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ソビエトの自動小銃 AK74 ウィキペディアから
AK(アーカー / エーケー)は、ミハイル・カラシニコフが設計し1949年にソビエト連邦軍が制式採用した自動小銃である。
AK II型 | |
AK | |
---|---|
種類 | 軍用小銃 |
製造国 | ソビエト連邦(開発国) |
設計・製造 |
設計 ミハイル・カラシニコフ 製造 イジェフスク機械製作工場 |
年代 | 1949年 |
仕様 | |
種別 | アサルトライフル |
口径 | 7.62 mm |
銃身長 | 415 mm[1] |
ライフリング | 4条右回り[2] |
使用弾薬 |
7.62x39mm弾[2] 7.62x41mm弾(プロトタイプ)[3] |
装弾数 | 30発 |
作動方式 |
ロングストロークピストン式 ロータリーボルト式 セミ/フルオート切替射撃 |
全長 |
AK 870 mm[1][2] AKS 870 mm(銃床展開) 645 mm(銃床折畳み)[1] |
重量 |
3.9 kg(弾倉無し、III型) 4.2 kg(リブ付き空弾倉込、III型) 4.3 kg(スラブ・サイド空弾倉込、III型)[1] |
発射速度 | 600発/分[1][2] |
銃口初速 | 710 m/s[1] |
有効射程 |
300 m(短連射)[4] 400 m(単射)[4] |
歴史 | |
設計年 | 1946年 - 1948年 |
製造期間 |
1949年 - 1959年(ソビエト連邦) - 現在(他国) |
配備期間 |
1949年 - 1974年(ソビエト連邦) - 現在(他国) |
配備先 | ソ連軍および旧東側陣営の影響を受けた多数の諸国 |
関連戦争・紛争 |
ハンガリー動乱(初使用)[5][6] ベトナム戦争以降の多くの戦争/紛争 |
バリエーション | "バリエーション""派生型"を参照 |
製造数 |
7,500万 - 1億丁[7] (派生型やコピーなども含む推定値) |
本記事では、AKの生産効率と重量の問題を解決したAKM、その他7.62x39mm弾を用いるシリーズ製品、および各国で生産された派生モデルについても記述する。
本銃のソビエト連邦軍における制式名称は「7,62-мм автомат Калашникова」(ロシア語ラテン翻字: 7.62mm avtomat Kalashnikova、「7.62mmカラシニコフ自動小銃」の意)、または、 「7,62-мм автомат Калашникова с деревянным прикладом[8]」(ロシア語ラテン翻字: 7.62mm avtomat Kalashnikova s derevyannym prikladom、「7.62mmカラシニコフ自動小銃木製銃床付き」の意)(GAU:56-A-212)であり、制式略称は単に「АК」(ロシア語ラテン翻字: AK)である[9][10][11][12][13]。AK-47という名称は、制式化前のAK限定先行量産型に対してのみ用いられたものであった[注 1]。
一般に使用される名称の「AK-47」は、後年にいくつものAK改良型が登場したため、それらと区別するために後世の収集家や研究者によって便宜上AKに付けられた通称である[17][12]。後年、AKの普及に伴い、AKあるいはAK-47という名称は本来のAKに限らず、その改良型や派生型、ライセンス生産品、コピー製品などの銃に対しても総称的に使用されるようになった[12][18]。
元々赤軍戦車兵だったミハイル・カラシニコフは、負傷入院中に銃器設計への関心を強め、1942年から小火器設計に関わるようになる。戦車兵下士官だったカラシニコフは設計の専門教育を受けていなかったため、AK設計の際も正しい設計図面を描けなかった。彼に代わって図面を描いたのは、後に妻となる女性技師エカチェリーナ・ヴィクトロヴナ・モイセーエワ(Ekaterina Viktorovna Moiseyeva)であった[19][20]。
ソビエト連邦は1940年代初め頃から、アメリカからのレンドリースで受け取ったM1・M2カービンや、ドイツ軍から鹵獲したMKb42(H)とそれらの弾薬を研究しており、1943年には中間弾薬とそれを使用する銃の研究が開始された[13]。同年末、新型の中間弾薬である7.62x41mm弾が、「7.62mm 1943年式弾」(ロシア語: 7,62-мм патрон образца 1943 года)(GAU:57-N-231)として開発、採用された。その後も弾薬の改良は続けられ、薬莢の長さを2.5 mm程短くし、鉛の節約のため弾芯にスチールを使用するなどの改良が施され、1947年頃には現在でも知られる7.62x39mm普通弾、「7.62mm PS」(ロシア語: 7,62-мм ПС)(GAU:57-N-231S)が完成した[21]。なお、弾薬の設計変更後も「7.62mm 1943年式弾」という制式名称は変更されることなく引き続き使用された。
一方、1943年末頃から、カラシニコフを含む複数の設計者は、この新弾薬の開発と並行して各種小火器の設計に着手した。この時、ソ連当局では並行して、ナチス・ドイツが独ソ戦において投入したStG44と同種の「アサルトライフル」開発を計画していた。最有力候補は、短機関銃の設計者として著名なアレクセイ・スダエフが手がけたAS-44自動小銃だったが、1946年にスダエフの死去により頓挫した。1945年には、トカレフ、デグチャレフ、コロビンといった有名な設計者による自動小銃が設計され、テストが行われていた[13]。
終戦後の1946年、カラシニコフが手がけたカラシニコフ自動小銃(ロシア語: автомат Калашникова)(通称:AK-46[注 2])[3]もテストに参加したが、参加したどの銃も要求を完全に満たすことは出来なかった。カラシニコフはさらに1年を費やし改良を進め、1947年のテストでは、カラシニコフ、バルキン、デメンティエフの3名による自動小銃が最終審査に残り、最終的にカラシニコフ自動小銃[3]のみが合格した[13]。
1948年1月21日には、最優秀設計案のカラシニコフ自動小銃を、使用弾薬を7.62x39mm弾に変更して、AK-47(通称:AK-48[注 2])[3]として限定先行量産することが決定された[14]。量産準備中の1948年1月から2月に掛けてや、同年夏の軍での運用試験後などに、フルオート射撃時の命中精度を高める目的で複数の改良型カラシニコフ自動小銃が実験的に製作された[3]。フロントサイト後部の銃身左右に3つずつ穴を開けたコンペンセイターを備えたもの、箱型で左右に開口部のある2室式の大型コンペンセイターを銃口部に備えたもの、フロントサイトベース一体型のコンペンセイターを備えたもの、銃身先端のネジ部を省略したものなどが製作された[3]が、いずれもAK-47およびその後のAKには反映されなかった。
1948年夏に最初のAK-47量産型が部隊に送られ、軍での運用試験にも合格した。翌年の1949年6月18日付ソビエト連邦閣僚会議布告により、ついにソビエト連邦軍の主力小銃として、AKおよびAKSの名称で制式採用された[22][13]。
