『あした天気になあれ』(あしたてんきになあれ)は、ちばてつやによる日本のゴルフ漫画。
概要 あした天気になあれ, ジャンル ...
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原作は1981年42号から1991年25号まで『週刊少年マガジン』(講談社)で連載された[1]。単行本は、講談社コミックス (KC) 版が全58巻、ホーム社から発行された『ちばてつや全集』が全36巻、『ホーム社漫画文庫』が全31巻、『完全版総集編』が全11巻、そしてコンビニ向けの『講談社プラチナコミックス』と『集英社ホームリミックス』版がそれぞれ発売されている。
本作は藤子不二雄Ⓐ作の『プロゴルファー猿』とともに少年誌における草分け的なゴルフ漫画となり、アニメ化もされた[2]。作者によれば連載当時、ゴルフは大人のものというイメージがあり、また読者層である子供たちにとって馴染みのない専門用語が多いこと、ボディコンタクトの多い競技ではなくほぼ内面との戦いの要素が強いことから、連載当初は苦慮したと語っている[3]。その後、主人公・向太陽の発する「チャー・シュー・メン!」の掛け声は子供の間で流行語となった[3][4]。また、主人公の造形について、当初は「計算高く、金にシビア」なキャラとして描こうとしたが、すぐに行き詰まり、マスコット的なキャラへと変更したと語っている[5]。
2018年より、ゴルフ雑誌『ALBA』749号(2018年5月24日発売)において、本作の26年後を描く「新 あした天気になあれ」(信田朋嗣原作、政岡としや作画)が連載されている[6][7]。
東京の下町に住む中学生・向太陽は朝は実家の食堂を手伝い、昼は学校、夜はゴルフ練習場でアルバイトをしながらプロゴルファーを目指している。太陽は元プロゴルファーの竜谷から指導を受け、荒川河川敷沿いのゴルフ場で練習生を務めながらプロテストを受験し、難コースや一癖も二癖もある他の受験者たちに揉まれながらも史上最年少でプロテストに合格。以後はプロゴルファーとしていくつもの大会に出場し、最終的にはセント・アンドルーズで開催された全英オープンゴルフに出場する。
- 東関東中学生ゴルフ選手権大会(羽生ゴルフリンクス)編(1巻 - 6巻)
- 北荒川第五中学校に通う太陽は、ゴルフ場でのバイトや学校でのテストの出題箇所の情報を生徒に売る(ただしヤマ勘)ことでお金を稼いでいた。ある日の放課後、太陽は新荒川カントリークラブにて不動産屋の大野・ルリ子との賭けゴルフに挑む。ハンディとして全てのホールに1打分ずつのスコアを与え、更には騒音での妨害工作などを受けながらも師匠の竜谷とのコンビで難なく3打差をつけた状態で最終9ホール目を迎える。大野はこのままでは10万円の負けが確定していることから次の9ホールで「こちらが勝てば賞金帳消し・引き分けならそのまま10万円・負ければ倍額の20万円支払い」という倍チャラルールの適用を要求する。太陽は面白そうだとしてこの要求を呑む。1打目は惜しくもグリーンオーバーしてしまった太陽であったが、竜谷が2打目をチップインバーディしたことにより大野陣営の支払いが確定。そして3打目を失敗したことにより倍の賞金を手に入れ、ゴルフ場でのバイト代や学校での情報料と合わせて遂に太陽は念願の自分のゴルフクラブセットを手に入れる。
- 翌日、太陽は顔馴染みのクラスメイトの白石えつこから賭けゴルフの様子を見ていたゴルフ部のキャプテンが太陽に対してゴルフ部に来てほしいと話していることを聞くが、プロゴルファーを目指す太陽はアマチュアの試合には興味がないとして拒否する。だが、ゴルフ部も今度開催される東関東中学生ゴルフ選手権大会の出場予定選手の2人が風邪を引いてしまったことを理由に、せめて代役として大会に出てもらえないかと頼み込む。太陽は大会当日はゴルフ場でのバイトで一日中空いていないとして自分のバイト先で補欠選手を大会まで一通り鍛えようとしたが、暇な部員にバイトの代わりをやってもらえばタダでいつもと違う場所でゴルフができると知ったことで態度を変え、太陽は出場を決意する。その日の放課後、もう一人の補欠選手の内山央を含むゴルフ部は太陽に一通りアドバイスをしてもらいフォームの改善や飛距離の向上に励むが、部費の少なさから大会の舞台となる羽生ゴルフリンクスには誰も行ったことがないと知る。
- 大会当日、北荒中ゴルフ部は太陽が羽生ゴルフリンクスに到着していないと焦るが、早朝から大急ぎで下見をしてコースの情報を集めた太陽はどうにか大会開始に間に合い、出場メンバーにそれぞれの力量に合わせて作ったコースメモを渡す。太陽は最終組で久米一郎・工藤呉一・大田黒彰とコースを回る。それぞれが自分の持ち味を活かしながら堅実なゴルフをする一方、がむしゃらに攻めまくる太陽はイーグルをいくつか決めたものの失敗も多く途中から空腹で力が入らなくなったこともあり、前半18ホールを終えて久米+3・工藤+4・大田黒0に対して+7というふがいない結果となる。モチベーション維持のため、太陽はえつこの父と「後半の丘陵18ホールで大田黒にストロークで勝ったらフランス料理のフルコース、負けたら早朝のゴルフ場でのおにぎりとみそ汁を1年間無料」という賭けをする。
- 後半戦、太陽は波に乗り8ホールを終えて太田黒と1打差にまで迫る。だが、馴れ馴れしい太陽に内心憤慨していた大田黒は6番アイアンを8番アイアンと偽って使用することで太陽のミスを誘い、グリーン前の壁のようなバンカーへおびき寄せ、更には「バンカーでは人のボールを誤って打っても罰がない」ことを逆手に取り、自分の力でバンカー正面から脱出できるか太陽のボールで試し打ちする。大田黒の行動に腹を立てた太陽は正面からの脱出を見事成功させるが、結局このホールはお互いパーで終わる。続く9ホール目のグリーンで大田黒はまっすぐに転がる回転を掛けたパットを打って太陽のミスを誘うが、太陽には読まれており1打で決めて遂にスコアが並び、久米+3・工藤+4・大田黒と太陽は0となる。最後の9ホールに備えてまた食事を摂る太陽だが、トイレで久米と工藤から大田黒が本領を発揮するのは最後の9ホールであることを聞かされる。10ホール目で大田黒のスコアを超えた太陽であったが、今度は食べ過ぎで腹を下し調子を落としたことで11ホール目でイーグルを取った大田黒にすぐ逆転される。苦しみながらも竜谷が見つけたドクダミの葉で下痢を抑え込んだ太陽は14ホール目でルリ子から差し入れを貰い、下痢で減った分の空腹を解消し本調子を取り戻す。残り3ホールで太陽は大田黒と2打差に迫るが、ここで競技委員から進行が遅すぎるとクレームが入る。誰も進行の遅さの文句を言わない様子に競技委員は訝しむが、プロゴルファーを目指す者としてアマチュアに負けられない太陽と昨年ベストグロスの意地を見せる大田黒がアンダーパーでプロ級の戦いをしていると知り、かつてないハイレベルな競争に誰も水を差せなかったことを理解する。大雨が降り始める中、太陽は17ホールでイーグルを取ったことで大田黒とスコアが再び並ぶ。パー3の最終ホールを暴風雨の中でグリーンを捉えた太陽であったが、雨でグリーンが大幅に重くなっており、かなりの距離のパットを残す。大田黒は太陽の1打を参考にピンそばないしホールインワンを狙うが、ボールが高く上がりすぎた影響で横風に煽られてグリーン横のバンカーに落ちる。2人の戦いを邪魔しないように久米と工藤は先にカップインしようとしたが、どちらも重くなったグリーンで勢いが足りずボギーとなる。太陽はこの途轍もない量の雨を吸ったグリーンのラインを見事に読み切りカップ縁につけてバーディを決め、-6で暫定1位のスコアを取る。大田黒もバンカーからカップ縁まで寄せるが、下側につけたためボールは入らず惜しくも-5の2位に終わるのであった。
- アシスタント研修会試験(東宇都宮カントリークラブ)編(6巻 - 8巻)
- 早起きした太陽は早朝のトレーニングを済ませた後、朝食を取って研修会試験の条件である「ゴルフ場・ゴルフ練習場に1年以上勤務」を満たすため、在学中に仮入社した新荒川カントリークラブに出社して仕事に励む。学校とゴルフ場を行き来しながら、空き時間はゴルフのルールの勉強や自主トレ、夕方はゴルフの練習と忙しい日々を過ごす太陽。練習を続ける太陽の元に竜谷が関東ゴルフ練習場連盟役員の岩森を連れて姿を見せる。竜谷は太陽に「岩森氏に実力を認められれば半年のゴルフ場勤務でも研修会試験の参加資格を得られる」と伝える。それを聞いて岩森に自分の力をアピールする太陽であったが、「プレーが遅い」などの小言を言われて緊張と焦りで普段の実力を出せずに終わる。だが、それでも素質があるとして特例推薦を認められ、太陽は研修会試験合格を目指して闘志を燃やす。
- 研修会試験の舞台となる東宇都宮カントリークラブに到着した太陽は合格ラインである18ホールで+6以内のスコアを目指して研修会5回目のテスト生香取章・Bクラスの先輩ゴルファーの牛島豪造・Aクラス昇進間際の佐伯俊とコースを回る。1ホール目は幸先よくバーディを決める太陽であったが、2ホール目は牛島の呟きで選択するクラブを間違えてバンカーに落とす。ミスショットした太陽に香取は牛島について「新人殺しの異名を持つ人間なので気を付けたほうがいい」と忠告する。バンカーからのショットをピンそばに寄せて気を良くする太陽であったが、牛島の「OK」発言でうっかりボールを自分の手元に入れようとパターで打ち、自分の足にボールを当ててしまう。「ストローク方式の研修会試験にOKボールなどない」として1打無駄にした分と足に当てた2打罰が加わり、太陽はトリプルボギーになってしまう。続く3ホール目でも1オンこそ決めたがグリーンのパットでカップを大きくオーバーし牛島のボールに自分のボールをぶつけて2打罰、そのショックでその後のパットも決まらず再びトリプルボギーになってしまう。その後も牛島や佐伯の容赦ない言動で調子が戻らず、+8で9ホールを終える。太陽は様子を見に来た竜谷の前で自分の情けなさに泣き崩れてしまう。太陽から牛島の理不尽な嫌がらせを聞いた竜谷は「研修会試験はプロを目指す者たちの戦場である以上、自分以外は敵として考えてやられたらやり返すぐらいの気概でいけ」と語る。その言葉を胸に太陽は残りの9ホールで合格ラインに上がることを決意する。
- 10ホール目、太陽はショットを打とうとする自分の斜め前に立つ牛島に気になるから下がってほしいと要求するが牛島は動こうとしない。やり返す決意を決めた太陽はそのまま牛島すれすれのショットを打って敵対の意志を示す。それに対して牛島は自分の影をわざと太陽の目の届く範囲に置く立ち位置に付く。太陽は再び抗議するが、牛島は聞こうとしない。佐伯からも早く進めろと言われた太陽はそのまま打つが、影が気になってミスショットして11ホール目でダブルボギーとなり、合格ラインが更に遠のく。佐伯は牛島に対して「流石に太陽への嫌がらせをやり過ぎではないか」と問うが、牛島は竜谷から「テストに落ちることになってもいいので、プロになるための試練を与えてほしい」と頼まれていたことを話す。一方で、牛島の妨害によって集中力を乱されている自分への自己嫌悪に陥る太陽であったが、香取から集中力に関するエピソードとして「J・ニクラスは突風で帽子が落ちたことに気付かず、全米オープン優勝が懸かったパットを決めてプロ初優勝を掴み取ったあとに帽子が飛んでいたことを知った」という逸話を聞く。それを聞いた太陽は「牛島の妨害ばかりに目がいってボールに集中することを忘れていた」と気付く。集中力を取り戻した太陽は牛島の影の妨害をものともせず、12・14・16・17ホールでバーディを取り、合格ラインまでスコアを伸ばす。太陽の回復の裏で調子を崩した牛島は、このまま太陽を合格させるのは癪だとして18ホール目の第1打でショットの瞬間にくしゃみのような大声を出して妨害する。やり返すと決めていた太陽も牛島のショットの瞬間にゴルフバッグを倒して騒音を出す仕返しをする。牛島は更なる妨害として林で見つけた太陽のボールを踏み潰したがあっさり攻略され、3打目もゴルフバッグを倒して音を出すがこちらもティを耳栓代わりにされて躱される。最後もバーディで締め、太陽は+5で合格する。香取も牛島の妨害の影響がいつもより少なかったお陰で+3で念願の合格を果たす。その後の学科試験も突破した太陽はプロテストへの挑戦権を賭けたアシスタントプロトーナメントの出場権を手に入れる。そして、北荒中の卒業式に参加した太陽は餞別としてクラスメイト全員と担任教師におにぎりと飲料を配り、黒板に自らの夢を書き残して更なるトレーニングに励むのであった。
- アシスタントプロトーナメント(鬼ヶ崎カントリークラブ)編(8巻 - 11巻)
