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郵政民営化以前に郵便局の窓口事務を地方公共団体や組合、個人等に委託していた郵便局 ウィキペディアから
簡易郵便局(かんいゆうびんきょく)とは、郵政民営化以前に郵便局の窓口事務を地方公共団体や組合、個人等に委託していた郵便局のことで、現在は日本郵便から委託された事業所を指す[1]。
2007年(平成19年)9月までは、日本郵政公社(以下、公社という)が委託元となっていた。後述の問題から、簡易郵便局は郵政民営化実施前に廃止されるか、実施時に郵便窓口業務再委託業者、ゆうちょ銀行代理業者、かんぽ生命保険募集代理店またはこれらを兼業する営業所へ転換したが、業務内容や設置方法等が大規模に変わった。郵政民営化実施後も、実施前の簡易郵便局と同様の業務形態とする営業所は「簡易郵便局」の名称は継続して使用されている。簡易郵便局は全国に約4,000局ある。
郵便窓口業務再委託業者という名称は、法令や日本郵政グループ各社が公式に使用しているものではないが、後述の問題から適切な名称が公式に無いため便宜上これを使用する。
2012年(平成24年)5月に「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律」(平成24年5月8日法律第30号)が公布された(完全施行は公布から1年以内)。この法律が完全施行される歳、「簡易郵便局法」(郵政省・郵政事業庁時代)→「郵政窓口事務の委託に関する法律」(日本郵政公社時代)→「郵便窓口業務の委託等に関する法律」(郵便局株式会社時代)と変遷してきた昭和24年6月15日法律第213号の題名は、「簡易郵便局法」に復帰する。この新しい簡易郵便局法では、日本郵便株式会社から受託した窓口業務を行う施設を「簡易郵便局」という。
日本郵政公社化前の簡易郵便局法では、『本来、国が直接行わなければならない事務を、委託したほうが適切と認めたときにできるもの』とされていたが、公社化時の改正によって、『郵便局の窓口事務を委託したほうが運営上適切(経費節減・リストラ)であると認めたとき』という基準に変更された。利用者数や山間部、損益の有無はその基準とはされていなかった。百貨店などに設置されているような大都市型簡易郵便局(シティポスト)も存在した。郵政事業庁時代末期には、取扱量の極端に少ない特定郵便局を廃止し、その跡に簡易郵便局を新設する例があった。この場合、特定郵便局長は任を解かれ、退職し、その簡易郵便局の受託者となることが多い。逆に、取扱量が大きい簡易郵便局の受託を解除し、その跡や付近に特定郵便局を新設して、その元受託者を局長に任用する場合もあった。
受託できるのは以下の者に限られた。
組合員に出資させない漁業協同組合・農業協同組合(非出資組合)であっても、受託することができた。民間等(国以外)によって運営される。国立大学や国立病院内に設置される簡易局の受託者は国(各省庁)や独立行政法人、国立大学法人、公立大学法人等ではなかった。学校や病院内にある簡易局の場合、法律上、学校法人や医療法人が受託者となることができないため、名目上、代表者や簡易郵便局業務を扱う職員名義での個人受託という形をとることが多かった。地方公共団体が受託している場合でも、個人に実質的な再委託(業務代行者)がされている場合もあった。
公社が、総務大臣認可基準に従って締結した。
郵政窓口事務の委託に関する法律施行規則(昭和24年7月14日郵政省令第7号)第2条により以下の通りであるが、公社は、業務の運営上支障があると認めるとき事務の全部若しくは一部を委託しないことができることとされていた。
団体取扱、財形貯蓄を除く
郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律(平成10年法律第78号)第4条第1項の規定により同法第2条第1項の金融機関から委託された金銭の受入又は払渡し等に関する事務
受託事務に従事する者は、みなし公務員とされた。
農業協同組合・漁業協同組合・消費生活協同組合の事業・施設等の利用は、本来、組合員・准組合員に限定されるが、法律上受託者は組合員以外にも公平に利用させる義務があったので、組合員以外も普通に利用できた。
郵便切手・印紙販売については、郵便切手類販売所等に関する法律(昭和24年法律第91号)による郵便切手類販売者と見なされた。切手類の販売に関しては、コンビニ等の売捌所と同じ扱いであり、受託者が公社から買い受けた物を販売する。一定期間分を後日支払うというような売り掛けではなく、また貯金扱いも2件で数十円ということから受託者の負担が大きいという指摘があった。