閉鎖・撃発機構には米国のM1カービンなどからの影響[注 3]を受けつつも、その基本構造は独自のものである。
AK系ライフルはロングストロークガスピストン方式を用い、銃身上にガスピストンを位置させた設計を継承し、長いバナナ型弾倉と、ピストルグリップを持つ共通した設計で構成されている。
AKは、7.62x39mm弾を使用し、実包はバナナ型といわれることもある30発入りの箱型弾倉、または75発入りのドラム型弾倉に収められている。弾薬を込めて発射すると、弾丸を銃口へ向かって押す高圧ガスを銃身の上に平行するガスチューブへ引き込んで、重いピストン・ボルトキャリアーを後方に押し下げ、再び前進する際に次の弾を薬室へ押し出し、自動的に再装填するようになっている。この射撃と送弾を連続的に行うことにより連射が可能となり、AKは一分間に600発以上の速度で射撃ができる。
ボルトを開放/後退させるボルトキャリアは、ガスピストンと一体化したデザインであり、ボルトと一緒に前後動する総重量の大きさは、前進端と後退端で止まった際に強い衝撃をもたらすため、命中精度には不利となる。他方でその慣性力とあいまって、泥汚れなどにも耐える確実な作動性を実現している。さらに、銃身と薬室の内部、ガスピストン、ガスシリンダー内部には耐腐食性・耐摩耗性に優れたクロムでメッキされ、腐食[注 4]や摩耗を抑えている。
ボルトは、ボルトキャリア内側のカム溝によって、その前後動とともに約35度回転させられ、ボルト先端の突起が銃身基部の切り欠きと嵌合/解除する事で、薬室の閉鎖/解除を行う。ボルトキャリアを前進させるリコイルスプリングは後方に位置し、分解時に飛び出して紛失する事を防ぐため、ワイヤーを折り曲げたストッパーを内蔵させて一定の長さ以上に伸びないよう工夫されている。リコイルスプリングユニットはレシーバーカバーの留め具を兼ねている[23]。レシーバーカバーは銃の機能には関わらない部品であるため、取り外された状態でも射撃は可能である。
撃発機構は大きく余裕を持ったレシーバー(機関部)内の空間に位置し、泥が侵入しても動作に支障が起き難いよう設計されている。ハンマー(撃鉄)などを動作させるスプリングは、極寒の北極圏から灼熱の砂漠地帯まで、変化に富んだソ連全域で使用できるよう、MG42を参考に3本のピアノ線を捻ったものが使用されている。
レシーバー右側面にはダストカバーを兼ねた大型のセーフティレバー兼セレクターがあり[24]、カバーを閉じた状態は安全位置となり[25]、引き鉄がロックされて発射できなくなるほか、ボルトも不完全な位置までしか後退できなくなる。セーフティの解除には右手をグリップから離し、指を使って押し下げる操作が必要であり[26]、解除の次は全自動位置となり、さらに押し下げると半自動位置となる[23]。グリップから手を離さずにすべての操作が可能な欧米諸国のアサルトライフルに比べ、人為的な暴発の危険性が下がる反面でセーフティ解除から発射まで時間がかかり、操作の際に大きな金属音が出る弱点がある。AKから派生したイスラエル製のガリルは、AKと同様の大型セレクターに加えて同じ軸に連結した小型レバーをレシーバー左側面にも設けている。
弾倉の装着はM16や多くのサブマシンガン、ハンドガンにみられるような挿入口にまっすぐ差し込む形式ではなく、弾倉の前方上部(銃口側)にある溝ないし突起を銃本体下面の開口部の前方に引っ掛け、そこを支点に弾倉を手前に向かって回転させるように引き込むと、弾倉後方上部にある突起が銃本体側の固定レバー(トリガーガードの前方にあり、リリーススイッチを兼ねている)を押しのけて溝にはまり固定される。この際、カチンという金属音がする。差し込み式に比べると弾倉の装着にコツがいるが、差し込み不十分による発射不良のトラブルが少ない。また挿入口にゴミが溜まるトラブルも少ない。弾倉を取り外す際には、固定レバーを押しながら弾倉を銃口に向かって回転させるように押し出す。
銃身と銃身基部の接合は、後のAKM以降のモデルとは異なり、AKではネジ込み固定とされている。
銃身途中にはガスポートが穿たれ、ガスチューブを取り外すと肉眼で目視できるため、作戦行動中にガスポートが詰まってしまっても、兵士が自力で対処することが可能である。
上記の各作動部品は、互いにぴったり密着するのではなく、隙間があるように設計されている。こうした設計は射撃時の微振動につながるため命中精度には不利となる一方で、塵芥などの異物が侵入しても作動不良に至る可能性が低く、清掃も容易であるため、信頼性が高い。
リアサイト(照門)は、ボルトアクション式小銃と同様のタンジェントサイトと呼ばれる種類である[23]。横方向への修正は専用工具でフロントサイト(照星)を調節して行う。M16などの上下左右に微調整できるピープサイトに比べて照準時の精度は低く、使用時の微調整が困難だが、視界が広く、素早く照準を合わせられる利点がある。射程は800 mまで対応している[23]。
銃床内に、メンテナンス器具が収納可、バットプレート中央に蓋が付いている。
1955年、AK専用銃剣として、SVT-40に使われていた56-Kh-223S銃剣の改良型[27]である56-Kh-212(ロシア語: 56-Х-212)[28][29]が採用された。銃本体には銃剣取り付け用のラグが無いため、銃剣の鍔にあるリングをマズルナットに嵌合させた後、銃剣の後端にある開口部のあるリングをバレルに直接嵌合させて固定する。
カラシニコフは設計にあたって、開発当時、専門教育・高等教育を受けていない新兵達にも取り扱いが容易な様に、彼らの気持ちになって様々な工夫をしたと述べている[17]。
AKは当初、機密扱いの武器であったため、兵士は覆いを被せて持ち運んでいた。
AKは実戦の苛酷な使用環境や戦時下の劣悪な生産施設での生産可能性を考慮し、部品の公差が大きく取られ、卓越した信頼性と耐久性、高い貫通力、高い生産性を実現した。
こうした特性から、本銃とその派生型はソビエト連邦のみならず、全世界に普及した。基本設計から半世紀以上を経た今日においても、本銃とその派生型は、砂漠やジャングル、極地などあらゆる世界の地帯における軍隊や武装勢力にとって最も信頼される基本装備になり、『世界で最も多く使われた軍用銃』としてギネス世界記録に登録されている[30]。現在までに少なくとも80の軍隊と何百ものゲリラ、反政府グループ、民兵組織、テロリスト、犯罪組織によって使用されていることから[31]、テロリズムを象徴する銃とも言われている[32]。
AK系ライフルは基本設計が優れていたため、改良されながら50年以上、世界の紛争地域で使われ続けている。7.62x39mm弾の対人威力が非常に大きいことから、7.62mm AK系列(AK、AKM)は特に接近戦の多い市街戦などで現役で多用されている。また、東側各国でライセンス生産や模造品の生産が行われ、種類は多岐に渡る。報道などでは、いずれも区別せずAK-47やAKと総称されることも多い。
西側ではAKを生産時期とレシーバーの特徴から、I型からIII型までの3種に分類している。なお、これらの分類名は後世の収集家や研究者によって便宜上付けられたもので、当時のソビエト連邦の軍および政府では特に区別を行っていない[注 5][35]。また、レシーバー以外の部品も随時改良されたり、修理により既存部品が改修・交換されることがあったため、以下に示す各型の特徴はあくまでも代表的なものであり、別の型の特徴が混在している場合もある。
