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東海道昼特急号(とうかいどうひるとっきゅうごう)は、昼特急の一路線で、かつて東京都と大阪府大阪市を主に東名高速道路・新名神高速道路を経由して結んでいた昼行高速バスである。
本項では、現在も運行されているデラックス版のグラン昼特急号、廉価版の青春昼特急号についても記述する。
また、東海道昼特急号と同様にかつて運行されていたプレミアム昼特急号と主に中央自動車道・名神高速道路を経由していた中央道昼特急号、および別愛称で運行されていた東海道昼特急大阪号・東海道昼特急京都号・中央道昼特急大阪号・中央道昼特急京都号、また東海道昼特急大阪号の関連系統であった東海道昼特急ゆったり号についても記述する。
バス路線開設の規制緩和により、特に総輸送量の多い首都圏と大阪を結ぶ高速バスへは、多くの新規事業者の参入が予想された。このため、既存事業者では、規制緩和による新規参入への対抗策を講じる必要があった。首都圏 - 大阪間で多くの夜行便「ドリーム号」を運行するJRバス関東・西日本JRバスも対応策を検討していたが、資産(この場合は車両と乗務員)の有効活用により、効率化を図る上で新しいタイプの輸送サービスを提供することになった。
そのサービス案の1つとして具体化したものが、昼間は使用していない夜行高速バス用のダブルデッカー車両を使用して、東京~大阪の輸送サービスを廉価で提供する「東海道昼特急」であった。発案は西日本JRバスといわれている。
時間にゆとりのある若年層をターゲットとして、2001年(平成13年)12月に1日4往復で運行を開始した[1] が、本来のターゲットである若年層のみならず、年配者にも好評を博し、直前での予約を入れるのが難しいほどの大盛況となった。運行開始後の1年間に2度の増便が行なわれた他、この路線の運行開始当初より京都への昼特急が旅客より強く要望されていたことから、2002年(平成14年)3月10日より「昼特急」第2弾として、東京側の発着地を新宿駅として中央自動車道を経由する「中央道昼特急京都号」を1日2往復設定、さらに2003年(平成15年)7月からは新宿発着で中央自動車道経由の「中央道昼特急大阪号」の運行も開始し、同時に東海道側も京都発着の「東海道昼特急京都号」を設定した[2]。特に乗客からは「景色の眺めが良い」などとのことで休日前後には高い乗車率となることが多かった[3]。
「昼特急」の設定で乗務行路も一部が「ドリーム号」と組み合わせたものに変更され、それまで基本的には乗り継ぎ先で丸一昼夜待機となる2泊3日だったスケジュールが、例えば往路を「ドリーム号」、復路を「昼特急」とすることで1泊2日に短縮された。
なお、「東海道昼特急大阪号」は、マルス収録のために愛称が必要だったことからやむなく設定した仮の愛称で、愛称名を公募することになっていた[1] が、「昼特急」という愛称自体が好評となり定着したため、そのまま正式なブランド名として使用されることになった。
「東海道昼特急大阪号」の成功は、500kmを超える長距離の昼行高速バスでも、設定次第では十分に採算性があることを実証、他の事業者にも大きな影響を与え、その後各方面で長距離の昼行高速バス路線がいくつも開設されることになった。また、新しいタイプの輸送サービスを提供したことが評価され、2002年(平成14年)度の「日経優秀製品・サービス賞」の日経MJ賞最優秀賞に選ばれた。
なお、2006年(平成18年)6月1日よりデラックス版の「プレミアム昼特急号」(プレミアムドリームに使用されるデラックス車で運行)、2008年(平成20年)3月17日より廉価版の「青春昼特急号」(青春ドリーム号に使用される4列シート車で運行。みどりの窓口では購入不可)、2014年(平成26年)12月19日よりデラックス版の「グラン昼特急号」(グランドリーム号に使用されるハイデッカー車で運行。のち二階建てバスに置き換え)がそれぞれ運行されている。
2010年(平成22年)7月1日より大阪系統と京都系統を統合、京都駅には大阪発着便(2往復→2011年3月11日から3往復)が立ち寄る形に変更されている。
2017年(平成29年)4月1日より「青春昼特急号」が1日2往復に増便され、「プレミアム昼特急号」が廃止される。
