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東野圭吾の小説 ウィキペディアから
『白夜行』(びゃくやこう)は、東野圭吾の小説。集英社『小説すばる』1997年1月号から1999年1月号に連載され、1999年8月に刊行された推理長篇である。「白夜」は「日の出前および日没後のかなり長い時間にわたって薄明が続く現象」である。
連作短篇として連載されたが、単行本は長篇に再構成して刊行された。発行部数は2005年11月の時点で55万部程度だったが、テレビドラマ第1話放送前後に売れ行きが伸び、2006年1月に100万部を突破。2010年12月時点で200万部を超えた[1]。
1973年の夏、大阪のある廃ビルで起きた質屋殺し。何人もの容疑者が捜査線上に浮かぶ中、被害者に売春していたと噂される西本文代をマークする笹垣刑事。だが、文代はガス漏れ事故で死亡し、母子家庭だった娘の雪穂は裕福な親戚に引き取られた。
容姿端麗で成績優秀な雪穂は私立の名門女学校に進学したが、貧しかった過去を知る同級生に噂を広められた。その同級生は何者かにレイプされ、犯人が去った直後に助ける形で弱みを握る雪穂。長じて富豪の御曹子の篠塚を狙った雪穂は、篠塚の恋人である江利子をレイプによって排除し、自分が妻の座についた。
質屋の殺人事件当時小学5年生だった被害者の息子・桐原亮司は、成長して売春組織の経営やゲームソフトの偽造など裏稼業に精通する。看護師の典子を籠絡して青酸カリを盗ませ、雪穂を脅す子供時代の知り合いを毒殺して、刑事の笹垣をも殺そうとする亮司。
子供時代の雪穂と亮司は実は児童館で会う友人同士だった。事件当日、廃ビルで雪穂を襲う父親を見た亮司は、無我夢中で父親を刺殺した。亮司の父親が買春していたのは母親の文代ではなく、小学3年生の雪穂だったのだ。それ以来、雪穂と亮司が会う機会はなかったが秘密の連絡手段があり、亮司は雪穂のためにレイプや殺人を繰り返していた。エビとハゼ……実は二人の関係は決して交わることのない“共生関係”であり幼い頃に失った心を補完し、生きていくための犯罪行為を互いに幇助し合っていたのであった。
刑事を退職する年齢になっても、質屋殺しの事件を追い続ける笹垣。雪穂と亮司の一連の動きやそれぞれの関与に少しずつ気づき、二人の周辺の人物による証言や調査により真相に迫っていく。小学生の雪穂が自ら裕福な親戚に近付いた上で、母親を事故に見せかけて殺したと確信する笹垣。
金と人脈を手に入れた雪穂は実業家として成功し、大阪に新しい高級ブティックをオープンさせた。亮司は販促のアルバイトとして店の近くにいるところを警察に発見され追い詰められて自殺した。その現場を目撃した雪穂は無関係を装い、大事な店へと戻って行くのだった。
1973年に起こったある事件から1992年までの2人の主人公の19年間を描く長編小説。彼らの心理描写は意図的に排され、彼らを取り巻く様々な人間たちの視点を通してその言動が示されていく。
元フィギュアスケート選手の町田樹は現役時代この小説に感銘を受け、2013年のエキシビションのプログラムとして自ら振付を行い、作品の世界をテレビドラマ版の劇伴曲「白夜を行く」を使用したスケートプログラムとして表現した[2][3]。主人公の桐原亮司に扮し、青を基調に左手のみを赤く血に染めたイメージの衣装で悪と良心の葛藤を表し、氷上に横たわり死を迎えるまでを演じて、亮司の自己犠牲や作品の世界観を描いた[3]。
2005年9月から12月まで、劇団スタジオライフにて2部構成で舞台化された。
キャストは4チームに分かれる
2006年1月12日から3月23日までTBS系列で、毎週木曜日21:00 - 21:54(JST、初回は1時間拡大)に放送された日本のテレビドラマ。主演は山田孝之と綾瀬はるかで、2004年のテレビドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』で共演したコンビによる共演となった。脚本・プロデューサーも同じメンバーで、主題歌「影」も柴咲コウが担当する。
日本テレビ系列の秋田放送も、9日遅れの毎週土曜日の午後に放送した。
第48回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で本作が4冠を達成した。最優秀作品賞と主演男優賞を山田孝之、助演女優賞を綾瀬はるか、助演男優賞を武田鉄矢、それぞれ受賞する[4]。
前述の町田樹によるフィギュアスケートプログラムでは、本テレビドラマ版の劇伴曲が使用された。
この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
幼少時、初恋の少女を助けるために父親を殺した少年と、その少年を庇うために母親の命を奪った少女の残酷な14年間の愛の軌跡を描いた物語である[5]。