銃本体の重量は各型によって異なり、I型が4,085 g、II型が4,125 g、III型が3,900 gとなっている[54][2]。また、1949年 - 1953年の間に、50万丁 - 100万丁ほどが量産されたとされる[55]。
生産ラインの拡大に伴い、II型以降のレシーバーの生産性の悪さが問題となった。レシーバーの切削加工は、約2.7 kgのスチールブロックが120工程におよぶ機械加工を経て、最終的におよそ630 gのレシーバーが完成する[41]という、非常に手間がかかるものだった[56]。そのため、更なる改良が行われ、AKMに発展する。
AKSは、AKの銃床を金属製折り畳み式に変更し、携帯性を高めた型。
ソビエト連邦軍における制式名称は「7,62-мм автомат Калашникова с металлическим прикладом[13]」(ロシア語ラテン翻字: 7.62mm avtomat Kalashnikova s metallicheskim prikladom、「7.62mmカラシニコフ自動小銃金属製銃床付き」の意)(GAU:56-A-212M)であり、略称は「АКС」(ロシア語ラテン翻字: AKS)である[10][11][12][13]。
AKS-47という名称が用いられることがあるが、これは後年にいくつものAK改良型が登場したため、それらと区別するために後世の収集家や研究者によって便宜上AKSに付けられた通称である[12]。
この銃床は、レシーバー後端の支点を中心に下方へ回転させて折り畳む方式で、ナチス・ドイツのMP38/40のものと似ているが、バットプレート形状が弾倉に当たらないよう考慮されている(多くの折り畳み式自動小銃のバットプレートは楕円形をしているが、AKSでは弾倉に当たらないようにU字型をしている)。銃床を折り畳んでも射撃可能だが、その状態では銃側面のセレクターレバーを操作しづらいなどの欠点があった。
AKSは、空挺部隊やスキー部隊などの特殊部隊に支給、車両部隊やヘリコプターの装備火器としても利用された。さらに、国境警備のKGB部隊にも支給された。
AKN(GAU:56-A-212N)は、AKに暗視装置を装着するためのレールと、NAP1暗視装置(GAU:51-IK-614)またはNSP−2暗視装置(GRAU:1PN9)を取り付けたAKの夜間戦闘仕様[57]。なお、"N"の略号は、AKに上記の暗視装置が装着されている場合にのみ追加されるもので、暗視装置が装着されておらずレールのみの場合には、"N"の略号は追加されず通常のAKと同じ呼称となる[58]。
AKM | |
---|---|
種類 | 軍用小銃 |
製造国 | ソビエト連邦(開発国) |
設計・製造 |
設計 ミハイル・カラシニコフ 製造 イジェフスク機械製作工場、トゥーラ武器工場 |
年代 | 1959年 |
仕様 | |
種別 | アサルトライフル |
口径 | 7.62 mm |
銃身長 | 415 mm[50] |
ライフリング | 4条右回り、ピッチ240 mm[50][2] |
使用弾薬 | 7.62x39mm弾[2] |
装弾数 | 30発 |
作動方式 |
ロングストロークピストン式 ロータリーボルト式 セミ/フルオート切替射撃 |
全長 |
AKM 880 mm[50] AKMS 880 mm(銃床展開) 640 mm(銃床折畳み)[50] |
重量 |
AKM 3.3 kg(スチール製空弾倉込) 3.1 kg(軽合金製空弾倉込)[50] AKMS 3.5 kg(スチール製空弾倉込) 3.3 kg(軽合金製空弾倉込)[50] |
発射速度 | 600発/分[50][2] |
銃口初速 | 715 m/s[50] |
有効射程 | 400 m[59] |
歴史 | |
設計年 | 1955年 - 1958年[60] |
製造期間 |
1959年 - 1977年(ソビエト連邦) - 現在(他国) |
配備期間 | 1959年 - 現在 |
配備先 | ソ連軍および旧東側陣営の影響を受けた多数の諸国 |
関連戦争・紛争 | ベトナム戦争以降の多くの戦争/紛争 |
バリエーション | "AKMの派生型"を参照 |
製造数 | 10,278,300丁[18](ソ連のみ) |
AKMは、生産効率と重量に問題を抱えたAKの生産を代替する目的で開発された。1959年4月8日、ソビエト連邦閣僚会議の布告により制式採用され、製造開始されたモデルである[61][13]。
ソビエト連邦軍における制式名称は「7,62-мм модернизированный автомат Калашникова АКМ」(ロシア語ラテン翻字: 7.62mm modernizirovannyj avtomat Kalashnikova AKM、「7.62mm近代化カラシニコフ自動小銃 AKM」の意)(GRAU:6P1)である。
AK I型ではプレス加工のレシーバーが採用されていたが、技術不足によりII型以降はプレス加工が取り止められていた。1954年には十分に技術が成熟したとして、プレス加工のレシーバーを用いる新型アサルトライフルの開発が始まった。この際にも複数の設計局から様々な設計案が提出されたが、最終的にソ連軍が選んだのはカラシニコフの設計案だった[62]。1957年に試作型がソ連軍に提出され、トライアルの結果、1959年に制式化され[63][64]、AKMの制式名称が与えられた。それまでAKを独占的に製造していたイジェフスク機械製作工場に加え、トゥーラ武器工場でも製造が開始された[65]。
基本構造はAKと同様だが、主に以下の点が変更されている。
プレス加工のレシーバーの採用は、生産効率の向上、生産コストとライフル重量の軽減につながり、冷戦のために需要が増大していたAK系列のアサルトライフルの増産を容易とした。このAKMが、最も多数生産され、その後に世界中に広まったAKシリーズの中核となった[65]。
現在、ロシア連邦軍ではAK74など小口径の5.45x39mm弾を使用する小銃が一線級部隊の主流であるが、地方配置されている二線級部隊ではRPK軽機関銃と共に使用されている。むしろ、一部の部隊では大口径の威力を求め、あえてAKMを使用する例もある[66]。
AKMN(GRAU:6P1N)は、AKMに暗視装置を装着するためのレールと、NSP−2暗視装置(GRAU:1PN9)を取り付けた夜間戦闘仕様[91]。なお、"N"や"L"の略号は、AKMなどに上記の暗視装置が装着されている場合にのみ追加されるもので、暗視装置が装着されておらずレールのみの場合には、"N"や"L"の略号は追加されず通常のAKMなどと同じ呼称となる。この命名規則は、7.62mmのAK、AKM、RPKすべての夜間戦闘仕様に共通する[58][注 10]。
AKML(GRAU:6P1L)は、AKMにレールとNSP−3暗視装置(GRAU:1PN27)またはNSP−3A暗視装置を取り付けた夜間戦闘仕様[93][94][注 11]。なお、NSP−3を使用する際には、マズルフラッシュによる幻惑や暗視装置の焼き付き現象の防止のため、専用のフラッシュサプレッサーやPBS-1サプレッサーとの併用が推奨されている。
