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『純愛物語』(じゅんあいものがたり)は、1957年(昭和32年)10月15日公開の日本映画である。東映製作・配給。監督は今井正、脚本は水木洋子。カラー、東映スコープ、133分。
スリ集団の制裁から戦災孤児のミツ子を救い出す同じ戦災孤児という境遇の貫太郎。ミツ子はスリから足を洗う決意をするが、ふたりは共謀して再びスリに及ぶ。刑事に摘発されたふたりはそれぞれ更生施設に送られる。やがてミツ子の身体に異変が起こりはじめる。病変は、ミツ子が幼少期に広島で原爆に被曝したことと関係があるのだった。
広島の原爆で被爆した少女を描いた作品だが、舞台は東京。遠い広島のことを連想させるシーンは作品の中盤まで一切ない。いわゆる不良少年と不良少女の恋愛物語としてストーリーは展開していく。原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(現・原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律)が制定された1957年(昭和32年)に作られた映画だけに、被爆者の無料問診風景では主人公の少女の他に、被爆した両親から生まれたと思われる少年などが描かれるなど、シナリオを書いた水木洋子の鋭い視線が光る作品となっている。水木は、1955年(昭和30年)から原爆関係の新聞記事のスクラップをつくっていた[1]という。
水木洋子自身が小説化した『小説純愛物語』が、河出書房が倒産する前に出していた雑誌『知性』1957年9月号[3]に発表された。
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