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対戦型格闘ゲーム(たいせんがたかくとうゲーム)とは、プレイヤーとコンピュータ、あるいはプレイヤー同士が操作するキャラクターが、主に1対1の格闘技(もしくはそれに類する形式)で戦う対戦型コンピュータゲームである。コンピュータゲームのジャンルの一つであり、対戦アクションゲームの派生物のジャンルである。
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コンピュータゲームのジャンルにおいてはアクションゲームの一種として分類できる。単に格闘ゲーム、対戦ゲーム、格ゲーと略されることや、格闘アクションゲーム、格闘アクション、対戦格闘ゲーム、対戦格闘という別称で呼ばれることもある。大別して、上下左右の動きだけで奥行きのないもの(2D)と、奥行きのあるもの(3D)の2種類がある。格闘技だけでなく、気の弾丸などの飛び道具や剣が登場する作品もある。
プレイヤーは多数のキャラクターの中から自分の使用するキャラクターを選び、互いに攻撃しあい相手の体力 [注釈 1]をなくした方が勝利となるシステムが一般的である。
1984年の『カラテカ』や『スパルタンX』、テクノスジャパンの『対戦空手道』、任天堂の『アーバンチャンピオン』、セガ(後のセガ・インタラクティブ)の『アッポー』、1985年のバンダイの『キン肉マン マッスルタッグマッチ』、コナミ(後のコナミデジタルエンタテインメント並びにコナミアミューズメント)の『イー・アル・カンフー』、1987年のカプコンの『ストリートファイター』など、格闘技や武道を題材としたゲームが1980年代半ばから後半にかけて増え始めた。
1991年のカプコンの『ストリートファイターII』により、複雑な駆け引きのできる対戦を前提としたゲームシステムが完成。この作品の世界中での爆発的なヒットにより、1990年代前半から半ばにかけて、対戦格闘ゲームは一つの大きなブームを巻き起こした。また、それまで一般的に「不良の溜まり場」と見做されていたゲームセンターに低年齢層を引き込む要因となった。数々の亜流ゲームが作られた以外に、格闘ゲームを原作とする実写映画やアニメが多数作られ、1993年に始まった「K-1」などの現実の格闘技人気や、『聖龍伝説』といったテレビドラマや、『機動武闘伝Gガンダム』等のテレビアニメにも大きく寄与した。また、アーケードゲームとして人気だった格闘ゲームは家庭用ゲーム機に移植され、キラーソフトとして家庭用ゲーム機の普及に大きく貢献した。
対戦格闘ゲームは当初は爆発的ブームとなったが、各シリーズの新作とともにシステムが複雑化し、ポリゴン技術による3D化を除いて大きな革新がなかったことも手伝い、徐々にマニア向けなジャンルとなっていった。近年[いつ?]ではカードシステムによる戦績データの閲覧や、アイテムによるプレイヤーキャラクターのカスタマイズなどの蓄積要素を取り入れている。
ゲームとして2人のキャラが対戦して相手を打ち負かすという形式は1984年に稼動を開始したアーケードゲームの『対戦空手道』などから始まったものである。1991年に日本においてカプコンの『ストリートファイターII』(略称『ストII』)がアーケードゲームとして登場してから、ジャンプやしゃがみなどの基本行動、攻撃やガード、コマンド入力方式の必殺技などを駆使する形式が確立され、同ジャンル成長のきっかけを生んだ。これらはCPUとの対戦に加え、プレイヤー同士の対戦による駆け引きが人気を呼ぶ鍵となり、全国的な対戦ブームを生み出し、各地で大会なども開かれ、ブームは日本国外にも広がりを見せた。
この『ストII』人気に乗じ、中堅以上のメーカーは大抵一作品以上は格闘ゲームを市場に投入するほどの過剰供給とも言える状況を生み出した。それにしたがって各メーカーは競うようにグラフィックを向上させ、新システムや追加要素を盛り込み、どんどん高度化、複雑化した格闘ゲームを生み出すようになり、1990年代前半にはピークを迎えた。しかし、やがて各メーカーは同じゲームの改良版を次々に出さざるを得ない状況に陥り、市場は飽和し、それに並行してユーザーのマンネリ化を生み出していった。また、ブームに陰りが見え始めた1990年代後半になると、『コロコロコミック』や『コミックボンボン』とのタイアップも打ち切られ、それに伴いブームを支えていた子供層からの人気も、『ポケットモンスター』や『デジモン』等といった育成ゲームや、『遊戯王』等のトレーディングカードゲームに全て奪われてしまい、ブームは過渡期を迎え、収束していった。1999年には、NINTENDO64向けに『ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ』が発売。コア向けが著しくなった2D格闘ゲームのアンチテーゼとして生み出され、国内で197万本を売り上げた[1]。