AKMN-1(GRAU:6P1N-1)は、AKMにレールとNSPU暗視装置(GRAU:1PN34)を取り付けた夜間戦闘仕様[95][96]。後に、AKMにNSPU-3暗視装置(GRAU:1PN51)を取り付けた夜間戦闘仕様にも同様の呼称が与えられた[97]。
6P1Vあるいは6P1/Vは、AKMの戦時生産仕様。1968年にソ連国防省命令により「7.62mm AKM自動小銃をベースにした戦時自動小銃の開発、労働時間10標準時間」という題目で、2年間の計画で開発作業が承認された。AKMの銃本体(6P1)・銃剣(6Kh4)・付属品(6Yu4)の各部品の簡略化、鍛造部品の一部鋳造化、弾倉数の減少(30発×4個から40発×3個へ)などといった製造工程の省力化により、AKMを可能な限り短時間で大量生産するために設計を変更したモデルである。計画は1968年から1970年に掛けてと、1970年から1971年に掛けての少なくとも2回は行なわれたが、いずれも試作のみで開発は終了した。1970年12月にはこれらの戦時生産モデルに対して国家発明発見委員会より特許が付与されており、それぞれ6P1/V・6Kh4/V・6Yu4/Vのインデックスで示されている[100]。
AKMS(GRAU:6P4)は、AKMの銃床を折り畳み式にしたものである。1962年9月7日付「ソビエト連邦国防大臣命令第232号」により制式採用された[101]。
ソビエト連邦軍における制式名称は「7,62-мм модернизированный автомат Калашникова со складывающимся прикладом АКМС[101]」(ロシア語ラテン翻字: 7.62mm modernizirovannyj avtomat Kalashnikova so skladyvayushchimsya prikladom AKMS、「7.62mm近代化カラシニコフ自動小銃折り畳み式銃床付き AKMS」の意)である。
AKMSの銃床の折り畳み方はAKSと同じであるが、AKMと同様にフルオート射撃時の制御を容易にするため、銃床展開時には銃床の角度が銃身軸線に対してほぼ平行になっている。AKS同様、空挺部隊や戦車兵などが用いる。
東ドイツでは、折り畳み時にもセレクターの操作を邪魔しないように形状を工夫した右側面折り畳み式銃床を設計し、AKMSに相当するモデルであるMPi-KMS-72で初めて実装させた。後にルーマニアとポーランドが同一形状銃床装備の派生型を生産したほか、エジプトやハンガリーでも多少形状の違う右側面折り畳み式銃床装備の派生形を生産している。
AKMSL(GRAU:6P4L)は、AKMSにレールとNSP−3暗視装置(GRAU:1PN27)またはNSP−3A暗視装置を取り付けた夜間戦闘仕様[91][94][注 11]。なお、NSP−3を使用する際には、マズルフラッシュによる幻惑や暗視装置の焼き付き現象の防止のため、専用のフラッシュサプレッサーやPBS-1サプレッサーとの併用が推奨されている。
AKMSN-1(GRAU:6P4N-1)は、AKMSにNSPU暗視装置(GRAU:1PN34)を装着したモデル[102][96]。後に、AKMSにNSPU-3暗視装置(GRAU:1PN51)を装着したモデルにも同様の呼称が与えられた[97]。
AKMSB(GRAU:6P14)は、AKMSにPBS-1サプレッサー(GRAU:6Ch12)と、亜音速弾の7.62mm US弾および普通弾の7.62mm PS弾の両方に対応したリアサイト[103]、銃身後部に消音グレネードランチャー取り付け用ラグを装着したモデル。この銃に、GSN-19(BS-1)(GRAU:6G16)消音グレネードランチャーと、GSN-19専用の可倒式リアサイトおよびロアハンドガード[注 12]を追加した仕様は、7.62/30mm SGK «ティシナー»(ロシア語: 7,62/30-мм стрелково-гранатометный комплекс «Тишина»、「7.62/30mm自動小銃・擲弾発射器システム«静寂»」の意)(GRAU:6P15)[104][105]あるいはSSK-1[注 13]と呼ばれ、スペツナズなどの特殊部隊で運用されていた[104]。
AKMの戦時生産仕様である6P1Vと共に研究されていたAKMSの戦時生産仕様であるが、試作のみで開発は終了した。なお、このモデルの制式名称は不明であり、6P4Vあるいは6P4/Vといったモデル名が与えられたかは不明である[100]。
RPK(GRAU:6P2)は、AKMの軽機関銃仕様。銃身を肉厚化・延長し、二脚を追加、銃床を長い射撃に耐えられる肉厚で大型のものへ変更し、ハンドガードもより保持しやすい形状に変更した。そのほか、レシーバーの鋼板厚の増加や各部品の強化など、フルオート射撃をメインとする軽機関銃向けに各部の強化が図られている。RPKは1959年にAKMと共に制式採用され、前制式のRPD軽機関銃を代替した。
AKだけでなく、AKMやRPK、AK74を基に開発されたものも含む。ただし、SVDやPKMのコピーは含めない。RPKについて詳しくは各国で生産されたRPKを参照のこと。
国名 | 名称 | 相当品、備考 |
---|---|---|
中国 | 56式自動歩槍 | AK III型コピー。スパイクバヨネット装着。 |
56-1式自動歩槍 | AKS。 | |
56-2式自動歩槍 | AKS。オリジナルの側面折り畳み式銃床。 | |
56-3式自動歩槍 | AKMコピー。小改良が施されている。 | |
56-C式自動歩槍 | 56-2式がベースのカービン。 | |
56-S式自動歩槍 | 民間向け輸出用。セミオートのみ。 | |
56-SS式自動歩槍 | AKMSの銃床を取り外し、さらに短銃身化したモデル。 | |
56S-1式自動歩槍 | 56-1式の民間向け輸出用。セミオートのみ。 | |
56S-7式班用機槍 | 56式がベースのRPK。 | |
74式軽機槍 | 56S-7式をベースに独自開発した軽機関銃。 | |
84式自動歩槍 | 56式を5.56mm NATO弾仕様にしたモデル。 | |
84-2式自動歩槍 | 側面折り畳み式銃床。5.56mm NATO弾を使用。 | |
84-S式自動歩槍 | 民間向け56-S式の派生形。5.56mm NATO弾を使用。 | |
84SS-1式自動歩槍 | 民間向けAKMS カービン。5.56mm NATO弾を使用。 | |
86S式自動歩槍 | 56式をブルパップ方式に変更したモデル。 | |
88-S式自動歩槍 | AK74コピー。セミオートのみ。 | |
北朝鮮 | 58式小銃 | AK III型。 |
68式小銃 | AKM。 | |
88式小銃 | AK74。金属製弾倉を使用。 | |
98式小銃 | 88式のプラスチック部品を金属製に換装したモデル。 | |
韓国 | 茶山 DAK-47 | AK III型。 |
フィリピン | S.A.M. センチネル | 84式。5.56mm NATO弾を使用。 |
ミャンマー | Emerk-3 | ガリル AR。固定銃床。 |
MA-1 | ガリル AR。 | |
ベトナム | AKN | AK。 |
STL-1A | AKM。 | |
STV-215・380 | ガリルエース31・32。 | |
STV-410・416 | AK-15・AK103。 | |
東ドイツ | MPi-K | AK III型。 |
