大國魂神社
東京都府中市の神社 ウィキペディアから
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大國魂神社(おおくにたまじんじゃ、新字体:大国魂神社)は、東京都府中市に所在する神社。武蔵国の総社であり、東京五社の一社[注 1]。また、武蔵国の一之宮から六之宮までを合わせ祀るため、「六所宮」とも呼ばれる。
古代、国司は任国内の全ての神社を一宮から順に巡拝していた。この長い巡礼を簡単に行えるよう、各国の国府近くに国内の神を合祀した総社を設け、まとめて祭祀を行うようになった。当社は武蔵国の総社にあたる。
当社は府中市中心部に鎮座し、「府中」の市名はかつて武蔵国の国府があったことに由来する。当社の境内地がかつての武蔵国の国府跡にあたり、境内地と市道を挟んで東側の市有地は「武蔵国府跡(武蔵国衙跡地区)」として国の史跡に指定されている。東側市有地は「武蔵国衙跡地区」として整備されており、柱跡が表示されて展示室が設けられている(「武蔵国府跡」も参照)と共に博物館「ふるさと府中歴史館」が設置されている。また、当社は府中宿の中心部近くにあり、大鳥居から武蔵国分寺や武蔵国分尼寺までの道が整備されていた。
当社の創建は景行天皇41年(西暦111年)5月5日と伝えられており、大化の改新の際に現在の場所に国府を置いたという。源頼義と義家が奥州戦に向かう際に戦勝を祈願、その直系子孫にあたる源頼朝も妻の安産祈願をしたなどの伝承が残されてある。
境内は多くの社殿からなるほか、重要文化財の木造狛犬を初めとした文化財を多数伝えている。府中本町駅近くの市街地中心部に位置するにもかかわらず木々に囲まれており、参道の馬場大門のケヤキ並木は国の天然記念物に指定されている。
例大祭は、東京都指定無形民俗文化財に指定されている「くらやみ祭」であり、関東三大奇祭の一つに数えられている。
本殿の祭神は以下の通り。武蔵国の総社として、当社創建当時の武蔵国一之宮から六之宮まで(通称:武州六社明神)を祀っている。
創立の初期には、創建日の5月5日に武蔵国中の神官が集まり祈祷を行っていたと伝えられる。
社伝『府中六所社伝』などに記された伝承によれば、景行天皇41年5月5日に大國魂大神がこの地に降臨し、それを郷民が祀った社が起源という。その後、出雲臣の祖神天穂日命の後裔が武蔵国造に任ぜられ社の奉仕を行ってから、代々の国造が奉仕してその祭務を行ったと伝承されている[1]。このときの社号は「大國魂神社」。
祭神の「松は憂いもの杉ばかり」との謂れから、境内に松の木が植えられることはなく、地元の府中市では正月の門松に松を使わず「門竹」を使うことが多い。本殿は一棟三殿、総朱漆塗で銅板葺。江戸時代の寛文7年(1667年)造営で、それ以前の三棟三殿から現在の形式となった。東京都の文化財に指定。御旅所は「府中市役所前」交差点に所在する(北緯35度40分11.45秒 東経139度28分35.64秒)。例祭時に神輿が渡御する。隣接して府中宿の高札場(東京都指定文化財)が残る。また、境内にある水神社裏手には、人を象った紙を体に当てた後に川に流すことで穢を落とす「人形(ひとがた)流し」を行う場所がある[2]。
そのほか、境内には授与所、待合所、神楽殿、宝物殿、手水舎、廻廊、社務所、結婚式場、忠魂碑、日露戦役記念碑、軍艦多摩戦歿者慰霊碑、相撲場がある。このうち旧日本帝国海軍の軽巡洋艦「多摩」は大國魂神社を艦内神社としていた縁があり、撃沈されてから70年目に当たる2014年10月25日以降、毎年同じ日に慰霊祭を営んでいる[3]。
境内は全面禁煙で自転車乗車も禁止されているが、2020年東京オリンピックの自転車競技ではロードレースのパレードランコースに選ばれ[4]、多くの選手たちが参道を自転車に乗車したままで通過した。