2001年頃になるとカプコンがアーケード向けの対戦格闘ゲーム開発の凍結を発表し、カプコンと並び同ジャンルを牽引していたSNKの倒産(のちに関連会社がSNKプレイモアとして再出発し、2016年に旧社と同じ「SNK」へ社名変更)などもあり、ブームは完全に終了した。
しかし、市場は下降傾向にありながらも、『ギルティギア』シリーズ、『メルティブラッド』など定期的にヒット作は出現している。ここ最近[いつ?]ではNESiCAxLiveのコンテンツ(『BLAZBLUE』シリーズ、『AQUAPAZZA』など)が市場の中心である。
1993年にセガ(後のセガ・インタラクティブ)の『バーチャファイター』がアーケードに登場して以降は、ポリゴンで描かれたキャラクターを使用して3次元空間での戦いを表現した格闘ゲームが増加。これによって格闘ゲームに2D、3Dと呼ばれる区別が生まれることとなった。『バーチャファイター』が独特なシステムを数多く持っていたためか、それ以降の3D対戦格闘ゲームでも『バーチャファイター』を踏襲したと思われる要素を持つものが多い。
その最たるものがしゃがみガードができない中段攻撃の導入(後述)である。中段攻撃自体は『バーチャファイター』の発明ではないが、大抵の3D対戦格闘ゲームでは、ほとんどのキャラクターに基本技として中段攻撃を持つ。そのため2D対戦型格闘ゲームでありがちな「しゃがみガードをしていれば安定して相手の攻撃を防ぐことができるため、相手の攻撃を凌ぎながらスキを見て反撃する」という待ち状態がなくなったことが大きい。中段攻撃の存在により、状況に応じての立ちガードとしゃがみガードの使い分けや通常技の連係を重視した対戦となり、必殺技を重視したそれまでの2D対戦型格闘ゲームとは全く違うゲーム性となった。ネットワーク対応およびカードシステムの普及により、近年[いつ?]の作品では海外展開がされなくなったタイトルもある。
かつては人間が手作業で描いたドット絵のキャラクターが登場する作品が2D格闘ゲーム、ポリゴンによるキャラクターによる作品が3D格闘ゲームとされていた。しかし技術が進歩し、トゥーンレンダリング等で手描きと遜色がないポリゴン描写ができるようになったことから、『ストリートファイターIV』のようにポリゴンキャラクターを使用しながらかつての2D格闘ゲームのシステムを踏襲するゲームも登場するようになった[注釈 2]。
このため、『ストリートファイターIV』以降の作品でキャラクターの描写方法ではなく、試合中の視点がほぼ真横に固定され、奥行きへの移動を伴わない[注釈 3]ゲームが2D格闘ゲーム、キャラクターの移動に伴い視点角度が変更されるゲームが3D格闘ゲームとされる場合が多い。
2D格闘ゲームではキャラクターが向かい合って戦う都合から、1P又は2P(作品又はキャラ毎にどちらが基準になるか異なる)側にいるキャラクターが反対を向いた場合はグラフィックを左右反転させている。そのため、左右非対称で描かれたキャラクターは武器を持つ利き手、傷痕の位置なども鏡映しのグラフィックになり、本来の設定とは逆方向になる。ただし、この矛盾を2D上で解決しようとすると開発の手間が増える、グラフィックに割く容量が倍になってしまう、攻撃の当たり判定に差異が出るなどの問題が起こってしまうためゲームの操作上では特に問題視はされていない。また、衣服に書かれた文字や文字タトゥーなど、反転する事で明らかな違和感が生じるグラフィックは反転せずに2P用のグラフィックが書き起こされる。 なお、この問題はジャンルを問わず左右の振り向きの概念があるほぼ全ての2Dゲームに言える為、2D格闘ゲーム特有の話ではない。
対して3D格闘ゲームでは多くの場合、左右反転を行わず、キャラクターが対戦相手をジャンプで飛び越えるなどして向きを変える際に、キャラクターが回転して自然に向きが変わるようになっている。この時、攻撃する利き手やアクションなども反転されない。また、キャラクターによっては構えの都合上、主に2P側はプレイヤーに背中を向けた状態になってしまう事もある。
こうした左右反転の描写に新たな表現を取り入れたのが『バトルファンタジア』で、3Dグラフィックでありながら2Dのシステムをベースにした同作では2P側の位置にいるキャラクターのグラフィックの反転を行わず、アクションとアクションに関わる要素(利き手、武器の持ち手など)だけを反転させている。以降、同作からの影響を公言している『ストリートファイターIV』などでも同様の反転を取り入れている。
2D格闘ゲームの試合ステージは基本的に左右に後退するとこれ以上進めなくなる領域が存在し、画面端と呼ばれる。この時、画面のフレームそのものが左右の壁の役割を果たす事になり、キャラクターによっては三角飛びなど画面端を足場にしてアクションを行う例もある。これに対し3Dでのステージの端は、
のいずれかとなる傾向にある。1では壁にぶつける事によってダメージ増加や、バウンドを利用して連続技を叩き込むなどの要素が含まれる。1、2の複合型も存在し、一定回数、対戦相手を壁にぶつける事によって壁が破壊されリングアウトが成立する。2Dにも『REAL BOUT 餓狼伝説』のように壁やリングアウトを取り入れたゲームも存在する。