MPi-K SSG | MPi-Kの狙撃銃モデル。スコープと専用サイドレール。 | |
MPi-KmS | AKS。 | |
MPi-KM | AKM。 | |
MPi-KMS-72 | AKMS。側面折り畳み式銃床。 | |
MPi-AK-74N | AK74。暗視装置用サイドレール。 | |
MPi-AKS-74N | AKS74。側面折り畳み式銃床。暗視装置用サイドレール。 | |
MPi-AKS-74NK | MPi-AKS74Nのカービンモデル。 | |
KK-MPi 69 | MPi-KMをベースにした訓練用モデル。.22LR弾仕様。 | |
STG AK-47 (K31.031, 910) | MPi-K。 | |
STG AKS-47 (K31.032, 910) | MPi-KmS。 | |
STG AKM (910M, 911) | MPi-KM。 | |
STG AKMS (912) | MPi-KMS-72。 | |
STG AKM-Z | MPi-KMの二脚装備モデル。 | |
STG AKMS-Z | MPi-KMS-72の二脚装備モデル。 | |
STG AKMS-K (913) | MPi-KMS-72のバレル短縮モデル。後期型はMPi-AKS74NKに似る。 | |
LMG K 500 (914) | MPi-KMの二脚装備バレル延長モデル。 | |
LMG K 500 S (914) | MPi-KMS-72の二脚装備・バレル延長モデル。 | |
PG 500 (G 500) (915) | MPi-KMのバレル延長モデル。 | |
PG 500 Spezial (915) | MPi-KMのバレル延長モデル。サムホールストック。10発弾倉。セミオートのみ。 | |
SG 500 (917) | PG 500 Spezialを改修して外観をより猟銃に近づけたモデル。 | |
シュペーガー (917) | 旧称:Jagdkarabiner 986。SG 500をグリップ一体型銃床にした猟銃モデル。5発弾倉。 | |
STG K 90 (921) | MPi-AK-74N。 | |
STG K 90 S (922) | MPi-AKS-74N。 | |
STG K 90 Z | MPi-AK-74Nの二脚装備モデル。固定・側面折畳式・RPK型の銃床がある。 | |
STG K 90 R (923) | MPi-AKS-74NK。 | |
LMG K 500 (924) | MPi-AK-74Nの二脚装備・バレル延長モデル。固定・側面折畳式・RPK型の銃床がある。 | |
PG 500 (925) | MPi-AK-74Nのバレル延長モデル。 | |
STG 985 | 5.56mm NATO弾仕様の試作モデル。各部にガリル SARのパーツを使用。 | |
STG 941 | MPi-AK-74Nをベースに開発したモデル。5.56mm NATO弾仕様。 | |
STG 942 | STG 941の側面折り畳み式銃床モデル。 | |
STG 943 | STG 942のカービンモデル。 | |
LMG 944 | STG 941の二脚装備・バレル延長モデル。 | |
PG 945 | STG 941のバレル延長モデル。セミオートのみ。 | |
STG 951 | STG 941の5.45x39mm弾仕様。 | |
STG 952 | STG 942の5.45x39mm弾仕様。 | |
STG 953 | STG 943の5.45x39mm弾仕様。 | |
LMG 954 | LMG 944の5.45x39mm弾仕様。 | |
PG 955 | PG 945の5.45x39mm弾仕様。計画のみ。 | |
STG 971 | STG 941の7.62x39mm弾仕様。計画のみ。 | |
STG 972 | STG 942の7.62x39mm弾仕様。計画のみ。 | |
STG 973 | STG 943の7.62x39mm弾仕様。計画のみ。 | |
LMG 974 | LMG 944の7.62x39mm弾仕様。計画のみ。 | |
PG 975 | PG 945の7.62x39mm弾仕様。計画のみ。 | |
アルバニア | ASh-78 tip1 | AK。正式には56式のコピー。 |
ASh-78 tip2 | RPK。 | |
ASh-78 tip3 | AKM。 | |
ASh-82 | AKS。 | |
ポーランド | Kbk AK(PMK) | AK。 |
Kbk AKS(PMKS) | AKS。 | |
Kbk AKM(PMKM) | AKM。 | |
Kbk AKMS(PMKMS) | AKMS。 | |
Kbkg wz. 1960(PMK-PGN-60) | AK。ライフルグレネード発射可能モデル。 | |
WG-GS-4 ライアット・コントロール | AKの機関部を利用したネット発射器。 | |
Kbk wz. 1988 タンタル | AKS74。 | |
Skbk wz. 1989 オニキス | AKS74U。 | |
Kbs wz. 1996 ベリル | AKS74の近代化モデル。5.56mm NATO弾仕様。 | |
Kbk wz. 1996 ミニベリル | wz. 1996の短縮型。5.56mm NATO弾仕様。 | |
Kbk wz. 1997 ボゾ | wz. 1996のブルパップ仕様。5.56mm NATO弾仕様。 | |
Kbk wz. 2002 ビン | wz. 1997のブルパップ仕様。5.56mm NATO弾仕様。 | |
Kbs wz. 2004 ベリル | wz. 1996の近代化モデル。5.56mm NATO弾仕様。 | |
Kbk wz.2005 ジャンター | wz.2002のブルパップ仕様。5.56mm NATO弾仕様。 | |
ツァスタバ M70 | AK・AKM。 | |
ツァスタバ M70A | AKS・AKMS。 | |
ツァスタバ M72 | RPK。 | |
ツァスタバ M76 | M70狙撃銃。7.92x57mm弾仕様。 | |
ツァスタバ M77 | M70。7.62mm NATO弾仕様。 | |
ツァスタバ M80 | M70。5.56mm NATO弾仕様。 | |
ツァスタバ M90A | M70A。5.56mm NATO弾仕様。 | |
ツァスタバ M85 | AKS74U。5.56mm NATO弾仕様。 | |
ツァスタバ M92 | AKS74U。7.62x39mm弾仕様。 | |
ツァスタバ M21 | M70の近代化カービン。側面折り畳み式銃床。5.56mm NATO弾仕様。 | |
ツァスタバ マスターFLG | AKベースのサブマシンガン。9x19mmパラベラム弾仕様。 | |
ツァスタバ マスターFLG-K | マスターFLGを小型化したもの。 | |
ルーマニア | PM md.63(AIM) | AKM。フォアグリップ付属。 |
PM md.65(AIMS) | AKMS。フォアグリップ付属。下面折り畳み式銃床。 | |
PA md.86(AI-74) | AK74。フォアグリップ付属。 | |
PA md.86(AIMS-74) | AKS74。フォアグリップ付属。側面折り畳み式銃床。 | |
PM md.90(AIMS) | AKMS。フォアグリップ付属。側面折り畳み式銃床。 | |
