Remove ads
1972年にフジテレビで放送された日本の特撮テレビドラマ ウィキペディアから
『快傑ライオン丸』(かいけつライオンまる)は、1972年4月1日から1973年4月7日まで、フジテレビ系で毎週土曜日19:00 - 19:30に放送された、ピー・プロダクション製作の特撮テレビ番組である。全54話。
『スペクトルマン』の好評を受けて企画されたこの番組は、当初から時代劇としての体裁を考えていたわけではなく、かつてパイロット版が製作された『豹マン』が再検討されたもので、うしおそうじの企画案は『ライオンマン』というアニマルヒーローが主人公の等身大ヒーロー作品だったが、アメコミに同名のヒーローがいることが判明したため、急遽フジテレビ側のアイデアで時代劇に企画が変更となった[1][2]。
時代劇になった経緯については、元ピー・プロダクションのスタッフである篠原茂が、2007年にフジテレビ721で放映された『ピープロ魂』の中で「誰が言い出したのかまでは覚えていませんが、確かフジテレビとの企画会議の際に現代劇では魅力がないという意見が多く出て、舞台設定を時代劇にして、このライオンの顔をしたヒーローを主人公にしたらどうだろうという話になったんだと記憶しています」と証言している[信頼性要検証]。関連書籍によれば時代劇という案を出したのは当時のフジテレビ編成局長で、『スペクトルマン』の企画を後押しした武田信敬[注釈 1]だったとされている[3][4]。『超人画報』でも、時代劇となったのは局側の意見とし、他作品との差別化が意図されていたと記述している[1]。
タイガージョー登場の経緯はプロデューサーのうしおそうじ・別所孝治・メイン監督である石黒光一の3人で、番組長期化に関するミーティングを行い「ライオン丸単独でキャラクターを引っ張るのでは弱いので、強力なライバルが欲しい」という意見が出された。うしおは「ライオンに対して虎」のイメージが浮かび、その後脚本家の田村多津夫も交えた会議の中でイメージが決められた[5]。虎錠之介・タイガージョーは第27話「大魔人ゴースン怒る!」で初登場し、第30話「怪人マツバラバ 一本松の謎」をもって出番を終えるが、主役の獅子丸・ライオン丸を上回る人気を得た。それを受けて第36話「折れた槍 怪人ハチガラガ」より再び登場している。
タイガージョー以外にも、悪事には興味がなく野伏から住民を助け、自らの腕に絶対的な自信を持ち卑怯な真似を徹底的に嫌い、幹部に平気で逆らったりする「ネズガンダ」。盲目の少女と心を通わせ、南蛮での少女の治療を夢見る「トビムサシ」。同じ村の住人たちにも捨てられた子供を、愛情かけて育てている「ムイオドロ」など、他作品の悪役とは一線を画す個性豊かな怪人たちが登場している。
本作が初主演となる潮哲也は体当たりの演技を披露している。本人も『ピープロ魂』に出演し「吹き替えは無しだからね、と言われたので獅子丸のアクションはすべて自分でやりましたが、もしかしたら撮影中に死ぬんじゃないかと思ったこともありますね」と回想している[信頼性要検証]。事実、潮は撮影中に一度足を骨折している(詳細は#エピソードを参照)。
後番組の『風雲ライオン丸』は、本作品で好評だった要素を再構成して制作されたもので、続編ではない。物語上は別世界(パラレルワールド)となっているが、快傑ライオン丸が登場するシーンがある。また、虎錠之介(タイガージョー)の弟であることを示唆するタイガージョーJr.も登場する。
『仮面ライダー』と同じく、変身シーンを真似ることが子供たちの間で流行した。当時大洋ホエールズに在籍していたジョン・シピンが「ライオン丸」と呼ばれるほど、この「ライオン丸」の名は広く一般に浸透していた[6]。放送開始直後には関西で『ライオンマン』という贋作商品が出回っていた[7]。