- 研修会を突破し、アシスタントプロトーナメントの出場権を得た太陽。舞台となる鬼ヶ崎カントリークラブは海沿いに作られた強風が吹き荒れるコースであることから、太陽は竜谷のアドバイスで風に強い低弾道を打つトレーニングに精を出していた。3位以内に食い込んでプロテストへの出場権を手に入れると意気込んでいたが、竜谷が大野に「今までも困難を乗り越えてきたが、選りすぐりのゴルファーが集う今回の大会では流石に入賞も無理だろう」と呟くところを目撃する。それを密かに聞いた太陽は目標を更に上げ、優勝を目指してアシスタントプロトーナメントに挑む。
- 18ホールを2周する2ラウンド制で上位3人までがプロテストへの出場権を獲得できるアシスタントプロトーナメントが開始される。優勝者には賞金50万円もあると聞いて俄然闘志を燃やす太陽と同じ組になったのは優勝候補の一人である日吉一と関西ブロック出身の坂本周一。自分を遥かに超えるパワーショットから攻撃的なゴルフをする日吉、グリーン以外でパターを使う変則的なゴルフで着実にスコアを伸ばす坂本、そして鬼ヶ崎カントリークラブの海風に苦戦を強いられる太陽。10ホール目でその先のコースの恐ろしさを垣間見た太陽は「オナーになりそうなときはパターショットをわざとミスし、先に打つ二人のショットを参考に情報収集して2周目の18コースで逆転を狙う」という作戦を思いつく。だが、この作戦は日吉・坂本よりも良いスコアを出すことができないため、その影響でスコアを落としていき、+6という結果で1ラウンドを終える。
- 2ラウンド目は1ラウンド目で得た情報を基に猛攻し、最初の3ホールで一気に+2まで持ち直した太陽。一方、暫定1位という結果と差し入れに来た母からの応援がプレッシャーとなり、調子を落とす日吉。太陽は露骨にスコアを落とす日吉に同情して、舌を出しながらのショットで入りすぎた力を適度に抜くアドバイスをするが、不調になった日吉を見て逆転優勝を狙っていた坂本から「優勝候補にアドバイスするとはどういうつもりや!」と怒鳴られてしまう。坂本の懸念通り、本来の調子を取り戻した日吉を目にした坂本は3位以内入賞に目標を戻す。一方、優勝を諦め切れない太陽は3つOBを出しながらもスコアを伸ばし、日吉と残り1打差まで縮め最終ホールを迎える。パー4を1オンしイーグルを狙える状況を作り出した日吉に対し、太陽も2打目でのチップインイーグルを狙う。太陽の2打目は着地点にあった坂本のボールとぶつかり、カップにそのまま入る。だが、カップに入ったのは坂本のボールで太陽のボールはバンカーに落ちてしまう。日吉のミスに一縷の望みを賭けてバンカーからのバーディを狙う太陽。しかし、そのショットも意図しないバックスピンが掛かったことでカップイン直前で取りこぼし、またもチップインを逃す。そして、日吉はイーグルを決めて-8で優勝が確定。続く坂本もバーディを決めて-5の2位となる。優勝を逃して落ち込む太陽に坂本は「それを決めれば、自分と同じ2位タイでプロテストに出場できる。大事にいけや」と教えられる。絶対に外せないプレッシャーからパターを弱く打ってしまい、カップインを逃したかに思えたが直前のバックスピンでカップの縁の芝が削れていたお陰で太陽のボールがカップに入る。その結果、同じ組だった太陽・日吉・坂本は揃ってプロテストへの出場権と賞金を得るのであった。
- プロテスト(千成ゴルフクラブ)編(11巻 - 19巻)
- 太陽は「史上最年少でのプロテスト挑戦」という事実に目を付けた記者の取材を受け過ぎたことで帰宅の手段をなくしてしまったため、日吉の好意で彼の実家に一泊することになった。日吉の実家で1日を過ごす中、太陽は「父を早くに事故で亡くした母子家庭の5人家族の長男」という自分とあまりにも類似した日吉の家庭事情に親近感を覚える。一方で、自作のコースや周辺の大自然を活かした独特のトレーニングをする日吉の強さを改めて思い知らされることになる。
- 帰宅した太陽はいつものように新荒川カントリークラブで仕事をしていたが、ある日理事長に呼び出され、プロテスト開催一週間前から千成ゴルフクラブへ向かうよう進言される。「コースをきっちり把握した万全の状態でプロテストに挑んでほしい」という理事長と職場の先輩たちの好意に太陽は感謝する。帰宅途中、太陽は先のアシスタントプロトーナメントの賞金25万円を家族に全て渡してしまって遠征費がないことに気付くが、トミ子はそれを使わずに保管していたため、遠征費を確保でき太陽はプロテスト合格を目指して千成ゴルフクラブへ向かう。
- 千成ゴルフクラブに到着した太陽は同室となった全日本大学ゴルフ選手権の優勝者・古葉実と練習ラウンドをする。様々な測量機器を用いてコースを測量しつつ、正確なショットをする古葉。9ホールを回ったところ+5という結果に終わった太陽に対して、古葉は5番アイアン一本のみの使用でありながら太陽を上回る結果を残す。更には練習ラウンドに挑んだ殆どの選手がアンダーパー以上の好成績を残していると知った太陽は、千成ゴルフクラブから可能な限りの測量機器を借りて、プロテストが始まる日まで古葉のようにコースを徹底的に調べ上げる決意を固める。
- プロテスト開催前日まで迫った夜、太陽は浴場で同じ組で回るゴルファーの一人・火鳥元と遭遇する。火鳥はアシスタントプロトーナメントにおいて、太陽と一打差でその大会でのプロテスト出場を逃してしまったことから太陽を目の敵にしており、「アシスタントプロトーナメントでの雪辱を晴らす」と宣戦布告を受ける。入れ替わりで入浴に来た日吉からは火鳥が「勝利のためにどんな手も使うため、研修会を何度も除名されかけるほどの問題児」であると教えられる。
- プロテスト1日目、太陽は古葉・火鳥・そして潮章次と共にコースを回る。潮から「火鳥の行動が怪しい」と聞かされた太陽は2ホール目までに「ボールがフェアウェイに1つしかないディポットにピンポイントで落ちている」「森を抜けたと思われたボールが松の木の根本に落ちている」「グリーンに真っ直ぐ向かったはずのボールがバンカーの淵近くに深く突き刺さっている」といった不可解な事件に遭遇する。日吉と潮の忠告から火鳥が自分のボールに妨害工作をしたと考えた太陽は、何かと理由を付けては火鳥より後にティーショットを打って火鳥のすぐ後ろにボールを付けて妨害工作を封じつつ、可能なら2打目のショットで目の前の火鳥のボールに芝や砂などを飛ばして火鳥のボールの状態をより悪くするという反撃に出る。これにより火鳥の調子は狂い、1日目は古葉-5・潮-2・太陽0・火鳥+8という結果に終わる。だが、夜の練習場で一つ前の組の人間からバンカー事件は「自分達のゴルフクラブを乗せたカートにグリーンに飛んできた太陽のボールが偶然当たってバンカーに落ちた」という真相を聞かされ、火鳥に冤罪で嫌がらせをしてしまったと気付く。そのことへのけじめをつけるため太陽は2日目を辞退して帰宅しようとしたが、太陽の馬鹿真面目さに根負けした火鳥はディポット事件と松の木事件は自分が起こしたものだと独白する。そして、嫌がらせをした者同士お互いに水に流そうという火鳥からの提案を受け入れた太陽は辞退を撤回し、プロテスト2日目に臨むのであった。
- 50位以下は予選落ちとなるプロテスト2日目、予選落ちのプレッシャーで1日目より緊迫した雰囲気を纏った3人と共に太陽はコースを回る。試合前に気圧を観測していた古葉が予想していた通り、天候が荒れ始めてその影響で4人ともスコアを落としていき、古葉-2・潮+5・太陽+1・火鳥+4の状態で残り3ホールを迎える。売店で一休みする一行は競技委員から予選通過のボーダーライン予想が+4~+5と聞かされる。予選落ちギリギリの潮・火鳥は何とかスコアを伸ばそうとするが悪天候で思うようにいかず、古葉-2・太陽0・潮と火鳥+5で最終ホールに挑む。パー5の最終ホール、3打目をグリーンに乗せた潮以外3人に対して潮はグリーン奥のバンカーに落としてしまう。潮は予選通過を半ば諦めていたが、4打目が偶然太陽のボールに当たって軌道が逸れたことによりカップインし、バーディを取る。残る3人もバーディを決め、全員が予選を通過する。
- 18ホールを2周して上位12位までが合格となるプロテスト最終日、太陽と同じ組になったのは-7で暫定1位の日吉と-3で小柄ながらも日吉に負けず劣らずの飛ばし屋である磯村研次。1ホール目から全員がバーディを取るなど三者三様の攻撃的なゴルフが続いていたが、日吉が-10・磯村と太陽が-5となったパー3の12ホール目で事件が起きる。太陽の猛追を意識しすぎた日吉が1打目をミスしてグリーン奥に飛ばし、続く2打目も強く打ちすぎてグリーン手前の池に落としてしまう。日吉の思わぬミスにほくそ笑む太陽であったが、グリーン手前の坂のラフに落とした太陽のボールが2打目を打つ前に動き出して太陽の足に当たり、こちらも池に落ちてしまう。直後にチップインこそしたがボールの接触と池の落下で3打罰が追加されてダブルボギーになってしまい、これが尾を引いて太陽は調子を落とし日吉-8・磯村-5・太陽-2で1周目を終える。
- 2周目の1ホール目、絶対にスコアを落とすわけにはいかない太陽はとにかく飛ばす攻撃的なゴルフを中止し、古葉流の測量で調べ上げたピンをまっすぐ狙いやすくフェアウェイが平らな「Aポイント」と認定した場所にボールを落として、次のショットを安定させる作戦に切り替える。この作戦が見事に嵌まり、太陽は前半9ホールでスコアを一気に6つ伸ばして日吉と1打差で古葉と並ぶ-8で2位となる。後半は「プロテストの目的は12位以内に入ること」と割り切って日吉と太陽の戦いを静観していた磯村も本格参戦し、首位争いは苛烈さを増していく。だが、最終日の緊張感と疲労からスコアは伸びず、日吉が-7・磯村と太陽が-5で残り3ホールに臨む。ここで日吉がOBを出し、太陽がバーディ、更に別のホールを回る古葉もボギーになったことにより太陽は-6で遂に暫定1位となる。全員がバーディを取って迎えた最終ホール、ここで古葉が最終ホールでイーグルを取って太陽と同じスコアになったとの報せが届く。単独トップで合格するにはバーディ以上しか許されなくなった太陽は1打目を緊張でミスしてフェアウェイ中央の木にぶつけ、2打目も右側のラフに落とす。一方の日吉と磯村は揃って2オンでイーグルのチャンスを掴む。3打目は見事ピン1.5m付近につけた太陽であったが、焦って先に入れようとしたことで大きく外して単独優勝の可能性が消えてしまう。日吉・磯村は共にイーグルを外したため、2人の逆転優勝は免れたが今度は一転して4位転落の危機を迎える。極限のプレッシャーで太陽はパットを打とうとするとカップが見えなくなる異常事態に見舞われる。初めての経験に戸惑いながらもこれに対処すべく太陽はパターをカップの向きに合わせた状態から構えてカップを目視することなくパターを打つ。最後のパットを決めた太陽は日吉・磯村・古葉と共に-7でトップ合格を果たす。最終ホールに観戦に来ていた竜谷は、カップが見えなくなるほどの強烈なプレッシャーを経験できたことを指して「太陽はこれからプロゴルファーとして大きく羽ばたいていける」と確信するのであった。
- 東太平洋オープン(武甲山ゴルフコース)編(19巻 - 26巻)
- 晴れてプロゴルファーとなった太陽は竜谷指導の下、厳しいトレーニングを続ける。ある時、太陽は世界からプロゴルファーが集まる賞金1000万円のゴルフ大会である東太平洋オープンの主催者からプロテストでトップ合格を果たした4人の選手を特別推薦出場させてほしいとの連絡があったと理事長から通達される。それを受けて太陽は竜谷の指示で東太平洋オープンに合わせた真っすぐ正確性のあるショットを打つトレーニングに励む。
- 東太平洋オープン開催2日前。開催地となる武甲山ゴルフコースでの練習が1日だけ解禁され、太陽は練習ラウンドのために現地入りし日吉・磯村・古葉と再会する。「先輩プロゴルファーとプレーすることに慣れておいた方がいい」という3人のアドバイスで太陽は3人とは違う組と練習ラウンドすることを決める。太陽と同じ組になったのは武甲山ゴルフコースを知り尽くし、前回優勝者でもある謝健張。太陽はかつてないほど狭いフェアウェイとスピンが掛からないほど固く速いグリーン、そして脛近くまで伸ばしたラフに大苦戦する。パー4の1ホール目で8打も叩いて気を落とす太陽を見かねた謝健張は、武甲山ゴルフコース攻略のアドバイスを太陽に送る。謝健張のアドバイスを受けながら太陽+7・謝健張-4という結果で練習ラウンドを終えたが、太陽は謝健張から「初ラウンドでこの結果なら予選通過だけでなく、最終日も上位を目指せる」と太鼓判を押される。太陽はこの結果を理事長と竜谷に報告するが、竜谷からラフに捕まった3つのホールで大叩きしたことを突っ込まれる。「ラフの攻略法を知っていればもっといい結果が出せた」と話す太陽に竜谷は東太平洋オープン開催までの間、長いラフの攻略法を伝授する。