PM md.90 カービン(AIMR) | PM md.90のカービンモデル。側面折り畳み式銃床。 | |
PM md.97 | AKS74。5.56mm NATO弾仕様。側面折り畳み式銃床。 | |
WASR | AK100。木製部品を使用している。 | |
FPK(PSL) | 狙撃銃。7.62x54mmR弾仕様。 | |
ハンガリー | AK-55 | AK。 |
AKM-63 | AKM。フォアグリップ付属。 | |
AMD-65 | AKMS カービン。フォアグリップ付属。側面折り畳み式銃床。 | |
AMP-69 | AMD-65の簡易型。側面折り畳み式銃床。 | |
FEG-NGM | AKM。5.56mm NATO弾仕様。 | |
ブルガリア | AKK | AK III型。 |
AKKS | AKS。 | |
アーセナル AR | AK。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル AR-F | AKS。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル AR-1 | AK。フラッシュサプレッサー装備。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル AR-1F | AKS。フラッシュサプレッサー装備。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル AR-M1 | AK74。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル AR-M1F | AKS74。下面折り畳み式銃床。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル AR-M2F | AK102・AK104。下面折り畳み式銃床。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル AR-M4SF | AKS74U。5.56mm NATO弾と7.62x39mm弾仕様がある。側面折り畳み式銃床。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル AR-SF | AKS74U。5.56mm NATO弾と7.62x39mm弾仕様がある。下面折り畳み式銃床。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル AR-M7F | AK101・AK103。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル M9 | AK74。5.56mm NATO弾仕様。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル M9F | AKS74・5.56mm NATO弾仕様、側面折り畳み式銃床。切削加工レシーバー。 | |
アーセナル SLR-100シリーズ | AK100シリーズに相当。 | |
ISDブルガリア BSR-47 | 民間向け。レシーバーはAKMに準じたプレス加工[106]。 | |
ウクライナ | Vepr | AK74のブルパップ仕様。5.45x39mm弾仕様。 |
Malyuk | Veprの改良版。5.45x39mm弾仕様。 | |
イスラエル | カラシニコフ試作小銃 | ガリルの試作品の1つ。5.56mm NATO弾仕様。外観はAK。 |
ガリル ARM | 5.56mm NATO弾仕様。側面折り畳み式銃床。ガリルは、フィンランドのバルメをベースにしたオリジナル。 | |
ガリル AR | ARMの簡易型。側面折り畳み式銃床。 | |
ガリル SAR | ARのカービン型。側面折り畳み式銃床。 | |
ガリル MAR | ARの短縮型。側面折り畳み式銃床。 | |
ガリル ARM 308 | ARM。7.62mm NATO弾仕様。側面折り畳み式銃床。 | |
ガリル AR 308 | AR。7.62mm NATO弾仕様。側面折り畳み式銃床。 | |
ガリル SAR 308 | SAR。7.62mm NATO弾仕様。側面折り畳み式銃床。 | |
ガリル・スナイパー(ガラッツ) | 狙撃銃。7.62mm NATO弾仕様。側面折り畳み式銃床。 | |
Sardius M26 | ガリルベースの狙撃銃。 | |
ガリル・エース21・22・23 | 5.56mm NATO弾仕様の改良型MAR・SAR・AR | |
ガリル・エース31・32 | 7.62x39mm弾仕様の改良型MAR・AR。 | |
ガリル・エース52・53 | 7.62mm NATO弾仕様の改良型SAR・AR。 | |
CAA AKアルファ | 独自改良を施したAK。複数口径に対応。 | |
トルコ | SAR-308 | AKM。 |
イラン | KL-7.62mm | AKM・AKMS。 |
イラク | タブク | M70B1(AKM)・M70AB1(AKMS)。型式番号による区別無し。 |
タブク狙撃銃 | M70狙撃銃。7.62x39mm弾仕様。 | |
エジプト | MPi-KMS-72 | 東ドイツ製エジプト向け輸出仕様。側面折り畳み式銃床。 |
MISR | AKMの近代化モデル。 | |
インド | INSAS | AKベース。5.56mm NATO弾仕様。 |
フィンランド | バルメ Rk 62 | 固定銃床。 |
バルメ Rk 76 | 側面折り畳み式銃床。 | |
バルメ M82 | ブルパップ仕様。5.56mm NATO弾仕様。 | |
バルメ M90 | 近代化モデル。 | |
バルメ Rk 95 TP | M90の改良型。 | |
南アフリカ共和国 | R4 | ガリル AR。ベクター社のライセンス生産。 |
R5 | ガリル SAR。ベクター社のライセンス生産。 | |
R6 | ガリル MAR。ベクター社のライセンス生産。 | |
ベクター CR21 | 強化樹脂外装。ブルパップ仕様。5.56mm NATO弾仕様。 | |
ツルベロ ラプター | R4ベース。ツルベロ社設計。 | |
イタリア | イエーガーAP80 | AK III型。.22LR弾仕様。 |
イエーガーAP84 | ガリル AR。外観の異なる.22LR弾仕様。 | |
ベルナルデリVB-STD | M16の弾倉を使用できるようにしたガリル AR。 | |
ベルナルデリVB-SR | M16の弾倉を使用できるようにしたガリル SAR。 | |
スウェーデン | FFV-890C | ガリル AR。ハンドガード変更。 |
オランダ | NM-1 | ガリル ARM。 |
D.NM-1・M2 | NM-1をベースに開発したオリジナル。 | |
ドイツ | GSG-AK47 | AKMの外見を模倣したプリンキングガン。.22LR弾仕様。 |
アメリカ合衆国 | インターオーディナンス AK47 | ポーランド製PMKの民間向けコピー。セミオートのみ。 |
BHI SOPMOD AK | 軍事インストラクター会社による自社ブランド銃。 | |
センチュリオン AK39 | 民間向け。セミオートのみ。 | |