2019年(令和元年)5月17日には「中央道昼特急号」を廃止、全便が東名高速道路・新名神高速道路経由となる[4][5]。
2020年(令和2年)8月1日より、車両置き換えにより標準タイプの「東海道昼特急号」の運行を終了し、全便がデラックス版の「グラン昼特急号」と廉価版の「青春昼特急号」となった[6][7]。
2021年(令和3年)10月28日より、御殿場JCT・豊田東JCT間を東名高速道路から新東名高速道路経由に変更し、所要時間を最大30分短縮した[8]。
2023年(令和5年)8月1日より、上り便「池尻大橋」バス停を廃止
下りの東京駅出発は八重洲南口であり、上りの東京駅到着は日本橋口である。なお、年末年始等の多客期には、東京駅、バスタ新宿(乗車扱いのみ)に停車し直行で京都駅、大阪駅に向かう運行形態に変更される。
愛称名 | 運行本数\停留所 | 東京駅八重洲南口/日本橋口 | バスタ新宿(新宿駅) | 東名向ヶ丘 | 東名江田 | 東名大和 | 東名綾瀬 | 東名御殿場 | ⇔ | 新城(道の駅もっくる新城) | ⇔ | 京都深草 | 京都駅烏丸口 | 大阪駅 JR 高速バスターミナル | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
グラン昼特急号 | 下り3本/上り3本 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | = | ● | グラン昼特急1/7/9,2/8/10号 | ||
下り1本/上り1本 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | = | ● | = | 京都駅烏丸口始発/終着便(グラン昼特急5/6号) | |||
青春昼特急号 | 下り1本/上り1本 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | = | ● | 青春昼特急3/4号 |
東京駅八重洲南口・日本橋口 - バスタ新宿(新宿駅) - 池尻大橋<上り便のみ停車> - 東名向ヶ丘 - 東名江田 - 東名大和 - 東名厚木 - 東名御殿場 - 東名富士 - 東名静岡 - 東名浜松北 ⇔ 京都駅烏丸口/京都深草 - 大阪駅JR高速バスターミナル
東京駅八重洲南口/日本橋口 - バスタ新宿(新宿駅) - 中央道三鷹 - 中央道深大寺 - 中央道府中 - 中央道日野 - 中央道八王子 - 中津川インター - 名神八日市 - 京都深草 - 名神大山崎 - 名神高槻 - 千里ニュータウン[9] - 大阪駅JR高速バスターミナル - 湊町バスターミナル
東京駅八重洲南口/日本橋口 - 新宿駅新南口 - 中央道三鷹 - 中央道深大寺 - 中央道府中 - 中央道日野 - 中津川インター - 名神八日市 - 京都駅烏丸口
東京駅八重洲南口/日本橋口 - 新宿駅新南口 - 池尻大橋<上り便のみ停車> - 東名向ヶ丘 - 東名江田 - 東名大和 - 東名厚木 - 東名御殿場 - 東名富士 - 東名静岡 - 東名浜松北 - 土山バスストップ - 京都駅烏丸口
「グラン昼特急号」は当初「グランドリーム号」に導入されている3列シート28席のハイデッカー車が導入されていたが、2019年5月17日よりスカニア製のダブルデッカー車「J-InterCityDD」も投入され[4][5]、2021年10月28日現在では全便がダブルデッカー車で運行される(ダブルデッカー車は3列シート(スーパーシート、グランシート)のほか4列シート(エコシート)も装備する)。
「青春昼特急号」は「青春エコドリーム号」に導入されている4列シート52席のダブルデッカー車またはハイデッカー車両で運行される。
かつて運行されていた「東海道昼特急号」は「ドリーム号」と共通の独立3列シート・トイレ付のダブルデッカー車が、「プレミアム昼特急号」は「プレミアムドリーム号」と共通の3列シート29席(2階席)、2列シート3席(1階席)のダブルデッカー車が充てられていた。ともに三菱ふそう・エアロキングが使用されていたが、「東海道昼特急号」には ネオプラン・スカイライナー(関東)やヨンケーレ・モナコ(関東・西日本)も使用されていたことがある。
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