- 東太平洋オープン1日目、太陽は謝健張と中堅のプロである安川忠男とコースを回る。緊張で1ホール目の1打目をトップボールで打つミスをするなど何かとトラブルが続きパーばかりの太陽であったが、専属のキャディに励まされながら挑戦的なゴルフを続け、パー5の7ホール目でバーディを取ったことを機に少しずつスコアを伸ばしていく。17・18ホール目で池に落ちるアクシデントがありながらも、1日目は-6で1位タイという結果を残す。
- 東太平洋オープン2日目、太陽は幸先よく1・2ホール目でバーディを取る。太陽の好調をビギナーズラックと考えていた2人も認識を改め、太陽を子供ではなく1人の強敵として認めるようになる。その後も順調にスコアを伸ばし、-12で単独1位まで上り詰めた太陽であったが9ホール目で異変が起こる。1・2打目でミスショットをし、更にはグリーンでも4打叩きダブルボギーになってしまう。続く10ホール目でもピッチングウエッジと8番アイアンを間違えるといったミスをする。見かねたキャディが調べると、太陽は昨日の2度の池落下の影響で高熱を伴う風邪を引いていたことが判明。グリーンでのパットも安定せずトリプルボギーを出してしまう。キャディ・謝健張・安川は棄権を勧めるが、「プロになりたてで実績のない自分はいつ次のチャンスがあるかわからない。プロとして初の大会を棄権という無様な結果で終わらせたくない」と太陽は涙ながらに拒否。キャディも太陽の意志を汲み試合を強行するが、風邪の影響で集中力とコントロールを乱されてスコアを落としていく。最終18ホール目でバンカーからのチップインを決めたところで太陽は遂に力尽きて倒れる。最終スコア0で辛くも予選通過した太陽は担架で運ばれながらも3日目からの再起を誓う。自宅へ搬送された太陽はトミ子とえつこの手厚い看病を受け、3日目に備える。
- 東太平洋オープン3日目、同じ組になったのは太陽同様0の古葉と-1で世界屈指の名選手であるリー・トラビノ。トラビノは太陽たちがスピンを掛けられない固いグリーンにもバックスピンの掛かったショットを平然と使い、順当にスコアを伸ばしていく。一方の太陽は風邪の後遺症でまだ力が出ないため、普段より1つ大きいクラブを使用していたが、3ホール目の2打目でグリーンをオーバーしたことから本調子を取り戻したと確信する。暫定1位のセベ・バレンチノを狙い、攻撃的なゴルフをするトラビノに太陽は取り戻したパワーと技術で真っ向からついていき、太陽-8・古葉-4・トラビノ-10で最終ホールを迎える。ここで太陽は1打目に意図しないフックが掛かりボールが池に落ちそうになるが、偶然にも池の石橋に当たって更に転がり2オン圏内に付け、2打目をカップ縁に寄せる。続くトラビノも2オンを決める。全員のボールがグリーンに乗ったところで太陽のボールが3打目を打つ前にカップに入って人生初のアルバトロスを取る。一気に3つ伸ばした太陽は-11で2位タイとなる。
- 東太平洋オープン最終日。家族や友人、かつて戦ったゴルファーが観客として見守る中、太陽は-15で暫定1位のバレンチノ・2位タイのトラビノと最終組を回る。自分にはできない技術を使いこなしハイレベルなゴルフをするバレンチノやトラビノに太陽も持てる力と技術を結集して一歩も引かずに挑み、前半9ホールで全員が-16の横並び状態となる。太陽は10ホール目の前に束の間の休息を取り、弟たちから食料を貰って体力を回復する。そして、竜谷からは「ここからは両名とも勝負師としての本性を露わにしてくる。油断するな」と忠告される。その忠告通り、トラビノは曲がる回転を掛けたショットを風と相殺させ、太陽に横風の強さを誤認させてミスを誘う罠を仕掛ける。罠を見破った太陽に対してトラビノは「度胸だけでなく頭も優れている」と評価しながらも「ここからは一人前として扱うから覚悟しろ」と宣戦布告される。優勝を目指す3人の戦いは更に激化していくが、16ホール目でトラビノはトラウマである雷の音でミスショットをし、ダブルボギーを出してしまう。太陽も集中しすぎて雨が降り始めたことに気付かずバーディを逃し、ここでバレンチノと2打差になってしまう。雷に調子を狂わされるトラビノを不憫に思った太陽は、枯葉の音を遮断するためにショートティを耳栓代わりにした体験談を語り、トラビノはそれを実践して雷の音によるミスを回避。トラビノは太陽に感謝しつつも甘ちゃんだと皮肉る。17ホール目はトラビノと太陽がバーディ、バレンチノがパーを取る。その結果、バレンチノ-18・太陽-17・トラビノ-16で運命の最終18ホール目を迎える。バレンチノを追い掛ける太陽は右の林ギリギリを打って池越え2オンを狙うが、不運にも突風で茂みが大きくせり出してボールに当たり、池を越えられないばかりか石橋の根元近くにボールが落ち、グリーンを直接狙えなくなってしまう。バレンチノは確実に刻んで3オン狙いだが、1打目を失敗したことで誰もが太陽の優勝はなくなったと考える。しかし、優勝を諦めない太陽は石橋目掛けて2打目を打ち、跳ね返ったボールで2オンを狙う奇策に出る。ドライバーとの別れを告げた太陽は折れて飛んだドライバーヘッドを間一髪躱しながら奇跡の2オンを決める。太陽の不屈の闘志に魅せられたトラビノも負けじとチップインイーグルを取り、バレンチノもピンそばに寄せる。決めればバレンチノとのプレーオフとなる太陽の1打はカップ右に逸れ、太陽もバレンチノも外したと思ったが、トラビノの一言でウイニングパットとして残していたバレンチノのマークコインに当たって軌道が変わり、カップに入る。これにより、太陽はイーグルでバーディを取ったバレンチノと並ぶ-19の同点でプレーオフ、同時にトラビノは-18で3位が確定した。
- バレンチノとのプレーオフでの一騎打ち。ドライバーを壊した太陽はやむを得ず、池越えを諦めてスプーンを使おうとしたが、太陽を「リトルチャンピオン」と認めたトラビノが急遽自分のドライバーを使ってみないかと提案する。太陽との全力勝負を望むバレンチノも貸し出しを許可し、太陽はトラビノのドライバーで初めてのまともな18ホール目の池越えショットを成功させる[8]。一方のバレンチノも池や林を易々と超える今大会最大のビッグショットを決め、スペインの星としての意地とプライドを見せつける。2打目もトラビノのドライバーで2オンを狙う太陽だが、風の影響でグリーンに乗る直前に手前のバンカーへ落ちる。バレンチノは勝利を確信したが、ついさっき打った自分の3打目が生んだディポットに自分のボールが入った影響でこちらもミスし、太陽と同じバンカーへ落ちる。バレンチノの3打目は見事ピンそばに寄せ、先のマークコイン事件からバレンチノは続けて4打目を打ってバーディとなる。あと2打で決めなければ負けとなる太陽のバンカーショットはピンの旗に飛び込んでそのまま真下へと落下。チップインイーグルとなり、太陽はプロ初出場のビッグトーナメントで初優勝を手にする偉業を成し遂げる。太陽はトラビノやバレンチノ、観客から東太平洋オープン優勝を祝福される。そして太陽は、家族にウイニングボールをプレゼントし、4日間に渡って自分を献身的に支えてくれたキャディとも優勝の喜びを分かち合うのであった。
- 東洋マッチプレー(巌竜岬ゴルフクラブ)編(27巻 - 38巻)
- 太陽は東洋マッチプレーに招待され、大会に備えてランニングの自主トレーニングに励んでいた。そこで聞き覚えのある声が聞こえ、そちらに向かうと母校である北荒川第五中学校のゴルフ部が練習しているのを目撃する。太陽の活躍によって、ゴルフ名門校となった北荒中は以前とは比べ物にならないほどの部員を抱える部に成長していた。練習風景に声を掛けた太陽は現在のキャプテンである内山たちからプロの腕前を後輩に見せてほしいと頼まれる。それを快く了承した太陽は、3種のショットを使い分けて全てネットの的の中心に当てる技を披露し、プロの威厳を示せたと安心する。その後も新荒川カントリークラブで練習をする太陽だが、竜谷から東洋マッチプレーの舞台である巌竜岬ゴルフクラブは鬼ヶ崎カントリークラブのような海沿いのコースであり、かつそちらよりも更に高難度であるやかつて東関東中学生ゴルフ選手権大会で戦った太田黒が自分を倒すために参加することを聞かされ、練習ラウンドに向かうよう進言される。巌竜岬ゴルフクラブへ向かう太陽だったが、道中のタクシードライバーの岡村から「巌竜岬ゴルフクラブにはキャディが殆ど居ないため、自分の専属キャディを連れて行く者が多い」と聞かされる。専属キャディなどいない太陽に対して岡村は自分の知り合いキャディを紹介してもいいと言われ、太陽もその申し入れを受け入れる。巌竜岬ゴルフクラブに辿り着いた太陽だったが、先程の岡村の説明に反してスタッフから「キャディは何人もいる」と聞かされ、困惑していると岡村が姿を見せて自分が太陽の専属キャディになると言い出す。以前から非公認のキャディとして度々巌竜岬ゴルフクラブに現れる岡村をスタッフは追い返そうとするが、そこで太陽は大田黒と再会し、霧が晴れたことから練習ラウンドに向かおうしていると知る。一刻も早く練習ラウンドをやりたい太陽は、巌竜岬ゴルフクラブを知り尽くしていると豪語する岡村をやむなく専属キャディと認め、練習ラウンドに向かう。だが、中途半端な攻略のヒントしか出さず、自分をからかう岡村の行動に太陽は調子を狂わされ、結局+30以上の散々な結果で初の練習ラウンドを終える。大会に備えてコースの攻略法をメモにまとめる太陽であったが、そこに岡村が割って入り、太陽の記憶違いや見落としを次々と指摘していく。太陽は岡村の知識の豊富さに感心しながらもコースメモを作り上げていく。
- トーナメント形式で行われる東洋マッチプレー1日目。太陽と岡村は寝坊してしまうがどうにか開会式に間に合い、一回戦の相手が大ベテランの杉原輝光だと判明する。大会最年長プロvs最年少プロという異色の組み合わせで幕を開けた東洋マッチプレー1試合目は太陽が1ホール目で勝利して幸先よくスタートしたかに見えたが、以降は1UPのまま引き分けが続く。8ホール目が終わったところで岡村は杉原が「相手のすぐ後ろからプレッシャーを与えながら追いかけるのが好きだ」とどこかの取材で語っていたことを思い出す。岡村は杉原のプレッシャーを感じる太陽に「この状況が嫌なら早急にイーブンに戻すか2UP以上に引き離すべき」と語る。太陽は杉原に差をつけようとしたが、ナイスショットを決めてもミスショットをやらかしても変わらない1UP差のプレッシャーで精神的に追い詰められていく。何が何でも引き離したい太陽は16ホール目でかつてのトラビノのように横風と曲がる回転のボールで風の強さを誤認させる罠を仕掛けるが、杉原にはあっさり見抜かれてしまい更にはここで負けてイーブンにされてしまう。一方で1つ後ろの組である太田黒が4UPで勝利が確定したと聞き、太陽は焦りが増していく。17ホール目は両者2オンで迎えたが、杉原のパットでグリーンが強く転がるように見える罠に嵌まり、遂に逆転を許してしまう。太陽は焦りから杉原の罠を見落とした岡村と口論になってしまい、意固地になってグローブの交換の忠告も無視するがこれが仇となって手汗でグリップが滑り、18ホール目の左の谷底横の林にボールを落とすミスをしてしまう。突破口が見出せず1打犠牲にボールをフェアウェイに戻そうとした太陽だったが、ここに来て岡村が谷底に向かって紙飛行機を投げる奇行を始める。勝負を捨てたかのような行動に太陽は抗議するが、岡村はコース設計者との昔話を語りだす。その昔話とは「18ホール目の谷は南西の風が吹く時、それが強烈な上昇気流に変化するため、この広大な谷にコースを作ることはできなかった」というもの。一か八かその上昇気流を利用したショットを打ってみないかという岡村の提案に太陽は乗り、谷底に向かって打った2打目は上昇気流を受けて超ビッグショットとなり見事生還する。更には杉原の横風の強さを誤認させる罠も見抜き、3打目をピンそばにつける。太陽の熱気に押された杉原は3打目をカップ縁に寄せるも転がるのを待たずに4打目を打ち、太陽の勝利でサドンデスに突入する。一進一退の攻防が続き、迎えた2周目の7ホール目。太陽はプレッシャーと疲労から1~4打目を続けざまにミスショットしてしまう。杉原が2打目をグリーン手前ラフまで寄せていたことから周りの観客や岡村は勝負あったかと思っていたが、それでも太陽は諦めずに海辺からの5打目をピンそばにつけて杉原からも健闘を賞賛される。健闘へのせめてもの返礼として止めを刺そうとした杉原であったが、自身も気づかぬ内に太陽の執念に気圧されていた影響で3打目を二度打ちして海に落とすミスを犯してしまう。そして、杉原が6打目を入れることができなかったため、この戦いは不格好でも最後まで勝負を捨てなかった太陽の逆転勝利となった。その夜、太陽は巌竜岬ゴルフクラブから去ろうとする杉原と遭遇し、プロ顔負けの実力を持つアマチュアの太田黒に日本のプロとしての面子を見せつけてやれと激励される。