参道には欅(ケヤキ)が植えられている。これは、源頼義公・義家の「前九年の役」と、徳川家康によるものとされている[16][17][18]。東京都立農業高等学校手前のけやき並木北交叉点まで伸びる「けやき並木通り」は、正式には「馬場大門のケヤキ並木」といい、大正13年に日本で2番目の天然記念物として指定されており、ケヤキ並木としては日本で唯一の天然記念物である。古くは並木の両側が馬場となっており、過去には5月3日より9月晦日まで馬市が立った(詳細は「馬場大門のケヤキ並木」を参照)。
祭神に毎日の食事を供する御日供祭を含めると年間400近い祭事が行われている[19]。2018年からは小正月のどんど焼きを神事として新たに行うようになった[20]。
1月 | 1日 | 歳旦祭 年祝祭 | 6月 | 1日 | 東照宮例祭 | ||
2日 | 海幸・山幸祭 | 夏至の日 | 夏至祭 | ||||
3日 | 元始祭 | 30日 | 大祓式 | ||||
15日 | 日吉神社例祭 | 7月 | 12日 | 青袖祭 | |||
2月 | 3日 | 節分祭 | 宮乃咩神社 | ||||
11日 | 紀元節祭 | 13日 | 杉舞祭 | ||||
15日 | 坪宮例祭 | 20日 | すもも祭[注 4] | ||||
17日 | 祈年祭 | 8月 | 1日 | 相撲祭 | |||
25日 | 天神社例祭 | 7日 | 風祭 | ||||
3月 | 4日 | 氷雨祭 | 15日 | 国府八幡宮例祭 | |||
神戸稲荷神社例祭 | 9月 | 13日 | 松尾神社例祭 | ||||
10日 | 春季祭 | 秋分の日 | 秋季皇霊祭遙拝式 | ||||
春分の日 | 春季皇霊祭遙拝式 | 24日 | 忠魂碑慰霊祭 | ||||
4月 | 1日 | 巽神社例祭 | 27日 | 秋季祭(くり祭) | |||
滝神社例祭 | 28日 | ||||||
30日 | 品川海上禊祓式 | 例 大 祭 く ら や み 祭 | 10月 | 1日 | 住吉神社例祭 | ||
5月 | 1日 | 祈晴祭 | 11月 | 3日 | 文化祭 | ||
2日 | 御鏡磨式 | 酉の日 | 酉の市 | ||||
3日 | 競馬式 | 15日 | 七五三詣り | ||||
4日 | 御綱祭 | 23日 | 新嘗祭 | ||||
5日 | 動座祭 | 12月 | 冬至の日 | 冬至祭 | |||
御輿渡卸 | 23日 | 天皇誕生祭 | |||||
6日 | 還御の儀 | 27日 | 煤払祭 | ||||
鎮座祭 | 31日 | 大祓式・除夜祭 |
大國魂神社の例大祭は、関東三大奇祭の一つであるくらやみ祭りである。この祭りは毎年4月30日から5月6日にかけて行われており、本来歌垣の性格を帯びていたが、明治時代になってその淫靡な風習は改められた。また、夜間に実施されていた祭礼の行事も昭和34年(1959年)より夕刻の実施となった。
宵宮となる5月3日には、参道であるケヤキ並木において古式競馬式と府中囃子の競演、5月4日には旧甲州街道にて20台あまりの山車行列が行われる。例大祭当日となる5月5日には、6張の大太鼓に先導されて、8基の神輿が御旅所まで渡御する。神輿が御旅所に到着したのち神事を行い、一夜あけて6日早朝より神社への還御が行われる。
5日の神輿渡御が深夜に町中の灯を消して闇の中で行われたため、くらやみ祭りと呼ばれる。以前は東京競馬場の開催を自粛していたが、平成19年(2007年)以降は競馬が開催されている。
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