KCI KTR-08 | 民間向け。セミオートのみ。 | |
K-VAR AKU94 | ブルパップ仕様。セミオートのみ。 | |
カラシニコフ KR103 | 民間向け。セミオートのみ。 |
AKMSUは、かつてAKMSを原型として短銃身化されたショートカービンであるとされていたモデル。しかしながら、ソ連およびロシアで公的に製造あるいは制式化されたものではなく、AKMSUという名称自体も後から付けられたもので正式なものではない。
銃身を270 mmにまで短縮化、それに合わせフォアエンドぎりぎりまでガスピストンとシリンダーを短縮化させたことに伴い、以下の改良が施されていた。
経緯は不明だが、1986年6月にイギリス国防省パターン・ルームに1丁が寄贈されたことが確認されている。パターン・ルームが閉鎖され、ロイヤル・アーマリーズの所蔵品となる2005年9月までは一般に公開されていた。1991年頃、床井雅美が著書『AK-47&カラシニコフ・バリエーション』の中で紹介したことをきっかけに、この銃の存在は世界各国に伝わっていった。しかし、ソビエト連邦がAKMSUとして知られる銃を開発・採用したとする記録が一切存在せず、またレシーバーが中国の56式自動歩槍のものであり、そのほかにも手製の部品やシリアルナンバーの異なる部品が組み合わされていること、イギリスの所蔵品以外に存在が確認されていないことなどから、現在ではパキスタンのカイバル峠で無名のガンスミスによって製造された一点物だと推測されている[107]。
存在が知られるようになった後、中国や日本ではAKMSUを模したエアソフトガンが制作された。アメリカでは実際に射撃可能なレプリカも制作された[107]。また、ユーゴスラビア・セルビア製のツァスタバ M92やブルガリア製のアーセナル AR-SFおよびアーセナル AR-M4SFのように、7.62x39mm弾を使用しつつもフォアエンドの形状以外はAKMSUに類似した派生型も生産されている[注 14]。
AK用の56-Kh-212銃剣、AKM用の6Kh3銃剣、AKM/AK74用の6Kh4銃剣がある。
AKM以降のAKシリーズの銃には、銃身の下に擲弾発射器(グレネードランチャー)を取り付ける事ができる。これは、アメリカがベトナム戦争中に開発したM16用のM203のコンセプトを参考に開発された。
名称 | GRAU(GAU) | スコープ重量 | 総重量 | 倍率 | 視野 | 使用電池 | 電池定格電圧 | 電池容量 | 最大動作時間 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
NAP1 | 51-IK-614 | 2.35 kg | 7.7 kg | 2.2倍 | 9度 | 4KNB-12 | 5.2 V | 12 Ah | 不明 |
NSP-2 | 1PN9 | 不明 | 4.9 kg | 2.1倍 | 8度 | 3STs-25 | 4.5 V | 25 Ah | 3.5 - 4時間 |
NSP-3 | 1PN27 | 2.7 kg | - | 2.7倍 | 7度 | 3STsS-1.5 | 4.5 V | 1.5 Ah | 7時間 |
NSPU | 1PN34 | 2.2 kg | - | 3.5倍 | 水平5度 垂直4度 |
2NKBN-1.5 | 2.5 V | 1.5 Ah | 不明 |
3RTs83Kh | 4.05 V | 1.5 Ah | 不明 | ||||||
NSPUM | 1PN58 | 2.0 kg | - | 3.5倍 | 水平5度 垂直4度 |
5×D-0.55S | 6.0 V | 0.55 Ah | 不明 |
5RTs83Kh | 6.75 V | 1.5 Ah | 不明 | ||||||
NSPU-3 | 1PN51 | 2.1 kg | - | 3.46倍 | 9度35分 | 5×D-0.55S | 6.0 V | 0.55 Ah | 10時間 |
5RTs83Kh | 6.75 V | 1.5 Ah | 20 - 25時間 |
アメリカ合衆国の軍隊では、敵地の武器に関する訓練や特殊作戦を中心にAKが使用される(イギリスやフランスなどの西欧でも、これに準ずる)。
AK系ライフルは信頼性が高く、扱いが多少乱暴でも確実に動作する。これは、ミハイル・カラシニコフが設計の段階で変化に富んだソ連の気候を想定し、部品同士のクリアランスを大きめに取り、多少の泥や砂、高温または寒冷地における金属の変形、生産時の技術不足による部品精度低下が起きても、問題なく動作するよう考慮したためである。故に極寒地や砂漠地帯の兵士からも信頼が寄せられている。特に機関部は、内側に泥や砂などが入っても、軽く水洗いすれば射撃できるほどであった[146]。以下に特徴を挙げる。
使用する弾薬は7.62x39mm弾で、弾頭重量は西側の7.62x51mm NATO弾と遜色ない弾頭重量と初速があるため破壊力がある。命中精度は、パーツの精度問題から集弾率はそれほど高くないが、命中した際のストッピングパワーは充分である。また破壊力があるため、M16の5.56mm以上に壁面や鉄板なども貫通する。
内部の部品は極力ユニット化されており、野外で分解する際に部品を紛失したり、簡単に故障したりしないように工夫してある。このような銃の頑丈さや簡素化は同時に兵士の負担も減らす。銃を扱うのが初めての人間でも数時間から数日間の講習を受ければ、100メートル先の標的に命中させられるようになるという。
ただし、部品同士のクリアランスが大きいということは「組み合わせがタイトでない」ということの裏返しでもあり、同じく世界三大突撃銃に挙げられるG3やM16系列と比較すると、弾丸の拡散率(MOA値)は高い(つまり射撃精度が悪い)と言わざるを得ない。
マズルジャンプとは、弾丸が銃口から飛び出した瞬間に銃口が跳ね上がる現象で、射撃時の反動から生じる。この現象は通常の銃であれば程度の差はあれ必ず生じるが、AKは曲銃床であったため、反動を直に受け止めにくく、マズルジャンプが起こりやすかった。同様の例はアメリカ軍に採用されたM14でも起き[147]、M14は後のM14A1で、AK系ライフルではAKMでいずれも直銃床に変更され、より反動を受け止めやすく、制御しやすい構造[注 17]に改良されている。
第二次世界大戦後、弾丸が7.62mm AK系列(AK、AKM)と共通すること以外は独自設計のVz 58を採用したチェコスロバキアを除くワルシャワ条約機構加盟国や中国、北朝鮮、キューバなどで採用されて、東側諸国を代表する火器となった[注 18]。
武力によって独立を勝ち取った国家や、政権を奪取した革命政府にとって、AKは戦乱を戦い抜いた頼もしい戦友であり、民族自決や自主独立の象徴でもある。このため、モザンビークやジンバブエ、東ティモールの国章にAKの図柄が組み込まれているほどである。特にモザンビークでは、国旗にもAKのデザインが取り入れられている。国家以外でもレバノンのヒズボラ、コロンビアの左翼ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)などが組織の旗にAKの図柄を取り入れている。
また、アメリカ社会主義ライフル協会や国際自由大隊のような、欧米の反資本主義団体のエンブレムにも、AKが用いられる。