- 東洋マッチプレー2日目。対戦相手は東関東中学生ゴルフ選手権大会から因縁のある大田黒。4ホール目で太陽が負けたこときっかけに大田黒はアメリカで培ったパワーと技術、そしてキャディのクインシーの機械のような精密な指示で牙をむき、5ホール目でホールインワンを取り2UP差に引き離す。余裕を見せる大田黒は東関東中学生ゴルフ選手権大会まで順風満帆だった自分のゴルフ人生に黒星を付けた太陽を徹底的に叩きのめすべく、「寄せの腕比べ勝負」と称して6ホール目からミスショットした太陽の近くにわざと打ち込む挑発をし、その後も「片手でパットを決める」「コーヒーブレイクしながらオナーを譲る」など太陽を小馬鹿をする。3UPまで開いた状態で迎えた8ホール目で太陽は1打目を林の中に打ち込み、大田黒も同じ場所にボールをわざと落とす。だが、これは大田黒の寄せの腕比べ勝負を逆に利用した太陽の作戦であり、岡村から事前に聞いたラフも生えていない泥の湿地帯に大田黒のボールを誘い込むことに成功する。太陽は河川敷コースで磨いたトラブルショットの腕前で見事フックを掛けての2オンを決める。一方でアメリカの綺麗に整備されたコースでのプレーばかりで湿地帯からのショットの経験がない大田黒はフックの加減が甘く2打目をOB、打ち直しは逆にフックを掛け過ぎて池に落下という結果に終わり、太陽が勝利する。続く9ホール目も勝利して1UPの状態になってからは引き分けが続いていたが、17ホール目で遂にイーブンとなる。最終18ホール目、太陽の2打目は風に乗りすぎてグリーンをオーバーしバンカーの淵に落ちてしまう。2打目をグリーンに乗せた大田黒とクインシーはその太陽のボールの状態を見て勝利を確信したが、太陽は1打ミスしながらも4打目をチップインで決める。大田黒は力が入りすぎて3打目をミスし、次を外すと敗北の状況に追い詰められる。かつて太陽がプロテストで経験したカップが見えなくなる強烈なプレッシャーと寄せの腕比べ勝負という自身の愚かな行為への後悔で震える手から打たれたパットは外れ、太陽の勝利となった。
- 東洋マッチプレー3日目の対戦相手は「マッチプレーの鬼」と恐れられる青木 功一。朝の練習場で青木は「太陽の長所も欠点も知り尽くしている」と語る。太陽は青木のトリックショットでグリーンの曲がり方を見間違えて開始から2ホール連続で負けてしまう。岡村は1ホール目の青木の第1打に「飛距離が少ない気がする」と違和感を感じていたが、その正体は青木が太陽に自分の2打目を見せて眩惑させるために力をコントロールして打っていたからであった。その後も巧みなテクニックにより7ホールまでに4UP差までつけられた太陽は「騙しの技が混ざっている青木のショットを敢えて見ず、ショートティで耳栓までする」という対抗策で自分のショットを取り戻す。2打目の騙しが通じなくなったと判断した青木は手加減を止めて本来のショットで太陽の1打目を置き去りにし、太陽の次のショットを見てから自分のショットを決める正攻法に切り替える。12ホール目までに6UPの大差をつけられながら何とか引き分けで耐えた太陽に対して青木は「自分は栃木の新コース設計に参加する予定が入っており、チャーターヘリを待たせているからここでギブアップしてくれないか」と要求する。それを聞かされた太陽は改めて自分が青木に舐められていることを理解し、思い通りにはさせないとプロゴルファーとしての闘志を燃やす。太陽の不屈の闘志と青木への意趣返しを込めた眩惑トリックショット、そこにコースを知り尽くした岡村の的確な策略が加わって太陽は一気に巻き返す。一方、太陽を片手間でどうにかなる相手ではないと認識を改めた青木はチャーターヘリを追い返し、試合に集中しようとしたが調子は戻らず5連敗で最終18ホール目までもつれ込む。1UP差が残っている以上、賭けに出るしかない太陽は杉原戦で見せた谷越えの超ビッグショットを狙うべく、わざと森の中に1打目を落とす。ここで普通のルートでは負けるかもしれないと判断した青木も太陽と同じ場所に落とし、谷越えを狙いに行く策に出る。太陽は予定通り、2打目の谷越えを成功させフェアウェイに飛ばしたが、何と青木は谷越えどころか2オンを成し遂げてしまう。最早勝負は決まったかと思われていたが、太陽は3打目をそのままダイレクトにカップに入れて青木は1打で決めなければならない状況になる。これを外して6連続ドーミーホールからの同点になろうものなら自分の今まで築き上げた実績や栄光、それに伴う自身の威厳が壊れかねないという焦りが乗ったパットはカップに届かず、イーブンでサドンデスに突入することが決定した。1ホール目で直前の負けを引きずった青木のOBや2ホール目で誤って観客のいるラフに打ち込んだ太陽のミスがありながらも引き分けが続き、7ホール目の突入した太陽は1打目をミスして砂浜に落とすもドライバーで見事リカバリーして2オンを決める。砂浜からの2オンに衝撃を受けた青木は2打目をバンカーに落とし、3打目をピンそばに付けるも入らず4打、太陽が3打目を決めて3回戦を勝利した。青木は自分を倒した褒美として敵情視察に来ていた疋田宴次郎について「勝つためにはどんなこともやる男だから気を付けろ」と太陽に忠告する。
- 準決勝は対戦相手の腰痛により不戦勝となった太陽は決勝戦で疋田と当たる。決勝戦前日、太陽と岡村の元に無言電話や身に覚えのないルームサービスなど様々な妨害工作が実行されるが、太陽は実家の環境から騒音に悩まされず眠りにつく。岡村も休もうとしたがゴルフバッグが僅かに開いているのを目撃し、中を確認すると太陽のクラブが軒並み破壊されていることに気付き、大急ぎで知り合いのゴルフクラブの修理屋の店長の元でクラブの修理を行なう。翌朝それを聞かされた太陽は競技委員に抗議しようとするが、証拠がないことを理由に岡村に止められる。その怒りは36ホールを回るマッチプレー決勝戦で疋田にぶつけてやれと進言された太陽は怒りを燃やす。だが、観客に混ざった疋田の取り巻きや疋田自身のショットの瞬間に物音を立てる妨害で太陽は2連続ミスをし、1ホール目から負けてしまう。2ホール目もラフに入れた太陽のボールを踏み潰すなどの妨害が続くが、太陽は物音に対抗するため大声でショットの掛け声を言い、敵の物音を立てる妨害をかき消す策に出る。疋田がミスし1打で決めて勝てる場面にした太陽だったが、疋田のパターで太陽光を反射させる目眩ましでパットを外してしまいチャンスを逃す。引き分けが続く中、7ホール目でショットの瞬間に虫が投げ込まれ太陽は林に打ち込むミスを犯してしまう。更には疋田一派の妨害でボールが見つけられず、打ち直しをする羽目になる。岡村は太陽の指示で家族に疋田らの悪行を伝え、妨害を防ぐために彼らを見張るよう協力を要請する。太陽は打ち直しを含め4打でこのホールを終えるが、疋田への仕返しとしてボールを取る際に予め捕まえておいた虫をカップに仕込む。虫嫌いの疋田はカップから出てきた虫に動揺して2UPのチャンスを逃してしまい、やり返された苛立ちからボールを力任せに叩いてしまうが太陽から「OKサインは出していない」と指摘され、このホールは疋田の負けとなりイーブンへと戻される。その後は正々堂々倒すと宣言した疋田の言う通り、妨害工作が起きずにイーブンを維持し迎えた2周目の18ホール目、太陽はここまで世話になった谷越え作戦に出たがここに来て警戒が緩んでいたことから疋田陣営の妨害工作を許し、林に打ったボールが行方不明になってしまう。そこで太陽は競技委員に「ボールが見つかったフリをすれば本物のボールが出てくる」という提案をし、怪しんでいた競技委員も一芝居打って絶好の地点にダミーのボールを用意して太陽は2打目を打とうとする。このままだと妨害が無意味になると焦った疋田陣営はやむなく本物のボールを公衆の面前で太陽に返すことになり、イカサマが表沙汰になる。更には味方につけた競技委員や観客の手により、草で疑似的にティーアップした状態のボールを打てるようになった太陽は2オンに成功する。恥をかかされた疋田は何とかドライバーで2オンを狙うが、ショットの瞬間に飛び立ったカラスの影が視界に入りミスしてしまう。3オンになった疋田はパットを惜しくも外し5打で終了。一方の太陽もギリギリ外すがここでOKの声が聞こえて勝利を確信する。だが、疋田が「自分はOKサインを出していない」と発言し、無断でボールを拾った太陽の反則負けが決まったと競技委員に報告する。しかし、実際はこの展開を読んでいた岡村の指示で太陽はボールをマークに切り替えていただけであった。逆転の一手も躱された疋田をよそに太陽は最後の1打を決め、東洋マッチプレー優勝を果たす。表彰式での優勝者スピーチで太陽は自分を手厚くサポートしてくれた岡村への感謝を伝えようとしたが、タクシードライバーの仕事に戻った岡村は既に姿を消していた。太陽はそのことに驚くも、1台のタクシーが巌竜岬ゴルフクラブから遠ざかるのを目撃する。運転しているのが岡村だと確信した太陽は観客らと共にそのタクシーに向けて感謝の拍手を送るのであった。
- 全英オープン予選(トム・モリスゴルフクラブ)編(38巻 - 42巻)
- 東洋マッチプレーから半年。太陽は優勝どころか予選突破すらできないスランプに陥っていた。7連続予選落ちしている太陽の元に竜谷の手紙が届き、確認すると「全英オープン予選に申し込み済み。エジンバラ空港で待つ」という衝撃的な内容が書かれていた。急に全英オープン予選に出場することになった太陽は、戸惑いながらも準備を整えてイギリスのスコットランドへと向かう。太陽はスランプに陥っている今の自分をどうして全英オープン予選に出すのか竜谷に問いただし、それに対して竜谷は「若いうちに国内の試合だけでなく、大舞台での試合を経験させたい親心で申し込んだ」と返す。竜谷の真意を測りかねる太陽は予選の舞台であるトム・モリスゴルフクラブに到着する。太陽は自分を降ろしてすぐにロンドンへ向かった竜谷に代わって支配人のシンプソンに案内され、キャディを務める人物を探すが太陽がスコットランドではまだ無名なために悉く断られる。たらい回しにされた太陽とコンビを組むことになったのは一番若い下っ端キャディのトム・ファーガソン。だがトムは「有名キャディ一族の末裔」というプライドから、「練習ラウンドを一度やった上で正式にキャディをするか決めさせろ」とシンプソンに要求する。自分を品定めする意図を見抜いた太陽はその挑発に乗る形でトムと練習ラウンドに挑む。太陽はトムからキャディを続けるための条件を所々で出されながらも何とかそれを最終ホールまでクリアするが、日本では経験できないほぼ自然のままの状態のコースは難易度が相当高く、+9という結果に終わる。しかし、トムは時折見せたスーパーショットから太陽の実力はかなりのものだと見抜く。それを補足する形でシンプソンは太陽が日本の大会で名だたるプロゴルファーに競り勝っていることを教える。それを聞いたトムは金の卵を逃したキャディたちの羨望を受けながら太陽を全英オープンへ送り出す決意を改めて固める。
- 1か月以上の練習ラウンドを終えて迎えた予選1日目。同じ組で回るのはイギリスの地方予選を過去5回通過しながら本戦に辿り着けないロウニイ・スコットとアメリカ出身のハリー・C・コリンズ。トムは練習ラウンド中、最もコントロールが良かった3番アイアンを中心に、アイアンだけでイソップ童話「ウサギとカメ」のカメのようにコツコツと進める「鉄の亀(アイアンタートル)作戦」を太陽に徹底させ、堅実にスコアを伸ばしていく。9ホールを終えて太陽は-4で暫定1位となる。2人の攻撃的なゴルフを羨ましがる太陽の様子に気付いたトムはストレス解消の意味を込めて11ホール目で太陽にドライバーの使用を解禁する。太陽は攻撃的なゴルフで一気にスコアを伸ばし、15ホール目までにコースレコードに並ぶ-10を叩き出す。だが、パー4の16ホール目で1打目が深いバンカーに嵌まり2打目はバンカーの淵に当たって真上に飛んだボールが額に当たってバンカーに落ち、2打罰がついてしまう。その後もミスが続いて12打も叩いた太陽はショックから残り2ホールともダブルボギーを出し、+2という結果で1日目を終える。