劇中で小松方正演じる薬売り「丸目三角之介」の旗印が、武田薬品のロゴであったためクレームがついた[8][9][10]。
アメリカでも放映されて人気を博し[11]、2002年には『Samurion』のタイトルで、リメイク版テレビシリーズ化が企画されたが結局実現せず、パイロット版のみが残されている。
滋賀県出身のロックバンドである『ほぶらきん』は1983年に、本作品をモチーフとした『ゴースンの一生』という、ソノシート2枚組のロック・オペラを発表した[12]。現在では「ゴースンの一生・ライブ」(CD、2009年08月28日)アルケミーレコード ARCD-217で聴くことができる[12]。
時は戦国時代。ヒマラヤ山中で邪悪な妖術を身につけた1人の男が「大魔王ゴースン」を名乗り、戦乱の日本征服を目指して乗り込んでくる。彼は自分と同じようにチベットで修行し、妖術を身につけている偉大な忍者・果心居士の存在を危険視して、手下のオロチを人間に化けさせて刺客として送り込んだ。
その頃、飛騨山中に住む果心居士は、ゴースンの乗り込みと死期を察し、自らが育てた獅子丸、沙織、小助の教え子3人に形見分けをしていた。獅子丸には居士がチベットでの師匠から受け継いだ「金砂地の太刀(きんさじのたち)」、沙織には「男に負けない力」を発揮する小太刀、小助には自分の魂の化身となる天馬ヒカリ丸を呼ぶ笛だった。
3人の弟子にゴースン打倒を命じた居士は、自らが予期した通り、オロチによって命を落とす。獅子丸は太刀の力を用いた「忍法獅子変化」で、白いたてがみをなびかせた獅子面の剣士・ライオン丸に変身してオロチを倒す。
3人は居士の遺志を受け継ぎ、ゴースンの一味の怪人たちを退けながら大魔王ゴースンを倒すため諸国を行脚して戦う。
話数 | 放映日 | サブタイトル | 登場怪人 | 脚本 | 監督 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1972年 4月1日 |
魔王の使者オロチ | 高久進 | 石黒光一 | |
2 | 4月8日 | 倒せ!! 怪人ヤマワロ童子 |
|
若槻文三 | |
3 | 4月15日 | 魔の森 わくらんば |
|
田村多津夫 | |
4 | 4月22日 | ムササビアン 爆破作戦!! |
|
柏倉敏之 | 安藤達己 |
5 | 4月29日 | 地獄から来た死神オボ | 若槻文三 | ||
6 | 5月6日 | 人食い花フラワンダー |
|
柏倉敏之 | 石黒光一 |
7 | 5月13日 | 呪われた金山 ギンザメ |
|
田村多津夫 | |
8 | 5月20日 | 分身魔王デボノバと怪人イワゲバ |
|
牛次郎 | 安藤達己 |
9 | 5月27日 | 死を呼ぶ吸血怪人ゾンビー |
|
若槻文三 | |
10 | 6月3日 | 死の水 ドクイモリ |
|
しのだとみお | 石黒光一 |
11 | 6月10月 | 地獄の狼 カマキリアン! |
| ||
12 | 6月17日 | 怪人ギロジー 海の落し穴 | 若槻文三 | 安藤達己 | |
13 | 6月24日 | 怪人ウミカブロと人食い怪魚 |
| ||
14 | 7月1日 | さすらいの怪人ネズガンダ[注釈 18] |
|
柏倉敏之 | 石黒光一 |
15 | 7月8日 | エレサンダー 地獄谷の決闘 |
| ||
16 | 7月15日 | 忍びよる魔の手 メレオンガ |
|
まつしまとしあき | 土屋啓之助 |
17 | 7月22日 | 怪人ジェロモ 悪魔のノロシ |
|
若槻文三 | |
