養成施設(ようせいしせつ)とは、職業人や職能者、人材等を育成・養成する施設に用いられることが多い名称である。他に用いられることが多い名称として、養成機関(ようせいきかん)や養成所(ようせいじょ)などがある。
「養成施設」、「養成機関」、「養成所」という名称自体には法令の定めがなく、法令による名称の使用制限もない。しかし、資格等の取得に関連して、法令により養成施設等が規定されているものがある。(例:保育士を取得するための指定保育士養成施設が児童福祉法に規定されている)
法令の定めがない施設の場合は、様々な設置者が様々な目的で設置している。例えば、芸能事務所や制作プロダクションなどが俳優や声優の養成を目的として設置する俳優養成所や声優養成所では、俳優や声優としての知識・演技力を教授している。これらの養成所は学校教育法に規定された施設ではないため、卒業しても学歴には該当せず、また、職歴にも該当しない場合もあり、履歴書には記載されないことがほとんどである。但し、芸歴には該当し、個々の公開プロフィールなどには記載されることが多い。
法的には、各省庁に申請し、免許取得に際して試験の一部免除、あるいは全てが免除となるカリキュラムを認定されたカリキュラム、あるいは、その科目を実施している施設である。
日本においては、広義の意味として、幹部養成施設などの職層に対する訓練を行う施設や、情報処理技能者養成施設のように職域(いわゆるテクニシャンの養成)に対する訓練を行う施設、タレント養成学校など職業人の育成に関する私塾等においても用いる場合がある。
狭義の免許取得に際して試験の一部免除、あるいは全てが免除となるカリキュラムをもつ養成施設には、学校教育法に定める高等学校、大学(短期大学を含む)、専修学校、各種学校、職業能力開発促進法に定める職業訓練施設、各省庁や独立行政法人が設置する省庁大学校、都道府県が持つ農業大学校等がある。
法令に定めがある施設と取得可能な資格
大学
- 大学[注釈 1]において医学を履修する課程[注釈 2] - 医師(学校教育法第87条第2項、医師法第11条第1号)
- 大学[注釈 1]において歯学を履修する課程[注釈 3] - 歯科医師(学校教育法第87条第2項、歯科医師法第11条第1号)
- 大学[注釈 1]において薬学を履修する課程のうち臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするもの[注釈 4] - 薬剤師(学校教育法第87条第2項、薬剤師法第15条第1項)
- 大学[注釈 1]において獣医学を履修する課程[注釈 5] - 獣医師(学校教育法第87条第2項、獣医師法第12条第1項第1号)
- 大学[注釈 6]の教職課程[注釈 7] - 教員の普通免許状(教育職員免許法第5条第1項)
- 指定された大学等教育機関(工学部等) - 技術士補(技術士法第31条の2第2項)
- 学校教育法に基く大学又は旧大学令に基づく大学において、心理学を専修する学科又はこれに相当する課程 - 児童相談所の所長(児童福祉法第16条の2)
- 学校教育法に基く大学又は旧大学令に基づく大学において、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科またはこれらに相当する課程 - 児童福祉司(児童福祉法第11条の2)
- 厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目 - 社会福祉主事(社会福祉法第19条1)
- 文部科学大臣の委嘱を受けた大学での司書及び司書補の講習 - 司書補(図書館法第6条及び図書館法施行規則)
- 大学その他の教育機関が文部科学大臣の委嘱を受けて行う講習 - 司書教諭(学校図書館法第5条3)
- 学校教育法および旧大学令による大学の工業化学に関する学科における火薬学の、または学校教育法 および旧大学令による大学か経済産業大臣がこれらと同等以上と認めて指定した教育施設の工業化学に関する学科の、さらには旧専門学校令による専門学校の工業化学に関する学科における火薬学の専修課程さらには学校教育法による高等学校もしくは高等専門学校、旧専門学校令による専門学校または経済産業大臣がこれらと同等以上と認めて指定した学校の工業化学に関する学科の専修課程 - 火薬類製造保安責任者試験受験資格 火薬類保安責任者(火薬類取締法施行規則第七十五条)