ベトナム戦争では、ソビエト連邦や中国、北朝鮮などの東側諸国から、北ベトナム軍(NVA)や南ベトナム解放民族戦線(NLF, ベトコン)に向けて、大量のAKが送り込まれた。戦場は熱帯雨林や沼地など過酷な環境でも、AKは確実に動作した。
アメリカ海軍の特殊部隊「Navy SEALs」でも、使い物にならなくなったM16自動小銃を棄て、鹵獲品を使用する例があった。
エア・アメリカでも入手経路は不明であるが、自衛用にAKを使用する例があった。
中東では、中国やアメリカのCIAが1980年代にイラン・イラク戦争やアフガニスタンのムジャーヒディーンに対して中国製AKを大量に供与し[148]、この地域に出回る結果となった。
現在でも、イラク戦争における北部クルド人勢力にはロシア製装備が供与されているほか、治安部隊の装備の大部分は安価な中国製小火器であり、イランなどがイラク各地のシーア派武装勢力に供給している兵器の多くも中国製である。
アフリカ諸国においては、1960年代の独立闘争の際、ソ連や中国の兵器供与を得たが、特にソマリアではバーレ政権崩壊で軍隊から大量の武器が武装勢力など民間に流れ、またリベリアやシエラレオネなど西アフリカでは冷戦終結後の1990年代、リビアの政略によりユーゴスラビアやルーマニアといった東欧諸国などから流入した兵器が親リビア勢力に供与された。これらのAKがあふれた状況は、内戦の終結を難しくしている一因となっている。
現在、アフガニスタンやイラクで活動している特殊部隊や民間軍事会社(PMSCs)の社員には、M16系ではなく7.62mm口径のAKを使う者も多い。これは、信頼性のみならず、7.62mm口径の高威力や、弾薬と部品補給が容易だからでもある。特にPMSCsは軍に比べ部品供給が遅いため、故障・破損しても即座に修理・代替できるAKの人気は高い。
金属材料の質や熱処理、加工精度・表面処理が多少悪くても実戦で使用できる品質のものが製造できてしまうため、発展途上国においては海賊版が多数出回っており、アムネスティ・インターナショナルなどの団体による「コントロール・アームズ・キャンペーン」は、生産設備が拡散しているため、世界中で不正な武器商人や武装民兵、犯罪者がAK-47を容易に、大量破壊兵器として紛争や貧困を助長していると指摘している。コントロール・アームズが、2006年に発表した報告書『The AK-47: the world's favourite killing machine(AK-47:世界最強の殺人マシーン)』によれば、世界中で 500万 - 700万丁ほどのAK系ライフルが流通している[149][150]。同報告書は、これらのAKが多数の武装勢力による紛争、テロリストに使用され、発展途上国で多大な被害をもたらしていると記載している。
ソビエト連邦は冷戦期、東側友好国に対して大量のAKを供与した。また、一部の国々に対してはライセンス生産も認めた。このため、7.62mm口径のAKは莫大な数が生産されており、世界で最も大量に生産された小銃となった。特に中華人民共和国では、ソ連から購入した生産ライセンスの期限が切れた後も製造を続け、第三国の軍隊に供与、或いは売却し、中国製のAK生産量はソ連製のAKを上回ることとなった[151]。2004年に85歳の誕生日を前に、開発者ミハイル・カラシニコフは「中華人民共和国がライセンス切れにもかかわらず、AK製造を続けている。それが紛争地に出回り、AKの評価を落としているのは悲しいことだ」と、朝日新聞社の取材に述べている[152]。
カラシニコフは、この様な使用は本意ではなく、「コントロール・アームズ」キャンペーンに寄せた声明の中で、「武器の売買に関する国際的な規制が欠如しているため、小型武器は容易に世界に拡散し、国防のためだけでなく、侵略者やテロリストなど、あらゆる犯罪者に使用されている。私は、テレビで犯罪者がカラシニコフを手にしているのを見る時、どうやって彼らはこの武器を手にしたのだろうかと、自らに問い続けている」と述べている[150]。カラシニコフはAKをあくまでも国防のために設計したのであり、犯罪や紛争に使われている現状を、しばしば憂いていた[153]。
テロリストや傭兵(非戦闘員)が使用しているのは、ほとんどがAKの非正規・コピー品である。中華人民共和国の中国北方工業公司は、ライセンス切れのため、改造箇所を根拠に自社製品としてAK系を製造し続け、中には民間向けのスポーツ射撃用のものまである。
2006年の時点で、AKの製造ライセンスを持つのは、カラシニコフが籍を置く後述のイズマッシュ製のみだが、過去にAKのライセンス生産を行っていた国々の大半は製造を継続しており、輸出もしている。さらに、AKは構造が単純で、部品の誤差を許容する設計から密造品も多く、これら不正規品を含めたAKの総数は、1億丁を軽く超えるのではないかと推測されているが、正確な生産規模は把握されていない。
日本においても、オウム真理教が発展型であるAK74を基に銃密造を企てた(自動小銃密造事件)ことが発覚したが、外観こそ模倣したものの、銃身内径を正確に切削できず、発射に危険が伴う水準のもので、警察の追及もあって量産には至らなかった。
イズマッシュのウラジミル・グロデツキーは、2006年の製品発表会で「ロシア製のAKは世界全体に流通しているうちの12%程度」と発言している。
パキスタンの連邦直轄部族地域に在るダッラ村では、旋盤などの簡単な工作機械しか持たない「村の鍛冶屋」のような工房で製造されているが、正規品と異なる材質の鋼材を用い熱処理・表面処理も不充分なため、耐久性に難があり、連射で銃身が加熱すると、部材が溶けはじめる水準の製品である。元傭兵の高部正樹は、ルーマニア製AKM(AIM)は弾倉着脱に難があり、また何弾倉分か連射すると、銃身が曲がってくると酷評されていたことを語っている。
信頼性の高さから、アメリカ合衆国でも根強い需要があり、広く流通している。
アメリカの民生市場での流通は、1980年代にエジプト製ARMが輸入されたのが最初とされ、その後は中国製、ユーゴスラビア製のAKが輸入された。やがてストックトン銃乱射事件の影響で中国製AK輸入は規制されたが、冷戦終結に伴い東欧製AKが大量に輸入され、以後はロシア製を含む、世界各国で製造されたAKが流通することとなった[154]。
1995年には、アメリカ合衆国連邦政府がAKをアサルト・ウエポン規制法(殺傷能力の高い銃規制の時限立法)の対象とし、アメリカ国内において販売が禁止されたものの、2004年に時限法が失効したため、再び販売が再開された(詳細は、アメリカ合衆国の銃規制を参照のこと)。
2010年、フロリダ州の自動車販売店では、トラック1台につきAK-47の引換券を付けて販売したところ、大きく売り上げを伸ばし話題となった[155]。
2014年のウクライナ騒乱、ロシアのクリミア侵攻に端を発する対ロシア経済制裁では、カラシニコフ関連製品の輸入規制も含まれることとなったため、各地の銃砲店で駆け込み需要が生じて、AKの在庫が払底する騒ぎとなった[156]。
2016年、米企業カラシニコフUSAがアメリカ国内でAK-47の製造を始めると報道された[157]。そのほかにもいくつのメーカーがそれを追従し、アメリカ製AK-47を製造し始めた[158]。
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