特にアーケードゲームでは3ラウンド中2ラウンドを先取することで勝利とするラウンド制をとった作品が多い。乱入したプレイヤーと対戦する場合、5ラウンド中3ラウンドを先取することで勝利とする制度を取り入れたり、一部の作品ではそれに加えて特定の状況下において一つの必殺技を決めることでラウンド先取数と関係なくその場で一方の勝利が確定するというルールの作品もある。
それまでの各ジャンルのゲームに登場するキャラクターは、名前や簡単な動機(姫を助けに行く、等)が解説されてはいるものの、情報としてはそれ以外はほぼ皆無だった。しかし他ジャンルとは違うエポックメイキングなファクターとして、詳細なプロフィールが設定された事により、キャラクターの個性をより引き立てる事になった。プロフィールは身長、体重、国籍など、遊ぶにはさほど影響しない情報を持ち、さらには趣味嗜好、スリーサイズ、恋人の有無なども設定されるものもある。
キャラクター設定には業界全体を通して傾向が見られる。ある作品で持ち込んだ設定がヒットしたことがライバル社に影響をもたらしているためとされている。以下はその一例である。
また、CPU戦の最終ステージで登場する敵キャラクターのことをボス(または最終ボス、ラストボス、ラスボス)キャラクターと呼ぶ。作品によってはCPU戦の途中でいわゆる中ボスキャラクターが登場する場合や、一定の条件を満たすとボス戦前後に隠しボスキャラクターとの対戦に移行することもある。『ザ・キング・オブ・ファイターズXII』のように、ストーリー設定のない一部作品の中にはボスキャラクターが存在しないケースもある。
なお、ボスキャラクターをプレイヤーが使用できるかどうかは作品によってまちまちで、他のキャラクターより性能が高すぎるなどの理由でアーケード版・コンシューマ版ともに使用できない場合や、アーケード版では使用できないがコンシューマ版なら一定の条件を満たせば使用できる場合など、様々なケースがある。中には始めからプレイヤーが使用できるキャラクターの中にボスが混じっている(作品によっては性能が通常バージョンよりアップしていたり、ボスバージョン専用の技が搭載されているキャラクターも存在する)こともある。
例外は多々あるが、上下左右の方向キー(アーケードゲームではレバー、コンシュマーでは十字キー)と3~6個のボタンで入力を行うものが多い。それらでは方向キーでキャラクターを移動やコマンドの入力をし、ボタンで攻撃する。以下一般的な例を説明する。
左か右に入力することで前後に移動し、上でジャンプ、そして移動ではないが下へ入力するとその場でキャラはしゃがむ、というのが方向キーに関する最も一般的な仕様と言える。作品やキャラクターによっては斜め下へ入力するとしゃがんだ状態で移動する「しゃがみ歩き」と呼ばれる行動を持っている場合もある。
多くの場合、2D格闘ゲームでのジャンプは足払いなどの低い位置への攻撃を回避でき、さらにジャンプキックなどの攻撃を(特には連続技の始点になる通常技を)出しながら横方向へ移動できるという点で重要な行動である。ただしアッパーカットなど上向きの攻撃には良い的にされてしまうことがある。しゃがむことには相手の打点の高い攻撃を避けることができるという利点がある。
3D格闘ゲームのジャンプは事情が違っている。ジャンプの軌道がゆるやかで飛距離も極端に高いか低いのどちらかが多く、またジャンプ中の攻撃が強力なものは少ないため、あくまで回避手段として用いられることが多い。
歩行やジャンプの他にダッシュと呼ばれる移動方がある作品も多い。これはたいていの作品では同じ方向に続けて素早く2回入力するというコマンドで出すことができる。ダッシュの性能は一様ではなく、作品によって違うし、また同じ作品の中でもキャラによって差別化されている場合があるが、一滴距離を踏み込むステップタイプと、走り続けるランタイプが多い。積極的に敵に接近するための前方へのダッシュにくらべると、後退し敵から離れるためのバックダッシュの性能は低く抑えられていることが多いが、無敵時間が設定されているゲームもある(『餓狼伝説SPECIAL』など。ただし、空中投げに対しては無力)。3D対戦格闘ゲームではレバー入力に応じた自然な足の動きを再現することが難しく、キャラクターによっては通常の移動が極めて遅い者もいるため、素早く移動するには大抵このダッシュを使うことになる。
ダッシュは、必ずしも前後のそれが揃っているとは限らず、前か後、どちらかへのダッシュしかない作品も存在する。また作品のシステム上ダッシュはあるが、鈍重で移動能力が極端に低いという設定のキャラクターだけダッシュできないようにされている場合もある。例えば、作品中唯一前へのダッシュができない『ヴァンパイア』のビクトルや、作品中唯一前にも後にもダッシュができない『北斗の拳』のハート様などが該当する。
特殊な例として『サイキックフォース』のように360度全方位に移動できる作品もある。
3Dでは上下左右のほかに奥・手前(キャラクターにとって左右)の概念が付加される。この方向への移動は主に軸移動と呼ばれる。キャラクター同士の中心点を結ぶ直線を軸と呼び、この軸が移動するためである。