- 学校教育法による大学、短期大学、または高等専門学校において化学に関する科目を15単位以上習得 - 甲種危険物取扱者試験(消防法第十七条の八)専修学校で修業年限2年以上でかつ課程の修了に必要な総授業時数が1700時間以上の専門課程で化学に関する学科等を卒業した方及び化学に関する授業科目を15単位以上修得、または高等学校・中等教育学校の専攻科(修業年限2年以上のもの)で化学に関する学科等を卒業、旧国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法による国立工業教員養成所で化学に関する学科等を卒業及び化学に関する授業科目を15単位以上修得 - 甲種危険物取扱者試験(消防法第十七条の八)第2類又は第4類 第3類 第5類
- 学校教育法 による大学、高等専門学校、高等学校又は中等教育学校において機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する学科又は課程を修めて卒業した者 - 甲種消防設備士受験の条件(消防法第十七条の八 4の1)
その他の施設
- 司法研修所 - 弁護士(弁護士法)
- 充てん作業者指定養成施設 - 液化石油ガス設備士(液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則第77条)
- 総務大臣が指定する機関で市町村長以外のもの(指定講習機関)- 消防設備士(消防法第十三条の二十三の規定)
- 運航管理者の養成施設 - 指定運航管理者(航空法施行規則第百七十一条の三)
- 地方厚生局長等の指定する児童福祉施設の職員を養成する学校その他の養成施設 - 児童の遊びを指導する者(児童厚生員)(児童福祉施設最低基準第38条)
- 地方厚生局長等の指定する児童福祉施設の職員を養成する学校その他の養成施設 - 児童指導員(児童福祉施設最低基準第43条)
- 地方厚生局長等の指定する児童自立支援専門員を養成する学校その他の養成施設 - 児童自立支援専門員(児童福祉施設最低基準第82条)
- 児童福祉施設の職員を養成する学校その他の施設 - 児童福祉司・児童相談所職員(児童福祉法第11条第1項)
- [要養成施設名] - 児童福祉施設職員([要根拠法令])
- 厚生労働大臣の指定する養成機関 社会福祉主事(社会福祉法第19条2)
- 文部科学大臣の委嘱を受けた大学その他の教育機関で講習 - 社会教育主事(社会教育法第九条)
- 厚生労働大臣の登録を受けた食鳥処理衛生管理者の養成施設 - 食鳥処理衛生管理者(食鳥処理の事業の規*制及び食鳥検査に関する法律施行令第十二条5)
- 地方厚生局長又は地方厚生支局長の指定する児童福祉施設の職員を養成する学校その他の養成施設 - 母子指導員(児童福祉施設最低基準第28条)
- 訪問介護員養成研修事業者 - 訪問介護員(介護保険法施行令第3条、訪問介護員に関する厚生労働省令第5条)
- 独立行政法人海員学校の司ちゆう・事務科 - 船舶料理士(船舶料理士に関する省令第2条)
- 公安委員会の指定する自動車教習所 - 運転免許(道路交通法第99条)
- 登録小型船舶教習所 - 小型船舶操縦士(船舶職員及び小型船舶操縦者法第23条)
- [要養成施設名] - 登録販売者(薬事法)
- [要養成施設名] - 毒物劇物取扱責任者(毒物及び劇物取締法)
- [要養成施設名] - 理療科教員([要根拠法令])
世界的に有名な養成訓練および施設にはドイツのマイスター制度があり、職業に就くための免許をそれぞれの学校で取得する職業人養成カリキュラムとなっている。
- 養成所
- 養成機関
(資格等)
(教職等)
(技術系)
(健康系)
(専門職)
(ビジネス・官僚)
(軍人育成)
(神職)
(エンターテイメント)