]。
「サイモンが言った」という台詞が何度か繰り返される。オリジナル脚本のタイトルでもあった"Simon says"は日本語で「サイモン曰く」あるいは「命令ゲーム」とも訳され、何人かで鬼(サイモン)を決め、鬼が"Simon says"と言った時の仕草を繰り返し、"Simon says"と言わなかった時に仕草を真似た場合はアウトとなる、などのルールを持つ「船長さんの命令」に似たゲームである。
序盤では度々マザーグースからの引用が交えられており、その例も併記する。
メイン・タイトルにはラヴィン・スプーンフルの「サマー・イン・ザ・シティ」が流れる一方、マクレーンがサイモンの命令でハーレムに行かされる場面があり、FU-シュニッケンズの「ガット・イット・カヴァード」が聴かれる。タルゴの妻カティアを演じるサム・フィリップスは本業は歌手でテレビドラマ『ギルモア・ガールズ』に曲を提供し出演も果たしたが、映画初出演となった本作では曲が使われる事はなく、声も台詞が無かったのでほとんど活かされなかった。
第1作目で『第九』と『雨に唄えば』というキューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』を彷彿とさせる選曲を行ったマクティアナン監督とマイケル・ケイメンは、シリーズ第3作にまたもキューブリック監督作品『博士の異常な愛情』を思い出させるように「ジョニーが凱旋するとき」(「ジョニー」はマクレーンの名前「ジョン」の愛称でもある)のメロディを繰り返し[† 5]、『雨に唄えば』もマクレーン刑事が「導水管内でサーフィンする[† 6]」シーンで再使用した。これによって音楽にも「ドイツのテロリストが再来」というシチュエーションが反映された。「ジョニーが〜」は前2作の「レット・イット・スノウ」に替わってエンディングでも登場する。ただし、「ジョニーが〜」はウィリアム・ホールデンがアカデミー主演男優賞を受賞した1953年の映画『第十七捕虜収容所』の主題曲として登録されているため、当初は版権の問題から『ダイ・ハード3』のサウンドトラック盤には収録されていなかった。2012年12月、4,000枚限定で発売された2枚組サウンドトラックCDにて初収録された。
「ジョニーが〜」の変奏が繰り返されるエンディングの音楽では一瞬ブラームスの『交響曲第1番』の第1楽章の冒頭が顔を出す。作曲当時は「ベートーヴェンの第10交響曲」(=第九の「続篇」)と賞されたこの曲はサウンドトラック盤には第1楽章ではなく映画で使用されなかった第4楽章(カットあり)が収録され、シリーズ第1作で使われたベートーヴェンの『第九』も第4楽章の抜粋が声楽無しで収録されたため、よく似た旋律を持つ2曲が並ぶ事になった。
その他モソロフの「鉄工場」が一部アレンジされて使われ、前2作の音楽も聴かれる。コメディにも強かったケイメンらしく、地下鉄駅で流れる楽曲に「A列車で行こう」をもじった"Take A-nother Train(他の列車で行こう)"と名付けるなどユーモアが発揮され、『禿山の一夜』や『ピーターと狼』を始めとする細かな引用が随所に聴かれる。
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