一般にレバーを下方向ないし上方向に素早く2回入力することで行なえ、直線的な攻撃を回避することができる。しかし、内部処理の方法は多種多様であり、『バーチャファイター』では直線攻撃(縦攻撃)と回転攻撃(横攻撃)を明確に分け、直線攻撃に対してのみ有効な無敵時間を用い時間的に回避の成否を決定している。一方『鉄拳』や『ソウルキャリバー』では当たり判定を動かし、相対的な位置で回避の成否を決定している。そのため、タイミングや位置が良ければ回転攻撃でも回避することができるし、システム上直線攻撃であっても回避しきれない場合も出てくる。
特殊な例として、『ソウルキャリバー』では通常のレバー操作で、俯瞰視点における前後左右の動作が行なえ、ジャンプやしゃがみはガードボタンとレバーを同時に用いて行なう。
攻撃は主にボタン一つだけで発生する通常技とボタンとレバーの操作を組み合わせることで発生する必殺技に分類される。通常技の攻撃力は押したボタンによって異なっており、一般的に弱→(中)→強とダメージが高くなると同時に隙が大きくなる(技前後の予備動作が長くなる)。
2D対戦型格闘ゲームの最大手だったカプコンが制作したゲームの多くは『ストリートファイターII』に代表される6ボタン入力系を採用している。これは元々は、前作『ストリートファイター』の汎用筐体向けのコンパネ仕様である。上段の3つを左から順に弱、中、強威力のパンチに、下段の3つを同様にキックに割り当てている。この入力体系をカプコンとアリカ製のゲーム以外で採用したゲームは『カイザーナックル』『ファイターズヒストリー』など『ストリートファイターII』ブームに乗る形で出したゲームが多い。
2D対戦型格闘ゲームで同じく多く使用されたのは4ボタン入力系である。これは格闘ゲームを多く送り出したネオジオで使用できる最大ボタン数が4までだったこともある。4ボタンと一括してもその使用法はバリエーションが多く、中攻撃を削除し、パンチ、キックの弱、強に割り当てるもの(『餓狼伝説スペシャル』『ザ・キング・オブ・ファイターズ』など)、弱・中に割り当てて強攻撃を弱、中のボタンを同時に押すことで発生させるもの(『サムライスピリッツ』『ワールドヒーローズパーフェクト』など)、3ボタンを攻撃に割き(弱、中、強、パンチ、キック、強攻撃、弱攻撃など)、4ボタン目を何らかの特殊行動に割り当てるもの(『サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣』『龍虎の拳』『ジョジョの奇妙な冒険』『MELTY BLOOD』『GUILTY GEARシリーズ』など)、等々、様々なものが存在する。
同時押しで強攻撃を発生させるタイプの場合、店舗側で5、6ボタン目を取り付けて弱、中ボタンの同時押しになるように改造し、6ボタン入力仕様にした筐体も散見された。また、4ボタンでは特殊動作をする際に同時押しを要求されることも多く、『餓狼伝説3』など格闘ゲームが進化していくにつれ直感的に分かりづらい煩雑な同時押しを要求されることも多かった。近年では、『北斗の拳』のように攻撃ボタンの4ボタンに加え、特殊動作に1ボタンを加え5ボタンにした作品も多い。
対戦型格闘ゲームの元祖とされる作品『ストリートファイター』では、感圧式のボタンが使用されていた。『ワールドヒーローズ』『龍虎の拳2』など、ボタンの押し具合によって強弱を使い分ける方式もある。
上段および下段のパンチ、キックと、それらの中央にガードボタンを配置したもの(『モータルコンバット』)、3ボタンの構成がパンチ、キック、ジャンプとなっているもの(『ナックルヘッズ』)等がある。
『バーチャファイター』に代表される3D対戦型格闘ゲームは、ガード・パンチ・キックの3ボタンで構成されるものが多い。パンチ・キックは1種類ずつしかないが、ボタンを特定の順番・タイミングで押す、特定の組み合わせで同時に押す、レバー入力と組み合わせるなどの操作で様々な技に派生させられる。「キックの威力はパンチの2倍」に従ってか、全体的にキックの方が威力は高い。ガードボタン単体では攻撃には関わらないが、ボタンを攻撃のバリエーションとして使用することもある。
これの操作系をアレンジしたものとして、ドリームファクトリー製のゲームはパンチ・キックの代わりに上段攻撃・下段攻撃とし(上下同時押しで中段攻撃)、技の属性が直感的に分かりやすいようになっている。
その他の特徴的なものに、左右の手足に4つのボタンを割り当てたもの(『鉄拳』)、キャラクターが武器を持ち、縦横の武器を振る方向で構成されたもの(『ソウルキャリバー』『スターグラディエイター』など)、前・後のボタンで移動、レバーで攻撃する『武力 〜BURIKI ONE〜』がある。
ガードは相手の攻撃を防御し、ダメージを完全に防ぐか最小限の被害に留める防御行動であるが、投げに対しては脆い(後述)。技による攻撃と同じぐらい重要な行動である。