- アイアンタートル作戦を最後まで徹底させるべきだったと惜しむトムは、スタートが遅い上位スコアの後ろの組は午後から崩れる悪天候の影響を受けやすいことから今度こそアイアンタートル作戦が活きる場面だと確信する。迎えた予選最終2日目。同じ組になったのはどちらも太陽と同じ+2でオーストラリア出身のマック・トーマスとスペイン出身のニーノ・サンチョス。天候が崩れる前の強風から3人ともバーディを取れない状態が続く。5ホール目で前を歩く組の何人かが後半組のスコア崩れに賭けて攻撃的なゴルフでスコアを伸ばし始めていると知ったマックとニーノは一か八かの勝負を仕掛けに行く。だが、前日に攻めすぎて痛い目に遭った太陽は攻めの姿勢を見せる2人の様子を目にしてもアイアンタートル作戦を徹底し、0までスコアを回復させ14ホール目もバーディチャンスに付ける。一方のマック・ニーノ両陣営は攻めのゴルフを続けるが、悪天候の影響でスコアを殆ど伸ばせずグリーン前後のバンカーに捕まりバンカー入りを繰り返す大叩きをして予選落ち確実のスコアになったマックはリタイアする。ニーノもリタイア確定なのだが太陽のスコアを付けるマーカーの仕事が残っているため、やむなく太陽に最後まで付き合う。-1になった太陽は予選通過の14位ラインが暫定-3と聞き、ドライバーを使う攻撃的なゴルフに切り替えるべきか悩むがトムのアイアンタートル作戦を信じ、堅実にスコアを伸ばす。太陽は16ホールと18ホールをバーディにして-3で予選通過ラインに乗り、ニーノから予選通過を祝福される。だが、スコアカード提出の際に予選通過ラインが悪天候にもかかわらず-5に伸びていたことを聞かされ自分たちが予選落ちしたことを知る。少しずつしかスコアを伸ばせないアイアンタートル作戦は失敗だったと謝罪するトムに対して、太陽は自分のコントロールに難があるドライバーではどの道どうしようもなかったと謝罪を止めさせる。そして、ドライバーのコントロールをアイアン並に磨いて来年出直してくるとトムに告げて日本に帰国しようと準備を始める。太陽は準備を済ませてトムに別れの挨拶をしようとしたが、姿が見えないため仕方なくそのままシンプソンの車に乗って空港へ向かう。その直後、トムが後ろから追いかけてくるのを目にして別れの挨拶を言う機会を得られて太陽は安堵する。だが、トムは後ろの組がスコアを大きく崩したりスコア誤記入の失格者が出た影響で予選通過ラインが-3に戻り、太陽が全英オープンに出場できるようになったと伝える。それを聞いた太陽は大雨の中、トムと予選通過の喜びを分かち合うのであった。
- 全英オープン(セント・アンドリュース)編(43巻 - 58巻)
- トムは予選を通過した太陽をシンプソンの伝手でセント・アンドリュースのベテランキャディであるレスに紹介し、太陽のキャディになってもらえないかと相談する。だが、レスは太陽の性格と技量を知らないことや持病の通風で歩くのが辛くなっていることを理由に断る。代わりに取り巻きのキャディに地元キャディを数人集めてもらおうとしていたが、トム・モリスゴルフクラブでトムに全幅の信頼を置くようになった太陽はその申し出を断り、トムの凄さをレスたちに伝えるが、その過程でトムがかの有名なファーガソンの一族であることを知ったレスは2人がどこまで通用するのか見たくなったことを理由に地元キャディに根回しされて、誰も太陽のキャディをやらなくなってしまう。やむを得ずトムは太陽のキャディを継続することを決め、全英オープン開催までの2日間を掛けて2人で測量しながら練習ラウンドを回り、セント・アンドリュースのコースを徹底的に調べ上げる。全英オープン当日の朝、セント・アンドリュースの難易度の高さに頭を悩ませる太陽は下宿先の住人であるコレットの計らいで銀シャリ・生卵・醤油を用意してもらい、久しぶりの日本食に舌鼓を打ち元気を取り戻す。
- 全英オープン1日目。同じ組のゴルファーはプレーが遅いM・ファルドと待つことが大嫌いなG・スタドラー。いがみ合い今一つスコアを伸ばせない2人をよそに、太陽はトムの的確なアドバイスを受けながらの攻めゴルフで順当にスコアを伸ばしていき、15ホールを終えて-4で暫定9位となる。続く16ホール目もバーディを取り、更に17ホール目では風向きがホテルの向きと同じであったことからホテル方向目掛けて1打目を打ち、ショートカットを決める。しかし、2打目を打つ際に観客席のレス一派に気を取られてグリーンをオーバーし、スイングが取れない石垣近くまでボールが転がってしまう。悩む太陽は三味線のような体勢を取り、短く持ったクラブで見事脱出してピンそばに寄せる。ここまで太陽の事など眼中になかった2人も、太陽の腕前と勝負強さを目の当たりにして認めるようになる。太陽は1日目にして-6で暫定2位タイという好成績を残したことで、各国の記者が集まるインタビューの場を設けられる。そこで太陽は「最終日はトップスコアを出した状態で最終組で回りたい」という意気込みを語る。太陽の夢の大きさに盛り上がる記者団であったが、そこにレスが姿を現し太陽に向かって「明日は大崩れして予選通過は困難になるだろう」と予告する。突然のレスの発言に不快感を露わにする太陽であったが、今までレスの予告が外れたことがないのを理由に観客までもが予選落ちを信じてしまっていることに気付いた太陽は、すっかりへそを曲げて下宿先へと帰宅する。就寝前のテレビのニュースで太陽は後ろの組がスコアを伸ばした影響で自分が2位から10位タイまで下がっていることを知る。
- 全英オープン2日目。太陽は共にアメリカ出身のT・カイト・C・ピートとコースを回る。性格に難ありの2人と回った1日目よりもリラックスしてプレーできそうだと安心する太陽とトムであったが、レスが観客に混ざっているのを目撃しスタートの第1打から子供がパンフレットを落とした音に反応した影響で太陽はミスショットをしてしまう。自分がいたせいで神経が過敏になって音に反応したことを謝罪するレスに太陽は「謝罪は自分が予選通過して予告を覆した時までとっておいてほしい」と宣戦布告する。2打目もグリーン手前の川に落としてしまうが、次の1打でチップインしボギーは免れる。続く2ホール目も2打目をミスしてグリーンと巨大バンカーの間のラフに落とす。しかも、そのボールはカイトとピートがパットを打っている間に運悪くバンカーに転がってしまう。観客はレスの予告が現実味を帯びてきたと考えるが、太陽はこのままレスの予告に踊らされている自分が許せないとして高いバンカーの壁の前に落ちた自分のボールを打つために、右足を膝近くまで埋めて角度を付けた体勢から状態からのショットで1発でのバンカー脱出を狙う。見事脱出を成功させた太陽はその後ミスを繰り返しながらも9ホール目までパーをキープし続け、他のプレイヤーがスコアを崩した影響で8位タイまで繰り上がる。10ホール目に突入した太陽は1打目を向かい風に大きく押し戻された影響で飛距離が出ず、ボールを通常通り打てない灌木(ゴーズ)という深い低木の下に落とす。だが、太陽はボールのすぐ近くのバンカーから構えて5番アイアンを横一閃に振り、グリーンに乗せてまたもトラブルショットを成功させるが5番アイアンを折ってしまう。ここもパーで乗り越え、次に迎えるは「世界一難しいショートホール」と呼ばれる11ホール目。5番アイアンで打ったカイトはグリーン前のバンカーに落とし、4番アイアンで打ったピートはグリーン奥の川に転がり落ちる。最早どのクラブで打てばいいかわからない2人であったが、先の10ホール目の第1打の飛距離と11ホール目のピンまでの距離がほぼ同じであることに気付いた太陽はさっきと全く同じ風が吹くのを待った上で1打目をドライバーで打つ。太陽の無謀に見えた1打は何とカップにそのまま入り、ホールインワンとなる。ここでレスは自分が太陽の力を見誤ったことを認め、先日の失言を謝罪した上で観客席から姿を消す。レスの予告を見事覆してみせた太陽は勢いに乗り、-10まで伸ばした状態で18ホール目に挑む。カイトとピートの1打目を大きく上回る1打目を決めた太陽であったが、ここに来て疲労が一気に押し寄せる。素振りでクラブがすっぽ抜けたのを見て、太陽にこのまま打たせるのは危険だと判断したトムはパターで転がして寄せるようにアドバイスする。見事パターでピンそばに付けた太陽はバーディを取り-11で暫定1位になった。スコアカードを提出しようとする太陽をレスは呼び止め、「今そのスコアカードを出すと予選落ちになる」と忠告する。疲労困憊な太陽は無視しようとするが、トムが理由を問いかけると「2ホール目のバンカーに右足を深く埋めた行為は反則であり、2打罰を加えて提出しないとスコアの過少申告で失格になる」とレスは話す。だが、スコアボードには-11と表示されている上に競技委員からの指摘もなかったという理由で太陽はこの忠告をレスの戯言だと一蹴し、取り巻きと一触即発となる。疲労からの苛立ちを抑えられない太陽に対し、トムは平手打ちして冷静になるよう呼び掛ける。そこへスコアカード提出所に連絡が入り、先程レスが指摘した太陽の行為について現在審議が行われていることを知る。そして、レスの言う通り太陽の行為は2打罰であると知った太陽はスコアカードを訂正する。-9で暫定2位にこそ下がったが、失格は免れたとしてレスに暴言を謝罪する。下宿先に戻った太陽とトムは帰宅してすぐに疲れが溜まっていたことから3日目の朝まで眠りに落ちる。
- 全英オープン3日目。同じ組で回るのは自分と同様、予選を通過して全英オープンに参戦したF・カプルス。日本語を話せるキャディのジャンボから太陽の心境を聞かされたカプルスは太陽を睨み付ける。カプルスはパー4の1ホール目をドライバーで打ち、グリーンをオーバーして1オンを逃す。カプルスの途轍もないパワーに気後れそうになる太陽だが、逆に気合いを入れて強くパットを打ちバーディとなる。カプルスは太陽より更に強くパットを打って「自分の方がカップの淵で高く飛んでボールが入った」と挑発する。2ホール目以降も何かと太陽よりいいショットを決めて自らの力を誇示するカプルス。12ホールを終えた段階で太陽・カプルスは共に-14で2位タイとなる。13ホール目は太陽がバーディを逃したことによりカプルスが単独1位に昇格する。14ホール目で太陽はカプルスとほぼ同じ距離まで飛ばし、2打目もドライバーを使って2オンを成し遂げる。闘争心を燃やすカプルスは更に厳しいディポットのボールをドライバーで打ってこちらも2オンを決める。太陽は惜しくもイーグルを逃すが、-15でカプルスと並ぶ。太陽とほぼ同じラインにつけていたカプルスは同じように打つが、太陽は強風に負けないよう強く転がるオーバースピンを掛けたパットで打っていたために、カプルスの1打は大きくカップまでの距離を残す。太陽に罠を仕掛けられたと思い込んだカプルスは冷静さを欠き、3打もミスしてボギーに終わり今度は太陽が単独1位となる。16ホール目でピンにしっかり寄せた太陽に張り合おうとするカプルスであったが、ここで2打目をミスしてバンカーに入れ、3打目も灌木に飛ばしてしまう。すっかり頭に血が上ったカプルスは灌木の中のボールを打とうと躍起になるがうまくいかず、一気に転落する。-10で終わったカプルスに対し、18ホール目をバーディで終えて太陽は-16で単独1位を維持する。全英オープン最終日を最終組で回る夢が叶うかと思ったが、G・ノーマンとバレンチノが-18を叩き出して4位に転落したことにより現在-17で3位のJ・ニクラスと最終組の1つ前で回ることが決まった。しかも、ニクラスは優勝のチャンスを物にすべく、記者会見でレスを最終日のキャディとして迎え入れたことを発表する。お互いに憧れの人物と同じ組になった太陽とトムは、緊張と不安から睡眠も食事もあまり取れない状態で最終日に臨もうとしたが、大雨でコース全体が水浸しになったことにより1日延期することが決まった。夕方まで休息を取った2人は練習場に向かうが、そこで竜谷や家族と再会する。家族との再会によって緊張も不安もすっかり解消された太陽は万全の状態で翌日の最終日に挑む。