改廃その他の情報は、その簡易郵便局局頭に掲示される他、公社のWEBサイト上に公表されていた。
郵政民営化に伴い、簡易郵便局は次のように変わった。郵政民営化に伴う根拠法改正詳細は郵政民営化も併せて参照のこと。
根拠法は「郵便窓口業務の委託に関する法律」に改題された。これは郵便事業株式会社から郵便局株式会社への郵便窓口業務及び印紙の売り捌きに関する業務の委託並びにその再委託に関するものとなり、郵便局について定めるものとなる。郵便貯金・簡易保険等事務については本法から削除された。
郵便局株式会社が、郵便事業株式会社から郵便局株式会社法で委託させられる範囲内の業務を、郵便窓口業務再委託業者に委託する方法(以下、再委託という)となる。
同法第2条により再委託される窓口業務は次の範囲である。
小包(ゆうパック等)は郵便法の郵政民営化時の同時改正により郵便物ではなくなったが、郵便物の引受に付随する業務なので、受委託できる。
同法第3条第2項により、地方公共団体は、地方自治法の規定に関わらず、この法律の定めるところに従い、郵便局株式会社の再委託により委託業務を行うことができる。
第3項で、組合は、当該組合に関する法律の規定に関わらず、この法律の定めるところに従い、委託事務を行うことが可能。
第9条により、受託者が組合である場合に限り、上記の委託業務範囲内において、当該組合に関する法令の規定に関わらず、組合員以外の者に対しても、公平に役務を提供しなければならない義務を負うが、地方公共団体並びに組合以外の受託者はその義務を負わず、各受託者の裁量に任せられる。
なお、これは同法第2条に掲げられてある範囲に限定されているので、この法律に依らずに受託したものには適用されない。
民営化前同法第10条第1項は、「受託者は、公共の利益のため、誠実に自ら委託事務を行わなければならない。」とのあったが、これは削除された。これにより、受託者は特定の者の利益になるように業務を行うことや、他人に委託させても違法ではなくなった。
郵便局株式会社は、総務大臣の認可を受けて定める基準に従って、郵便局株式会社の指定する場所において再委託業務を行う契約を締結しなければならない義務を負うこととなる。
郵便局株式会社は、委託業務を行う必要がある場合において、その業務の運営上適切であると認めるときは、この法律の定めるところに従い再委託することができる。
みなし公務員規定が削除される。
同法附則第70・71条により、簡易保険事業の募集に関する事業については、承継計画に、承継後にその簡易郵便局に業務を行わせることが入っている場合に限り、特例として現行法令の基準等に関わらず、かんぽ生命保険を所属保険会社とした特定保険募集人として登録をしたものとみなされ、その業務を行う受託者の役員・使用人は、承継計画に、承継後にその簡易郵便局で生命保険募集員として従事することが入っている場合に限り、特例として現行法令の基準等に関わらず、かんぽ生命保険を所属保険会社として生命保険募集員に登録をしたものと見なされ、保険業法第281条に定める手数料を納めなければならない。
同法附則第74条により、受託者が組合である場合に限り、その組合が郵便窓口業務等受託者である間は、経過措置として当該組合に関する法律の規定に関わらず、次に掲げる業務を行うことができる。ただし、5 - 7は前述の特例により銀行代理店、生命保険募集員、証券仲介業の各登録を受けたものと承継計画によりみなされる場合に限られる。この場合は、同法第9条の規定が適用され、受託者が組合である場合においては、組合は、当該組合に関する法令の規定にかかわらず、組合員以外の者に対しても、公平に役務を提供しなければならないこととされ、組合員以外も原則利用可能である。
※1
上記の通り、同法委託範囲内であれば員外利用が可能であるが、方法や契約方法によっては不可能となりかねない場合がある。この公平利用規定は、規定に基づきその範囲内で委託した業務に限られ、組合が直接各社と契約して範囲外の業務をする場合には適用されないため注意が必要である。生協以外の組合であれば、員外利用制度や准組合員制度を利用することもできなくはないが、営業地域内の通勤者、住民や法人等に限定されている上、その組合の方針によっては全面・部分的な利用規制、残高制限等を行なう場合もある。
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