原作ではほとんど描かれていなかった亮司と雪穂の関係を映像化し、2人の葛藤や成長などの心理的部分を中心に描いているが、時代の整合性上、殺人事件が発生したのが1973年ではなく1991年となった(当時の殺人罪の公訴時効が15年だったため、ドラマが放送された2006年11月11日に時効を迎える設定で、亮司が切り絵に日付を残している。その後2010年4月27日に刑事訴訟法が改正され、日本では殺人罪を含む凶悪犯罪の時効は撤廃された。原作にも共通するが、時効の有無に関係なく、「十四歳に満たない者の行為は、罰しない。」と定めた刑法第41条により、亮司の父に対する殺人事件や雪穂の母の死亡事件については、仮に犯人が判明しても逮捕訴追されることはない。
石丸彰彦プロデューサーは雑誌のインタビューで、主人公の2人の関係を可視化するなど、原作から大幅に手を加えたことについて「亮司と雪穂をモンスターにしたくなかった」と語っており(『ザテレビジョン』より)、その製作意図が第10話での、笹垣潤三と谷口真文とのビジネスホテルでのやり取りのシーンの中に表れている。
各話 | 放送日 | サブタイトル | 演出 | 視聴率 |
---|---|---|---|---|
第一話 | 2006年1月12日 | 東野圭吾記念碑的名作奇跡のドラマ化!! 少年はなぜ父を? 少女はなぜ母を? 14年間の壮大な愛と絶望の物語 | 平川雄一朗 | 14.2% |
第二話 | 2006年1月19日 | 閉ざされた未来に | 13.4% | |
第三話 | 2006年1月26日 | さよならの光 | 那須田淳 | 11.0% |
第四話 | 2006年2月 | 2日罪と罰 | 石井康晴 | 10.7% |
第五話 | 2006年2月 | 9日決別する二人 | 平川雄一朗 | 11.8% |
第六話 | 2006年2月16日 | 白夜の終わり | 那須田淳 | 10.7% |
第七話 | 2006年2月23日 | 美しき亡霊の決意 | 石井康晴 | 12.3% |
第八話 | 2006年3月 | 2日泥に咲いた花の夢 | 平川雄一朗 | 12.3% |
第九話 | 2006年3月 | 9日こぼれ落ちた過去 | 高橋正尚 | 12.0% |
第十話 | 2006年3月16日 | 開く過去の扉 | 平川雄一朗 | 12.6% |
最終話 | 2006年3月23日 | 白夜の果て | 14.1% | |
平均視聴率 12.3%(視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ) |
笹垣潤三(演:武田鉄矢)が作中で呟いた歎異抄の一節は次の通り。
主人公が殺人犯である設定のため、花王が若竹色の提供クレジットを自粛した(この間、同社のCMは本編終了後にヒッチハイク扱いで流れていた)。
TBS 木曜9時枠の連続ドラマ | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
ブラザー☆ビート
(2005.10.13 - 2005.12.22) |
白夜行
(2006.1.12 - 2006.3.23) |
渡る世間は鬼ばかり(第8シリーズ)
(2006.4.6 - 2007.3.29) |
韓国にて『백야행: 하얀 어둠 속을 걷다』(白夜行: 白い闇の中を歩く)のタイトルで映画化され、2009年11月19日に公開された。パク・シヌ監督。
日本では『白夜行 -白い闇の中を歩く-』の邦題で2012年1月7日に公開された。日本でのレイティングはR18+となっている。
2011年1月29日公開の同小説を原作としたサスペンス映画。監督は深川栄洋、主演は堀北真希と高良健吾。第61回ベルリン国際映画祭・パノラマ部門正式出品作品。原作の時代考証に忠実であることを心がけ昭和55年から平成10年までの時代に応じたロケセットを準備、ロケは2010年3月から6月までの約3か月に渡り撮影、ロケ地は8都県に及んだ。特にラストシーンのロケでは300人にも上るエキストラが集められている。
全国210スクリーンで公開され、2011年1月29日、30日の初日2日間で興収は7,862万5,500円、動員は6万367人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第6位となった[7]。
大阪の下町にある廃ビルで質屋の社長が他殺体で見つかった。容疑者が何人か現れるがいずれも決め手に欠けながら被疑者死亡で送検される。被害者の息子と容疑者の娘は別々の人生を歩んだかに見えたが、成長したその後の2人の周辺では不可解な事件がたびたび起こる。質屋殺しの事件に疑念を抱く刑事は長きにわたり事件を調べていくうちに自らの命も危険にさらされながら事件の真相に迫っていく。やがて恐ろしくも悲しい真相に到達したとき、元刑事となった男は2人への接触を図るが思わぬ結末をむかえる。
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