- 全英オープン最終日。トップ争いの一角に数えられた太陽はいつもよりボールが飛びすぎる事態に見舞われる。絶対に負けられないという気持ちからアドレナリンが溢れて2ホール目をグリーンオーバーしてしまった太陽だったが、トムは祖父のダイから伝授されたアドレナリンから来る力みを抑える方法として「肺の中の空気を吐き出しきった状態でクラブを振る」という技を太陽に教える。-16のまま早くも1位タイの3人と差がついてしまった太陽であったが、この方法によりボールのコントロールが元に戻る。世界最強クラスの実力を持つニクラスと熟練の経験を持つレスのコンビに真っ向から食らいつく太陽とトムであったが、7ホール目からニクラス陣営の動きが変わる。「このホールはよそよそしい」と語るレスのアドバイスにニクラスは従い、パー狙いの安全策を取る。ニクラスを追う立場の太陽は攻めの姿勢を変えずに挑むが、風をちゃんと読んだにも拘らずグリーン前バンカーに落としてしまう。しかも、そのバンカーは大会に合わせて砂を補充したばかりなため柔らかく、ボールが深く沈んでしまっていた。レスは1打罰を付けて打ち直しするがいいと忠告するが、太陽はアドレナリンを抑える方法とは真逆の息止めでアドレナリンを高めてからのショットでバンカーからの脱出を成功させる。だが、溜め込んだアドレナリンの影響でパットを強く打ちすぎてパーを逃してしまう。更には後続の最終組も共に太陽と同じバンカーに苦戦させられているのを目にし、レスの安全策が最適解だったと知る。続く8ホール目も不安定な風に負けてグリーン前ラフに捕まる太陽。ここもアドレナリンの力でカバーするが、いつしか最終組の2人がスコアを崩した影響で太陽は2位に浮上していた。10ホールを終わらせたところで太陽は-18、ニクラスは-20で1位を争う。11ホール目でレスのアドバイスを受けてピンにしっかり寄せたニクラス。一方の太陽はここまで挑発を兼ねてわざと聞こえるように話していたレスのアドバイスを参考にしようとしたが、飛距離はともかく角度まで合わせるのは不可能とトムに却下される。だが、クレーンの中継カメラがその角度と同じであることに気付いた太陽はそれを目印に角度を合わせてショットを打ち、ピンそばに寄せる。そして、風に動かされたことで太陽のボールはカップに入り、今大会2度目のホールインワンを手にする。目の前でのホールインワンに動揺したニクラスはバーディを逃し、-20で遂にニクラスとスコアが並ぶ。13ホール目ではニクラスが背後のカメラマンに気を取られてグリーン前のバンカーに2打目を落とすミスをする。3打目で自分のグリーンの内側に寄せられた太陽は青木との戦いで学んだ「フックラインだとわかっていても、真っ直ぐ転がるボールを目にするとフックラインを小さく読み違える」という経験からフックラインを相殺するスピンを掛けたパットを打つ。太陽の狙い通り、ニクラスは4打目を外してボギーとなり太陽は遂に単独1位となる。しかし、直後の14ホール目でニクラスに同じことをやり返された上にイーグルを取られ、再び2位に転落する。16ホール目でイーグルを決めて-23となり追いついた太陽であったが、17ホール目で事件が起こる。バンカー淵のグリーンに落とした3打目はカップに届かず、風に押し戻されてバンカーに落ち、続く4打目もまたカップに入らず風で再びバンカーに転がる。しかも、その際に逃げ遅れた太陽の足に当たって2打罰が付いてしまう。終盤で優勝争いから脱落した事実にへたり込む太陽であったが、直後にトミ子から「プロなら最後の最後まで最善を尽くしなさい!」と叱咤激励される。トミ子の言葉に奮い立った太陽は7打目となるショットをチップイントリプルボギーで決める。最終18ホール目でニクラスと3打差が付いてしまったことで優勝を諦めかけた太陽に対してトムは「神の道が見えた」と語り、途轍もない追い風が吹いていることを太陽に伝える。その突風に1打目を乗せてホールインワンを狙う太陽とトムであったが、惜しくもピン近くに止まりイーグルチャンスとなる。一方のニクラスは2打目がカップに直接当たって跳ね返り、「罪の谷」と呼ばれるグリーン手前の大きな窪みにボールが落ちてしまう。続く1打でピン30センチに寄せてパー確実の射程に付けたニクラスのミスに賭けて、太陽はイーグルを決めて-22で18ホールを終える。ニクラスはウイニングパットとなるはずだった1打を何と外してしまい、同点でプレーオフが決定した。ニクラス・レスの2人に食らいついてみせた太陽・トムの姿に竜谷は今後のゴルフ界に新たな伝説を創り上げていく可能性を感じ取る。
- 1・2・17・18ホールの4つを使って行われる太陽とニクラスのプレーオフ。いつも通りのショットを打つ太陽に対してニクラスはアイアンを使い、全盛期に使用していた超高弾道のショットで太陽とほぼ同じ位置に落とす。ニクラスはプレーオフの前にレスから「3打差をひっくり返されてプレーオフになった以上、今や最大のライバルとなった太陽に勝つためにも『帝王』としての栄光やプライドは捨て去ってほしい」と忠告されていた。そのアドバイスの通り、「太陽の少し前に落として太陽のショットを参考に次の自分が打つべき球を決める」という帝王らしからぬプレーをするニクラス。2ホールを終え1打差でリードする太陽であったが、3つ目の17ホールで直前のバンカーでのトラウマが蘇り素振りが安定しなくなってしまう。そこで太陽はバンカーからチップインしたことを逆手に取って、わざとバンカーに入るようにショットを打ってバンカーを避けようとすると現れる緊張をなくす奇策に出る。緊張を消し去った太陽の1打はピンそばに寄る。一方のニクラスは2打目を直接カップに入れて追いつこうとするが弾かれ、更には風に押されてそのままバンカーに転がり落ちる。これでプレーオフ前とほぼ逆の結果となり、太陽は2打差でリードを広げる。最終ホールでも変わらずナイスショットを決めた太陽。ここに来て負けているはずのニクラスは1打目をアイアンで打とうとする。困惑する太陽や観客には目もくれず1打目を打ったニクラスであったが、その1打はティーグラウンド右の街の円錐型の屋根に当たり、そのまま大きく跳ね1オンを決める。このルートはレスがアマチュアのキャディを務めていた時代に偶然発見したものであった。見事イーグルを決めたニクラスに対し、バーディで勝ちとなるパットを残した太陽であったが1.5メートルのパットを外してしまい、サンドデスにもつれ込む。観客に混ざった多くのゴルファーは「流石の太陽もプレッシャーに押し潰されてミスをした」と考えたが、青木とニクラスだけはさっきの1打は太陽がプレッシャーを克服した上でしっかり狙ったパットであることを見抜いていた。1ホール毎の結果で勝敗が決まるサドンデスが幕を開け、まずはニクラスがナイスショットを決める。先の1打で太陽を同格だと完全に認めたニクラスは今までにない大声を出して太陽を挑発する。太陽もニクラスの挑発に真っ向から対峙し、2人の戦いは激しさを増していく。プレーオフ同様、4つのホールを何周も回り、それでもなお決着がつかず、17ホール目を回ろうとする2人の前に全英オープンの競技委員長が姿を見せる。極限の戦いを続ける2人は白夜によって気付かないまま、いつの間にか大会の規定時間である21:30を超えて22:00までプレーをしていた。競技委員長は大会規定に従い2人のサドンデスを翌日に延期しようとしたが、今や波に乗る2人の戦いを止められる者は誰もおらず、観客にも妨害されてサドンデスが半ば強引に続行される。ここも引き分けになり次の18ホール目をプレーしようとする2人であったが、日も完全に落ちてコース全体が真っ暗であることから競技委員長は今度こそ延期を提案する。するとコースに隣接した街やホテルの明かりが次々と点灯し、街の反対側ではスコットランドの現地住民が一斉に車を回してヘッドライトでコース全体を照らす。この熱気は流石に止められないと競技委員長も渋々延期を取り下げる。強い追い風の予兆を感じ取ったレスは、絶好のタイミングでニクラスに1打目を打たせ、1オンを成功させる。一方もトムも風を読み切り、太陽に打たせるが上空にまでは光が届かないことから太陽のボールは行方不明になる。観客は飛び過ぎてOBになったのかと考えた次の瞬間、ボールが現れてカップ近くまで転がりイーグル間違いなしの場所につける。外せば負け確実のニクラスは『帝王』としての矜持を燃え上がらせ、太陽・トム・レスはニクラスからオーラが出ていることを感じ取る。だが、誰もが決まったと確信したニクラスの1打は惜しくも外れてしまう。そして、太陽は最後の1打を決めて「日本人初の全英オープン優勝」という前人未踏の栄光を掴み取り、トムと優勝の喜びを分かち合う。ニクラスは今大会でのゴルファー引退を撤回すると共に太陽を新たなライバルとして迎え入れ、再戦の約束の握手を交わす。観客のプロゴルファーたちもまた、太陽に祝福を送りながら「次は自分のホームの大会に挑戦しに来い」と次々に呼びかけるのであった。
- その頃、遠く離れた日本の新荒川カントリークラブでも太陽の全英オープン優勝のニュースは大盛り上がりしていた。その話題を口にし、次のプロゴルファーを目指す男たちは新荒川カントリークラブに勤務しながらゴルフの練習に励む。今や太陽の代名詞となった「チャー・シュー・メン!」の掛け声と共に。
主人公の向太陽がショットする際に、スイングのリズムを取るための掛け声[1][3]。「チャー」でバックスイングに入り、「シュー」でトップを作り、クラブを振り下ろしてインパクト時に「メン!」でうまくボールにミートさせる[1]。
なお、この掛け声を作中で最初に考案したのは太陽のクラスメイトの白石えつこ、使用したのは後輩の内山央である[1]。フォームが安定しない内山に、向は足を閉じたスタイルで打つように指摘しまともに打てるようになるが、足を開くと力んでスイングのタイミングが合わなかった。そこに白石がなにかリズムを取りながらスイングするように勧め、「あなたの好きな食べ物は何?」との白石の問いに内山が「チャーシューメン」と答え、声に出しながらスイングをするようになったのがきっかけである[1]。
この掛け声は、ちばが取材先のゴルフ練習場でレッスンプロに「初めてゴルフをやる人にどう教えるのか」と質問した際、直接教わったもので、後の反響は予想外だったと語っている[3]。
人物名は、『ホーム社漫画文庫』版に準拠した。
声はアニメ化時の声優名。
主要人物
- 向 太陽(むかい たいよう)
- 声 - 塩屋翼
- 本作の主人公。中学生でゴルフを始めた。早くに父親を亡くし、母トミ子は食堂「あづまや」(午前4時には客が一杯になっている描写があることから、夜間食堂)を経営している。弟に武二(たけじ)、攻三(こうぞう)、妹に糸子(いとこ)がいる。
- 中学校卒業後は進学せずに新荒川カントリークラブに就職し、最年少でプロテストに合格、プロゴルファーとなる。
- 心からゴルフを愛しており、竜谷からは「稀に見る逸材」と称されるほどゴルファーとしての才能に恵まれているが努力も怠らない。しかし、精神的にはまだ未熟な様子が多く、試合の中で何度も心折れそうになるも、持ち前の明るさとガッツで克服しトッププロへと成長していく。
- 前述の通り、精神的な動揺からスコアを崩すことが多々あり、そこから驚異的な粘りと果敢な攻めで追い上げていくパターンが多い。
- 身長が低く、ずんぐりむっくりな体型で弟達からは「デブ兄」と呼ばれている。自作の器具で鍛えた筋肉を使ったパワーショットを持ち味としている。また、ホームが河川敷コースであることからラフやトラブルショットも得意。
- 大食漢であり、常人の数倍の食事を平らげる上に試合中にも食事をしないと倒れてしまうほどである。
- 根が優しいため不調な対戦相手にはつい軽いアドバイスをしてしまい、それで対戦相手が調子を取り戻して自分の首を絞めてしまうこともある。
- 竜谷(りゅうこく)
- 太陽のゴルフの師匠。元トーナメントプロ。目が悪く、常にサングラスをしている。太陽の才能を見込み、肉体面・精神面ともに常に厳しいトレーニングを課している。
- 現在は貿易関係の仕事をしており、海外にいることも多い。
- 白石 えつこ(しらいし えつこ)
- 太陽のクラスメイト。周りから「エッコ」と呼ばれる。父がゴルフをしており、親子で太陽を応援している。太陽の家族を模した自作のヘッドカバーを太陽にプレゼントした。
東関東中学生ゴルフ選手権大会(羽生ゴルフリンクス)編
- 大野(おおの)
- 声 - 大竹宏
- ルリ子(声 - 小宮和枝)と組んで太陽、竜谷と賭けゴルフをして敗れた。のちに太陽をサポートするようになる。
- 内山 央(うちやま ひろし)
- 声 - 頓宮恭子
- 北荒川第五中学校ゴルフ部員。当初はまともにボールを打てなかったが、「チャー・シュー・メン!」のリズムを習得し、東関東中学生ゴルフ選手権大会に出場した。羽生ゴルフリンクスの18番ホールでは、太陽のメモ通りのショットをしてホールインワンを決めた。
- 後にゴルフ部のキャプテンとなり、東洋マッチプレーには観客として参加する。
- 久米 一郎(くめ いちろう)
- 声 - 平松広和
- 山王台学院中等部のゴルフ部キャプテン。東関東中学生ゴルフ選手権大会で太陽とラウンドした。パワーはないが、丁寧なショットが持ち味。
- 工藤 呉一(くどう ごいち)
- 声 - 大塚芳忠
- 茂原海南中学校のゴルフ部キャプテン。東関東中学生ゴルフ選手権大会で太陽とラウンドした。太陽ほどではないがパワーショットを得意とする。反面、トラブルショットは苦手。
- 大田黒 彰(おおたぐろ あきら)
- 剣ヶ崎学園のゴルフ部キャプテン。東関東中学生ゴルフ選手権大会で太陽とラウンドした。前年度のベストグロスであり、優勝候補だったが僅差で太陽に敗れる。
- のちにアメリカに留学し全米アマトーナメントに優勝するなどの経験を積んで、太陽と対戦するためにアメリカでのプロのオファーを全て断ってまで東洋マッチプレーに参加した。
- 2回戦で太陽と対戦、キャディのクインシーとのコンビで人生5度目のホールインワンを取るなど圧倒的な強さを見せて3UP差まで付け、太陽に屈辱を与えるためにミスショットをした太陽と同じ場所にわざと打ち込む挑発をした。だが、これが太陽の怒りを買って最終ホールで追いつかれてしまう。
- 最後は「アメリカで相手を圧倒し続けたために、1打で勝敗が決まる状況での極限のプレッシャーを経験したことがない」というプレッシャーに対する弱さが露呈、パターショットをミスして敗れた。
アシスタント研修会試験(東宇都宮カントリークラブ)編
