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軍隊の階級のひとつ ウィキペディアから
大佐(たいさ)は、軍隊の階級のひとつ。軍階級上では佐官に区分され、少将または准将の下、中佐の上に位置する。
北大西洋条約機構の階級符号では、OF-5に相当する。概ね陸軍におけるカーネル (Colonel)、海軍におけるキャプテン (Captain) に相当し[注釈 1]、中国語においては上校[4]、大韓民国では大領と称する。スイス軍では大佐が平時における最高位とされ、准将に相当するBrigadier(旅団長)、少将に相当するDivisionär(師団長)、および中将に相当するKorpskommandant(軍団指揮官)はあくまでも大佐の職位である。
Colonelの呼称については、16世紀のスペインまたはイタリアでの縦隊(colonna / columena)に由来し、その長はカピタン(Capitán)が務めていた。後に、「中隊長=(陸軍)大尉、カピタン / キャプテン」との混同を避けるため「縦隊」の部分が残ったと推測される[5]。Colonelはラテン語のcolumnella(小さな柱)に起源を持つ。縦隊長(cabo de columena、変化して cabo de colonel、カボ・デ・コロネル)が直接の語源。省略されてColonelとなった。
英語では、陸軍大佐はカーネル (Colonel)、海軍大佐はキャプテン (Captain) と呼び、ヨーロッパの言語の多くで、同様の区別がある。英米陸軍などにおいては Captain は大尉を意味する[注釈 2]。空軍大佐は陸軍大佐と同じ呼び名であることが多いが、イギリス空軍やイギリス空軍を範としたインド空軍、オーストラリア空軍、ニュージーランド空軍などではGroup captainと呼ばれる。
日常的には、中佐 (Lieutenant Colonel) もカーネルと呼ばれることが多い。
イギリス陸軍の連隊にはカーネルという名誉職(但し、階級ではない)があり、連隊長と訳される。これはあくまで名誉職であり、連隊指揮権を有するのはその下の「commanding officer」である。名誉職のカーネルを階級のカーネルと区別したいときは、「Colonel of the Regiment」(連隊のカーネル)などという。
さらに、「Colonel-in-Chief」という名誉職もあり、連隊所有者、名誉連隊長などと訳される。連隊長(カーネル)の上に位置し、名目上は連隊の最上位である。かつてのドイツ陸軍にも「Chef eines Regiments(英訳 Colonels-in-Chief of a Regiment)」という類似の名誉職があり、名誉連隊長、名誉大佐(ただし、ドイツ陸軍にはこれとは別に名誉階級の大佐がいたので紛らわしい)などと訳される。
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欧州における陸軍大佐の呼称には上記の「Colonel」の系列以外にも、ドイツ語圏及び北欧圏で多用される「Oberst」(古くは「Obrist」とも)と、ロシアおよびスラヴ語圏で多用される「Полковник(Polkovnik)」の2つの系列が存在する。おおよその語義としては、前者は「最上級野戦指揮官」、後者は「連隊指揮官」程度となる(ロシア語では連隊はポールク(ロシア語: Полк、ラテン文字:Polk)と呼ばれる)。
野口英世(日本の医学者)やカーネル・サンダース(ケンタッキー・フライドチキン創業者)など、名誉大佐の敬称を送られた人物が多く存在する。これらは軍事とは無関係で、カーネル(≒大佐)を名乗るからといって軍人だとは限らない。詳細は名誉大佐を参照。
エジプトのガマール・アブドゥン=ナーセルは大統領になる前はカーネルを名乗っており、これにならってリビアのカダフィ大佐(カーネル・カダフィ)もカーネルを名乗っている。これらの場合の「カーネル」の語義については諸説がある(ムアンマル・アル=カッザーフィー#名称表記の項を参照のこと)。
なお、キャプテンという敬称は、船長、機長、スポーツチームのリーダー(日本では「主将」とも呼ばれる)など、軍隊の階級以外でも使われており、日本語でも外来語として定着している。つまりキャプテンを名乗るからといって軍人とは限らないことが、日本でもよく理解されている。
日本語における佐は律令制下の五衛府の官名として登場するが[6] [7] [8]、左右兵衛佐・左右衛門佐・検非違(使)佐などであり大佐は律令には現れない[9] [10] [11]。四等官においては役所を統括する「督(かみ)」を文字通り補佐するのが「佐(すけ)」である[12] [13]。