18 | 7月29日 | 怪人ムイオドロ 恵山の叫び! |
|
石黒光一 | |
19 | 8月5日 | 子連れ怪人 夕陽の対決! |
|
柏倉敏之 | |
20 | 8月12日 | 殺しの追跡者 クマオロジ |
|
若槻文三 | |
21 | 8月19日 | ハンニャラス 母恋い子守唄[注釈 19] |
|
柏倉敏之 | 曽我仁彦 |
22 | 8月26日 | 盗まれた笛 怪人キバギラー |
|
濠喜人 | |
23 | 9月2日 | 蛇と蝎の怪人ダカツ |
|
田村多津夫 | 石黒光一 |
24 | 9月9日 | ライオン飛行斬り対怪人トビムサシ |
|
濠喜人 | |
25 | 9月16日 | 影狩り怪人モスガイガー |
|
曽我仁彦 | |
26 | 9月23日 | 最後の守備隊長クワルギルビ |
|
まつしまとしあき | |
27 | 9月30日 | 大魔王ゴースン怒る! | 田村多津夫 | 石黒光一 | |
28 | 10月7日 | 悪の剣士タイガージョー | |||
29 | 10月14日 | 影三つ 怪人ドクロンガ |
|
まつしまとしあき | 樋口弘美 |
30 | 10月21日 | 怪人マツバラバ 一本松の謎 |
|
濠喜人 | |
31 | 10月28日 | 怨みの魔剣 オロチジュニア |
|
馬嶋満 | 石黒光一 |
32 | 11月4日 | ガマウルフ 覚え書の秘密 |
| ||
33 | 11月11日 | 非情の盗賊 ガメマダラ |
|
まつしまとしあき | 曽我仁彦 |
34 | 11月18日 | 殺しのメロディー 怪人パンダラン |
|
田村多津夫 | |
35 | 11月25日 | 血に笑う怪人アリサゼン |
|
山崎晴哉 | 石黒光一 |
36 | 12月2日 | 折れた槍 怪人ハチガラガ |
| ||
37 | 12月9日 | 狙われた男 怪人トドカズラ |
|
馬嶋満 | 中西源四郎 |
38 | 12月16日 | ゴースンの秘密 怪人タツドロド |
|
田村多津夫 | |
39 | 12月23日 | 怪人キチク 悪の念佛 |
|
山崎晴哉 | 大塚莞爾 |
40 | 12月30日 | 大魔王ゴースン 再び怒る! |
|
馬嶋満 | 石黒光一 |
41 | 1973年 1月6日 |
大魔王ゴースン あの胸を狙え! |
|
田村多津夫 | |
42 | 1月13日 | 殺しの流れ者 怪人キルゴッド |
|
しのだとみお | 大塚莞爾 |
43 | 1月20日 | 裏切りの峠 怪人ギララ | 田村多津夫 | 中西源四郎 | |
44 | 1月27日 | くノ一の涙 怪人メガンダ |
|
平野史博 | |
45 | 2月3日 | 抜け忍けもの道 怪人ハンザキ |
|
田村多津夫 | 大塚莞爾 |
46 | 2月10日 | 暗闇の琵琶法師 怪人ノイザー |
| ||
47 | 2月17日 | 地獄の棺桶 怪人ジェンマ |
|
まつしまとしあき | 中西源四郎 |
48 | 2月24日 | 傷だらけの殺し屋 怪人マフィアン |
| ||
49 | 3月3日 | 恐るべき屠殺人 怪人ジャムラ |
|
大塚莞爾 | |
50 | 3月10日 | ライオン丸を吊るせ!! 怪人ジュウカク |
|
山崎晴哉 | |
51 | 3月17日 | 最後の八人衆 怪人アブター |
|
まつしまとしあき | 曽我仁彦 |
52 | 3月24日 | 早射ち六連発!怪人ゴンラッド |
|
大木英吉 | |
53 | 3月31日 | 悲しきタイガージョーの最期! |
|
田村多津夫 | 大塚莞爾 |
54 | 4月7日 | ライオン丸 最後の死闘 |
|