- 岩森(いわもり)
- 関東ゴルフ練習場連盟の役員。
- ゴルフ場かゴルフ練習場に1年間勤務しなければ得られない研修会試験の資格を推薦によって6ヶ月に短縮する権限を持つ。
- 太陽のプレーを見て、テンポが遅すぎることを指摘したが、太陽の素質と将来性を見込んで6ヶ月の特例推薦を認めた。
- 60歳以上だがシングルハンディを維持し、飛距離はないもののボールのコントロールは一級品。
- 牛島 豪造(うしじま ごうぞう)
- 声 - 飯塚昭三
- アシスタント研修会試験で太陽とラウンドした。「新人殺し」「テスト生殺し」の異名を持つ。竜谷の依頼で太陽に厳しく当たり、高圧的な言動や自分の影をわざとスイングを構える太陽の目の届く範囲に置く妨害などを行った。
- しかし、後半ホールで精神的な圧力を受けなくなった太陽の影響で調子を崩してしまう。最後は意地になってショットの瞬間に大きな物音を立てる・太陽のボールを踏み潰すといった悪質な妨害をするが、それすらも乗り越えられたことで太陽の素質と根性を認めた。
- 東太平洋オープンでは最終日に観客として参加。
- 佐伯 俊(さえき しゅん)
- 声 - 若本紀昭
- アシスタント研修会試験で太陽とラウンドした。また、太陽と同じ関東ブロックでアシスタントプロトーナメントに出場した。
- 香取 章(かとり あきら)
- 声 - 平野義和
- アシスタント研修会試験で太陽と共にテスト生としてラウンドした。練習では良い球を打てるのだが、本番に弱い。
- 牛島の圧力で研修生試験を4回不合格にしていたが、牛島が自分より太陽に目を向けていたことで今までよりリラックスしてプレーでき、試験に合格した。
アシスタントプロトーナメント(鬼ヶ崎カントリークラブ)編
- 日吉 一(ひよし はじめ)
- 声 - 野島昭生
- プロゴルファーを最も多く輩出している東伊豆出身のゴルファー。地元ということもあり、アシスタントプロトーナメントでは優勝候補の一角と目されていた。
- 母子家庭の大家族で貧乏なため、鬼ヶ崎カントリークラブでバス運転手やウェイターのバイトをしながらプロを目指している。
- 自宅付近には自作のコースを作成しており、森や砂浜を使った独自のトレーニングを課している。
- アシスタントプロトーナメントで太陽とラウンドし、優勝してプロテスト出場権を獲得した。プロテストでは太陽と共にトップ合格を果たし、東太平洋オープンは決勝ラウンドまで駒を進めた。
- 坂本 周一(さかもと しゅういち)
- 声 - 戸谷公次
- 関西弁を話すゴルファーでアシスタントプロトーナメントに関西ブロックから出場し、太陽とラウンドした。ティーショットをパターで打つことがある。太陽と共に2位タイでプロテスト出場権を獲得し、プロテストにも合格した。
プロテスト(千成ゴルフクラブ)編
- 古葉 実(こば みのる)
- 声 - 田中秀幸
- 全日本大学ゴルフ選手権で優勝した経歴を持つ。測量の技術を持ち、一緒に練習ラウンドをした太陽に影響を与えた。プロテスト1日目と2日目で太陽とラウンドし、精密なショットでトップ合格を果たした。東太平洋オープンは決勝ラウンドまで駒を進め、3日目には太陽とラウンドした。茶を好んで飲む。
- 火鳥 元(ひどり げん)
- 声 - 玄田哲章
- プロテスト1日目と2日目に太陽とラウンドした。研修会を何度も除名されかけるほどの問題児。一方でプロテストに4回も挑んでおり、ゴルフそのものとは真摯に向き合っている。また、後半に強いと自負しており、フェアウェイが荒れた状態からのショットを得意とする。アシスタントプロトーナメントでプロテスト出場を逃したことから、その原因となった太陽を敵視し、プロテスト1日目にはボールにいたずらをしたが、のちに和解し軽口を叩ける仲となって2日目からは真面目にプレーするようになった。プロテスト最終日には緊張する太陽を和ませるために股間を後ろから握るいたずらをする。プロ断念も視野に入れた5回目の挑戦でプロテストに合格した。
- 東太平洋オープンでは最終日に観客として参加。
- 潮 章次(うしお しょうじ)
- 声 - 稲葉実
- プロテスト1日目と2日目に太陽とラウンドし、合格した。火鳥からは「気が小さくプロには向かない」と酷評されている。
- 東太平洋オープンでは最終日に観客として参加。
- 磯村 研次(いそむら けんじ)
- 声 - 竜田直樹
- 野球名門校の元高校球児という異色の経歴を持つ。スラッガーとして活躍していたためパワーは一級品。
- プロテスト最終日で太陽とラウンドした。「プロテストの目標は1位になることではなく12位以内に入ること」を信条として1位を目指す日吉と太陽に流されず、マイペースでプレーする冷静さを持つ。
- 一方で2人の戦いの熱気に充てられて最後の9ホールでトップ争いに参戦するなど熱い一面も持っており、最後はトップ合格をしている。
- しかし、東太平洋オープンではスコアが僅かに1打足りず予選落ちし、最終日は観客として参加。
東太平洋オープン(武甲山ゴルフコース)編
- 謝 健張(しゃ けんちょう)
- 声- 池田勝
- 台湾出身の東太平洋オープンのディフェンディングチャンピオン。様々な大会で優勝経験もある選手でフェードボールと低弾道のショットを得意とする。
- 練習日、東太平洋オープン初日と2日目に太陽とラウンドした。太陽と同年齢の息子がおり、親近感から練習ラウンドでは太陽に様々なアドバイスを送る。先見の目もあり、練習ラウンドに同行した取材班に太陽が将来大物になることを予言している。
- マスコミやファンの要望に快く応じる、冗談を言ってギャラリーを笑わせるなどファンサービス旺盛な人物。
- のちに東洋マッチプレーにも出場し、ベスト8まで進出した。
- 安川 忠男(やすかわ ただお)
- 声 - 屋良有作
- 常に賞金ランク20位前後に顔を出す中堅クラスのプロゴルファー。無愛想で気難しい性格。
- 東太平洋オープン初日と2日目に太陽とラウンドした。のちに東洋マッチプレーにも出場した。
- リー・トラビノ
- 声 - 兼本新吾
- アメリカ出身のメキシコ人。世界を股にかける賞金稼ぎでパワー・技術ともに超一流。
- 東太平洋オープンの3日目と最終日に太陽とラウンドし、3位の成績を残した。以前に大怪我をした経験から、その原因である雷を恐れる。
- 3日目にラウンドした太陽と古葉をそれぞれスター・ウォーズのR2-D2とC-3POに例える・バレンチノとのプレーオフの際に直前のホールでドライバーを折った太陽に自分のドライバーを貸与するなど陽気で面倒見のいい性格。
- 一方で、ピンとの距離がほぼ同じの球をバレンチノより先に打って、ナイスショットを決めて焦らせる・横風に合わせて回転を掛けたショットをさり気なく打ち、太陽に風を読み違いさせてミスショットを狙うなど抜け目のない一面もある。
- 東太平洋オープン3日目終了時に太陽を「ストロングハート」と称して才能を認め、アメリカの自分の元に武者修行に来ないか勧誘した。
- のちに太陽が出場した全英オープンにも出場した。
- セベ・バレンチノ
- 声 - 堀秀行
- スペインの星と言われているプロゴルファー。技術はトラビノより僅かに劣るが、パワーはトラビノ以上で2日目に太陽に一時的に抜かれた時期を除き、東太平洋オープンでは1位を維持し続けていた。
- 東太平洋オープンの最終日に太陽とラウンドし、プレーオフで太陽に破れ、準優勝。のちに太陽が出場した全英オープンでは3位タイの成績を収めた。
東洋マッチプレー(巌竜岬ゴルフクラブ)編
- 岡村(おかむら)
- タクシードライバーだが、以前は東洋マッチプレーの会場である巌竜岬ゴルフクラブで長年キャディをしていた。東洋マッチプレーで太陽のキャディを務め、太陽を優勝に導いた。
- 巌竜岬ゴルフクラブのコース設計者と面識があり、コースの特性を誰よりも熟知している。
- 杉原 輝光(すぎはら てるみつ)
- 最年長のベテランプレイヤー。「マムシ」の異名を持ち、マッチプレーでは1UP差を維持し続け、相手を精神的に追い詰めることを好む。ウッドでのショットの正確さはプロでも随一と言われている。また、グリーン上のパターパットでも強く転がるオーバースピンと転がりを抑えるバックスピンを巧みに使い分ける技術を持つ。
- 加齢での体力の衰えをカバーするためにドライバーの柄を伸ばし、ヘッドも軽いものに変えて飛距離が出るように改良している。
- 東洋マッチプレーの1回戦で太陽と対戦し、一度は1UP差で最終ホールを迎えるも追いつかれ、延長戦で2度打ちのミスショットを行い、ペースが崩れて敗れた。
- クインシー
- 大田黒の専属キャディのアメリカ人。「大田黒に勝てる日本のプロゴルファーはいない」と断言するほど大田黒の才能を高く評価しており、機械のように精密な指示でサポートする。
- 世界熱気球競技大会で何度も優勝した経験もあり、遥か上空の風を読む力に長けている。
- 青木 功一(あおき こういち)
- 「世界の青木」「マッチプレーの鬼」として知られる日本のトッププレイヤー。「マッチプレーとは優れた技をもってする騙し合い」が座右の銘。
- 東洋マッチプレーの3回戦で太陽と対戦。プロゴルフ界の一時代を築いた自負から東太平洋オープンでの大活躍で「これからのプロゴルフ界を背負って立つ新人類」と謳われている太陽を「プロになったばかりの新米」と一蹴し、巧みなテクニックで眩惑して圧倒的な強さで6UPの大差を付けるが、太陽の猛攻にペースを狂わされ、延長戦で敗れた。プレー終了後は太陽の実力を認め、勝利を祝福した。
- のちに太陽が出場した全英オープンにも出場した。
- 疋田 宴次郎(ひきた えんじろう)
- 東洋マッチプレーのディフェンディングチャンピオン。プロゴルファー相応の実力は持つが、取り巻き達を使った悪質な妨害工作でマッチプレーの大会を5回優勝している。一方でストロークの大会では目立った実績は持っていないため太陽も名前を知らなかった。怒りっぽく、その苛立ちを物にぶつけることが多い。
- 東洋マッチプレー決勝で太陽と対戦した。取り巻き達による卑劣な手段で太陽を不利に追い込んだが、最後は不正を太陽に暴かれて周囲が知ることになり、準優勝に終わった。
全英オープン予選(トム・モリスゴルフクラブ)編
- シンプソン
- 全英オープン最終予選の会場であるトム・モリスゴルフクラブの支配人。竜谷とは旧知の仲。
- 竜谷が軍属で将校を務めていた太平洋戦争の時に捕虜だったことがあり、その縁で日本語を話せる。
- トム・ファーガソン
- 全英オープン最終予選、本戦で太陽のキャディを務めた。祖父のダイを含め全英オープンの優勝者に7回付いたキャディ一族の末裔。シンプソンから日本語を学んでいる。
- その経歴からプライドは相当高いが、ドライバーの飛距離から逆算して次に使うアイアンの種類を先読みする・太陽の経歴を聞く前から実力を見抜くなどキャディとして確かな眼力を持っている。
- 全英オープンでは的確なサポートとアドバイスで太陽を優勝へと導いた。
- ロウニイ・スコット
- イギリス出身。地方予選を5回連続で突破しているが本戦出場を果たせずにいる。全英オープン最終予選の初日に太陽とラウンドした。予選を突破して本戦に出場した。
- ハリー・C・コリンズ
- 全英オープン最終予選の初日に太陽とラウンドした。アメリカPGAツアー公式ランキング27位の実力を持つ。トム曰く、「いずれはアメリカのゴルフ界を背負う男」とのこと。
- マック・トーマス
- 全英オープン最終予選の2日目に太陽とラウンドしたが、14ホール目でグリーン前後のバンカーを往復するミスをしてリタイアした。
- ニーノ・サンチョス
- 全英オープン最終予選の2日目に太陽とラウンドしたが、マック同様14ホール目でグリーン奥のバンカーで大叩きしてしまう。太陽のマーカーの役目があったことから14ホール目では降りず、18ホール目の1打目まで打ったところで予選通過の可能性が残っていた太陽の邪魔をしないようにリタイアした。また、17ホール目では2打目をわざとミスしてグリーンの太陽のボールとほぼ同じ位置につけ、先に打ってグリーンの曲がり具合を太陽とトムに見せるサポートを密かに行なった。
全英オープン(セント・アンドリュース)編
- レス
- 「妖怪」と呼ばれるセント・アンドリュースのキャディでトムの憧れの人。
- 60年以上のキャリアを持ち、今や自分以外誰も知らないセント・アンドリュースの攻略法を全て覚えている。全英オープンで太陽のキャディになることを断った。また、太陽の予選落ちを予告した。最終日には太陽とトムの活躍でキャディとしての血が騒ぎ、急遽ニクラスのキャディを務めた。
- コレット
- 全英オープンに出場した太陽とトムの下宿先の住人の中年女性。2人のことを応援しており、太陽には日本食を振舞った。恐妻家で夫をこき使っている。