2D対戦型格闘ゲームのほとんどと3D対戦型格闘ゲームの一部は、進行方向の逆にレバーを入力することでガードする。例えばキャラクターが右を向いている場合、左に入力するとガードになる。また、足下を狙う攻撃には左を入れてガードすることはできず(下段技)、左下を入力してガードする。また、ジャンプ中の攻撃は左下の入力ではガードできず、左を入れてガードする。
2D対戦型格闘ゲームにおいてはしゃがみ技に強力なものが多く、立ち技も下段ガード可能でジャンプ攻撃は下段ガード不能だが切り替えは比較的容易なため、しゃがみガードが防御の基本となる。地上での中段技(後述)を持っているキャラもいるが、そのほとんどがガード崩しのバリエーションにすぎないため、相手の動きに応じて中段技を意識はしつつ、ガードはしゃがみガードを中心とすれば基本的には安全である。だが、空中ダッシュなどでキャラクターが空中で機敏に動けるゲームではジャンプ攻撃が擬似的な中段技として機能することもあるため、一概にそうとは言い切れない。
3D対戦型格闘ゲームのほとんどは、レバー入力方向に応じず地上にいるときガードボタンを押すことでガードする。立っている時にガードボタンを押すと立ちガードになり、しゃがんでいる時にガードボタンを押すとしゃがみガードになる。但し『鉄拳』シリーズではレバーでガード動作を行う。
2D格闘ゲームと異なる点は、しゃがみガードできない「中段技」と呼ばれる技が多くあること(この中段技の元祖は2D格闘ゲームの『龍虎の拳』)で、それに比べしゃがみ攻撃は弱く、下段技も中段技に比べるとリスクやリターンでは劣っているものが多いため、3D格闘ゲームでは立ちガードが基本となる。しかし、隙の少ない上段攻撃はしゃがみで避けることができ、下段技も多用できる性能のため、2D格闘ゲームに比べて相手の動きに合わせて立ちとしゃがみを使い分ける機会は遥かに多い。また、先述のように2D格闘ゲームでもこのボタンガードを採用しているゲームもある。
投げは近くにいる相手を掴み、名前の通り投げ飛ばしたり至近距離からの打撃を与える攻撃行動で、基本的に防御に強く、打撃に弱い(後述。)
通常投げ、コマンド投げ、移動投げ、対空投げ、空中投げ、打撃投げ、返し投げなどが存在する。
最大の特長はほとんどの投げ技が条件が成立していれば即可能で、通常の攻撃より出が早く前述のガードを無効化できる点であるが、相手との距離がきわめて近くないと投げられない、相手が攻撃を受けているモーション中は投げられないなどの条件が存在する。これは2D対戦格闘では攻撃することのリスクは低く、なんらかの技を出している・移動中の状態が多いため、密着状態にすること自体のリスクが高いからである。即ち、2D対戦型格闘での投げはガードを崩す裏の選択肢といえる。ただし、いわゆる投げキャラは打撃技等が今一つである反面、コマンド投げが大ダメージの場合もあるため、主流の選択肢となる。
投げられる条件を満たさないまま投げ技の入力をしたり、入力から実際につかむまでに条件が解けたりすると、別の技が出たり投げ失敗のモーションになり、隙をさらすことになるゲームも多い。特に「投げ失敗モーション」は昨今の格闘ゲームにはもはや一般的なものになっている。
1990年代後半に「投げ抜け」という投げられたタイミングに特定の入力をすることで投げ掴みを捌くことができるシステムが導入され始め、昨今の格闘ゲームのほとんどに採用されている。2D格闘ゲームの場合、相手が使用したの投げのコマンドと似たボタン入力が求められることが多い([P投げ]に対して[P]、[→K投げ]に対して[→K]など)。また、一部のコマンド投げや通常投げ以外を「投げ抜け不可」としている格闘ゲームも多く存在する。
3D対戦格闘における投げは、ガードは無効化できるが、打撃技と比較しても早い部類と同等程度で、ダメージも単発としては高めな程度でしかない。しかし打撃技が、ある程度接近しないとヒットさせられず、ガードされると基本的には不利である。このガードに対する存在として、投げが存在する。そしてその投げも攻撃技とかち合うと一方的に潰される羽目になる。すなわち、打撃<ガード<投げ<打撃…という基本の「三すくみ」を構成する、重要な要素・選択肢といえる。
更に立ち・しゃがみガードの使い分けから、立ち状態を投げる立ち投げ、しゃがみ状態を投げるしゃがみ投げを区分。これを含めて細分化すると、中段攻撃<立ちガード<立ち投げ<中段攻撃の主流の三すくみに、更に下段攻撃<しゃがみガード<しゃがみ投げ・中段攻撃、更に立ち投げ<しゃがみガード、しゃがみ投げ<立ちガード等という複雑なすくみ関係のループが構成されている(ただ、基本的にしゃがみ投げを持つキャラは少ない。出の速い中段技でもしゃがみガード崩しは十分できるためである)。
これにより、どの行為にも有利・不利の相性があり、少なくないメリットとリスクがあるようになるため、相手がどう行動するのかの読みに勝つことが重要となるのである。これらは開祖である『バーチャファイター』が基本形を構築しており、後のゲームも大きな影響を受けている。
稀に、打撃技の出がかりをも投げられる「キャッチ投げ」があったり、投げをしゃがみ・立ち状態共通にするゲームも存在する。
