『甲州街道』(こうしゅうかいどう)は、司馬遼太郎の紀行文集『街道をゆく』の第1巻第3章。「週刊朝日」の1971年3月12日号から4月9日号に連載された。訪れた時期は1970年5月23日(土曜日)。
東京都(八王子市)から甲州街道小仏峠まで
- 登場する同行者
- 編集部のH(橋本申一)
- 比尾根かをる(キリスト教神学者の女性)
- 河合重子(八王子の履物屋の女主人。徳川慶喜研究家)
八王子(八日町)→大垂水峠→(小仏峠)手前→八王子
話題
- 広すぎる関八州を充填するにはよほどの英雄でなくてはつとまらない
- 秀吉の命で家康が三河から新天地の関八州へ移し替えさせられた経緯
- 関八州を、江戸を中心に治めることの利点
- 家康が江戸に入った頃の様子
- 八王子に落武者たちが集まってきたわけ
- 八王子千人同心について
- 甲州街道沿いの農民あがりの新撰組や屯田兵が幕府瓦解時に身を挺して戦ったこと
登場人物
- 歴史上の人物
- 話題になった人物
- 司馬の祖父(断髪令に抵抗し、西洋化を拒否した「妙な」人)
- 市井の人
話題
- 八王子のように山脚の指のまたにあるような街は、山城の鞍馬や高雄と同様に文化や精神の貯蔵にむいている
- 旧宿場の表通りにあたる八日町にある商店街のにぎわい
- 高尾山自然公園は昆虫の宝庫
- 「賊」になるのを畏れた徳川慶喜(水戸史観)
- 勝海舟が江戸の軍勢を各地に散らした
行程
- 八王子(八日町)
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- 大ダルミ峠
- | 道をまちがえ引き返す
- 駒木野
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- 小仏峠 途中まで
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- 八王子(八日町)
話題
- 峠道でワラビ採りの三人の老婆老爺に会う。秘密の場所にゼンマイがあるという話
- 河合の徳川慶喜との出会いとその後の人生
- 女学校(東京府立第四高等女学校、現在の東京都立南多摩高等学校)1年のとき、学芸会で真山青果の「将軍江戸を去る」を観る。当時、河合は大政奉還ぐらいしか知らなかった。
- 上野図書館へ行って慶喜の本を探したこと。田中惣五郎の「最後の将軍・徳川慶喜」を見つけたこと
- 父に連れられて水戸まで行き、図書館で「徳川慶喜公伝」を見つけたときの喜び
- 神田の古本屋まで行って「徳川慶喜公伝」を買ったこと
- 1944年(昭和19年)に東京女子大学国史科に入学するも、幕末の書物がほとんどないことに失望
- 戦後、家業を継ぎ苦労したこと
- 慶喜の絶対恭順の後半生について、司馬と河合で見方が異なる
- 河合が一度も慶喜の夢を見たことがない