- M(ミック)・ファルド
- 全英オープン初日に太陽とラウンドした。プレーが遅いことで有名で、一緒にラウンドしたスタドラーと衝突することもあった。
- G(グレイグ)・スタドラー
- 全英オープン初日に太陽とラウンドした。短気な性格で、ファルドの遅いプレーに対して怒鳴り散らした。青木とは顔なじみなのだが、何度教えても「エイオキ」と呼ぶ。
- T・カイト、C・ピート
- 全英オープン2日目に太陽とラウンドした。共にアメリカ出身。太陽とトムのゴルフに終始気圧され気味で、3日目以降で同じ組にならなくて済むことに安堵している。
- F・カプルス
- 全英オープン3日目に太陽とラウンドした。ミドルホールをワンオンさせる飛ばし屋で攻撃的なゴルフをし、全米一のバーディ数を誇る。一時トップに立ったが、短気な性格が仇となってスコアを崩し、優勝争いから脱落した。
- ジャンボ
- カプルスの専属キャディのアメリカ人。沖縄の米軍基地に5年在籍した経験から日本語を話せる。気が弱いため、熱くなりやすいカプルスの暴走を止められないことが多い。
- G・ノーマン
- 太陽が出場した全英オープンにおいて3日目までほぼ1位を維持し続けていた選手。最終日も最終組で回っていたのだが、太陽とニクラスのスコア争いについていけず、3位タイとなった。
- J(ジョン)・ニクラス
- 「帝王」と呼ばれる。全英オープン3日目の夜にレスを最終日のキャディに迎えた。
- 太陽がゴルフを始めるきっかけとなった人物であり、憧れの人。
- 全英オープン最終日に太陽とラウンドした。プレーオフ・サドンデスと太陽と死闘を繰り広げ、最後は太陽に敗れ準優勝となった。
- 今大会でゴルファーを引退する予定だったが、太陽とのサドンデスを経て心変わりし引退を撤回、太陽を新たなライバルと認めた。
フジテレビほかで放送。NAS(日本アドシステムズ)とフジテレビの共同製作。全47話。製作局のフジテレビでは、1984年10月6日から1985年9月27日まで放送された[9]。全47話[9]。
フジテレビでは、1985年3月30日までは土曜 18:00 - 18:30枠 (日本標準時)に、同年4月12日からは金曜 19:00 - 19:30枠 (日本標準時)にて放送。どちらもローカルセールス枠であることから、FNS(フジテレビ)系列の地方局では別の時間帯での遅れネット(本放送終了後の放送を含む)になることがあった。また、当時この時間帯を使って『クイズDEデート』の遅れネットと自社製作番組『アグネスの音楽に乾杯!』の放送を行っていた東海テレビのように、FNS系列局であってもこの番組を放送しない局もあった。
原作では主人公の太陽が当初からゴルフクラブを手に入れるべくアルバイトに精を出し、師匠の竜谷とともにプロゴルファーを目指すのに対し、アニメ版ではゴルフとの出会いの場面から描かれるなど[9]、講談社コミックス第26巻までの内容をアレンジしたものになっていた。本編の終了直後には、ゴルフ解説者の戸張捷がゴルフのマナーや歴史などを解説する「ワンポイント・レッスン」のコーナーがあった[9]。その後の次回予告は、毎回、太陽の「〜ナイス・ショット!!」という言葉で締めくくられていた。
スタッフ
- 企画 - 土屋登喜蔵(フジテレビ)
- チーフディレクター - 光延博愛
- 総作画監督 - 金沢比呂司
- プロデューサー - 原田一男、茂垣弘道(以上、土田プロダクション)、片岡義朗(NAS)、清水賢治(フジテレビ)
- 文芸担当 - 榎本歩光
- 制作事務 - 小瀬敬子
- 美術設定 - 阿部行夫
- 色指定 - 飯塚智久
- 特殊効果 - 柴田睦子
- 撮影監督 - 高橋明彦
- 撮影助手 - 熊谷正弘、小松寿一、木次美則(東京アニメーション・フィルム)
- 編集 - 岡安肇、小島俊彦、村井秀明、中葉由美子
- 音楽 - 梅垣達志
- 音響監督 - 藤野貞義
- 音響効果 - 依田安文
- 録音調整 - 村田弘之
- 録音スタジオ - ニュージャパンスタジオ
- 現像 - 東京現像所
- タイトルデザイン - 神谷妙子
- 演出助手 - 藤川茂
- 制作進行 - 友枝竜一、田上久美子、村竹保則、藤川茂、五藤巳智也、他
- アニメーション制作 - 土田プロダクション
- 制作 - NAS、フジテレビ
主題歌
ビクター音楽産業から、これらを収めたEPレコードが発売された。
- オープニング・テーマ - 「明日はシャイニング・スカイ」
- 作詞 - 竜真知子 / 作曲 - 東郷昌和 / 編曲 - 梅垣達志 / 歌 - 野口きよみ
- 土曜時代に使われていた曲と金曜時代に使われていた曲の2バージョンがあり、金曜版は土曜版よりもイントロが短く、逆にコーダ部がリフレインしていた。オープニングの映像も土曜版と金曜版とで異なっており、土曜版では金曜版よりも太陽の出番が多く、またトミ子・武二・攻三・糸子・えつこは土曜版にしか登場しない。
- エンディング・テーマ - 「夕焼けに歩きたい」
- 作詞 - 竜真知子 / 作曲 - 東郷昌和 / 編曲 - 梅垣達志 / 歌 - 高橋伸明
各話リスト
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話 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
1 | 1984年 10月6日 | ゴルフとの出会い | 城山昇 | 佐々木皓一 | 高林久弥 | 金沢比呂司 |
2 | 10月13日 | めざせプロゴルファー | やすみ哲夫 | 三沢伸 | 奈須川充 |
3 | 10月20日 | 初めてのゴルフレッスン | 吉田健次郎 | 金沢比呂司 |
4 | 10月27日 | 賞品はゴルフセット | 八木良一 | 竹内大三 | 高林久弥 |
5 | 11月3日 | ゴルフ部の期待 | 城山昇 | 高垣幸蔵 | 三沢伸 |
6 | 11月10日 | 初出場!ゴルフ競技 | 八木良一 | 鈴木幸雄 | 富沢和雄 |
7 | 11月17日 | 消えたゴルフボール | 照井啓司 | 竹内大三 | 高林久弥 | 奈須川充 |
8 | 11月24日 | ライバルは腹の虫 | 吉田健次郎 | 一川孝久 |
9 | 12月1日 | 計算されたゴルフ | 城山昇 | 高垣幸蔵 | 三沢伸 | 金沢比呂司 |
10 | 12月8日 | 牙をむいたライバル | 八木良一 | 鈴木幸雄 | 押大三 |
11 | 12月15日 | 三段グリーンの対決 | 城山昇 | 森脇真琴 | 高林久弥 | 金沢比呂司 |
12 | 12月22日 | 思わぬアクシデント | 海老沼三郎 | 三沢伸 | 奈須川充 |
13 | 12月29日 | 谷底からの叫び | 照井啓司 | 高林久弥 | 金沢比呂司 |
14 | 1985年 1月5日 | 勝負のバーディパット | 城山昇 | 中村憲由 | 三沢伸 | 一川孝久 |
15 | 1月12日 | プレッシャーとの戦い | 海老沼三郎 | 正延宏三 | 石踊宏 | 妻洋二 |
16 | 1月19日 | ライオンの頭を越えろ | 照井啓司 | 光延博愛 | 三沢伸 | 宇田八郎 |
17 | 1月26日 | 雨の中の決戦 | 城山昇 | 森脇真琴 | 高林久弥 | 金沢比呂司 |
18 | 2月2日 | 嵐の最終ホール | 海老沼三郎 | 三沢伸 | 一川孝久 |
19 | 2月9日 | チャンスだ燃えろ太陽 | 城山昇 | 高林久弥 | 奈須川充 |
20 | 2月16日 | 本番!研修会テスト | 照井啓司 | 光延博愛 | 三沢伸 | 宇田八郎 |
21 | 2月23日 | 新人殺しの憎いワナ | 城山昇 | 森脇真琴 | 高林久弥 | 金沢比呂司 |
22 | 3月2日 | グリーン上の落とし穴 | 海老沼三郎 | 三沢伸 | 一川孝久 |
23 | 3月9日 | 怒りの必殺ドライバー | 城山昇 | 高林久弥 | 金沢比呂司 |
24 | 3月16日 | 忍びよる恐怖の影 | 森脇真琴 | 三沢伸 | 奈須川充 |
25 | 3月23日 | 集中力で影を断て! | 藤川茂 | 高林久弥 | 一川孝久 |
26 | 3月30日 | 最終ホールの試練 | 石踊宏 | 笠原彰 |
27 | 4月12日 | 初挑戦!…プロへの道 | 鈴木敏明 | 中村憲由 | 金沢比呂司 |
28 | 4月19日 | 秘伝舌出しショット | 棚沢隆 | 三沢伸 | 一川孝久 |
29 | 4月26日 | 快進撃!?の第一打 | 高林久弥 | 鈴木信一 |
30 | 5月3日 | 最終ホールの賭け | 森脇真琴 | 中村憲由 | 一川孝久 |
31 | 5月10日 | 待望のプロテスト | 三沢伸 | 金沢比呂司 |
32 | 5月17日 | ねじ曲げられたボール | 依田聡 | 井上修 | 加藤興治 |
33 | 5月24日 | 涙のバンカーショット | 生頼昭憲 | 高林久弥 | 一川孝久 |
34 | 5月31日 | 意外な真実 | 鈴木敏明 | 中村憲由 | 金沢比呂司 |
35 | 6月7日 | 荒れ模様の神経戦 | 生頼昭憲 | 三沢伸 | 鈴木信一 |
36 | 6月14日 | なるか!決勝進出 | 森脇真琴 | 高林久弥 | 一川孝久 |
37 | 6月28日 | 強豪相手の決勝戦 | 鈴木敏明 | 井上修 | 加藤興治 |
38 | 7月12日 | 開始!攻撃ゴルフ | 生頼昭憲 | 中村憲由 | 金沢比呂司 |
39 | 7月19日 | グリーン上の勝負師 | 森脇真琴 | 三沢伸 | 一川孝久 |
40 | 8月2日 | プロテスト最終日 | 高林久弥 | 鈴木信一 |
41 | 8月9日 | 激突!!バーディー合戦 | 生頼昭憲 | 中村憲由 | 金沢比呂司 |
42 | 8月16日 | 飛べ逆転必殺ショット | 鈴木敏明 | 三沢伸 | 一川孝久 |
43 | 8月23日 | プレッシャーの18番!! | 福富博 | 高林久弥 | 金沢比呂司 |
44 | 9月6日 | 念願のプロ初出場 | 森脇真琴 | 中村憲由 | 一川孝久 |
45 | 9月13日 | 傷だらけのトップの座 | 生頼昭憲 | 藤川茂 | 金沢比呂司 |
46 | 9月20日 | 奇跡をよんだ追撃戦 | 三沢伸 | 一川孝久 |
47 | 9月27日 | めざせ!プロ初優勝 | 高林久弥 | 金沢比呂司 |
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放送局
放送日時はテレビ静岡と個別に出典が掲示されているものを除き、1985年9月中旬 - 10月上旬時点のものとする[10]。
1991年にカプコンからアーケードゲーム『あした天気になあれ』がリリースされた[19]。
2003年にスペースアウトと講談社によるコミゲーi講談社から携帯電話ゲーム『あした天気になあれ マッチゴルフ』がリリースされた[20][21]。
「巻頭ロングインタビュー ちばてつや 努力する大切さ、成長する喜び ジョーの読者は親子三代」『編集会議』 2004年1月号、宣伝会議、7-9頁。
1日目は池跳ねで偶然成功。2日目は風邪で届かず。3日目は石橋の内側に激突。4日目は橋の根元に落下。
アニメージュ編集部『TVアニメ25年史』徳間書店、1988年、150頁。
『福島民報』1985年12月8日 - 1986年12月21日付朝刊、テレビ欄。
『北國新聞』1985年4月7日付 - 1986年3月2日付各朝刊テレビ欄より。
『北國新聞』1985年9月25日付朝刊テレビ欄より。
『山陽新聞』1986年11月11日(火曜日)、テレビ欄
「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1986年9月号、学研、83頁。
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フジテレビ 土曜18:00枠 |
前番組 |
番組名 |
次番組 |
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あした天気になあれ (1984年10月6日 - 1985年3月30日)
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フジテレビ 金曜19:00枠 |
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あした天気になあれ (1985年4月12日 - 1985年9月27日)
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