かつての陸軍にあっては、平時の最大の部隊は連隊だったことから、連隊将校団の長(連隊長)たる大佐が平時の最高の階級とされることもあった。上述のように、スイスにおいては現在も平時には大佐が最高階級である。
海軍においても、艦隊は臨時編成のものであって、個々の軍艦が独立の単位であったことから、艦長たる大佐が常時置かれる最高階級とする海軍も多かった。そのため、複数の軍艦を以て艦隊を編成するに際しては、最先任艦長に代将の職責を付与して艦隊を指揮させることがあった(詳しくは代将参照)。米国海軍でも、1862年7月16日までは大佐が最高階級であった。
多くの国の海軍では、4条の線で階級が表される。
版籍奉還の後、1870年10月12日(明治3年9月18日)に太政官の沙汰により海陸軍大佐以下の官位相当を定めたときに海陸軍中佐の上に海陸軍大佐を置き正五位相当とした[14] [注釈 3] [注釈 4] [注釈 6] [注釈 7] [注釈 8]。
廃藩置県の後、明治4年8月[注釈 9]の官制等級改定[27]及び兵部省官等改定[28] [注釈 12]や明治5年1月の官等改正[39]及び兵部省中官等表改定など数度の変更があり[28] [注釈 13]、明治5年2月の兵部省廃止及び陸軍省・海軍省設置を経て[41][注釈 14]、明治6年5月8日太政官布達第154号[43] [44]による陸海軍武官官等表改正で軍人の階級呼称として引き続き用いられ[注釈 19]、西欧近代軍の階級呼称の序列に当てはめられることとなった[注釈 6] [注釈 1]。 こうした経緯から西欧語が持っている「集団の大黒柱」というニュアンスはない。「佐」とは漢字の字義でいえば「脇で支え助ける」という意味になる。
日本陸海軍では、当初は兵科に属する高等武官(奏任官1等)のみを「陸軍○○大佐」や「海軍大佐」と呼称し、陸軍各部に属する高等武官や兵科以外の海軍高等武官には「大佐」の呼称は用いなかったが、後に階級呼称の統一を図り、「大佐」の語を含めるようになった。
「大佐」の読み方であるが、昭和期の日本海軍では「だいさ」と呼ぶ者も出てきたが、海軍省監修書籍には「だいさ」読みの表記が出てくることはない。NHKメディア研究部によれば、正式の読み方ではなく昭和期の旧海軍での習慣的呼称でしかないとされる[1]。
警察予備隊の警察官(1950年-1952年)では一等警察正(いっとうけいさつせい)、保安官(1952年~1954年)では一等保安正(いっとうほあんせい)、海上警備官(1952年)では一等海上警備正(いっとうかいじょうけいびせい)、警備官(1952年~1954年)では一等警備正(いっとうけいびせい)がそれぞれ相当する。
各自衛隊では1等陸佐(いっとうりくさ)・1等海佐(いっとうかいさ)・1等空佐(いっとうくうさ)(略称は1佐(いっさ)と、等級が算用数字になる)に当たる。
一般に連隊長・群長に補職され、陸海空共通の役職としては自衛隊地方協力本部長[注釈 20]や防衛駐在官のほとんど[注釈 21]が1佐である。警察では警視長または警視正に相当し、防衛省の文官も含む中央官庁では本省課長または本省室長に相当する。
なお、1佐はさらに職責に応じて(一)~(三)に分類される。以下は陸上自衛隊における区分。
防衛大臣直轄部隊・機関
なお、陸上自衛隊においては指定階級が1佐(一)の役職のうち特定の役職にあるものを対外的にも准将相当[注釈 27]として扱い、乗車する車両前面に赤色の台座に金色帽章一つが表示された車両標識を掲示する[注釈 28]。2018年より、連隊長等経験者を対象として予備1等陸佐の採用が開始されている。
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空軍という現代発祥の軍種においては、それぞれの国家において「陸軍の航空部隊から発展」「海軍の航空部隊から発展」「そもそも航空戦力としての発祥」という成り立ちの違いにより、英文呼称・NATO階級コードにおける違いが生じる。
漢字文化圏内、日本の「大佐」以外、「上校」[4]、「上佐」、「大領」の3つのバリエーションがある。
欧州諸国では、海軍大佐は陸軍大佐と全く異なる呼称を使う。空軍大佐は、陸軍大佐と異なる呼称を使う国もあるが、陸軍大佐と同一の呼称を用いる例が多い。
先の「Colonel」「Oberst」「Polkovnik」のどれにも属さない系列。
オセアニアのうち、オーストラリアとニュージーランドはイギリス国王を国家元首に頂く英連邦王国であり、国の成り立ちからもイギリスとの関係が深く、軍の階級呼称もイギリス軍と同様の方式が採られている。
基本的には欧州諸国と同様のシステムであるが、アメリカ大陸諸国の旧宗主国(イギリス、フランス、スペイン、ポルトガル)と同様に、上記の「Colonel」系列の階級呼称を採用している。
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