投げ抜けに関しては、投げの殆どがコマンド投げであるため、すべてできるようにしているのが一般的。ただし対応する投げ抜けコマンド(相手投げコマンドの最後の方向と同じレバー+投げなど)でなければ抜けられないという制限を課し、ここにも読み合いの要素を入れていることがある。 また投げ失敗モーションがあるゲームも一般的。これは読みの失敗を明確にする効果もある。これも『バーチャファイター2』において、投げ失敗がなくコマンドの重複が可能だったため、いわゆる「自動二択」(投げられなければ、自動で中段攻撃が出る)がリスクが非常に低く強かったことの反省から導入されている。
2D対戦型格闘ゲームのほとんどと3D対戦型格闘ゲームの一部は、特定のレバー操作(コマンド入力と呼ぶ)の後にボタンを押すことで必殺技を発動させられる。必殺技はガードすると体力がわずかに減少する(削り)。特定の操作とは、例えばボタンの連打、レバーを下から右方向に4分の1回転させた後パンチボタンを押す(波動拳コマンド)、といったもの。比較的簡単なものから、レバーを1回転させるような難しいものまで様々なものが存在する。
レバー操作のコマンド入力の歴史は初代ストリートファイターから存在しているが当初このシステムは他社の対戦格闘ゲームでは浸透していなかったが『ストリートファイターII』の大ヒット以降標準化されて行った物である。
『龍虎の拳』において必殺技を越える超必殺技が登場し、すぐに他の作品でも採用された。性能は必殺技よりも高いものの、残り体力やゲージなど、一定の条件を満たす必要がある。さらに必殺技以上にコマンドが複雑なものが多く、『龍虎の拳』で初めて採用されたボタン同時押しを始め、当時のプレイヤーに「隠しコマンド探し」[注釈 4]というやり込みを促す方向へ進んでいった。1990年代中盤までは複雑化の一途を辿り、出せること自体が能力となっていた面もあったが、その後は単純なものへと回帰していった。これは格闘ゲーム自体がマニアックになりすぎ、プレイヤーの新規参入を阻んだことへの反動と言われる。
レバーを前方や後方などに入れながらボタンを押すと、通常とは違う攻撃を出せる場合もある。例えばレバーを進行方向に入れながら中パンチボタンを押すと、通常はフックが出るところを、上から振り下ろすようなパンチに変化する、といったもの(『スーパーストリートファイターIIX』、リュウ:鎖骨割り)。これらは通常技ではないが必殺技と言うほど特別ではない、という意味で特殊技もしくは単にレバー入れ技などと呼ばれる。レバーを下方向に入れた場合の攻撃はしゃがんだ状態の通常技と見なされ、特殊技とはされない。同様に上方向に入れた場合も、ジャンプ中の通常技と見なされる。ただし、例えば進行方向斜め下にレバーを入れた場合のみ技が変化する場合は特殊技とされる。
3D対戦型格闘ゲームについては、前述の通りボタン入力とレバー入力の組み合わせで様々な技に派生する。2D対戦型格闘ゲームでは一つのボタンでは状態によって決まった一つの通常技しか出なかったが、3D対戦型格闘ゲームは通常パンチボタンを押した際に出るジャブの他に、レバーを前に倒しながらボタンを押すことで全く異なる技の肘打ちを出すことができる。このように2D格闘ゲームのようなボタンの違いによる使い分けではなく、ボタンとレバーとの組み合わせで技を使い分けるようになっている。また「パンチ・パンチ・パンチ・キック」のように順にボタンを押していくことで固有のコンビネーション技を出すことができるキャラクターも多い。また、2D格闘ゲームの必殺技のようなコマンド入力を要求されることもある(レバーを←←→と倒してパンチとキックを同時押しなど)。
このレバーとボタンの組み合わせによる技の入力は、非常に簡便で使い分けやすいが、一方で人気シリーズでは新作を重ねると共に技は追加され続け、結果的にはその技の多さが複雑さを招いた。
代表的なコマンドと通称を以下に挙げる。以下の例はキャラクターが右を向いているとき(左側にいるとき)の場合(左向きの場合は逆になる)。
これらのコマンドは2D対戦型格闘ゲームの典型となっており、他のゲームやキャラクターのコマンドを説明する際にも用語として用いられることが多い。例えば『餓狼伝説』のテリーの必殺技「パワーウェーブ」は「波動 + A」、『ストリートファイターZERO』の豪鬼の「滅殺豪波動」は「逆ヨガ×2 + P」等と説明できる。
なお、プレイヤー層やゲームによって呼び方が異なる場合がある。例えば「 + ボタン」というコマンドを、主にSNK系の格闘ゲームに親しむものは「覇王コマンド」(『龍虎の拳』の超必殺技「覇王翔吼拳」に由来)と呼ぶが、主にカプコン系の格闘ゲームに親しむものは「前 + ヨガ」等と呼ぶ。
各ゲームのインストカードや、アーケードゲーム誌『ゲーメスト』等では、上記のようにレバー入力方向を矢印で表記している。また、末期のカプコンのゲーム等ではレバーの軌跡(昇龍拳コマンドではレバーをZ字状に動かすなど)を図示したものがある。