参照宇宙船SPECIAL 1998, p. 209。声優の欄は『ピー・プロ 70's ヒーロー列伝(2) 快傑・風雲ライオン丸』(ソニー・マガジンズ)より記載。スーツアクターについても同書とエンディングのテロップより記載。
サブタイトルコールは第1話から第22話まで(第8話を除く)は数人の子供の一斉読み上げ、第8話と第22話以降は、ナレーターの篠原によるものとなっている。アイキャッチおよび次回予告テロップ部分カットは第28話より後期分へ変更。アイキャッチは前期分の画面を広角化しタイトル部分を中央に寄せたものへ、予告テロップ画面は前期分の獅子丸たち一行の背面ショットからゴースン魔城へと変わった。なお、アイキャッチは40話で以前のものに戻されている。
参照:ヒーロー列伝 2 2000, p. 203 ※秋田テレビ、富山テレビは同書に記載なし
2007年ごろに時代劇専門チャンネルで全話再放送された。その後しばらくの間、BS・CSでの再放送はされなかったが、2017年4月より同じく時代劇専門チャンネルの深夜放送枠『時専S40』の金曜日『時代劇 特撮王国』にて、約10年ぶりに全話再放送されている。
1972年(昭和47年)12月11日、虎錠之介役の戸野広浩司が、第40話の撮影中にロケ先の滋賀県彦根市の国民宿舎で不慮の事故により他界してしまう悲劇が起こった[2]。このため戸野広の出演は第40話までとなり、第42話から錠之介のオーディションを受けていた福島資剛(ふくしまもとたけ)に交替した[2]。なお、第41話はタイガージョーのみの出演としている。
うしおそうじは「伝聞や自分の推測」と断ったうえで、戸野広の死因は「ロケ先の国民宿舎での夜、次の日がオフだった彼はスタッフとの宴会で深酒をして泥酔し、水を飲もうと洗面所へ行ったが、消灯時間を過ぎて電気が消されていて真っ暗な中、唯一洗面所に明かりのついていた女風呂に迷い込み、酩酊状態で脚を滑らせてガラス扉に突っ込んで、割れたガラスで脇腹を切り、そのまま湯船に落ちて出血多量で亡くなった」と説明している[49]。実際には一度は至近の市民病院へ搬送されたが、搬送先で死亡が確認されている[50]。また女湯について湖城荘の支配人の話によると、空いている時や時間外ではよく男性客にも利用されていたという[50]。うしおが旅館に駆けつけると、同じく急を聞いて駆けつけた戸野広の許婚の姿があったという[49]。許婚の女性とは、戸野広と劇団青俳で出会った後3年越しの交際の末に、翌1973年1月3日に結婚し挙式するはずだった[50][51]。
彦根警察署からは刑事10人ら捜査員が出動し、最初は殺人事件の線で現場検証及び捜査を進めていたが事情聴取の結果、現場にいたロケ隊ら関係者全員にアリバイがあったことがわかったために事故死と判断された[50][51]。しかし戸野広が事故死した場所が女湯だったことから、状況も把握しなかった一部のマスコミは「この事故は覗きの結果ではないか」として、好奇の目で報じたのもあった。これは以後のピープロの営業にまで影響したという[52]。
その5日後の12月16日、世田谷区民会館で「快傑ライオン丸怪人合同慰霊祭」が催され、戸野広の冥福も合わせて祈祷された[53]。僧侶役は遠矢孝信が務めた[54]。また、この日放送された第38話「ゴースンの秘密 怪人タツドロド」のOP後に、戸野広の死去を伝えるテロップが挿入されている。
第40話・第41話の虎錠之介 = タイガージョーの声は戸野広の死去がアフレコ前だったため、声優の池田勝が吹き替えている[55]。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.