パソコン通信のフォーラムやウェブページ・電子掲示板等ではコマンドを「623 + P」のように表記することが多い(この例は昇龍拳コマンド)。これは、キーボードのテンキーまたは電卓の数字をレバーに見立て、1を左下、2を真下、3を右下、4を左……のように表現したもの。斜め方向の矢印がJIS X 0208に含まれず、表現しにくい理由から生み出された。
慣れるまでは分かりづらいが、文字ベースで簡潔に表現できるという利点がある。但し、携帯電話の普及により、電卓ではなく電話のテンキー表記(上下が逆)と勘違いされることも多い(例えば、春日野さくらの咲桜拳のコマンドを623Pと表記した場合に、右・上・右上・パンチと解釈されるなど。もちろん咲桜拳など出ず、ジャンプ攻撃が出る)。
その他、斜め方向の入力を全角スラッシュ(/)およびバックスラッシュ(\)で表現する方法もあるが、左下と右上、右下と左上の区別が付かないという欠点のため主流ではない。昇龍拳コマンドなら「→↓\ + P」のように表記し、ヨガフレイムコマンドなら「←/↓\→」のように表記する。Unicode対応ウェブブラウザの普及によって斜め方向の矢印も表示可能になっているが(例:↘ - ↘)、入力の手間がかかることなどから主流とはなっていない。
この節の加筆が望まれています。 |
2D格闘ゲームにおいても3Dと同じく打撃<ガード<投げ<打撃…だが、キャラ特性や個性が強く表れるので基本的に三すくみ関係は存在しない。こちらから仕掛ける攻撃は以下に集約。
3D格闘ゲームにおける基本的な選択肢は、打撃・ガード・投げに集約される事が多い。基本的に下記のような優劣関係があり、攻防の核になるこの仕組みを三すくみという。概念的には『バーチャファイター』で成立していたものだが、板垣伴信が雑誌インタビューで語って以来、この呼び方が定着した。近年では例外的な性能を持つ技や、技の方向属性などで三すくみを拡張し、攻防要素が作品ごとに細分化、多様化している。
広義的には地上における牽制による駆け引きのことを指す。相手が技を出したところに判定の強い技で対応しカウンターヒットを狙ったり、間合いを調整して相手が技を空振りした所を攻撃するのが代表的。『サムライスピリッツ』シリーズは総じて単発の攻撃力が高く、連続技がほとんど存在しないため、差し合いが全てと言っても良いゲーム性になっている。
相手がなんらかの行動(主にガード)を取ることを前提に、対処法の異なる複数の攻撃のどれかを選んで攻撃する。例としては「下段攻撃と中段攻撃のどちらかを選んで攻撃する二択攻撃」など。この場合、大雑把に言えば2分の1の確率で打撃がヒットすることになる。攻撃側が選択肢を3択・4択と増やせばヒット確率はさらに3分の2・4分の3と増加していく。想定外の行動(いわゆる「暴れ」や「逃げ」など)に対しては案外弱かったりする場合もある。
ダウンさせられた側は、起き上がり時の相手の出方に対処する必要がある。相手は通常の攻めと同じだけの選択肢があるが、ダウンさせられた側は取れる行動が非常に限定されたものとなるため、立ち状態のときよりも非常に不利な状態と言える。ダウンを取った攻め側は相手に択一攻撃を仕掛けたり、長く硬直する技を当てるなどして有利な状況を生かした攻撃を仕掛けるのがベター。逆に守り側は起き上がり中に出せる攻撃を出すか、防御行動をとって相手の起き攻めを回避するかを選択する必要がある(ゲームによっては、「何もしない」という選択が無敵時間などの関係上有効な場合もある。起き上がりモーション中は無敵だが何らかの行動を取った瞬間に無敵が解けるなど)。
ゲームによっては、正常な、もしくは全く駆け引きが発生しない状況が発生する。例えばハメがそれである。正常の駆け引きが発生しない状況から異なる駆け引きが発生することもある(先にハメの始動技を決めた方が勝ちが了解として通じる)が、アーケードにおいてこうなった場合は大抵新規ユーザーが介入することができなくなる。
対戦型格闘ゲームにはプレイヤーの間で使われる用語が存在する。これらは格闘ゲームにとどまらず、派生して他のジャンルで使われることもある。用語は数多く存在するが、その中でも代表的なもののみ以下に挙げる。
前述の待ち・ハメに関しては、古くは雑誌の投稿欄から、パソコン通信・電子掲示板などに渡って現在でも論争が繰り返されている。大まかに言って、待ち・ハメ否定派は「相手と戦い合うこと」を至上とし、「人にされて嫌だと思うことはするべきでない」「バグを利用するのは制作者の意図するものではない」との立場から主張し、待ち・ハメ肯定派は「自らが勝利すること」を至上とし、「ルール(ゲーム内において操作で可能な行為)の範囲内で最善を尽くすのは当然である」「バグではない仕様であれば、制作者の意図したものだから、問題ない」とする立場から、それぞれ主張している。前提が違うままに主張し合うので議論がかみ合わず、不毛な論争になりがちである。現実的問題を挙げれば、『北斗の拳』におけるレイの「バグ昇竜」(特定条件で上昇技を当てるとヒットし続けながらどこまでも画面外に上り続けるバグ)などは、これまたゲージなど特定の条件が揃わないと解除が出来ず、最終的にゲームの筐体自体が停止してしまう。このようなゲーム自体が不成立になったりゲームセンターの財産である機械に損害を与えかねないケースもあるため、最終的に円滑な運営のためにはゲームセンター運営者の裁定を以ってハウスルールとするのが最も無難である。
興味深い点として、ブームが去りプレイヤーが減少し、マニア層の声が相対的に大きくなった2000年代中盤では、肯定する立場の意見が優勢であり、バグを利用したハメまで肯定される傾向が強くなりつつある。なぜなら、もともと待ちやハメ行為を問題として、極端なまでのバランス調整を要求していたのはマニア層であり、立場が逆転しているからである。インターネット掲示板などではモラルの問題として自主規制する向き(待ち・ハメプレイヤーを嘲笑するなども含む)であるが、これも強制力を持たないものであるため、各プレイヤーやローカルレベルで周知・規制されている程ではない。
3D対戦格闘ゲームの場合は攻めのリスクは低くなく、守りは必ず崩す手段があるため、守りも攻めも極端なバランスにはなっておらず、「待ちを崩せない方が悪い」という考え方が一般的である。試合内容に関しても、待ちやハメに対しての是非を問うよりも、いかに面白い読み合いができたか、読み合いのやり取りができる相手だったかどうかで語られることが多い。そういう意味では、ハメは論外としても、一方的な試合内容になりがちな対戦スタイル、同じ行動ばかり取るスタイルは、読み合いになっていないため敬遠される傾向にある。
メーカー側としては、「初心者狩り」による対戦人口の減少・不公平感の増大・対戦が陳腐化するという待ち・ハメの害悪を重視し、ゲージを消費するが無敵の切り返し技を全キャラクター装備させる、受身など取れる行動の選択肢を増やす、技を待ち・ハメが成立しないような性能にするなど、最初からできないようにする方向で進んでいる。しかし、調整しすぎると、爽快感やキャラクターの特色などがなくなってしまう他、受け方を知らない相手にのみ成立するハメができ初心者狩りの原因となってしまうなど、製作側には難しいさじ加減が要求される所である。
なお、これらの論争はいずれも対人戦においてのものであり、対CPU戦においてのいわゆる「パターンハメ」については事情が異なっている(前述のCPUの項目を参照)。
1990年代後半当たりまで、格闘ゲームはアーケードでは主役だった。しかしその数は次第に減少していくことになった。
これは「最初は売れていても続編がどんどんマニア向けになって一般客が離れ、最後にはマニアもついていけなくなって別ジャンルに流れてしまう」という、1980年代前半のボードウォー・シミュレーションゲーム以来、対人を目的とした玩具全般が繰り返してきた歴史を踏襲するものであり、対戦格闘もこれらと同様に衰退の道を歩みゲーム離れの原因のひとつとも言える。
現在では、対戦格闘ゲームと並んでアーケードゲームの花形ジャンルだったシューティングゲームも同様に衰退しているジャンルの代表として挙げられる。任天堂の岩田聡社長(当時)は、この2ジャンルを東京ゲームショウ2003の講演で「普通の人が遊べない、重厚長大化して飽和してしまった」と述べた。後に、『ストリートファイター』シリーズを担当した小野義徳も「声が大きくて開発者側も意見を気持ちよく感じる熱心なファンを、ユーザー全ての感想と思い込んでしまっていた。それ以外の人にはまったく響いていないということには、4~5年前(2000年代半ば)まで気づかなかった」とこれを認めている[10]。『MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds』の製作陣は、「格闘ゲームと聞くだけで拒否反応が出るような閉塞感がある」と窮状を指摘した上で「元がアーケードゲームである以上、上手い人が尊敬されるのは当然であるがライトユーザーも楽しめるよう追求するべき」とし、そのバランスをいかにして取るかを今後の課題としている。また、その打開策の一つとして格闘ゲーム以外のオマケモードの充実を挙げている[11]。
また、各地の筐体をブロードバンドで結び、同レベルの対戦相手を選べるなどのシステムを導入し、さらにはデータの保存ができるカードで、キャラクターの服装等をカスタマイズできるといった要素も導入されている。しかしこれらの対策も、マニア層の引き留め以上の効果は得られておらず、ユーザー離れが続いている。
各メーカーはグラフィックの質の向上、同人層の取り込みや「萌え」との接近、操作性の極端な複雑化や逆に簡略化(『アカツキ電光戦記』等)など、様々なアプローチで格闘ゲーム人気復権の道を模索している。 他にも格闘ゲームの全国大会である闘劇の開催や、その大会の観戦チケットが売り出されたり対戦模様をDVD化するなど、観戦目的で格闘ゲームを楽しむというユーザーも少なからず存在している。 また、2019年世界的にはeスポーツとして対戦型格闘ゲームがスポーツの一種として見直される風潮も出てきているが、日本においては未だ途上である。
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